説明

車両の走行安全装置

【課題】自車両が進行方向前方の先行車両に衝突する可能性を低減する。
【解決手段】車両の走行安全装置10は、自車両の進路を予測する自車進路予測部31と、自車両の走行路に交差する交差路を走行する交差車両を検出する交差車両検出部32と、交差車両の進路を予測する交差車進路予測部33と、自車両から所定距離以内の進行方向前方に存在する先行車両を検出する先行車両検出部35と、自車両の進路と交差車両の進路とに基づいて自車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定し、先行車両の位置と交差車両の進路とに基づいて交差車両と先行車両との衝突可能性の有無を判定する衝突可能性判定部40と、自車両の走行路と交差路との交差点において、自車両と交差車両との衝突可能性が有ると判定された場合、又は、交差車両と先行車両との衝突可能性が有ると判定された場合に、所定の警報または前記回避制御を実行する車両制御部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の走行安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば交差点などの車両停止位置での発進を規制する発進規制手段を備え、後続車が存在する場合には発進規制手段による発進規制を緩める車両の安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3173877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る車両の安全装置によれば、発進規制を緩めたことに起因して、車両停止位置から発進した車両が、この車両の進路に交差する進路を走行する交差車両などの障害物に遭遇して停車あるいは減速すると、この車両の挙動に後続車が対応出来ずに車両に衝突してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、自車両が進行方向前方の先行車両に衝突する可能性を低減することが可能な車両の走行安全装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る車両の走行安全装置は、自車両の進路を予測する自車進路予測手段(例えば、実施の形態での自車進路予測部31)と、前記自車両の走行路に交差する交差路を走行する交差車両を検出する交差車両検出手段(例えば、実施の形態での交差車両検出部32)と、前記交差車両検出手段により検出された前記交差車両の進路を予測する交差車進路予測手段(例えば、実施の形態での交差車進路予測部33)と、前記自車進路予測手段により予測された前記自車両の進路と前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路とに基づいて、自車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定する衝突可能性判定手段(例えば、実施の形態での衝突可能性判定部40)と、前記自車両の走行路と前記交差路との交差点において、前記衝突可能性判定手段により前記自車両と前記交差車両との衝突可能性が有ると判定された場合に、所定の警報または回避制御を実行する制御手段(例えば、実施の形態での車両制御部41)とを備える車両の走行安全装置であって、前記自車両から所定距離以内の進行方向前方に存在する先行車両の位置を検出する先行車検出手段(例えば、実施の形態での先行車両検出部35)を備え、前記衝突可能性判定手段は、前記先行車検出手段により前記先行車両の位置が検出された場合に、該先行車両の位置と前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路とに基づいて、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性の有無を判定し、前記制御手段は、前記衝突可能性判定手段により前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記所定の警報または前記回避制御を実行する。
【0006】
さらに、本発明の第2態様に係る車両の走行安全装置は、前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路に基づいて、該進路に沿う前記交差車両の前記自車両に近接する側の側面位置を推定する側面位置推定手段(例えば、実施の形態での側面位置検出部34)と、前記先行車両の車長を推定する車長推定手段(例えば、実施の形態での車長推定部36)と、前記先行車検出手段により検出された前記先行車両の位置と前記車長推定手段により推定された前記先行車両の車長とに基づいて、該先行車両の前端位置を推定する前端位置推定手段(例えば、実施の形態での前端位置推定部37)とを備え、前記衝突可能性判定手段は、前記側面位置推定手段により推定された前記交差車両の側面位置から前記前端位置推定手段により推定された前記先行車両の前端位置までの距離に基づいて、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性の有無を判定する。
【0007】
さらに、本発明の第3態様に係る車両の走行安全装置は、前記先行車両の制動灯が点灯したか否かを判定する制動灯点灯判定手段(例えば、実施の形態での制動灯点灯判定部38と)を備え、前記衝突可能性判定手段は、前記側面位置推定手段により推定された前記他車両の側面位置から前記前端位置推定手段により推定された前記先行車両の前端位置までの距離が所定距離以下であって、かつ、前記制動灯点灯判定手段により前記先行車両の制動灯が点灯していないと判定された場合に、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性が有ると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係る車両の走行安全装置によれば、先行車両が交差車両との衝突により停車あるいは交差車両に遭遇して減速する場合であっても、先行車両の車両挙動を予測して、所定の警報または回避制御を実行することができ、自車両と先行車両との衝突可能性を低減することができる。
