車両用電力制御装置
【課題】プラグPGを介して外部の電源装置から供給される電力を蓄える高電圧バッテリ10を含む車載負荷を備える車両において、車載負荷に電力を供給する処理のコスト低減が十分でないこと。
【解決手段】電力制御装置40では、次回の出発時刻と、次回の出発時刻までにおける空調ユニット20等の駆動要求等を取得し、これに応じて停車時電力供給処理を行なう。ここでは、次回の出発時刻までの期間においてプラグPGを介して供給される電力コストの時々刻々の変化等に基づき、いずれの時間帯に電力供給処理を実行することが最も電力コストを削減できるかが検討される。
【解決手段】電力制御装置40では、次回の出発時刻と、次回の出発時刻までにおける空調ユニット20等の駆動要求等を取得し、これに応じて停車時電力供給処理を行なう。ここでは、次回の出発時刻までの期間においてプラグPGを介して供給される電力コストの時々刻々の変化等に基づき、いずれの時間帯に電力供給処理を実行することが最も電力コストを削減できるかが検討される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、プラグインハイブリッド車において、内燃機関の回転エネルギを発電機によって電気エネルギに変換することでバッテリを充電する場合のコストと、外部の電源装置から供給される電力によってバッテリを充電する場合のコストとを比較するものも提案されている。これにより、内燃機関を稼動させることによる燃料の消費と外部の電源装置の電力の消費とのうちのコストの安い方を選択して利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−248644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、一般にエネルギのコストは時々刻々変動している。このため、停車中に電力を要求する処理を行なう場合、停車時の電力コストを用いたのでは実際になされる処理による電力コストが必ずしも安いものとならないおそれがある。さらに、停車時に空調装置やナビゲーションシステム等の電子機器が駆動される場合、バッテリを充電する場合のコストのみを考慮したのでは、トータルの電力コストを安くできないおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両において、車載負荷に電力を供給する処理のコストをいっそう低減することのできる車両用電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置において、停車中において前記車載負荷に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なう電力供給処理手段を備え、前記電力供給処理手段は、将来の予測電力コスト情報に基づき、前記所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで前記停車時電力供給処理を計画する計画手段を備え、該計画手段によって定められた処理を実行することを特徴とする。
【0008】
上記発明では、将来の予測電力コスト情報に基づき計画された処理を実行することで、変動する電力コストを踏まえて停車時電力供給処理を実際に実行するタイミングを電力コストが小さくなるタイミングとすることができる。このため、停車時電力供給処理の電力コストをいっそう低減することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記将来の予測電力コスト情報には、前記受電口から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動が含まれることを特徴とする。
【0010】
受電口から供給される電力のコストとしては、例えば商用電源や、住宅等に設定された太陽光発電装置からの電力が考えられる。ここで、商用電源は、その電力コストが1日の中でも変動する。また太陽光発電装置からの電力は、同装置の設置費用を無視すると無料であるものの、この電力の利用時間は1日の中でも限られている。このため、受電口から供給される電力のコストは、1日よりも短い時間間隔で変動すると考えられる。上記発明では、この点に鑑み、1日よりも短い時間間隔での電力コストの変動を将来の予測電力コスト情報に含める。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記将来の予測電力コスト情報は、前記車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含むことを特徴とする。
【0012】
上記発明では、車両が次回走行を開始すると想定されるまでの全期間に渡る予測電力コスト情報を用いることで、計画手段による計画をより適切に行なうことができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記計画手段は、前記受電口から前記車載負荷への電力の供給量および供給時刻を前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記計画手段は、前記車載電子機器に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記2次電池に蓄えられている電力を用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0015】
受電口から供給される電力コストは、供給されるタイミングに応じて変動する。これに対し、2次電池に蓄えられている電力のコストは、これを蓄える時刻を調節することである程度変更が可能である。上記発明では、この点に鑑み、電子機器に供給する電力として上記2つの選択肢を考慮する。
【0016】
なお、上記発明において、上記電子機器が、停車中における電力の供給期間が指定されるものであるなら、2次電池に蓄えられる電力の利用を検討することの意義が特に大きい。
【0017】
なお、「前記2次電池に蓄えられている電力」は、「前記車載電子機器に電力を供給するに先立ち、前記停車時電力供給処理によって前記受電口から供給される電力が前記2次電池に一旦蓄えられた電力」であってもよい。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記車両は、内燃機関と、該内燃機関の回転エネルギを電気エネルギに変換する変換手段とを備え、前記計画手段は、前記車載負荷に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記変換手段によって変換される前記内燃機関の回転エネルギを用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0019】
受電口から供給される電力コストは、供給されるタイミングに応じて変動するため、予測電力コスト情報に基づき計画を立案することが特に有効である。そして、上記発明では、さらに、停車中であっても内燃機関を駆動させて電力を生成させた場合の電力コストを上記受電口から供給される電力コストと比較することで、停車時電力供給処理に要するコストをいっそう低減することが可能となる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車両内の温度を低下させるための温度低下装置を備え、
前記車両は、前記温度低下装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記電力変換回路は、前記温度低下装置の駆動によって温度が低下するように配置されており、前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間内に割り込ませる計画を立案することを特徴とする。
【0021】
上記発明において、2次電池を充電すべく電力変換回路を駆動する場合、その温度が上昇する。ここで、上記発明では、電力変換回路の冷却を温度低下装置によって行うようにしている。このため、電力変換回路を駆動することでその温度が上昇する場合に温度低下装置を駆動することで電力変換回路の温度の上昇を抑制する。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする。
【0023】
温度低下装置を駆動すると2次電池の蓄電エネルギが消費されるため、2次電池の蓄電量に誤差が生じる。上記発明では、この点に鑑み、上記計画を立案することで、温度低下装置の駆動による2次電池の蓄電量の変化を低減する。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記計画手段は、前記補償するために要求されるエネルギ量を、前記2次電池の充電エネルギ量が大きいほど大きくすることを特徴とする。
【0025】
2次電池の充電エネルギ量が大きいほど、電力変換回路の発熱量も増加するため、温度低下装置の駆動エネルギ量も増加すると考えられる。そしてこの駆動エネルギ量が2次電池の充電処理に伴って消費されるエネルギとなる。上記発明では、この点に鑑み、充電エネルギ量が大きいほど補償エネルギを大きくすることで、温度低下装置の駆動によって2次電池の蓄電エネルギが意図したものからずれる事態を好適に抑制することができる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記計画手段は、前記2次電池の充電に際して前記受電口から供給される電力を大きく設定する場合、前記低下させる処理の割り込み間隔を短縮した計画を立案することを特徴とする。
【0027】
受電口から供給される電力が大きいほど電力変換回路の単位時間当たりの発熱量が増加すると考えられる。上記発明では、この点に鑑み、低下させる処理の割り込み間隔を設定した。
【0028】
請求項11記載の発明は、請求項7〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記電力供給処理手段は、前記2次電池の充電処理に際して前記電力変換回路の温度が閾値温度を超える場合、前記計画手段の計画にかかわらず、前記温度低下装置を駆動することで前記低下させる処理を割り込ませることを特徴とする。
【0029】
上記発明では、計画立案時と実際との間に乖離が生じ、電力変換回路の温度上昇が予測に反して大きかった場合であっても、これに適切に対処することができる。
【0030】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記計画手段は、所定時刻において車両内の温度の調節が完了する要求が生じる場合、要求に応じた前記温度調節装置の駆動期間を前記2次電池の充電禁止期間に設定することを特徴とする。
【0031】
上記発明では、温度調節装置を駆動させる場合、その回転機の駆動のために電力変換回路が用いられるため、受電口を介した2次電池の充電を行うことができない。上記発明では、この点に鑑み、上記設定とした。
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、前記2次電池の充電のための電力変換回路と、車両内の温度を調節するための温度調節装置とを備え、前記温度調節装置は、前記電力変換回路を冷却する機能を有し、前記計画手段は、前記温度調節装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間において割り込ませる計画を立案するものであって且つ、前記温度調節装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする。
【0033】
上記発明では、温度調節装置の駆動によって2次電池の蓄電エネルギが消費される。このため、受電口からの電力を2次電池に充電する処理を完了した際の最終的な2次電池の蓄電エネルギ量にとって温度調節装置の駆動エネルギが誤差要因となりうる。上記発明では、この点に鑑み、この駆動エネルギの少なくとも一部をも受電口から賄う計画を立案する。
【0034】
請求項14記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記計画手段は、前記想定される時点までの期間を複数に分割し、分割した各期間毎に供給可能な電力を設定する供給電力分割手段と、前記供給電力分割手段によって分割された各期間における供給可能な電力を単位電力に分割して且つ、前記予測電力コスト情報に基づき前記分割された単位電力当たりのコストを設定する電力コスト設定手段と、前記想定される時点までの期間において前記車載負荷に供給すべき電力を単位電力に分割する負荷消費電力分割手段と、前記負荷消費電力分割手段によって分割された各単位電力のそれぞれを、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振る割振手段とを備え、該割振手段は、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち電力コストの小さいものを優先利用することを特徴とする。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力のうち前記車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては前記電力コストにかかわらず前記供給電力分割手段によって分割された期間のうちの該当する期間における単位電力を割り振ることを特徴とする。
【0036】
請求項16記載の発明は、請求項15記載の発明において、前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の全てを前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振った後、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の割振りがないものが存在するか否かを判断する判断手段と、該判断手段によって前記存在すると判断される場合、前記割り振りのない単位電力を用いて前記2次電池を充電し、該2次電池に充電された電力を用いて前記供給すべき期間が指定される電力を該指定される期間において該当する車載電子機器に供給する場合に要求されるコストと前記指定される期間に前記該当する車載電子機器に前記2次電池を用いることなく電力を供給する場合に要求されるコストとを比較する比較手段と、該比較手段によって前記2次電池に充電された電力を用いた場合のコストの方が小さいと判断される場合、該2次電池に充電された電力を用いるように前記割り振りを変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0037】
2次電池に蓄えられている電力のコストは、これを蓄える時刻を調節することである程度変更が可能である。上記発明では、この点に鑑み、電子機器に供給する電力として2次電池の電力を考慮することで、停車時電力供給処理の電力コストをより低減することが可能となる。
【0038】
請求項17記載の発明は、請求項3〜16のいずれか1項に記載の発明において、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電要求を取得する充電要求取得手段を更に備え、前記電力供給処理手段は、前記充電要求取得手段によって取得された充電要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする。
【0039】
上記発明では、充電要求取得手段を備えることで、停車中において2次電池の充電処理を適切に行なうことができる。
【0040】
請求項18記載の発明は、請求項17記載の発明において、前記充電要求取得手段は、前記充電要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記2次電池に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする。
【0041】
上記発明では、充電要求の優先度を外部から入力可能とすることで、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0042】
請求項19記載の発明は、請求項3〜18のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記車両の次回の走行開始時までの前記車載電子機器の駆動要求を取得する駆動要求取得手段を更に備え、前記電力供給処理手段は、前記駆動要求取得手段によって取得された駆動要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする。
【0043】
上記発明では、駆動要求取得手段を備えることで、停車中において電子機器の駆動処理を適切に行なうことができる。
【0044】
請求項20記載の発明は、請求項19記載の発明において、前記駆動要求取得手段は、前記駆動要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記車載電子機器に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする。
【0045】
上記発明では、駆動要求の優先度を外部から入力可能とすることで、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0046】
請求項21記載の発明は、請求項3〜20のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池に加えて車載電子機器を備え、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記車載電子機器の駆動の少なくとも一方についてユーザによる要求が入力される入力手段と、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給する電気エネルギ量を制限する旨をユーザに出力する出力手段とを更に備えることを特徴とする。
【0047】
上記発明では、出力手段を備えることで、要求を満たすことができない場合にその事態をユーザが把握することが可能となる。
【0048】
請求項22記載の発明は、請求項3〜21のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記温度調節装置の駆動についてユーザによる要求およびその優先度が入力される入力手段と、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動によって要求される電気エネルギ量が上回る場合、前記優先度に応じて前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動の少なくとも一方を当初の要求から変更する変更手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0049】
