説明

車両運転支援装置及び車両運転支援プログラム

【課題】車両がカーブ区間を走行する際に、運転者の運転傾向に応じた適切な警告を行うことが可能な車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムを提供する。
【解決手段】カーブ区間内で自車両のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への進入車速との関係を表す関係情報46を取得し、記憶手段24に記憶させる関係情報取得手段23と、記憶手段24に記憶された複数の関係情報46に基づいて、カーブ区間の湾曲状態と進入車速との関係で規定される領域であって、カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域として設定する警告領域設定手段25と、自車両の進行方向前方にカーブ区間が検出され、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への進入車速との関係が警告領域内にある場合に、当該カーブ区間への進入前に警告情報47を出力する警告出力手段29と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両がカーブを安全に通過するための運転支援を行う車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両がカーブを安全に通過するための運転支援を行うための技術として、自車両が走行中の道路における進行方向前方に存在するカーブの形状や、自車両の現在の走行状態等に基づいてカーブ走行中における自車両の走行状態を予想し、走行状態が不安定となることが予想された場合に運転者に対して警告を行う技術が既に知られている(例えば、下記の特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平06−080046号公報
【特許文献2】特開平10−019594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両がカーブを走行する際には、カーブ区間に進入する前に十分な減速を行い、カーブ区間内ではブレーキ操作を行わないことが安全上望ましい。しかしながら、各運転者の技量や運転傾向には様々な違いがあり、同じカーブに同じ進入速度で進入した場合であっても、カーブ区間内でブレーキ操作を行う運転者と行わない運転者が存在し得る。上記従来の技術では、カーブの形状や車両の走行状態等に基づいて警告を行うか否かが判定されるため、各運転者の技量や運転傾向を考慮した警告を行うことができなかった。そのため、車両側で走行状態が不安定とならないと判断した場合であっても、運転者によっては、速度超過でカーブ区間内に進入したと判断してカーブ区間内でブレーキ操作を行うことがある。また、運転者によっては、単なる癖によりカーブ区間内で無意識にブレーキ操作を行うこともある。このような場合には、不必要なブレーキ操作を行ったことによってカーブ区間内での車両の走行状態が不安定になる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両がカーブ区間を走行する際に、運転者の運転傾向に応じた適切な警告を行うことが可能な車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る車両運転支援装置の特徴構成は、自車両の走行経路中のカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出するカーブ区間検出手段と、自車両のブレーキ操作を検出するブレーキ検出手段と、前記カーブ区間への進入前の自車両の車速である進入車速を検出する進入車速検出手段と、前記カーブ区間内で自車両のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係を表す関係情報を取得し、記憶手段に記憶させる関係情報取得手段と、前記記憶手段に記憶された複数の前記関係情報に基づいて、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される領域であって、前記カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域として設定する警告領域設定手段と、前記カーブ区間検出手段により自車両の進行方向前方に前記カーブ区間が検出され、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への前記進入車速との関係が前記警告領域内にある場合に、当該カーブ区間への進入前に警告情報を出力する警告出力手段と、を備えた点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、自車両の運転者が、過去にカーブ区間内で行ったブレーキ操作について学習し、カーブ区間の湾曲状態と進入車速との関係で警告情報を出力するか否かを決定する警告領域を適切に設定することができる。従って、この警告領域に反映された自車両の運転者の過去の運転傾向に基づいて、自車両の進行方向前方に存在するカーブ区間でブレーキ操作を行う可能性があるか否かを適切に判定することができる。そして、この判定結果に応じて警告情報の出力を行うか否かを適切に判定し、運転者の運転傾向に応じた適切な警告情報の出力を行うことが可能となる。
【0008】
ここで、自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置取得手段と、少なくとも自車両の周辺の地図データを取得する地図データ取得手段と、を更に備え、前記カーブ区間検出手段は、前記自車位置情報と前記地図データとに基づいて、自車両の進行方向前方に存在するカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出する構成とすると好適である。
【0009】
この構成によれば、自車位置情報に示される自車両の位置に基づいて地図データから取得される、自車両が走行中の道路における進行方向前方の道路形状のデータに基づいて、自車両の進行方向前方に存在するカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を適切に検出することができる。
【0010】
また、前記警告領域設定手段は、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される二次元座標上における複数の前記関係情報の配置に基づいて、前記関係情報が存在する領域を含む高車速側の領域に前記警告領域を設定する構成とすると好適である。
【0011】
この構成によれば、自車両の運転者が過去にブレーキ操作を行った際のカーブ区間の湾曲状態と進入車速との関係に基づいて、これらの関係が当該ブレーキ操作が行われた状況とほぼ同じ又はそれより更にブレーキ操作が行われる可能性が高い高車速側の領域に警告領域が設定される。従って、自車両の運転者が過去にカーブ区間内で行ったブレーキ操作に基づいて、カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある湾曲状態と進入車速との関係の領域を、適切に警告領域として設定することができる。
【0012】
或いは、前記警告領域設定手段は、前記二次元座標上に、複数の前記関係情報のそれぞれに対応する複数の点を示し、それら複数の点が存在する領域の低車速側の境界付近に前記警告領域の境界を設定し、当該境界よりも高車速側の領域を前記警告領域として設定する構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、自車両の運転者が過去にブレーキ操作を行った際における、カーブ区間の湾曲状態と進入車速との関係を二次元座標上に点として示した関係情報に基づいて、ブレーキ操作が行われた状況とほぼ同じ又はそれより更にブレーキ操作が行われる可能性が高い高車速側の領域に適切に警告領域を設定することができる。
【0014】
上記の各構成において、前記進入車速は、前記カーブ区間の始点から進行方向後方に所定距離の位置に設定される進入車速検出地点での自車両の車速であると好適である。
【0015】
この構成によれば、カーブ区間への進入車速を検出してから警告情報を出力した際に、カーブ区間の始点までの前記所定距離を利用して、運転者が自車両を減速させることが可能となる。したがって、自車両の安全運転を適切に支援することができる。
【0016】
また、前記警告出力手段は、前記警告情報として、警告音声、警告表示画像、及び車両制御装置への制御信号の少なくとも一つを出力する構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある場合に、当該カーブ区間への進入前に、自車両の運転者に対して適切に警告を行い、或いは適切に車両制御を行うことが可能となる。
