説明

車両及び車両のエンジン始動方法

【課題】低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させるとともに、装置の小型化を実現することのできる車両及び車両のエンジン始動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】エンジン温度、エンジンルーム温度、車外温度、エンジン冷却水温度、吸気室温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれ設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断し、エンジン始動の際においては、スタータ6及び第1電力変換装置9に駆動指令を出力し、スタータ6及び発電電動機2を作動させて、双方のトルクによりエンジン1を始動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に係り、特に、車両のエンジン始動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンスタータによるエンジン始動の他に、エンジンに接続された発電電動機の力行動作を利用してエンジンを始動させることの可能なハイブリッド車両が知られている。例えば、特許文献1には、冬季などの低温時において、エンジンオイルの粘度が高くなることにより、エンジンの始動に必要なクランキングトルクが所定値以上となった場合には、高電圧のメインバッテリを電源とする発電電動機のトルクによりエンジンを始動させ、エンジンの始動に必要なクランキングトルクが所定値未満である場合は、低電圧の補機バッテリを電源とするスタータによりエンジンを始動するハイブリッド車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−154741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されているようなハイブリッド車両では、低温時に発電電動機のトルクによってエンジンを始動させるため、低温時の始動トルクに合わせて発電電動機を設計しなければならず、発電電動機の寸法及び重量が大きくなり、車載性及び燃費が悪化してしまうという問題があった。
また、低温時には、バッテリの内部抵抗が上昇し、電圧低下が大きくなることから、バッテリの出力特性が低下してしまう。このため、低温時において、メインバッテリからエンジン始動に必要な電力が発電電動機に供給できず、エンジン始動が不可能となるおそれがあるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させるとともに、装置の小型化を実現することのできる車両及び車両のエンジン始動方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、低温時においてバッテリの出力特性が低下した場合でも、確実にエンジンを始動させることのできる車両及び車両のエンジン始動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられ、前記エンジンを始動する機能を有する発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段とを具備する車両のエンジン始動方法であって、エンジン温度、エンジンルーム温度、車外温度、エンジン冷却水温度、吸気室温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれ設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断し、前記エンジン始動の際に、前記スタータ及び前記第1電力変換手段に駆動指令を出力し、前記スタータ及び前記発電電動機を作動させる車両のエンジン始動方法を提供する。
【0007】
本発明によれば、低温始動であると判定した場合においては、スタータ及び発電電動機の両方により発生させたトルクによりエンジンを始動するので、確実にエンジンを始動させることができるとともに、スタータ及び発電電動機の定格を可及的に小さくすることができる。これにより、低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させることができるとともに、車両への搭載性を向上させることができる。
【0008】
本発明は、車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられ、前記エンジンを始動する機能を有する発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備する車両であって、前記制御手段は、エンジンオイル温度、エンジンルーム温度、車外温度、エンジン冷却水温度、吸気室温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれに対応して設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断し、前記エンジン始動の際に、前記スタータ及び前記第1電力変換手段に駆動指令を出力し、前記スタータ及び前記発電電動機を作動させる車両を提供する。
【0009】
本発明によれば、低温始動であると判定した場合においては、スタータ及び発電電動機の両方により発生させたトルクによりエンジンを始動するので、確実にエンジンを始動させることができるとともに、スタータ及び発電電動機の定格を可及的に小さくすることができる。これにより、低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させることができるとともに、車両への搭載性を向上させることができる。
【0010】