【0009】
さらに、本発明の第2態様に係る車両の走行安全装置によれば、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定精度を向上させることができ、警報または回避制御が過剰に実行されることを防止することができる。
【0010】
さらに、本発明の第3態様に係る車両の走行安全装置によれば、先行車両の制動灯の点灯状態を先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定に反映させることができ、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定精度を向上させることができ、警報または回避制御が過剰に実行されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両の走行安全装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自車両と交差車両と先行車両との相対位置の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両の走行安全装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両の走行安全装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る車両の走行安全装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両の走行安全装置10は、例えば図1に示すように、内燃機関(E)の駆動力をトランスミッション(T/M)を介して車両の駆動輪(図示略)に伝達する車両に搭載され、外界センサ11と、車両状態センサ12と、処理装置13と、スロットルアクチュエータ14と、ブレーキアクチュエータ15と、ステアリングアクチュエータ16と、報知装置17とを備えて構成されている。
【0013】
外界センサ11は、例えば赤外光レーザやミリ波などの電磁波によるレーダ装置および撮像装置を備えて構成されている。
例えばレーダ装置は、自車両の外界に設定された検出対象領域(例えば、右前方と左前方となど)を複数の角度領域に分割し、各角度領域を走査するようにして、電磁波の発信信号を発信する。そして、各発信信号が自車両の外部の物体(例えば、他車両や構造物など)によって反射されることで生じた反射信号を受信し、レーダ装置から外部の物体までの距離に係る検知信号を生成し、処理装置13に出力する。
また、例えば撮像装置は、自車両の外界に設定された撮像領域(例えば、右前方と左前方となど)をカメラにより撮像して得た画像に画像処理を行なって画像データを生成し、処理装置13に出力する。
【0014】
車両状態センサ12は、例えば、自車両の駆動輪の回転速度(車輪速)を検出する車輪速センサと、車体に作用する加速度を検知する加速度センサと、車体の姿勢や進行方向を検知するジャイロセンサと、ヨーレート(車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検知するヨーレートセンサと、例えば人工衛星を利用して自車両の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信する測位信号受信機と、運転者による運転操作(例えば、アクセルペダルの踏み込み操作量、ブレーキペダルの踏み込み操作量、ステアリングホイールの舵角、シフトポジションなど)を検出する各センサとなどを備えて構成され、自車両の各種の車両情報の検知結果の信号を出力する。
【0015】
処理装置13は、例えば自車進路予測部31と、交差車両検出部32と、交差車進路予測部33と、側面位置検出部34と、先行車両検出部35と、車長推定部36と、前端位置推定部37と、制動灯点灯判定部38と、交差点判定部39と、衝突可能性判定部40と、車両制御部41とを備えて構成されている。
【0016】
自車進路予測部31は、例えば車両状態センサ12の車輪速センサおよびヨーレートセンサなどから出力される信号に基づき、自車両の進行方向を算出し、さらに、自車両の進行方向に基づき自車両の進路を予測する。
交差車両検出部32は、例えば外界センサ11のレーダ装置から出力される検知信号などに基づき、例えば図2(A),(B)に示すように、自車進路予測部31により予測された自車両の進路と交差する進行方向で移動する他車両(交差車両)を検出する。
【0017】
交差車進路予測部33は、例えば外界センサ11のレーダ装置から逐次出力される検知信号などに基づき、レーダ装置から発信されて交差車両で反射される電磁波の複数の反射点から交差車両の位置を代表する代表点(例えば、自車両に最も近い反射点や複数の反射点の重心など)を算出し、この代表点の時系列変化から交差車両の進路を予測する。
【0018】
側面位置検出部34は、例えば外界センサ11のレーダ装置から逐次出力される検知信号などに基づき、交差車進路予測部33により予測された交差車両の進路に沿う進行方向での交差車両の自車両に近接する側の側面位置を検出する。
【0019】
先行車両検出部35は、例えば外界センサ11のレーダ装置から出力される検知信号などに基づき、例えば図2(A),(B)に示すように、自車両から所定距離以内の進行方向前方に存在する先行車両の位置を検出する。
車長推定部36は、例えば外界センサ11の撮像装置から出力される画像データなどに基づき、先行車両検出部35により検出された先行車両の車長(車両前後方向の全長)を推定する。