【0018】
また、前記ブレーキ検出手段は、ブレーキ操作量が所定量以上のときにブレーキ操作を検出する構成とすると好適である。
【0019】
この構成によれば、車両の走行状態を不安定にしない程度の少ない操作量でのブレーキ操作について、関係情報を取得する対象から除外することができる。従って、有用な関係情報のみを記憶手段に記憶して警告領域の設定に用いることができ、より適切な警告領域を設定することが可能となる。
【0020】
また、前記警告領域設定手段は、自車両が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、前記警告領域の境界を基準位置に対して低車速側に変更する下り勾配調整と、自車両が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、前記警告領域の境界を基準位置に対して高車速側に変更する上り勾配調整と、の一方又は双方を行う構成とすると好適である。
【0021】
自車両が下り勾配を走行している状況では、カーブ区間への進入前の車速である進入車速よりもカーブ区間内での車速が更に高くなる可能性がある。一方、自車両が上り勾配を走行している状況では、カーブ区間への進入前の車速である進入車速よりもカーブ区間内での車速は低くなる可能性がある。この構成によれば、自車両が走行中の道路の勾配の影響を受けて自車両の車速が進入車速に対して変化する可能性を考慮し、警告領域を適切に調整することができる。したがって、自車両が走行中の道路の勾配に応じてより適切な警告情報の出力を行うことが可能となる。
【0022】
また、前記関係情報取得手段は、自車両が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、前記関係情報を構成する前記進入車速を、前記進入車速検出手段により検出した進入車速に対して高車速側に変更する下り勾配調整と、自車両が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、前記関係情報を構成する前記進入車速を、前記進入車速検出手段により検出した進入車速に対して低車速側に変更する上り勾配調整と、の一方又は双方を行う構成とすると好適である。
【0023】
自車両が下り勾配を走行している状況では、カーブ区間への進入前の車速である進入車速よりもカーブ区間内での車速が更に高くなる可能性がある。一方、自車両が上り勾配を走行している状況では、カーブ区間への進入前の車速である進入車速よりもカーブ区間内での車速は低くなる可能性がある。この構成によれば、自車両が走行中の道路の勾配の影響を受けて自車両の車速が進入車速に対して変化する可能性を考慮し、関係情報を構成する進入車速の情報を適切に調整することができる。したがって、自車両が走行中の道路の勾配に応じてより適切な関係情報を取得し、記憶手段に記憶させることが可能となる。
【0024】
以上の各構成を備えた本発明に係る車両運転支援装置の技術的特徴は、車両運転支援方法や車両運転支援プログラムにも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。
【0025】
その場合における、車両運転支援プログラムの特徴構成は、自車両の走行経路中のカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出するカーブ区間検出機能と、自車両のブレーキ操作を検出するブレーキ検出機能と、前記カーブ区間への進入前の自車両の車速である進入車速を検出する進入車速検出機能と、前記カーブ区間内で自車両のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係を表す関係情報を取得し、記憶手段に記憶させる関係情報取得機能と、前記記憶手段に記憶された複数の前記関係情報に基づいて、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される領域であって、前記カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域として設定する警告領域設定機能と、自車両の進行方向前方に前記カーブ区間が検出され、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への前記進入車速との関係が前記警告領域内にある場合に、当該カーブ区間への進入前に警告情報を出力する警告出力機能と、をコンピュータに実現させる点にある。
【0026】
当然ながら、この車両運転支援プログラムも上述した車両運転支援装置に係る作用効果を得ることができ、更に、その好適な構成の例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
1.第一の実施形態
まず、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、ナビゲーション装置3を利用して本発明に係る車両運転支援装置1を構成した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る車両運転支援装置1を含むナビゲーション装置3の概略構成を示すブロック図である。この車両運転支援装置1は、自車両2の運転者がカーブ区間S内でブレーキ操作を行う毎に、当該カーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速V(図2参照)との関係を表す関係情報46を取得して学習する。そして、この車両運転支援装置1は、自車両の進行方向前方にカーブ区間Sを検出した場合には、この学習結果に基づいて、当該カーブ区間S内でブレーキ操作を行う可能性があるか否かを判定し、ブレーキ操作を行う可能性があると判定した場合に警告情報を出力する。これにより、運転者の運転傾向に応じた適切な警告情報の出力を行う。
【0028】
図1に示すナビゲーション装置3の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション装置3は、ブレーキ検出部11、自車位置取得部15、地図データ取得部20、カーブ区間検出部21、進入車速検出部22、関係情報取得部23、警告領域設定部25、警告判定部27、警告情報出力部28、及びナビゲーション用演算部30を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、前記演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。地図データベース19は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。また、学習データベース24は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。この学習データベース24は、地図データベース19が書き換え可能な記録媒体で構成される場合には、地図データベース19と共通の記録媒体内に設けられてもよい。以下、本実施形態に係る車両運転支援装置1を含むナビゲーション装置3の各部の構成について詳細に説明する。
【0029】
1−1.ブレーキ検出部
ブレーキ検出部11は、自車両2のブレーキ操作を検出する機能部である。このブレーキ検出部11が、本発明におけるブレーキ検出手段に相当する。ブレーキ検出部11は、ブレーキセンサ13からの出力に基づいて、運転者によるブレーキペダル12の操作、すなわちブレーキ操作が行われたことを検出する。ここで、ブレーキセンサ13としては、運転者によるブレーキペダル12の操作量であるブレーキ操作量を検出可能なセンサが用いられ、例えば、運転者によるブレーキペダル12の操作による発生するブレーキ油圧を検出する圧力センサ等により構成される。そして、ブレーキ検出部11は、ブレーキセンサ13からの検出信号に基づくブレーキ操作量が所定量以上、ここでは所定の検出しきい値以上のときにブレーキ操作を検出する。ここで、検出しきい値には任意の値を設定することができるが、例えば、カーブ区間S(図2参照)内での自車両2の挙動にほとんど影響を与えない程度の僅かなブレーキ操作量の範囲の上限値付近に設定すると好適である。このようなブレーキ操作量の範囲の上限値は、実験的に求めることができる。これにより、ブレーキ検出部11は、自車両2の走行状態を不安定にしない程度の少ない操作量でのブレーキ操作を検出しないので、後述する関係情報取得部23による関係情報46の取得対象から除外することができる。従って、有用な関係情報46のみを学習データベース24に記憶して警告条件テーブル26の設定に用いることができる。
【0030】
1−2.自車位置取得部