上記車両において、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第2バッテリの電力を前記第1バッテリ及び前記スタータへ供給可能とする第2電力変換手段を備え、前記制御手段は、低温始動であると判断した場合において、前記第1バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第1バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第2バッテリの電力を前記スタータに供給することにより、前記スタータを作動させることとしてもよい。
【0011】
上記構成によれば、第1バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしておらず、スタータを駆動できないと判断された場合には、第2電力変換手段を作動させて、第2バッテリからスタータに電力を供給するので、第1バッテリの充電量が足りない場合であっても、スタータ及び発電電動機の双方を駆動することができ、双方からのトルクによるエンジン始動を確実に行うことができる。これにより、エンジン始動の信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0012】
上記車両において、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第1バッテリの電力を前記第2バッテリ側へ供給可能とする第2電力変換手段を備え、前記制御手段は、前記低温始動であると判定した場合において、前記第2バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第2バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第1バッテリの電力を前記発電電動機に供給することにより、前記発電電動機を作動させることとしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしておらず、発電電動機を駆動できないと判断された場合には、第2電力変換手段を作動させて、第1バッテリから発電電動機に電力を供給するので、第2バッテリの充電量が足りない場合であっても、スタータ及び発電電動機の双方を駆動することができ、双方からのトルクによるエンジン始動を確実に行うことができる。これにより、エンジン始動の信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0014】
上記車両において、前記制御手段は、エンジン停止命令が入力された場合において、前記第1バッテリが前記始動可能条件を満たしていないときには、前記第1電力変換手段及び前記第2電力変換手段を作動させて前記第1バッテリを充電させた後に、前記エンジンを停止させることとしてもよい。
【0015】
上記構成によれば、エンジンを停止する際に、第1バッテリが始動可能条件を満たしていない場合には、第1バッテリを充電させた後にエンジンを停止させるので、次回のエンジン始動において、第1バッテリからの電力供給によりスタータを確実に駆動させることができる。
【0016】
上記車両において、前記制御手段は、エンジン停止命令が入力された場合において、前記第2バッテリが前記始動可能条件を満たしていないときには、前記第1電力変換手段を作動させて前記第2バッテリを充電させた後に、前記エンジンを停止させることとしてもよい。
【0017】
上記構成によれば、エンジンを停止する際に、第2バッテリが始動可能条件を満たしていない場合には、第2バッテリを充電させた後にエンジンを停止させるので、次回のエンジン始動において、第2バッテリからの電力供給により発電電動機を確実に駆動させることができる。
【0018】
本発明は、車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられた発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備し、前記エンジン始動時においては、前記第1バッテリからの電力供給により前記スタータを作動させ、そのトルクでエンジンを始動させるように設定されている車両であって、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第2バッテリの電力を前記第1バッテリ及び前記スタータへ供給可能とする第2電力変換手段を備え、前記制御手段は、エンジン始動時において、前記第1バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第1バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第2バッテリの電力を前記スタータに供給することにより、前記スタータを作動させる車両を提供する。
【0019】
本発明によれば、エンジン始動時において、第1バッテリの充電状態が始動可能条件を満たしていない場合には、第2電力変換手段を作動させて、第2バッテリの電力をスタータに供給するので、スタータの通常の電源として用いられる第1バッテリの充電量が不足している場合でも、確実にスタータを作動させて、エンジンを始動させることが可能となる。
【0020】
