説明

車両用安全装置

【課題】車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが抑制され、ドライバーのステアリング操作性が向上する。
【解決手段】衝突前車両制御手段104がシートベルト制御信号を、ブレーキ制御信号よりも早いタイミングで生成する車両用安全装置にあって、ブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、ステアリング操作量が所定値以上となった場合、衝突前車両制御手段104は、ブレーキ制御信号の生成を解除するが、シートベルト制御信号の生成を解除しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事故等による衝撃が乗員に伝わる前に乗員の安全性を高め、衝突による被害を軽減する車両用安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行車等のオブジェクトと自車両との衝突を予測した場合、電動モータによりシートベルトを巻き取るシートベルト装置及び自動的に自車両を減速するブレーキ装置を用いて、シートベルトで乗員を強制的にシートに拘束すると同時に、自動ブレーキによって自車両を減速させ、事故等による衝撃が乗員に伝わる前に乗員の安全性を高め、衝突による被害を軽減することができる車両用安全装置については、既に提案されている。
【0003】
また、自動ブレーキ作動時に、ドライバーがオブジェクトとの衝突を回避するためのステアリング操作を行った場合の対処として、ドライバーのステアリング操作量に基づいて自動ブレーキ解除勾配を演算し、その勾配に応じた速度で自動ブレーキを解除する自動ブレーキ制御装置(例えば、特許文献1)、及び四輪のブレーキを適切に制御し、車両の回頭性を高めることで回避をアシストする自動ブレーキ制御装置(例えば、特許文献2)が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−142281号公報
【特許文献2】特開平7−21500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ドライバーのステアリング操作量に基づき、自動ブレーキを解除する速度を変えているものの、自動ブレーキによる車両の進行方向へのドライバーの身体のふらつきと、ステアリング操作による車両の左右方向へのドライバーの身体のふらつきによって、ドライバーのステアリング操作性が低下してしまう問題がある。
【0006】
また、特許文献2でも同様に、車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが懸念されるが、ドライバーが予期できないタイミングで車両の回頭性が高まるため、特に左右方向へのドライバーの身体のふらつきの影響を受け、ドライバーのステアリング操作性が低下してしまう問題がある。従って、従来の技術では、ドライバーがオブジェクトとの衝突を回避するためのステアリング操作を行った場合、ドライバーは十分なステアリング操作をすることができなかった。
【0007】
この発明は、上記のような問題を解消するためになされたもので、ドライバーがオブジェクトとの衝突を回避するためにステアリング操作をした場合において、ドライバーのステアリング操作性を向上することが可能な車両用安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わる車両用安全装置は、自車両に搭載され、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクトと自車両との相対距離と相対速度を検出するオブジェクト検出手段と、前記オブジェクト検出手段の出力結果を基に、自車両の衝突を予測し、その予測結果として衝突予測信号を生成する衝突予測手段と、自車両のドライバーのステアリング操作量を検出するステアリング操作量検出手段と、前記衝突予測手段の衝突予測信号に基づいて、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成する衝突前車両制御手段と、前記衝突前車両制御手段のシートベルト制御信号に基づいて、乗員を拘束するシートベルト装置と、前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号に基づいて、自車両を減速させるブレーキ装置とを備え、前記衝突前車両制御手段が前記シートベルト制御信号を、前記ブレーキ制御信号よりも早いタイミングで生成する車両用安全装置にあって、前記ブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、前記ステアリング操作量が所定値以上となった場合、前記衝突前車両制御手段は、前記ブレーキ制御信号の生成を解除するが、前記シートベルト制御信号の生成を解除しないようにしたものである。
【0009】