上記発明では、温度調節装置の駆動期間においては、2次電池の充電処理を行うことができない。このため、2次電池の充電処理は、温度調節装置の駆動期間以外の期間に行なわれる必要がある。ただし、供給可能なエネルギ量が2次電池の充電および温度調節装置の駆動によって要求されるエネルギ量を上回る場合には、充電要求および温度調節装置の駆動要求の双方を満たすことができなくなる。この点、入力手段および変更手段を備えることで、2次電池の充電と温度調節装置の駆動との双方との優先度に応じて適切な計画を立案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるユーザによる要求の受付処理の手順を示す流れ図。
【図3】同実施形態にかかる要求の評価処理の手順を示す流れ図。
【図4】同実施形態にかかる停車時電力供給処理の計画処理の手順を示す流れ図。
【図5】上記決定処理の一例を示す図。
【図6】同決定処理の別例を示す図。
【図7】第2の実施形態にかかるシステム構成図。
【図8】同実施形態における決定処理の一例を示す図。
【図9】第3の実施形態にかかるシステム構成図。
【図10】同実施形態にかかる要求の評価処理の手順を示す流れ図。
【図11】同実施形態にかかる決定処理の一例を示す図。
【図12】第4の実施形態にかかるシステム構成図。
【図13】同実施形態にかかる計画処理の一部の詳細な手順を示す流れ図。
【図14】同実施形態にかかる停車時電力供給処理の一部の詳細な手順を示す流れ図。
【図15】第5の実施形態にかかるシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる車両用電力制御装置を電気自動車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0052】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0053】
図示される高電圧バッテリ10は、端子電圧を所定の高電圧(例えば百V以上)とするものである。高電圧バッテリ10は、インバータ12を介してモータジェネレータ14に接続されている。モータジェネレータ14は、車載主機を構成するものであり、その回転軸が駆動輪16に機械的に連結されている。
【0054】
高電圧バッテリ10には、空調ユニット20や、DCDCコンバータ22、電力変換回路30が接続されている。ここで空調ユニット20は、圧縮機に回転エネルギを付与するためのモータジェネレータ(MG)と、インバータ(IV)と、電子制御装置(ECU)とを備えてモータジェネレータの制御量を制御するための制御システムである。また、DCDCコンバータ22は、高電圧バッテリ10の電圧を降圧して、所定の低電圧(例えば数V〜十数V)の端子電圧を有する低電圧バッテリ23に印加する降圧コンバータである。なお、低電圧バッテリ23には、ナビゲーションシステム24が接続されている。
【0055】
上記電力変換回路30は、プラグPGを介して外部の商用電源から供給される交流電力を変換して高電圧バッテリ10に供給したり、車載太陽光発電パネル32から供給される電力を変圧して高電圧バッテリ10に供給したりするものである。
【0056】
一方、電力制御装置40は、車両内の電力制御を行なう電子制御装置である。詳しくは、通信機42を通じて外部と通信しつつ電力変換回路30を操作することで高電圧バッテリ10の充電制御を行ったり、ナビゲーションシステム24や空調ユニット20に対する給電処理を行ったりする。
【0057】
上記プラグPGは、住宅内の配電盤54から供給される電力を車両に供給するためのインターフェースであり、ここでは、車両に対して着脱可能とされることを想定している。このため、車両は、プラグPGとの接続口を受電口とし外部から電力が供給されることとなる。なお、プラグPGを車両の一部として、これを外部に対する受電口としてもよい。
【0058】
上記住宅内の配電盤54には、パワーコンディショナ52を介して供給される住宅用太陽光発電パネル50の電力や外部の商用電源の電力等を、住宅内の負荷56や住宅外に割り振る機能を有する。ちなみに、この割振り制御自体は、住宅用制御装置58によって配電盤54が操作されることで行われる。住宅用制御装置58は、さらに、通信機60を介して、車両内の通信機60と通信する機能を有する。
【0059】
以下では、車両内の電力制御装置40の行なう処理のうち、特に車両の停車中における電力制御に関する処理について説明する。
【0060】
図2に、停車時の処理として、ユーザからの要求を受け付ける処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば車両の停車時において一度実行される。
【0061】
この一連の処理では、まずステップS10において、次回の走行開始時刻(出発時刻)を入力する。具体的には、これは、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザに出発時刻を入力させるように促すことで行なうことができる。続くステップS12では、次出発時刻までの充電要求と、車載電子機器の駆動要求とを入力する。これらの入力も、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザにこれらの要求を入力させるように促すことで行なうことができる。
【0062】
ここで、充電要求の入力は、例えばナビゲーションシステム24を介して入力される次回の目的地であってもよい。すなわち、目的地から、現在地までの走行距離や現在地から目的地までの走行環境等に関する情報を取得可能であり、走行距離情報や走行環境情報に基づき高電圧バッテリ10の充電要求の有無を判断することができる。なお、これに代えて、例えば車両側からユーザ側に必要走行距離と必要な高電圧バッテリ10の残存容量(SOC)との関係を表示し、ユーザに高電圧バッテリ10の要求残存容量を入力させるようにしてもよい。これによっても、要求される残存容量と現在の残存容量との差に基づき、充電要求の有無を判断することができる。
【0063】
一方、駆動要求は、例えば出発時刻における車両内の要求温度の入力であってもよい。この場合、出発時刻より所定時間前から車両内の温度を制御すべく空調ユニット20を駆動する要求が生じたこととなる。なお、駆動対象となる電子機器は、空調ユニット20に限らず、例えばナビゲーションシステム24等であってもよい。すなわち、駆動要求としては、ナビゲーションシステム24のデータの書き換え処理等を停車中に行なう要求等であってもよい。
【0064】
上記ステップS12の処理が完了する場合、ステップS14において、優先度を入力する。この入力も、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザに優先度を入力させるように促すことで行なうことができる。ここで、優先度とは、例えば充電要求と駆動要求との双方を満たすことができない場合の優先順位のこととすればよい。もっとも、これに代えて、例えば充電要求や駆動要求として、いくつかの要求を入力可能として、その最も高い要求を満たすことができない場合の優先順位のこととしてもよい。
【0065】
なお、ステップS14の処理が完了する場合、この一連の処理を一旦終了する。
【0066】
図3に、上記充電要求や駆動要求に応じることができるか否かの評価に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図2の処理の完了をトリガとして実行される。
【0067】
この一連の処理では、まずステップS20において、先の図2のステップ10において入力された次回の出発時刻情報を取得する。続くステップS22においては、プラグPGを介して取り込まれる外部電源の予測電力コスト情報と、予測供給可能電力情報を取得する。具体的には、これらの情報は、先の図1に示した車両内の通信機42と住宅内の通信機60とを用いて、住宅用制御装置58から取得する。ここで、予測供給可能電力情報は、プラグPGを介して供給可能な電力量と、車載太陽光発電パネル32から供給可能な電力量との合計の予測値である。上記車載太陽光発電パネル32からの供給可能な電力量に関する情報は、例えば太陽光を利用可能な時間帯における総供給可能量を予測することで取得することができる。この際、天気予報や所在地等を加味することが望ましい。ただし、上記プラグPGを介して供給可能な電力総量については、住宅のコンセントを介して電力供給がなされる場合、通常、固定値とされるため、住宅用制御装置58から情報を取得する代わりに、固定値として予め電力制御装置40が記憶保持することとしてもよい。
【0068】
一方、予測電力コスト情報は、現在時刻から次回の出発時刻までの期間における商用電源の電力の費用(コスト)等を反映したものである。すなわち、商用電源は、一般に昼よりも深夜の方が電力コストが小さい。このため、上記期間において常時商用電源を利用可能である場合、そのうちの深夜の時間帯については、深夜料金に基づいた電力コストが予測されることとなる。なお、「コスト情報」は、通貨や、これに正比例する量によって定量化されたものであることが望ましい。
【0069】
続くステップS24では、先の図2のステップS12において入力された充電要求情報と駆動要求情報とを取得する。そして、ステップS26においては、機器の駆動要求を満たすために必要な機器駆動の消費エネルギ量と、充電要求を満たすために必要な高電圧バッテリ10の充電エネルギ量とを取得する。ここで、機器駆動の消費エネルギ量は、必ずしも電力制御装置40によって算出する必要はなく、例えば空調ユニット20等によって算出させてもよい。また、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量の算出手法としては、例えば充電要求が目的地の設定である場合、走行距離や走行環境から把握される高電圧バッテリ10の出発時の要求残存容量と現在の残存容量との差に基づき充電エネルギ量を算出すればよい。なお、先の図2の処理において、充電要求と駆動要求とがそれぞれ優先度とともに複数段階で入力されている場合、もっとも優先度の高いものを用いて消費エネルギ量や充電エネルギ量を算出する。
【0070】
続くステップS28においては、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和以下であるか否かを判断する。この処理は、上記充電要求や駆動要求を満たすことができるか否かを判断するためのものである。ちなみに、予測供給可能電力の総和とは、プラグPGを介した電力供給が可能と予測される電力総量(電気エネルギ量)と、車載太陽光発電パネル32によって供給可能と予測される電力総量との和である。そして、予測供給可能電力の総和を上回ると判断される場合、ステップS30において、充電要求と駆動要求を変更する。ここでは、先の図2の処理によって入力された優先度の低い要求に変更する。なお、優先度の低い要求がない場合、強制的に要求を低下させてもよい。ステップS30の処理が完了する場合、ステップS26に戻り、新しい要求に基づき消費エネルギ量と充電エネルギ量を取得する。
【0071】
一方、ステップS28において肯定判断される場合、ステップS32において、充電要求や駆動要求が初期設定時よりも制限されているか否かを判断する。換言すれば、ステップS28において肯定判断の対象となった消費エネルギ量と充電エネルギ量とがステップS30の処理によって変更された充電要求や駆動要求に応じたものであるか否かを判断する。そして、制限されていると判断される場合には、ステップS34において、充電要求や駆動要求を制限した旨を車両の外部(ユーザ)に通知する。この通知に対し、ユーザが了承しない場合(ステップS36:NO)、ステップS38において、ユーザに充電要求や駆動要求を再設定するよう促す。
【0072】
なお、ステップS32において否定判断される場合や、ステップS36において肯定判断される場合、さらにはステップS38の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0073】
図4に、停車時の電力供給処理を計画する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図3に示した処理によって消費エネルギ量と充電エネルギ量とが決定されることをトリガとして実行される。
【0074】
この一連の処理では、まずステップS40において、先の図3のステップS22において取得された予測供給可能電力と、先の図3の処理によって決定された消費エネルギ量および充電エネルギ量とを、単位電力量(ユニット)に分割する。ここで、予測供給可能電力は、2次元のアドレスが付与された単位電力量Ku[i,j]によって分割される。図5(a)に、予測供給可能電力のユニット分割例を示す。図示されるように、予測供給可能電力の単位電力量Ku[i,j]は、第1列のアドレスiによって供給可能な時間帯が規定され、第2列目のアドレスによって同時間帯における供給可能な単位電力量の番号が規定される。ここで、第1列目のアドレスによって規定される時間帯は、現在時刻から次回の出発時刻までの時間を、予め定められた長さ毎に分割した時間帯である。図では、21時において単位電力量の2倍の電力が供給可能であり、また、8:00直前の時間帯において単位電力量の3倍の電力が供給可能であることが示されている。
【0075】
なお、これら単位電力量Ku[i,j]には、先の図3のステップS22において取得された予測電力コストに基づき、それぞれのコスト情報が付与されている。図では、8時に近い時間帯において、コストが最も小さくなっているが、これは、住宅用太陽光発電パネル50と車載太陽光発電パネル32による発電電力に対応している。なお、8時に近い時間帯においては、供給可能電力が1単位電力量だけ増加しているが、これは、車載太陽光発電パネル32による発電電力である。この際、プラグPGからは、住宅用太陽光発電パネル50による発電電力と商用電源の電力とのいずれを供給することも可能ではあるが、プラグPGを介して供給可能な電力は制限されるため、プラグPGを介した供給電力量は変化していない。
【0076】
一方、消費エネルギ量や充電エネルギ量も、それぞれ2次元のアドレスの付与された単位電力量Su[ ,k]、Ju[ ,m]に分割される。ただし、第1列目のアドレスは、駆動時間の指定された単位消費電力Ju[x、y]以外は、空白としておく。ここで、「消費エネルギ量=Su[ ,1]+Su[ ,2]+…」であり、「充電エネルギ量=Ju[ ,1]+Ju[ ,2]+…」である。
【0077】
先の図4に示すステップS42では、分割された消費電力(単位電力量S[ ,k])のうち、対応する電子機器の駆動時間帯が固定されるものを、その時間帯における単位電力量K[x,y]に割り当てる。図5(b)に、8時直前の時間帯に対し、消費エネルギが分割された単位電力量Suが2つ割り当てられる例を示す。これは、例えば出発時刻までに車室内の温度を所定温度とする要求がある場合等を想定したものである。
【0078】
先の図4のステップS44では、残りの単位電力量K[i,j]に、単位電力量Su[ ,k]に分割された残りの消費エネルギ量と、単位電力量Ju[ ,m]に分割された充電エネルギ量とを割り振る。ここでは、残りの単位電力量K[i,j]のうち、電力コストの小さいものを優先的に用いる。図5(c)に、この処理の一例を示す。この例では、駆動要求としては、出発時刻までに車室内の温度を所定温度とする要求以外にない場合を想定している。ここでは、コストが最も小さい単位電力量K[i,j]の合計量よりも、消費エネルギ量と充電エネルギ量との合計量の方が大きいため、コストが2番目の小さい単位電力量K[i,j]に、充電エネルギ量が分割された単位電力量Juの一部(2単位)が割り振られている。
【0079】
先の図4のステップS46では、単位電力量K[i,j]の中に、消費電力や充電電力が割り振られていないものがあるか否かを判断する。そして、あると判断される場合、ステップS48〜S52において、駆動要求を満たすための電力をプラグPGから供給される電力等とする代わりに、高電圧バッテリ10の蓄電電力とすることで更にコストを低減することができるか否かを検討する処理を行なう。まず、ステップS48では、割り振られていない単位電力量K[i,j](残りの単位電力量K[i,j])で高電圧バッテリ10を更に充電した場合の充電電力コストBCuと、これによる放電可能電力BSuとを算出する。ここで、放電可能電力BSuは、駆動時間帯が固定された消費電力の合計(K[x,y]の合計)以下に設定される。続くステップS50では、上記充電電力コストBCuと、放電可能電力BSuを上記ステップS42における単位電力量K[x,y]に割り振った場合のコストCu[x、y]の合計との大小を比較する。そして、充電電力コストBCuの方が小さいと判断される場合、ステップS52において、上記放電可能電力BSuに対応する分だけ、上記ステップS42の処理によって決定される単位電力量K[x,y]への割り振りを取りやめる。また、上記ステップS48において検討された残りの単位電力量K[i,j]で高電圧バッテリ10を更に充電するよう決定する。
【0080】
なお、上記ステップS52の処理が完了する場合や、ステップS46、S50において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0081】
図6に、上記ステップS48〜S52の処理によって、高電圧バッテリ10の充電電力によって駆動要求を満たす計画が立てられた場合の電力供給処理を例示する。図では、例えば出発日の天候が悪く太陽光発電を利用できない等のために、深夜に商用電源を利用して充電要求を上回る量だけ高電圧バッテリ10を充電し、出発が迫る時間帯において高電圧バッテリ10の放電によって駆動要求を満たす場合を想定している。なお、出発日の天候が悪いことについての情報は、天気予報情報等を外部から取得することで把握可能である。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)停車中において高電圧バッテリ10や電子機器に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なうに際し、将来の予測電力コスト情報に基づき、所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで停車時電力供給処理を計画した。これにより、変動する電力コストを踏まえて停車時電力供給処理を実際に実行するタイミングを電力コストが小さくなるタイミングとすることができる。
【0084】
(2)将来の予測電力コスト情報に、プラグPGを介して外部から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動を含めた。これにより、電力コストが1日の中でも変動する商用電源を利用する場合のコスト等を精度よく予測することができる。
【0085】
(3)将来の予測電力コスト情報に、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含めた。これにより、停車時電力供給処理をより適切に計画することができる。
【0086】
(4)車載電子機器に供給する電力としてプラグPGを介して外部から供給される電力を用いるか、高電圧バッテリ10に蓄えられている電力を用いるかを予測電力コスト情報に基づき定めた。これにより、電力コストをより低減することが可能となる。
【0087】
