説明

車両情報提供装置

【課題】ユーザごとに適切な情報を選択して提供すること。
【解決手段】情報提供必要性判定部11は、保守情報管理部12、ナビゲーションシステム4、道路情報収集装置41、燃料計42、セキュリティシステム43、シートセンサ44、変速機構45、エンジンECU46および空気圧センサ47の出力に基づいて、ユーザに対して情報提供が必要であるか否かの判定を行なう。その結果、情報提供が必要であると判定された場合に、車両習熟度判定部12がユーザの自車両に対する車両習熟度と、各機能に設定された基準車両習熟度とを比較し、その結果に基づいて情報提供を実行するか否か、実行する場合にはそのタイミング、さらに提供する情報の内容を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自車両の操作方法に関する情報を提供する車両情報提供装置に関し、特に運転者にとって必要な情報を自動的に選択して提供する車両情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にはその仕様や装備、操作方法を説明する取扱説明書があり、この取扱説明書は新規に車両を購入したユーザやレンタカーのユーザにとっては重要な情報源となる。しかし、記録媒体が紙であることや車両によってはページ数が多いことなどが、使用者による取扱説明書の精読を困難にしている。
【0003】
特に近年は電動ドアミラーやパワーウインドウなど車両装備の電子化がすすみ、また、カーナビゲーションシステムをはじめとする多様な車載装置が搭載されることで、取扱説明書などユーザへの提供が必要な情報が増大している。さらに、中古車を購入した場合や中古の車載装置を設置する場合など、取扱説明書自体が備えられていないケースも考えられる。
【0004】
その結果、目的の操作を実行することができない場合や、機能を十分に使用することができない場合が発生していた。そこで従来、取扱説明書の記載事項などの各種情報をユーザに負荷をかけることなく伝達する技術が考案されてきた。
【0005】
例えば特許文献1は、カーナビゲーションシステムの取扱説明書を車載ディスプレイでの表示に適した形で電子化して記憶する技術を開示している。また、特許文献2は、車両に異常が発生した場合に、その処置やサービスセンタへの案内情報を表示する技術を開示している。同様に、特許文献3は、車両の状況を検出して故障診断し、診断結果や処置方法を表示する技術を開示している。
【0006】
また、特許文献4は、タイヤの空気圧低下を検知した場合に、営業しているパンク修理施設まで案内する技術を開示している。さらに特許文献5は、道路の路面状態の変化を予測し、タイヤチェーンの着脱が必要である場合には着脱場所の情報を提供する車両用情報提供装置を開示している。
【0007】
【特許文献1】特開2004−156995号公報
【特許文献2】特開平7−129894号公報
【特許文献3】特開昭62−94443号公報
【特許文献4】特開2002−81945号公報
【特許文献5】特開平10−19583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、取扱説明書を全て電子化して格納したとしても、ユーザが能動的にそれらの情報を知ろうとしない限り開示されることはないままとなる。そのため、ユーザが存在自体を知らない機能については情報を得ることができない。
【0009】
その一方、特定の条件を満たした場合に常に特定の案内を行なう(例えば車両乗車検知時に電動ミラーやシートポジションの調整方法について案内する、給油予測時に給油口の位置や開放方法について案内する)こととすると、ユーザが既に熟知している操作についても繰り返し説明が実行されるという問題が生じる。
【0010】
すなわち、その車両の操作に対する習熟度はユーザごとに異なるのであるが、従来、ユーザの習熟度について考慮することなく各種情報提供を行なっていたために、ユーザにとって必要な情報を自動的に選択して提供することかできないという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザごとに適切な情報を選択して提供する車両情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る車両情報提供装置は、自車両の操作方法に関する情報を提供する車両情報提供装置であって、当該自車両の操作方法に関する運転者の習熟度を判定する車両習熟度判定手段と、前記運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なう情報提供手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なう。
【0014】