本発明は、車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられた発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備し、前記エンジン始動時においては、前記第2バッテリからの電力供給により前記発電電動機を作動させ、そのトルクでエンジンを始動させるように設定されている車両であって、前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第1バッテリの電力を前記第2バッテリ側へ供給可能とする第2電力供給手段を備え、前記制御手段は、エンジン始動時において、前記第2バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判定し、前記第2バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判定した場合に、前記第2電力供給手段を作動させ、前記第2電力供給手段を介して前記第1バッテリの電力を前記発電電動機に供給することにより、前記発電電動機を作動させる車両を提供する。
【0021】
本発明によれば、エンジン始動時において、第2バッテリの充電状態が始動可能条件を満たしていない場合には、第2電力供給手段を作動させて、第1バッテリの電力を発電電動機に供給するので、発電電動機の通常の電源として用いられる第2バッテリの充電量が不足している場合でも、確実に発電電動機を作動させて、エンジンを始動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させるとともに、装置の小型化を実現することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、低温時においてバッテリの出力特性が低下した場合でも、確実にエンジンを始動させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両においてエンジン始動に関連する主な構成を示した図である。
【図2】低温作動時と非低温作動時におけるトルク−回転数テーブルを比較して示した図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る車両においてエンジン始動に関連する主な構成を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車両のエンジン始動時における制御フローを示した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る車両のエンジン停止時における制御フローの一例を示した図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る車両のエンジン始動時における制御フローの一例を示した図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る車両のエンジン始動時における制御フローの一例を示した図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の他の例に係る車両のエンジン始動に関連する主な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る車両のエンジン始動方法及び車両について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態においては、ハイブリッド車両を例に挙げて説明するが、これに限定されず、例えば、クレーンなどの大型補機を駆動させるための高圧バッテリを搭載した大型車両において、後述するエンジン始動方法を適用することとしてもよい。
【0025】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の第1の実施形態に係る車両においてエンジン始動に関係する主な構成を示した図である。図1に示すように、車両は、ハイブリッド車両であり、駆動力源としてエンジン1と、発電電動機2とを備えている。発電電動機2は、エンジン1の動力を車輪3に伝達する動力伝達経路4に設けられている。また、動力伝達経路4において発電電動機2と車輪3との間にはトランスミッション5が設けられている。
【0026】
エンジン1には、スタータ6及びエンジンオイルの温度を計測する温度センサ7が設けられている。スタータ6には、公知の直流モータが使用されており、スタータ6から出力されたトルクがエンジン1のフライホイールに伝達されてエンジン1が始動するようになっている。スタータ6は、低圧バッテリ(第1バッテリ)8からの電力供給を受けて作動する。低圧バッテリ8は、例えば、24V型のバッテリであり、車載の補機(電力負荷)及びスタータ6に電力を供給する。
【0027】
発電電動機2は、例えば、永久磁石を有するロータと、コイルが巻きつけられたステータとを備え、コイルに流れる電流を制御することにより、トルクを制御することができる。発電電動機2は、車両の走行時においては、高圧バッテリ(第2バッテリ)10からの電力供給により力行動作を行い、動力を車輪3に伝達して車両を走行させる。また、発電電動機2は、車両の減速時においては、回生動作を行うことにより発電し、発電電力が高圧バッテリ10に蓄えられる。また、発電電動機2は、エンジン始動時においては、力行動作を行い、発生したトルクをエンジン1に供給し、エンジン1を始動させる。発電電動機2と高圧バッテリ10との間には第1電力変換装置9が設けられている。
【0028】
第1電力変換装置9は、例えば、3相ブリッジ回路を備える双方向インバータであり、発電電動機2の力行動作時においては、高圧バッテリ10からの直流電力を3相交流電力に変換して発電電動機2に供給するとともに、発電電動機2の回生動作時においては、発電により得た3相交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ10に供給する。第1電力変換装置9のブリッジ回路のスイッチングを制御することにより、発電電動機2のトルクや回転数が制御される。高圧バッテリ10は、例えば、定格電圧が約300Vに設定されている。
【0029】