(5)分割された消費エネルギ量の各単位電力量Su[,k]や分割された充電エネルギ量の各単位電力量Ju[,m]のそれぞれを、分割された予測供給可能電力の単位電力量K[i,j]のうち、電力コストの小さいものに優先的に割り振った。これにより、電力コストを好適に低減することができる。
【0088】
(6)消費エネルギ量のうち車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては電力コストにかかわらず単位電力量K[i,j]のうちの該当する期間における単位電力を割り振った。これにより、駆動要求を適切に満たすことができる。
【0089】
(7)上記ステップS42において設定された単位電力量K[x,y]に割り振った場合のコストCuと、上記充電電力コストBCuとの大小を比較した。これにより、電力コストをより低減することが可能なように停車時電力供給処理を計画することが可能となる。
【0090】
(8)高電圧バッテリ10の充電要求を取得する機能を搭載することで、停車中において高電圧バッテリ10の充電処理を適切に行なうことができる。
【0091】
(9)充電要求の優先度を外部から入力可能とし、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、優先度に基づき高電圧バッテリ10に供給する電力を決定した。これにより、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0092】
(10)車両の次回の走行開始時までの車載電子機器の駆動要求を取得する機能を搭載することで、停車中において電子機器の駆動処理を適切に行なうことができる。
【0093】
(11)電子機器の駆動要求の優先度を外部から入力可能とし、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、優先度に基づき電子機器に供給する電力を決定した。これにより、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0094】
(12)充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計を制限する旨をユーザに出力した。これにより、要求を満たすことができない場合にその事態をユーザが把握することが可能となる。
【0095】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
本実施形態では、パラレルシリーズハイブリッド車を本発明にかかる車両用電力制御装置に適用する。
【0097】
図7に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図7において先の図1に示した部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付している。
【0098】
図示されるように、本実施形態では、遊星歯車機構からなる動力分割機構70によって、第1モータジェネレータ14a、第2モータジェネレータ14bおよび内燃機関(エンジン72)の動力が分割される。詳しくは、第1モータジェネレータ14a、エンジン72および第2モータジェネレータ14bは、それぞれ動力分割機構70のサンギア、キャリア、およびリングギアに機械的に連結されている。そして、第2モータジェネレータ14bには、駆動輪16が機械的に連結されている。なお、第1モータジェネレータ14aおよび第2モータジェネレータ14bのそれぞれには、第1インバータ12aおよび第2インバータ12bがそれぞれ接続されている。
【0099】
上記構成によれば、駆動輪16が停止する停車時において、第1モータジェネレータ14aとエンジン72とを稼動させることができる。このため、停車時電力供給処理として、エンジン72を稼動させ第1モータジェネレータ14aによって発電した電力を供給する選択肢が生じる。このため、本実施形態では、停車時電力供給処理の計画に際してこの可能性を検討する。
【0100】
図8に、本実施形態における先の図4のステップS40の処理によって分割された単位電力量K[i,j]を示す。本実施形態では、先の図5(a)に示したものに加えて、更にエンジン72の発電電力が単位電力量K[i,j]に加わる。ただし、エンジン72の発電電力に、時間帯の規定がないため、本実施形態では、時間帯を規定する第1列アドレスiとして、現在時刻から出発時刻までの期間に割り当てられないアドレス(ここでは、0を例示)を付与する。なお、エンジン発電エネルギ量を分割した単位電力量K[0,j]のコストは、貨幣や貨幣に正比例する量によって定量化するなどして、それ以外の電力コストと同一の単位となるようにしておく。
【0101】
こうした設定によれば、先の図4に示したステップS42,S44のいずれの処理においても単位電力量K[0,j]を検討することができる。このため、例えばステップS42においては、駆動時間が規定された時間帯における電力コストよりも単位電力量K[0,j]の方が小さい場合に、ここに割り振る決定をすればよい。また、ステップS44においては、残りの単位電力量K[i,j](i=1,2、…)と単位電力量K[0,j]との中からコストの小さいものを優先すればよい。
【0102】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記各効果に加えて更に以下の効果が得られるようになる。
【0103】
(13)プラグPGを介して外部から供給される電力を用いるか、エンジン72の回転エネルギを用いるかを予測電力コスト情報に基づき定めた。これにより、停車時電力供給処理に要するコストをいっそう低減することが可能となる。
【0104】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0105】
図9に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図9において、先の図1に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0106】
先の第1の実施形態のシステムの変更点は、大きくは、プラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電するための専用の電力変換回路30を備えず、代わりに、空調ユニット20のインバータIVを高電圧バッテリ10の充電に用いる電力変換回路として流用することである。
【0107】
上記インバータIVは、高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの直列接続体を3組備えている。また、高電位側のスイッチング素子Swpには逆並列にフリーホイールダイオードFdpが接続されており、低電位側のスイッチング素子Swnには逆並列にフリーホイールダイオードFdnが接続されている。なお、図9では、スイッチング素子Swp,Swnとして、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を例示した。
【0108】
上記インバータIVの出力端子のそれぞれは、電力授受用電気経路CLを介して、車両の外部との電気的な接続を司る授受電口(コネクタC1)に接続されている。このコネクタC1には、プラグPGが接続可能である。プラグPGの他方の端部は、商用電源等の供給装置としての住宅内の電源PSと外部との接続を司る授受電口(コネクタC2)に接続される。上記プラグPGは、フィルタ75を備えている。なお、本実施形態では、フィルタ75としてLC回路を例示している。また、図9では、電源PSとして、単相電源を例示しているが、本実施形態における車両自体は破線にて示す3相電源への対応も可能な設定を想定しているため、コネクタC1は、3つの端子を備えている。
【0109】
上記インバータIVの出力端子および電力授受用電気経路CLの接続点のそれぞれと空調ユニット20内のモータジェネレータ20aとの間には、この間を電気的に開閉する補機用リレーRDが設けられている。また、電力授受用電気経路CLのそれぞれには、これを開閉する電力授受用リレーRCと、エネルギを蓄える充電用リアクトルLとが設けられている。ここで、補機用リレーRDは、外部の電源装置と車両との間で電力の授受がなされる際にこの電力がモータジェネレータ20aに流れ込むことを阻止するためのものである。また、電力授受用リレーRCは、インバータIVが外部の電源装置との間で電力の授受を行なうことのできる態勢が整っていない場合に、外部の電源装置とインバータIVとが電気的に接続される事態を回避するためのものである。これらの目的を果たすべく、電力制御装置40は、適宜、電力授受用リレーRCや補機用リレーRDを開閉操作する。
【0110】
コネクタC1の3つの端子のうちの1つと残りの2つのそれぞれとの間には、この間の電位差を検出する電圧センサ73,74が設けられている。上記電力制御装置40は、電圧センサ73,74の出力等に基づき、電源PSから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する制御を行なう。
【0111】
なお、本実施形態では、車載太陽光発電パネル32を備えず、また、説明の便宜上、ナビゲーションシステム24をも備えない構成を想定している。
【0112】
上記システムの場合、プラグPGを介して供給される電力を高電圧バッテリ10に充電するに際しては、モータジェネレータ20aを駆動することができず、また、モータジェネレータ20aを駆動するに際しては、プラグPGを介して供給される電力を高電圧バッテリ10に充電することができない。このため、電力供給処理の計画を以下のように変更する。
【0113】
図10に、本実施形態にかかる充電要求や駆動要求に応じることができるか否かの評価に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図2の処理の完了をトリガとして実行される。なお、図10において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0114】
この一連の処理では、ステップS26の処理が完了する場合、ステップS28aにおいて、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和から消費エネルギ量を減算した値以下であるか否かを判断する。この処理は、上記充電要求や駆動要求を満たすことができるか否かを判断するためのものである。すなわち、本実施形態では、空調ユニット20の駆動エネルギをプラグPGから直接供給することはできない。そして、空調ユニット20によって高電圧バッテリ10の蓄電エネルギが消費されるため、消費エネルギ量は、高電圧バッテリ10の充電期間において補償されるべきものである。一方、プラグPGからの電力供給が常時可能な場合、予測供給可能電力の総和は、空調ユニット20の駆動時における供給可能電力を含んでいるため、空調ユニット20の駆動時における供給可能電力分については、実際には供給可能ではないこととなる。このため、ここでは、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和から消費エネルギ量を減算した値以下であることを持って、全ての要求に応えることができると判断する。ちなみに、この処理においては、空調ユニット20の消費電力がプラグPGの供給可能電力に一致することを仮定している。もしこの条件が満たされない場合には、全ての要求に応えることができる基準となる値は、上記減算した値とは相違する。すなわち、例えば、空調ユニット20の消費電力がプラグPGの供給可能電力よりも小さいならば、全ての要求に応えることができる基準となる値は、上記減算した値よりも小さい値となる。
【0115】
図11に、本実施形態にかかる供給電力処理の計画を例示する。
【0116】
図示されるように、本実施形態では、空調ユニット20の駆動期間を充電禁止期間として、これ以外の期間における単位電力量K[i,j]に、充電電力(単位電力量Ju[ ,m])と、空調ユニット20の駆動に伴って消費される単位電力Su[ ,k]とを割り振る。
【0117】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0118】
(14)空調ユニット20の駆動期間を充電禁止期間とした。これにより、プラグPGから供給可能な電力によって充電エネルギ量と消費エネルギ量とを賄うことができる。
【0119】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0120】
図12に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図12において、先の図9に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0121】
図示されるように、本実施形態では、空調装置の冷媒によってインバータIVが冷却される構成となっている。詳しくは、空調ユニット20内のモータジェネレータ20aは、コンプレッサ80に機械的に連結されており、コンプレッサ80の吐出する冷媒は、コンデンサ82で圧縮された後、エバポレータ84で膨張し、その際の気化熱によって周囲の気体を冷却する。この冷却された気体は、ブロワファン86によって車室内へと送られる。そして、冷媒の通路のうちコンプレッサ80の入り口付近にインバータIVを配置し、冷媒によってインバータIVを冷却可能とする。この配置は、車室内の冷房という本来の目的を最優先したものである。すなわち、エバポレータ84よりも下流且つコンプレッサ80よりも上流とすることで、エバポレータ84によって車室内の冷房のための気体を冷却した後の冷媒によってインバータIVを冷却する。
【0122】
ところで、インバータIVを用いてプラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電することで、インバータIVが発熱する。そしてこれによるインバータIVの温度上昇が過度に大きくなる場合、インバータIVの信頼性の低下を招く。こうした事態は、空調ユニット20の駆動時には冷媒によってインバータIVが冷却されるために生じない。インバータIVを充電処理に用いることで生じるこうした問題を解決すべく、本実施形態では、充電処理期間に空調ユニット20を駆動することで、インバータIVを冷却する冷却処理を割り込ませる。
【0123】
図13に、冷却処理を割り込ませる計画の立案に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図4に示す処理に先立ち実行される。
【0124】
この一連の処理では、まずステップS60において、予測供給可能電力に基づき、充電電力を決定する。これは、プラグPGから供給可能な電力に応じて、充電電力の上限値が相違することに鑑みたものである。ちなみに、例えば日本国の場合、コネクタC1に接続される電源が単相の場合には、コネクタC1に印加される電圧の実効値が「100V」であるか「200V」であるかに応じて「1500W」または「3000W」が予測供給可能電力となる。また、3相の場合には、外部電源の設定によって異なるものの、一般に「1500W」以上の規定値(望ましくは「3000W」またはそれ以上の値)が予測供給可能電力となる。
【0125】
続くステップS62においては、充電エネルギ量および充電電力に基づき、インバータIVの冷却のために空調ユニット20を駆動することで要求されるエネルギ量(冷却要求エネルギ量)を決定する。ここで、充電エネルギ量は、充電処理に伴うインバータIVの発熱量と正の相関を有するパラメータである。すなわち、充電エネルギ量が大きいほどインバータIVの発熱量も大きくなると想定される。このため、充電エネルギ量が大きいほど要求冷却エネルギ量を大きくする。また、充電電力は、インバータIVの単位時間当たりの発熱量と正の相関を有するパラメータである。このため、充電電力によってもインバータIVの温度上昇等が変化すると考えられるため、充電電力に応じて冷却要求エネルギ量を可変設定する。ちなみに、この処理は、インバータIVを温度制御対象とするモデルを用いて行なってもよいし、充電エネルギ量および充電電力と冷却要求エネルギ量との関係を定めたマップによって行なってもよい。
【0126】
続くステップS64においては、冷却要求エネルギ量に基づき、高電圧バッテリ10に充電する充電エネルギ量を更新する。すなわち、充電期間中に空調ユニット20を駆動することで高電圧バッテリ10の蓄電エネルギが消費されることから、先の図2に示した処理によって定まる充電エネルギ量だけ高電圧バッテリ10の蓄電量を増加させるためには、この充電エネルギ量よりも冷却要求エネルギ量だけ多いエネルギ量を充電する必要がある。
【0127】
続くステップS66においては、充電電力に基づき、充電処理中の冷却処理の割り込み間隔を設定する。これは、例えば、充電電力に基づきインバータIVの温度が許容される上限温度となると予測されるタイミングを割り込みタイミングとすることで行うことができる。この間隔は、充電電力が大きいほど短くなる。そしてステップS68では、プラグPGから供給可能な単位電力量K[i,j]のうち充電禁止ユニットを設定する。この処理については、先の図11で説明した。なお、ステップS68の処理が完了する場合、この一連の処理を一旦終了する。
【0128】
図14に、本実施形態にかかる電力供給処理のうち特に高電圧バッテリ10の充電処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0129】
この一連の処理では、まずステップS70において、先の図4に示す処理によって計画された充電処理予定期間であるか否かを判断する。ステップS70において肯定判断される場合、ステップS72において、冷却処理の割り込み処理予定期間であるか否かを判断する。この割り込み処理予定期間は、図13のステップS66によって定められた間隔だけ充電処理がなされた後から、インバータIVが冷却されるまでに要すると想定された予め計画された時間が経過するまでの期間である。ステップS74において否定判断される場合、ステップS74において、インバータIVの温度が閾値温度Tth以下であるか否かを判断する。この処理は、先の図13に示した計画に反し、インバータIVの温度上昇が想定よりも大きい場合に対処するためのものである。ここで、閾値温度Tthは、インバータIVの信頼性が低下しない上限温度以下に設定される。ステップS74において肯定判断される場合、ステップS76において充電処理を行う。これに対し、ステップS72において肯定判断される場合やステップS74において否定判断される場合には、ステップS78においてモータジェネレータ20aの駆動により内蔵インバータIVの冷却処理を行う。
【0130】
なお、上記ステップS70において否定判断される場合や、ステップS76,S78の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0131】
以上説明した本実施形態によれば、先の第3の実施形態の上記効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0132】