また、請求項2の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1に記載の発明において、当該自車両の操作方法に対して基準車両習熟度を設定し、前記情報提供手段は前記運転者の車両習熟度と前記基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なうことを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に対して基準車両習熟度を設定し、情報提供手段は運転者の車両習熟度と基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なう。
【0016】
また、請求項3の発明に係る車両情報提供装置は、請求項2に記載の発明において、前記基準車両習熟度は、前記操作の発生頻度および/または前記操作の車両に対する依存度に基づいて設定された値であることを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば車両情報提供装置は、操作の発生頻度や操作の車両に対する依存度に基づいて基準車両習熟度を設定し、情報提供手段は運転者の車両習熟度と基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なう。
【0018】
また、請求項4の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1,2または3に記載の発明において、前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行可否を判定することを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供の実行可否を判定する。
【0020】
また、請求項5の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行タイミングを決定することを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行タイミングを決定する。
【0022】
また、請求項6の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて提供する情報の内容を変更することを特徴とする。
【0023】
この請求項6の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に提供する情報の内容を変更する。
【0024】
また、請求項7の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記情報提供手段は、走行前の点検に関する情報、走行準備操作に関する情報、エンジン始動操作に関する情報、給油操作に関する情報、特定条件下で使用するエンジン動作モードの操作に関する情報、特定条件下で必要な装備の装着および/または操作に関する情報、消耗劣化品の補充交換方法に関する情報、セキュリティシステムの操作に関する情報のうち、少なくともいずれか一つに関する情報を提供することを特徴とする。
【0025】
この請求項7の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて走行前の点検に関する情報、走行準備操作に関する情報、エンジン始動操作に関する情報、給油操作に関する情報、特定条件下で使用するエンジン動作モードの操作に関する情報、特定条件下で必要な装備の装着および/または操作に関する情報、消耗劣化品の補充交換方法に関する情報、セキュリティシステムの操作に関する情報などを提供する。
【0026】
また、請求項8の発明に係る車両情報提供装置は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記情報提供手段は、特定の操作の必要性を予測した場合および/または特定の操作が必要もしくは有効であって当該操作が実行されていない場合に前記情報提供を実行すべきか否かの判定を行なうことを特徴とする。
【0027】
この請求項8の発明によれば車両情報提供装置は、特定の操作の必要性を予測した場合や、特定の操作が必要もしくは有効であって当該操作が実行されていない場合に、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なう。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なうので、ユーザごとに適切な情報を選択して提供する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項2の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に対して基準車両習熟度を設定し、情報提供手段は運転者の車両習熟度と基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なうので、ユーザが必要とする情報を選択して提供する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0030】