自車位置取得部15は、自車両2の現在位置を表す自車位置情報41を取得する機能部である。この自車位置取得部15が、本発明における自車位置取得手段に相当する。ここでは、自車位置取得部15は、GPS受信機16、方位センサ17、及び距離センサ18に接続されている。ここで、GPS受信機16は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置取得部15へ出力される。自車位置取得部15では、GPS受信機16で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、現在の自車位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ17は、自車両の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ17は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ17は、その検出結果を自車位置取得部15へ出力する。距離センサ18は、自車両の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ18は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ18は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置取得部15へ出力する。
【0031】
自車位置取得部15は、これらのGPS受信機16、方位センサ17及び距離センサ18からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置取得部15は、地図データベース19に記憶された地図データ42に基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を地図データ42に示される道路上に合わせる補正も行う。このようなマップマッチング処理による自車位置の補正結果は自車位置情報41に反映される。このようにして、自車位置取得部15は、座標(緯度及び経度)で表された現在の自車位置及びその進行方位の情報を含む自車位置情報41を取得する。
【0032】
1−3.地図データ取得部、地図データベース
地図データ取得部20は、少なくとも自車両2の周辺の地図データ42を取得する機能部である。この地図データ取得部20が、本発明における地図データ取得手段に相当する。本実施形態においては、地図データ取得部20は、地図データベース19から地図データ42を読み出して取得する。地図データベース19は、地図データ42が記憶されたデータベースである。ここでは、例えば日本全土等のように、地図が対象とする地域全体を複数に分割してなる区画毎の地図データ42が記憶されている。各地図データ42は、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。また、道路ネットワークデータに含まれる各リンクLの情報は、例えば図2に示すように、カーブ等におけるリンク形状を表すための1又は2以上の形状補間点nの情報を含んでいる。形状補間点nの情報は、緯度及び経度等で表された地図上の位置情報を有する。したがって、各リンクは、1又は2以上の形状補間点nと、2つの形状補間点n間又はノードと形状補間点nとの間を結ぶ直線状の補間点間リンクkとにより構成されている。
【0033】
また、地図データ42は、道路ネットワークデータの他に、ナビゲーション用演算部30による地図表示処理に必要な描画情報や、経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。ここで、描画情報には、道路形状、建物、河川等を表示するために必要な背景情報、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字情報などが含まれる。また、案内情報には、交差点の詳細情報から成る交差点情報などが含まれる。また、地図データベース19に格納された地図データ42には、この他にも、図示しない検索処理部による施設検索などに用いる施設情報も含まれている。施設情報は、各施設の位置を表す座標情報のほか、当該施設の名称、住所、電話番号、サービス種別等の各種の属性情報を含んでいる。
【0034】
1−4.カーブ区間検出部
カーブ区間検出部21は、自車両2の走行経路中のカーブ区間S及び当該カーブ区間Sの湾曲状態を検出する機能部である。このカーブ区間検出部21が、本発明におけるカーブ区間検出手段に相当する。図2に、カーブ区間検出部21による検出対象となるカーブ区間Sの一例を示している。本実施形態においては、カーブ区間検出部21は、カーブ区間Sの湾曲状態として曲率半径Rを検出し、曲率半径情報44として取得する。また、カーブ区間検出部21は、自車両2の走行経路中にカーブ区間Sが存在すること検出した際に、当該カーブ区間Sの始点Ss及び終点Seの位置情報を含むカーブ区間情報43も取得する。
【0035】
カーブ区間検出部21は、自車位置取得部15により取得された自車位置情報41と、地図データ取得部20により取得された地図データ42とに基づいて、自車両2の進行方向前方に存在するカーブ区間S及び当該カーブ区間Sの曲率半径を検出する。すなわち、カーブ区間検出部21は、地図データ42に含まれる道路の情報と、自車位置情報41に示される自車両2の位置(座標)に基づいて、自車両2の進行方向前方の道路の形状等に関する情報を取得することができる。そこで、カーブ区間検出部21は、自車両2の進行方向前方の所定の探索範囲内(例えば走行経路に沿って100〔m〕以内)に、曲率半径Rが所定のカーブ判定上限値以下の区間が存在した場合には、当該区間をカーブ区間Sとして検出する。ここで、カーブ判定上限値は、カーブ区間Sと判定するか直線区間と判定するかの境界を規定する曲率半径Rの値であり、任意の値を設定することができるが、例えば300〔m〕や500〔m〕等に設定することができる。そして、カーブ区間検出部21は、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sを検出した場合には、当該カーブ区間Sについて、曲率半径Rを表す曲率半径情報44と、始点Ss及び終点Seの位置情報を含むカーブ区間情報43を取得する。
【0036】
カーブ区間検出部21は、カーブ区間Sの曲率半径R、並びに始点Ss及び終点Seの位置情報を、当該カーブ区間Sを構成するリンクLの形状補間点nの位置情報に基づいて検出する。具体的には、カーブ区間検出部21は、カーブ区間S内の3つの形状補間点nを通る円の半径を曲率半径Rとして検出する。また、カーブ区間検出部21は、曲率半径Rが一定の領域をカーブ区間Sとして検出し、その進行方向後方端部を始点Ss、その進行方向前方端部を終点Seとしてそれぞれの位置を検出する。したがって、本実施形態においては、曲率半径が一定の区間と直線区間とをつなぐ緩和曲線区間Cはカーブ区間Sには含まれない。但し、本発明の実施に際して、カーブ区間Sの始点Ss及び終点Seの位置を厳密に定義する必要はないため、緩和曲線区間Cまで含めてカーブ区間Sと判定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0037】
1−5.進入車速検出部
進入車速検出部22は、カーブ区間Sへの進入前の自車両2の車速である進入車速Vを検出する機能部である。この進入車速検出部22が、本発明における進入車速検出手段に相当する。本実施形態においては、進入車速検出部22は、カーブ区間Sの始点Ssから進行方向後方に所定距離Dの位置に設定される進入車速検出地点Pでの自車両2の車速を、進入車速Vとして検出する。ここで、所定距離Dは、一般的な自車両2の制動距離を考慮し、カーブ区間Sの始点Ssまでに自車両2を減速させるために十分な距離に設定すると好適である。本実施形態においては、所定距離Dを固定値とし、例えば20〔m〕や50〔m〕等に設定する。所定距離Dをこのように設定する理由は、後述するように、この車両運転支援装置1が、進入車速Vを検出する進入車速検出地点Pを過ぎてから警告情報47を出力する構成であり、当該警告情報47の出力後に自車両2の減速が開始されることによる。進入車速検出部22は、カーブ区間検出部21により取得されたカーブ区間情報43に含まれるカーブ区間Sの始点Ssの位置と、地図データ取得部20により取得された地図データ42とに基づいて、自車両2の走行経路上に進入車速検出地点Pを設定する。
【0038】
進入車速検出部22は、車速センサ14からの出力に基づいて進入車速Vを検出する。ここで、車速センサ14は、自車両2の車輪やそれと比例する回転速度で回転する駆動系部材の回転速度を検出するセンサであり、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサを用いることができる。進入車速検出部22は、自車位置情報41と地図データ42とに基づいて、自車両2が、上記のように設定された進入車速検出地点Pに到達した際に、車速センサ14により車速を検出し、その検出結果を進入車速Vとする。進入車速検出部22は、このように検出された進入車速Vを進入車速情報45として取得する。
