説明

車両用走行案内装置および地図記憶媒体

【課題】より少ないデータ量で交差点の域内に設けられた交差点域内迂回路の案内を行う。
【解決手段】記憶装置5には、交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報が記憶されており、記憶装置5に記憶された迂回路情報により、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定し(S106)、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定し場合、交差点域内迂回路の案内を行う(S200)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地経路に従って走行案内を行う車両用走行案内装置およびこの車両用走行案内装置に用いられる地図記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用走行案内装置としては、交差点の域内に設けられた右左折のための交差点域内迂回路(例えば、左折専用レーン)の案内を行うために、図10に示すように、交差点内迂回路を示すリンク情報(Lc)と、このリンクの両端を示す2つのノード情報(Na、Ne)を地図データに含むように構成し、経路探索時に交差点内迂回路を通る経路を選択できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−72340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、地図データのノード情報には、そのノードID、座標、ノード属性(例えば、立体交差点や多車線交差点等を示すデータ)などが含まれ、また、地図データのリンク情報には、そのリンクID、始端および終端の座標、特定の方向(例えば、北)に対するリンクの角度、道路幅、道路種別(高速道路、国道、県道の別等)、リンク属性(例えば、道路の車線数や一方通行等の規制、交差点域内迂回路に関するデータ)などが含まれる。
【0004】
したがって、特許文献1に示した装置のように、交差点内迂回路を示すリンク情報と、このリンクの両端を示す2つのノード情報を地図データに含むように構成した場合、地図データのデータ量が大きくなってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、より少ないデータ量で交差点域内迂回路の案内を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、地図データを記憶する地図記憶媒体と、該地図記憶媒体に記憶された地図データに基づいて目的地までの目的地経路を探索し、探索した目的地経路に従って走行案内を行う案内手段と、を備えた車両用走行案内装置であって、地図記憶媒体には、交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報が記憶されており、迂回路情報により、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定する判定手段を備え、案内手段は、判定手段によって走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定された場合、交差点域内迂回路の走行案内を行うことである。
【0007】
このような構成では、地図記憶媒体に記憶された交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報により、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定し、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定した場合、案内手段によって、交差点域内迂回路の走行案内が行われるので、特許文献1に示した装置のように交差点内迂回路を示すリンク情報と、このリンクの両端を示す2つのノード情報を地図データに含むように構成することなく、より少ないデータ量で交差点域内迂回路の案内を行うことができる。
【0008】
また、本発明の第2の特徴は、迂回路情報は、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎の交差点域内迂回路の有無を表すものであり、判定手段は、走行中の道路と目的地経路から走行先の交差点の進入道路と退出道路を特定するとともに、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎の交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報を参照して、走行先の案内交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定することである。
【0009】
このような構成では、どの進入道路から交差点へ進入する場合でも、走行中の道路と目的地経路から走行先の交差点の進入道路と退出道路を特定し、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎に交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報を参照して、走行先の案内交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定することができる。
【0010】
また、本発明の第3の特徴は、迂回路情報には、交差点と該交差点の域内に設けられた交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離が含まれており、案内手段は、迂回路情報に含まれる交差点と交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離を読み出す読出手段と、自車位置と走行先の案内交差点との距離と読出手段によって読み出された交差点と交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離から交差点域内迂回路の走行案内を行うタイミングを特定するタイミング特定手段と、タイミング特定手段によって特定されたタイミングに従って交差点域内迂回路の走行案内を行うことである。
