車両の障害物回避装置
【課題】
減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択できる車両の障害物回避装置を提供すること。
【解決手段】
自車両前方の障害物を認識する障害物認識部11と、自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部12と、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔Wl,Wrを認識する間隔認識部14と、認識された間隔Wl,Wrが予め設定された自車両の幅Wv以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、間隔Wl,Wrが自車両の幅Wvより大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、自車両が認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる回避方向選択部15と、を備えた。
減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択できる車両の障害物回避装置を提供すること。
【解決手段】
自車両前方の障害物を認識する障害物認識部11と、自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部12と、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔Wl,Wrを認識する間隔認識部14と、認識された間隔Wl,Wrが予め設定された自車両の幅Wv以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、間隔Wl,Wrが自車両の幅Wvより大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、自車両が認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる回避方向選択部15と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物に対する接触回避のための制御を行う車両の障害物回避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障害物回避装置による車両前方の障害物の回避方法として、減速による回避と横移動による回避の二通りがある。例えば、特許文献1に記載の装置では、車両前方の障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合には横移動による障害物の回避が不可能と判断し、減速による障害物の回避を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−299455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、自車が隣接車線に跨って走行しているような場合、自車が跨っている車線境界線と障害物の幅が自車幅より小さいときに横移動による障害物の回避が不可能と判断され、本来であれば不要な減速による障害物回避が自動的に行われてしまうおそれがある。本発明の目的とするところは、より適切に障害物を回避することができる車両の障害物回避装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の車両の障害物回避装置は、自車両が車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可する。
【発明の効果】
【0006】
よって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択し、より適切に障害物を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】障害物回避装置を搭載した車両のシステム構成図である。
【図2】電子制御ユニットの構成を示すブロック線図である。
【図3】障害物回避制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】障害物による通行不可領域を算出する方法を示す。
【図5】自車両の通行予測領域を算出する方法を示す。
【図6】自車両と障害物との接触可能性を判断し、必要横移動量を算出する方法を示す。
【図7】減速による障害物回避と横移動による障害物回避における、車速と回避距離との関係を示す特性図である。
【図8】必要横移動量を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】前方車が自車前方を横切る場合の回避動作を示す(車線境界線が認識されている場合)。
【図10】前方車が自車前方を横切る場合の回避動作を示す(車線境界線が認識されていない場合)。
【図11】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に必要横移動量が閾値以上である場合)。
【図12】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に回避幅が自車幅以下である場合)。
【図13】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に必要横移動量が閾値より小さい場合)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の車両の障害物回避装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
図1は、実施例1の障害物回避装置を搭載した車両のシステム構成を示す。車両は、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRを備えた4輪車であり、自車の前方を認識する前方認識センサ1、自車の運動状態を検出する車両運動検出センサ2、及び各センサ1,2が取得した情報に基づき走行支援するため各種アクチュエータ(ステアリング制御機構3、ブレーキ制御機構4)へ指令を出力する電子制御ユニット(電子制御装置ECU)10を備える。前方認識センサ1は、前方の車線境界線(白線等のレーンマーク)の位置、及び前方の障害物(駐車車両や対向車両、歩行者や自転車、ガードレールや縁石等の道路構造物)を認識する手段であり、例えば、(単眼やステレオの)カメラや(レーザやミリ波の)レーダ等を用いることができる。実施例1では、前方認識センサ1としてカメラを備える。車両運動検出センサ2は、車両挙動を示す各種情報、すなわち車両の速度、前後加速度、横加速度、ヨーレート、操舵角、操舵トルクなどを検出する。なお、前後加速度を検出するセンサの代わりに、検出された車両の速度を時間微分して前後加速度を推定してもよい。
【0010】
ステアリング制御機構3は、パワーステアリング装置31を備える。運転者(ドライバ)がステアリングホイール30を介して入力した操舵状態(操舵トルクや操舵角)に応じて転舵輪(左右前輪FL、FR)が操向される。パワーステアリング装置31は電動式であり、操舵状態に基づいてモータMを駆動し、運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生する。すなわち、運転者はステアリング制御機構3を介して車両の旋回を行う。パワーステアリング装置31は、運転者のステアリング操作とは関係なく、モータMによりトルクを発生し、転舵輪の転舵状態(転舵角や転舵トルク)を独立に制御可能に設けられている。ブレーキ制御機構4は、電動油圧ブレーキユニット42を備える。運転者のブレーキペダル40の踏力は、ブレーキブースタ41で倍力され、その力に応じた油圧がマスタシリンダにより発生する。発生した油圧は、電動油圧ブレーキユニット42を介して、ホイルシリンダ4FL〜4RRに供給される。これにより、運転者のブレーキペダル操作に応じて、各輪FL〜RRに制動力が発生する。すなわち、運転者はブレーキ制御機構4を介して車両の制動を行う。電動油圧ブレーキユニット42は、モータにより駆動されるポンプや電磁弁等のアクチュエータを有し、運転者のブレーキペダル操作とは関係なく、4輪FL〜RRの制動力(ホイルシリンダ4FL〜4RRへの供給油圧)を独立に制御可能に設けられている。なお、運転者のブレーキ操作によるマスタシリンダ圧によって車両を制動する際は、左右の制動力差はない。
