説明

車両用サスペンション装置

【課題】リヤフロアの低床化やリヤの車幅方向のスペースを拡大し難い点を解決することで、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することを可能にする。
【解決手段】ガイドレール22に(インホイールモータ)25の上端(取付部)24をスライド可能に取付け、ガイドレール22の下方且つ車体11の下部から車幅外方にスイング自在にロアアーム(前・後ロアアーム)28,32を延ばし、ロアアーム28,32に車軸支持部材25の下端(前方下部若しくは後方下部)27,31を回転自在に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般車両や水素ボンベなどを燃料として走行する燃料電池積載車両の車両用サスペンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用サスペンション装置として、ダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式などのサスペンションが実用に供されている。
実用の車両用サスペンション装置は、ダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式などのサスペンションを用途に応じて設計変更を加えて採用するのが一般的であった。
【0003】
このような車両用サスペンション装置として、アッパアームを上方に配置するとともにロアアームを下方に配置したダブルウィッシュボーン式のサスペンションが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭62−120208号公報(第4頁、第2図)
【0004】
特許文献1の技術を説明する。
図11は従来の基本構成を説明する図であり、車両用サスペンション装置200は、
車体201側上部からスイング自在にアッパアーム204を延ばし、車体201側下部からスイング自在にロアアーム205を延ばし、これらのアッパアーム204の先端とロアアーム205の先端との間にナックル(車軸支持部材)206を介在させ、このナックル206に車軸207を設け、この車軸207に車輪208を回転自在に設けたものであり、ナックル206を上部支持部材211、下部支持部材212及び連結部材213から構成するものである。
【0005】
例えば、リヤフロアを低床化したい場合には、車両用サスペンション装置200では、アッパアーム204が低床化の障害になることがある。
また、リヤの車幅方向のスペースを拡大したい場合には、車両用サスペンション装置200では、アッパアーム204のスイング軌跡が障害となり、十分にリヤの車幅方向の拡大を図ることができないということがある。
【0006】
すなわち、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができるとともに、設計の自由度の拡大や高いサスペンション性能を実現することができる車両用サスペンション装置が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、リヤフロアの低床化やリヤの車幅方向のスペースを拡大し難い点を解決し、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる車両用サスペンション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体に車軸を上下動自在に支持する車両用サスペンション装置において、この車両用サスペンション装置は、車体の上下方向に延ばしたガイドレールと、このガイドレールにスライド可能に取付けることで車軸を支持する車軸支持部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
例えば、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができれば、車両の基本性能を確保しつつ、車室空間の有効利用をすることができるので好ましいことである。
【0010】
請求項2に係る発明は、ガイドレールに車軸支持部材の上端をスライド可能に取付け、ガイドレールの下方且つ車体の下部から車幅外方にスイング自在にロアアームを延ばし、このロアアームに車軸支持部材の下端を回転自在に取付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、ガイドレールを、車幅外方に向けて凸に形成した円弧状にしたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、ガイドレールが、一対のレールを平行配置したものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、車体が、サイドフレームにサブフレームを備えたものであり、サイドフレームにガイドレールの上端を取付け、サブフレームにガイドレールの下端を取付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、サブフレームとガイドレールの下端との間に、あるいは、サイドフレームとガイドレールの上端との間に緩衝部材を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、車体と車軸支持部材との間に少なくとも前後方向に延ばした1本のアームを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、車体の上下方向に延ばしたガイドレールと、このガイドレールにスライド可能に取付けることで車軸を支持する車軸支持部材と、を備えたので、例えば、車体にスイング可能に取付けるアームで車軸支持部材を支持する場合に比べ、車体のサイドフレームなどを車体下方に下げたり、若しくは車幅外方に寄せることができる。この結果、リヤフロア(不図示)を低床化したり、若しくはリヤの車幅方向の有効利用できるスペースを拡大することができるという利点がある。