(15)空調ユニット20の冷凍サイクルによって内蔵されるインバータIVの温度を低下させる処理(冷却処理)の割り込み計画を立案した。これにより、充電に伴ってインバータIVの温度が過度に上昇することを好適に抑制することができる。
【0133】
(16)空調ユニット20の駆動により消費されるエネルギを補償するように、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量を更新した。これにより、充電要求に応じた高電圧バッテリ10の蓄電エネルギ量の増加量への高精度な制御が可能となる。
【0134】
(17)高電圧バッテリ10の充電処理に際してインバータIVの温度が閾値温度を超える場合、当初の計画にかかわらず、モータジェネレータ20aを駆動させてインバータIVの冷却処理を割り込ませた。これにより、計画立案時と実際との間に乖離が生じ、インバータIVの温度上昇が予測に反して大きかった場合であっても、これに適切に対処することができる。
【0135】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0136】
図15に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図15において、先の図9に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0137】
図示されるように、本実施形態では、車両の操舵をアシストする電動パワーステアリングに搭載されるモータジェネレータ90aおよびこれに接続されるインバータIVを備えるパワステユニット90についても、その電源を高電圧バッテリ10としている。そして、パワステユニット90内蔵のインバータIVをプラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する手段として流用する。このインバータIVは、空調ユニット20の駆動によって流動する冷媒によって冷却される。この場合、プラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する期間において、この充電処理を中断することなく空調ユニット20を駆動して冷媒を循環させることができる。ただし、この場合であっても、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量を上記冷却要求エネルギ量に応じて更新することが望ましい。
【0138】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<充電要求取得手段・駆動要求取得手段について>
充電要求取得手段や駆動要求取得手段としては、ユーザによって入力される要求を取得する手段に限らない。例えばユーザによる車両の利用傾向を学習することで充電要求や駆動要求を学習する学習手段を備え、この学習手段の学習する要求を次回の発進時までの要求であると推定する手段であってもよい。詳しくは、例えばウィークデイには毎朝8:00に車両の走行を開始し、その際、空調ユニット20に対して所定の室内温度とする旨の指示が出されて且つ、所定距離だけ走行して夕方まで停車することを学習するとする。この場合には、推定される要求は、日曜日から金曜日までの毎晩、次回の出発予定時刻を「AM8:00」までに所定距離を往復するのに十分なバッテリ容量として且つその時点で車室内の温度が学習された温度となる旨とすればよい。ちなみに、学習対象とする要求が規則性を有しつつも微少に変動する場合、要求の推定に際して、変動する要求のうちの冗長となる側のものを採用することが望ましい。すなわち、例えばウィークデイに毎朝8時から前後5分の間に出発することが学習された場合、「7時55分に出発する要求が生じる」旨推定することが望ましい。
<将来の予測電力コスト情報について>
将来の予測電力コスト情報としては、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの期間における電力コストに限らない。例えば、想定される次回の走行期間を含めてもよい。これにより、例えば出発地点から目標地点へと走行を開始してしばらくは下り坂となることが決まっている場合等においては、この期間において駆動輪の回転エネルギによる発電による充電電力の電力コストがゼロとなることから、これを予測電力コスト情報に含めてもよい。この処理は、充電要求として残存容量が直接指定されるのではなく走行距離等が指定される場合に特に有効である。
【0139】
また、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コストにも限らない。例えばバッテリの充電要求が生じることなく電子機器の駆動要求の指定時刻もない場合であって且つ停車期間が複数日となる場合等にあっては、走行開始時と想定される時点から24時間以内の期間に電子機器を駆動することを前提として且つこの24時間以内の期間における予測電力コスト情報のみに基づき停車時電力供給処理を計画してもよい。
<車載電子機器について>
車載電子機器としては、空調ユニット20やナビゲーションシステム24に限らない。例えば、視聴覚機器等であってもよい。ここでは、例えばユーザが車両で一夜を過ごし目覚まし代わりに視聴覚機器を起動させる要求が入力される場合に、視聴覚機器への供給電力をプラグPGを介して外部から得るか、車両内のバッテリ10等から取るかを選択する際に本発明にかかる停車時電力供給処理を利用すればよい。
<充電に流用される電力変換回路の用途について>
パワステユニット90や空調ユニット20内のインバータに限らず、たとえば、エンジンを搭載する車両にあっては、冷却水等の冷却ファン用のインバータであってもよい。この場合、インバータを駆動することで冷却ファンによって生成される気体の流れ方向にこのインバータ自体を配置するなら、上記第4の実施形態と同様の処理を行うことが有効となる。
<充電手段を冷却する装置について>
空調装置に限らず、2次電池の電気エネルギを消費する手段であるなら、これによる消費エネルギを補償するように充電の計画を立案することは有効である。
<低下させる処理の割り込みについて>
上記第4の実施形態では、基本的には、予め計画された電力供給処理に従って冷却処理を割り込ませることとしたが、これに限らない。例えばインバータの温度が閾値温度Tthを超える場合に限って割り込ませてもよい。この場合であっても、予め冷却要求エネルギ量を設定して充電エネルギ量を更新しておくことで、高電圧バッテリ10の充電に要する期間や商用電源から持ち出すエネルギ量を高精度に予測して計画を立案することができる。もっとも、住宅内において、プラグPGを介して持ち出される電力量が冷却処理によってゼロとなる期間において、プラグPGを介した電力消費以外の電力消費量を増加させる計画を立案している場合には、車両側でも当初の計画に従うことにメリットがある。
<電力変換回路の冷却構造について>
先の図12に示す構成に代えて、コンプレッサ82の下流且つエバポレータ84の上流にインバータIVを配置することも可能である。なお、電力変換回路の冷却手法が水冷に限らないことについては、「充電に流用される電力変換回路の用途について」の欄に記載したとおりである。
<そのほか>
・停車時電力供給処理は、バッテリの充電処理のみであってもよい。
【0140】
・ハイブリッド車としては、パラレルハイブリッド車や、パラレル・シリーズハイブリッド車に限らない。例えばシリーズハイブリッド車であってもよい。この場合も、内燃機関の稼動によって駆動輪が回転することがないため、上記第2の実施形態と同様の処理を行なうことができる。
【0141】
・充電要求が生じるバッテリとしては、高電圧バッテリ10に限らず、例えば低電圧バッテリ23であってもよい。この場合、高電圧バッテリ10に充電する処理と、DCDCコンバータ22を介してこの蓄電電力を低電圧バッテリ23に出力する処理とによって低電圧バッテリ23を充電すればよい。
【符号の説明】
【0142】
10…高電圧バッテリ、20…空調ユニット、30…電力変換回路、40…電力制御装置、42…通信機、54…配電盤、58…住宅用制御装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、プラグインハイブリッド車において、内燃機関の回転エネルギを発電機によって電気エネルギに変換することでバッテリを充電する場合のコストと、外部の電源装置から供給される電力によってバッテリを充電する場合のコストとを比較するものも提案されている。これにより、内燃機関を稼動させることによる燃料の消費と外部の電源装置の電力の消費とのうちのコストの安い方を選択して利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−248644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、一般にエネルギのコストは時々刻々変動している。このため、停車中に電力を要求する処理を行なう場合、停車時の電力コストを用いたのでは実際になされる処理による電力コストが必ずしも安いものとならないおそれがある。さらに、停車時に空調装置やナビゲーションシステム等の電子機器が駆動される場合、バッテリを充電する場合のコストのみを考慮したのでは、トータルの電力コストを安くできないおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両において、車載負荷に電力を供給する処理のコストをいっそう低減することのできる車両用電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置において、停車中において前記車載負荷に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なう電力供給処理手段を備え、前記電力供給処理手段は、将来の予測電力コスト情報に基づき、前記所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで前記停車時電力供給処理を計画する計画手段を備え、該計画手段によって定められた処理を実行することを特徴とする。
【0008】
上記発明では、将来の予測電力コスト情報に基づき計画された処理を実行することで、変動する電力コストを踏まえて停車時電力供給処理を実際に実行するタイミングを電力コストが小さくなるタイミングとすることができる。このため、停車時電力供給処理の電力コストをいっそう低減することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記将来の予測電力コスト情報には、前記受電口から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動が含まれることを特徴とする。
【0010】
受電口から供給される電力のコストとしては、例えば商用電源や、住宅等に設定された太陽光発電装置からの電力が考えられる。ここで、商用電源は、その電力コストが1日の中でも変動する。また太陽光発電装置からの電力は、同装置の設置費用を無視すると無料であるものの、この電力の利用時間は1日の中でも限られている。このため、受電口から供給される電力のコストは、1日よりも短い時間間隔で変動すると考えられる。上記発明では、この点に鑑み、1日よりも短い時間間隔での電力コストの変動を将来の予測電力コスト情報に含める。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記将来の予測電力コスト情報は、前記車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含むことを特徴とする。
【0012】
上記発明では、車両が次回走行を開始すると想定されるまでの全期間に渡る予測電力コスト情報を用いることで、計画手段による計画をより適切に行なうことができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記計画手段は、前記受電口から前記車載負荷への電力の供給量および供給時刻を前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記計画手段は、前記車載電子機器に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記2次電池に蓄えられている電力を用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0015】
受電口から供給される電力コストは、供給されるタイミングに応じて変動する。これに対し、2次電池に蓄えられている電力のコストは、これを蓄える時刻を調節することである程度変更が可能である。上記発明では、この点に鑑み、電子機器に供給する電力として上記2つの選択肢を考慮する。
【0016】
なお、上記発明において、上記電子機器が、停車中における電力の供給期間が指定されるものであるなら、2次電池に蓄えられる電力の利用を検討することの意義が特に大きい。
【0017】
なお、「前記2次電池に蓄えられている電力」は、「前記車載電子機器に電力を供給するに先立ち、前記停車時電力供給処理によって前記受電口から供給される電力が前記2次電池に一旦蓄えられた電力」であってもよい。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記車両は、内燃機関と、該内燃機関の回転エネルギを電気エネルギに変換する変換手段とを備え、前記計画手段は、前記車載負荷に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記変換手段によって変換される前記内燃機関の回転エネルギを用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする。
【0019】
受電口から供給される電力コストは、供給されるタイミングに応じて変動するため、予測電力コスト情報に基づき計画を立案することが特に有効である。そして、上記発明では、さらに、停車中であっても内燃機関を駆動させて電力を生成させた場合の電力コストを上記受電口から供給される電力コストと比較することで、停車時電力供給処理に要するコストをいっそう低減することが可能となる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車両内の温度を低下させるための温度低下装置を備え、
前記車両は、前記温度低下装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記電力変換回路は、前記温度低下装置の駆動によって温度が低下するように配置されており、前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間内に割り込ませる計画を立案することを特徴とする。
【0021】
上記発明において、2次電池を充電すべく電力変換回路を駆動する場合、その温度が上昇する。ここで、上記発明では、電力変換回路の冷却を温度低下装置によって行うようにしている。このため、電力変換回路を駆動することでその温度が上昇する場合に温度低下装置を駆動することで電力変換回路の温度の上昇を抑制する。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする。
【0023】
温度低下装置を駆動すると2次電池の蓄電エネルギが消費されるため、2次電池の蓄電量に誤差が生じる。上記発明では、この点に鑑み、上記計画を立案することで、温度低下装置の駆動による2次電池の蓄電量の変化を低減する。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記計画手段は、前記補償するために要求されるエネルギ量を、前記2次電池の充電エネルギ量が大きいほど大きくすることを特徴とする。
【0025】
2次電池の充電エネルギ量が大きいほど、電力変換回路の発熱量も増加するため、温度低下装置の駆動エネルギ量も増加すると考えられる。そしてこの駆動エネルギ量が2次電池の充電処理に伴って消費されるエネルギとなる。上記発明では、この点に鑑み、充電エネルギ量が大きいほど補償エネルギを大きくすることで、温度低下装置の駆動によって2次電池の蓄電エネルギが意図したものからずれる事態を好適に抑制することができる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記計画手段は、前記2次電池の充電に際して前記受電口から供給される電力を大きく設定する場合、前記低下させる処理の割り込み間隔を短縮した計画を立案することを特徴とする。
【0027】
受電口から供給される電力が大きいほど電力変換回路の単位時間当たりの発熱量が増加すると考えられる。上記発明では、この点に鑑み、低下させる処理の割り込み間隔を設定した。
【0028】
請求項11記載の発明は、請求項7〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記電力供給処理手段は、前記2次電池の充電処理に際して前記電力変換回路の温度が閾値温度を超える場合、前記計画手段の計画にかかわらず、前記温度低下装置を駆動することで前記低下させる処理を割り込ませることを特徴とする。
【0029】
上記発明では、計画立案時と実際との間に乖離が生じ、電力変換回路の温度上昇が予測に反して大きかった場合であっても、これに適切に対処することができる。
【0030】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記計画手段は、所定時刻において車両内の温度の調節が完了する要求が生じる場合、要求に応じた前記温度調節装置の駆動期間を前記2次電池の充電禁止期間に設定することを特徴とする。
【0031】
上記発明では、温度調節装置を駆動させる場合、その回転機の駆動のために電力変換回路が用いられるため、受電口を介した2次電池の充電を行うことができない。上記発明では、この点に鑑み、上記設定とした。
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、前記2次電池の充電のための電力変換回路と、車両内の温度を調節するための温度調節装置とを備え、前記温度調節装置は、前記電力変換回路を冷却する機能を有し、前記計画手段は、前記温度調節装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間において割り込ませる計画を立案するものであって且つ、前記温度調節装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする。
【0033】
上記発明では、温度調節装置の駆動によって2次電池の蓄電エネルギが消費される。このため、受電口からの電力を2次電池に充電する処理を完了した際の最終的な2次電池の蓄電エネルギ量にとって温度調節装置の駆動エネルギが誤差要因となりうる。上記発明では、この点に鑑み、この駆動エネルギの少なくとも一部をも受電口から賄う計画を立案する。
【0034】