【0011】
電子制御ユニット10は、前方認識センサ1及び車両運動検出センサ2から送信される情報ないし検出値の入力を受け、これらの情報に基づきステアリング制御機構3及びブレーキ制御機構4へ出力する指令値を演算する。電子制御ユニット10は、ステアリング制御機構3(パワーステアリング装置31)又はブレーキ制御機構4(電動油圧ブレーキユニット42)を制御し、転舵状態又は各輪のブレーキ力配分を調整することで、所望のヨーモーメントを車両に発生可能に設けられている。電子制御ユニット10は、車両の障害物回避装置を構成しており、前方認識センサ1が認識した障害物に車両が接触する可能性があるときは、減速又は横移動によって障害物を回避する障害物回避動作を行わせる。電子制御ユニット10は、減速によって障害物を回避する場合は、電動油圧ブレーキユニット42を駆動して、車両の4輪FL〜RRの左右の制動力に差を付けずに車両を減速させる。横移動によって障害物を回避する場合は、パワーステアリング装置31と電動油圧ブレーキユニット42の少なくとも1つを駆動し、車両にヨーモーメントを付与して障害物を回避する。電動油圧ブレーキユニット42によって車両にヨーモーメントを付与するときは、車両の4輪FL〜RRの左右の制動力に差を付けて車両にヨーモーメントを付与する。パワーステアリング装置31によって車両にヨーモーメントを付与するときは、パワーステアリング装置31は、運転者と障害物回避制御の両方の指令を受けるが、両者の和をとって駆動を行う。
【0012】
図2のブロック線図に示すように、電子制御ユニット10は、障害物回避装置を構成する各部として、障害物認識部11と、車線境界線認識部12と、接触判断部13と、間隔認識部14と、回避方向選択部15と、を備える。障害物認識部11は、前方認識センサ1からの情報に基づき、自車両前方の障害物の有無及びその位置を認識する。車線境界線認識部12は、前方認識センサ1からの情報に基づき、自車両前方(例えば自車両が走行している車線の左右両側)の車線境界線の有無及びその位置を認識する。接触判断部13は、車両運動検出センサ2からの検出値に基づき、現在から所定時間後までに車両が通行する領域を予測する。また、認識された障害物により通行が不可能な領域を算出する。そして、これら通行予測領域と通行不可領域に基づき、車両が障害物と接触する可能性があるか否かを判断する。間隔認識部14は、認識された障害物を横方向に回避するための余裕幅(空き幅)として、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔(回避幅Wl,Wr)を認識する。回避方向選択部15は、認識された間隔(回避幅Wl,Wr)の大きさや算出した必要な横方向の移動量、及び認識された車線境界線を跨いで自車両が走行しているか否かの判断等に基づき、横移動による障害物回避と減速による障害物回避のいずれを実行するかを選択する。
【0013】
以下、図3のフローチャートを用いて、本発明の障害物回避装置の処理について説明する。この制御フローは所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、障害物認識部11及び車線境界線認識部12が、車両運動検出センサ2から受信した車両の速度、前後加速度、横加速度、ヨーレート、操舵角、操舵トルクなどの車両運動状態の検出値を読み込む。また、前方認識センサ1から受信した車線境界線位置、障害物位置などの周辺環境情報を読み込む。図4に示すように、障害物の位置は車幅方向に平行な線分として認識され、車両からの奥行き方向での障害物の形状は不明である。その後、ステップS2に移行する。
【0014】
ステップS2からS4の処理では、接触判断部13が、車両が障害物と接触する可能性があるか否かを判断する。
ステップS2では、車両内部の任意の点、又は車両近傍の点を車両現在位置とする。車両現在位置は、後述するように左右の車線境界線との間で位置を比較するため、左右に2点設ける。実施例1では、図5に示すように、車両左前端と右前端を車両現在位置とする。そして、ステップS1で読み込んだ車両運動検出値と予め記憶されている車両諸元から、車両現在位置の所定時間後の位置を車両予測位置として算出する。車両予測位置は、速度、操舵角、ヨーレート、車両幅、車両長さ、カメラ取付け位置などから算出する。車両予測位置も、車両現在位置と同様、障害物との間で位置を比較するので、左右に2つ存在する。また、左右の車両現在位置から車両予測位置に至る軌跡を左右の車両軌跡とし、左右の車両現在位置を結ぶ線分と、左右の車両予測位置を結ぶ線分と、左右の車両軌跡で囲まれた領域を、図5に示すように通行予測領域とする。その後、ステップS3に移行する。
【0015】
ステップS3では、障害物による通行不可領域を算出する。図4に算出方法の一例を示す。障害物は車幅方向に平行な線分として認識されているが、車両からの奥行き方向の形状は不明なので、障害物の線分から奥行き方向は全て通行不可領域とする。図4の障害物1と障害物2による通行不可領域は重なる部分があるので、1つの通行不可領域1にまとめられる。また、障害物3と障害物4による通行不可領域の間の車幅方向の距離Wo2は車幅Wv以下であるので、障害物3と障害物4による通行不可領域に挟まれた領域Ao1も通行不可領域となり、それらが1つの通行不可領域2となる。一方、障害物2と障害物3による通行不可領域の間の車幅方向の距離Wo1は車幅Wvより大きいので、これらの通行不可領域1,2は別の領域として分けられる。その後、ステップS4に移行する。
【0016】
ステップS4では、車両が障害物と接触する可能性があるかを判断する。具体的には、通行予測領域の一部が通行不可領域に含まれる場合は、車両が障害物と接触する可能性があると判断する。図6に示す例では、通行予測領域内の領域AC1,AC2が通行不可領域に含まれているため、接触可能性があると判断する。このように車両が障害物と接触する可能性があると判断するとステップS5に移行し、可能性がないと判断するとリターンに移行する。
【0017】
ステップS4で車両が障害物と接触する可能性があると判断された場合は、回避方向選択部15が、ステップS5からS7の処理によって、ステップS8の減速による障害物回避とステップS9の横移動による障害物回避のいずれかを選択する。
ここで、車両周辺に前方の1つの障害物しかない場合に、その障害物を減速で回避する場合と横移動で回避する場合を考える。前提条件として、回避動作開始時点で車両は前後方向にある車速で走行しており、回避動作中の車両の減速度と横加速度が等しく、一定であるとする。減速による障害物回避の開始時から車両が停止するまでの車両の前後方向の移動距離を減速回避距離とし、横移動による障害物回避の開始時から障害物の回避に必要な横移動が終了するまでの車両前後方向の移動距離を横移動回避距離とする。回避動作開始時の車速に応じた回避距離は図7のような特性を示す。図7から、車速が低いときは減速による回避が有効であり、車速が高いときは横移動による回避が有効であることが分かる。例えば、減速回避距離と横移動回避距離が等しくなる車速をVthとすると、障害物回避装置が車速Vth以上で動作した場合、車両周辺に前方の1つの障害物しかないときは、減速回避距離よりも横移動回避距離のほうが小さくなるため、減速による回避よりも横移動による回避が有効である。なお、回避動作中の減速度と横加速度が小さく、横移動による回避に必要な横移動量が小さい場合は、車速Vthが低くなる。以下のステップS5からS9の説明では、このような前提で、減速による回避と横移動による回避を選択する。