【0017】
請求項2に係る発明では、ガイドレールに車軸支持部材の上端をスライド可能に取付け、ガイドレールの下方且つ車体の下部から車幅外方にスイング自在にロアアームを延ばし、このロアアームに車軸支持部材の下端を回転自在に取付けたので、基本性能の高いダブルウィッシュボーン式のサスペンションの形態を踏襲しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。すなわち、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができるという利点がある。
【0018】
請求項3に係る発明では、ガイドレールを、車幅外方に向けて凸に形成した円弧状にしたので、例えば、アッパアームで車軸支持部材の上端を支持するときと同じような軌跡で車軸支持部材の上端を移動させることができる。この結果、アッパアームで車軸支持部材の上端を支持するときと同様の設計の自由度を保持することができるという利点がある。
【0019】
請求項4に係る発明では、ガイドレールを、一対のレールから構成し、これらのレールを平行配置に構成したので、車軸支持部材の円滑な移動を実現することができるという利点がある。
【0020】
請求項5に係る発明では、車体が、サイドフレームにサブフレームを備えたものであって、サイドフレームにガイドレールの上端を取付け、サブフレームにガイドレールの下端を取付けたので、ガイドレールを安定させて支持することができるという利点がある。
【0021】
請求項6に係る発明では、サブフレームとガイドレールの下端との間に、あるいは、サイドフレームとガイドレールの上端との間に緩衝部材を備えたので、サイドフレームに対するサブフレームの挙動を妨げることを回避することができるという利点がある。
【0022】
請求項7に係る発明では、車体と車軸支持部材との間に少なくとも前後方向に延ばした1本のアームを備えたので、車両の発進時若しくは減速時の車体姿勢の設定を任意に行うことができる。この結果、車両用サスペンション装置の設計の自由度の拡大を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用サスペンション装置の正面図であり、図2は本発明に係る車両用サスペンション装置の側面図である。
車両10は、燃料電池(不図示)を搭載した燃料電池搭載車両であり、車体11は、車体前後方向に延ばしたサイドフレーム12と、このサイドフレーム12に緩衝材13を介して支持したリヤ側のサブフレーム14と、を備える。
【0024】
車両用サスペンション装置20は、リヤ側のサスペンション装置であり、サイドフレーム12に上端を支持するとともにサブフレーム14に下端を緩衝部材21を介して取付けたガイドレール22と、このガイドレール22にスライド自在に取付けたスライダ23と、このスライダ23に上端としての取付部24を揺動自在に取付けた車軸支持部材としてのインホイールモータ25と、このインホイールモータ25に設けた車軸26と、サブフレーム14に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ25の下端としての前方下部27(図2参照)に他端をスイング自在に取付けたロアアームとしての前ロアアーム28と、サブフレーム14に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ25の下端としての後方下部31(図2参照)に他端をスイング自在に取付けたロアアームとしての後ロアアーム32と、サブフレーム14に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ25の略中央上部34(図2参照)に他端をスイング自在に取付けたアームとしての前水平ロッド35と、サイドフレーム12に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ25の略中央下部37に他端をスイング自在に取付けたアームとしての後水平ロッド38と、からなる。
【0025】
サイドフレーム12は、ガイドレール22の上端を支持する支持部16を備える。
図中、29は車軸26に取付けた車輪、41はサイドフレーム12に支持する水素タンクである。
【0026】
図3は本発明に係る車両用サスペンション装置の底面図であり、前・後ロアアーム28,32は、ガイドレール22の下方且つ車体11の下部から車幅外方にスイング自在に延ばしたものである。
インホイールモータ25は、取付部(上端)24をガイドレール22にスライダ23を介してスライド可能に取付けるとともに、前方下部(下端)27及び後方下部(下端)31をそれぞれ前・後ロアアーム28,32に回転自在に取付けたものである。
【0027】
図4は本発明に係る車両用サスペンション装置のガイドレールの斜視図であり、ガイドレール22は、車体11の上下方向に延ばしたレールであって、先に説明したように、サイドフレーム12に上端を取付け、サブフレーム14に緩衝部材21(図1参照)を介して下端を取付けたものであり、平行に沿わせた一対のレール44,44と、これらのレール44,44の上端を支持する上端支持部材45と、レール44,44の下端を支持する下端支持部材46とからなる。
