説明

車体下部構造

【課題】側方衝突時に,トレーリングアームの揺動軸部による燃料タンクの損傷を防止する。
【解決手段】リアフロアパネル1の下面に接合されて前後方向に伸びる左右一対のリヤサイドフレーム2の間に,燃料タンク15が配設される。揺動軸部20を保持した取付ブラケット10が,リヤサイドフレーム2の底面に形成された下開口部21内に挿入されて,リヤサイドフレーム2に固定される。後輪用トレーリングアーム9の前端部が,下開口部21を通して,揺動軸部20に連結される。揺動軸部20は,平面視において燃料タンク15の側方に位置されるが,燃料タンク15の上面よりも高い位置に位置設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車体下部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両としての自動車の車体下部構造においては,リアフロアパネルの下面に,前後方向に伸びる左右一対のリヤサイドフレームを接合したものがある。そして,後輪用のサスペンションが前後方向に伸びるトレーリングアームを有する場合に,このトレーリングアームの前端部の揺動支点となる揺動軸部を,リヤサイドフレームに取付けることも行われている。
【0003】
特許文献1には,トレーリングアームの揺動軸部をリヤサイドフレームに取付ける際に,リヤサイドフレームの底面に開口部または凹部を形成して,揺動軸部を上記開口部を通してリヤサイドフレーム内に収納した構造や,揺動軸部を凹部内に収納つまり実質的にリヤサイドフレーム内に収納した構造が開示されている。
【特許文献1】特開平2004−114789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,車体後部に配設されることの多い燃料タンクを,リアフロアパネルの下方で,かつ左右一対のリヤサイドフレームの間に配設することが考えられる。この場合、トレーリングアームの揺動軸部が,車幅方向において燃料タンクとオーバラップしてしまう場合がある。この一方,側方衝突時において,揺動軸部の車幅方向内方側への変位に起因して燃料タンクが損傷されないようにすることが重要となる。とりわけ,燃料タンクの容量増大のために,燃料タンクをリヤサイドフレーム直近に位置するように車幅方向に長く設定したときは,上述の問題がより顕著になる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、燃料タンクをリアフロアパネルの下方でかつ左右一対のリヤサイドフレームの間に配設する場合に,トレーリングアームの揺動軸部による燃料タンクの損傷を防止できるようにした車体下部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
リアフロアパネルの下面に接合されて前後方向に伸びる左右一対のリヤサイドフレームに対してそれぞれ,後輪用トレーリングアームの前端部の揺動支点となる揺動軸部を取付けるようにした車体下部構造において,
前記リアフロアパネルの下方でかつ前記左右一対のリヤサイドフレームの間に,燃料タンクが配設され,
前記揺動軸部は,平面視において前記燃料タンクの側方に位置されると共に,前記リヤサイドフレーム内あるいは該リヤサイドフレームの上面よりも高い位置に配設されることにより,該燃料タンクの上面よりも高い位置に位置設定され,
前記リヤサイドフレームの底面に形成された下開口部を通して,前記トレーリングアームの前端部が前記揺動軸部に連結されている,
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば,トレーリングアームの揺動軸部と燃料タンクとは,互いに上下方向にづれた位置関係となされるので,揺動軸部が車幅方向内方側に変位しても,揺動軸部によって燃料タンクを損傷させてしまう事態が防止される。また,必然的に,揺動軸部はかなり高い位置に設定されるので,例えば制動時における車体のノーズダイブ現象を防止する等,良好なサスペンション特性を得る上でも好ましいものとなる。さらに,リヤサイドフレームに揺動軸部を取付けるということは,リヤサイドフレームがかなり車幅方向外方側に寄った位置とされ,この分,左右一対のリヤサイドフレーム間の間隔を大きく確保,つまり燃料タンクの車幅方向長さを十分に確保することが可能となり,燃料タンクの容量増大の上でも好ましいものとなる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち,