なお、このような条件では、ステップS8の減速による障害物回避での加速度とステップS9の横移動による障害物回避での加速度を比較すると、減速による障害物回避のほうが加速度は大きくなり、運転者には強い制御として感じられる。
また、通行予測領域で通行不可領域に含まれる部分のうち、車両前後方向で最も車両側にある領域に対して逐次回避動作が行われる。例えば図6のような場合、通行予測領域内の領域AC1,AC2が通行不可領域に含まれており、ステップS4で車両が障害物と接触する可能性があると判断されるが、ステップS5からS9の処理は領域AC1に対する回避動作となる。領域AC1に対する回避動作として、ステップS5からS7によってステップS9の横移動による障害物回避が選択された場合は、引き続き領域AC2に対する回避動作が行われる。
【0018】
ステップS5では、まず、間隔認識部14が、回避動作の対象領域が含まれる通行不可領域の横の回避幅を算出する。図6に示す例では回避動作の対象領域がAC1なので、通行不可領域1の横の回避幅を算出する。具体的には、領域AC1を通行不可領域1内で車幅方向に最大限延長した領域を領域ACとし、領域ACの左端の線分と左側車線境界線との車幅方向の間隔の最小値を左側回避幅Wlとし、領域ACの右端の線分と右側車線境界線との車幅方向の間隔の最小値を右側回避幅Wrとする。回避幅がない場合(例えば自車が走行する車線から領域ACが隣接車線に逸脱している場合)の回避幅の値は0とする。図6では左側回避幅Wlが0、右側回避幅Wrは正となる。そして、回避方向選択部15は、左側回避幅Wlが車幅Wv以下の場合は左側横移動禁止フラグを立て(1とし)、右側回避幅Wrが車幅Wv以下の場合は右側横移動禁止フラグを立てる。
但し、自車が車線を逸脱している(車線境界線を跨いでいる)ときは、逸脱方向への横移動は禁止せず、その方向の横移動禁止フラグをクリアする(0とする)。つまり、左側車両現在位置が左側車線境界線より左にある場合は左側移動禁止フラグをクリアし、右側車両現在位置が右側車線境界線より右にある場合は右側移動禁止フラグをクリアする。
ここで、通行不可領域と車線境界線の間隔から横移動禁止を判断しており、通行不可領域1と通行不可領域2の間隔Wo1は横移動禁止判断には使用していない。これは、通行不可領域が図4のように算出されるので、通行不可領域1,2の車幅方向の間隔Wo1は必ず車幅Wvより大きくなっていることによる。
なお、ステップS1で車線境界線が認識されなかった等により回避幅を算出できないときは、その(回避幅を算出できなかった)方向の横移動禁止フラグをクリアする(0とする)。
その後、ステップS6に移行する。
【0019】
ステップS6では、左右両側ともに横移動が禁止されているか否かを判断する。左右の横移動禁止フラグがどちらも1のときは、ステップS8に移行して減速による障害物回避を実行する。左右の横移動禁止フラグの少なくとも一方が0のときは、ステップS7に移行する。
【0020】
ステップS7では、横移動による障害物回避に必要な横方向の移動量(必要横移動量d)が閾値以上であるか否かを判断する。
まず、左側横移動量dlと右側横移動量drを算出する。図6に示すように、左側横移動量dlは右側車両軌跡から領域ACの左端までの横移動量の最大値であり、右側横移動量drは左側車両軌跡から領域ACの右端までの横移動量の最大値である。障害物回避に左側横移動が必要な場合は左側横移動量dlを正とし、障害物回避に左側横移動が不要な場合は左側横移動を0とする。右側についても同様である。図6の例では、左右の横移動量dl、drともに正となる。
【0021】
次に、図8のフローチャートに従って、左右の横移動量dl、drから必要横移動量dを求める。
ステップS71で、左右の横移動禁止フラグがどちらも0のときは、ステップS72に移行する。左右の横移動禁止フラグのどちらかが1のときは、ステップS73に移行する。
ステップS72で、左側横移動量dlと右側横移動量drの大小を比較し、左側横移動量dlが右側横移動量drより小さいときはステップS74に移行する。左側横移動量dlが右側横移動量dr以上のときはステップS75に移行する。
ステップS73で、左側横移動禁止フラグが0のときはステップS74に移行する。左側横移動禁止フラグが1のときはステップS75に移行する。
ステップS74では必要横移動量d=dlとし、ステップS75では必要横移動量d=−drとする。
次に、必要横移動量dの絶対値が閾値d*以上の場合はステップS8に移行し、減速による回避を実行する。必要横移動量dの絶対値が閾値d*より小さい場合はステップS9に移行する。閾値d*は、横移動による障害物回避時の横移動量が大きくなりすぎることを抑制するための上限値であって、例えば自車の車幅Wvとすることができる。
【0022】
ステップS9では、必要横移動量dが正の場合は左側横移動による障害物回避を実行し、必要横移動量dが負の場合は右側横移動による障害物回避を実行する。
以上が障害物回避制御の流れである。
【0023】
[実施例1の作用]
次に、装置1の作用を説明する。障害物回避の具体的な動作について例を挙げて説明する。なお、図3のステップS7の必要横移動量dの絶対値の閾値d*は、以下の説明では車幅Wvとするが、実験などで他の値に調整してもよい。
【0024】
まず、図9、図10のように前方車が自車前方を横切る場合の回避動作について説明する。図9は車線境界線が認識されている場合、図10は車線境界線が認識されていない場合である。
図9(a)では、車両予測位置が前方車の手前にあり、障害物回避は動作しない(図3のステップS1→S2→S3→S4→リターン)。そのまま自車と前方車が前進すると図9(b)のようになり、車両予測位置が前方車と重なるので、障害物回避が動作する(S1→S2→S3→S4→S5)。図9(b)では、前方車と右側車線境界線の間隔である右側回避幅Wrが車幅Wvより大きく、右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避を行う(S5→S6→S7→S9)。更に、自車と前方車が前進すると、図9(c)のようになる。図9(c)では、図9(b)での右側横移動による回避動作にも関わらず、前方車が右方向に前進したために、右側横移動量drは大きく減少していない。右側回避幅Wrが車幅Wr以下となり、減速による障害物回避が行われる(S5→S6→S8)。
【0025】
図10(a)では、図9(a)と同様に車両予測位置が前方車の手前にあり、障害物回避は動作しない。そのまま自車と前方車が前進すると図10(b)のようになり、車両予測位置が前方車と重なるので、障害物回避が動作する。図10(b)では、車線境界線が認識されていないので、右側横移動量drの大小によって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避が選択される(S5→S6→S7)。図10(b)では、右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避が行われる(S7→S8)。図10(b)での右側横移動による障害物回避動作にも関わらず、前方車の前進速度が大きい場合は、図10(c)のように右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)以上になった時点で減速による障害物回避動作が開始される(S7→S8)。
【0026】
次に、図11から図13のように障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作について説明する。