レール44,44は、所定の半径にて車幅外方に向けて凸に形成した円弧状の部材である。
【0028】
図5は図4の5−5線断面図であり、スライダの正面断面を示す。
スライダ23は、スライダ本体51と、このスライダ本体51とレール44,44との間に介在させたベアリング52・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)と、インホイールモータ25の取付部24を回転自在に支持するボルト53と、このボルト53にねじ込むナット54と、からなる。
【0029】
スライダ本体51は、レール44,44にそれぞれスライド自在に嵌合させる凹部55,55と、ボルト53を貫通させる貫通部56,56と、ボルト頭53a若しくはナット54を収納する収納部57,57と、を備える。
インホイールモータ25(図1参照)の取付部24は、緩衝自在に支持する弾性ブッシュ58を備え、この弾性ブッシュ58は、ボルト53を貫通させる内筒61と、この内筒61に焼付けた弾性部62と、この弾性部62の廻り近傍を囲う外筒63と、から構成した防振部材である。
【0030】
図6は本発明に係る車両用サスペンション装置の車幅方向外方からの斜視図であり、車両用サスペンション装置20は、車体11に車軸26を上下動自在に支持する車両用サスペンション装置において、車体11の上下方向に延ばしたガイドレール22と、このガイドレール22にスライド可能に取付けることで車軸26を支持する車軸支持部材(インホイールモータ)25と、を備えたものと言える。
【0031】
例えば、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができれば、車両の基本性能を確保しつつ、車室空間の有効利用をすることができるので好ましいことである。
【0032】
すなわち、車体11の上下方向に延ばしたガイドレール22と、このガイドレール22にスライド可能に取付けることで車軸26を支持する車軸支持部材(インホイールモータ)25と、を備えることで、例えば、車体11にスイング可能に取付けるアーム(アッパアーム等)で車軸支持部材25の上端(取付部)24を支持する場合に比べ、車体11のサイドフレーム12などを車体下方に下げたり、若しくは車幅外方に寄せることができる。この結果、リヤフロア(不図示)を低床化したり、若しくはリヤの車幅方向の有効利用できるスペースを拡大することができる。
【0033】
車両用サスペンション装置20は、ガイドレール22に車軸支持部材(インホイールモータ)25の上端(取付部)24をスライド可能に取付け、ガイドレール22の下方且つ車体11の下部から車幅外方にスイング自在にロアアーム(前・後ロアアーム)28,32を延ばし、ロアアーム28,32に車軸支持部材25の下端(前方下部若しくは後方下部)27,31を回転自在に取付けたものとも言える。
【0034】
ガイドレール22に車軸支持部材(インホイールモータ)25の上端(取付部)24をスライド可能に取付け、ガイドレール22の下方且つ車体11の下部から車幅外方にスイング自在にロアアーム(前・後ロアアーム)28,32を延ばし、ロアアーム28,32に車軸支持部材25の下端(前方下部若しくは後方下部)27,31を回転自在に取付けることで、基本性能の高いダブルウィッシュボーン式のサスペンションの形態を踏襲しつつ、リヤフロア(不図示)を低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。すなわち、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。
【0035】
車両用サスペンション装置20は、ガイドレール22を、車幅外方に向けて凸に形成した円弧状にしたものとも言える。
ガイドレール22を、車幅外方に向けて凸に形成した円弧状にすることで、例えば、アッパアーム(不図示)で車軸支持部材(インホイールモータ)25の上端(取付部)24を支持するときと同じような軌跡で車軸支持部材25の上端24を移動させることができる。この結果、アッパアームで車軸支持部材25の上端24を支持するときと同様の設計の自由度を保持することができる。
【0036】
図7は本発明に係る車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの斜視図であり、車両用サスペンション装置20は、ガイドレール22が、一対のレール44,44を平行配置したものである。
すなわち、ガイドレール22を、一対のレール44,44から構成し、これらのレール44,44を平行配置にすることで、車軸支持部材(インホイールモータ)25の円滑な移動を実現することができる。
【0037】
また、車両用サスペンション装置20は、車体11が、サイドフレーム12にサブフレーム14を備えたものであり、サイドフレーム12にガイドレール22の上端を取付け、サブフレーム14にガイドレール22の下端を取付けたものである。
すなわち、車体11は、サイドフレーム12にサブフレーム14を備えたものであり、サイドフレーム12にガイドレール22の上端を取付け、サブフレーム14にガイドレール22の下端を取付けることで、ガイドレール22を安定させて支持することができる。
【0038】
車両用サスペンション装置20は、サブフレーム14とガイドレール22の下端との間に緩衝部材21(図6参照)を備えたものとも言える。
サブフレーム14とガイドレール22の下端との間に緩衝部材21を備えることで、サイドフレーム12に対するサブフレーム14の挙動を妨げることを回避することができる。
【0039】
車両用サスペンション装置20は、車体11と車軸支持部材(インホイールモータ)25との間に少なくとも前後方向に延ばした1本のアーム(前水平ロッド35若しくは後水平ロッド38)を備えたものとも言える。