請求項14記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記計画手段は、前記想定される時点までの期間を複数に分割し、分割した各期間毎に供給可能な電力を設定する供給電力分割手段と、前記供給電力分割手段によって分割された各期間における供給可能な電力を単位電力に分割して且つ、前記予測電力コスト情報に基づき前記分割された単位電力当たりのコストを設定する電力コスト設定手段と、前記想定される時点までの期間において前記車載負荷に供給すべき電力を単位電力に分割する負荷消費電力分割手段と、前記負荷消費電力分割手段によって分割された各単位電力のそれぞれを、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振る割振手段とを備え、該割振手段は、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち電力コストの小さいものを優先利用することを特徴とする。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力のうち前記車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては前記電力コストにかかわらず前記供給電力分割手段によって分割された期間のうちの該当する期間における単位電力を割り振ることを特徴とする。
【0036】
請求項16記載の発明は、請求項15記載の発明において、前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の全てを前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振った後、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の割振りがないものが存在するか否かを判断する判断手段と、該判断手段によって前記存在すると判断される場合、前記割り振りのない単位電力を用いて前記2次電池を充電し、該2次電池に充電された電力を用いて前記供給すべき期間が指定される電力を該指定される期間において該当する車載電子機器に供給する場合に要求されるコストと前記指定される期間に前記該当する車載電子機器に前記2次電池を用いることなく電力を供給する場合に要求されるコストとを比較する比較手段と、該比較手段によって前記2次電池に充電された電力を用いた場合のコストの方が小さいと判断される場合、該2次電池に充電された電力を用いるように前記割り振りを変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0037】
2次電池に蓄えられている電力のコストは、これを蓄える時刻を調節することである程度変更が可能である。上記発明では、この点に鑑み、電子機器に供給する電力として2次電池の電力を考慮することで、停車時電力供給処理の電力コストをより低減することが可能となる。
【0038】
請求項17記載の発明は、請求項3〜16のいずれか1項に記載の発明において、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電要求を取得する充電要求取得手段を更に備え、前記電力供給処理手段は、前記充電要求取得手段によって取得された充電要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする。
【0039】
上記発明では、充電要求取得手段を備えることで、停車中において2次電池の充電処理を適切に行なうことができる。
【0040】
請求項18記載の発明は、請求項17記載の発明において、前記充電要求取得手段は、前記充電要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記2次電池に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする。
【0041】
上記発明では、充電要求の優先度を外部から入力可能とすることで、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0042】
請求項19記載の発明は、請求項3〜18のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、前記車両の次回の走行開始時までの前記車載電子機器の駆動要求を取得する駆動要求取得手段を更に備え、前記電力供給処理手段は、前記駆動要求取得手段によって取得された駆動要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする。
【0043】
上記発明では、駆動要求取得手段を備えることで、停車中において電子機器の駆動処理を適切に行なうことができる。
【0044】
請求項20記載の発明は、請求項19記載の発明において、前記駆動要求取得手段は、前記駆動要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記車載電子機器に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする。
【0045】
上記発明では、駆動要求の優先度を外部から入力可能とすることで、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0046】
請求項21記載の発明は、請求項3〜20のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池に加えて車載電子機器を備え、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記車載電子機器の駆動の少なくとも一方についてユーザによる要求が入力される入力手段と、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給する電気エネルギ量を制限する旨をユーザに出力する出力手段とを更に備えることを特徴とする。
【0047】
上記発明では、出力手段を備えることで、要求を満たすことができない場合にその事態をユーザが把握することが可能となる。
【0048】
請求項22記載の発明は、請求項3〜21のいずれか1項に記載の発明において、前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記温度調節装置の駆動についてユーザによる要求およびその優先度が入力される入力手段と、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動によって要求される電気エネルギ量が上回る場合、前記優先度に応じて前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動の少なくとも一方を当初の要求から変更する変更手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0049】
上記発明では、温度調節装置の駆動期間においては、2次電池の充電処理を行うことができない。このため、2次電池の充電処理は、温度調節装置の駆動期間以外の期間に行なわれる必要がある。ただし、供給可能なエネルギ量が2次電池の充電および温度調節装置の駆動によって要求されるエネルギ量を上回る場合には、充電要求および温度調節装置の駆動要求の双方を満たすことができなくなる。この点、入力手段および変更手段を備えることで、2次電池の充電と温度調節装置の駆動との双方との優先度に応じて適切な計画を立案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるユーザによる要求の受付処理の手順を示す流れ図。
【図3】同実施形態にかかる要求の評価処理の手順を示す流れ図。
【図4】同実施形態にかかる停車時電力供給処理の計画処理の手順を示す流れ図。
【図5】上記決定処理の一例を示す図。
【図6】同決定処理の別例を示す図。
【図7】第2の実施形態にかかるシステム構成図。
【図8】同実施形態における決定処理の一例を示す図。
【図9】第3の実施形態にかかるシステム構成図。
【図10】同実施形態にかかる要求の評価処理の手順を示す流れ図。
【図11】同実施形態にかかる決定処理の一例を示す図。
【図12】第4の実施形態にかかるシステム構成図。
【図13】同実施形態にかかる計画処理の一部の詳細な手順を示す流れ図。
【図14】同実施形態にかかる停車時電力供給処理の一部の詳細な手順を示す流れ図。
【図15】第5の実施形態にかかるシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる車両用電力制御装置を電気自動車に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0052】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0053】
図示される高電圧バッテリ10は、端子電圧を所定の高電圧(例えば百V以上)とするものである。高電圧バッテリ10は、インバータ12を介してモータジェネレータ14に接続されている。モータジェネレータ14は、車載主機を構成するものであり、その回転軸が駆動輪16に機械的に連結されている。
【0054】
高電圧バッテリ10には、空調ユニット20や、DCDCコンバータ22、電力変換回路30が接続されている。ここで空調ユニット20は、圧縮機に回転エネルギを付与するためのモータジェネレータ(MG)と、インバータ(IV)と、電子制御装置(ECU)とを備えてモータジェネレータの制御量を制御するための制御システムである。また、DCDCコンバータ22は、高電圧バッテリ10の電圧を降圧して、所定の低電圧(例えば数V〜十数V)の端子電圧を有する低電圧バッテリ23に印加する降圧コンバータである。なお、低電圧バッテリ23には、ナビゲーションシステム24が接続されている。
【0055】
上記電力変換回路30は、プラグPGを介して外部の商用電源から供給される交流電力を変換して高電圧バッテリ10に供給したり、車載太陽光発電パネル32から供給される電力を変圧して高電圧バッテリ10に供給したりするものである。
【0056】
一方、電力制御装置40は、車両内の電力制御を行なう電子制御装置である。詳しくは、通信機42を通じて外部と通信しつつ電力変換回路30を操作することで高電圧バッテリ10の充電制御を行ったり、ナビゲーションシステム24や空調ユニット20に対する給電処理を行ったりする。
【0057】
上記プラグPGは、住宅内の配電盤54から供給される電力を車両に供給するためのインターフェースであり、ここでは、車両に対して着脱可能とされることを想定している。このため、車両は、プラグPGとの接続口を受電口とし外部から電力が供給されることとなる。なお、プラグPGを車両の一部として、これを外部に対する受電口としてもよい。
【0058】
上記住宅内の配電盤54には、パワーコンディショナ52を介して供給される住宅用太陽光発電パネル50の電力や外部の商用電源の電力等を、住宅内の負荷56や住宅外に割り振る機能を有する。ちなみに、この割振り制御自体は、住宅用制御装置58によって配電盤54が操作されることで行われる。住宅用制御装置58は、さらに、通信機60を介して、車両内の通信機60と通信する機能を有する。
【0059】
以下では、車両内の電力制御装置40の行なう処理のうち、特に車両の停車中における電力制御に関する処理について説明する。
【0060】
図2に、停車時の処理として、ユーザからの要求を受け付ける処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば車両の停車時において一度実行される。
【0061】
この一連の処理では、まずステップS10において、次回の走行開始時刻(出発時刻)を入力する。具体的には、これは、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザに出発時刻を入力させるように促すことで行なうことができる。続くステップS12では、次出発時刻までの充電要求と、車載電子機器の駆動要求とを入力する。これらの入力も、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザにこれらの要求を入力させるように促すことで行なうことができる。
【0062】
ここで、充電要求の入力は、例えばナビゲーションシステム24を介して入力される次回の目的地であってもよい。すなわち、目的地から、現在地までの走行距離や現在地から目的地までの走行環境等に関する情報を取得可能であり、走行距離情報や走行環境情報に基づき高電圧バッテリ10の充電要求の有無を判断することができる。なお、これに代えて、例えば車両側からユーザ側に必要走行距離と必要な高電圧バッテリ10の残存容量(SOC)との関係を表示し、ユーザに高電圧バッテリ10の要求残存容量を入力させるようにしてもよい。これによっても、要求される残存容量と現在の残存容量との差に基づき、充電要求の有無を判断することができる。
【0063】
一方、駆動要求は、例えば出発時刻における車両内の要求温度の入力であってもよい。この場合、出発時刻より所定時間前から車両内の温度を制御すべく空調ユニット20を駆動する要求が生じたこととなる。なお、駆動対象となる電子機器は、空調ユニット20に限らず、例えばナビゲーションシステム24等であってもよい。すなわち、駆動要求としては、ナビゲーションシステム24のデータの書き換え処理等を停車中に行なう要求等であってもよい。
【0064】
上記ステップS12の処理が完了する場合、ステップS14において、優先度を入力する。この入力も、車両内のユーザとのインターフェースを通じて、ユーザに優先度を入力させるように促すことで行なうことができる。ここで、優先度とは、例えば充電要求と駆動要求との双方を満たすことができない場合の優先順位のこととすればよい。もっとも、これに代えて、例えば充電要求や駆動要求として、いくつかの要求を入力可能として、その最も高い要求を満たすことができない場合の優先順位のこととしてもよい。
【0065】
なお、ステップS14の処理が完了する場合、この一連の処理を一旦終了する。
【0066】
図3に、上記充電要求や駆動要求に応じることができるか否かの評価に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図2の処理の完了をトリガとして実行される。
【0067】
この一連の処理では、まずステップS20において、先の図2のステップ10において入力された次回の出発時刻情報を取得する。続くステップS22においては、プラグPGを介して取り込まれる外部電源の予測電力コスト情報と、予測供給可能電力情報を取得する。具体的には、これらの情報は、先の図1に示した車両内の通信機42と住宅内の通信機60とを用いて、住宅用制御装置58から取得する。ここで、予測供給可能電力情報は、プラグPGを介して供給可能な電力量と、車載太陽光発電パネル32から供給可能な電力量との合計の予測値である。上記車載太陽光発電パネル32からの供給可能な電力量に関する情報は、例えば太陽光を利用可能な時間帯における総供給可能量を予測することで取得することができる。この際、天気予報や所在地等を加味することが望ましい。ただし、上記プラグPGを介して供給可能な電力総量については、住宅のコンセントを介して電力供給がなされる場合、通常、固定値とされるため、住宅用制御装置58から情報を取得する代わりに、固定値として予め電力制御装置40が記憶保持することとしてもよい。
【0068】
一方、予測電力コスト情報は、現在時刻から次回の出発時刻までの期間における商用電源の電力の費用(コスト)等を反映したものである。すなわち、商用電源は、一般に昼よりも深夜の方が電力コストが小さい。このため、上記期間において常時商用電源を利用可能である場合、そのうちの深夜の時間帯については、深夜料金に基づいた電力コストが予測されることとなる。なお、「コスト情報」は、通貨や、これに正比例する量によって定量化されたものであることが望ましい。
【0069】
続くステップS24では、先の図2のステップS12において入力された充電要求情報と駆動要求情報とを取得する。そして、ステップS26においては、機器の駆動要求を満たすために必要な機器駆動の消費エネルギ量と、充電要求を満たすために必要な高電圧バッテリ10の充電エネルギ量とを取得する。ここで、機器駆動の消費エネルギ量は、必ずしも電力制御装置40によって算出する必要はなく、例えば空調ユニット20等によって算出させてもよい。また、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量の算出手法としては、例えば充電要求が目的地の設定である場合、走行距離や走行環境から把握される高電圧バッテリ10の出発時の要求残存容量と現在の残存容量との差に基づき充電エネルギ量を算出すればよい。なお、先の図2の処理において、充電要求と駆動要求とがそれぞれ優先度とともに複数段階で入力されている場合、もっとも優先度の高いものを用いて消費エネルギ量や充電エネルギ量を算出する。
【0070】
続くステップS28においては、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和以下であるか否かを判断する。この処理は、上記充電要求や駆動要求を満たすことができるか否かを判断するためのものである。ちなみに、予測供給可能電力の総和とは、プラグPGを介した電力供給が可能と予測される電力総量(電気エネルギ量)と、車載太陽光発電パネル32によって供給可能と予測される電力総量との和である。そして、予測供給可能電力の総和を上回ると判断される場合、ステップS30において、充電要求と駆動要求を変更する。ここでは、先の図2の処理によって入力された優先度の低い要求に変更する。なお、優先度の低い要求がない場合、強制的に要求を低下させてもよい。ステップS30の処理が完了する場合、ステップS26に戻り、新しい要求に基づき消費エネルギ量と充電エネルギ量を取得する。
【0071】
一方、ステップS28において肯定判断される場合、ステップS32において、充電要求や駆動要求が初期設定時よりも制限されているか否かを判断する。換言すれば、ステップS28において肯定判断の対象となった消費エネルギ量と充電エネルギ量とがステップS30の処理によって変更された充電要求や駆動要求に応じたものであるか否かを判断する。そして、制限されていると判断される場合には、ステップS34において、充電要求や駆動要求を制限した旨を車両の外部(ユーザ)に通知する。この通知に対し、ユーザが了承しない場合(ステップS36:NO)、ステップS38において、ユーザに充電要求や駆動要求を再設定するよう促す。
【0072】
なお、ステップS32において否定判断される場合や、ステップS36において肯定判断される場合、さらにはステップS38の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0073】
図4に、停車時の電力供給処理を計画する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図3に示した処理によって消費エネルギ量と充電エネルギ量とが決定されることをトリガとして実行される。
【0074】