図11(a)で、左側の車線が認識されているとする。右側回避幅Wrが車幅Wv以下であるが、右側車両現在位置が右側車線境界線の外にある(自車が車線境界線を跨いで右側に車線を逸脱している)ので、右側横移動は禁止されない(S5→S6→S7)。また、右側横移動量drも閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避動作が行われる(S7→S9)。その後、図11(b)のように対向車が接近し、障害物1と対向車の間隔Woが車幅Wv以下となると、障害物1と対向車によって通行不可領域が算出され(S3)、領域ACに対して以下のように障害物回避動作が行われる。すなわち、図11(a)では左側の車線が認識されているとしたが、図11(b)では右側の車線が認識されているとすると、まず、右側回避幅Wrが車幅Wv以下なので、右側横移動は禁止される。更に、左側車両現在位置が左側車線境界線の外にあるので、左側回避幅によって左側横移動は禁止されないが、左側横移動量dlが閾値d*(車幅Wv)以上であるので、減速による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S7→S8)。
【0027】
図12(a)では、図11(a)と同様に右側横移動による障害物回避動作が行われる。その後、障害物1に対する回避動作終了後、対向車が接近して図12(b)のようになると、対向車横の左右の回避幅Wl,Wrがともに車幅Wv以下となり、減速による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S8)。
【0028】
また、図13(a)でも図11(a)、図12(a)と同様に右側横移動による障害物回避動作が行われる。その後、車線変更中に対向車が接近し、図13(b)のようになると、障害物1と対向車による通行不可領域の間隔Woは車幅Wvより大きいので、それぞれ別の通行不可領域となり、対向車に対する障害物回避動作が行われる。このとき、認識されている車線が右側だとすると、右側回避幅Wrが車幅Wv以下であるので、右側横移動が禁止される。また、左側車両現在位置が左側車線境界線の外にあるので、左側回避幅によっては左側横移動が禁止されず、左側横移動量dlが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、左側横移動による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S7→S9)。
【0029】
従来、車両前方の障害物の回避方法として、減速による回避と横移動による回避の二通りがある。例えば、特開平6−298022号公報に記載の装置は、減速による回避が可能な障害物までの距離を第1車間距離、横移動による回避が可能な障害物までの距離を第2車間距離とし、障害物までの距離が第1車間距離及び第2車間距離以下のときに減速によって障害物を回避することで、運転者が横移動によって障害物を回避しようとするときの不要な自動減速を抑制することを図っている。また、特許文献1に記載の装置は、車両前方の障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合には横移動による障害物の回避が不可能と判断することで、横移動による障害物回避を適切に選択することを図っている。しかし、特開平6−298022号公報に記載の技術では、減速と横移動の選択が車両運動のみに基づいているので、例えば障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合などでも横移動による回避が可能と判断され、自動減速が行われない場合がある。また、特許文献1に記載の技術によれば、自車が隣接車線に跨って走行している場合、車両が跨っている車線境界線と障害物との間の幅が自車幅より小さいときに横移動による障害物の回避が不可能と判断され、不要な自動減速が行われてしまうことも考えられる。
【0030】
これに対し、実施例1の装置は、自車前方の障害物と車線境界線との間隔Wl,Wrを左右両側について求め、その間隔が自車の幅Wv以下である方向への横移動による障害物回避を禁止する。但し、自車が隣接車線に跨って走行しているときは、はみ出している方向への横移動による障害物回避は禁止しない。よって、図11〜図13に示すように車線境界線を跨いで走行中に障害物を回避するような場面(例えば車線変更中)であっても、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択することができる。したがって、より適切に障害物を回避することができる。
また、実施例1の装置は、自車前方の障害物を横移動によって回避するときの横移動量dl,drを左右両側について求め、必要横移動量dが閾値d*以上となる方向への横移動による障害物回避を禁止する。よって、図10(c)、図11(b)に示すように、過度な横方向移動を抑制し、より適切に障害物を回避することができる。
また、実施例1の装置は、上記2つの条件のどちらかによって左右両側ともに横移動による障害物回避が禁止された場合は減速により障害物を回避し、横移動による障害物回避が左右どちらかで可能であれば、横移動により障害物を回避する。その際、横移動による障害物回避が左右どちらでも可能であれば、横移動量dl,drが小さい方向への回避を行う(図8のステップS72→S74又はS75→S9)。よって、より少ない横移動量で障害物を回避し、より効率的に障害物を回避することができる。
【0031】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の車両の障害物回避装置が奏する効果を列挙する。
(1)自車両前方の障害物を認識する障害物認識部11と、自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部12と、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔Wl,Wrを認識する間隔認識部14と、認識された間隔Wl,Wrが予め設定された自車両の幅Wv以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、間隔Wl,Wrが自車両の幅Wvより大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、自車両が認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる回避方向選択部15と、を備えた。
よって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択することができる。
【0032】
(2)回避方向選択部15は、間隔認識部14により認識された左右の間隔Wl,Wrがいずれも自車両の幅Wvより大きい場合には、横方向の移動量dl,drの小さな方向への障害物回避を許可する。
よって、より少ない横方向移動量で障害物を回避することができる。
【0033】
(3)回避方向選択部15は、横方向への障害物回避を許可した場合、算出される横方向の移動量dl,drが所定の閾値d*より大きいときは、横方向への障害物回避を行わずに車両を減速させる。
よって、過度な横方向移動を抑制することができる。
【0034】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、パワーステアリング装置は電動式に限らず、電動油圧式でもよい。また、車両にヨーモーメントを付与する手段としてのステアリング制御機構3又はブレーキ制御機構4は、実施例1のものに限定されず、例えばステア・バイ・ワイヤ式のステアリングシステムやブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキシステムを用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 前方認識センサ
2 車両運動検出センサ
3 ステアリング制御機構
4 ブレーキ制御機構
10 電子制御ユニット
11 障害物認識部
12 車線境界線認識部
13 接触判断部
14 間隔認識部
