説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】気象情報の有無によらずトンネル出口付近の運転注意情報を出力することができる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両の周囲にトンネルが存在する場合、トンネルを含む地域の気象情報の取得状況を確認し、車両がトンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達した際に、当該取得状況が反映された予告情報を出力し、車両がトンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達した際に、気象情報が取得されている場合は当該気象情報を反映した気象反映運転注意情報を、気象情報が取得されていない場合は気象情報と無関係に用意された定型運転注意情報を、トンネル出口において出力すべき運転注意情報として出力することを特徴とする車両用ナビゲーション装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル出口における気象情報を取得し、その気象情報に基づいて発生が予測される気象条件によって予測される運転上の注意内容を、運転者に報知して注意を促す車両用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
個々のユーザに対して適切な案内情報を提供する方法として、予め設定されるユーザの操作状態,ユーザ走行状態,ユーザのいる場所から、ユーザにとって最適と予想される内容を推論しその場のユーザに合致する案内情報を記憶手段から検索報知するナビゲーション装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、特定の日時における局地気象情報を基に走行計画を調整可能な車載ナビゲーションシステムが考案されている(特許文献2参照)。
【0005】
例えば、長距離トンネルを通行する場合、そのトンネルの入口と出口では大きく天候が異なることがあり、ユーザ(特に運転者)がトンネル出口にて天候の違いに適確に対応できないことがある。そこで、トンネル出口付近の気象情報を、トンネル出口手前にあるトンネル内部の表示器で報知することが行われているが、全てのトンネルで実施されているわけではない。また、車両外部で表示されるので、表示の見落とし等が発生することもある。そこで、気象情報を取り込み、車両がトンネルの出口に近づいたときに気象案内を行う車両用ナビゲーション装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−193473号公報
【特許文献2】特開2002−148061号公報
【特許文献3】特開2002−303527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、気象情報のようなリアルタイムで変化する外部状況に関する報知については開示されていない。
【0008】
また、特許文献2では、走行計画を立てずに走行している場合には、この発明の作用効果を得られないという問題がある。
【0009】
また、特許文献3では、気象情報が取り込まれなかった場合については、ユーザに知らされないので、トンネル出口にて天候の違いに適確に対応できないという問題は残る。また、目的地までの経路案内を行っているときに限定されている。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、気象情報の有無によらずトンネル出口付近の運転注意情報を出力することができる車両用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための車両用ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、トンネルの位置情報を道路地図データと合わせて記憶する道路地図データ記憶手段と、車両の周囲にトンネルが存在する場合、車両の外部からトンネルを含む地域の気象情報を無線取得する気象情報無線取得手段と、車両がトンネルに到達するのに先立って、気象情報無線取得手段による気象情報の取得状況を確認し、当該取得状況が反映された予告情報を作成する予告情報作成手段と、車両がトンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達した際に、予告情報を出力する予告情報出力手段と、トンネル出口において出力すべき運転注意情報を、気象情報が取得されていれば当該気象情報を反映した気象反映運転注意情報として作成する気象反映運転注意情報作成手段と、車両がトンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達した際に、気象情報が取得されている場合は作成された気象反映運転注意情報を、気象情報が取得されていない場合は気象情報と無関係に用意された定型運転注意情報を運転注意情報として出力する運転注意情報出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明は、トンネル出口周辺の気象情報を取得し、トンネル出口において予測される運転上の注意すべき内容を運転者に報知し注意を促すものである。上記構成によって、リアルタイムで変化する気象情報についても対応可能となる。また、走行計画を立てずに走行している場合、あるいは目的地までの経路案内を行っていない場合でも、運転注意情報が出力され、トンネル出口にて天候の違いに適確に対応できるようになる。また、気象情報が取り込まれなかった場合でも、何らかの運転注意情報が出力されるので、ユーザの注意を喚起することができる。