温度センサ7によって計測されたエンジンオイル温度、スタータキー11が操作されることによるエンジン始動指令などの情報は、制御装置12aに入力されるようになっている。
制御装置12aは、例えば、中央演算処理装置(CPU)、主記憶装置、補助記憶装置、及び入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0030】
このような構成を備えるハイブリッド車両において、エンジン1の始動時には以下のような制御が制御装置12aにより行われる。
まず、運転手によりスタータキー11が「ACC(アクセサリ)」の位置に操作されると、制御装置12aが起動する。続いて、制御装置12aは、温度センサ7から通知されるエンジンオイル温度が予め決められている所定の低温閾値以下であるか否かを判定する。この結果、エンジンオイル温度が低温閾値以下であった場合には、低温作動が必要であると判断する。
【0031】
続いて、運転手によりスタータキーが更に操作されオン状態にされることにより、エンジン始動指令が制御装置12aに入力されると、制御装置12aは、スタータ6及び第1電力変換装置9に対して駆動指令を出力する。これにより、スタータ6は低圧バッテリ8からの電力により作動し、また、第1電力変換装置9が駆動することにより、高圧バッテリ10から発電電動機2に電力が供給され、発電電動機2が作動する。そして、スタータ6によるトルク及び発電電動機2によるトルクによりエンジン1が始動する。
【0032】
エンジン始動後においては、制御装置12aは、図2に点線で示されるトルク−回転数テーブルに従って発電電動機2をトルク制御するためのトルク指令を第1電力変換装置9に出力し、また、スタータ6については、エンジン1の回転数が所定回転数に達したところで作動を停止する旨の指令を出力する。これにより、エンジン始動から徐々に走行へと制御が移行する。なお、図2において、点線は低温作動時におけるトルク指令、実線は非低温作動時におけるトルク指令を示している。このように、低温作動時においては、非低温作動時に比べてエンジン始動時に必要とされるトルクが約3倍に設定される。
【0033】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る車両及び車両のエンジン始動方法によれば、低温時であって、エンジン始動に必要なトルクが増大する場合においては、スタータ6及び発電電動機2の両方により発生させたトルクによりエンジン1を始動するので、確実にエンジン1を始動させることができるとともに、スタータ6及び発電電動機2の定格を可及的に小さくすることができる。これにより、低温時におけるエンジン始動の信頼性を向上させることができるとともに、車両への搭載性を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、エンジンオイルの温度に基づいて低温作動か否かを判断していたが、これに代えて、例えば、エンジンオイル温度、エンジン温度(例えば、エンジンの外周部分、より具体的にはエンジンのケーシングの温度)、エンジンルーム温度、車外温度、エンジンの冷却水温度、過給機のコンプレッサー出口とシリンダヘッドとを接続している吸気室の温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれに対応して設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断することとしてもよい。
【0035】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態の車両及び車両のエンジン始動方法が第2の実施形態と異なる点は、図3に示すように、高圧バッテリ10と低圧バッテリ8とを接続し、その接続線上に第2電力変換装置13を設けた点である。以下、本実施形態の車両及び車両のエンジン始動方法について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0036】
図3に示すように、高圧バッテリ10と低圧バッテリ8とを接続する接続線上には、第2電力変換装置13が設けられている。第2電力変換装置13は、例えば、双方向性のDC/DCコンバータであり、高圧バッテリ10の電圧を降圧して低圧バッテリ側へ供給するとともに、低圧バッテリ8の電圧を昇圧して高圧バッテリ10側へ供給する。これにより、低圧バッテリ8の充電率が少なくなった場合には、高圧バッテリ10に蓄電されている電力を低圧バッテリ8や低圧バッテリ8に接続されている電力負荷やスタータ6へ供給することができ、同様に、高圧バッテリ10の充電率が少なくなった場合には、低圧バッテリ8に蓄電されている電力を高圧バッテリ10及び高圧バッテリ10に接続されている電力負荷に供給できるとともに、第1電力変換装置9を介して発電電動機2に供給することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態では、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10の充電率情報が制御装置12bに入力される構成とされている。充電率情報の一例としては、例えば、残容量情報(SOC)、端子間電圧などが挙げられる。一般的に、ハイブリッド車両においては、高圧バッテリ10について専用の制御装置が設けられ、高圧バッテリの残容量(SOC)など充電状態に関する詳細情報が専用の制御装置により監視されるようになっている。したがって、このような専用の制御装置(図示略)と制御装置12bとが通信を行うことにより、制御装置12bが高圧バッテリ10のSOC情報を充電率情報として取得する。
【0038】