【0011】
このような構成では、交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点の手前に位置するタイミングで交差点域内迂回路の走行案内を行うことが可能である。
【0012】
また、本発明の第4の特徴は、コンピュータにより、目的地までの目的地経路を探索するとともに、探索した目的地経路に従って走行案内を実行するための地図データが記憶された車両用走行案内装置の地図記憶媒体であって、地図データは、交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報を含むものであることである。
【0013】
このような構成では、コンピュータは、地図データに含まれる交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報に基づいて交差点域内迂回路の案内を実施することが可能となるので、特許文献1に示した装置のように交差点内迂回路を示すリンク情報と、このリンクの両端を示す2つのノード情報を地図データに含むように構成することなく、より少ないデータ量で交差点域内迂回路の案内を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る車両用走行案内装置の構成を図1に示す。本車両用走行案内装置は、車両の現在位置を検出する現在位置検出器を構成するGPS受信機1、方位センサ2、車輪速センサ3を備えている。GPS受信機1は、人工衛星からの電波を受信して車両の現在位置を示す信号を出力する。方位センサ2は、例えば地磁気を利用して車両の進行方向を検出し、方位信号を出力する。車輪速センサ3は、車輪の回転数により車両の走行速度を検出し、距離信号を出力する。そして、それらGPS受信機1、方位センサ2、車輪速センサ3の出力信号は、制御装置4に与えられる。
【0015】
制御装置4には、記憶装置5が接続されている。この記憶装置5は、地図記憶媒体として機能するもので、地図データを記録したハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の記憶媒体を備え、制御装置4に地図データ等を出力する。なお、記憶装置5には、案内音声を発生させるための音声データも記憶されている。
【0016】
操作部6は、ワイヤレスリモコン、或いは表示装置7に付属されたキースイッチ若しくは表示画面を直接触接するタッチスイッチ等により構成されており、この操作部6により、表示装置7の画面に表示された地図上で位置を指定したり、或いは電話番号を入力したりすることによって目的地や通過点を制御装置4に入力することがでるようになっている。なお、目的地経路の探索時において、出発地は通常は車両の現在位置であるが、現在位置と異なる位置を出発地として設定したい場合には、上述のように操作部6を使用して出発地点を任意に設定することができる。
【0017】
表示装置7は、車両のインストルメントパネル部に設けられ、道路地図や車両の現在位置等を表示する。この表示装置7は、液晶表示装置、CRT表示装置等を用いることができる。
【0018】
制御装置4は、CPU、RAM等のメモリを有するコンピュータによって構成され、上記のGPS受信機1、方位センサ2、車輪速センサ3からの信号により現在位置を算出する現在位置算出処理、車両周辺の道路地図上に自車位置マークを重ねて表示装置7に表示させる地図表示処理、使用者の操作部6の操作によって入力された条件に該当する目的地を検索する目的地検索処理等を実行する。
【0019】
また、制御装置4は、出発地と目的地が指定されると、その間の最適な経路を探索するようになっている。そして、目的地に対する経路案内を行うときには、制御装置4は、上記の目的地経路を表示装置7に強調表示させると共に、音声案内装置8にて目的地経路に沿う走行案内、例えば右折地点、左折地点に至る手前の所定のタイミングにて、その右折或いは左折の案内のための音声を発生させる処理を実行するように構成されている。
【0020】
ここで、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の記憶媒体に記憶された地図データについて説明する。地図データは、図2に示すように、描画データ、索引データ、経路データ、等を備えている。
【0021】
描画データは、道路地図を表示装置7の画面に表示するためのもので、ノード情報とリンク情報とを有している。これは、地図上の各道路を交差点、分岐点、合流点、所定角度以上のカーブ等の屈曲点を示すノードにより複数に分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定し、それらリンクを接続することにより地図を構成するという考え方に基づく。
【0022】
上記ノード情報は、各ノードについて、その固有番号(ノードID)、座標、ノード属性(例えば、立体交差や多車線交差点等を示すデータ)から構成されている。リンク情報は、各リンクについて、その固有番号(リンクID)、始端および終端の座標、特定の方向(例えば、北)に対するリンクの角度、道路幅、道路種別(例えば、高速道路、国道、県道等を示すデータ)を示すデータ等の他、リンク属性例えば道路の車線数や一方通行の規制に関するデータから構成されている。
【0023】
索引データとは、出発地や目的地が、地名、建築物名、電話番号等で入力されたとき、その位置を検索するためのもので、地名、建築物名、電話番号等と、それに対応する地図上の座標を関連付けたデータを有している。そして、制御装置4は、操作部6により地名、建築物名、電話番号等が指定されたとき、索引データからその地点の座標を検出し、表示装置7の道路地図上に表示するように構成されている。
【0024】