15 回避方向選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物に対する接触回避のための制御を行う車両の障害物回避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障害物回避装置による車両前方の障害物の回避方法として、減速による回避と横移動による回避の二通りがある。例えば、特許文献1に記載の装置では、車両前方の障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合には横移動による障害物の回避が不可能と判断し、減速による障害物の回避を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−299455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、自車が隣接車線に跨って走行しているような場合、自車が跨っている車線境界線と障害物の幅が自車幅より小さいときに横移動による障害物の回避が不可能と判断され、本来であれば不要な減速による障害物回避が自動的に行われてしまうおそれがある。本発明の目的とするところは、より適切に障害物を回避することができる車両の障害物回避装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の車両の障害物回避装置は、自車両が車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可する。
【発明の効果】
【0006】
よって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択し、より適切に障害物を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】障害物回避装置を搭載した車両のシステム構成図である。
【図2】電子制御ユニットの構成を示すブロック線図である。
【図3】障害物回避制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】障害物による通行不可領域を算出する方法を示す。
【図5】自車両の通行予測領域を算出する方法を示す。
【図6】自車両と障害物との接触可能性を判断し、必要横移動量を算出する方法を示す。
【図7】減速による障害物回避と横移動による障害物回避における、車速と回避距離との関係を示す特性図である。
【図8】必要横移動量を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】前方車が自車前方を横切る場合の回避動作を示す(車線境界線が認識されている場合)。
【図10】前方車が自車前方を横切る場合の回避動作を示す(車線境界線が認識されていない場合)。
【図11】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に必要横移動量が閾値以上である場合)。
【図12】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に回避幅が自車幅以下である場合)。
【図13】障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作を示す(対向車接近時に必要横移動量が閾値より小さい場合)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の車両の障害物回避装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
図1は、実施例1の障害物回避装置を搭載した車両のシステム構成を示す。車両は、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRを備えた4輪車であり、自車の前方を認識する前方認識センサ1、自車の運動状態を検出する車両運動検出センサ2、及び各センサ1,2が取得した情報に基づき走行支援するため各種アクチュエータ(ステアリング制御機構3、ブレーキ制御機構4)へ指令を出力する電子制御ユニット(電子制御装置ECU)10を備える。前方認識センサ1は、前方の車線境界線(白線等のレーンマーク)の位置、及び前方の障害物(駐車車両や対向車両、歩行者や自転車、ガードレールや縁石等の道路構造物)を認識する手段であり、例えば、(単眼やステレオの)カメラや(レーザやミリ波の)レーダ等を用いることができる。実施例1では、前方認識センサ1としてカメラを備える。車両運動検出センサ2は、車両挙動を示す各種情報、すなわち車両の速度、前後加速度、横加速度、ヨーレート、操舵角、操舵トルクなどを検出する。なお、前後加速度を検出するセンサの代わりに、検出された車両の速度を時間微分して前後加速度を推定してもよい。
【0010】
ステアリング制御機構3は、パワーステアリング装置31を備える。運転者(ドライバ)がステアリングホイール30を介して入力した操舵状態(操舵トルクや操舵角)に応じて転舵輪(左右前輪FL、FR)が操向される。パワーステアリング装置31は電動式であり、操舵状態に基づいてモータMを駆動し、運転者の操舵トルクを補助するアシストトルクを発生する。すなわち、運転者はステアリング制御機構3を介して車両の旋回を行う。パワーステアリング装置31は、運転者のステアリング操作とは関係なく、モータMによりトルクを発生し、転舵輪の転舵状態(転舵角や転舵トルク)を独立に制御可能に設けられている。ブレーキ制御機構4は、電動油圧ブレーキユニット42を備える。運転者のブレーキペダル40の踏力は、ブレーキブースタ41で倍力され、その力に応じた油圧がマスタシリンダにより発生する。発生した油圧は、電動油圧ブレーキユニット42を介して、ホイルシリンダ4FL〜4RRに供給される。これにより、運転者のブレーキペダル操作に応じて、各輪FL〜RRに制動力が発生する。すなわち、運転者はブレーキ制御機構4を介して車両の制動を行う。電動油圧ブレーキユニット42は、モータにより駆動されるポンプや電磁弁等のアクチュエータを有し、運転者のブレーキペダル操作とは関係なく、4輪FL〜RRの制動力(ホイルシリンダ4FL〜4RRへの供給油圧)を独立に制御可能に設けられている。なお、運転者のブレーキ操作によるマスタシリンダ圧によって車両を制動する際は、左右の制動力差はない。
【0011】
電子制御ユニット10は、前方認識センサ1及び車両運動検出センサ2から送信される情報ないし検出値の入力を受け、これらの情報に基づきステアリング制御機構3及びブレーキ制御機構4へ出力する指令値を演算する。電子制御ユニット10は、ステアリング制御機構3(パワーステアリング装置31)又はブレーキ制御機構4(電動油圧ブレーキユニット42)を制御し、転舵状態又は各輪のブレーキ力配分を調整することで、所望のヨーモーメントを車両に発生可能に設けられている。電子制御ユニット10は、車両の障害物回避装置を構成しており、前方認識センサ1が認識した障害物に車両が接触する可能性があるときは、減速又は横移動によって障害物を回避する障害物回避動作を行わせる。電子制御ユニット10は、減速によって障害物を回避する場合は、電動油圧ブレーキユニット42を駆動して、車両の4輪FL〜RRの左右の制動力に差を付けずに車両を減速させる。横移動によって障害物を回避する場合は、パワーステアリング装置31と電動油圧ブレーキユニット42の少なくとも1つを駆動し、車両にヨーモーメントを付与して障害物を回避する。電動油圧ブレーキユニット42によって車両にヨーモーメントを付与するときは、車両の4輪FL〜RRの左右の制動力に差を付けて車両にヨーモーメントを付与する。パワーステアリング装置31によって車両にヨーモーメントを付与するときは、パワーステアリング装置31は、運転者と障害物回避制御の両方の指令を受けるが、両者の和をとって駆動を行う。
【0012】