【0039】
1−6.関係情報取得部、学習データベース
関係情報取得部23は、カーブ区間S内で自車両2のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速Vとの関係を表す関係情報46を取得し、学習データベース24に記憶させる処理を行う機能部である。この関係情報取得部23が、本発明における関係情報取得手段に相当する。より詳しくは、関係情報取得部23は、カーブ区間検出部21によりカーブ区間Sが検出された際に、当該カーブ区間S内、すなわち当該カーブ区間Sのカーブ区間情報43に示される始点Ssから終点Seまでの間で、ブレーキ検出部11により自車両2のブレーキ操作が検出されたか否かを監視する。カーブ区間S内で自車両2のブレーキ操作が検出された場合には、関係情報取得部23は、カーブ区間検出部21により取得された曲率半径情報44から当該カーブ区間Sの曲率半径Rを取得するとともに、進入車速検出部22により取得された進入車速情報45から当該カーブ区間Sへの自車両2の進入車速Vを取得する。そして、関係情報取得部23は、当該カーブ区間Sについての曲率半径Rと進入車速Vとを関係付けて関係情報46を生成し、それを学習データベース24に記憶させる。
【0040】
関係情報取得部23は、カーブ区間S内で自車両2のブレーキ操作が検出される度に、当該カーブ区間Sについての曲率半径Rと進入車速Vとの関係を表す関係情報46を取得し、学習データベース24に記憶させる。したがって、学習データベース24には、複数の関係情報46が記憶され、蓄積される。関係情報46は、少なくともブレーキ操作が検出されたカーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速Vの情報を含んでいればよいが、この他にも、例えば、当該関係情報46の取得日時や当該関係情報46が取得されたカーブ区間Sの位置情報等を含んでいてもよい。
【0041】
1−7.警告領域設定部
警告領域設定部25は、学習データベース24内に記憶された複数の関係情報46に基づいて、カーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速Vとの関係で規定される領域であって、カーブ区間S内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域Wとして設定する機能部である。この警告領域設定部25が、本発明における警告領域設定手段に相当する。本実施形態においては、警告領域設定部25は、カーブ区間S内でブレーキ操作が行われる可能性が高いと判定する領域を警告領域Wとして設定する。具体的には、警告領域設定部25は、カーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速Vとの関係で規定される二次元座標上における複数の関係情報46に基づいて、関係情報46が存在する領域を含む高車速側の領域に警告領域Wを設定する。図3は、曲率半径Rと進入車速Vとの関係で規定される二次元座標上に設定された警告領域Wを表す警告条件テーブル26の例を示す図である。この図に示すように、警告領域設定部25は、曲率半径Rを第一軸(x軸)、進入車速Vを第二軸(y軸)とする二次元座標上に、複数の関係情報46のそれぞれに対応する複数の点を示し、それら複数の点が存在する領域の低車速側の境界付近に警告領域Wの境界Bを設定し、当該境界Bよりも高車速側の領域を警告領域Wとして設定する。なお、当該境界Bよりも低車速側の領域は非警告領域Uとされる。
【0042】
図示の例では、警告領域設定部25は、警告領域Wの境界Bを、二次元座標上に示された複数の関係情報46に対応する点の分布に沿って設定した直線としている。但し、警告領域Wには、上限半径Raと下限車速Vaとが予め設定されている。ここで、上限半径Raは、カーブ区間検出部21がカーブ区間Sとして検出する曲率半径Rの上限値であるカーブ判定上限値(例えば300〔m〕や500〔m〕等)と同じ値に設定すると好適である。上限半径Raをこのように設定すれば、カーブ区間検出部21がカーブ区間Sとして検出する全てのカーブに警告領域Wを設定することができる。また、下限車速Vaは、現実に存在する最も小さい曲率半径Rのカーブ区間Sを安全に走行可能な程度の低速に設定すると好適である。これは、自車両2がそのような低速で走行している場合には、カーブ区間Sへの進入前に警告情報46を出力する必要がないからである。
【0043】
そして、警告領域設定部25は、これら上限半径Raと下限車速Vaとの間、すなわち曲率半径Rが上限半径Ra以下であって進入車速Vが下限車速Va以上である領域内において、関係情報46に基づく警告領域Wの境界Bを設定する。この際、警告領域設定部25は、警告領域Wの境界Bを、二次元座標上に示された複数の関係情報46に対応する点の分布に沿って設定した直線とする。本実施形態においては、警告領域設定部25は、警告領域Wの境界Bを、複数の関係情報46に対応する点の分布を代表する直線に平行な傾きの直線とする。そのため、警告領域設定部25は、例えば、複数の関係情報46について線形回帰分析を行い、回帰式により表される直線と同じ傾きの直線により警告領域Wの境界Bを構成する。そして、警告領域設定部25は、警告領域Wの境界Bを、複数の関係情報46に対応する複数の点が存在する領域の低車速側の境界付近に位置させるように設定する。本例では、警告領域設定部25は、複数の関係情報46に対応する複数の点が存在する領域の低車速側の境界と接するように配置した上記傾きの直線を、警告領域Wの境界Bとして設定する。言い換えれば、警告領域設定部25は、複数の関係情報46に対応する複数の点を通る上記傾きの複数の直線の内で、最も低車速側に位置する直線を、警告領域Wの境界Bとして設定する。なお、上記複数の点が存在する領域とは、複数の点の中で最外側の点を結んでなる境界により囲まれる領域である。
【0044】
警告領域設定部25により設定された警告領域Wは、図3に示すように、警告条件テーブル26として記憶される。そして、警告領域設定部25は、関係情報取得部23によって新たな関係情報46が取得される度に、当該新たな関係情報46を用いて警告領域Wの再設定を行い、警告条件テーブル26を更新する。これにより、警告領域Wが、自車両2の運転者によるブレーキ操作の傾向を表す精度を次第に高めることが可能となる。
【0045】
このように警告領域Wの境界Bを設定することにより、自車両2の運転者が過去にブレーキ操作を行った際における、カーブ区間Sの曲率半径Rと進入車速Vとの関係を二次元座標上に点として示した関係情報46に基づいて、ブレーキ操作が行われた状況とほぼ同じ又はそれより更にブレーキ操作が行われる可能性が高い高車速側の領域を警告領域Wとして設定することができる。従って、自車両2の運転者が過去にカーブ区間S内で行ったブレーキ操作に基づいて適切に設定された警告領域Wに従って、後述する警告判定部27により警告情報の出力を行うか否かを適切に判定することが可能となる。
【0046】
1−8.警告判定部
警告判定部27は、学習データベース24内に記憶された複数の関係情報46に基づいて設定された警告領域Wに従い、自車両2がカーブ区間Sを走行するに際して、当該カーブ区間Sへの進入前に警告情報47の出力を行うか否かを判定する処理を行う機能部である。この警告判定部27と後述する警告情報出力部28とにより、本発明における警告出力手段29が構成される。警告判定部27は、カーブ区間検出部43により自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが検出された際に、警告情報47の出力を行うか否かの判定を行う。この際、警告判定部27は、自車両2の進行方向前方のカーブ区間Sの曲率半径Rと当該カーブ区間への進入車速Vとの関係が、警告領域設定部25により設定された警告領域W内にあるか否かに基づいて、警告情報47の出力を行うか否かを判定する。
【0047】
より詳しくは、警告判定部27は、図2に示すように、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが検出された場合には、カーブ区間検出部21により取得された曲率半径情報44から当該カーブ区間Sの曲率半径Rを取得する。また、警告判定部27は、進入車速検出部22により取得された進入車速情報45から、当該カーブ区間Sに対する進入車速検出地点Pでの自車両2の進入車速Vを取得する。そして、警告判定部27は、このようにしてカーブ区間Sへの進入前に取得された曲率半径Rと進入車速Vとの関係を、図3に示すような警告条件テーブル26と照らし合わせ、当該関係が警告領域W内にあるか否かを判定する。すなわち、警告領域設定部25は、前記関係が、警告領域W内にある場合には警告情報47を出力すると判定し、警告領域W内にない場合には警告情報47を出力しないと判定する。