経路データは、目的地経路の設定に用いられるもので、リンク情報、ノード情報およびネットワーク情報を有している。
【0025】
経路データにおけるリンク情報は、図3に示すように、リンク毎に、リンクID、リンク属性、リンク種別、リンク長等、コスト計算に必要なデータを有している。リンク属性とは、道路の車線数等リンクに関するデータであり、リンク種別とは、道路の種別を示すデータであり、リンク長とは、そのリンクが示す道路長を示すデータである。
【0026】
経路データにおけるノード情報は、上記したノード毎に、ノードID、ノード属性、迂回路情報等を有している。ノード属性とは、例えば立体交差や多車線交差点等ノードに関するデータであり、迂回路情報とは、交差点の域内に設けられた右左折のための交差点域内迂回路を表すデータである。
【0027】
図4は、図5に示すような交差点域内に道路1から道路2へ接続する左折専用道(交差点域内迂回路)が存在する交差点の迂回路情報を示したものである。図4に示すように、迂回路情報には、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎に交差点域内迂回路の有無を示す情報および交差点に交差点域内迂回路が有る場合には、交差点と該交差点の域内に設けられた交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離(例えば、交差点の中央から交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離:交差点手前30メートル)を示す情報が含まれる。
【0028】
上記した構成において、制御装置4は、道路地図の表示時には、記憶装置5にアクセスして描画データを制御装置4が有する一時記憶装置、例えばRAMに読み込む。そして、制御装置4は、その描画データを用いて、道路毎に、その道路の始端および終端のノードIDから、その間のリンクID列およびノードID列を特定し、それらリンクIDおよびノードIDを基に描画データのノード情報およびリンク情報から各道路におけるノードおよびリンクの座標を抽出し、その抽出した座標点をノード属性およびリンク属性に応じて連結表示させることにより、道路地図を表示装置7の画面上に表示させる。
【0029】
また、制御装置4は、目的地経路の設定時には、記憶装置5にアクセスして経路データを制御装置4のRAMに読み込む。そして、制御装置4は、経路データのリンク情報およびノード情報を用いて出発地から目的地に向かって経路を順次探索し、探索した複数経路から評価値計算(例えば、ダイクストラ法によるコスト計算)により経路を選択するという動作を繰り返し、最終的に出発地から目的地に至るまでの最適経路を目的地経路として設定し、設定した目的地経路を表示装置7の道路地図上に強調表示させる。
【0030】
次に、図6に従って、制御装置4による目的地への走行案内時の処理について説明する。アクセサリスイッチがオンしてバッテリから電源が供給されると、本車両用走行案内装置は動作状態となり、制御装置4は、自車位置算出処理等の処理を開始する。また、制御装置4は、使用者の操作部6の操作に応じて目的地検索を指示する信号が入力されると、図6に示す処理を実施する。
【0031】
まず、目的地検索処理を実施して出発地(本実施形態では、現在位置を出発地とする)および目的地を設定する(S100)。
【0032】
次に、経路探索を実施する(S102)。具体的には、経路データのリンク情報とノード情報を用いて出発地から目的地に至る最適経路を目的地経路として探索する。
【0033】
次に、次の案内交差点の所定距離(例えば、1キロメートル)手前に位置するか否かを判定する(S104)。具体的には、次の案内交差点と現在位置との距離を求め、この距離が所定距離未満か否かに基づいて次の案内交差点の所定距離手前の地点に到達したか否かを判定する。
【0034】
使用者が探索された経路に従って走行を開始し、自車が次の案内交差点の所定距離手前の地点に到達するまでは、S104の判定はNOとなり、S104の判定を繰り返す。
【0035】
そして、自車が次の案内交差点の所定距離手前の地点に到達すると、S104の判定はYESとなり、次に、交差点に迂回路(交差点域内迂回路)があるか否かを判定する(S106)。具体的には、走行中の道路と目的地経路から走行先の交差点の進入道路と退出道路を特定するとともに、経路データのノード情報に含まれる迂回路情報を参照して、走行先の交差点(案内交差点)に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定する。例えば、左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられている案内交差点を左折する場合には、進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定する。
【0036】
したがって、次の案内交差点に左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられていない場合や、案内交差点に左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられていても次の案内交差点を右折する場合、S106の判定はNOとなり、次に、単純な分岐案内を行う(S108)。この単純な分岐案内とは、従来の車両用走行案内装置で実施されている分岐案内と同様に、案内交差点の所定距離手前(例えば、700メートル手前および300メートル手前)の地点で右左折案内を行う処理のことをいう。例えば、左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられていない案内交差点を左折する場合には、「次の交差点を左折です」といった分岐案内を、案内交差点の700メートル手前と300メートル手前の地点で実施する。また、案内交差点に左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられていても案内交差点を右折する場合には、「次の交差点を右折です」といった分岐案内を案内交差点の700メートル手前と300メートル手前の地点で実施する。
