説明

車両

【課題】生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する。
【解決手段】ECUは、車両の暖機が完了した状態であって(S100にてYES)、手動変速機が変速中の状態であって(S102にてYES)、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれた状態であって、車両が減速状態であるという走行状態である場合に(S104にてYES)、ダウンシフトに対応した第1エンジン制御を実行するステップ(S106)と、車両の暖機が完了していない状態であったり(S100にてNO)、手動変速機が変速中の状態でなかったり(S102にてNO)、あるいは、上述の走行状態でなかったりした場合に(S104にてNO)、アクセルペダルの踏み込み量に応じた出力を発生させるための第2エンジン制御を実行するステップ(S108)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動変速機に対する変速操作に応じた車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−074135号公報(特許文献1)は、手動変速機が搭載された車両において、変速時のショックを抑制するため、クラッチの切断時にトランスミッションの入力軸回転数を検出してエンジン回転数とトランスミッションの入力軸回転数とを同期させるようにエンジン回転数を制御する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−074135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した公報に開示された車両においては、トランスミッションの入力軸回転数を検出するための回転数センサを設けることが必須であるため、車両の生産コストが上昇するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に係る車両は、内燃機関と、手動変速機と、内燃機関と手動変速機との間に設けられるクラッチと、車両に制動力を作用させるための制動装置と、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作された状態である場合には、現在のギヤ段よりも低速側のギヤ段に同期する同期回転数に向けて内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する制御部とを含む。
【0007】
好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作された状態である場合に加えて、車両の速度の変化量がしきい値よりも低い減速状態であると、同期回転数に向けて内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する。
【0008】
さらに好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作された状態である場合に加えて、車両の速度が所定の下限値よりも高い場合に同期回転数に向けて内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する。
【0009】
さらに好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作された状態である場合に加えて、車両の暖機が完了している場合に同期回転数に向けて内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する。
【0010】
この発明の他の局面に係る車両は、内燃機関と、手動変速機と、内燃機関と手動変速機との間に設けられるクラッチと、車両に制動力を作用させるための制動装置と、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作されていない場合には、内燃機関の回転数が、現在のギヤ段よりも高速側のギヤ段に同期する同期回転数を下回らないようにする内燃機関の制御を実行する制御部とを含む。
【0011】
好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作されていない場合に加えて、車両の速度の変化量がしきい値よりも低い減速状態でないと、内燃機関の回転数が同期回転数を下回らないようにする内燃機関の制御を実行する。
【0012】
さらに好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作されていない場合に加えて、車両の速度が所定の下限値よりも高い場合に内燃機関の回転数が同期回転数を下回らないようにする内燃機関の制御を実行する。
【0013】
さらに好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作されていない場合に加えて、車両の速度が所定の上限値よりも低い場合に内燃機関の回転数が同期回転数を下回らないようにする内燃機関の制御を実行する。
【0014】
さらに好ましくは、制御部は、クラッチが解放され、かつ、制動装置が操作されていない場合に加えて、車両の暖機が完了している場合に内燃機関の回転数が同期回転数を下回らないようにする内燃機関の制御を実行する。
【0015】
この発明のさらに他の局面に係る車両は、内燃機関と、手動変速機と、内燃機関と手動変速機との間に設けられるクラッチと、車両に制動力を作用させるための制動装置と、クラッチの操作状態と、制動装置の操作状態とに基づいて、運転者の変速意思を推定する制御部とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、クラッチが解放され、制動装置が操作された状態である場合に、現在のギヤ段よりも低速側のギヤ段に同期する同期回転数に向けて内燃機関の回転数を変化させる制御を実行することによって、クラッチが係合状態になる場合にショックが発生することを抑制することができる。また、このような制御を行なう構成として手動変速機の入力軸の回転数を検出するための回転数センサは必須ではないため、生産コストの上昇を抑制することができる。したがって、生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る車両の全体ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る車両に搭載されたECUの機能ブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係る車両に搭載されたECUの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る車両に搭載されたECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は、説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本実施の形態に係る車両1の全体ブロック図が説明される。車両1は、エンジン10と、トランスミッション20と、油圧回路32と、減速機58と、駆動輪80と、アクセルペダル152と、ブレーキペダル156と、クラッチペダル160と、シフトレバー162と、ECU(Electronic Control Unit)200とを含む。トランスミッション20は、クラッチ30と、手動変速機40とを含む。
【0020】
この車両1は、エンジン10から出力される駆動力によって走行する。エンジン10が発生する動力は、クラッチ30、手動変速機40および減速機58を介して駆動輪80へ伝達される。
【0021】
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10は、複数の気筒102と、複数の気筒102の各々に燃料を供給する燃料噴射装置104とを含む。燃料噴射装置104は、ECU200からの制御信号S1に基づいて、各気筒に対して適切な時期に適切な量の燃料を噴射したり、各気筒に対する燃料の噴射を停止したりする。燃料噴射装置104による燃料の噴射により各気筒102内に混合気が形成される。形成された混合気は、ECU200からの制御信号S1に基づいて作動する点火プラグ(図示せず)により着火され、燃焼する。各気筒102内で混合気が燃焼することによりエンジン10のクランク軸が回転する。
【0022】
エンジン10には、エンジン10のクランク軸の回転数(以下、エンジン回転数と記載する)Neを検出するためのエンジン回転数センサ11が設けられる。エンジン回転数センサ11は、検出されたエンジン回転数Neを示す信号をECU200に送信する。
【0023】