例えば先行車両の後部の画像データに対して、所定の車種のデータとのパターンマッチングの処理を行ない、このパターンマッチングにより先行車両の車種を特定することができた場合には、この車種に対して予め設定されている車長を取得する。
また、例えば外界センサ11の撮像装置から出力される画像データなどに基づき、先行車両のナンバープレートの種別および車体形状を検知し、予めナンバープレートの種別および車体形状に応じて設定された所定の車長のデータを取得する。所定の車長のデータは、例えばナンバープレートの配色などから軽自動車のナンバープレートであれば車長cl=3.4mとされ、例えば車体形状がワゴンタイプであれば車長cl=4.8mとされ、車体形状がセダンタイプであれば車長cl=4.6mとされ、車体形状がハッチバックタイプであれば車長cl=4.2mとされている。
【0020】
前端位置推定部37は、例えば外界センサ11のレーダ装置から出力される検知信号などと、車長推定部36により推定された車長とに基づき、先行車両の前端位置を推定する。
制動灯点灯判定部38は、例えば外界センサ11の撮像装置から出力される画像データに基づき、先行車両の後部の画像データから先行車両の制動灯が点灯したか否かを判定する。
【0021】
交差点判定部39は、例えば外界センサ11のレーダ装置から逐次出力される検知信号、あるいは、撮像装置から出力される画像データなどに基づき、自車両が交差点付近に位置するか否かを判定する。
【0022】
衝突可能性判定部40は、交差点判定部39により自車両が交差点付近に位置すると判定された場合などにおいて、自車進路予測部31により予測された自車両の進路と、交差車進路予測部33により予測れた交差車両の進路とに基づき、例えば衝突回避に要する減速度などを考慮して、自車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定する。
また、衝突可能性判定部40は、交差点判定部39により自車両が交差点付近に位置すると判定され、自車両が先行車両に追従して停止状態から発進状態へと移行する場合などにおいて、交差車進路予測部33により予測された交差車両の進路と、前端位置推定部37により推定された先行車両の前端位置と、先行車両の進路や進行方向とに基づき、例えば衝突回避に要する減速度などを考慮して、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定する。
【0023】
例えば、衝突可能性判定部40は、外界センサ11のレーダ装置から出力される検知信号に基づき、例えば図2(A)に示すように、自車両(例えば、自車両の前端)から交差車両(例えば、交差車両の側面位置)までの距離d1と、自車両(例えば、自車両の前端)から先行車両(例えば、先行車両の後端)までの距離d2と、先行車両の車長clとにより、先行車両(例えば、先行車両の前端位置)から交差車両(例えば、交差車両の側面位置)までの距離dl(=d1−d2−cl)を算出する。そして、先行車両から交差車両までの距離dlが所定閾値未満であるか否かを判定し、この判定結果において距離dlが所定閾値未満であれば先行車両と交差車両との衝突可能性が有ると判定する。
なお、距離dlに対する所定閾値は、例えば先行車両の制動灯が点灯しているか否かの判定結果と、例えば外界センサ11のレーダ装置から逐次出力される検知信号などに基づき検出される先行車両の速度V1とに応じて設定されている。例えば先行車両の制動灯が無点灯であれば、速度V1の先行車両が所定の第1減速度g1(例えば、0.2G(=0.2×9.8m/s)など)で停止するまでに要する距離が、距離dlに対する所定閾値である第1先行車両接近閾値dl_th1(=V1/(2×g1))として設定される。また、例えば先行車両の制動灯が点灯であれば、速度V1の先行車両が第1減速度g1よりも大きい所定の第2減速度g2(例えば、0.5G(=0.5×9.8m/s)など)で停止するまでに要する距離が、距離dlに対する所定閾値である第2先行車両接近閾値dl_th2(=V1/(2×g2))として設定される。
そして、衝突可能性判定部40は、先行車両と交差車両との衝突可能性が有ると判定した場合には、さらに、例えば図2(B)に示すように、先行車両が停止したときの自車両(例えば、自車両の前端)から先行車両(例えば、先行車両の後端)までの距離ds(=d2+dl)を算出し、例えば衝突回避に要する減速度などを考慮して、自車両が距離ds以内で停止可能か否かを判定することにより、自車両と先行車両との衝突可能性が有るか否かを判定する。
【0024】
車両制御部41は、衝突可能性判定部40による判定結果に応じて、自車両の走行状態を制御する制御信号を出力する。この制御信号は、例えば、トランスミッション(T/M)の変速動作を制御する制御信号およびスロットルアクチュエータ14により内燃機関(E)の駆動力を制御する制御信号およびブレーキアクチュエータ15により減速を制御する制御信号およびステアリングアクチュエータ16により転舵を制御する制御信号などである。
また、車両制御部41は、自車両の乗員に各種の情報を報知する場合に、報知装置17を制御する制御信号を出力する。
【0025】
なお、報知装置17は、例えば、触覚的伝達装置と、視覚的伝達装置と、聴覚的伝達装置とを備えて構成されている。
触覚的伝達装置は、例えばシートベルト装置や操舵制御装置などであって、車両制御部41から出力される制御信号に応じて、例えばシートベルトに所定の張力を発生させて自車両の乗員が触覚的に知覚可能な締め付け力を作用させたり、例えばステアリングホイールに自車両の運転者が触覚的に知覚可能な振動(ステアリング振動)を発生させることによって、接近交差車両との衝突発生の可能性があることを乗員に認識させる。
視覚的伝達装置は、例えば表示装置などであって、車両制御部41から入力される制御信号に応じて、例えば表示装置に所定の警報情報を表示したり、所定の警報灯を点滅させることによって、接近交差車両との衝突発生の可能性があることを乗員に認識させる。