【0037】
また、案内交差点に左折専用レーン(交差点域内迂回路)が設けられている案内交差点を左折する場合には、S106の判定はYESとなり、次に、交差点域内迂回路への進入を案内する迂回路案内処理を行う(S200)。
【0038】
図7に、この迂回路案内処理を示す。この迂回路案内処理では、まず、図8に示すように、ネットワーク情報に含まれる迂回路情報を参照して、次の案内交差点の交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点と交差点の中心までの距離Aを読み出す(S202)。
【0039】
次に、現在位置算出処理によって算出された自車位置と次の案内交差点の位置情報から次の案内交差点までの距離Bを算出し、算出した距離BからS202にて読み出した距離Aを引いて次の案内交差点の交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点までの距離Cを算出する(S204)。
【0040】
次に、案内タイミングか否かを判定する(S206)。具体的には、S204にて算出した距離Cが予め定められた基準距離(本実施形態では、700メートル)よりも短くなったか否かにより案内タイミングか否かを判定する。
【0041】
次の案内交差点の交差点域内迂回路への分岐地点までの距離Cが基準距離よりも長い場合、S206の判定はNOとなり、S204の処理を繰り返す。
【0042】
また、次の案内交差点の交差点域内迂回路への分岐地点までの距離Cが700メートルよりも短くなると、S206の判定はYESとなり、次に、迂回路への進入を案内する(S208)。具体的には、「左折して迂回路に進入して下さい」といったメッセージを表示装置7の表示画面に表示させるとともに音声発生装置8から音声出力させ、図6のS300へ進む。
【0043】
S300では、自車が通過した案内交差点が目的地経路上の最後の交差点か否かを判定する(S300)。自車が通過した案内交差点が目的地経路上の最後の交差点でない場合、S300の判定はNOとなり、S104へ戻り、上記した処理を繰り返す。
【0044】
また、自車が通過した案内交差点が目的地経路上の最後の交差点であると判定された場合、S300の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0045】
上記した構成によれば、地図データの経路データに含まれる交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報により、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定し、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定した場合、交差点域内迂回路の走行案内が行われるので、特許文献1に示した装置のように交差点内迂回路を示すリンク情報と、このリンクの両端を示す2つのノード情報を地図データに含むように構成することなく、より少ないデータ量で交差点域内迂回路の案内を行うことができる。
【0046】
また、迂回路情報は、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎の交差点域内迂回路の有無を表すもので、走行中の道路と目的地経路から走行先の交差点の進入道路と退出道路を特定するとともに、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎の交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報を参照して、走行先の案内交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定するので、どの進入道路から交差点へ進入する場合でも、迂回路情報を参照して走行先の案内交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定することができる。
【0047】
また、迂回路情報には、交差点と該交差点の域内に設けられた交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離が含まれており、迂回路情報に含まれる交差点と交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離を読み出し、自車位置と走行先の案内交差点との距離と、交差点と交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離から交差点域内迂回路の案内を行うタイミングを特定し、特定したタイミングに従って交差点域内迂回路の走行案内を行うので、交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点の手前に位置するタイミングで交差点域内迂回路の走行案内を行うことが可能である。
【0048】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、記憶装置5が地図記憶媒体に相当し、S200が案内手段に相当し、S106が判定手段に相当し、S202が読出手段に相当し、S204がタイミング特定手段に相当する。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0050】
例えば、上記実施形態では、車両が道路の左側を走行する規則の地域に適用して説明したが、図9に示すような車両が右側を通行する規則の地域に適用することもできる。この場合、図9に示すように交差点の域内に設けられた右折のための交差点域内迂回路Dを表す迂回路情報を地図データのノード情報に含むように構成すればよい。
【0051】