手動変速機40は、クラッチ30を介在させてエンジン10に連結される。手動変速機40は、変速比(手動変速機の入力軸回転数と出力軸回転数との比)が異なる複数のギヤ段を有する。複数のギヤ段は、たとえば、1速から5速までのギヤ段を含む。なお、複数のギヤ段は、5速までに限定されるものではなく5速よりも小さいギヤ段までであってもよいし、5速よりも大きいギヤ段までであってもよいものとする。複数のギヤ段は、低速側(1速側)のギヤ段になるほど変速比が大きくなり、高速側(5速側)のギヤ段になるほど変速比が小さくなる。
【0024】
シフトレバー162は、シフトゲートに沿って操作可能に設けられる。シフトゲート上に複数のギヤ段の各々に対応する位置が割り当てられる。運転者によってシフトレバー162が複数のギヤ段のうちのいずれかのギヤ段に対応する位置(たとえば、1速に対応する位置)に移動するように操作された場合には、手動変速機40において割り当てられたギヤ段(たとえば、1速)が選択される。なお、シフトレバー162と手動変速機40とは、たとえば、プッシュプルケーブル等のコントロールケーブルを介在させて接続されてもよいし、あるいは、シフトレバー162の位置から選択されたギヤ段を検出して、アクチュエータ等を用いて手動変速機40のギヤ段を選択されたギヤ段に切り替えるようにしてもよい。
【0025】
手動変速機40は、選択されたギヤ段に応じてクランク軸の回転数を所望の回転数に変速して減速機58に伝達する。なお、手動変速機40の詳細な構造については、周知の技術であるため、その詳細な説明は行なわない。
【0026】
クラッチ30は、たとえば、乾式クラッチである。なお、クラッチ30は、湿式クラッチであってもよい。クラッチ30は、係合状態になることによって、エンジン10と手動変速機40との間で動力の伝達が可能な状態になる。また、クラッチ30は、解放状態になることによって、エンジン10と手動変速機40との間で動力の伝達が遮断された状態になる。
【0027】
クラッチ30は、運転者がクラッチペダル160を操作することによって作動する。クラッチ30は、油圧回路32を介在させてクラッチペダル160に接続される。たとえば、運転者がクラッチペダル160を踏み込んだ場合に、油圧回路32内の油圧が増加する。クラッチ30は、油圧の増加によってエンジン10と手動変速機40との間を動力の伝達を遮断する状態になるように作動する。また、運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除した場合には、油圧回路21内の油圧が減少する。クラッチ30は、油圧の減少によってエンジン10と手動変速機40との間で動力の伝達が可能な状態になる。なお、クラッチ30は、クラッチペダル160の操作により生じた油圧によって作動するとして説明したが、特にこのような構成に限定されるものではない。クラッチ30は、たとえば、クラッチペダル160の操作に応じて油圧アクチュエータあるいは電動アクチュエータを用いて作動するものであってもよい。
【0028】
減速機58は、手動変速機40からの動力を駆動輪80に伝達する。また、減速機58は、駆動輪80が受けた路面からの反力を手動変速機40に伝達する。
【0029】
アクセルペダル152、ブレーキペダル156、クラッチペダル160、および、シフトレバー162の各々は、運転席に設けられる。
【0030】
制動装置250は、ブレーキアクチュエータ252と、ディスクブレーキ254とを含む。ディスクブレーキ254は、車輪と一体的に回転するブレーキディスクと、油圧を用いてブレーキディスクの回転を制限するブレーキキャリパとを含む。ブレーキキャリパは、ブレーキディスクを回転軸と平行な方向で挟み込むように設けられるブレーキパッドと、油圧をブレーキパッドに伝達するためのホイールシリンダとを含む。ブレーキアクチュエータ252は、ECU200から受信する制御信号S2に基づいて、運転者がブレーキペダル156を踏み込むことによって発生する油圧と、ポンプおよび電磁弁等を用いて発生する油圧とを調整してホイールシリンダに供給される油圧を調整する。図1において、制動装置250は、後輪の右側にのみ図示されるが、制動装置250は、各車輪毎に設けられるものとする。
【0031】
ECU200には、車輪速センサ14と、油温センサ42と、水温センサ106と、アクセルペダルポジションセンサ150と、ブレーキスイッチ154と、クラッチスイッチ158と、シフトストロークセンサ164と、ニュートラルスイッチ166とが接続される。
【0032】
車輪速センサ14は、駆動輪80の回転数Nwを検出する。車輪速センサ14は、検出された回転数Nwを示す信号をECU200に送信する。ECU200は、受信した回転数Nwに基づいて車速Vを算出する。
【0033】
油温センサ42は、手動変速機40に設けられ、手動変速機40の内部を流通する作動油の温度(以下、油温と記載する)Toilを検出する。油温センサ42は、検出された油温Toilを示す信号をECU200に送信する。
【0034】
水温センサ106は、エンジン10に設けられ、エンジン10の内部を流通する冷却水の温度(以下、冷却水温と記載する)Twを検出する。水温センサ106は、検出された冷却水温Twを示す信号をECU200に送信する。
【0035】
アクセルペダルポジションセンサ150は、車両1の加速要求を示すアクセルペダル152の踏み込み量APを検出する。アクセルペダルポジションセンサ150は、アクセルペダル152の踏み込み量APを示す信号をECU200に送信する。
【0036】
ブレーキスイッチ154は、ブレーキペダル156に設けられる。ブレーキスイッチ154は、ブレーキペダル156の踏み込み量(ストローク量)が予め定められた踏み込み量よりも大きくなる場合に、オン状態になり、ECU200にオン信号(Swb)を送信する。ブレーキスイッチ154は、ブレーキペダル156の踏み込み量が予め定められた踏み込み量以下となる場合に、オフ状態になり、ECU200へのオン信号の送信を停止するか、あるいは、ECU200にオフ信号を送信する。
【0037】
なお、ブレーキペダル156が踏み込まれたか否かを判断できればよいため、ブレーキスイッチ154に代えてブレーキペダルストロークセンサがブレーキペダル156に設けられてもよい。
【0038】
また、本実施の形態において、ブレーキスイッチ154は、ブレーキペダル156が踏み込まれた場合にオン状態になり、ブレーキペダル156の踏み込みが解除された場合にオフ状態になるとして説明したが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、ブレーキスイッチ154は、ブレーキペダル156が踏み込まれた場合にオフ状態になり、ブレーキペダル156の踏み込みが解除された場合にオン状態になるものであってもよい。
【0039】
クラッチスイッチ158は、クラッチペダル160に設けられる。クラッチスイッチ158は、クラッチペダル160の踏み込み量(ストローク量)が予め定められた踏み込み量よりも大きくなる場合に、オン状態になり、ECU200にオン信号(Swc)を送信する。クラッチスイッチ158は、クラッチペダル160の踏み込み量が予め定められた踏み込み量以下となる場合に、オフ状態になり、ECU200へのオン信号の送信を停止するか、あるいは、ECU200にオフ信号を送信する。
【0040】
なお、クラッチペダル160が踏み込まれたか否かを判断できればよいため、クラッチスイッチ158に代えてクラッチペダルストロークセンサがクラッチペダル160に設けられてもよい。
【0041】
また、本実施の形態において、クラッチスイッチ158は、クラッチペダル160が踏み込まれた場合にオン状態になり、クラッチペダル160の踏み込みが解除された場合にオフ状態になるとして説明したが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、クラッチスイッチ158は、クラッチペダル160が踏み込まれた場合にオフ状態になり、クラッチペダル160の踏み込みが解除された場合にオン状態になるものであってもよい。
【0042】
シフトストロークセンサ164は、シフトレバー162の位置を検出する。具体的には、シフトストロークセンサ164は、シフトレバー162のシフト方向の位置と、セレクト方向の位置とを検出して、シフトレバー162のシフトゲート上の位置を検出する。シフトストロークセンサは、検出されたシフトレバー162の位置を示す信号SHTをECU200に送信する。
【0043】
ニュートラルスイッチ166は、手動変速機40に設けられる。ニュートラルスイッチ166は、シフトレバー162の位置がニュートラルの位置である場合にその旨を示す信号NsをECU200に送信する。
【0044】
ECU200は、アクセルペダル152の踏み込み量APに応じてエンジン10の出力を制御する。具体的には、ECU200はアクセルペダル152の踏み込み量APに基づいてエンジン10を制御するための制御信号S1を生成し、その生成した制御信号S1をエンジン10へ出力する。さらに、ECU200は、ブレーキアクチュエータ252を制御するための制御信号S2を生成し、その生成した制御信号S2をブレーキアクチュエータ252へ出力する。
【0045】