車体11と車軸支持部材(インホイールモータ)25との間に少なくとも前後方向に延ばした1本のアーム(前水平ロッド35若しくは後水平ロッド38)を備えることで、車両10の発進時若しくは減速時の車体姿勢の設定を任意に行うことができる。この結果、車両用サスペンション装置20の設計の自由度の拡大を図ることができるという利点がある。
【0040】
図8(a),(b)は本発明に係る車両用サスペンション装置の比較検討図であり、(a)は比較例の車両用サスペンション装置170を示し、(b)は実施例の車両用サスペンション装置20を示す。
(a)において、車両用サスペンション装置170は、車体171のサイドフレーム172にスイング自在に取付けたアッパアーム174と、車体171のサブフレーム173にスイング自在に取付けたロアアーム175と、これらアッパアーム174及びロアアーム175で揺動自在に支持した車軸支持部材(インホイールモータ)176と、このインホイールモータ176に設けた車軸177と、この車軸177に取付けた車輪178と、から構成したものであり、アッパアーム174は、サイドフレーム172の位置を下げるための曲げ部179を備える。
【0041】
車両用サスペンション装置170では、サイドフレーム172側に設けるアッパアーム174の支持点181が車体171の車幅内方に位置するので、例えば、車体171に搭載する水素タンク182などを車幅外方まで延ばすことができない。
【0042】
(b)において、車両用サスペンション装置20は、(a)に示すアッパアーム174相当部品を車体11上下方向に延ばしたガイドレール22と、このガイドレールをスライドするスライダ23に置換えたものである。
アッパアーム174相当部品を車体11上下方向に延ばしたガイドレール22と、このガイドレールをスライドするスライダ23に置換えることで、サイドフレーム12を下方に下げることができるとともに、サイドフレーム12を車幅外方に寄せることができる。この結果、車体11に搭載する水素タンク41などが車幅外方まで延ばすことができる。
(a),(b)において、水素タンク182の車幅方向位置と水素タンク41の車幅方向位置を比較すると、水素タンク41は距離Sだけ車幅外方に大きくすることができる。
【0043】
また、車両用サスペンション装置20は、ガイドレール22を、(a)に示すアッパアーム174の車軸支持部材(インホイールモータ)176側の軌跡に沿わした車幅外方に向けて凸に形成した円弧状のものであり、基本性能の高いダブルウィッシュボーン式のサスペンションの形態を踏襲しつつ、リヤフロア(不図示)を低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。すなわち、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。
【0044】
すなわち、ガイドレール22に車軸支持部材(インホイールモータ)25の上端(取付部)24をスライド可能に取付け、ガイドレール22の下方且つ車体11の下部から車幅外方にスイング自在にロアアーム(前・後ロアアーム)28,32を延ばし、ロアアーム28,32に車軸支持部材25の下端(前方下部若しくは後方下部)27,31を回転自在に取付けることで、基本性能の高いダブルウィッシュボーン式のサスペンションの形態を踏襲しつつ、リヤフロア(不図示)を低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。すなわち、設計の自由度を確保し、且つ高いサスペンション性能を実現しつつ、リヤフロアを低床化したり、若しくはリヤの車幅方向のスペースを拡大することができる。
【0045】
図9は本発明に係る別実施例の車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの側面図であり、図10は本発明に係る別実施例の車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの斜視図である。
車両用サスペンション装置120は、リヤ側のサスペンション装置であり、サイドフレーム12(図1参照)に上端を支持するとともにサブフレーム14(図1参照)に下端を緩衝部材(不図示)を介して取付けたガイドレール122と、このガイドレール122にスライド自在に取付けたスライダ123と、このスライダ123に上端としての取付部124を揺動自在に取付けた車軸支持部材としてのインホイールモータ125と、このインホイールモータ125に設けた車軸126と、サブフレーム14(図1参照)に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ125の下端としての前方下部127に他端をスイング自在に取付けたロアアームとしての前ロアアーム128と、サブフレーム14(図1参照)に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ125の下端としての後方下部131に他端をスイング自在に取付けたロアアームとしての後ロアアーム132と、サブフレーム14(図1参照)に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ125の略中央上部134に他端をスイング自在に取付けたアームとしての前水平ロッド135と、サイドフレーム12(図1参照)に一端をスイング自在に取付けるとともにインホイールモータ125の略中央下部137に他端をスイング自在に取付けたアームとしての後水平ロッド138と、車体11(図1参照)と前ロアアーム128との間に掛渡したクッションユニット142と、からなる。