また、この発明に係わる車両用安全装置は、自車両に搭載され、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクトと自車両との相対距離と相対速度を検出するオブジェクト検出手段と、前記オブジェクト検出手段の出力結果を基に、自車両の衝突を予測し、その予測結果として衝突予測信号を生成する衝突予測手段と、自車両のドライバーのステアリング操作量を検出するステアリング操作量検出手段と、前記衝突予測手段の衝突予測信号に基づいて、ブレーキ制御信号を生成すると共に、シートベルト制御信号が生成可能な状態となる衝突前車両制御手段と、前記衝突前車両制御手段からシートベルト制御信号が生成されるとき、乗員を拘束するシートベルト装置と、前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号に基づいて、前記自車両を減速させるブレーキ装置とを備える車両用安全装置にあって、前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、前記ステアリング操作量が所定値以上となった場合、前記衝突前車両制御手段がシートベルト制御信号を生成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の車両用安全装置によれば、オブジェクト検出手段が検出したオブジェクト情報を基に、衝突予測手段がオブジェクトとの衝突を予測し、衝突が予測された場合、衝突前車両制御手段によってシートベルト制御信号及びブレーキ制御信号が生成され、シートベルトによる乗員拘束及び自動ブレーキが作動する。この間に、ステアリング操作量検出手段によってドライバーのステアリング操作を検出した場合、自動ブレーキは解除するがシートベルトによる乗員拘束は解除しないことにより、車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが抑制され、ドライバーのステアリング操作性が向上する。また、もしオブジェクトとの衝突が発生した場合においても、衝突による乗員への被害を軽減することができる。
【0011】
また、この発明の車両用安全装置によれば、オブジェクト検出手段が検出したオブジェクト情報を基に、衝突予測手段がオブジェクトとの衝突を予測し、衝突が予測された場合、衝突前車両制御手段によってブレーキ制御信号が生成され、自動ブレーキが作動する。この間に、ステアリング操作量検出手段によってドライバーのステアリング操作を検出した場合、衝突前車両制御手段によってシートベルト制御信号が生成され、シートベルトによって乗員が拘束されることで、車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが抑制され、ドライバーのステアリング操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による車両用安全装置を概略的に示す構成ブロック図である。図1のように、車両に搭載される車両用安全装置は、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクト(例えば、障害物となる前方車両、物体)と自車両との相対距離と相対速度を検出するオブジェクト検出手段101と、オブジェクト検出手段101から出力されるオブジェクト情報に基づき、自車両とオブジェクトとの衝突を予測し、衝突する可能性があると判断した場合、衝突予測信号を生成する衝突予測手段102と、ドライバーのステアリング操作を検出し、そのステアリング操作量を出力するステアリング操作量検出手段103と、前記衝突予測信号に基づいて、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成する衝突前車両制御手段104と、前記シートベルト制御信号を受けて乗員を拘束するように作動するシートベルト装置105と、前記ブレーキ制御信号を受けて自車両を減速させるように作動するブレーキ装置106とから構成されている。
【0013】
次に、実際の動作について、フローチャートを用いて説明する。図2は実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。このフローチャートの処理は1サイクル10msecで繰り返し行われるものである。ここで、衝突予測時間は、自車両が先方のオブジェクトに衝突するまでの予測時間であり、衝突予測手段によって算出されるものとする。衝突予測時間の算出方法としては、例えば、先方のオブジェクトまでの相対距離D、及び自車両の速度又は、自車両のオブジェクトとの相対速度Vを用いて
(衝突予測時間)=D/V
としても良い。
【0014】
シートベルト制御信号は、衝突予測時間がT1未満のときに生成される。また、ブレーキ制御信号は、衝突予測時間がT2未満のときに生成されるものとし、T1>T2であるとする。また、ドライバーがステアリング操作を行ったことを判定するためのステアリング操作量をS1とする。まず、オブジェクト検出手段101によるオブジェクト検出処理を行う(“ステップ201”、以下単に“201”と表示する。)。次に、ステアリング操作量検出手段103によるステアリング操作量検出処理を行う(202)。
【0015】