また、低圧バッテリ8については、定格電圧が24V程度と低いため、高圧バッテリ10のような高度な制御は必要とされず、専用の制御装置が設けられていないことが多い。従って、低圧バッテリ8に関しては、例えば、端子間電圧を検出する電圧センサ(図示略)を設け、この電圧センサによって計測されたセンサ値を充電率情報として制御装置12bに出力する。なお、高圧バッテリ10及び低圧バッテリにおける充電率情報を取得する方法は、このような方法に限定されず、高圧バッテリと低圧バッテリの充電率が制御装置12bに通知される方法であれば手法は問わない。
【0039】
次に、本実施形態に係る制御装置12bの処理手順について、図4に示したフローチャートを用いて説明する。
まず、運転手によりスタータキー11が「ACC(アクセサリ)」の位置に操作されると、エンジン装置12bが起動する(ステップSA1)。続いて、制御装置12bは温度センサ7から入力されるエンジンオイル温度が低温閾値以下であるか否かを判定する(ステップSA2)。この結果、エンジンオイル温度が低温閾値以下であった場合には(ステップSA2において「YES」)、続いて、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10の充電状態が予めそれぞれに対応して設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判定する(ステップSA3)。
【0040】
具体的には、低圧バッテリ8においては、電圧センサから入力される端子間電圧が予め設定されている電圧閾値以上であるか否かを判定する。ここで、電圧閾値は、スタータ6を駆動するのに必要となる電力に相当する電圧値以上に設定されている。また、高圧バッテリ10においては、専用の制御装置から入力される残容量(SOC)が予め設定されているSOC閾値以上であるか否かを判定する。ここで、SOC閾値は、発電電動機2がエンジン始動に必要とされるトルクを出力するのに必要となる電力に相当する残容量以上に設定されている。
【0041】
この結果、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしておらず、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしていると判断した場合には(ステップSA3において「低圧バッテリNG,高圧バッテリOK」)、第2電力変換装置13に対して駆動指令を出力し、高圧バッテリ10の電圧を降圧して低圧バッテリ側に供給可能とする(ステップSA4)。また、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしておらず、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていると判断した場合には(ステップSA3において「低圧バッテリOK,高圧バッテリNG」)、第2電力変換装置13に対して駆動指令を出力し、低圧バッテリ8の電圧を昇圧して高圧バッテリ側に供給可能とする(ステップSA5)。また、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10のいずれも始動可能条件を満たしていると判断した場合は(ステップSA3において「低圧バッテリOK,高圧バッテリOK」)、第2電力変換装置13に対して駆動指令を出力せずに、ステップSA6に進む。
【0042】
続いて、運転手によりスタータキーが「ON」の位置に操作され、エンジン始動指令が制御装置12bに入力されると(ステップSA6において「YES」)、制御装置12bは、スタータ6及び第1電力変換装置9に対して駆動指令を出力する(ステップSA7)。これにより、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていない場合には、高圧バッテリ10からの電力供給を受けてスタータ6が駆動され、また、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしていない場合には低圧バッテリ8からの電力供給を受けて第1電力変換装置9を介して発電電動機2が駆動されることになる。そして、駆動されたスタータ6及び発電電動機2により発生されたトルクによりエンジン1が始動される。
なお、ステップSA2において、エンジンオイル温度が低温閾値を超えていると判定された場合には、ステップSA8に移行し、非低温時におけるエンジン始動制御が行われる。
【0043】
以上説明してきたように、本実施形態に係る車両及び車両のエンジン始動方法によれば、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10のうち、いずれか一方のバッテリの残容量が低下しており、スタータ6または発電電動機2を駆動できないと判断された場合であっても、第2電力変換装置13を作動させて、他方のバッテリから電力供給を補助するので、スタータ6及び発電電動機2を駆動することができ、双方からのトルクによるエンジン始動を確実に行うことができる。これにより、エンジン始動の信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0044】
また、第2の実施形態において、エンジン停止時には、制御装置12bが図5に示すような制御フローに従って処理を行うことにより、次回のエンジン始動に備えることとしてもよい。
【0045】
まず、スタータキー11が操作されることにより、エンジン停止指令が制御装置12bに入力されると、制御装置12bは、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10の充電状態が始動可能条件を満たしているか否かを判定する(ステップSB1)。この結果、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていないと判定した場合には(ステップSB1において「低圧バッテリNG」)、第1電力変換装置9及び第2電力変換装置13を作動させる(ステップSB2)。この結果、エンジンの回転力により発電電動機2が発電し、発電電力が第1電力変換装置9および第2電力変換装置13を介して低圧バッテリ8に供給され、低圧バッテリ8が充電される。