この一連の処理では、まずステップS40において、先の図3のステップS22において取得された予測供給可能電力と、先の図3の処理によって決定された消費エネルギ量および充電エネルギ量とを、単位電力量(ユニット)に分割する。ここで、予測供給可能電力は、2次元のアドレスが付与された単位電力量Ku[i,j]によって分割される。図5(a)に、予測供給可能電力のユニット分割例を示す。図示されるように、予測供給可能電力の単位電力量Ku[i,j]は、第1列のアドレスiによって供給可能な時間帯が規定され、第2列目のアドレスによって同時間帯における供給可能な単位電力量の番号が規定される。ここで、第1列目のアドレスによって規定される時間帯は、現在時刻から次回の出発時刻までの時間を、予め定められた長さ毎に分割した時間帯である。図では、21時において単位電力量の2倍の電力が供給可能であり、また、8:00直前の時間帯において単位電力量の3倍の電力が供給可能であることが示されている。
【0075】
なお、これら単位電力量Ku[i,j]には、先の図3のステップS22において取得された予測電力コストに基づき、それぞれのコスト情報が付与されている。図では、8時に近い時間帯において、コストが最も小さくなっているが、これは、住宅用太陽光発電パネル50と車載太陽光発電パネル32による発電電力に対応している。なお、8時に近い時間帯においては、供給可能電力が1単位電力量だけ増加しているが、これは、車載太陽光発電パネル32による発電電力である。この際、プラグPGからは、住宅用太陽光発電パネル50による発電電力と商用電源の電力とのいずれを供給することも可能ではあるが、プラグPGを介して供給可能な電力は制限されるため、プラグPGを介した供給電力量は変化していない。
【0076】
一方、消費エネルギ量や充電エネルギ量も、それぞれ2次元のアドレスの付与された単位電力量Su[ ,k]、Ju[ ,m]に分割される。ただし、第1列目のアドレスは、駆動時間の指定された単位消費電力Ju[x、y]以外は、空白としておく。ここで、「消費エネルギ量=Su[ ,1]+Su[ ,2]+…」であり、「充電エネルギ量=Ju[ ,1]+Ju[ ,2]+…」である。
【0077】
先の図4に示すステップS42では、分割された消費電力(単位電力量S[ ,k])のうち、対応する電子機器の駆動時間帯が固定されるものを、その時間帯における単位電力量K[x,y]に割り当てる。図5(b)に、8時直前の時間帯に対し、消費エネルギが分割された単位電力量Suが2つ割り当てられる例を示す。これは、例えば出発時刻までに車室内の温度を所定温度とする要求がある場合等を想定したものである。
【0078】
先の図4のステップS44では、残りの単位電力量K[i,j]に、単位電力量Su[ ,k]に分割された残りの消費エネルギ量と、単位電力量Ju[ ,m]に分割された充電エネルギ量とを割り振る。ここでは、残りの単位電力量K[i,j]のうち、電力コストの小さいものを優先的に用いる。図5(c)に、この処理の一例を示す。この例では、駆動要求としては、出発時刻までに車室内の温度を所定温度とする要求以外にない場合を想定している。ここでは、コストが最も小さい単位電力量K[i,j]の合計量よりも、消費エネルギ量と充電エネルギ量との合計量の方が大きいため、コストが2番目の小さい単位電力量K[i,j]に、充電エネルギ量が分割された単位電力量Juの一部(2単位)が割り振られている。
【0079】
先の図4のステップS46では、単位電力量K[i,j]の中に、消費電力や充電電力が割り振られていないものがあるか否かを判断する。そして、あると判断される場合、ステップS48〜S52において、駆動要求を満たすための電力をプラグPGから供給される電力等とする代わりに、高電圧バッテリ10の蓄電電力とすることで更にコストを低減することができるか否かを検討する処理を行なう。まず、ステップS48では、割り振られていない単位電力量K[i,j](残りの単位電力量K[i,j])で高電圧バッテリ10を更に充電した場合の充電電力コストBCuと、これによる放電可能電力BSuとを算出する。ここで、放電可能電力BSuは、駆動時間帯が固定された消費電力の合計(K[x,y]の合計)以下に設定される。続くステップS50では、上記充電電力コストBCuと、放電可能電力BSuを上記ステップS42における単位電力量K[x,y]に割り振った場合のコストCu[x、y]の合計との大小を比較する。そして、充電電力コストBCuの方が小さいと判断される場合、ステップS52において、上記放電可能電力BSuに対応する分だけ、上記ステップS42の処理によって決定される単位電力量K[x,y]への割り振りを取りやめる。また、上記ステップS48において検討された残りの単位電力量K[i,j]で高電圧バッテリ10を更に充電するよう決定する。
【0080】
なお、上記ステップS52の処理が完了する場合や、ステップS46、S50において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0081】
図6に、上記ステップS48〜S52の処理によって、高電圧バッテリ10の充電電力によって駆動要求を満たす計画が立てられた場合の電力供給処理を例示する。図では、例えば出発日の天候が悪く太陽光発電を利用できない等のために、深夜に商用電源を利用して充電要求を上回る量だけ高電圧バッテリ10を充電し、出発が迫る時間帯において高電圧バッテリ10の放電によって駆動要求を満たす場合を想定している。なお、出発日の天候が悪いことについての情報は、天気予報情報等を外部から取得することで把握可能である。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)停車中において高電圧バッテリ10や電子機器に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なうに際し、将来の予測電力コスト情報に基づき、所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで停車時電力供給処理を計画した。これにより、変動する電力コストを踏まえて停車時電力供給処理を実際に実行するタイミングを電力コストが小さくなるタイミングとすることができる。
【0084】
(2)将来の予測電力コスト情報に、プラグPGを介して外部から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動を含めた。これにより、電力コストが1日の中でも変動する商用電源を利用する場合のコスト等を精度よく予測することができる。
【0085】
(3)将来の予測電力コスト情報に、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含めた。これにより、停車時電力供給処理をより適切に計画することができる。
【0086】
(4)車載電子機器に供給する電力としてプラグPGを介して外部から供給される電力を用いるか、高電圧バッテリ10に蓄えられている電力を用いるかを予測電力コスト情報に基づき定めた。これにより、電力コストをより低減することが可能となる。
【0087】
(5)分割された消費エネルギ量の各単位電力量Su[,k]や分割された充電エネルギ量の各単位電力量Ju[,m]のそれぞれを、分割された予測供給可能電力の単位電力量K[i,j]のうち、電力コストの小さいものに優先的に割り振った。これにより、電力コストを好適に低減することができる。
【0088】
(6)消費エネルギ量のうち車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては電力コストにかかわらず単位電力量K[i,j]のうちの該当する期間における単位電力を割り振った。これにより、駆動要求を適切に満たすことができる。
【0089】
(7)上記ステップS42において設定された単位電力量K[x,y]に割り振った場合のコストCuと、上記充電電力コストBCuとの大小を比較した。これにより、電力コストをより低減することが可能なように停車時電力供給処理を計画することが可能となる。
【0090】
(8)高電圧バッテリ10の充電要求を取得する機能を搭載することで、停車中において高電圧バッテリ10の充電処理を適切に行なうことができる。
【0091】
(9)充電要求の優先度を外部から入力可能とし、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、優先度に基づき高電圧バッテリ10に供給する電力を決定した。これにより、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0092】
(10)車両の次回の走行開始時までの車載電子機器の駆動要求を取得する機能を搭載することで、停車中において電子機器の駆動処理を適切に行なうことができる。
【0093】
(11)電子機器の駆動要求の優先度を外部から入力可能とし、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、優先度に基づき電子機器に供給する電力を決定した。これにより、ユーザの要求により適切に応じることができる。
【0094】
(12)充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計が予測供給可能電力を上回る場合、充電エネルギ量と消費エネルギ量との合計を制限する旨をユーザに出力した。これにより、要求を満たすことができない場合にその事態をユーザが把握することが可能となる。
【0095】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
本実施形態では、パラレルシリーズハイブリッド車を本発明にかかる車両用電力制御装置に適用する。
【0097】
図7に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図7において先の図1に示した部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付している。
【0098】
図示されるように、本実施形態では、遊星歯車機構からなる動力分割機構70によって、第1モータジェネレータ14a、第2モータジェネレータ14bおよび内燃機関(エンジン72)の動力が分割される。詳しくは、第1モータジェネレータ14a、エンジン72および第2モータジェネレータ14bは、それぞれ動力分割機構70のサンギア、キャリア、およびリングギアに機械的に連結されている。そして、第2モータジェネレータ14bには、駆動輪16が機械的に連結されている。なお、第1モータジェネレータ14aおよび第2モータジェネレータ14bのそれぞれには、第1インバータ12aおよび第2インバータ12bがそれぞれ接続されている。
【0099】
上記構成によれば、駆動輪16が停止する停車時において、第1モータジェネレータ14aとエンジン72とを稼動させることができる。このため、停車時電力供給処理として、エンジン72を稼動させ第1モータジェネレータ14aによって発電した電力を供給する選択肢が生じる。このため、本実施形態では、停車時電力供給処理の計画に際してこの可能性を検討する。
【0100】
図8に、本実施形態における先の図4のステップS40の処理によって分割された単位電力量K[i,j]を示す。本実施形態では、先の図5(a)に示したものに加えて、更にエンジン72の発電電力が単位電力量K[i,j]に加わる。ただし、エンジン72の発電電力に、時間帯の規定がないため、本実施形態では、時間帯を規定する第1列アドレスiとして、現在時刻から出発時刻までの期間に割り当てられないアドレス(ここでは、0を例示)を付与する。なお、エンジン発電エネルギ量を分割した単位電力量K[0,j]のコストは、貨幣や貨幣に正比例する量によって定量化するなどして、それ以外の電力コストと同一の単位となるようにしておく。
【0101】
こうした設定によれば、先の図4に示したステップS42,S44のいずれの処理においても単位電力量K[0,j]を検討することができる。このため、例えばステップS42においては、駆動時間が規定された時間帯における電力コストよりも単位電力量K[0,j]の方が小さい場合に、ここに割り振る決定をすればよい。また、ステップS44においては、残りの単位電力量K[i,j](i=1,2、…)と単位電力量K[0,j]との中からコストの小さいものを優先すればよい。
【0102】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記各効果に加えて更に以下の効果が得られるようになる。
【0103】
(13)プラグPGを介して外部から供給される電力を用いるか、エンジン72の回転エネルギを用いるかを予測電力コスト情報に基づき定めた。これにより、停車時電力供給処理に要するコストをいっそう低減することが可能となる。
【0104】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0105】
図9に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図9において、先の図1に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0106】
先の第1の実施形態のシステムの変更点は、大きくは、プラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電するための専用の電力変換回路30を備えず、代わりに、空調ユニット20のインバータIVを高電圧バッテリ10の充電に用いる電力変換回路として流用することである。
【0107】
上記インバータIVは、高電位側のスイッチング素子Swpと低電位側のスイッチング素子Swnとの直列接続体を3組備えている。また、高電位側のスイッチング素子Swpには逆並列にフリーホイールダイオードFdpが接続されており、低電位側のスイッチング素子Swnには逆並列にフリーホイールダイオードFdnが接続されている。なお、図9では、スイッチング素子Swp,Swnとして、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を例示した。
【0108】
上記インバータIVの出力端子のそれぞれは、電力授受用電気経路CLを介して、車両の外部との電気的な接続を司る授受電口(コネクタC1)に接続されている。このコネクタC1には、プラグPGが接続可能である。プラグPGの他方の端部は、商用電源等の供給装置としての住宅内の電源PSと外部との接続を司る授受電口(コネクタC2)に接続される。上記プラグPGは、フィルタ75を備えている。なお、本実施形態では、フィルタ75としてLC回路を例示している。また、図9では、電源PSとして、単相電源を例示しているが、本実施形態における車両自体は破線にて示す3相電源への対応も可能な設定を想定しているため、コネクタC1は、3つの端子を備えている。
【0109】
上記インバータIVの出力端子および電力授受用電気経路CLの接続点のそれぞれと空調ユニット20内のモータジェネレータ20aとの間には、この間を電気的に開閉する補機用リレーRDが設けられている。また、電力授受用電気経路CLのそれぞれには、これを開閉する電力授受用リレーRCと、エネルギを蓄える充電用リアクトルLとが設けられている。ここで、補機用リレーRDは、外部の電源装置と車両との間で電力の授受がなされる際にこの電力がモータジェネレータ20aに流れ込むことを阻止するためのものである。また、電力授受用リレーRCは、インバータIVが外部の電源装置との間で電力の授受を行なうことのできる態勢が整っていない場合に、外部の電源装置とインバータIVとが電気的に接続される事態を回避するためのものである。これらの目的を果たすべく、電力制御装置40は、適宜、電力授受用リレーRCや補機用リレーRDを開閉操作する。
【0110】
コネクタC1の3つの端子のうちの1つと残りの2つのそれぞれとの間には、この間の電位差を検出する電圧センサ73,74が設けられている。上記電力制御装置40は、電圧センサ73,74の出力等に基づき、電源PSから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する制御を行なう。
【0111】
なお、本実施形態では、車載太陽光発電パネル32を備えず、また、説明の便宜上、ナビゲーションシステム24をも備えない構成を想定している。
【0112】
上記システムの場合、プラグPGを介して供給される電力を高電圧バッテリ10に充電するに際しては、モータジェネレータ20aを駆動することができず、また、モータジェネレータ20aを駆動するに際しては、プラグPGを介して供給される電力を高電圧バッテリ10に充電することができない。このため、電力供給処理の計画を以下のように変更する。
【0113】
図10に、本実施形態にかかる充電要求や駆動要求に応じることができるか否かの評価に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図2の処理の完了をトリガとして実行される。なお、図10において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0114】
この一連の処理では、ステップS26の処理が完了する場合、ステップS28aにおいて、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和から消費エネルギ量を減算した値以下であるか否かを判断する。この処理は、上記充電要求や駆動要求を満たすことができるか否かを判断するためのものである。すなわち、本実施形態では、空調ユニット20の駆動エネルギをプラグPGから直接供給することはできない。そして、空調ユニット20によって高電圧バッテリ10の蓄電エネルギが消費されるため、消費エネルギ量は、高電圧バッテリ10の充電期間において補償されるべきものである。一方、プラグPGからの電力供給が常時可能な場合、予測供給可能電力の総和は、空調ユニット20の駆動時における供給可能電力を含んでいるため、空調ユニット20の駆動時における供給可能電力分については、実際には供給可能ではないこととなる。このため、ここでは、充電エネルギ量と消費エネルギ量との和が予測供給可能電力の総和から消費エネルギ量を減算した値以下であることを持って、全ての要求に応えることができると判断する。ちなみに、この処理においては、空調ユニット20の消費電力がプラグPGの供給可能電力に一致することを仮定している。もしこの条件が満たされない場合には、全ての要求に応えることができる基準となる値は、上記減算した値とは相違する。すなわち、例えば、空調ユニット20の消費電力がプラグPGの供給可能電力よりも小さいならば、全ての要求に応えることができる基準となる値は、上記減算した値よりも小さい値となる。
【0115】
図11に、本実施形態にかかる供給電力処理の計画を例示する。
【0116】
図示されるように、本実施形態では、空調ユニット20の駆動期間を充電禁止期間として、これ以外の期間における単位電力量K[i,j]に、充電電力(単位電力量Ju[ ,m])と、空調ユニット20の駆動に伴って消費される単位電力Su[ ,k]とを割り振る。
【0117】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0118】
(14)空調ユニット20の駆動期間を充電禁止期間とした。これにより、プラグPGから供給可能な電力によって充電エネルギ量と消費エネルギ量とを賄うことができる。