オブジェクトを検出していない場合(203NO)、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成しない(207,211)。オブジェクトを検出している場合(203YES)、衝突予測手段102による衝突予測処理を行う(204)。衝突予測手段102により算出された衝突予測時間が、所定時間T1未満の場合(205YES)、衝突の可能性があると判断され、衝突前車両制御手段104はシートベルト制御信号を生成する(206)。なお、シートベルト制御信号が生成されただけの段階では、まだ、シートベルト装置105によるシートベルトの作動処理(シートベルトの巻き込み処理)は行われていない。
【0016】
衝突予測手段102により算出された衝突予測時間が、所定時間T1以上の場合(205NO)、衝突の可能性がないと判断され、衝突前車両制御手段104はシートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成しない(207,211)。衝突予測手段102により算出された衝突予測時間が、所定時間T2未満で(208YES)、更にドライバーによるステアリング操作量が所定値S1未満の場合(209YES)、衝突前車両制御手段104は、ブレーキ制御信号を生成する(210)。なお、ブレーキ制御信号が生成されただけの段階では、まだ、ブレーキ装置106によるブレーキ作動処理(自動ブレーキ処理)は行われていない。
【0017】
衝突予測手段102により算出された衝突予測時間が、所定時間T2未満で(208YES)、更にドライバーによるステアリング操作量が所定値S1以上の場合(209NO)、衝突前車両制御手段104は、ブレーキ制御信号を生成しない(211)。衝突予測手段により算出された衝突予測時間が、所定時間T2以上の場合(208NO)も同様に、衝突前車両制御手段104はブレーキ制御信号を生成しない(211)。
【0018】
続いて、各制御信号のステータスに応じて、シートベルト装置105、ブレーキ装置106の作動処理を行う。シートベルト制御信号が生成されている場合(212YES)、シートベルト装置105が作動する(213)。例えば、シートベルトを巻き取り、乗員をシートに拘束する処理が行われる。シートベルト制御信号が生成されていない場合(212NO)、シートベルト装置105及びブレーキ装置106は作動せず(214,217)、1サイクルの処理が終了する。
【0019】
次に、ブレーキ制御信号が生成されている場合(215YES)、ブレーキ装置106が作動し、自車両を減速させるための自動ブレーキ操作を行い(216)、1サイクルの処理が終了する。ブレーキ制御信号が生成されていない場合(215NO)、ブレーキ装置106は作動せず(217)、1サイクルの処理が終了する。
【0020】
1サイクルの処理が終了すると、RETURNし、再びSTARTから開始するが、213でシートベルト装置105が作動しているものは、以後のサイクルで解除指示があるまで、作動を継続して乗員をシートに拘束し、216でブレーキ装置106が作動しているものは、以後のサイクルで解除指示があるまで、作動を継続して自車両を減速制御している。次のサイクルで、オブジェクト検出処理(201)−ステアリング操作量検出処理(202)−オブジェクト検出(203YES)―衝突予測処理(204)―衝突予測時間T1未満(205YES)―シートベルト制御信号生成(206)―衝突予測時間T2未満(208YES)となったところで、ドライバーが衝突を回避するために、ハンドルを操作しステアリング操作量が所定値S1以上となった場合(209NO)には、衝突前車両制御手段104は、ブレーキ制御信号を生成しない(211)。
【0021】
このとき、制御信号のステータスは、シートベルト制御信号が生成状態で、ブレーキ制御信号が生成されていない状態となっている。そのため、シートベルト装置105の作動が解除されることなく継続する(212YES―213)が、ブレーキ装置106の作動は解除される(215NO―217)。
【0022】
このように、衝突前車両制御手段104がシートベルト制御信号を、ブレーキ制御信号よりも早いタイミングで生成する車両用安全装置にあって、ブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、ステアリング操作量が所定値以上となった場合、衝突前車両制御手段104は、ブレーキ制御信号の生成を解除するが、シートベルト制御信号の生成を解除しないようにした。そのため、自動ブレーキがかかる前にシートベルトによる乗員拘束が成される車両用安全装置にあって、自動ブレーキ作動中、ドライバーによるステアリング操作量が所定値以上となった場合に、ドライバーの操舵フィーリングに違和感を与えないため自動ブレーキは解除するが、シートベルトは解除しないことにより、車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが抑制され、ドライバーのステアリング操作性が向上する。また、もしオブジェクトとの衝突が発生した場合においても、シートベルトの拘束効果によって、衝突による乗員への被害を軽減することができる。
【0023】