本実施の形態においては、車両1に搭載されたECU200が、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に、手動変速機40のダウンシフトに対応した制御を実行する点を特徴とする。すなわち、ECU200は、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に、手動変速機40のギヤ段がダウンシフトされたと判定する。
【0046】
ダウンシフトに対応した制御は、現在のギヤ段よりも低速側のギヤ段に同期する同期回転数に向けてエンジン10の回転数を変化させる制御である。本実施の形態においては、ECU200は、現在のギヤ段よりも1段下のギヤ段に同期する同期回転数に向けてエンジン10の回転数を変化させる制御をダウンシフトに対応した制御として実行する。なお、同期回転数は、現在のギヤ段よりも低速側のギヤ段の同期回転数であればよく、特に1段下のギヤ段の同期回転数に限定されるものではない。
【0047】
図2に、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の機能ブロック図を示す。ECU200は、暖機状態判定部202と、変速判定部204と、走行状態判定部206と、エンジン制御部208とを含む。
【0048】
暖機状態判定部202は、車両1の暖機が完了した状態であるか否かを判定する。車両1の暖機とは、エンジン10の暖機と、手動変速機40の暖機とを含む。暖機状態判定部202は、たとえば、冷却水温Twがしきい値Tw(0)よりも大きい場合にエンジン10の暖機が完了した状態であると判定する。また、暖機状態判定部202は、たとえば、油温Toilがしきい値Toil(0)よりも大きい場合に手動変速機40の暖機が完了した状態であると判定する。
【0049】
暖機状態判定部202は、エンジン10および手動変速機40のいずれも暖機が完了した状態であると判定した場合に、車両1の暖機が完了した状態であると判定する。なお、暖機状態判定部202は、IGオン後の車両1の走行距離がしきい値以上となることによって、車両1の暖機が完了した状態であると判定してもよいし、エンジン10および手動変速機40のいずれか一方の暖機が完了した状態であると判定した場合に、車両1の暖機が完了した状態であると判定してもよい。また、暖機状態判定部202は、たとえば、車両1の暖機が完了した状態であると判定した場合には、暖機判定フラグをオン状態にしてもよい。
【0050】
変速判定部204は、手動変速機40が変速中の状態であるか否かを判定する。本実施の形態においては、変速判定部204は、クラッチ30の状態に基づいて手動変速機40が変速中の状態であるか否かを判定する。変速判定部204は、たとえば、クラッチ30が解放された状態である場合に手動変速機40が変速中の状態であると判定する。
【0051】
変速判定部204は、たとえば、クラッチスイッチ158から受信した信号Swcに基づいてクラッチ30が解放された状態であるか否かを判定する。変速判定部204は、たとえば、クラッチスイッチ158がオン状態である場合に、クラッチ30が解放された状態であると判定する。すなわち、変速判定部204は、手動変速機40が変速中の状態であると判定する。
【0052】
なお、変速判定部204は、たとえば、ニュートラルスイッチ166の信号に基づいてクラッチ30が解放された状態であるか否かを判定してもよい。変速判定部204は、ニュートラルスイッチ166からの信号が、シフトレバー162がニュートラルの位置であることを示す信号Nsを受信した場合に、クラッチ30が解放された状態であると判定してもよい。
【0053】
変速判定部204は、たとえば、シフトストロークセンサ164の信号SHTに基づいてクラッチ30が解放された状態であるか否かを判定してもよい。変速判定部204は、シフトレバー162が移動中である場合、あるいは、シフトレバー162の位置が選択されたギヤ段を確定できる位置でない場合に、クラッチ30が解放された状態であると判定してもよい。
【0054】
なお、変速判定部204は、たとえば、手動変速機40が変速中の状態であると判定された場合には、変速判定フラグをオン状態にしてもよい。
【0055】
走行状態判定部206は、ブレーキペダル156が踏み込まれ、かつ、車両1が減速状態であるか否かを判定する。走行状態判定部206は、ブレーキスイッチ154がオン状態である場合にブレーキペダル156が踏み込まれた状態であると判定する。さらに、走行状態判定部206は、車両1の速度の時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)よりも低い場合に車両1が減速状態であると判定する。なお、しきい値ΔV(0)は、ゼロよりも小さい値である。
【0056】
なお、走行状態判定部206は、たとえば、ブレーキペダル156が踏み込まれ、かつ、車両1が減速状態であると判定された場合に、状態判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0057】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202、変速判定部204および走行状態判定部206の判定結果に基づいてエンジン10を制御する。
【0058】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態であると判定され、変速判定部204によって手動変速機40が変速中の状態であると判定され、かつ、走行状態判定部206によってブレーキペダル156が踏み込まれ、かつ、車両1が減速状態であると判定された場合には、第1エンジン制御を実行する。エンジン制御部208は、第1出力および第2出力のうちのいずれか大きい方の出力を選択して選択された出力を発生させるためのエンジン10の制御を、第1エンジン制御として実行する。
【0059】
ここで、「第1出力」とは、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応するエンジン10の出力である。また、「第2出力」とは、現在のギヤ段よりも1段下のギヤ段に同期するエンジン回転数Ne_ds(以下、同期回転数Ne_dsと記載する)になるまでエンジン回転数Neを上昇させるために必要なエンジン10の出力である。なお、現在のギヤ段とは、手動変速機40が変速中の状態になる直前に選択されていたギヤ段であって、たとえば、ECU200のメモリ等に最新のギヤ段として記憶されているものとする。
【0060】
エンジン制御部208は、たとえば、アクセルペダル152の踏み込み量APと、所定のマップとに基づいて第1出力を決定する。所定のマップは、アクセルペダル152の踏み込み量APと第1出力との関係を示すマップであって、ECU200のメモリ等に予め記憶される。所定のマップは、アクセルペダル152の踏み込み量APが増加するほど第1出力が増加する関係を示すマップである。
【0061】
エンジン制御部208は、車両1の速度Vと現在のギヤ段よりも1段下のギヤ段の変速比とに基づいて同期回転数Ne_dsを算出する。また、エンジン制御部208は、現在のエンジン回転数Neと、同期回転数Ne_dsとの差に基づいて第2出力を決定する。具体的には、エンジン制御部208は、現在のエンジン回転数Neと、同期回転数Ne_dsとの差がゼロになるようにフィードバック制御によって第2出力を決定する。エンジン制御部208は、たとえば、前回の第2出力の値に現在のエンジン回転数Neと同期回転数Ne_dsとの差に所定のゲインを乗じた値を加算することによって今回の第2出力を決定する。
【0062】
なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび状態判定フラグのいずれもがオン状態である場合に、第1出力と第2出力とのうちのいずれか大きい方の出力を選択して、選択された出力が発生するようにエンジン10を制御してもよい。
【0063】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態でないと判定された場合、変速判定部204によって手動変速機40が変速中でないと判定された場合、あるいは、走行状態判定部206によってブレーキペダル156が踏み込まれた状態でない、または、車両1が減速状態でないと判定された場合には、第2エンジン制御を実行する。エンジン制御部208は、第1出力を発生させるためのエンジン10の制御を第2エンジン制御として実行する。
【0064】
なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび状態判定フラグのうちのいずれかがオフ状態である場合に、第1出力が発生するようにエンジン10を制御してもよい。
【0065】
本実施の形態において、暖機状態判定部202と、変速判定部204と、走行状態判定部206と、エンジン制御部208とは、いずれもECU200のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0066】