また、請求項3の発明によれば車両情報提供装置は、操作の発生頻度や操作の車両に対する依存度に基づいて基準車両習熟度を設定し、情報提供手段は運転者の車両習熟度と基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なうので、ユーザごと、また操作ごと情報提供の必要性を的確に判定する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項4の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供の実行可否を判定するので、不要な情報提供を抑止する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項5の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行タイミングを決定するので、ユーザに合わせたタイミングで情報提供を実行する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項6の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に提供する情報の内容を変更するので、ユーザごとに適切な内容の情報を提供する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項7の発明によれば車両情報提供装置は、自車両の操作に関する運転者の習熟度を判定し、運転者の車両習熟度に基づいて走行前の点検に関する情報、走行準備操作に関する情報、エンジン始動操作に関する情報、給油操作に関する情報、特定条件下で使用するエンジン動作モードの操作に関する情報、特定条件下で必要な装備の装着および/または操作に関する情報、消耗劣化品の補充交換方法に関する情報、セキュリティシステムの操作に関する情報などを提供するので、車両の操作にかかる各種情報からユーザにとって必要な情報を自動的に選択して提供する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項8の発明によれば車両情報提供装置は、特定の操作の必要性を予測した場合や、特定の操作が必要もしくは有効であって当該操作が実行されていない場合に、運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なうので、所定の操作が必要になった場合に、その操作に関する情報をユーザの習熟度にあわせて提供する車両情報提供装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車両情報提供装置の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0037】
図1は、本発明の実施の形態である車両情報提供装置1の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、車両情報提供装置1は、記録装置であるハードディスクドライブ(HDD)2、車内通知系3、ナビゲーションシステム4、道路情報収集装置41、燃料計42、セキュリティシステム43、シートセンサ44、変速機構45、エンジン制御装置(エンジンECU)46、空気圧センサ47およびユーザ認識装置48に接続する。
【0038】
HDD2は、車両情報提供装置1やナビゲーションシステム4、また図示しないオーディオ装置などの各種車載装置で共用する記録装置であり、道路形状などを示す地図データ21、車両の仕様や装備、操作方法を説明する取扱説明書などユーザに提供する各種情報を電子化した車両情報データ22、タイヤやオイル等の消耗劣化品の補充・交換、点検の実施などメンテナンスの履歴を示す保守履歴データ23が記録されている。
【0039】
車内通知系3は、車両乗員に対する表示通知を行なうディスプレイ31、同じく音声通知を行なうスピーカ32などを有し、車両情報提供装置1、ナビゲーションシステム4また図示しないオーディオ装置など各種車載装置で共用する。
【0040】
ナビゲーションシステム4は、GPS(Global Positioning System)人工衛星と通信して特定した自車両の位置と地図データ21とを利用して走行経路の設定および誘導を行なう車載装置である。この経路の誘導は具体的には車内通知系3を用いて行なう。また、ナビゲーションシステム4は、道路情報収集装置41が取得した道路情報を経路設定や経路誘導に利用する。さらに、ナビゲーションシステム4は車両情報提供装置1に対して自車両の位置情報や道路形状、路幅、傾斜に関する情報、時刻情報を供給する。
【0041】