【0048】
警告判定部27が、警告情報47の出力を行うか否かをこのように判定することにより、警告領域Wに反映された自車両2の運転者の過去の運転傾向に基づいて、自車両2の進行方向前方に存在するカーブ区間Sでブレーキ操作を行う可能性があるか否かを適切に判定し、その判定結果に応じて、ブレーキ操作を行う可能性がある場合に警告情報47を出力するという判定を適切に行うことができる。またこの際、警告判定部27は、学習データベース24に記憶させる関係情報46を構成する進入車速Vが検出される位置と同じ進入車速検出地点Pでの進入車速Vに基づいて、ブレーキ操作を行う可能性があるか否かを判定する。従って、過去に学習した関係情報46を適切に利用した判定を行うことができる。
【0049】
1−9.警告情報生成部
警告情報出力部28は、警告判定部27により警告情報47を出力すると判定した場合に、カーブ区間Sへの進入前に警告情報47を生成し、出力する処理を行う機能部である。本実施形態においては、警告情報出力部28は、警告情報47として、警告音声及び警告表示画像を生成して出力する。そのため、警告情報出力部28は、警告音声として、例えば、「この先のカーブに速度超過で進入する可能性があります。早めに減速しましょう。」等のような音声情報をメモリ等から読み出して生成し、音声出力装置32へ出力する。これにより、音声出力装置32から上記のような音声が出力され、自車両2の運転者に報知される。また、警告情報出力部28は、警告表示画像として、例えば、「カーブ注意!減速!」等のような文章とそれを強調表示するための画像等を組み合わせた画像情報をメモリ等から読み出して生成し、表示入力装置31へ出力する。これにより、表示入力装置31に上記の画像が表示され、自車両2の運転者に報知される。なお、表示入力装置31は、液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネルや操作スイッチ等の入力装置が一体となった装置である。音声出力装置32は、スピーカやアンプ等の音声を出力するための装置を有して構成されている。
【0050】
以上のような警告情報47を出力することにより、自車両2の運転者は、カーブ区間Sへの進入前に適切に減速することが可能となるので、カーブ区間S内でブレーキ操作を行う可能性を減少させ、安全運転を促進することが可能となる。また、自車両2の進行方向前方に存在するカーブ区間Sの曲率半径Rと、当該カーブ区間Sへの進入車速Vとの関係に基づいて、過去の傾向からブレーキ操作が行われる可能性が低い場合には警告情報47は出力されないため、自車両2の運転者が警告を煩わしく感じることは少ない。
【0051】
1−10.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部30は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するために所定のアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理手段である。ここで、アプリケーションプログラムは、自車位置情報41や地図データ42等を参照して、ナビゲーション用演算部30に各種のナビゲーション機能を実行させる。例えば、ナビゲーション用演算部30は、自車位置情報41に基づいて地図データベース19から自車両2周辺の地図データ42を取得して表示入力装置31の表示画面に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報41に基づいて自車両2の現在位置を表す自車位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部30は、地図データベース19に記憶された地図データ42に基づいて、所定の出発地から目的地までの経路探索を行う。更に、ナビゲーション用演算部30は、探索された出発地から目的地までの経路と自車位置情報41とに基づいて、表示入力装置31及び音声出力装置32の一方又は双方を用いて、運転者に対する経路案内を行う。
【0052】
1−11.学習処理
次に、本実施形態に係る車両運転支援装置1を含むナビゲーション装置3において実行される、カーブ区間S内でのブレーキ操作の学習処理の手順(学習方法)について説明する。図4は、本実施形態に係る学習処理の手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0053】
この図4に示すように、カーブ区間S内でのブレーキ操作の学習処理に際しては、まず、カーブ区間検出部21が、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが存在するか否かを判定する(ステップ#01)。そして、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが存在する場合には(ステップ#01:Yes)、カーブ区間検出部21は、当該カーブ区間Sの始点Ss及び終点Seの位置情報を含むカーブ区間情報43、及び当該カーブ区間Sの曲率半径Rを表す曲率半径情報44を取得する(ステップ#02)。次に、進入車速検出部22が、ステップ#02で取得したカーブ区間Sの始点Ssの位置情報と地図データ42とに基づいて、自車両2の走行経路上に進入車速検出地点P(図2参照)を設定する(ステップ#03)。そして、進入車速検出部22は、自車両2が進入車速検出地点Pに到達したか否かを判定し(ステップ#04)、進入車速検出地点Pに到達した際に(ステップ#04:Yes)、自車両2の進入車速Vを検出する(ステップ#05)。
【0054】
次に、関係情報取得部23は、自車両2がカーブ区間Sに進入したか否かを判定する(ステップ#06)。この判定は、ステップ#02で取得されたカーブ区間情報43に含まれるカーブ区間Sの始点Ss及び終点Seの位置情報と、自車位置情報41とに基づいて行われる。自車両2がカーブ区間Sに進入した後は(ステップ#06:Yes)、関係情報取得部23は、次に、自車両2がカーブ区間Sを退出したか否かを判定する(ステップ#07)。そして、自車両2がカーブ区間Sを退出するまでは(ステップ#07:No)、関係情報取得部23は、ブレーキ検出部11により自車両2のブレーキ操作が検出されたか否かを監視する(ステップ#08)。ここで、自車両2のブレーキ操作が検出された場合には(ステップ#08:Yes)、関係情報取得部23は、当該カーブ区間Sについての曲率半径Rと進入車速Vとを関係付けて関係情報46を生成し、それを学習データベース24に記憶させる(ステップ#09)。ここで、関係情報46を構成する情報の内、曲率半径Rはステップ#02で取得された曲率半径情報44に含まれている情報であり、進入車速Vはステップ#05で取得される情報である。その後、警告領域設定部25が、ステップ#09で学習データベース24に新たに記憶された関係情報46を用いて警告領域Wの再設定を行い、警告条件テーブル26を更新する(ステップ#10)。一方、自車両2がカーブ区間Sに進入した後(ステップ#06:Yes)、ブレーキ操作が検出されることなく(ステップ#08:No)、自車両2がカーブ区間Sを退出した場合には(ステップ#07:Yes)、ステップ#09及び#10の処理は行われず、学習処理は終了する。
【0055】
1−12・警告出力処理
次に、本実施形態に係る車両運転支援装置1を含むナビゲーション装置3において実行される、上述したカーブ区間S内でのブレーキ操作の学習処理による学習結果に基づく警告出力処理の手順(警告出力方法)について説明する。図4は、本実施形態に係る警告出力処理の手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0056】
この図5に示すように、この警告出力処理に際しては、まず、カーブ区間検出部21が、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが存在するか否かを判定する(ステップ#11)。そして、自車両2の進行方向前方にカーブ区間Sが存在する場合には(ステップ#11:Yes)、カーブ区間検出部21は、当該カーブ区間Sの始点Ss及び終点Seの位置情報を含むカーブ区間情報43、及び当該カーブ区間Sの曲率半径Rを表す曲率半径情報44を取得する(ステップ#12)。次に、進入車速検出部22が、ステップ#12で取得したカーブ区間Sの始点Ssの位置情報と地図データ42とに基づいて、自車両2の走行経路上に進入車速検出地点P(図2参照)を設定する(ステップ#13)。そして、進入車速検出部22は、自車両2が進入車速検出地点Pに到達したか否かを判定し(ステップ#14)、進入車速検出地点Pに到達した際に(ステップ#14:Yes)、自車両2の進入車速Vを検出する(ステップ#15)。
