車載カメラのカメラキャリブレーション装置
【課題】車載カメラの内部パラメータと外部パラメータの情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求める。
【解決手段】コントローラ10は、車載カメラ1から、白線を含む道路の入力画像を取得し、複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて入力画像を補正して第1の補正画像をそれぞれ生成し、各第1の補正画像において、各白線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて入力画像から補正された第2の補正画像を生成し、第2の補正画像において、各白線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定する。
【解決手段】コントローラ10は、車載カメラ1から、白線を含む道路の入力画像を取得し、複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて入力画像を補正して第1の補正画像をそれぞれ生成し、各第1の補正画像において、各白線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて入力画像から補正された第2の補正画像を生成し、第2の補正画像において、各白線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車載カメラの画像を入力として画像認識を行い、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたとき、カメラの内部パラメータ(レンズ歪み、他)と、外部パラメータ(消失点位置、他)と、車両の左右端を基準とするカメラ位置の情報が必要となる。本発明は、簡便に上記のパラメータ群を求めるためのカメラキャリブレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラのカメラキャリブレーション装置としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものが存在する。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、車載カメラを搭載した車両で走行中にカメラ映像に写りこんだ路面標示や車線を用いて、カメラの外部パラメータを求めるための技術である。本技術では、走行中に撮影された映像中で、既知の形状及びサイズを有する路面標示の検知結果を用いて外部パラメータを求める方法と、2本の車線を延長して交差した点(消失点)を用いて外部パラメータを求める方法が示されている。
【0004】
特許文献2に記載の技術は、車載カメラを搭載した車両を2本の平行線(駐車場の枠線など)が写る場所に停車し、そのカメラ映像を様々に平面変換し、変換された画像上で2本の線が平行になる変換パラメータを見つけることによりカメラの外部パラメータを求めるための技術である。
【0005】
特許文献3に記載の技術は、専用のカメラキャリブレーション用パターンを車両に合わせて設置して、それをカメラで撮影し、その映像中のカメラキャリブレーション用パターンの姿勢から、カメラの外部パラメータと、車両の左右端を基準とするカメラ位置とを求めるための技術である。
【0006】
また、非特許文献1に記載の技術は、専用のカメラキャリブレーション用パターンをカメラで撮影し、その映像中のカメラキャリブレーション用パターンの写り方を認識して、そのカメラの内部パラメータ及び外部パラメータを求める技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−011174号公報。
【特許文献2】特開2008−182652号公報。
【特許文献3】特開2005−016979号公報。
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Z.Zhang, "A Flexible New Technique for Camera Calibration", IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol. 22, No. 11, IEEE, pp. 1330-1334, November 2000。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2は、一般の道路や駐車場の標示パターンを用いたカメラキャリブレーション方法であり、簡便ではあるが、レンズ歪みを求めることができない。特許文献3及び非特許文献1は、カメラキャリブレーションを行うために専用のカメラキャリブレーション用パターンを用いる必要があり、簡便性に欠ける。
【0010】
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたときに必要となるカメラの内部パラメータ(レンズ歪み)と外部パラメータ(消失点位置)の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができるカメラキャリブレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様に係る車載カメラのカメラキャリブレーション装置は、上記カメラキャリブレーション装置は、画像認識処理を実行するコントローラを備え、
上記コントローラは、
上記車載カメラから、車両の進行方向にそれぞれ実質的に平行な直線状の2本の区間線が設けられた道路の入力画像を取得し、
複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第1の補正画像をそれぞれ生成し、
上記各第1の補正画像において、上記各区間線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、
最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、
上記決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第2の補正画像を生成し、
上記第2の補正画像において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカメラキャリブレーション装置によれば、カメラのレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができる。レンズ歪みやカメラの設置角度が未知のカメラであっても、本発明のカメラキャリブレーション装置を備えた車両をしばらく走行させるだけで、レンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることが可能になる。これにより、未知のカメラの画像を入力として画像認識を行い、レーン逸脱警報システムを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。
【図3】図2の車載カメラ1により道路100上の直線状の白線101,102を撮影したカメラ画像200を示す概略図である。
【図4】図1のコントローラ10によって実行される画像認識処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の評価値計算処理S4の一実施例を示すサブルーチンである。
【図6】ハフ変換の投票値に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。
【図7】図4の評価値計算処理S4のもう1つの実施例を示すサブルーチンである。
【図8】消失点の間の距離に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。
【図9】図4の画像認識処理において、図1の評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る画像認識処理を示すフローチャートである。