道路情報収集装置41は、VICS(Vehicle Information and Communication System)による道路交通情報の受信や路側に設置された路側通信装置との通信によって道路の形状や種類、他車両の走行状況、渋滞の発生状況、工事や事故の有無、天候、路面状況などの情報を収集する。そして、道路情報収集装置41は、収集した情報をナビゲーションシステム4および車両情報提供装置1に提供する。
【0042】
燃料計42は、自車両の燃料残量を監視する測定装置であり、測定結果を車両情報提供装置1に供給する。また、セキュリティシステム43は、ドアや窓の開閉、施錠解錠、さらにエンジンなどの動作規制を行なう装置であり、その動作状態を車両情報提供装置1に通知する。
【0043】
シートセンサ44は、各座席の座面にかかる圧力を検知することで乗員の着座状態を判定するセンサである。また、変速機構45は、ユーザによるシフトレバーの操作に基づいて、もしくは自律的に駆動部のギアを制御する機構であり、その動作状態を車両情報提供装置1に通知する。
【0044】
エンジンECU46は、ユーザによるアクセルペダルの操作に基づいて、もしくは自律的にエンジンの動作を制御する制御機構であり、その動作状態を車両情報提供装置1に通知する。
【0045】
空気圧センサ47は、タイヤの空気圧を測定する測定手段であり、測定結果を車両情報提供装置1に通知する。また、ユーザ認識装置48は、画像認識やユーザごとに割り当てた個人用キー、またユーザ自身による直接入力などによって乗員(特に運転者)を認識し、認識結果を車両情報提供装置1に出力する。
【0046】
車両情報提供装置1は、その内部に情報提供必要性判定部11、車両習熟度判定部12、保守情報管理部13、情報提供処理部14を有する。保守情報管理部13は、タイヤやオイル等の消耗劣化品の補充・交換、点検の実施などメンテナンスを実行した場合に保守履歴データ23を更新するとともに、次のメンテナンスが必要な時期を判定する処理を行なう。
【0047】
情報提供必要性判定部11は、保守情報管理部12、ナビゲーションシステム4、道路情報収集装置41、燃料計42、セキュリティシステム43、シートセンサ44、変速機構45、エンジンECU46および空気圧センサ47の出力に基づいて、ユーザに対して情報提供が必要であるか否かの判定を行なう。
【0048】
そして、情報提供必要性判定部11によって情報提供が必要であると判定された場合、車両習熟度判定部12は、ユーザ認識部48によって認識されたユーザの自車両に対する車両習熟度と、車両情報データ22に設定された基準車両習熟度とを比較する。
【0049】
さらに、情報提供処理部14は、車両習熟度判定部12による判定結果に基づいて、情報提供を実行するか否か、実行する場合にはそのタイミング、さらに提供する情報の内容を決定し、車内通知系3を用いて通知処理を行なう。
【0050】
続いて図2を参照し、車両情報提供装置1による情報提供について具体的に説明する。まず、車両には自車両の状況に基づいて実行可能な各種機能が備えられている。図2にはその具体例として、「走行前点検支援機能」、「走行準備支援機能」、「エンジン始動支援機能」、「給油支援機能」、「坂路走行支援機能」、「タイヤ交換支援機能」、「雪道走行支援機能」、「チェーン着脱支援機能」、「フォグランプ点灯支援機能」、「定速走行支援機能」、「ロック解除支援機能」、「部品交換支援機能」を挙げている。
【0051】
「走行前点検支援機能」は、ユーザが走行前に実施すべき点検項目を通知して点検を支援する機能であり、自車両の走行開始を予測した場合に実行する。具体的には、例えばセキュリティシステム43がドアロックを解除した場合やシートセンサ44が運転者の着座を検知した場合に実行すればよい。
【0052】
「走行準備支援機能」は、シート位置やミラー角度の調節を自動実行する、もしくは調節方法をユーザに通知することで走行準備を支援する機能であり、自車両の走行開始を予測した場合に実行する。走行開始の予測は、「走行前点検支援機能」と同様にセキュリティシステム43の出力やシートセンサ44の出力を用いて行なうことができる。
【0053】
「エンジン始動支援機能」は、エンジンの始動方法をユーザに通知する機能である。例えば、オートマチックトランスミッションの車両では、シフトレバーをパーキングもしくはニュートラルに入れた状態でエンジン始動を行なわなければならないなどの条件が設定されていることが多いが、マニュアルトランスミッションに慣れたユーザはシフトレバーが他の位置に入った状態でエンジン始動を試みることが考えられる。そこで、エンジン始動支援機能は、ユーザがエンジン始動操作に失敗した場合に、エンジンの始動条件(始動に必要な操作)を通知する。このエンジン始動の失敗は、変速機構45やエンジンECU46の動作状態から検知することができる。
【0054】
「給油支援機能」は、自車両の給油口の位置や開放操作を通知する機能であり、給油を予測した場合に実行する。給油の予測は、燃料計42およびナビゲーションシステム4の出力を用いて行なうことができる。
【0055】