【0057】
次に、警告判定部27は、警告条件テーブル26を読み出す(ステップ#16)。そして、警告判定部27は、自車両2の進行方向前方に存在するカーブ区間Sについての曲率半径Rと進入車速Vとの関係を、ステップ#16で読み出した警告条件テーブル26と照らし合わせ、当該関係が警告領域W内にあるか否かを判定する(ステップ#17)。ここで、曲率半径Rはステップ#12で取得された曲率半径情報44に含まれている情報であり、進入車速Vはステップ#15で取得される情報である。曲率半径Rと進入車速Vとの関係が警告領域W内にある場合には(ステップ#17:Yes)、警告判定部27は、警告情報47を出力すると判定する。そこで、警告情報出力部28は、カーブ区間Sへの進入前に警告情報47を生成し、出力する(ステップ#18)。本実施形態においては、警告情報出力部28は、警告情報47として、警告音声及び警告表示画像を生成して出力する。一方、曲率半径Rと進入車速Vとの関係が警告領域W内にない場合には(ステップ#17:No)、警告判定部27は、警告情報47を出力しないと判定する。この場合、ステップ#18の処理は行われず、警告出力処理は終了する。
【0058】
なお、以上の警告出力処理におけるステップ#11〜#15は、上述したカーブ区間S内でのブレーキ操作の学習処理におけるステップ#01〜#05と同じ処理である。したがって、一つのカーブ区間Sに対して学習処理と警告出力処理の双方を行う場合には、警告出力処理におけるステップ#11〜#15は、学習処理におけるステップ#01〜#05と共通の処理とすると好適である。
【0059】
2.第二の実施形態
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態に係る車両運転支援装置1は、警告領域設定部25による警告領域Wの境界Bの設定に関する構成が、上記第一の実施形態とは異なる。すなわち、上記第一の実施形態では、図3に示すように、警告領域設定部25が、関係情報46に基づいて警告領域Wを設定する際の境界Bを一つだけ設定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、自車両2の走行状態等に応じて警告領域Wの境界Bを可変設定する構成とすることも可能である。従って、例えば、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて、警告領域Wの境界Bを可変設定する構成としても好適である。そこで、本実施形態においては、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、警告領域Wの境界Bを基準位置に対して低車速側に変更する下り勾配調整と、自車両2が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、警告領域Wの境界Bを基準位置に対して高車速側に変更する上り勾配調整と、を行う構成を備えている。以下では、本実施形態に係る車両運転支援装置1について、上記第一の実施形態との相違点について説明する。したがって、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様である。
【0060】
ここでは、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路が下り勾配である場合には、カーブ区間S内での車速が進入車速Vよりも高くなる可能性が高いと考えられるので、警告領域Wの境界Bを低車速側に調整し、進入車速Vが比較的低車速でも警告情報47を出力する判断が行われるように警告領域Wを調整する。一方、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路が上り勾配である場合には、カーブ区間S内での車速が進入車速Vよりも低くなる可能性が高いと考えられるので、警告領域Wの境界Bを高車速側に調整し、進入車速Vが比較的高車速でも警告情報47を出力しない判断が行われるように警告領域Wを調整する。
【0061】
図6は、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて複数の警告領域Wの境界B0〜B4が設定された警告条件テーブル26の例を示す図である。この図に示すように、本実施形態においては、警告領域設定部25は、警告条件テーブル26に、警告領域Wの境界Bの一つとして所定の基準位置に基準境界B0を設定する。この基準境界B0は、上記第一の実施形態における警告領域Wの境界Bと同様に設定すると好適である。また、本実施形態においては、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて、基準境界B0に対して低車速側及び高車速側にそれぞれ複数の警告領域Wの境界B1〜B4を設定する。本実施形態においては、これら複数の境界B1〜B4は、いずれも基準境界B0と平行に設定している。そして、これら複数の境界B1〜B4は、道路の勾配が大きくなるに従って、下り勾配については低車速側に、上り勾配については高車速側にそれぞれ基準境界B0から離れるように設定される。
【0062】
図6に示す例においては、第一境界B1及び第二境界B2は、自車両2が走行中の道路が下り勾配である場合に用いられる境界であり、第一境界B1より低車速側に設定された第二境界B2は、第一境界B1よりも道路の下り勾配が大きい場合に用いられる。したがって、例えば、警告領域設定部25は、道路の下り勾配が2%未満では基準境界B0を用い、道路の下り勾配が2%以上5%未満では第一境界B1を用い、道路の下り勾配が5%以上では第二境界B2を用いる構成とすることができる。本例では、警告領域設定部25は、このように自車両2が走行中の道路が下り勾配の大きさに応じて複数の境界B1、B2を選択することにより、警告領域Wの境界を基準境界B0に対して低車速側に変更する下り勾配調整を行う。
【0063】
一方、第三境界B3及び第四境界B4は、自車両2が走行中の道路が上り勾配である場合に用いられる境界であり、第三境界B3より高車速側に設定された第四境界B4は、第三境界B3よりも道路の上り勾配が大きい場合に用いられる。したがって、例えば、警告領域設定部25は、道路の上り勾配が2%未満では基準境界B0を用い、道路の上り勾配が2%以上5%未満では第三境界B3を用い、道路の上り勾配が5%以上では第四境界B4を用いる構成とすることができる。本例では、警告領域設定部25は、このように自車両2が走行中の道路が上り勾配の大きさに応じて複数の境界B3、B4を選択することにより、警告領域Wの境界を基準境界B0に対して高車速側に変更する上り勾配調整を行う。
【0064】
本実施形態に係る車両運転支援装置1では、警告領域設定部25が、上記のような下り勾配調整及び上り勾配調整を行うことにより、自車両2が走行中の道路の勾配の影響を考慮した適切な警告領域Wを用いることが可能となる。すなわち、自車両2が下り勾配を走行している状況では、カーブ区間Sへの進入車速Vよりもカーブ区間S内での車速が更に高くなる可能性がある。一方、自車両2が上り勾配を走行している状況では、カーブ区間Sへの進入車速Vよりもカーブ区間S内での車速は低くなる可能性がある。上記のように、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて警告領域Wの境界を調整することにより、このような道路の勾配の影響を考慮した適切な警告領域Wとなる。したがって、自車両2が走行中の道路の勾配に応じてより適切な警告情報46の出力を行うことが可能となる。
【0065】
以上では、図6に示すように、警告条件テーブル26に、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて複数の警告領域Wの境界B0〜B4が設定された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて無段階に変化する警告領域Wの境界を設定することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、当該下り勾配が大きくなるに従って警告領域Wの境界Bを基準位置に対して低車速側に次第に移動させるように変更する下り勾配調整を行う。また、警告領域設定部25は、自車両2が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、当該上り勾配が大きくなるに従って警告領域Wの境界Bを基準位置に対して高車速側に次第に移動させるように変更する上り勾配調整を行う。
【0066】