聴覚的伝達装置は、例えばスピーカなどであって、車両制御部41から入力される制御信号に応じて所定の警報音や音声などを出力することによって、接近交差車両との衝突発生の可能性があることを乗員に認識させる。
【0026】
本実施の形態による車両の走行安全装置10は上記構成を備えており、次に、この車両の走行安全装置10の動作について説明する。
【0027】
先ず、例えば図3に示すステップS01においては、自車両の進路と交差する進行方向で移動する交差車両を検出する。
次に、ステップS02においては、交差車両の進路を予測し、自車両から交差車両までの距離d1を検出する。
次に、ステップS03においては、自車両から所定距離以内の進行方向前方に存在する先行車両の位置を検出する。
【0028】
次に、ステップS04においては、自車両(例えば、自車両の前端)から先行車両(例えば、先行車両の後端)までの距離d2を検出する。
次に、ステップS05においては、外界センサ11の撮像装置から出力される画像データに基づき、先行車両の後部の画像データを取得する。
次に、ステップS06においては、先行車両の後部の画像データに対して、所定の車種のデータとのパターンマッチングの処理を行なう。
そして、ステップS07においては、先行車両の後部の画像データに対してマッチングが有るか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進み、このステップS08においては、所定の車種のデータから先行車両の車種に応じた車長clを取得し、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS09に進む。
【0029】
次に、ステップS09においては、先行車両の後部の画像データからナンバープレートの種別を判定する。
そして、ステップS10においては、軽自動車のナンバープレートであるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS11に進み、このステップS11においては、予め軽自動車に対して設定された所定長#cl(=3.4mなど)を車長clとし、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS12に進み、このステップS12においては、先行車両の後部の画像データから車体形状を推定する。
そして、ステップS13においては、車体形状に対して予め設定されている車長clを取得する。
【0030】
そして、ステップS14においては、先行車両(例えば、先行車両の前端位置)から交差車両(例えば、交差車両の側面位置)までの距離dl(=d1−d2−cl)を算出する。
そして、ステップS15においては、後述するように、先行車両の速度V1と距離dlとなどに基づき、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定する。
そして、ステップS16においては、先行車両と交差車両との衝突可能性があるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS17に進む。
【0031】
そして、ステップS17においては、先行車両が停止したときの自車両(例えば、自車両の前端)から先行車両(例えば、先行車両の後端)までの距離ds(=d2+dl)を算出する。
そして、ステップS18においては、自車両が距離ds以内で停止可能か否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、エンドに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS19に進む。
そして、ステップS19においては、警報の報知や自車両の走行状態などを制御する衝突回避制御を実行し、エンドに進む。
【0032】
以下に、上述したステップS15の処理について説明する。
先ず、例えば図4に示すステップS31においては、先行車両の速度V1と、所定の第1減速度g1とに基づき、第1先行車両接近閾値dl_th1(=V1/(2×g1))を算出する。
そして、ステップS32においては、外界センサ11の撮像装置から出力される画像データに基づき、先行車両の後部の画像データから先行車両の制動灯の点灯状態を件shつする。
【0033】
そして、ステップS33においては、制動灯は無点灯か否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS34に進み、このステップS34においては、先行車両から交差車両までの距離dlが第1先行車両接近閾値dl_th1未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS37に進む。
【0034】
そして、ステップS35においては、先行車両の速度V1と、所定の第2減速度g2とに基づき、第2先行車両接近閾値dl_th2(=V1/(2×g2))を算出する。
そして、ステップS36においては、先行車両から交差車両までの距離dlが第2先行車両接近閾値dl_th2未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS37に進み、このステップS37においては、先行車両と交差車両との衝突可能性は有ると判定し、エンドに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS38に進み、このステップS38においては、先行車両と交差車両との衝突可能性は無いと判定し、エンドに進む。
【0035】
上述したように、本実施の形態による車両の走行安全装置10によれば、先行車両が交差車両との衝突により停車する場合であっても、先行車両の車両挙動を予測して、所定の警報または回避制御を実行することができ、自車両と先行車両との衝突可能性を低減することができる。