「坂路走行支援機能」は、坂道の走行時に専用のエンジン制御モードを使用することで最適なエンジン制御を実現する機能である。坂路走行用のエンジン制御モードへの移行はユーザ操作に基づいて行なうのであるが、ユーザがこの坂路走行用のエンジン制御モードの存在自体を知らない場合や、移行に必要な操作を知らない場合が考えられるので、坂路を通常の制御モードで走行している場合にユーザへ操作方法を通知する。なお、自車両が坂路を走行中であることはナビゲーションシステム44や道路情報収集挿措置41の出力から判定することができ、エンジンの制御モードはエンジンECU46の出力から判定することができる。
【0056】
「タイヤ交換支援機能」は、タイヤの交換方法やスペアタイヤの格納場所を通知する機能であり、タイヤ交換の必要性を検知した場合に実行する。このタイヤ交換の必要性は、空気圧センサ47がタイヤの空気圧低下を検知した場合や、保守履歴データ23から判定することができる。
【0057】
「雪道走行支援機能」は、積雪時に専用のエンジン制御モードを使用することで最適なエンジン制御を実現する機能である。雪道走行用のエンジン制御モードへの移行はユーザ操作に基づいて行なうのであるが、ユーザがこの雪道走行用のエンジン制御モードの存在自体を知らない場合や、移行に必要な操作を知らない場合が考えられるので、雪道を通常の制御モードで走行している場合にユーザへ操作方法を通知する。なお、自車両が雪道を走行中であることはナビゲーションシステム44や道路情報収集挿措置41の出力から判定することができ、エンジンの制御モードはエンジンECU46の出力から判定することができる。
【0058】
「チェーン着脱支援機能」は、タイヤチェーンの着脱方法、チェーンやジャッキの格納場所を通知する機能であり、チェーン着脱の必要性を検知した場合に実行する。この必要性は、ナビゲーションシステム44や道路情報収集挿措置41の出力から判定することができる。
【0059】
「フォグランプ点灯支援機能」は、霧が発生中である場合の照明に使用するフォグランプを自動で点灯する、もしくは点灯方法をユーザに通知する機能であり、フォグランプの点灯が必要となった場合に実行する。フォグランフ点灯の必要性は、ナビゲーションシステム44や道路情報収集挿措置41の出力から判定することができる。
【0060】
「定速走行支援機能」は、高速道路上において専用のエンジン制御モードを使用することで一定速度での走行を支援する機能である。定速走行用エンジン制御モードへの移行はユーザ操作に基づいて行なうのであるが、ユーザがこの定速走行用のエンジン制御モードの存在自体を知らない場合や、移行に必要な操作を知らない場合が考えられるので、高速道路を通常の制御モードで走行している場合にユーザへ操作方法を通知する。なお、自車両が高速道路を走行中であることはナビゲーションシステム44の出力から判定することができ、エンジンの制御モードはエンジンECU46の出力から判定することができる。
【0061】
「ロック解除支援機能」は、セキュリティシステム43による各種施錠の解除方法を通知する機能である。例えば走行中に車室からのドア開放を禁止するチャイルドロックなどがかかっている場合、その車両に不慣れなユーザであればその解除操作がわからない場合が考えられる。そこで、ロック解除支援機能は、ユーザがロックの解除に失敗した場合に必要な操作を通知する。このロック解除の失敗は、セキュリティシステム43の出力から検知することができる。
【0062】
「部品交換支援機能」は、エンジンオイルやウォッシャー液、ワイパーブレードなど補充や交換が必要な部品について、その方法を通知する機能であり、補充や交換が必要になった場合に実行する。この補充や交換の必要性は保守履歴データ23から判定することができる。
【0063】
さて、このような機能を使用する場合、その操作方法をユーザに情報提供することで、ユーザの円滑な操作を支援することができる。その一方、既に操作方法を熟知しているユーザに対して同様の情報提供を繰り返し実行すると、ユーザに煩わしさを感じさせることとなる。
【0064】
そこで、情報提供必要性判定部11によって情報提供が必要であると判定された場合(図2に示した各機能が開始条件を満たした場合)、車両習熟度判定部12は、ユーザ認識部48によって認識されたユーザの自車両に対する車両習熟度と、車両情報データ22に設定された基準車両習熟度とを比較する。
【0065】
ここで、ユーザの自車両に対する習熟度とは、運転技術自体の習熟度とは異なる。例えば、他の車種において運転経験が長く、高度な運転技術を有するユーザであっても、それまでとは異なる車両に乗車し、目的の機能を実行する操作がわからない状態であれば、その車両に対する習熟度は低いと判定する。
【0066】
ユーザの車両習熟度は、例えばユーザが所持する個人用キーや携帯端末などに記録しておいてもよいし、車両側、例えばHDD2に個人データとして記録しておいてもよい。車両習熟度の値については、ユーザの運転履歴を記録し、自車両の(もしくは同一の操作系を備えた車両の)運転経験から適宜設定することが望ましい。