以上では、警告領域設定部25が、下り勾配調整と上り勾配調整との双方を行う構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、警告領域設定部25が、下り勾配調整と上り勾配調整とのいずれか一方のみを行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態一つである。
【0067】
3.第三の実施形態
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。本実施形態に係る車両運転支援装置1は、関係情報取得部23による関係情報46の取得に関する構成が、上記第一の実施形態とは異なる。すなわち、上記第一の実施形態では、関係情報取得部23が、関係情報46を取得する際に、進入車速検出部22により検出された進入車速Vをそのまま用いる場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、自車両2の走行状態等に応じて関係情報46を構成する進入車速Vの情報を調整する構成とすることも可能である。従って、例えば、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて、関係情報46を構成する進入車速Vの情報を調整する構成としても好適である。そこで、本実施形態においては、関係情報取得部23は、自車両2が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、関係情報46を構成する進入車速Vを、進入車速検出部22により検出した進入車速Vに対して高車速側に変更する下り勾配調整と、自車両2が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、関係情報46を構成する進入車速Vを、進入車速検出部22により検出した進入車速Vに対して低車速側に変更する上り勾配調整と、を行う構成を備えている。以下では、本実施形態に係る車両運転支援装置1について、上記第一の実施形態との相違点について説明する。したがって、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様である。
【0068】
図7は、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて進入車速Vを調整した際の関係情報46の変化の例を、曲率半径Rと進入車速Vとの関係で規定される二次元座標上において示した説明図である。この図において、破線の丸印は進入車速検出部22により検出した進入車速Vをそのまま用いた関係情報46である調整前関係情報46aの位置を示し、黒丸印は進入車速Vを調整した後の関係情報46である調整後関係情報46b、46cの位置を示している。本実施形態においては、関係情報取得部23は、自車両2が走行中の道路が下り勾配である場合には、カーブ区間S内での車速が進入車速Vよりも高くなる可能性が高いと考えられるので、進入車速Vを高車速側に調整し、下り勾配調整後関係情報46bとする。一方、関係情報取得部23は、自車両2が走行中の道路が上り勾配である場合には、カーブ区間S内での車速が進入車速Vよりも低くなる可能性が高いと考えられるので、進入車速Vを低車速側に調整し、上り勾配調整後関係情報46cとする。この際、関係情報取得部23は、道路の勾配が大きくなるに従って、下り勾配については高車速側に、上り勾配については低車速側に、それぞれ進入車速検出部22により検出された進入車速Vに対する調整量を大きくする。
【0069】
本実施形態に係る車両運転支援装置1では、関係情報取得部23が、上記のような下り勾配調整及び上り勾配調整を行うことにより、自車両2が走行中の道路の勾配の影響を考慮した適切な関係情報46を取得して学習データベース24に蓄積することが可能となる。すなわち、自車両2が下り勾配を走行している状況では、カーブ区間Sへの進入車速Vよりもカーブ区間S内での車速が更に高くなる可能性がある。一方、自車両2が上り勾配を走行している状況では、カーブ区間Sへの進入車速Vよりもカーブ区間S内での車速は低くなる可能性がある。上記のように、自車両2が走行中の道路の勾配の方向及び大きさに応じて関係情報46を構成する進入車速Vの情報を調整することにより、このような道路の勾配の影響を考慮した適切な関係情報46を取得することが可能となる。したがって、自車両2が走行中の道路の勾配に応じた適切な警告領域Wの設定が行われることになり、より適切な警告情報46の出力を行うことが可能となる。
【0070】
以上では、関係情報取得部23が、下り勾配調整と上り勾配調整との双方を行う構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。従って、関係情報取得部23が、下り勾配調整と上り勾配調整とのいずれか一方のみを行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態一つである。
【0071】
また、この第三の実施形態の構成を、上記第二の実施形態と組み合わせ、関係情報取得部23により取得する関係情報46、及び警告領域設定部25により設定される警告領域Wの境界Bの双方について、下り勾配調整と上り勾配調整との一方又は双方を行う構成とすることも、好適な実施形態一つである。
【0072】
4.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、カーブ区間検出部21が、カーブ区間Sの湾曲状態として曲率半径Rを検出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、カーブ区間検出部21が検出する湾曲状態には、カーブ区間Sの湾曲の程度を表す各種の情報が含まれる。したがって、例えば、カーブ区間検出部21が、湾曲状態としてカーブ区間Sの曲率を検出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0073】
(2)上記の実施形態では、カーブ区間検出部21が、自車位置情報41と地図データ42とに基づいて、自車両2の進行方向前方に存在するカーブ区間S及び当該カーブ区間Sの湾曲情報としての曲率半径を検出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、他の手段を用いてカーブ区間S及びカーブ区間Sの湾曲情報を検出する構成としてもよい。従って、例えば、カーブ区間検出部21が、自車両2の進行方向前方を撮影した画像に含まれる道路の画像認識を行い、その画像認識結果に基づいて道路形状を分析し、カーブ区間S及びカーブ区間Sの湾曲情報を検出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成では、自車位置情報41や地図データ42が不要であるので、ナビゲーション装置とは独立した装置構成とすることが容易となる。
【0074】
(3)上記の実施形態では、進入車速検出地点Pを定めるためのカーブ区間Sの始点Ssからの所定距離Dを固定値とする場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、所定距離Dを、カーブ区間Sの湾曲状態(例えば曲率半径R)等に応じて可変設定することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、カーブ区間Sの曲率半径Rが小さくなるに従って、所定距離Dを長くするように設定すると好適である。これは、カーブ区間Sの曲率半径Rが小さいほど、カーブ区間S内での車速を低くする必要があるため、制動距離が長く必要になると考えられるからである。
【0075】
(4)上記の実施形態では、警告領域設定部25が、警告領域Wの境界Bを直線として設定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、警告領域設定部25が、二次元座標上に示された複数の関係情報46に対応する点の分布に沿って設定した曲線を、警告領域Wの境界Bとすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、警告領域設定部25は、例えば、複数の関係情報46に対応する複数の点が存在する領域の低車速側の境界と接するように配置した所定形状の曲線を、警告領域Wの境界Bとして設定すると好適である。ここで、所定形状の曲線としては、例えば、前記複数の点が存在する領域の低車速側の境界そのもの、或いは二次曲線や円弧等のように所定の式により表される曲線等とすることができる。
【0076】
(5)上記の実施形態では、警告情報出力部28が、警告情報47として警告音声及び警告表示画像を出力する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、例えば、警告情報出力部28が、警告情報47として、図示しない車両制御装置への制御信号を出力する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。ここで、車両制御装置としては、例えば、自車両2のブレーキ操作を自動的に行うブレーキアシストの制御装置や、自車両2のアクセル開度を自動的に調整するアクセル制御装置等とすると好適である。