【0119】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0120】
図12に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図12において、先の図9に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0121】
図示されるように、本実施形態では、空調装置の冷媒によってインバータIVが冷却される構成となっている。詳しくは、空調ユニット20内のモータジェネレータ20aは、コンプレッサ80に機械的に連結されており、コンプレッサ80の吐出する冷媒は、コンデンサ82で圧縮された後、エバポレータ84で膨張し、その際の気化熱によって周囲の気体を冷却する。この冷却された気体は、ブロワファン86によって車室内へと送られる。そして、冷媒の通路のうちコンプレッサ80の入り口付近にインバータIVを配置し、冷媒によってインバータIVを冷却可能とする。この配置は、車室内の冷房という本来の目的を最優先したものである。すなわち、エバポレータ84よりも下流且つコンプレッサ80よりも上流とすることで、エバポレータ84によって車室内の冷房のための気体を冷却した後の冷媒によってインバータIVを冷却する。
【0122】
ところで、インバータIVを用いてプラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電することで、インバータIVが発熱する。そしてこれによるインバータIVの温度上昇が過度に大きくなる場合、インバータIVの信頼性の低下を招く。こうした事態は、空調ユニット20の駆動時には冷媒によってインバータIVが冷却されるために生じない。インバータIVを充電処理に用いることで生じるこうした問題を解決すべく、本実施形態では、充電処理期間に空調ユニット20を駆動することで、インバータIVを冷却する冷却処理を割り込ませる。
【0123】
図13に、冷却処理を割り込ませる計画の立案に関する処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば先の図4に示す処理に先立ち実行される。
【0124】
この一連の処理では、まずステップS60において、予測供給可能電力に基づき、充電電力を決定する。これは、プラグPGから供給可能な電力に応じて、充電電力の上限値が相違することに鑑みたものである。ちなみに、例えば日本国の場合、コネクタC1に接続される電源が単相の場合には、コネクタC1に印加される電圧の実効値が「100V」であるか「200V」であるかに応じて「1500W」または「3000W」が予測供給可能電力となる。また、3相の場合には、外部電源の設定によって異なるものの、一般に「1500W」以上の規定値(望ましくは「3000W」またはそれ以上の値)が予測供給可能電力となる。
【0125】
続くステップS62においては、充電エネルギ量および充電電力に基づき、インバータIVの冷却のために空調ユニット20を駆動することで要求されるエネルギ量(冷却要求エネルギ量)を決定する。ここで、充電エネルギ量は、充電処理に伴うインバータIVの発熱量と正の相関を有するパラメータである。すなわち、充電エネルギ量が大きいほどインバータIVの発熱量も大きくなると想定される。このため、充電エネルギ量が大きいほど要求冷却エネルギ量を大きくする。また、充電電力は、インバータIVの単位時間当たりの発熱量と正の相関を有するパラメータである。このため、充電電力によってもインバータIVの温度上昇等が変化すると考えられるため、充電電力に応じて冷却要求エネルギ量を可変設定する。ちなみに、この処理は、インバータIVを温度制御対象とするモデルを用いて行なってもよいし、充電エネルギ量および充電電力と冷却要求エネルギ量との関係を定めたマップによって行なってもよい。
【0126】
続くステップS64においては、冷却要求エネルギ量に基づき、高電圧バッテリ10に充電する充電エネルギ量を更新する。すなわち、充電期間中に空調ユニット20を駆動することで高電圧バッテリ10の蓄電エネルギが消費されることから、先の図2に示した処理によって定まる充電エネルギ量だけ高電圧バッテリ10の蓄電量を増加させるためには、この充電エネルギ量よりも冷却要求エネルギ量だけ多いエネルギ量を充電する必要がある。
【0127】
続くステップS66においては、充電電力に基づき、充電処理中の冷却処理の割り込み間隔を設定する。これは、例えば、充電電力に基づきインバータIVの温度が許容される上限温度となると予測されるタイミングを割り込みタイミングとすることで行うことができる。この間隔は、充電電力が大きいほど短くなる。そしてステップS68では、プラグPGから供給可能な単位電力量K[i,j]のうち充電禁止ユニットを設定する。この処理については、先の図11で説明した。なお、ステップS68の処理が完了する場合、この一連の処理を一旦終了する。
【0128】
図14に、本実施形態にかかる電力供給処理のうち特に高電圧バッテリ10の充電処理の手順を示す。この処理は、電力制御装置40によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
【0129】
この一連の処理では、まずステップS70において、先の図4に示す処理によって計画された充電処理予定期間であるか否かを判断する。ステップS70において肯定判断される場合、ステップS72において、冷却処理の割り込み処理予定期間であるか否かを判断する。この割り込み処理予定期間は、図13のステップS66によって定められた間隔だけ充電処理がなされた後から、インバータIVが冷却されるまでに要すると想定された予め計画された時間が経過するまでの期間である。ステップS74において否定判断される場合、ステップS74において、インバータIVの温度が閾値温度Tth以下であるか否かを判断する。この処理は、先の図13に示した計画に反し、インバータIVの温度上昇が想定よりも大きい場合に対処するためのものである。ここで、閾値温度Tthは、インバータIVの信頼性が低下しない上限温度以下に設定される。ステップS74において肯定判断される場合、ステップS76において充電処理を行う。これに対し、ステップS72において肯定判断される場合やステップS74において否定判断される場合には、ステップS78においてモータジェネレータ20aの駆動により内蔵インバータIVの冷却処理を行う。
【0130】
なお、上記ステップS70において否定判断される場合や、ステップS76,S78の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0131】
以上説明した本実施形態によれば、先の第3の実施形態の上記効果に準じた効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
【0132】
(15)空調ユニット20の冷凍サイクルによって内蔵されるインバータIVの温度を低下させる処理(冷却処理)の割り込み計画を立案した。これにより、充電に伴ってインバータIVの温度が過度に上昇することを好適に抑制することができる。
【0133】
(16)空調ユニット20の駆動により消費されるエネルギを補償するように、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量を更新した。これにより、充電要求に応じた高電圧バッテリ10の蓄電エネルギ量の増加量への高精度な制御が可能となる。
【0134】
(17)高電圧バッテリ10の充電処理に際してインバータIVの温度が閾値温度を超える場合、当初の計画にかかわらず、モータジェネレータ20aを駆動させてインバータIVの冷却処理を割り込ませた。これにより、計画立案時と実際との間に乖離が生じ、インバータIVの温度上昇が予測に反して大きかった場合であっても、これに適切に対処することができる。
【0135】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0136】
図15に、本実施形態にかかる車両内のシステム構成を示す。なお、図15において、先の図9に示した部材と対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
【0137】
図示されるように、本実施形態では、車両の操舵をアシストする電動パワーステアリングに搭載されるモータジェネレータ90aおよびこれに接続されるインバータIVを備えるパワステユニット90についても、その電源を高電圧バッテリ10としている。そして、パワステユニット90内蔵のインバータIVをプラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する手段として流用する。このインバータIVは、空調ユニット20の駆動によって流動する冷媒によって冷却される。この場合、プラグPGから供給される電力を高電圧バッテリ10に充電する期間において、この充電処理を中断することなく空調ユニット20を駆動して冷媒を循環させることができる。ただし、この場合であっても、高電圧バッテリ10の充電エネルギ量を上記冷却要求エネルギ量に応じて更新することが望ましい。
【0138】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<充電要求取得手段・駆動要求取得手段について>
充電要求取得手段や駆動要求取得手段としては、ユーザによって入力される要求を取得する手段に限らない。例えばユーザによる車両の利用傾向を学習することで充電要求や駆動要求を学習する学習手段を備え、この学習手段の学習する要求を次回の発進時までの要求であると推定する手段であってもよい。詳しくは、例えばウィークデイには毎朝8:00に車両の走行を開始し、その際、空調ユニット20に対して所定の室内温度とする旨の指示が出されて且つ、所定距離だけ走行して夕方まで停車することを学習するとする。この場合には、推定される要求は、日曜日から金曜日までの毎晩、次回の出発予定時刻を「AM8:00」までに所定距離を往復するのに十分なバッテリ容量として且つその時点で車室内の温度が学習された温度となる旨とすればよい。ちなみに、学習対象とする要求が規則性を有しつつも微少に変動する場合、要求の推定に際して、変動する要求のうちの冗長となる側のものを採用することが望ましい。すなわち、例えばウィークデイに毎朝8時から前後5分の間に出発することが学習された場合、「7時55分に出発する要求が生じる」旨推定することが望ましい。
<将来の予測電力コスト情報について>
将来の予測電力コスト情報としては、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの期間における電力コストに限らない。例えば、想定される次回の走行期間を含めてもよい。これにより、例えば出発地点から目標地点へと走行を開始してしばらくは下り坂となることが決まっている場合等においては、この期間において駆動輪の回転エネルギによる発電による充電電力の電力コストがゼロとなることから、これを予測電力コスト情報に含めてもよい。この処理は、充電要求として残存容量が直接指定されるのではなく走行距離等が指定される場合に特に有効である。
【0139】
また、車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コストにも限らない。例えばバッテリの充電要求が生じることなく電子機器の駆動要求の指定時刻もない場合であって且つ停車期間が複数日となる場合等にあっては、走行開始時と想定される時点から24時間以内の期間に電子機器を駆動することを前提として且つこの24時間以内の期間における予測電力コスト情報のみに基づき停車時電力供給処理を計画してもよい。
<車載電子機器について>
車載電子機器としては、空調ユニット20やナビゲーションシステム24に限らない。例えば、視聴覚機器等であってもよい。ここでは、例えばユーザが車両で一夜を過ごし目覚まし代わりに視聴覚機器を起動させる要求が入力される場合に、視聴覚機器への供給電力をプラグPGを介して外部から得るか、車両内のバッテリ10等から取るかを選択する際に本発明にかかる停車時電力供給処理を利用すればよい。
<充電に流用される電力変換回路の用途について>
パワステユニット90や空調ユニット20内のインバータに限らず、たとえば、エンジンを搭載する車両にあっては、冷却水等の冷却ファン用のインバータであってもよい。この場合、インバータを駆動することで冷却ファンによって生成される気体の流れ方向にこのインバータ自体を配置するなら、上記第4の実施形態と同様の処理を行うことが有効となる。
<充電手段を冷却する装置について>
空調装置に限らず、2次電池の電気エネルギを消費する手段であるなら、これによる消費エネルギを補償するように充電の計画を立案することは有効である。
<低下させる処理の割り込みについて>
上記第4の実施形態では、基本的には、予め計画された電力供給処理に従って冷却処理を割り込ませることとしたが、これに限らない。例えばインバータの温度が閾値温度Tthを超える場合に限って割り込ませてもよい。この場合であっても、予め冷却要求エネルギ量を設定して充電エネルギ量を更新しておくことで、高電圧バッテリ10の充電に要する期間や商用電源から持ち出すエネルギ量を高精度に予測して計画を立案することができる。もっとも、住宅内において、プラグPGを介して持ち出される電力量が冷却処理によってゼロとなる期間において、プラグPGを介した電力消費以外の電力消費量を増加させる計画を立案している場合には、車両側でも当初の計画に従うことにメリットがある。
<電力変換回路の冷却構造について>
先の図12に示す構成に代えて、コンプレッサ82の下流且つエバポレータ84の上流にインバータIVを配置することも可能である。なお、電力変換回路の冷却手法が水冷に限らないことについては、「充電に流用される電力変換回路の用途について」の欄に記載したとおりである。
<そのほか>
・停車時電力供給処理は、バッテリの充電処理のみであってもよい。
【0140】
・ハイブリッド車としては、パラレルハイブリッド車や、パラレル・シリーズハイブリッド車に限らない。例えばシリーズハイブリッド車であってもよい。この場合も、内燃機関の稼動によって駆動輪が回転することがないため、上記第2の実施形態と同様の処理を行なうことができる。
【0141】
・充電要求が生じるバッテリとしては、高電圧バッテリ10に限らず、例えば低電圧バッテリ23であってもよい。この場合、高電圧バッテリ10に充電する処理と、DCDCコンバータ22を介してこの蓄電電力を低電圧バッテリ23に出力する処理とによって低電圧バッテリ23を充電すればよい。
【符号の説明】
【0142】
10…高電圧バッテリ、20…空調ユニット、30…電力変換回路、40…電力制御装置、42…通信機、54…配電盤、58…住宅用制御装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置において、
停車中において前記車載負荷に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なう電力供給処理手段を備え、
前記電力供給処理手段は、将来の予測電力コスト情報に基づき、前記所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで前記停車時電力供給処理を計画する計画手段を備え、該計画手段によって定められた処理を実行することを特徴とする車両用電力制御装置。
【請求項2】
前記将来の予測電力コスト情報には、前記受電口から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動が含まれることを特徴とする請求項1記載の車両用電力制御装置。
【請求項3】
前記将来の予測電力コスト情報は、前記車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含むことを特徴とする請求項1または2記載の車両用電力制御装置。
【請求項4】
前記計画手段は、前記受電口から前記車載負荷への電力の供給量および供給時刻を前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項5】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記計画手段は、前記車載電子機器に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記2次電池に蓄えられている電力を用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項4記載の車両用電力制御装置。
【請求項6】
前記車両は、内燃機関と、該内燃機関の回転エネルギを電気エネルギに変換する変換手段とを備え、
前記計画手段は、前記車載負荷に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記変換手段によって変換される前記内燃機関の回転エネルギを用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項4または5記載の車両用電力制御装置。
【請求項7】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車両内の温度を低下させるための温度低下装置を備え、
前記車両は、前記温度低下装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記電力変換回路は、前記温度低下装置の駆動によって温度が低下するように配置されており、
前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間内に割り込ませる計画を立案することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項8】
前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする請求項7記載の車両用電力制御装置。
【請求項9】
前記計画手段は、前記補償するために要求されるエネルギ量を、前記2次電池の充電エネルギ量が大きいほど大きくすることを特徴とする請求項8記載の車両用電力制御装置。
【請求項10】
前記計画手段は、前記2次電池の充電に際して前記受電口から供給される電力を大きく設定する場合、前記低下させる処理の割り込み間隔を短縮した計画を立案することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項11】
前記電力供給処理手段は、前記2次電池の充電処理に際して前記電力変換回路の温度が閾値温度を超える場合、前記計画手段の計画にかかわらず、前記温度低下装置を駆動することで前記低下させる処理を割り込ませることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項12】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、