図3を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行されるプログラムの制御構造について説明する。ECU200は、図3で示されるフローチャートに基づくプログラムを所定の計算サイクル毎に実行する。
【0067】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU200は、車両1の暖機が完了した状態であるか否かを判定する。車両1の暖機が完了した状態である場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合(S100にてNO)、処理はS108に移される。
【0068】
S102にて、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であるか否かを判定する。なお、手動変速機40が変速中の状態であるか否かの判定方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。手動変速機40が変速中の状態である場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでない場合(S102にてNO)、処理はS108に移される。
【0069】
S104にて、ECU200は、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態(ブレーキオン)であって、かつ、車両1が減速状態であるか否かを判定する。ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでない場合(S104にてNO)、処理はS108に移される。
【0070】
S106にて、ECU200は、第1エンジン制御を実行する。すなわち、ECU200は、第1出力と第2出力とのうちのいずれか大きい方の出力を選択して、選択された出力が発生するようにエンジン10を制御する。
【0071】
S108にて、ECU200は、第2エンジン制御を実行する。すなわち、ECU200は、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応するエンジン10の出力を算出して、算出された出力が発生するようにエンジン10を制御する。
【0072】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両に搭載されたECUの動作について図4を用いて説明する。
【0073】
たとえば、アクセルペダル152およびクラッチペダル160の踏み込みが解除された状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であり、かつ、4速のギヤ段が選択されている場合を想定する。また、車両1の暖機は完了した状態であるとする(S100にてYES)。
【0074】
制動装置250の作動によって車両1の速度Vは、時間の経過とともに低下していく。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態ではないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。その結果、エンジン10の出力は、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応した出力P(0)となる。
【0075】
時間T(0)にて、運転者が3速への変速を行なうためにクラッチペダル160を踏み込む場合には、クラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。そのため、手動変速機40が変速中の状態であると判定される(S102にてYES)。また、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1の速度Vの時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)よりも小さい減速状態になる場合には(S104にてYES)、4速のギヤ段よりも1段下の3速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_ds(0)になるまでエンジン回転数Neが上昇するようにエンジン10が制御される(S106)。その結果、時間T(0)以降に、エンジン出力がP(0)からP(1)まで上昇させられる。
【0076】
時間T(1)にて、運転者がシフトレバー162を4速に対応する位置から3速に対応する位置まで移動する。この間、エンジン回転数Neは、同期回転数Ne_ds(0)の付近まで上昇する。
【0077】
時間T(2)にて、運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除した場合にクラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。クラッチペダル160の踏み込みの解除によりクラッチ30が係合状態になる。このとき、エンジン回転数Neは同期回転数Ne_ds(0)の付近まで上昇しているため、クラッチ30は、ショックが発生することなく係合状態に切り換わる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態でないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。その結果、エンジン10の出力は、時間T(2)以降に、P(1)からアクセルペダル152の踏み込み量APに対応した出力P(0)まで下降させられる。
【0078】
なお、ECU200は、クラッチ30が係合状態になった後の車両1の速度Vとエンジン回転数Neとに基づいて現在のギヤ段を特定し、メモリ等に特定されたギヤ段を最新のギヤ段として記憶してもよいし、あるいは、クラッチ30が係合状態になった後のシフトレバー162の位置に基づいて現在のギヤ段を特定し、メモリ等に特定されたギヤ段を最新のギヤ段として記憶してもよい。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両によると、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に、現在のギヤ段よりも1段下のギヤ段に同期する同期回転数Ne_dsに向けてエンジン回転数Neを上昇させる。これにより、運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除して、クラッチ30が係合状態になる場合に、ショックが発生することが抑制される。さらに、手動変速機40の入力軸の回転数を検出する必要がないため、生産コストの上昇を抑制することができる。したがって、生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する車両を提供することができる。
【0080】
本実施の形態においては、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれている状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に、ダウンシフトに対応した制御を実行するとして説明したが、車両1が減速状態であるか否かの判定は、省略してもよい。すなわち、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれている状態である場合に、ダウンシフトに対応した制御を実行してもよい。ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれている状態である場合に、手動変速機40がダウンシフトされたと判定する。
【0081】
さらに、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれている状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に加えて、車両の速度Vが所定の下限値よりも高い場合にダウンシフトに対応した制御を実行してもよい。
【0082】
所定の下限値は、車輪速センサ14を用いて一定の精度で車両1の速度Vを検出できる速度領域の下限値であってもよいし、ダウンシフトに対応した制御を行なうことが望ましい速度領域の下限値であってもよい。このようにすると、ダウンシフトに対応した制御の精度を向上させたり、あるいは、運転者の変速操作を適切に補助することができる。
【0083】
エンジン10の暖機が完了していない場合は、エンジン10の暖機が完了している場合よりも、エミッションが悪化したり、あるいは、作動油の粘度が高い傾向がある。その場合に、エンジン回転数Neを同期回転数Ne_dsにあわせるための制御の精度が悪化する場合がある。そのため、ダウンシフトに対応した制御の実行を、エンジン10の暖機が完了した状態である場合に限定することによって、ダウンシフトに対応した制御の精度の悪化を抑制することができる。