【0013】
また、本発明の車両用ナビゲーション装置における予告情報作成手段は、気象情報の無線取得に失敗した場合に、気象反映運転注意情報の出力を実施しない主旨にて予告情報を作成するように構成することもできる。
【0014】
上記構成によって、トンネル出口付近の気象状態が不明であるということをユーザに伝えることができ、ユーザはトンネル出口に接近にしたら、より慎重な運転を心掛けるようになるので、天候の急変による突発事態にも余裕を持って対処できる。
【0015】
また、本発明の車両用ナビゲーション装置における予告情報作成手段は、無線取得した気象情報の作成日時と現在日時との時間差が予め定められた第一時間閾値を下回る場合に、気象反映運転注意情報に最新の気象情報が含まれる主旨にて予告情報を作成するように構成することもできる。
【0016】
上記構成によって、トンネル出口付近の最新の気象情報が出力されるということをユーザに伝えることができ、ユーザは、トンネルを出た後の対処方法を事前に考えておくことができる。
【0017】
また、本発明の車両用ナビゲーション装置における予告情報作成手段は、無線取得した気象情報の作成日時と現在日時との時間差が第一時間閾値を上回り、かつ第一時間閾値よりも大きい予め定められた第二時間閾値を下回る場合に、気象反映運転注意情報に作成日時を含めて出力を実施する主旨にて予告情報を作成するように構成することもできる。
【0018】
上記構成によって、最新ではないが、ある程度の信頼性のある気象情報が出力されるということをユーザに伝えることができ、ユーザは、その気象情報を参考にして、天候の変化傾向を予測することができ、トンネルを出る際に備えることができる。
【0019】
また、本発明の車両用ナビゲーション装置における予告情報作成手段は、無線取得した気象情報の作成日時と現在日時との時間差が第二時間閾値を上回る場合に、気象反映運転注意情報の出力を実施しない主旨にて予告情報を作成するように構成することもできる。
【0020】
天候は時期刻々変化するので、古い情報はあてにならないどころか有害になることもある。上記構成によって、信頼度の低い気象情報は用いられず、トンネル出口付近の気象状態が不明であるという運転注意情報が出力され、ユーザはトンネル出口に接近にしたら、より慎重な運転を心掛けるようになるので、天候の急変による突発事態にも余裕を持って対処できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の車両用ナビゲーション装置を、図面を参照しながら説明する。図1に車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示す。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0022】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサ(図示せず)や各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0023】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0024】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0025】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行われる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の予告情報作成手段,気象反映運転注意情報作成手段に相当する。
【0026】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0027】
描画部87は、HDD21等に記憶された道路地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0028】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0029】
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0030】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の予告情報出力手段,運転注意情報出力手段に相当する。
【0031】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される電波によって情報センタ14から気象情報を受信するための装置である。また、送受信機13をインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成として、気象情報を有するWEBサイトから情報も取得してもよい。例えば、2006年08月現在、日本国内では、数km四方のメッシュ単位で、現在の降雨情報や降雨予想情報等が配信されているので、これらを気象情報として取得してもよい。このとき、トンネルの出口を含むメッシュの気象情報を取得可能である。この場合は、車両の運転者(ユーザ)に気象情報の発信元を報知してもよい。さらに、情報センタ14をVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム,登録商標)センタとし、VICSセンタから受信する道路交通情報に含まれる気象情報を取得してもよい。なお、送受信機13が本発明の気象情報無線取得手段に相当する。
【0032】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。なお、スピーカ15が本発明の予告情報出力手段,運転注意情報出力手段に相当する。