前記揺動軸部は,取付ブラケットを介して前記リヤサイドフレームに取付けられており,
前記取付ブラケットは,上方に向けて膨出されて下方が開口されたボックス部と,該ボックス部の開口縁部に形成されたフランジ部とを有し,
前記取付ブラケットは,前記ボックス部が前記下開口部を通して前記リヤサイドフレーム内に挿入された状態で,前記フランジ部が該リヤサイドフレームの底面に固定されており,
前記揺動軸部が,前記ボックス部のうち左右一対の側壁部に支持されている,
ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、揺動軸部が,剛性の高くなるボックス部における左右一対の側壁部に支持されるので,揺動軸部の支持剛性を高める上で好ましいものとなる。
【0009】
前記リヤサイドフレームが,前方から後方に向けて,略水平に伸びる前水平部と,該前水平部の後端から後上がりに傾斜された傾斜部とを有し,
前記下開口部が,前記前水平部と傾斜部との境界付近に形成されて,該下開口部の前端縁の高さよりも後端縁の高さが高くなるように設定され,
前記取付ブラケットにおける前記ボックス部は,その前側開口端縁の高さよりも後側開口端縁の高さが高くされている,
ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、トレーリングアームが上方へ揺動するときに,リヤサイドフレームの傾斜部の下方空間がトレーリングアームに対する一種の逃げ空間となるので,トレーリングアームとリヤサイドフレームとの干渉防止のためにトレーリングアームの揺動軸部近傍付近を一旦大きく下方へ伸ばすように設定することが不用となり,トレーリングアームの形状を極力簡単化する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記フランジ部のうち前記ボックス部の後方側に位置する後フランジ部が,該ボックス部の前方側に位置する前フランジ部よりも高くされると共に該前フランジ部と平行となるように設定されており,
前記傾斜部の底面には,前記下開口部の後方位置において,下方に突出されて下面が略水平とされた段差部が形成され,
前記取付ブラケットは,前記前フランジ部を前記前水平部の底面に着座させた状態で,かつ前記後フランジ部を前記段差部の下面に着座させた状態で,下方から固定される固定具によって該水平部および段差部に固定されている,
ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、前後のフランジ部は互いに平行になっていることから,前フランジ部用の固定具と後フランジ部用の固定具とは互いに平行に下方から各フランジ部に接近させて固定作業を行うことができ,各フランジ部つまり取付ブラケットをリヤサイドフレームの所定位置に対して精度よく固定することが可能となる。なお,前フランジ部と後フランジ部とが互いに傾斜されている場合は,固定具の固定方向が,前後のフランジ部の間で相違するために,取付ブラケットをリヤサイドフレームの所定位置に精度よく固定することが難しくなる。
【0011】
前記段差部が,前記リヤサイドフレームとは別部材となる段差構成部材を該リヤサイドフレームに固定することにより構成されている,ようにすることができる(請求項5対応)。この場合、大物部材であるリヤサイドフレームそのものを加工することにより段差部を一体形成する場合に比して,段差部の形成が容易となる。
【0012】
前記リアフロアパネルに,前記下開口部に対応させて,上開口部が形成されており,
前記取付ブラケットの上部が,前記上開口部を通して前記リアフロアパネルの上面から上方へ突出されている,
ようにすることができる(請求項6対応)。この場合、揺動軸部をより一層高い位置に設定して,良好なサスペンション特性を得る上でより一層好ましいものとなる。
【0013】
前記リアフロアパネルは,前記左右一対のリヤサイドフレーム間において,該リヤサイドフレームの上面よりも低くされた段差面を有し,
前記燃料タンクが,前記段差面の下方に配設されている,