【0084】
さらに、「第2出力」は、同期回転数Ne_dsになるまでエンジン回転数Neを上昇させるための出力に限定されるものではなく、クラッチが係合状態になるときにショックの発生が抑制できる同期回転数Ne_dsの近傍(すなわち、同期回転数Ne_dsよりも低い回転数)までエンジン回転数Neを上昇させるために必要なエンジン10の出力であってもよい。
【0085】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る車両について説明する。本実施の形態に係る車両は、上述の第1の実施の形態に係る車両1の構成と比較して、ECU200の動作が異なる。それ以外の構成については、上述の第1の実施の形態に係る車両1の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0086】
本実施の形態において、ECU200は、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が操作されていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合には、手動変速機40のアップシフトに対応した制御を実行する点を特徴とする。すなわち、ECU200は、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が操作されていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合に、手動変速機40のギヤ段がアップシフトされたと判定する。
【0087】
アップシフトに対応した制御は、現在のギヤ段よりも高速側のギヤ段に同期する同期回転数でエンジン10の回転数を下支えする制御である。本実施の形態においては、ECU200は、現在のギヤ段よりも1段上のギヤ段に同期する同期回転数でエンジン10の回転数を下支えする制御をアップシフトに対応した制御として実行する。
【0088】
本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の機能ブロック図の構成は、以下に説明する内容を除き、図2で示した第1の実施の形態におけるECU200の機能ブロック図と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0089】
本実施の形態において、走行状態判定部206は、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態であるか否かを判定する。走行状態判定部206は、ブレーキスイッチ154がオフ状態である場合にブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であると判定する。さらに、走行状態判定部206は、車両1の速度の時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)以上である場合に車両1が減速状態でないと判定する。
【0090】
なお、走行状態判定部206は、たとえば、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態であると判定された場合に、状態判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0091】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202、変速判定部204および走行状態判定部206の判定結果に基づいてエンジン10を制御する。
【0092】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態であると判定され、変速判定部204によって手動変速機40が変速中の状態であると判定され、かつ、走行状態判定部206によってブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態であると判定された場合には、第3エンジン制御を実行する。エンジン制御部208は、第1出力および第3出力のうちのいずれか大きい方の出力を選択して、選択された出力を発生させるためのエンジン10の制御を第3エンジン制御として実行する。
【0093】
ここで、「第1出力」とは、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応するエンジン10の出力である。また、「第3出力」とは、現在のギヤ段よりも1段上のギヤ段に同期するエンジン回転数Ne_us(以下、同期回転数Ne_usと記載する)でエンジン回転数Neを下支えするために必要なエンジン10の出力である。
【0094】
エンジン制御部208は、たとえば、アクセルペダル152の踏み込み量APと、所定のマップとに基づいて第1出力を決定する。所定のマップは、アクセルペダル152の踏み込み量APと第1出力との関係を示すマップであって、ECU200のメモリ等に予め記憶される。
【0095】
エンジン制御部208は、車両1の速度Vと現在のギヤ段よりも1段上のギヤ段の変速比とに基づいて1段上のギヤ段に同期するエンジン回転数Ne_usを算出する。また、エンジン制御部208は、現在のエンジン回転数Neと、同期回転数Ne_usとの差に基づいて第3出力を決定する。具体的には、エンジン制御部208は、現在のエンジン回転数Neが、同期回転数Ne_usを下回らないように第3出力を決定する。たとえば、エンジン制御部208は、前回の第3出力の値に現在のエンジン回転数Neと、同期回転数Ne_usとの差に所定のゲインを乗じた値を加算するフィードバック制御によって今回の第3出力を決定してもよい。あるいは、エンジン制御部208は、現在のエンジン回転数Neと同期回転数Ne_usとの差の大きさがしきい値以下となる場合に、所定値だけ出力が増加するようにエンジン10を制御してもよい。
【0096】
なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび状態判定フラグのいずれもがオン状態である場合に、第1出力と第3出力とのうちのいずれか大きい方の出力を選択して、選択された出力が発生するようにエンジン10を制御してもよい。
【0097】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態でないと判定された場合、変速判定部204によって手動変速機40が変速中でないと判定された場合、あるいは、走行状態判定部206によってブレーキペダル156が踏み込まれた状態である、または、車両1が減速状態であると判定された場合には、第2エンジン制御を実行する。エンジン制御部208は、第1出力を発生させるためのエンジン10の制御を第2エンジン制御として実行する。
【0098】
なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび状態判定フラグのうちのいずれかがオフ状態である場合に、第1出力が発生するようにエンジン10を制御してもよい。
【0099】
図5を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行されるプログラムの制御構造について説明する。ECU200は、図5で示されるフローチャートに基づくプログラムを所定の計算サイクル毎に実行する。
【0100】
なお、図5に示したフローチャートの中で、前述の図3に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0101】
手動変速機40が変速中の状態であると判定された場合(S102にてYES)、S204にて、ECU200は、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態であるか否かを判定する。ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態である場合(S204にてYES)、処理はS206に移される。もしそうでない場合(S204にてNO)、処理はS108に移される。
【0102】
S206にて、ECU200は、第3エンジン制御を実行する。すなわち、ECU200は、第1出力と第3出力とのうちのいずれか大きい方の出力を選択して、選択された出力が発生するようにエンジン10を制御する。
【0103】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の動作について説明する。
【0104】
たとえば、アクセルペダル152、ブレーキペダル156およびクラッチペダル160の踏み込みがいずれも解除された状態であり、かつ、3速が選択されている場合を想定する。また、車両1の暖機は完了した状態であるとする(S100にてYES)。
【0105】