【0033】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、情報センタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0034】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである道路地図データ21mが記憶される。道路地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標,距離,所要時間,道幅,車線数,制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標,右左折車線数,接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。さらに、道路地図データ21mには、名称,位置座標等を含むトンネルの位置情報も記憶されている。なお、道路地図データ21mが本発明の道路地図データ記憶手段に相当する。
【0035】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。
【0036】
ナビプログラム21p,道路地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0037】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0038】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0039】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22,リモコン端末12の操作、あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0040】
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法,目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
【0041】
図2を用いて本発明の基本構成について説明する。車両がトンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達した際に、予告情報を出力し、車両がトンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達した際に、運転注意情報を出力する。以下、詳細について述べる。
【0042】
図3を用いて予告情報出力メイン処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、位置検出器1から車両の現在位置情報を取得する(S11)。次に、車両の現在位置と道路地図データ21mとに基づいて、車両の周囲にトンネルが存在するか否か調べる。一般市街地を走行している場合は現在の位置と今までの平均走行速度とから、数時間以内に到達可能であってトンネル案内の条件にあうトンネルがあるか調べる。高速道路を走行している場合はその走行方向と今までの平均走行速度からこの高速道路の前方にある案内すべきトンネルがあるか調べる。
【0043】
高速道路と一般市街地の道路を分けるのは、高速道路においては車両の走行方向は概ね一方向であって、数時間で相当遠方に到達するためであり、一方、一般市街地では車両はどの方向にも走行可能であるが移動できる距離が限られるためである。また、車両の走行方向は、車両の現在位置の変化からも特定可能である。
【0044】
車両の周囲にトンネルが存在する場合(S12:Yes)、当該トンネル出口を含む地域の気象情報を取得する気象情報取得処理を実行する(S13,後述)。次いで、取得した気象情報に基づいて、運転注意情報の決定および予告情報の出力を行う、運転注意情報決定・予告情報出力処理を実行する(S14,後述)。
【0045】
図4を用いて、図3のステップS13に相当する気象情報取得処理について説明する。まず、時計IC88から日時情報を取得する(S31)。次いで、タイマをスタートさせる(S32)。次に、時計IC88から日時情報を取得して(S33)タイマ値と比較し、情報センタ14から気象情報を取得するタイミングかどうかを調べる。気象情報を取得するタイミングは、タイマがスタート後に例えば5分のような予め定められた時間が経過したときとする。この時間は気象情報がある場合は10分など長めの時間に設定するなど条件により変えてもよい。
【0046】
情報センタ14と常に通信を行い、気象情報を取得・更新しておくことが望ましいが、常に通信を行う場合、他車の通信を妨げたり、情報センタ14の処理負荷を増大させることになる。また、ナビゲーション装置100側の処理負荷も増大させることになる。しかし、本発明のように、トンネルが車両の現在位置の近傍に存在する場合にのみ気象情報を取得する構成であれば、情報センタ14およびナビゲーション装置100双方の処理負荷の増大を抑えることができる。また、車両の現在位置の近傍以外のトンネルに対する気象情報も持つことにより記憶するメモリ容量も制限することができる。
【0047】
気象情報を取得するタイミングである場合(S34:Yes)、タイマをリスタートさせる(S35)。そして、情報センタ14から気象情報を取得可能か否かを調べる。情報センタ14からの電波を受信できれば、気象情報を取得可能と判断する。気象情報を取得可能である場合(S36:Yes)、気象情報を取得し、時計IC88から取得した日時情報とともにメモリ9あるいはHDD21の所定の領域に記憶する(S37)。