また、上記実施形態では、迂回路情報を地図データのノード情報に含むように構成した例を示したが、ノード情報に限定されるものではなく、例えば、地図データに、各ノードとリンクの接続状態を示すネットワーク情報を含むように構成し、このネットワーク情報に迂回路情報を含むように構成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、S206において、S204にて算出した距離Cが予め定められた基準距離(700メートル)よりも短くなったか否かにより案内タイミングか否かを判定する例を示したが、この基準距離は一例であり、これらの距離に限定されるものではなく、例えば、基準距離を700メートルと300メートルとして設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用走行案内装置の構成を示す図である。
【図2】地図データについて説明するための図である。
【図3】地図データの経路データについて説明するための図である。
【図4】図5の交差点の迂回路情報について説明するための図である。
【図5】左折専用道(交差点域内迂回路)が存在する交差点の一例を示す図である。
【図6】制御装置による目的地への走行案内時の処理を示すフローチャートである。
【図7】迂回路案内処理のフローチャートである。
【図8】迂回路案内処理における案内タイミングの算出について説明するための図である。
【図9】車両が右側を通行する規則の地域における交差点域内迂回路の様子を示す図である。
【図10】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1…GPS受信機、2…方位センサ、3…車輪速センサ、4…制御装置、
5…記憶装置、6…操作部、7…表示装置、8…音声案内装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図記憶媒体と、該地図記憶媒体に記憶された前記地図データに基づいて目的地までの目的地経路を探索し、探索した前記目的地経路に従って走行案内を行う案内手段と、を備えた車両用走行案内装置であって、
前記地図記憶媒体には、交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報が記憶されており、
前記迂回路情報により、走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定する判定手段を備え、
前記案内手段は、前記判定手段によって走行先の交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在すると判定された場合、前記交差点域内迂回路の走行案内を行うことを特徴とする車両用走行案内装置。
【請求項2】
前記迂回路情報は、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎に交差点域内迂回路の有無を表すものであり、
前記判定手段は、走行中の道路と前記目的地経路から走行先の交差点の進入道路と退出道路を特定するとともに、前記交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎に交差点域内迂回路の有無を表す前記迂回路情報を参照して、走行先の案内交差点に進入すべき交差点域内迂回路が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行案内装置。
【請求項3】
前記迂回路情報は、前記交差点と該交差点の域内に設けられた前記交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離を含むものであり、
前記案内手段は、前記迂回路情報に含まれる前記交差点と前記交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離を読み出す読出手段と、前記自車位置と走行先の案内交差点との距離と前記読出手段によって読み出された前記交差点と前記交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離から前記交差点域内迂回路の走行案内を行うタイミングを特定するタイミング特定手段と、を備え、前記タイミング特定手段によって特定されたタイミングに従って前記交差点域内迂回路の走行案内を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用走行案内装置。
【請求項4】
前記迂回路情報は、前記地図データのノード情報に含まれるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用走行案内装置。
【請求項5】
コンピュータにより、目的地までの目的地経路を探索するとともに、探索した前記目的地経路に従って走行案内を実行するための地図データが記憶された車両用走行案内装置の地図記憶媒体であって、
前記地図データは、交差点の域内に設けられた右折または左折のための交差点域内迂回路の有無を表す迂回路情報を含むものであることを特徴とする車両用走行案内装置の地図記憶媒体。
【請求項6】
前記迂回路情報は、交差点の進入道路と退出道路の組み合わせ毎に交差点域内迂回路の有無を表すものであることを特徴とする請求項5に記載の車両用走行案内装置の地図記憶媒体。
【請求項7】
前記迂回路情報は、前記交差点と該交差点の域内に設けられた前記交差点域内迂回路へ分岐する分岐地点との距離を含むものであることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用走行案内装置の地図記憶媒体。
【請求項8】
前記迂回路情報は、前記地図データのノード情報に含まれるものであることを特徴とする請求項5ないしのいずれか1つに記載の車両用走行案内装置の地図記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−279005(P2007−279005A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109548(P2006−109548)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】