制動装置250が作動していないため、車両1の速度Vは、維持あるいは時間の経過とともに緩やかに低下していくこととなる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態ではないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。
【0106】
運転者が4速への変速を行なうためにクラッチペダル160を踏み込む場合には、クラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。そのため、手動変速機40が変速中の状態であると判定される(S102にてYES)。また、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態である場合には(S204にてYES)、3速のギヤ段よりも1段上の4速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_us(0)でエンジン回転数Neが下支えされるようにエンジン10が制御される(S206)。
【0107】
その結果、運転者がシフトレバー162を3速に対応する位置から4速に対応する位置まで移動した後にクラッチペダル160の踏み込みを解除するまでに、エンジン回転数Neが、4速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_us(0)よりも低下することが抑制される。
【0108】
運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除した場合にクラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。クラッチペダル160の踏み込みの解除によりクラッチ30が係合状態になる。このとき、クラッチ30は、ショックが発生することなく係合状態に切り換わる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態になると、手動変速機40が変速中の状態でないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。
【0109】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両によると、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態である場合に、現在のギヤ段よりも1段上のギヤ段に同期する同期回転数Ne_usでエンジン回転数Neが下支えされる。これにより、運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除して、クラッチ30が係合状態になる場合に、ショックが発生することが抑制される。さらに、手動変速機40の入力軸の回転数を検出する必要がないため、生産コストの上昇を抑制することができる。したがって、生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する車両を提供することができる。
【0110】
本実施の形態においては、ECU200は、手動変速機40の変速中の状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合に、アップシフトに対応した制御を実行するとして説明したが、車両1が減速状態であるか否かの判定は、省略してもよい。すなわち、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態である場合に、アップシフトに対応した制御を実行してもよい。ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態である場合に、手動変速機40がアップシフトされたと判定する。
【0111】
さらに、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合に加えて、車両の速度Vが所定の下限値よりも高い場合にアップシフトに対応した制御を実行してもよい。
【0112】
所定の下限値は、車輪速センサ14を用いて一定の精度で車両1の速度Vを検出できる速度領域の下限値であってもよいし、アップシフトに対応した制御を行なうことが望ましい速度領域の下限値であってもよい。このようにすると、アップシフトに対応した制御の精度を向上させたり、あるいは、運転者の変速操作を適切に補助することができる。
【0113】
さらに、ECU200は、手動変速機40が変速中の状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合に加えて、車両1の速度Vが所定の上限値よりも低い場合にアップシフトに対応した制御を実行してもよい。
【0114】
エンジン回転数Neを同期回転数Ne_usで下支えする場合において、エンジン10の出力の上昇幅が大きくなると、運転者が意図している減速感が得られない可能性がある。そのため、アップシフトに対応した制御の実行を車両1の速度Vが所定の上限値よりも低い場合に限定することによって、エンジン10の出力の上昇幅の拡大が抑制される。その結果、運転者の意図している減速感を得ることができる。なお、所定の上限値は、エンジン回転数Neを同期回転数Ne_usで下支えする場合のエンジン10の出力の上昇幅が所定の範囲内になるように設定される。
【0115】
なお、ECU200は、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態である場合には、手動変速機40のダウンシフトに対応した制御を実行し、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が操作されていない状態である場合には、手動変速機40のアップシフトに対応した制御を実行してもよい。なお、ダウンシフトに対応した制御は、上述の第1の実施の形態において説明したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0116】
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る車両について説明する。本実施の形態に係る車両は、上述の第1の実施の形態に係る車両1の構成と比較して、ECU200の動作が異なる。それ以外の構成については、上述の第1の実施の形態に係る車両1の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0117】
本実施の形態において、ECU200は、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が操作されている状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合には、手動変速機40のダウンシフトに対応した制御を実行し、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が操作されていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合には、手動変速機40のアップシフトに対応した制御を実行する点に特徴を有する。
【0118】
なお、ダウンシフトに対応した制御は、上述の第1の実施の形態において説明したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。また、アップシフトに対応した制御については、上述の第2の実施の形態において説明したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0119】
本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の機能ブロック図の構成は、以下に説明する内容を除き、図2で示した第1の実施の形態におけるECU200の機能ブロック図と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0120】
本実施の形態において、走行状態判定部206は、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態であるという第1走行状態であるか否かを判定する。さらに、走行状態判定部206は、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でないという第2走行状態であるか否かを判定する。
【0121】
走行状態判定部206は、ブレーキスイッチ154からの信号Swbに基づいてブレーキペダル156が踏み込まれた状態であるか否かを判定する。走行状態判定部206は、たとえば、ブレーキスイッチ154がオン状態である場合にブレーキペダル156が踏み込まれた状態であると判定し、ブレーキスイッチ154がオフ状態である場合にブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であると判定する。