図2のブロック線図に示すように、電子制御ユニット10は、障害物回避装置を構成する各部として、障害物認識部11と、車線境界線認識部12と、接触判断部13と、間隔認識部14と、回避方向選択部15と、を備える。障害物認識部11は、前方認識センサ1からの情報に基づき、自車両前方の障害物の有無及びその位置を認識する。車線境界線認識部12は、前方認識センサ1からの情報に基づき、自車両前方(例えば自車両が走行している車線の左右両側)の車線境界線の有無及びその位置を認識する。接触判断部13は、車両運動検出センサ2からの検出値に基づき、現在から所定時間後までに車両が通行する領域を予測する。また、認識された障害物により通行が不可能な領域を算出する。そして、これら通行予測領域と通行不可領域に基づき、車両が障害物と接触する可能性があるか否かを判断する。間隔認識部14は、認識された障害物を横方向に回避するための余裕幅(空き幅)として、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔(回避幅Wl,Wr)を認識する。回避方向選択部15は、認識された間隔(回避幅Wl,Wr)の大きさや算出した必要な横方向の移動量、及び認識された車線境界線を跨いで自車両が走行しているか否かの判断等に基づき、横移動による障害物回避と減速による障害物回避のいずれを実行するかを選択する。
【0013】
以下、図3のフローチャートを用いて、本発明の障害物回避装置の処理について説明する。この制御フローは所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、障害物認識部11及び車線境界線認識部12が、車両運動検出センサ2から受信した車両の速度、前後加速度、横加速度、ヨーレート、操舵角、操舵トルクなどの車両運動状態の検出値を読み込む。また、前方認識センサ1から受信した車線境界線位置、障害物位置などの周辺環境情報を読み込む。図4に示すように、障害物の位置は車幅方向に平行な線分として認識され、車両からの奥行き方向での障害物の形状は不明である。その後、ステップS2に移行する。
【0014】
ステップS2からS4の処理では、接触判断部13が、車両が障害物と接触する可能性があるか否かを判断する。
ステップS2では、車両内部の任意の点、又は車両近傍の点を車両現在位置とする。車両現在位置は、後述するように左右の車線境界線との間で位置を比較するため、左右に2点設ける。実施例1では、図5に示すように、車両左前端と右前端を車両現在位置とする。そして、ステップS1で読み込んだ車両運動検出値と予め記憶されている車両諸元から、車両現在位置の所定時間後の位置を車両予測位置として算出する。車両予測位置は、速度、操舵角、ヨーレート、車両幅、車両長さ、カメラ取付け位置などから算出する。車両予測位置も、車両現在位置と同様、障害物との間で位置を比較するので、左右に2つ存在する。また、左右の車両現在位置から車両予測位置に至る軌跡を左右の車両軌跡とし、左右の車両現在位置を結ぶ線分と、左右の車両予測位置を結ぶ線分と、左右の車両軌跡で囲まれた領域を、図5に示すように通行予測領域とする。その後、ステップS3に移行する。
【0015】
ステップS3では、障害物による通行不可領域を算出する。図4に算出方法の一例を示す。障害物は車幅方向に平行な線分として認識されているが、車両からの奥行き方向の形状は不明なので、障害物の線分から奥行き方向は全て通行不可領域とする。図4の障害物1と障害物2による通行不可領域は重なる部分があるので、1つの通行不可領域1にまとめられる。また、障害物3と障害物4による通行不可領域の間の車幅方向の距離Wo2は車幅Wv以下であるので、障害物3と障害物4による通行不可領域に挟まれた領域Ao1も通行不可領域となり、それらが1つの通行不可領域2となる。一方、障害物2と障害物3による通行不可領域の間の車幅方向の距離Wo1は車幅Wvより大きいので、これらの通行不可領域1,2は別の領域として分けられる。その後、ステップS4に移行する。
【0016】
ステップS4では、車両が障害物と接触する可能性があるかを判断する。具体的には、通行予測領域の一部が通行不可領域に含まれる場合は、車両が障害物と接触する可能性があると判断する。図6に示す例では、通行予測領域内の領域AC1,AC2が通行不可領域に含まれているため、接触可能性があると判断する。このように車両が障害物と接触する可能性があると判断するとステップS5に移行し、可能性がないと判断するとリターンに移行する。
【0017】
ステップS4で車両が障害物と接触する可能性があると判断された場合は、回避方向選択部15が、ステップS5からS7の処理によって、ステップS8の減速による障害物回避とステップS9の横移動による障害物回避のいずれかを選択する。
ここで、車両周辺に前方の1つの障害物しかない場合に、その障害物を減速で回避する場合と横移動で回避する場合を考える。前提条件として、回避動作開始時点で車両は前後方向にある車速で走行しており、回避動作中の車両の減速度と横加速度が等しく、一定であるとする。減速による障害物回避の開始時から車両が停止するまでの車両の前後方向の移動距離を減速回避距離とし、横移動による障害物回避の開始時から障害物の回避に必要な横移動が終了するまでの車両前後方向の移動距離を横移動回避距離とする。回避動作開始時の車速に応じた回避距離は図7のような特性を示す。図7から、車速が低いときは減速による回避が有効であり、車速が高いときは横移動による回避が有効であることが分かる。例えば、減速回避距離と横移動回避距離が等しくなる車速をVthとすると、障害物回避装置が車速Vth以上で動作した場合、車両周辺に前方の1つの障害物しかないときは、減速回避距離よりも横移動回避距離のほうが小さくなるため、減速による回避よりも横移動による回避が有効である。なお、回避動作中の減速度と横加速度が小さく、横移動による回避に必要な横移動量が小さい場合は、車速Vthが低くなる。以下のステップS5からS9の説明では、このような前提で、減速による回避と横移動による回避を選択する。
なお、このような条件では、ステップS8の減速による障害物回避での加速度とステップS9の横移動による障害物回避での加速度を比較すると、減速による障害物回避のほうが加速度は大きくなり、運転者には強い制御として感じられる。
また、通行予測領域で通行不可領域に含まれる部分のうち、車両前後方向で最も車両側にある領域に対して逐次回避動作が行われる。例えば図6のような場合、通行予測領域内の領域AC1,AC2が通行不可領域に含まれており、ステップS4で車両が障害物と接触する可能性があると判断されるが、ステップS5からS9の処理は領域AC1に対する回避動作となる。領域AC1に対する回避動作として、ステップS5からS7によってステップS9の横移動による障害物回避が選択された場合は、引き続き領域AC2に対する回避動作が行われる。
【0018】
ステップS5では、まず、間隔認識部14が、回避動作の対象領域が含まれる通行不可領域の横の回避幅を算出する。図6に示す例では回避動作の対象領域がAC1なので、通行不可領域1の横の回避幅を算出する。具体的には、領域AC1を通行不可領域1内で車幅方向に最大限延長した領域を領域ACとし、領域ACの左端の線分と左側車線境界線との車幅方向の間隔の最小値を左側回避幅Wlとし、領域ACの右端の線分と右側車線境界線との車幅方向の間隔の最小値を右側回避幅Wrとする。回避幅がない場合(例えば自車が走行する車線から領域ACが隣接車線に逸脱している場合)の回避幅の値は0とする。図6では左側回避幅Wlが0、右側回避幅Wrは正となる。そして、回避方向選択部15は、左側回避幅Wlが車幅Wv以下の場合は左側横移動禁止フラグを立て(1とし)、右側回避幅Wrが車幅Wv以下の場合は右側横移動禁止フラグを立てる。
但し、自車が車線を逸脱している(車線境界線を跨いでいる)ときは、逸脱方向への横移動は禁止せず、その方向の横移動禁止フラグをクリアする(0とする)。つまり、左側車両現在位置が左側車線境界線より左にある場合は左側移動禁止フラグをクリアし、右側車両現在位置が右側車線境界線より右にある場合は右側移動禁止フラグをクリアする。
ここで、通行不可領域と車線境界線の間隔から横移動禁止を判断しており、通行不可領域1と通行不可領域2の間隔Wo1は横移動禁止判断には使用していない。これは、通行不可領域が図4のように算出されるので、通行不可領域1,2の車幅方向の間隔Wo1は必ず車幅Wvより大きくなっていることによる。
なお、ステップS1で車線境界線が認識されなかった等により回避幅を算出できないときは、その(回避幅を算出できなかった)方向の横移動禁止フラグをクリアする(0とする)。
その後、ステップS6に移行する。
【0019】