【0048】
取得する気象情報は、現在の気象情報,1時間後の気象予報情報,2時間後の気象予報情報,3時間後の気象予報情報等で、気象予報時間の間隔については特に制約はない。また、取得する情報は、天候(晴れ,曇り,雨,雪),降水量,降雪量,風(風向,風力),気温,湿度等が含まれる。
【0049】
一度気象情報を取得したがその後、長い時間継続して気象情報の取得ができない場合(S36−1:Yes)、取得した気象情報を破棄する(S36−2)。すなわち、現在の日時情報を時計IC88から取得し、気象情報の取得日時が現在の日時よりも、例えば3時間以上のような予め定められた第二時間閾値を上回る場合に、その気象情報を破棄し、「気象情報なし」の状態とする。
【0050】
上記のステップS33〜S37までの処理を、車両の現在位置がトンネル出口の気象案内をするトンネル、例えば数100mのようなトンネル長の長いトンネルに予め定められた距離に接近するまで繰り返す(S38,S39:No)。
【0051】
車両がトンネルに予め定められた距離に接近した場合(S39:Yes)、情報センタ14から気象情報の取得が可能か調べる。気象情報を取得可能である場合(S40:Yes)、気象情報を取得し(S41)、日時情報を時計IC88から取得する(S42)。そして、気象情報と日時情報とを対応付けて、メモリ9あるいはHDD21の所定の領域に記憶する。
【0052】
常にトンネルに近づいた時、必ず気象情報データの取得が可能ならば、上記で説明した気象情報取得の処理は必要ない。しかし、殆どのトンネルは山の中にあり、情報センタ14と必ずしも通信できると限らないのでトンネル通過の事前に通信センタに接続し気象情報データをその取得時間ともに記憶しておく必要がある。
【0053】
図5を用いて、図3のステップS14に相当する運転注意情報決定・予告情報出力処理について説明する。まず、位置検出器1から車両の現在位置情報を取得する(S51)。次に、車両の現在位置と道路地図データ21mとに基づいて、車両が案内すべきトンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達したか否かを調べる。車両がトンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達した場合(S52:Yes)、メモリ9あるいはHDD21の所定の領域に記憶されている気象情報の解析を行う(S53)。
【0054】
まず、気象情報が記憶されていない場合(S54:No)、予め、HDD21のデータベース21d等に記憶されている定型運転注意情報を運転注意情報とする(S61)。そして、表示器10あるいはスピーカ15から、気象情報がないため運転注意情報にトンネル出口の気象情報が含まれない旨の予告情報を出力する(S62)。
【0055】
一方、気象情報が記憶されている場合(S54:Yes)、時計IC88から現在の日時情報を取得し(S55)、その気象情報とともに記憶されている日時情報と比較して、その気象情報が新しいものか否かを判断する。例えば、1時間以内のような、現在日時から遡って予め定められた第一時間閾値内に取得された気象情報またはトンネル直前で取得した気象データであれば新しいものであると判断する。
【0056】
気象情報が新しいものと判断された場合(S56:Yes)、当該気象情報を反映した気象反映運転注意情報を作成し、これを運転注意情報とする(S57)。そして、表示器10あるいはスピーカ15から、運転注意情報にトンネル出口周辺の最新の気象情報が含まれる旨の予告情報を出力する(S58)。
【0057】
一方、気象情報が新しくないもの、すなわち現在日時から遡って第一時間閾値を上回り、第二時間閾値を下回る間に取得されたものと判断された場合(S56:No)、記憶された気象情報の予報データを使用して気象反映運転注意情報を作成しこれを運転注意情報とし(S59)、運転注意情報にトンネル出口周辺の気象情報が含まれる旨の予告情報を出力する(S60)。この場合、1時間前に取得した気象情報データが最新のデータならば、そのデータに含まれる1時間後の予報データを気象反映運転注意情報に反映する。
【0058】
図6に、予告情報の出力例を示す。上述のように、予告情報には気象情報の取得状況が反映されている。「条件」の「気象情報データなし」の場合の予告情報が、図5のステップS62において出力される。また、「気象情報データが古い」場合の予告情報が、図5のステップS60において出力される。また、「気象情報データが新しい」場合の予告情報が、図5のステップS58において出力される。
【0059】
図7に、運転注意情報の出力例を示す。「条件」の「気象情報データなし」の場合の運転注意情報が、図5のステップS61において作成される。また、「気象情報データが古い」場合および「気象情報データが新しい」場合は、その気象情報に応じた運転注意情報(図7の「雨」,「雪」,「風」,「温度」に対応するもの)が図5のステップS59,S57において作成される。この場合「気象情報データが古い」場合は「気象情報データが新しい」場合と異なり、図7の全ての条件が含まれるわけではなく、気象情報データに応じて制限される。
【0060】
これらの予告情報および運転注意情報は、各条件に応じた定型文を予めデータベース21d等に記憶しておいてもよいし、予めデータベース21d等に記憶された単語あるいは語句を組み合わせて文を生成する方法を用いてもよい。
【0061】