ようにすることができる(請求項7対応)。この場合、揺動軸部と燃料タンクとをより上下方向に大きくづれた位置関係とする上で好ましいものとなる。また,例えばワゴン車のように,車体後面にリヤハッチドアによって開閉されるハッチ開口部が形成された車両にあっては,荷物等が載置されるリアフロア面がより低い位置とされるので,ハッチ開口部を通してのリアフロア面への荷物の積み降ろしが容易ともなる。
【0014】
前記リヤサイドフレームが,前方から後方に向けて,略水平に伸びる前水平部と,該前水平部の後端から後上がりに傾斜された傾斜部とを有し,
前記下開口部が,前記前水平部と傾斜部との境界付近に形成されて,該下開口部の前端縁の高さよりも後端縁の高さが高くなるように設定されている,
ようにすることができる(請求項8対応)。この場合、トレーリングアームが上方へ揺動するときに,リヤサイドフレームの傾斜部の下方空間がトレーリングアームに対する一種の逃げ空間となるので,トレーリングアームとリヤサイドフレームとの干渉防止のためにトレーリングアームの揺動軸部近傍付近を一旦大きく下方へ伸ばすように設定することが不用となり,トレーリングアームの形状を極力簡単化する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,側方衝突時においてトレーリングアームの揺動軸部による燃料タンクの損傷を防止できる。また,揺動軸部を高い位置として,良好なサスペンション特性を確保する上で好ましいものとなる。さらに,燃料タンクの車幅方向長さを十分に確保して燃料タンクの容量増大の上で好ましいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1において,1はリアフロアパネルであり,その下面には,前後方向に伸びる左右一対のリヤサイドフレーム2が接合されている。リヤサイドフレーム2は,上方に開口された断面略ハット状とされて,接合時においてリアフロアパネル1と共働して閉断面を構成している(図2,図3をも参照)。
【0017】
左右一対のリヤサイドフレーム2の前後方向中間部同士が,車幅方向に伸びるリヤサスペンションフレーム3によって連結されている。リヤサスペンションフレーム3のリヤサイドフレーム2に対する固定部位が,符号4で示される。5は後輪支持部材であり,後輪支持部材5は,実施形態では4本のサスペンションアーム6,7,8,9を介して,車体に上下動自在に支承されている。サスペンションアーム6〜8はそれぞれほぼ車幅方向に伸びて,その車幅方向内端部がリヤサスペンションフレーム3に取付けられている。この一方,符号9で示すサスペンションアームは,前後方向に伸びるトレーリングアームとされていて,このトレーリングアーム9の前端部は,後述するように取付ブラケット10を介してリヤサイドフレーム2に取付けられている。
【0018】
リアフロアパネル1の下方で,かつ左右一対のリヤサイドフレーム2の間には,燃料タンク15が配設されている。燃料タンク15は,その側壁がリヤサイドフレーム2直近に位置するように,車幅方向に極力長くなるように形成されて,その容量増大が図られている。
【0019】
トレーリングアーム9の前端部の揺動支点となる揺動軸部が符号20で示される(図3,図4をも参照)。この揺動軸部20は,平面視において,燃料タンクの側方に位置されている(図1参照)。また,図3から明らかなように,揺動軸部20は,燃料タンク15の上面よりも高い位置に位置設定されて,側面視においては,揺動軸部20と燃料タンク15とがオーバラップしないように設定されている。
【0020】
次に,図1〜図4を参照しつつ,取付ブラケット10や揺動軸部20およびその周辺部位の詳細について説明する。まず,リヤサイドフレーム2は,略水平に伸びる前水平部2aと,前水平部2aから後上がりに伸びる傾斜部2bと,傾斜部2bの後端から略水平に伸びる後水平部2cとを有する形状に設定されている(図1,図4参照)。図4に示すように,リヤサイドフレーム2の底面には,上記前水平部2aと傾斜部2bとの境界付近において,下開口部21が形成されている。下開口部21は,その前端縁が前水平部2aに位置される一方,その後端縁が傾斜部2bに位置されており,したがって,下開口部21の前端縁よりも後端縁の方が高い位置とされている(図4参照)。
【0021】