さらに、交差車両の進路に沿う交差車両の自車両に近接する側の側面位置と先行車両の前端位置とを推定することにより、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定精度を向上させることができ、警報または回避制御が過剰に実行されることを防止することができる。
さらに、先行車両の制動灯の点灯状態を先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定に反映させることができ、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無の判定精度を向上させることができ、警報または回避制御が過剰に実行されることを防止することができる。
【0036】
なお、上述した実施の形態において、先行車両の後部の画像データから先行車両が大型車であると検知された場合などのように、自車両と交差点との間の距離が所定値以上に長い場合には、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無に応じた衝突回避制御の実行要否の判定処理の実行を停止してもよい。
なお、上述した実施の形態においては、自車両が交差点付近に位置すると判定され、自車両が先行車両に追従して停止状態から発進状態へと移行する場合に、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無に応じて衝突回避制御を実行するとしたが、これに限定されず、自車両の発進時以外の走行状態において、先行車両と交差車両との衝突可能性の有無に応じて衝突回避制御を実行してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 車両の走行安全装置
11 外界センサ
12 車両状態センサ
17 報知装置
31 自車進路予測部(自車進路予測手段)
32 交差車両検出部(交差車両検出手段)
33 交差車進路予測部(交差車進路予測手段)
34 側面位置推定部(側面位置推定手段)
35 先行車両検出部(先行車両検出手段)
36 車長推定部(車長推定手段)
37 前端位置推定部(前端位置推定手段)
38 制動灯点灯判定部(制動灯点灯判定手段)
40 衝突可能性判定部(衝突可能性判定手段)
41 車両制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進路を予測する自車進路予測手段と、
前記自車両の走行路に交差する交差路を走行する交差車両を検出する交差車両検出手段と、
前記交差車両検出手段により検出された前記交差車両の進路を予測する交差車進路予測手段と、
前記自車進路予測手段により予測された前記自車両の進路と前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路とに基づいて、自車両と交差車両との衝突可能性の有無を判定する衝突可能性判定手段と、
前記自車両の走行路と前記交差路との交差点において、前記衝突可能性判定手段により前記自車両と前記交差車両との衝突可能性が有ると判定された場合に、所定の警報または回避制御を実行する制御手段とを備える車両の走行安全装置であって、
前記自車両から所定距離以内の進行方向前方に存在する先行車両の位置を検出する先行車検出手段を備え、
前記衝突可能性判定手段は、前記先行車検出手段により前記先行車両の位置が検出された場合に、該先行車両の位置と前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路とに基づいて、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性の有無を判定し、
前記制御手段は、前記衝突可能性判定手段により前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記所定の警報または前記回避制御を実行することを特徴とする車両の走行安全装置。
【請求項2】
前記交差車進路予測手段により予測された前記交差車両の進路に基づいて、該進路に沿う前記交差車両の前記自車両に近接する側の側面位置を推定する側面位置推定手段と、
前記先行車両の車長を推定する車長推定手段と、
前記先行車検出手段により検出された前記先行車両の位置と前記車長推定手段により推定された前記先行車両の車長とに基づいて、該先行車両の前端位置を推定する前端位置推定手段とを備え、
前記衝突可能性判定手段は、前記側面位置推定手段により推定された前記交差車両の側面位置から前記前端位置推定手段により推定された前記先行車両の前端位置までの距離に基づいて、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の車両の走行安全装置。
【請求項3】
前記先行車両の制動灯が点灯したか否かを判定する制動灯点灯判定手段を備え、
前記衝突可能性判定手段は、前記側面位置推定手段により推定された前記他車両の側面位置から前記前端位置推定手段により推定された前記先行車両の前端位置までの距離が所定距離以下であって、かつ、前記制動灯点灯判定手段により前記先行車両の制動灯が点灯していないと判定された場合に、前記交差車両と前記先行車両との衝突可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の走行安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−18165(P2011−18165A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161716(P2009−161716)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】