ステップS6では、左右両側ともに横移動が禁止されているか否かを判断する。左右の横移動禁止フラグがどちらも1のときは、ステップS8に移行して減速による障害物回避を実行する。左右の横移動禁止フラグの少なくとも一方が0のときは、ステップS7に移行する。
【0020】
ステップS7では、横移動による障害物回避に必要な横方向の移動量(必要横移動量d)が閾値以上であるか否かを判断する。
まず、左側横移動量dlと右側横移動量drを算出する。図6に示すように、左側横移動量dlは右側車両軌跡から領域ACの左端までの横移動量の最大値であり、右側横移動量drは左側車両軌跡から領域ACの右端までの横移動量の最大値である。障害物回避に左側横移動が必要な場合は左側横移動量dlを正とし、障害物回避に左側横移動が不要な場合は左側横移動を0とする。右側についても同様である。図6の例では、左右の横移動量dl、drともに正となる。
【0021】
次に、図8のフローチャートに従って、左右の横移動量dl、drから必要横移動量dを求める。
ステップS71で、左右の横移動禁止フラグがどちらも0のときは、ステップS72に移行する。左右の横移動禁止フラグのどちらかが1のときは、ステップS73に移行する。
ステップS72で、左側横移動量dlと右側横移動量drの大小を比較し、左側横移動量dlが右側横移動量drより小さいときはステップS74に移行する。左側横移動量dlが右側横移動量dr以上のときはステップS75に移行する。
ステップS73で、左側横移動禁止フラグが0のときはステップS74に移行する。左側横移動禁止フラグが1のときはステップS75に移行する。
ステップS74では必要横移動量d=dlとし、ステップS75では必要横移動量d=−drとする。
次に、必要横移動量dの絶対値が閾値d*以上の場合はステップS8に移行し、減速による回避を実行する。必要横移動量dの絶対値が閾値d*より小さい場合はステップS9に移行する。閾値d*は、横移動による障害物回避時の横移動量が大きくなりすぎることを抑制するための上限値であって、例えば自車の車幅Wvとすることができる。
【0022】
ステップS9では、必要横移動量dが正の場合は左側横移動による障害物回避を実行し、必要横移動量dが負の場合は右側横移動による障害物回避を実行する。
以上が障害物回避制御の流れである。
【0023】
[実施例1の作用]
次に、装置1の作用を説明する。障害物回避の具体的な動作について例を挙げて説明する。なお、図3のステップS7の必要横移動量dの絶対値の閾値d*は、以下の説明では車幅Wvとするが、実験などで他の値に調整してもよい。
【0024】
まず、図9、図10のように前方車が自車前方を横切る場合の回避動作について説明する。図9は車線境界線が認識されている場合、図10は車線境界線が認識されていない場合である。
図9(a)では、車両予測位置が前方車の手前にあり、障害物回避は動作しない(図3のステップS1→S2→S3→S4→リターン)。そのまま自車と前方車が前進すると図9(b)のようになり、車両予測位置が前方車と重なるので、障害物回避が動作する(S1→S2→S3→S4→S5)。図9(b)では、前方車と右側車線境界線の間隔である右側回避幅Wrが車幅Wvより大きく、右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避を行う(S5→S6→S7→S9)。更に、自車と前方車が前進すると、図9(c)のようになる。図9(c)では、図9(b)での右側横移動による回避動作にも関わらず、前方車が右方向に前進したために、右側横移動量drは大きく減少していない。右側回避幅Wrが車幅Wr以下となり、減速による障害物回避が行われる(S5→S6→S8)。
【0025】
図10(a)では、図9(a)と同様に車両予測位置が前方車の手前にあり、障害物回避は動作しない。そのまま自車と前方車が前進すると図10(b)のようになり、車両予測位置が前方車と重なるので、障害物回避が動作する。図10(b)では、車線境界線が認識されていないので、右側横移動量drの大小によって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避が選択される(S5→S6→S7)。図10(b)では、右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避が行われる(S7→S8)。図10(b)での右側横移動による障害物回避動作にも関わらず、前方車の前進速度が大きい場合は、図10(c)のように右側横移動量drが閾値d*(車幅Wv)以上になった時点で減速による障害物回避動作が開始される(S7→S8)。
【0026】
次に、図11から図13のように障害物回避開始後に対向車が接近したときの回避動作について説明する。
図11(a)で、左側の車線が認識されているとする。右側回避幅Wrが車幅Wv以下であるが、右側車両現在位置が右側車線境界線の外にある(自車が車線境界線を跨いで右側に車線を逸脱している)ので、右側横移動は禁止されない(S5→S6→S7)。また、右側横移動量drも閾値d*(車幅Wv)より小さいので、右側横移動による障害物回避動作が行われる(S7→S9)。その後、図11(b)のように対向車が接近し、障害物1と対向車の間隔Woが車幅Wv以下となると、障害物1と対向車によって通行不可領域が算出され(S3)、領域ACに対して以下のように障害物回避動作が行われる。すなわち、図11(a)では左側の車線が認識されているとしたが、図11(b)では右側の車線が認識されているとすると、まず、右側回避幅Wrが車幅Wv以下なので、右側横移動は禁止される。更に、左側車両現在位置が左側車線境界線の外にあるので、左側回避幅によって左側横移動は禁止されないが、左側横移動量dlが閾値d*(車幅Wv)以上であるので、減速による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S7→S8)。
【0027】
図12(a)では、図11(a)と同様に右側横移動による障害物回避動作が行われる。その後、障害物1に対する回避動作終了後、対向車が接近して図12(b)のようになると、対向車横の左右の回避幅Wl,Wrがともに車幅Wv以下となり、減速による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S8)。
【0028】
また、図13(a)でも図11(a)、図12(a)と同様に右側横移動による障害物回避動作が行われる。その後、車線変更中に対向車が接近し、図13(b)のようになると、障害物1と対向車による通行不可領域の間隔Woは車幅Wvより大きいので、それぞれ別の通行不可領域となり、対向車に対する障害物回避動作が行われる。このとき、認識されている車線が右側だとすると、右側回避幅Wrが車幅Wv以下であるので、右側横移動が禁止される。また、左側車両現在位置が左側車線境界線の外にあるので、左側回避幅によっては左側横移動が禁止されず、左側横移動量dlが閾値d*(車幅Wv)より小さいので、左側横移動による障害物回避動作が行われる(S5→S6→S7→S9)。
【0029】
従来、車両前方の障害物の回避方法として、減速による回避と横移動による回避の二通りがある。例えば、特開平6−298022号公報に記載の装置は、減速による回避が可能な障害物までの距離を第1車間距離、横移動による回避が可能な障害物までの距離を第2車間距離とし、障害物までの距離が第1車間距離及び第2車間距離以下のときに減速によって障害物を回避することで、運転者が横移動によって障害物を回避しようとするときの不要な自動減速を抑制することを図っている。また、特許文献1に記載の装置は、車両前方の障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合には横移動による障害物の回避が不可能と判断することで、横移動による障害物回避を適切に選択することを図っている。しかし、特開平6−298022号公報に記載の技術では、減速と横移動の選択が車両運動のみに基づいているので、例えば障害物横の空き幅が自車幅より小さい場合などでも横移動による回避が可能と判断され、自動減速が行われない場合がある。また、特許文献1に記載の技術によれば、自車が隣接車線に跨って走行している場合、車両が跨っている車線境界線と障害物との間の幅が自車幅より小さいときに横移動による障害物の回避が不可能と判断され、不要な自動減速が行われてしまうことも考えられる。