【0122】
走行状態判定部206は、車両1の速度の時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)よりも低い場合に車両1が減速状態であると判定し、車両1の速度の時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)以上の場合に車両1が減速状態でないと判定する。
【0123】
なお、走行状態判定部206は、たとえば、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態であるという第1走行状態であると判定された場合に、第1状態判定フラグをオンしてもよい。また、走行状態判定部206は、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でないという第2走行状態であると判定された場合に、第2状態判定フラグをオンするようにしてもよい。
【0124】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202、変速判定部204および走行状態判定部206の判定結果に基づいてエンジン10を制御する。
【0125】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態であると判定され、変速判定部204によって手動変速機40が変速中の状態であると判定され、かつ、走行状態判定部206によって第1走行状態であると判定された場合には、第1エンジン制御を実行する。
【0126】
第1エンジン制御は、上述の第1の実施の形態において説明した第1エンジン制御と同様であるため、その詳細な説明は繰り返されない。なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび第1状態判定フラグのいずれもがオン状態である場合に、第1エンジン制御を実行してもよい。
【0127】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態であると判定され、変速判定部204によって手動変速機40が変速中の状態であると判定され、かつ、走行状態判定部206によって第2走行状態であると判定された場合には、第3エンジン制御を実行する。
【0128】
第3エンジン制御は、上述の第2の実施の形態において説明した第3エンジン制御と同様であるため、その詳細な説明は繰り返されない。なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグ、変速判定フラグおよび第2状態判定フラグのいずれもがオン状態である場合に、第3エンジン制御を実行してもよい。
【0129】
エンジン制御部208は、暖機状態判定部202によって車両1の暖機が完了している状態でないと判定された場合、変速判定部204によって手動変速機40が変速中でないと判定された場合、あるいは、走行状態判定部206によってブレーキペダル156が踏み込まれた状態でなく、かつ、車両1が減速状態である場合、または、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態でない場合には、第2エンジン制御を実行する。第2エンジン制御は、上述の第1の実施の形態において説明した第2エンジン制御と同様であるため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0130】
なお、エンジン制御部208は、たとえば、暖機判定フラグおよび変速判定フラグのうちのいずれかがオフ状態ある場合、あるいは、第1状態判定フラグおよび第2状態判定フラグのうちのいずれもがオフ状態である場合に、第2エンジン制御を実行してもよい。
【0131】
図6を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行されるプログラムの制御構造について説明する。ECU200は、図6で示されるフローチャートに基づくプログラムを所定の計算サイクル毎に実行する。
【0132】
なお、図6に示したフローチャートの中で、前述の図3に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0133】
ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態であるという第1走行状態であると判定された場合(S104にてYES)、S304にて、ECU200は、ブレーキペダル156が踏み込まれていない状態であって、かつ、車両1が減速状態でないという第2走行状態であるか否かを判定する。第2走行状態である場合には(S304にてYES)、処理はS306に移される。もしそうでない場合には(S304にてNO)、処理はS108に移される。S306にて、ECU200は、第3エンジン制御を実行する。なお、第3エンジン制御については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返されない。
【0134】
以上のような構造およぶフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の動作について説明する。
【0135】
たとえば、アクセルペダル152およびクラッチペダル160の踏み込みが解除された状態であって、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であり、かつ、4速のギヤ段が選択されている場合を想定する。また、車両1の暖機は完了した状態であるとする(S100にてYES)。
【0136】
制動装置250の作動によって車両1の速度Vは、時間の経過とともに低下していく。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態ではないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。その結果、エンジン10の出力は、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応した出力になる。
【0137】
運転者が3速への変速を行なうためにクラッチペダル160を踏み込む場合には、クラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。そのため、手動変速機40が変速中の状態であると判定される(S102にてYES)。また、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1の速度Vの時間変化量ΔVがしきい値ΔV(0)よりも小さい減速状態になる場合には(S104にてYES)、4速のギヤ段よりも1段下の3速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_ds(0)になるまでエンジン回転数Neが上昇するようにエンジン10が制御される(S106)。その結果、エンジン出力が上昇させられる。
【0138】
運転者がシフトレバー162を4速に対応する位置から3速に対応する位置まで移動するまでの間、エンジン回転数Neは、同期回転数Ne_ds(0)の付近まで上昇する。
【0139】
運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除した場合にクラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。クラッチペダル160の踏み込みの解除によりクラッチ30が係合状態になる。このとき、エンジン回転数Neは同期回転数Ne_ds(0)の付近まで上昇しているため、クラッチ30は、ショックが発生することなく係合状態に切り換わる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態でないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。その結果、エンジン10の出力は、アクセルペダル152の踏み込み量APに対応した出力に復帰する。
【0140】
次に、ブレーキペダル156の踏み込みが解除された場合を想定する。車両1の暖機は完了した状態であり(S100にてYES)、制動装置250が作動していないため、車両1の速度Vは、維持あるいは時間の経過とともに緩やかに低下していくこととなる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態であり、手動変速機40が変速中の状態ではないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が継続して実行される(S108)。
【0141】