なお、図9に示す129は車軸126に取付けた車輪である。
【0046】
車両用サスペンション装置120は、ガイドレール122をモノレールとしたものであり、ガイドレール122をモノレールとすることで、車両用サスペンション装置120の軽量化を図ることができる。
【0047】
尚、本発明に係る車両用サスペンション装置は、図1に示すように、車軸支持部材はインホイールモータであったが、これに限るものではなく、車軸支持部材はナック等の車軸を支持する部材であってもよい。
本発明に係る車両用サスペンション装置は、図1に示すように、リヤ側のサスペンション装置であったが、これに限るものではなく、フロント側のサスペンションであってもよい。
【0048】
本発明に係る車両用サスペンション装置は、図1に示すように、サブフレーム14とガイドレール22の下端との間に緩衝部材21を備えたが、これに限るものではなく、サイドフレームとガイドレールの上端との間に緩衝部材を備えたものであってもよい。さらに、サブフレームとガイドレールの下端との間、及びサイドフレームとガイドレールの上端との間の両方に、緩衝部材を配置するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る車両用サスペンション装置は、水素ボンベなどを燃料として走行する燃料電池積載車両に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る車両用サスペンション装置の正面図である。
【図2】本発明に係る車両用サスペンション装置の側面図である。
【図3】本発明に係る車両用サスペンション装置の底面図である。
【図4】本発明に係る車両用サスペンション装置のガイドレールの斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る車両用サスペンション装置の車幅方向外方からの斜視図である。
【図7】本発明に係る車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの斜視図である。
【図8】本発明に係る車両用サスペンション装置の比較検討図である。
【図9】本発明に係る別実施例の車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの側面図である。
【図10】本発明に係る別実施例の車両用サスペンション装置の車幅方向内方からの斜視図である。
【図11】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
10…車両、11…車体、12…サイドフレーム、14…サブフレーム、20…車両用サスペンション装置、22…ガイドレール、24…上端(取付部)、25…車軸支持部材(インホイールモータ)、26…車軸、27…下端(前方下部)、28…ロアアーム(前ロアアーム)、31…下端(後方下部)、32…ロアアーム(後ロアアーム)、35…アーム(前水平ロッド)、38…アーム(後水平ロッド)、44…レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に車軸を上下動自在に支持する車両用サスペンション装置において、
この車両用サスペンション装置は、前記車体の上下方向に延ばしたガイドレールと、このガイドレールにスライド可能に取付けることで前記車軸を支持する車軸支持部材と、を備えたことを特徴とする車両用サスペンション装置。
【請求項2】
前記ガイドレールに前記車軸支持部材の上端をスライド可能に取付け、前記ガイドレールの下方且つ前記車体の下部から車幅外方にスイング自在にロアアームを延ばし、このロアアームに前記車軸支持部材の下端を回転自在に取付けたことを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンション装置。
【請求項3】
前記ガイドレールは、車幅外方に向けて凸に形成した円弧状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用サスペンション装置。
【請求項4】
前記ガイドレールは、一対のレールを平行配置したものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用サスペンション装置。
【請求項5】
前記車体は、サイドフレームにサブフレームを備えたものであり、前記サイドフレームに前記ガイドレールの上端を取付け、前記サブフレームに前記ガイドレールの下端を取付けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の車両用サスペンション装置。
【請求項6】
前記サブフレームと前記ガイドレールの下端との間に、あるいは、前記サイドフレームと前記ガイドレールの上端との間に緩衝部材を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の車両用サスペンション装置。
【請求項7】
前記車体と前記車軸支持部材との間に少なくとも前後方向に延ばした1本のアームを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の車両用サスペンション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−196728(P2007−196728A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14595(P2006−14595)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】