リヤサイドフレーム2の傾斜部2b底面には,下開口部21の直後方において,段差構成部材22が接合されている(図1では段差構成部材22は図示略)。段差接合部材22は,図4,図6に示すように,傾斜部2bへの接合状態において,略水平に伸びる底壁部22aと,底壁部22aの後端から上方に伸びる後壁部22bと,後壁部22bの上端から後上がりに傾斜された傾斜壁部22cと,左右一対の側壁部22dとを有する。傾斜壁部22cの傾斜角度は,リヤサイドフレーム2における傾斜部2bの傾斜角度と一致されている。このような段差構成部材22は,傾斜壁部22cがリヤサイドフレーム2の傾斜部2bの底面に着座された状態で,かつ左右一対の側壁部22dが傾斜部22bの外側面に着座された状態で,傾斜部2bに溶接接合されている。この接合状態において,上記底壁部22aは,略水平に伸びている。
【0022】
取付ブラケット10は,図4,図5に示すように,上方に向けて膨出されて下方に開口されたボックス部11と,ボックス部11の開口縁部に形成されたフランジ部12とを有する。実施形態では,取付ブラケット10は,1枚の金属板(例えば鉄系金属板)を深絞り加工することにより,全体として一体成形品とされている。ボックス部11は,互いに平行に上下方向に伸びる左右一対の側壁部11aと,左右一対の側壁部11aの外周縁部同士を連結する頂壁部11bとを有する。そして,揺動軸部20は,この左右一対の側壁部11bに保持されている。取付ブラケット10のフランジ部12のうち,前フランジ部が符号12aで示され,後フランジ部が符号12bで示される。前フランジ部12aを水平状態としたときに,後フランジ部12bの傾斜角度は,リヤサイドフレーム2における傾斜部2bの傾斜角度と一致されている。
【0023】
取付ブラケット10は,そのボックス部11を下開口部21を通してリヤサイドフレーム2内に挿入された状態で,その前フランジ部22aがリヤサイドフレーム2の前水平部2aの底面に着座され,その後フランジ部22bが前述した段差構成部材22の底壁部22aの下面に着座された状態で,固定具によってリヤサイドフレーム2に固定される。すなわち,リヤサイドフレーム2のうち前水平部2a内の所定位置にはあらかじめナット23が接合されていて,下方から接近されるボルト24をナット23に螺合することにより,前フランジ部12aが前水平部2aに固定される。また,段差構成部材22の底壁部22aの上面にはナット25が接合されていて,下方から接近されるボルト26をナット25に螺合させることにより,後フランジ部22bが,段差構成部材22(の底壁部22a)に固定される。リヤサイドフレーム2に対する取付ブラケット10の固定状態において,ボックス部11の下方への開口は,その前端縁よりも後端縁の方が高くされる(図4参照)。
【0024】
上記ボルト24,26は固定具となるもので,それぞれ下方から互いに平行状態でナット23あるいは25に接近させるので,取付ブラケット10をリヤサイドフレーム2の所定位置に精度よく固定することができる。なお,リヤサイドフレーム2側にあらかじめ固定されている固定具をリヤサイドフレーム2(段差構成部材22)から下方に伸びるボルトとし,このボルトに螺合される下方から接近される固定具をナットとしてもよい。
【0025】
トレーリングアーム9の前端部は,弾性ブッシュ30を介して揺動軸部20に連結される。すなわち,図4に示すように,弾性ブッシュ30は,揺動軸部20外周に回動自在に嵌合されるインナスリーブ30aと,トレーリングアーム9の前端部が嵌合されるアウタスリーブ30bと,両スリーブ30aと30bとの間に介在された弾性部材30cとを有する。
【0026】
ここで,リアフロアパネル1のうち,取付ブラケット10に対応する位置には,上開口部27が形成されている(図3,図4参照)。そして,取付ブラケット10のボックス部11の上部が,上開口部27を通してリアフロアパネル1の上方にまで突出されている。これにより,取付ブラケット10の高さつまり揺動軸部20の高さが極力高くされて,揺動軸部20が燃料タンク5の上面に対してより十分に高い位置となるようにされている。なお,上開口部27は,例えばリアシートによって覆われる等によって,車室内からは目視できない状態とされる。また,図3,図4では,揺動軸部20の高さが,リヤサイドフレーム2の上面位置よりもわずかに低い位置とされているが,リヤサイドフレーム2の上面位置よりも高い位置に設定することも可能である(揺動軸部20を,リアフロアパネル1よりも高い位置に設定することも可能)。