運転者が4速への変速を行なうためにクラッチペダル160を踏み込む場合には、クラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。そのため、手動変速機40が変速中の状態であると判定される(S102にてYES)。また、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態である場合には(S304にてYES)、3速のギヤ段よりも1段上の4速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_us(0)でエンジン回転数Neが下支えされるようにエンジン10が制御される(S306)。
【0142】
その結果、運転者がシフトレバー162を3速に対応する位置から4速に対応する位置まで移動した後にクラッチペダル160の踏み込みを解除するまでに、エンジン回転数Neが、4速のギヤ段に同期する同期回転数Ne_us(0)よりも低下することが抑制される。
【0143】
運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除した場合にクラッチスイッチ158は、オフ状態からオン状態に切り換わる。クラッチペダル160の踏み込みの解除によりクラッチ30が係合状態になる。このとき、クラッチ30は、ショックが発生することなく係合状態に切り換わる。また、クラッチスイッチ158がオフ状態になると、手動変速機40が変速中の状態でないため(S102にてNO)、第2エンジン制御が実行される(S108)。
【0144】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両によると、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態であって、かつ、車両1が減速状態である場合に、現在のギヤ段よりも1段下のギヤ段に同期する同期回転数Ne_dsまでエンジン回転数Neを上昇させる。一方、クラッチ30が解放され、ブレーキペダル156が踏み込まれておらず、かつ、車両1が減速状態でないという走行状態である場合に、現在のギヤ段よりも1段上のギヤ段に同期する同期回転数Ne_usでエンジン回転数Neが下支えされる。これにより、運転者がクラッチペダル160の踏み込みを解除して、クラッチ30が係合状態になる場合に、ショックが発生することが抑制される。さらに、手動変速機40の入力軸の回転数を検出する必要がないため、生産コストの上昇を抑制することができる。したがって、生産コストの上昇を抑制しつつ、手動変速機の変速時のショックを抑制する車両を提供することができる。
【0145】
なお、ECU200は、クラッチ30の操作状態と、制動装置の操作状態とに基づいて、運転者の変速意思を推定してもよい。
【0146】
ECU200は、たとえば、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態である場合に、運転者がダウンシフトを行なう変速意思を有していることを推定してもよい。また、ECU200は、たとえば、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれた状態である場合に加えて、車両1が減速状態である場合に、運転者がダウンシフトを行なう変速意思を有していることを推定してもよい。ECU200は、運転者の変速意思がダウンシフトを行なう変速意思であると推定された場合にダウンシフトに対応する制御を実行してもよい。
【0147】
あるいは、ECU200は、たとえば、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれていない場合に、運転者がアップシフトを行なう変速意思を有していることを推定してもよい。また、ECU200は、たとえば、クラッチ30が解放され、かつ、ブレーキペダル156が踏み込まれていない場合に加えて、車両1が減速状態でない場合に、運転者がアップシフトを行なう変速意思を有していることを推定してもよい。ECU200は、推定された変速意思がアップシフトを行なう変速意思である場合にアップシフトに対応する制御を実行してもよい。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
1 車両、10 エンジン、11 エンジン回転数センサ、14 車輪速センサ、20 トランスミッション、30 クラッチ、32 油圧回路、40 手動変速機、42 油温センサ、58 減速機、80 駆動輪、102 気筒、104 燃料噴射装置、106 水温センサ、150 アクセルペダルポジションセンサ、152 アクセルペダル、154 ブレーキスイッチ、156 ブレーキペダル、158 クラッチスイッチ、160 クラッチペダル、162 シフトレバー、164 シフトストロークセンサ、166 ニュートラルスイッチ、200 ECU、202 暖機状態判定部、204 変速判定部、206 走行状態判定部、208 エンジン制御部、250 制動装置、252 ブレーキアクチュエータ、254 ディスクブレーキ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
手動変速機と、
前記内燃機関と前記手動変速機との間に設けられるクラッチと、
車両に制動力を作用させるための制動装置と、
前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作された状態である場合には、現在のギヤ段よりも低速側のギヤ段に同期する同期回転数に向けて前記内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する制御部とを含む、車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作された状態である場合に加えて、前記車両の速度の変化量がしきい値よりも低い減速状態であると、前記同期回転数に向けて前記内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作された状態である場合に加えて、前記車両の速度が所定の下限値よりも高い場合に前記同期回転数に向けて前記内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作された状態である場合に加えて、前記車両の暖機が完了している場合に前記同期回転数に向けて前記内燃機関の回転数を変化させる制御を実行する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
内燃機関と、
手動変速機と、
前記内燃機関と前記手動変速機との間に設けられるクラッチと、
車両に制動力を作用させるための制動装置と、
前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作されていない場合には、前記内燃機関の回転数が、現在のギヤ段よりも高速側のギヤ段に同期する同期回転数を下回らないようにする前記内燃機関の制御を実行する制御部とを含む、車両。
【請求項6】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作されていない場合に加えて、前記車両の速度の変化量がしきい値よりも低い減速状態でないと、前記内燃機関の回転数が前記同期回転数を下回らないようにする前記内燃機関の制御を実行する、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作されていない場合に加えて、前記車両の速度が所定の下限値よりも高い場合に前記内燃機関の回転数が前記同期回転数を下回らないようにする前記内燃機関の制御を実行する、請求項5または6に記載の車両。
【請求項8】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作されていない場合に加えて、前記車両の速度が所定の上限値よりも低い場合に前記内燃機関の回転数が前記同期回転数を下回らないようにする前記内燃機関の制御を実行する、請求項5〜7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
前記制御部は、前記クラッチが解放され、かつ、前記制動装置が操作されていない場合に加えて、前記車両の暖機が完了している場合に前記内燃機関の回転数が前記同期回転数を下回らないようにする前記内燃機関の制御を実行する、請求項5〜8のいずれかに記載の車両。
【請求項10】
内燃機関と、
手動変速機と、
前記内燃機関と前記手動変速機との間に設けられるクラッチと、
車両に制動力を作用させるための制動装置と、
前記クラッチの操作状態と、前記制動装置の操作状態とに基づいて、運転者の変速意思を推定する制御部とを含む、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29158(P2013−29158A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165539(P2011−165539)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】