実施の形態1では、自動ブレーキ作動中、ドライバーによるステアリング操作があった場合、自動ブレーキを解除するようにブレーキ装置を制御しているが、自動ブレーキの解除の一態様として、ドライバーの回避行動をアシストするために、車両の回頭性を高めるように、4輪の各車輪毎のブレーキ装置の解除に差を設けるように制御しても差し支えない。また、ドライバーに違和感を与えないために、自動ブレーキの解除に減速パターン(例えば、徐々に減速量を小さくする等)を持たせても差し支えない。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2による車両用安全装置を示す構成ブロック図は図1と同様である。次に、実際の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートの処理も1サイクル10msecで繰り返し行われるものであり、T1,T2,S1も同様な意味で取り扱つかわれる。
【0025】
まず、オブジェクト検出手段101によるオブジェクト検出処理を行う(301)。次に、ステアリング操作量検出手段103によるステアリング操作量検出処理を行う(302)。オブジェクトを検出していない場合(303NO)、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成しない(307,310)。
【0026】
オブジェクトを検出している場合(303YES)、衝突予測手段102による衝突予測処理を行う(304)。衝突予測手段102により算出された衝突予測時間が、所定時間T2未満の場合(305YES)、衝突前車両制御手段104はブレーキ制御信号を生成する(306)。衝突予測手段102により演算された衝突予測時間が、所定時間T2以上の場合(305NO)、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成しない(307,310)。
【0027】
衝突予測時間が所定時間T2以下であり(305YES)、ステアリング操作量検出手段によって検出されたドライバーのステアリング操作量がS1以上の場合(308YES)、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号を生成する(309)。衝突予測時間が所定時間T2以下であり(305YES)、ステアリング操作量検出手段103によって検出されたドライバーのステアリング操作量がS1未満の場合(308NO)、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号を生成しない(310)。
【0028】
続いて、各制御信号のステータスに応じて、ブレーキ装置106、シートベルト装置105の作動処理を行う。ブレーキ制御信号が生成されている場合(311YES)、ブレーキ装置106が作動し、自車両を減速させるための自動ブレーキ操作を行う(312)。ブレーキ制御信号が生成されていない場合(311NO)、ブレーキ装置106、シートベルト装置105は作動せず(313,316)、1サイクルの処理が終了する。
【0029】
次に、ブレーキ制御信号が生成され(311YES)、更にシートベルト制御信号が生成されている場合(314YES)、シートベルト装置105が作動し、シートベルトを巻き取り、乗員をシートに拘束するといった処理が行われ(315)、1サイクルの処理が終了する。シートベルト制御信号が生成されていない場合(314)、シートベルト装置は作動せず(316)、1サイクルの処理が終了する。
【0030】
1サイクルの処理が終了すると、RETURNし、再びSTARTから開始するが、312でブレーキ装置106が作動しているものは、以後のサイクルで解除指示があるまで、作動を継続して自車両を減速制御し、316でシートベルト装置105が作動していないものは、以後のサイクルで作動指示があるまで、作動しない状態を継続する。この状態で、次のサイクルで、オブジェクト検出処理(301)−ステアリング操作量検出処理(302)−オブジェクト検出(303YES)―衝突予測処理(304)―衝突予測時間T2未満(305YES)―ブレーキ制御信号生成(306)となったところで、ドライバーが衝突を回避するために、ハンドルを操作しステアリング操作量が所定値S1以上となった場合(308YES)には、衝突前車両制御手段104は、シートベルト制御信号を生成する(309)。
【0031】
このとき、制御信号のステータスは、ブレーキ制御信号とシートベルト制御信号が共に生成状態となっている。そのため、ブレーキ装置106の作動は引き続き継続され(311YES―312)、シートベルト装置105の作動が開始される(314YES―315)。
【0032】
このように、衝突前車両制御手段104のブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、ステアリング操作量が所定値以上となった場合、衝突前車両制御手段104がシートベルト制御信号を生成するようにした。そのため、衝突を予測した場合に自動ブレーキによって衝突による被害を軽減する車両用安全装置において、自動ブレーキ作動中、ドライバーによるステアリング操作量が所定値以上となった場合に、シートベルトによって乗員を拘束することにより、車両の進行方向、左右方向へのドライバーの身体のふらつきが抑制され、ドライバーのステアリング操作性が向上する。また、もしオブジェクトとの衝突が発生した場合においても、シートベルトの拘束効果によって、衝突による乗員への被害を軽減することができる。
【0033】
実施の形態3.