【0067】
より具体的には、自車両の運転時間に対応して習熟度を上げる、情報提供をしていない機能を運転者が使用した場合にその機能に定めた基準車両習熟度に応じて運転者の車両習熟度を決定する、特定の操作が必要もしくは有効であるにも関わらず当該操作が実行されていない場合にその機能に定めた基準車両習熟度に応じて運転者の車両習熟度を下げる、などによって車両習熟度を設定することができる。
【0068】
つぎに、アクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドルなど車両の挙動に直接関連する操作については、車両が異なる場合であっても操作の共通化がなされているが、電動ドアミラーやパワーウインドウなど電子化された車両装備や、カーナビゲーションシステムをはじめとする各種車載装置については操作方法が車両(もしくは車載装置)に依存して大きく異なる。
【0069】
また、電動ドアミラーのように、乗車時に常に操作するような使用頻度の高い機能については、比較的初期にその操作に習熟すると考えられるが、タイヤ交換など使用頻度の低い機能については、ある程度その車両に習熟していたとしても詳細な情報提供が必要である可能性が高くなる。
【0070】
そこで、車両情報提供装置1は、各機能(もしくは操作)の車両に対する依存度と使用頻度に基づいて「基準車両習熟度」を設定している。この基準車両習熟度の設定例を図2に示す。
【0071】
同図では、車両に対する依存度を「高」「中」「低」の3段階とし、依存度「高」に値「3」、依存度「中」に値「2」、依存度「低」に値「1」を割り当てている。同様に、使用される頻度を「高」「中」「低」の3段階とし、依存度「高」に値「1」、依存度「中」に値「2」、依存度「低」に値「3」を割り当てている。そして、基準車両習熟度の値を「依存度」と「頻度」の値の和として算出している。
【0072】
情報提供処理部14は、車両習熟度判定部12によるユーザの車両習熟度と基準車両習熟度との比較結果に基づいて、ユーザに対する情報提供を制御する。情報提供処理部14が車両習熟度に基づいて情報提供の実行可否を判定する場合の車両情報提供装置1の処理動作を図3に示す。
【0073】
同図に示すように、まず情報提供必要性判定部11が、保守情報管理部12、ナビゲーションシステム4、道路情報収集装置41、燃料計42、セキュリティシステム43、シートセンサ44、変速機構45、エンジンECU46および空気圧センサ47の出力に基づいて、各機能の開始条件が成立したか否かを判定する(ステップS101)。
【0074】
その結果、開始条件が成立した機能が存在する場合(ステップS101,Yes)、車両習熟度判定部12がその機能の基準車両習熟度とユーザの車両習熟度とを比較する(ステップS102)。
【0075】
そして、情報提供処理部14は、ユーザの車両習熟度が基準車両習熟度未満である場合に(ステップS102,Yes)、その機能の操作方法をユーザに情報提供して(ステップS103)、処理を終了する。
【0076】
一方、ユーザの車両習熟度が基準車両習熟度以上である場合(ステップS102,No)もしくは開始条件が成立した機能がない場合(ステップS101,No)にはそのまま処理を終了する。
【0077】
図3に示した処理動作では、ユーザの車両習熟度が基準車両習熟度未満である場合にのみ情報提供を実行するので、不要な情報提供を抑制し、ユーザとって必要な情報を選択して提供することができる。
【0078】
なお、車両習熟度判定部12による判定結果に基づいて情報提供の実行タイミングを変更する(例えば車両習熟度の低いユーザにはより早期に情報を提供する)ように構成してもよいし、提供する情報の内容を変更するように構成してもよい。
【0079】
図4は、ユーザの車両習熟度に応じて提供する情報の内容を変更する場合の具体例について説明する説明図である。同図では、ある機能の開始条件が成立した場合に、ユーザの車両習熟度が「1〜2」であれば全ての操作について詳細に説明(情報提供)し、ユーザの車両習熟度が「3」であれば全ての操作について簡単に説明するとともに、一部の操作(例えばその車両独特の操作や特に重要な操作)については詳細に説明することとしている。
【0080】
また、ユーザの車両習熟度が「4」であれば一部の操作について簡単な説明を行い、車両習熟度が「5」であれば説明が可能であることのみを通知してユーザからの要求があれば説明を行なう。さらにユーザの車両習熟度が「6」であればユーザからの要求があった場合にのみ説明(情報提供)を行なうこととしている。
【0081】
なお、図4に示した場合のように、単純にユーザの車両習熟度のみを参照してユーザへの情報提供を制御する場合であれば、機能や操作に対する基準車両習熟度の設定は不要である。しかし、基準車両習熟度を用いれば、「ユーザの車両習熟度以上の基準車両習熟度を有する項目について詳細に説明し、後は簡単に説明する」など詳細な出力設定が可能となる。