【0046】
また、上記ステップSB1において、高圧バッテリ10の充電状態が始動可能条件を満たしていないと判定した場合には(ステップSB1において「高圧バッテリNG」)、第1電力変換装置9を作動させる(ステップSB3)。この結果、発電電動機2による発電電力が第1電力変換装置9を介して高圧バッテリ10に供給され、高圧バッテリ10が充電される。そして、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10の双方の充電状態が始動可能条件を満たすと(ステップSB4において「YES」)、制御装置12bは、エンジンを停止させる(ステップSB5)。なお、上記ステップSB1において、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10のいずれも始動可能条件を満たしていると判定した場合には、上述した充電作業は行わずに、ステップSB5に進み、エンジンを停止させる。
【0047】
以上、説明してきたように、エンジン停止指令がスタータキー11から入力された場合には、制御装置12bは、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10の双方について、次回のエンジン始動が可能な状態にあるか否かを確認し、充電状態が不足している場合には、充電を行ってからエンジン1を停止させるので、次回のエンジン始動において、スタータ6及び発電電動機2を確実に駆動させることができる。また、このように、エンジン停止時において、低圧バッテリ8及び高圧バッテリ10を十分に充電しておくことにより、次回のエンジン始動時において、第2電力変換装置13を介して、低圧バッテリ8から高圧バッテリ10へ、または、高圧バッテリ10から低圧バッテリ8への電力供給が不要となる。これにより、第2電力変換装置13の利用をエンジン停止時における低圧バッテリ8の充電に限定することができ、電流の流れを高圧バッテリ側から低圧バッテリ側への一方向へ限ることができる。この結果、第2電力変換装置13においては降圧の機能のみを設ければ足りることとなり、第2電力変換装置13の小型化を図ることができ、搭載性を更に向上させることが可能となる。
【0048】
〔第3の実施形態〕
上述の第1及び第2の実施形態においては、エンジンの低温作動時において、スタータ6及び発電電動機2の両方のトルクを用いてエンジン1を始動させる場合について説明したが、本実施形態に係る車両及び車両のエンジン始動方法では、スタータ6及び発電電動機2のいずれか一方のトルクによりエンジン1を始動させる。具体的には、エンジン始動に用いられる機構及びエンジン始動の際にメインに使用されるバッテリを予め設定しておき、メインに使用されるバッテリの充電率が不足する場合に他方のバッテリからの電力供給を受けるようにしている。
【0049】
以下、本実施形態の車両及び車両のエンジン始動方法について、第2の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。また、本実施形態に係る車両の機械的構成については、図3に示した第2の実施形態に係る車両と同じであるため、図3を引用して説明する。
【0050】
≪スタータ及び低圧バッテリが設定されている場合≫
例えば、エンジン始動に用いられる機構としてスタータ6が、エンジン始動時にメインに用いられるバッテリとして低圧バッテリ8が設定されていた場合、制御装置12bは、図6に示すフローチャートに従ってエンジン始動の制御を行う。
まず、運転手によりスタータキー11が「ACC(アクセサリ)」の位置に操作されると、制御装置12bが起動する(ステップSC1)。続いて、制御装置12bは温度センサ7から入力されるエンジンオイル温度が低温閾値以下であるか否かを判定する(ステップSC2)。この結果、エンジンオイル温度が低温閾値以下であった場合には(ステップSC2において「YES」)、続いて、メインに使用される低圧バッテリ8の充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判定する(ステップSC3)。
【0051】
この結果、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていなかった場合には(ステップSC3において「低圧バッテリNG」)、第2電力変換装置13に対して駆動指令を出力する(ステップSC4)。これにより、高圧バッテリ10の電圧が第2電力変換装置13によって降圧されて、低圧バッテリ側に供給されることとなる。一方、上記ステップSC3において、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしている場合には(ステップSC3において「低圧バッテリOK」)、第2電力変換装置13を作動させずにステップSC5に進む。
【0052】
続いて、運転手によりスタータキーが「ON」の位置に操作され、エンジン始動指令が制御装置12bに入力されると(ステップSC5において「YES」)、制御装置12bは、スタータ6に対して駆動指令を出力する(ステップSC6)。これにより、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていない場合には、高圧バッテリ10からの電力供給を受けてスタータ6が駆動され、また、低圧バッテリ8が始動可能条件を満たしていた場合には、第2電力変換装置13が作動されることなく、低圧バッテリ8からの電力供給によりスタータ6が駆動される。そして、駆動されたスタータ6からのトルクによりエンジン1が始動される。