【0027】
実施形態では,さらに,リアフロアパネル1のうち,左右一対のリヤサイドフレーム2の間の部分が,低くされた段差面2aとされている(図2,図3参照)。そして,燃料タンク5は段差面2aの下方に配置されるので,段差面2aを形成しない場合に比して,揺動軸部20はその高さが同一であっても,燃料タンク5の上面に対してより高い位置に設定されることになる。なお,低い段差面1aの形成は,その上に荷物が載置されるリアフロア面を極力低くする上で好ましいものとなる。例えば,車体後面に形成されたリヤハッチドアによって開閉されるハッチ開口部を有する車両の場合に,当該ハッチ開口部を通してのリアフロア面への荷物の積み降ろしの容易化の上でも好ましいものとなる。
【0028】
以上のような構成において,左右一対のリヤサイドフレーム2は,トレーリングアーム9の車幅方向位置に対応して十分に車幅方向外方側に位置されている。つまり,左右一対のリヤサイドフレーム2の間隔が大きく設定されて,この分,燃料タンク5のの車幅方向長さを長くすることが可能となって,燃料タンク5の容量増大の上で好ましいものとなっている。また,揺動軸部20は,高い位置に設定されているので,例えば制動時におけるノーズダイブ現象を抑制する作用を得て,良好なサスペンション特性を得る上でも好ましいものとなる。勿論,揺動軸部20は,平面視においては燃料タンク5の側方に位置されるものの,燃料タンク5に対して上下方向にオフセットされた状態とされているので,側方衝突時に揺動軸部20が車幅方向内方側に変位しても,揺動軸部20によって燃料タンク5を損傷させてしまうこともない。
【0029】
以上に加えて,リヤサイドフレーム2の傾斜部2bの下方空間は,トレーリングアーム9が上方へ揺動されるときの逃げ空間ともなる。したがって,トレーリングアーム9が上方へ揺動するときに,トレーリングアーム9とリヤサイドフレーム2との干渉を防止するために,トレーリングアーム9を揺動軸部20から一旦大きく下方へ伸ばした後に後方に向けて伸びるような複雑な形状とすることなく,上記干渉を防止することができる。
【0030】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。下開口部21を,リヤサイドフレーム2のうち前水平部2aのみに開口されるように形成してもよい(傾斜部2bに跨らないように下開口部21を形成)。サスペンション形式としては,トレーリングアーム9を有するものであれば,その他の構造は問わないものである。取付ブラケット10を介することなく,揺動軸部20を直接リヤサイドフレーム2に取付けるようにしてもよい。取付ブラケット10は,リアフロアパネル1の上方へ突出させないようにしてもよい(上開口部23を形成しない態様)。取付ブラケット10のボックス部11の上部は,リアフロアパネル10に上開口部23を形成してこれを通して上方へ突出させる代わりに,リアフロアパネル10に上方に膨出した膨出部を形成し,この膨出部内に収容させるようにしてもよい。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので,車体後部を下方から見た下面図。
【図2】図1のX2−X2線相当断面図。
【図3】図1のX3−X3線相当断面図。
【図4】取付ブラケットと揺動軸部との詳細を示す要部側面断面図。
【図5】取付ブラケットの斜視図。
【図6】段差構成部材の斜視図。
【符号の説明】
【0032】
1:リアフロアパネル
1a:段差面
2:リヤサイドフレーム
2a:前水平部
2b:傾斜部
9:トレーリングアーム
10:取付ブラケット
11:ボックス部
11a:側壁部
12:フランジ部
12a:前フランジ部
12b:後フランジ部
15:燃料タンク
20:揺動軸部
21:下開口部
22:段差構成部材
22a:底壁部(水平部分)
24,26:ボルト(固定具)
27:上開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアフロアパネルの下面に接合されて前後方向に伸びる左右一対のリヤサイドフレームに対してそれぞれ,後輪用トレーリングアームの前端部の揺動支点となる揺動軸部を取付けるようにした車体下部構造において,