実施の形態1,2において、シートベルトによる乗員の拘束力は、例えば、図4のようになる。即ち、ドライバーによるステアリング操作量[deg]が大きいほど、シートベルトによる乗員の拘束力[N]を強めることで、ドライバーの身体のふらつきをより良く抑制することができる。また、ここではステアリング操作量に応じてシートベルトによる乗員の拘束力を強めたが、特に、乗員のステアリング操作量に関わらず、シートベルトによる乗員の拘束力を一定としても差し支えない。
【0034】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4による車両用安全装置を概略的に示す構成ブロック図である。図5のように、車両に搭載される車両用安全装置は、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクトと自車両との相対距離,相対速度を検出可能なオブジェクト検出手段501と、オブジェクト検出手段501から出力されるオブジェクト情報に基づき、自車両とオブジェクトとの衝突を予測し、衝突する可能性があると判断した場合、衝突予測信号を生成する衝突予測手段502と、ドライバーのステアリング操作を検出し、そのステアリング操作量を出力するステアリング操作量検出手段507と、ステアリング操作量を演算するための各種センサ(503-506)と、衝突予測信号に基づいて、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成する衝突前車両制御手段508と、シートベルト制御信号を受けて作動するシートベルト装置509と、ブレーキ作動信号を受けて作動するブレーキ装置510とから構成されている。
【0035】
実際の動作については、実施の形態1,2と同様である。このとき、ヨーレートセンサ503、横加速度センサ504、舵角センサ505、操舵トルクセンサ506の各出力及びそれらの時間変化量のいずれかに基づいてステアリング操作量を演算するため、ステアリング操作量を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1による車両用安全装置を概略的に示す構成ブロック図である。
【図2】実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。
【図3】実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【図4】実施の形態3によるステアリング操作量とシートベルトによる乗員拘束力の関係を示す図である。
【図5】実施の形態4による車両用安全装置を概略的に示す構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
101,501 オブジェクト検出手段
102,502 衝突予測手段
103,507 ステアリング操作量検出手段
104,508 衝突前車両制御手段
105,509 シートベルト装置
106,510 ブレーキ装置
503 ヨーレートセンサ
504 横加速度センサ
505 舵角センサ
506 操舵トルクサンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載され、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクトと自車両との相対距離と相対速度を検出するオブジェクト検出手段と、
前記オブジェクト検出手段の出力結果を基に、自車両の衝突を予測し、その予測結果として衝突予測信号を生成する衝突予測手段と、
自車両のドライバーのステアリング操作量を検出するステアリング操作量検出手段と、
前記衝突予測手段の衝突予測信号に基づいて、シートベルト制御信号及びブレーキ制御信号を生成する衝突前車両制御手段と、
前記衝突前車両制御手段のシートベルト制御信号に基づいて、乗員を拘束するシートベルト装置と、
前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号に基づいて、自車両を減速させるブレーキ装置とを備え、
前記衝突前車両制御手段が前記シートベルト制御信号を、前記ブレーキ制御信号よりも早いタイミングで生成する車両用安全装置にあって、
前記ブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、前記ステアリング操作量が所定値以上となった場合、前記衝突前車両制御手段は、前記ブレーキ制御信号の生成を解除するが、前記シートベルト制御信号の生成を解除しないようにしたことを特徴とする車両用安全装置。
【請求項2】
自車両に搭載され、所定の検出エリアに電磁波を送信し、その反射波を受信することで、少なくとも検出エリアに存在するオブジェクトと自車両との相対距離と相対速度を検出するオブジェクト検出手段と、
前記オブジェクト検出手段の出力結果を基に、自車両の衝突を予測し、その予測結果として衝突予測信号を生成する衝突予測手段と、
自車両のドライバーのステアリング操作量を検出するステアリング操作量検出手段と、
前記衝突予測手段の衝突予測信号に基づいて、ブレーキ制御信号を生成すると共に、シートベルト制御信号が生成可能な状態となる衝突前車両制御手段と、
前記衝突前車両制御手段からシートベルト制御信号が生成されるとき、乗員を拘束するシートベルト装置と、
前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号に基づいて、前記自車両を減速させるブレーキ装置とを備える車両用安全装置にあって、
前記衝突前車両制御手段のブレーキ制御信号により、自車両が減速制御されている間に、前記ステアリング操作量が所定値以上となった場合、前記衝突前車両制御手段がシートベルト制御信号を生成するようにしたことを特徴とする車両用安全装置。
【請求項3】
前記ステアリング操作量検出手段で検出したステアリング操作量が大きいほど、シートベルト装置のシートベルトによる乗員の拘束力を強くするようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用安全装置。
【請求項4】
前記ステアリング操作量検出手段のステアリング操作量は、ヨーレートセンサ,横加速度センサ,舵角センサ,操舵トルクセンサの各出力,及びそれらの時間変化量の何れかに基づいて演算されることを特徴とする請求項3に記載の車両用安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−174054(P2008−174054A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8262(P2007−8262)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】