図8を用いて、運転注意情報出力処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、位置検出器1から車両の現在位置情報を取得する(S71)。次に、車両の現在位置と道路地図データ21mとに基づいて、車両がトンネル内を走行中か否かを調べる。車両がトンネル内を走行中の場合(S72:Yes)、位置検出器1から車両の現在位置情報を取得する(S73)。そして、車両が入口で案内予告をしたトンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達したか否かを調べる。
【0062】
車両がトンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達した場合(S74:Yes)、上述の運転注意情報決定・予告情報出力処理において作成された運転注意情報を表示器10あるいはスピーカ15に出力する(S75)。運転注意情報は出力後にクリアしてもよい(S76)。
【0063】
図9に、車両の現在位置と各条件とに対応する制御内容の一覧を示す。「−」は、何も行わないことを表している。条件は、トンネル出口の気象情報の有無(気象情報を取得しているか否か),気象情報を取得してからの時間の経過(気象情報取得タイミングか否か),情報センタ(14)との通信の可否(気象情報を受信可能か否か)である。また、これらの制御内容に対応する、図4,図5,図8のステップ番号も付記されている。
【0064】
上記構成では、情報センタとの通信で気象情報データ取得する例を説明したが、車両の携帯電話からインターネットに接続し、インターネット上に公開されている気象データを取得して実施しても良い。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の基本概念を説明する図。
【図3】予告情報出力メイン処理を説明するフロー図。
【図4】気象情報取得処理を説明するフロー図。
【図5】運転注意情報決定・予告情報出力処理を説明するフロー図。
【図6】予告情報の出力例を示す図。
【図7】運転注意情報の出力例を示す図。
【図8】運転注意情報出力処理を説明するフロー図。
【図9】車両の現在位置と各条件とに対応する制御内容の一覧を示す図。
【符号の説明】
【0067】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(予告情報作成手段,気象反映運転注意情報作成手段)
10 表示器(予告情報出力手段,運転注意情報出力手段)
12 リモコン端末
13 送受信機(気象情報無線取得手段)
14 情報センタ
15 スピーカ(予告情報出力手段,運転注意情報出力手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21m 道路地図データ(道路地図データ記憶手段)
22 タッチパネル
26 LAN I/F
100 車両用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
トンネルの位置情報を道路地図データと合わせて記憶する道路地図データ記憶手段と、
前記車両の周囲に前記トンネルが存在する場合、前記車両の外部から前記トンネルを含む地域の気象情報を無線取得する気象情報無線取得手段と、
前記車両が前記トンネルに到達するのに先立って、前記気象情報無線取得手段による前記気象情報の取得状況を確認し、当該取得状況が反映された予告情報を作成する予告情報作成手段と、
前記車両が前記トンネルの入口手前の予め定められた範囲に到達した際に、前記予告情報を出力する予告情報出力手段と、
前記トンネル出口において出力すべき運転注意情報を、前記気象情報が取得されていれば当該気象情報を反映した気象反映運転注意情報として作成する気象反映運転注意情報作成手段と、
前記車両が前記トンネルの出口手前の予め定められた範囲に到達した際に、前記気象情報が取得されている場合は作成された前記気象反映運転注意情報を、前記気象情報が取得されていない場合は気象情報と無関係に用意された定型運転注意情報を前記運転注意情報として出力する運転注意情報出力手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記予告情報作成手段は、前記気象情報の無線取得に失敗した場合に、前記気象反映運転注意情報の出力を実施しない主旨にて前記予告情報を作成する請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記予告情報作成手段は、無線取得した前記気象情報の作成日時と現在日時との時間差が予め定められた第一時間閾値を下回る場合に、前記気象反映運転注意情報に最新の前記気象情報が含まれる主旨にて前記予告情報を作成する請求項1または請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記予告情報作成手段は、無線取得した前記気象情報の作成日時と現在日時との時間差が前記第一時間閾値を上回り、かつ前記第一時間閾値よりも大きい予め定められた第二時間閾値を下回る場合に、前記気象反映運転注意情報に前記作成日時を含めて出力を実施する主旨にて前記予告情報を作成する請求項3に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記予告情報作成手段は、無線取得した前記気象情報の作成日時と現在日時との時間差が前記第二時間閾値を上回る場合に、前記気象反映運転注意情報の出力を実施しない主旨にて前記予告情報を作成する請求項4に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−232952(P2008−232952A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75473(P2007−75473)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】