前記リアフロアパネルの下方でかつ前記左右一対のリヤサイドフレームの間に,燃料タンクが配設され,
前記揺動軸部は,平面視において前記燃料タンクの側方に位置されると共に,前記リヤサイドフレーム内あるいは該リヤサイドフレームの上面よりも高い位置に配設されることにより,該燃料タンクの上面よりも高い位置に位置設定され,
前記リヤサイドフレームの底面に形成された下開口部を通して,前記トレーリングアームの前端部が前記揺動軸部に連結されている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
請求項1において,
前記揺動軸部は,取付ブラケットを介して前記リヤサイドフレームに取付けられており,
前記取付ブラケットは,上方に向けて膨出されて下方が開口されたボックス部と,該ボックス部の開口縁部に形成されたフランジ部とを有し,
前記取付ブラケットは,前記ボックス部が前記下開口部を通して前記リヤサイドフレーム内に挿入された状態で,前記フランジ部が該リヤサイドフレームの底面に固定されており,
前記揺動軸部が,前記ボックス部のうち左右一対の側壁部に支持されている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項3】
請求項2において,
前記リヤサイドフレームが,前方から後方に向けて,略水平に伸びる前水平部と,該前水平部の後端から後上がりに傾斜された傾斜部とを有し,
前記下開口部が,前記前水平部と傾斜部との境界付近に形成されて,該下開口部の前端縁の高さよりも後端縁の高さが高くなるように設定され,
前記取付ブラケットにおける前記ボックス部は,その前側開口端縁の高さよりも後側開口端縁の高さが高くされている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項4】
請求項3において,
前記フランジ部のうち前記ボックス部の後方側に位置する後フランジ部が,該ボックス部の前方側に位置する前フランジ部よりも高くされると共に該前フランジ部と平行となるように設定されており,
前記傾斜部の底面には,前記下開口部の後方位置において,下方に突出されて下面が略水平とされた段差部が形成され,
前記取付ブラケットは,前記前フランジ部を前記前水平部の底面に着座させた状態で,かつ前記後フランジ部を前記段差部の下面に着座させた状態で,下方から固定される固定具によって該水平部および段差部に固定されている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項5】
請求項4において,
前記段差部が,前記リヤサイドフレームとは別部材となる段差構成部材を該リヤサイドフレームに固定することにより構成されている,ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
前記リアフロアパネルに,前記下開口部に対応させて,上開口部が形成されており,
前記取付ブラケットの上部が,前記上開口部を通して前記リアフロアパネルの上面から上方へ突出されている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記リアフロアパネルは,前記左右一対のリヤサイドフレーム間において,該リヤサイドフレームの上面よりも低くされた段差面を有し,
前記燃料タンクが,前記段差面の下方に配設されている,
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項8】
請求項1において,
前記リヤサイドフレームが,前方から後方に向けて,略水平に伸びる前水平部と,該前水平部の後端から後上がりに傾斜された傾斜部とを有し,
前記下開口部が,前記前水平部と傾斜部との境界付近に形成されて,該下開口部の前端縁の高さよりも後端縁の高さが高くなるように設定されている,
ことを特徴とする車体下部構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−69475(P2006−69475A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258384(P2004−258384)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】