【0077】
(6)上記の実施形態では、本発明に係る車両運転支援装置1をナビゲーション装置3に組み込んだ場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、本発明に係る車両運転支援装置1を、ナビゲーション装置1とは無関係に車両に設けられた装置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、車両がカーブを安全に通過するための運転支援を行う車両運転支援装置及び車両運転支援プログラムとして好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る車両運転支援装置を含むナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】カーブ区間検出部による検出対象となるカーブ区間の一例を示す図
【図3】本発明の第一の実施形態に係る警告条件テーブルの例を示す図
【図4】本発明の第一の実施形態に係る学習処理の手順を示すフローチャート
【図5】本発明の第一の実施形態に係る警告出力処理の手順を示すフローチャート
【図6】本発明の第二の実施形態に係る警告条件テーブルの例を示す図
【図7】本発明の第三の実施形態に係る、進入車速を調整した際の関係情報の変化の例を、曲率半径と進入車速との関係で規定される二次元座標上において示した説明図
【符号の説明】
【0080】
1:車両運転支援装置
2:自車両
11:ブレーキ検出部(ブレーキ検出手段)
15:自車位置取得部(自車位置取得手段)
20:地図データ取得部(地図データ取得手段)
21:カーブ区間検出部(カーブ区間検出手段)
22:進入車速検出部(進入車速検出手段)
23:関係情報取得部(関係情報取得手段)
24:学習データベース(記憶手段)
25:警告領域設定部(警告領域設定手段)
29:警告出力手段
41:自車位置情報
42:地図データ
45:進入車速情報
46:関係情報
47:警告情報
S:カーブ区間
R:曲率半径(湾曲状態)
V:進入車速
P:進入車速検出地点
W:警告領域
B:警告領域の境界
B0:警告領域の基準境界(境界の基準位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行経路中のカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出するカーブ区間検出手段と、
自車両のブレーキ操作を検出するブレーキ検出手段と、
前記カーブ区間への進入前の自車両の車速である進入車速を検出する進入車速検出手段と、
前記カーブ区間内で自車両のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係を表す関係情報を取得し、記憶手段に記憶させる関係情報取得手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の前記関係情報に基づいて、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される領域であって、前記カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域として設定する警告領域設定手段と、
前記カーブ区間検出手段により自車両の進行方向前方に前記カーブ区間が検出され、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への前記進入車速との関係が前記警告領域内にある場合に、当該カーブ区間への進入前に警告情報を出力する警告出力手段と、
を備えた車両運転支援装置。
【請求項2】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置取得手段と、少なくとも自車両の周辺の地図データを取得する地図データ取得手段と、を更に備え、
前記カーブ区間検出手段は、前記自車位置情報と前記地図データとに基づいて、自車両の進行方向前方に存在するカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出する請求項1に記載の車両運転支援装置。
【請求項3】
前記警告領域設定手段は、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される二次元座標上における複数の前記関係情報の配置に基づいて、前記関係情報が存在する領域を含む高車速側の領域に前記警告領域を設定する請求項1又は2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記警告領域設定手段は、前記二次元座標上に、複数の前記関係情報のそれぞれに対応する複数の点を示し、それら複数の点が存在する領域の低車速側の境界付近に前記警告領域の境界を設定し、当該境界よりも高車速側の領域を前記警告領域として設定する請求項3に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記進入車速は、前記カーブ区間の始点から進行方向後方に所定距離の位置に設定される進入車速検出地点での自車両の車速である請求項1から4のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項6】
前記警告出力手段は、前記警告情報として、警告音声、警告表示画像、及び車両制御装置への制御信号の少なくとも一つを出力する請求項1から5のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項7】
前記ブレーキ検出手段は、ブレーキ操作量が所定量以上のときにブレーキ操作を検出する請求項1から6のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項8】
前記警告領域設定手段は、自車両が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、前記警告領域の境界を基準位置に対して低車速側に変更する下り勾配調整と、自車両が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、前記警告領域の境界を基準位置に対して高車速側に変更する上り勾配調整と、の一方又は双方を行う請求項1から7のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項9】
前記関係情報取得手段は、自車両が走行中の道路の下り勾配の大きさに応じて、前記関係情報を構成する前記進入車速を、前記進入車速検出手段により検出した進入車速に対して高車速側に変更する下り勾配調整と、自車両が走行中の道路の上り勾配の大きさに応じて、前記関係情報を構成する前記進入車速を、前記進入車速検出手段により検出した進入車速に対して低車速側に変更する上り勾配調整と、の一方又は双方を行う請求項1から8のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項10】
自車両の走行経路中のカーブ区間及び当該カーブ区間の湾曲状態を検出するカーブ区間検出機能と、
自車両のブレーキ操作を検出するブレーキ検出機能と、
前記カーブ区間への進入前の自車両の車速である進入車速を検出する進入車速検出機能と、
前記カーブ区間内で自車両のブレーキ操作が検出された場合に、当該カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係を表す関係情報を取得し、記憶手段に記憶させる関係情報取得機能と、
前記記憶手段に記憶された複数の前記関係情報に基づいて、前記カーブ区間の湾曲状態と前記進入車速との関係で規定される領域であって、前記カーブ区間内でブレーキ操作が行われる可能性がある領域を警告領域として設定する警告領域設定機能と、
自車両の進行方向前方に前記カーブ区間が検出され、当該カーブ区間の湾曲状態と当該カーブ区間への前記進入車速との関係が前記警告領域内にある場合に、当該カーブ区間への進入前に警告情報を出力する警告出力機能と、
をコンピュータに実現させるための車両運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−117839(P2010−117839A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289896(P2008−289896)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】