前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記計画手段は、所定時刻において車両内の温度の調節が完了する要求が生じる場合、要求に応じた前記温度調節装置の駆動期間を前記2次電池の充電禁止期間に設定することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項13】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、前記2次電池の充電のための電力変換回路と、車両内の温度を調節するための温度調節装置とを備え、
前記温度調節装置は、前記電力変換回路を冷却する機能を有し、
前記計画手段は、前記温度調節装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間において割り込ませる計画を立案するものであって且つ、前記温度調節装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項14】
前記計画手段は、
前記想定される時点までの期間を複数に分割し、分割した各期間毎に供給可能な電力を設定する供給電力分割手段と、
前記供給電力分割手段によって分割された各期間における供給可能な電力を単位電力に分割して且つ、前記予測電力コスト情報に基づき前記分割された単位電力当たりのコストを設定する電力コスト設定手段と、
前記想定される時点までの期間において前記車載負荷に供給すべき電力を単位電力に分割する負荷消費電力分割手段と、
前記負荷消費電力分割手段によって分割された各単位電力のそれぞれを、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振る割振手段とを備え、
該割振手段は、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち電力コストの小さいものを優先利用することを特徴とする請求項3記載の車両用電力制御装置。
【請求項15】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力のうち前記車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては前記電力コストにかかわらず前記供給電力分割手段によって分割された期間のうちの該当する期間における単位電力を割り振ることを特徴とする請求項14記載の車両用電力制御装置。
【請求項16】
前記割振手段は、
前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の全てを前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振った後、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の割振りがないものが存在するか否かを判断する判断手段と、
該判断手段によって前記存在すると判断される場合、前記割り振りのない単位電力を用いて前記2次電池を充電し、該2次電池に充電された電力を用いて前記供給すべき期間が指定される電力を該指定される期間において該当する車載電子機器に供給する場合に要求されるコストと前記指定される期間に前記該当する車載電子機器に前記2次電池を用いることなく電力を供給する場合に要求されるコストとを比較する比較手段と、
該比較手段によって前記2次電池に充電された電力を用いた場合のコストの方が小さいと判断される場合、該2次電池に充電された電力を用いるように前記割り振りを変更する変更手段とを備えることを特徴とする請求項15記載の車両用電力制御装置。
【請求項17】
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電要求を取得する充電要求取得手段を更に備え、
前記電力供給処理手段は、前記充電要求取得手段によって取得された充電要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項18】
前記充電要求取得手段は、前記充電要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、
前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記2次電池に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする請求項17記載の車両用電力制御装置。
【請求項19】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記車両の次回の走行開始時までの前記車載電子機器の駆動要求を取得する駆動要求取得手段を更に備え、
前記電力供給処理手段は、前記駆動要求取得手段によって取得された駆動要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする請求項3〜18のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項20】
前記駆動要求取得手段は、前記駆動要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、
前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記車載電子機器に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする請求項19記載の車両用電力制御装置。
【請求項21】
前記車載負荷は、前記2次電池に加えて車載電子機器を備え、
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記車載電子機器の駆動の少なくとも一方についてユーザによる要求が入力される入力手段と、
前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給する電気エネルギ量を制限する旨をユーザに出力する出力手段とを更に備えることを特徴とする請求項3〜20のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項22】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、
前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記温度調節装置の駆動についてユーザによる要求およびその優先度が入力される入力手段と、
前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動によって要求される電気エネルギ量が上回る場合、前記優先度に応じて前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動の少なくとも一方を当初の要求から変更する変更手段とをさらに備えることを特徴とする請求項3〜21のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項1】
車両の外部の電源装置に接続される受電口と、該受電口を介して前記外部の電源装置から供給される電力を蓄える2次電池を含む車載負荷とを備える車両に適用される車両用電力制御装置において、
停車中において前記車載負荷に所定の電力を供給する停車時電力供給処理を行なう電力供給処理手段を備え、
前記電力供給処理手段は、将来の予測電力コスト情報に基づき、前記所定の電力を供給する際に要求されるコストを予測することで前記停車時電力供給処理を計画する計画手段を備え、該計画手段によって定められた処理を実行することを特徴とする車両用電力制御装置。
【請求項2】
前記将来の予測電力コスト情報には、前記受電口から供給される電力コストについての1日よりも短い時間間隔での変動が含まれることを特徴とする請求項1記載の車両用電力制御装置。
【請求項3】
前記将来の予測電力コスト情報は、前記車両の次回の走行開始時と想定される時点までの全期間における電力コスト情報を含むことを特徴とする請求項1または2記載の車両用電力制御装置。
【請求項4】
前記計画手段は、前記受電口から前記車載負荷への電力の供給量および供給時刻を前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項5】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記計画手段は、前記車載電子機器に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記2次電池に蓄えられている電力を用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項4記載の車両用電力制御装置。
【請求項6】
前記車両は、内燃機関と、該内燃機関の回転エネルギを電気エネルギに変換する変換手段とを備え、
前記計画手段は、前記車載負荷に供給する電力として前記受電口から供給される電力を用いるか、前記変換手段によって変換される前記内燃機関の回転エネルギを用いるかを前記予測電力コスト情報に基づき定めることを特徴とする請求項4または5記載の車両用電力制御装置。
【請求項7】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車両内の温度を低下させるための温度低下装置を備え、
前記車両は、前記温度低下装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記電力変換回路は、前記温度低下装置の駆動によって温度が低下するように配置されており、
前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間内に割り込ませる計画を立案することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項8】
前記計画手段は、前記温度低下装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする請求項7記載の車両用電力制御装置。
【請求項9】
前記計画手段は、前記補償するために要求されるエネルギ量を、前記2次電池の充電エネルギ量が大きいほど大きくすることを特徴とする請求項8記載の車両用電力制御装置。
【請求項10】
前記計画手段は、前記2次電池の充電に際して前記受電口から供給される電力を大きく設定する場合、前記低下させる処理の割り込み間隔を短縮した計画を立案することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項11】
前記電力供給処理手段は、前記2次電池の充電処理に際して前記電力変換回路の温度が閾値温度を超える場合、前記計画手段の計画にかかわらず、前記温度低下装置を駆動することで前記低下させる処理を割り込ませることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項12】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、
前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記計画手段は、所定時刻において車両内の温度の調節が完了する要求が生じる場合、要求に応じた前記温度調節装置の駆動期間を前記2次電池の充電禁止期間に設定することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項13】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、前記2次電池の充電のための電力変換回路と、車両内の温度を調節するための温度調節装置とを備え、
前記温度調節装置は、前記電力変換回路を冷却する機能を有し、
前記計画手段は、前記温度調節装置の駆動によって前記電力変換回路の温度を低下させる処理を、前記2次電池に前記受電口から供給される電力を充電する期間において割り込ませる計画を立案するものであって且つ、前記温度調節装置の駆動により消費される前記2次電池の蓄電エネルギを補償するように、前記2次電池の充電を行う計画を立案することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項14】
前記計画手段は、
前記想定される時点までの期間を複数に分割し、分割した各期間毎に供給可能な電力を設定する供給電力分割手段と、
前記供給電力分割手段によって分割された各期間における供給可能な電力を単位電力に分割して且つ、前記予測電力コスト情報に基づき前記分割された単位電力当たりのコストを設定する電力コスト設定手段と、
前記想定される時点までの期間において前記車載負荷に供給すべき電力を単位電力に分割する負荷消費電力分割手段と、
前記負荷消費電力分割手段によって分割された各単位電力のそれぞれを、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振る割振手段とを備え、
該割振手段は、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち電力コストの小さいものを優先利用することを特徴とする請求項3記載の車両用電力制御装置。
【請求項15】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記割振手段は、前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力のうち前記車載電子機器に供給すべき期間が指定されるものについては前記電力コストにかかわらず前記供給電力分割手段によって分割された期間のうちの該当する期間における単位電力を割り振ることを特徴とする請求項14記載の車両用電力制御装置。
【請求項16】
前記割振手段は、
前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の全てを前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力に割り振った後、前記電力コスト設定手段によってコストの設定された単位電力のうち前記負荷消費電力分割手段によって分割された単位電力の割振りがないものが存在するか否かを判断する判断手段と、
該判断手段によって前記存在すると判断される場合、前記割り振りのない単位電力を用いて前記2次電池を充電し、該2次電池に充電された電力を用いて前記供給すべき期間が指定される電力を該指定される期間において該当する車載電子機器に供給する場合に要求されるコストと前記指定される期間に前記該当する車載電子機器に前記2次電池を用いることなく電力を供給する場合に要求されるコストとを比較する比較手段と、
該比較手段によって前記2次電池に充電された電力を用いた場合のコストの方が小さいと判断される場合、該2次電池に充電された電力を用いるように前記割り振りを変更する変更手段とを備えることを特徴とする請求項15記載の車両用電力制御装置。
【請求項17】
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電要求を取得する充電要求取得手段を更に備え、
前記電力供給処理手段は、前記充電要求取得手段によって取得された充電要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項18】
前記充電要求取得手段は、前記充電要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、
前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記2次電池に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする請求項17記載の車両用電力制御装置。
【請求項19】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に車載電子機器を備え、
前記車両の次回の走行開始時までの前記車載電子機器の駆動要求を取得する駆動要求取得手段を更に備え、
前記電力供給処理手段は、前記駆動要求取得手段によって取得された駆動要求に基づき前記停車時電力供給処理を行なうことを特徴とする請求項3〜18のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項20】
前記駆動要求取得手段は、前記駆動要求の優先度を外部から入力可能とするものであり、
前記電力供給処理手段は、前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記優先度に基づき前記車載電子機器に供給する電気エネルギ量を決定することを特徴とする請求項19記載の車両用電力制御装置。
【請求項21】
前記車載負荷は、前記2次電池に加えて車載電子機器を備え、
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記車載電子機器の駆動の少なくとも一方についてユーザによる要求が入力される入力手段と、
前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を上回る要求が生じる場合、前記次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給する電気エネルギ量を制限する旨をユーザに出力する出力手段とを更に備えることを特徴とする請求項3〜20のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【請求項22】
前記車載負荷は、前記2次電池以外に、車両内の温度を調節するための温度調節装置を備え、
前記車両は、前記温度調節装置の備える回転機を駆動して且つその出力側に前記受電口が接続された電力変換回路を備え、該電力変換回路を前記受電口から供給される電力を前記2次電池に充電する手段として流用するものであり、
前記車両の次回の走行開始時までの前記2次電池の充電、および前記温度調節装置の駆動についてユーザによる要求およびその優先度が入力される入力手段と、
前記車両の次回の走行開始時までに前記車載負荷に供給可能な電気エネルギ量を前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動によって要求される電気エネルギ量が上回る場合、前記優先度に応じて前記2次電池の充電および前記温度調節装置の駆動の少なくとも一方を当初の要求から変更する変更手段とをさらに備えることを特徴とする請求項3〜21のいずれか1項に記載の車両用電力制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−250672(P2011−250672A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55635(P2011−55635)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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