なお、ステップSC2において、エンジンオイル温度が低温閾値を超えていると判定された場合には、ステップSC7に移行し、非低温時におけるエンジン始動制御が行われる。
【0053】
≪発電電動機及び高圧バッテリが設定されている場合≫
次に、エンジン始動に用いられる機構として発電電動機が、エンジン始動時にメインに用いられるバッテリとして高圧バッテリが設定されていた場合、制御装置12bは、図7に示すフローチャートに従ってエンジン始動の制御を行う。
まず、運転手によりスタータキー11が「ACC(アクセサリ)」の位置に操作されると、制御装置12bが起動する(ステップSD1)。続いて、制御装置12bは温度センサ7から入力されるエンジンオイル温度が低温閾値以下であるか否かを判定する(ステップSD2)。この結果、エンジンオイル温度が低温閾値以下であった場合には(ステップSD2において「YES」)、続いて、メインに使用される高圧バッテリ10の充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判定する(ステップSD3)。
【0054】
この結果、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしていなかった場合には(ステップSD3において「高圧バッテリNG」)、第2電力変換装置(第2電力供給手段)13に対して駆動指令を出力する(ステップSD4)。これにより、低圧バッテリ8の電圧が第2電力変換装置13によって昇圧されて、高圧バッテリ側に供給されることとなる。一方、上記ステップSD3において、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしている場合には(ステップSD3において「高圧バッテリOK」)、第2電力変換装置13を作動させずにステップSD5に進む。
【0055】
続いて、運転手によりスタータキーが「ON」の位置に操作され、エンジン始動指令が制御装置12bに入力されると(ステップSD5において「YES」)、制御装置12bは、第1電力変換装置9に対して駆動指令を出力する。これにより、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしていない場合には、低圧バッテリ8からの電力供給を受けて発電電動機2が駆動され、また、高圧バッテリ10が始動可能条件を満たしていた場合には、第2電力変換装置13が作動されることなく、高圧バッテリ10からの電力供給により発電電動機2が駆動される(ステップSD6)。そして、駆動された発電電動機2により発生されたトルクによりエンジンが始動される。
なお、ステップSD2において、エンジンオイル温度が低温閾値を超えていると判定された場合には、ステップSD7に移行し、非低温時におけるエンジン始動制御が行われる。
【0056】
以上説明してきたように、本実施形態に係る車両及び車両のエンジン始動方法によれば、エンジン始動に用いる機構をスタータ6及び発電電動機2のいずれか一方に予め決めるとともに、メインに使用するバッテリについても予め定めておき、エンジン始動時においては、メインに使用するバッテリの充電状態が始動可能条件を満たしていない場合に、第2電力変換装置13を作動させて、他方のバッテリからの電力供給を可能とする。これにより、メインに使用するバッテリの充電状態が不足している場合であっても、確実にスタータ6または発電電動機2を駆動して、エンジン1を始動させることが可能となる。更に、エンジン始動に用いる機構及びメインに用いるバッテリを予め定めておくことで、第2電力変換装置13における電流の向きを一方向に限定することができる。これにより、第2電力変換装置13の構成の簡素化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態において、エンジン始動に用いられる機構として発電電動機2が、エンジン始動時にメインに用いられるバッテリとして高圧バッテリ10が設定されている場合には、第2電力変換装置13に代えて、図8に示すように、低圧バッテリ8と高圧バッテリ10とを接続する接続線上に、接続を接続/遮断するためのスイッチング素子15と、電流の流れを低圧バッテリ側から高圧バッテリ側へ制限するためのダイオード16とからなる回路(第2電力供給手段)を設けることとしてもよい。そして、高圧バッテリ10の充電状態が始動可能条件を満たしていない場合には、スイッチング素子15をオン状態として低圧バッテリ側と高圧バッテリ側とを接続することにより、低圧バッテリ8から発電電動機2への電力供給を可能とし、発電電動機2によるエンジン始動を実現することとしても良い。このように、スイッチング素子15とダイオード1による回路を用いることで構成をより簡素化することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 エンジン
2 発電電動機
3 車輪
4 動力伝達経路
5 トランスミッション
6 スタータ
7 温度センサ
8 低圧バッテリ
9 第1電力変換装置
10 高圧バッテリ
11 スタータキー
12a,12b 制御装置
13 第2電力変換装置
15 スイッチング素子
16 ダイオード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられ、前記エンジンを始動する機能を有する発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段とを具備する車両のエンジン始動方法であって、
エンジン温度、エンジンルーム温度、車外温度、エンジン冷却水温度、吸気室温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれ設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断し、前記エンジン始動の際に、前記スタータ及び前記第1電力変換手段に駆動指令を出力し、前記スタータ及び前記発電電動機を作動させる車両のエンジン始動方法。