【0030】
これに対し、実施例1の装置は、自車前方の障害物と車線境界線との間隔Wl,Wrを左右両側について求め、その間隔が自車の幅Wv以下である方向への横移動による障害物回避を禁止する。但し、自車が隣接車線に跨って走行しているときは、はみ出している方向への横移動による障害物回避は禁止しない。よって、図11〜図13に示すように車線境界線を跨いで走行中に障害物を回避するような場面(例えば車線変更中)であっても、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択することができる。したがって、より適切に障害物を回避することができる。
また、実施例1の装置は、自車前方の障害物を横移動によって回避するときの横移動量dl,drを左右両側について求め、必要横移動量dが閾値d*以上となる方向への横移動による障害物回避を禁止する。よって、図10(c)、図11(b)に示すように、過度な横方向移動を抑制し、より適切に障害物を回避することができる。
また、実施例1の装置は、上記2つの条件のどちらかによって左右両側ともに横移動による障害物回避が禁止された場合は減速により障害物を回避し、横移動による障害物回避が左右どちらかで可能であれば、横移動により障害物を回避する。その際、横移動による障害物回避が左右どちらでも可能であれば、横移動量dl,drが小さい方向への回避を行う(図8のステップS72→S74又はS75→S9)。よって、より少ない横移動量で障害物を回避し、より効率的に障害物を回避することができる。
【0031】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の車両の障害物回避装置が奏する効果を列挙する。
(1)自車両前方の障害物を認識する障害物認識部11と、自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部12と、認識された障害物と認識された車線境界線との間隔Wl,Wrを認識する間隔認識部14と、認識された間隔Wl,Wrが予め設定された自車両の幅Wv以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、間隔Wl,Wrが自車両の幅Wvより大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、自車両が認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる回避方向選択部15と、を備えた。
よって、減速による障害物回避と横移動による障害物回避とを適切に選択することができる。
【0032】
(2)回避方向選択部15は、間隔認識部14により認識された左右の間隔Wl,Wrがいずれも自車両の幅Wvより大きい場合には、横方向の移動量dl,drの小さな方向への障害物回避を許可する。
よって、より少ない横方向移動量で障害物を回避することができる。
【0033】
(3)回避方向選択部15は、横方向への障害物回避を許可した場合、算出される横方向の移動量dl,drが所定の閾値d*より大きいときは、横方向への障害物回避を行わずに車両を減速させる。
よって、過度な横方向移動を抑制することができる。
【0034】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、パワーステアリング装置は電動式に限らず、電動油圧式でもよい。また、車両にヨーモーメントを付与する手段としてのステアリング制御機構3又はブレーキ制御機構4は、実施例1のものに限定されず、例えばステア・バイ・ワイヤ式のステアリングシステムやブレーキ・バイ・ワイヤ式のブレーキシステムを用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 前方認識センサ
2 車両運動検出センサ
3 ステアリング制御機構
4 ブレーキ制御機構
10 電子制御ユニット
11 障害物認識部
12 車線境界線認識部
13 接触判断部
14 間隔認識部
15 回避方向選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の障害物を認識する障害物認識部と、
自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部と、
前記認識された障害物と前記認識された車線境界線との間隔を認識する間隔認識部と、
前記認識された間隔が予め設定された自車両の幅以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、自車両の幅より大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、
自車両が前記認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、
前記横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる
回避方向選択部と、を備えた
ことを特徴とする車両の障害物回避装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の障害物回避装置において、
前記回避方向選択部は、前記間隔認識部により認識された左右の間隔がいずれも前記自車両の幅より大きい場合には、横方向の移動量の小さな方向への障害物回避を許可することを特徴とする車両の障害物回避装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の障害物回避装置において、
前記回避方向選択部は、前記横方向への障害物回避を許可した場合、算出される横方向の移動量が所定の閾値以上であるときは、前記横方向への障害物回避を行わずに車両を減速させることを特徴とする車両の障害物回避装置。
【請求項1】
自車両前方の障害物を認識する障害物認識部と、
自車両が走行している左右両側の車線の車線境界線を認識する車線境界線認識部と、
前記認識された障害物と前記認識された車線境界線との間隔を認識する間隔認識部と、
前記認識された間隔が予め設定された自車両の幅以下である方向への横方向への障害物回避を禁止し、自車両の幅より大きい方向への横方向への障害物回避を許可し、
自車両が前記認識された車線境界線を跨いで走行しているときには横方向への障害物回避を許可し、
前記横方向への障害物回避が禁止された場合には車両を減速させる
回避方向選択部と、を備えた
ことを特徴とする車両の障害物回避装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の障害物回避装置において、
前記回避方向選択部は、前記間隔認識部により認識された左右の間隔がいずれも前記自車両の幅より大きい場合には、横方向の移動量の小さな方向への障害物回避を許可することを特徴とする車両の障害物回避装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の障害物回避装置において、
前記回避方向選択部は、前記横方向への障害物回避を許可した場合、算出される横方向の移動量が所定の閾値以上であるときは、前記横方向への障害物回避を行わずに車両を減速させることを特徴とする車両の障害物回避装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−100064(P2013−100064A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246024(P2011−246024)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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