【0082】
上述してきたように、本実施例にかかる車両情報提供装置1は、情報提供必要性判定部11によって情報提供が必要であると判定された場合に、車両習熟度判定部12がユーザの自車両に対する車両習熟度と、各機能に設定された基準車両習熟度とを比較し、その結果に基づいて情報提供を実行するか否か、実行する場合にはそのタイミング、さらに提供する情報の内容を決定するので、ユーザごとに適切な情報を選択して提供する車両情報提供装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明にかかる運転情報提供装置は、運転者への情報提供に有用であり、特に運転者にとって必要な情報の自動的な選択に適している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施例にかかる車両情報提供装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2】図1に示した車両情報提供装置による情報提供について説明する説明図である。
【図3】車両習熟度に基づいて情報提供の実行可否を判定する場合のフローチャートである。
【図4】車両習熟度に応じて提供する情報の内容を変更する場合の具体例について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1 車両情報提供装置
2 HDD
3 車内通知系
4 ナビゲーションシステム
11 情報提供必要性判定部
12 車両習熟度判定部
13 保守情報管理部
14 情報提供処理部
21 地図データ
22 車両情報データ
23 保守履歴データ
41 道路情報収集装置
42 燃料計
43 セキュリティシステム
44 シートセンサ
45 変速機構
46 エンジンECU
47 空気圧センサ
48 ユーザ認識装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の操作方法に関する情報を提供する車両情報提供装置であって、
当該自車両の操作方法に関する運転者の習熟度を判定する車両習熟度判定手段と、
前記運転者の車両習熟度に基づいて運転者に対する情報提供を行なう情報提供手段と、
を備えたことを特徴とする車両情報提供装置。
【請求項2】
当該自車両の操作方法に対して基準車両習熟度を設定し、前記情報提供手段は前記運転者の車両習熟度と前記基準車両習熟度との比較結果に基づいて運転者に対する情報提供を行なうことを特徴とする請求項1に記載の車両情報提供装置。
【請求項3】
前記基準車両習熟度は、前記操作の発生頻度および/または前記操作の車両に対する依存度に基づいて設定された値であることを特徴とする請求項2に記載の車両情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行可否を判定することを特徴とする請求項1,2または3に記載の車両情報提供装置。
【請求項5】
前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて情報提供の実行タイミングを決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両情報提供装置。
【請求項6】
前記情報提供手段は、前記運転者の車両習熟度に基づいて提供する情報の内容を変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両情報提供装置。
【請求項7】
前記情報提供手段は、走行前の点検に関する情報、走行準備操作に関する情報、エンジン始動操作に関する情報、給油操作に関する情報、特定条件下で使用するエンジン動作モードの操作に関する情報、特定条件下で必要な装備の装着および/または操作に関する情報、消耗劣化品の補充交換方法に関する情報、セキュリティシステムの操作に関する情報のうち、少なくともいずれか一つに関する情報を提供することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両情報提供装置。
【請求項8】
前記情報提供手段は、特定の操作の必要性を予測した場合および/または特定の操作が必要もしくは有効であって当該操作が実行されていない場合に前記情報提供を実行すべきか否かの判定を行なうことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の車両情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−62494(P2007−62494A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249306(P2005−249306)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】