【請求項2】
車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられ、前記エンジンを始動する機能を有する発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備する車両であって、
前記制御手段は、エンジンオイル温度、エンジンルーム温度、車外温度、エンジン冷却水温度、吸気室温度の少なくともいずれか一つが予めそれぞれに対応して設定されている低温閾値以下である場合に低温始動と判断し、前記エンジン始動の際に、前記スタータ及び前記第1電力変換手段に駆動指令を出力し、前記スタータ及び前記発電電動機を作動させる車両。
【請求項3】
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第2バッテリの電力を前記第1バッテリ及び前記スタータへ供給可能とする第2電力変換手段を備え、
前記制御手段は、低温始動であると判断した場合において、前記第1バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第1バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第2バッテリの電力を前記スタータに供給することにより、前記スタータを作動させる請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第1バッテリの電力を前記第2バッテリ側へ供給可能とする第2電力変換手段を備え、
前記制御手段は、前記低温始動であると判定した場合において、前記第2バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第2バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第1バッテリの電力を前記発電電動機に供給することにより、前記発電電動機を作動させる請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記制御手段は、エンジン停止命令が入力された場合において、前記第1バッテリが前記始動可能条件を満たしていないときには、前記第1電力変換手段及び前記第2電力変換手段を作動させて前記第1バッテリを充電させた後に、前記エンジンを停止させる請求項3または請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記制御手段は、エンジン停止命令が入力された場合において、前記第2バッテリが前記始動可能条件を満たしていないときには、前記第1電力変換手段を作動させて前記第2バッテリを充電させた後に、前記エンジンを停止させる請求項3または請求項4に記載の車両。
【請求項7】
車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられた発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備し、前記エンジン始動時においては、前記第1バッテリからの電力供給により前記スタータを作動させ、そのトルクでエンジンを始動させるように設定されている車両であって、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第2バッテリの電力を前記第1バッテリ及び前記スタータへ供給可能とする第2電力変換手段を備え、
前記制御手段は、エンジン始動時において、前記第1バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判断し、前記第1バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判断した場合に、前記第2電力変換手段を作動させ、前記第2電力変換手段を介して前記第2バッテリの電力を前記スタータに供給することにより、前記スタータを作動させる車両。
【請求項8】
車輪に動力を伝達するエンジンと、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの動力を車輪に伝達する動力伝達経路に設けられた発電電動機と、前記スタータに電力を供給する第1バッテリと、前記発電電動機に電力を供給する第2バッテリと、前記発電電動機と前記第2バッテリとの間に設けられた第1電力変換手段と、制御手段とを具備し、前記エンジン始動時においては、前記第2バッテリからの電力供給により前記発電電動機を作動させ、そのトルクでエンジンを始動させるように設定されている車両であって、
前記第1バッテリと前記第2バッテリとの間に設けられ、前記第1バッテリの電力を前記第2バッテリ側へ供給可能とする第2電力供給手段を備え、
前記制御手段は、エンジン始動時において、前記第2バッテリの充電状態が予め設定されている始動可能条件を満たしているか否かを判定し、前記第2バッテリの充電状態が前記始動可能条件を満たしていないと判定した場合に、前記第2電力供給手段を作動させ、前記第2電力供給手段を介して前記第1バッテリの電力を前記発電電動機に供給することにより、前記発電電動機を作動させる車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−111267(P2012−111267A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259514(P2010−259514)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】