【図11】図10の画像認識処理において、図1の評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図1である。
【図13】図12のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。
【図14】図12の入力装置4及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。
【図15】図12の入力装置4及びディスプレイ5のもう1つの実施例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図17】車両3の左右端に合わせて配置されたマーカー31,32を示す概略図である。
【図18】図16の入力装置4A及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図であり、図2は、図1の画像認識装置2を備えた車両3を示す概略図である。実施の形態1のカメラキャリブレーション装置では、画像認識装置2が、車載カメラ1で撮影された画像を入力として画像認識を行い、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータを決定するとともに、消失点位置を決定する。
【0016】
車載カメラ1は、カラー可視カメラ、グレースケールの可視カメラ、近赤外線カメラ、赤外線カメラのいずれであってもよい。また、車載カメラ1から出力される画像信号は、アナログ信号であってもデジタル信号であってもよい。図2では、車載カメラ1を車両3の後方向きに設置するように図示したが、前方向きなど他の方向に設置したカメラであってもよい。
【0017】
画像認識装置2は、車載カメラ1から入力された画像に対して後述の画像認識処理(図4を参照)を実行し、レンズ歪みパラメータ及び消失点位置を決定するコントローラ10を備え、画像認識装置2はさらに、入力された画像及び補正画像を格納する画像メモリ11と、各補正画像の評価値を格納する評価値メモリ12と、決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を格納する不揮発性メモリ13とを備える。画像認識装置2は、演算処理を行うことが可能な処理プロセッサやメモリを搭載した処理ボードである。画像認識装置2は、カーナビゲーションシステムであってもよい。
【0018】
図3は、図2の車載カメラ1により道路100上の直線状の白線101,102を撮影したカメラ画像200を示す概略図である。図3は、道路走行時に取得されるカメラ画像の例を示す。実施の形態1では、レンズ歪みパラメータ及び消失点位置を決定するために、道路上の直線状の白線を用いる。図3のカメラ画像200では、一般にリアカメラとして使用されている広角カメラの画像を図示したが、狭い角度のカメラや、より広い魚眼カメラであってもよい。
【0019】
図4は、図1のコントローラ10によって実行される画像認識処理を示すフローチャートである。ステップS1において、車載カメラ1から画像(元画像)を取得して、画像メモリ11に格納する。次いで、所定量のレンズ歪みが存在していると仮定して、仮定したレンズ歪みを除去するように画像の補正を行う。レンズ歪みをモデル化するさまざまな近似式が提案されているが、例えば、一般の広角カメラであれば、レンズ歪みは次式で表される。
【0020】
[数1]
X=(x−x0)×(1+k1×r2+k2×r4)+x0
[数2]
Y=(y−y0)×(1+k1×r2+k2×r4)+y0
[数3]
r2=(x−x0)2+(y−y0)2
【0021】
ここで、(x,y)はレンズ通過前の画像座標(すなわち歪み補正後の画像座標)であり、(X,Y)は、レンズ通過後の画像座標(すなわち歪み補正前の画像座標)であり、(x0,y0)は画像中心であり、k1,k2はレンズ歪み係数である。パラメータk1、k2、(x0,y0)を適当な範囲で組み合わせた所定量のレンズ歪みを仮定し、上記近似式に従って、レンズ歪みを除去した補正画像を生成する。対象となるカメラが、一般的にリアカメラに使用される画角140度前後の広角カメラであり、カメラキャリブレーションの目的がレーン逸脱警報システムの構築であれば、厳密なレンズ歪みの除去は必要ないので、(x0,y0)を画像の中央に設定し、レンズ歪み係数k2=0とし、レンズ歪み係数k1のみを、例えば−0.4〜−0.1程度まで0.01ずつ変化させれば十分である。以下では、レンズ歪み係数k1のみを変化させる処理について説明するが、レンズ歪み係数k1,k2の両方を用いた処理や、数1〜数3とは異なる近似式に基づく処理についても本発明の原理が適用可能であることは理解されるであろう。
【0022】
ステップS2において、レンズ歪み係数k1を例えば最小値に初期化する。ステップS3において、レンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS4において、補正画像中の直線状の白線を認識し、白線認識結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を決定する評価値計算処理を実行する。白線認識処理には様々な手法が提案されているが、例えば、入力画像の各画素について、水平方向に隣り合う画素との差が大きい画素を、白線のエッジである可能性が高い特徴点として抽出し、抽出された特徴点に対してハフ変換を適用して直線検出を行うという手法を用いることができる。ハフ変換は、画像処理の分野で広く用いられている直線検出手法であり、画像中の特徴点が与えられたとき、その特徴点を含む図形についての仮説を生成し、多くの特徴点から支持される仮説を正しいものと考えて図形の検出を行う手法である。仮説の生成は、仮説集合を表すパラメータ空間へ投票することによって実現され、各仮説に対して蓄積された投票度数(投票値)を調べることによって図形の検出が行われる。このとき、補正画像を生成する際に用いたレンズ歪み計数k1が真の値に近ければ、補正画像上で白線は真っ直ぐに近くなっているはずであり、従って、白線認識においてはっきりした直線が求まることになる。また、直線検出に用いる特徴点は、水平方向に数画素離れた2点に対して、所定のしきい値以上輝度が高い点を用いてもよい。
【0023】
図5は、図4の評価値計算処理S4の一実施例を示すサブルーチンであり、ここでは、ハフ変換の投票値に基づいて評価値を計算している。図6は、ハフ変換の投票値に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。評価値、すなわち補正の妥当性を表す指標としては、補正画像内の右側エリアの白線と左側エリアの白線に対してハフ変換による直線検出をそれぞれ実行し、ハフ変換の投票値の最高値(すなわち、直線候補として検出された直線の投票値)の合計を用いることができる。ステップS21において、補正画像内の右側の白線に対してハフ変換を実行して右側の白線に対する直線候補の投票値を取得し、ステップS22において、右側の白線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定する。また、ステップS23において、補正画像内の左側の白線に対してハフ変換を実行して左側の白線に対する直線候補の投票値を取得し、ステップS24において、左側の白線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定する。ステップS25において、決定された2つの投票値の合計を評価値とする。妥当なレンズ歪み係数k1を設定したときに白線が直線状に補正されるので、補正画像内の白線と白線認識結果201,202(すなわち、検出された直線)との一致度が高くなり、評価値も高くなる。従って、評価値が高いレンズ歪み係数k1を決定することにより、正しいレンズ歪み係数k1を求めることができる。
【0024】
図7は、図4の評価値計算処理S4のもう1つの実施例を示すサブルーチンであり、ここでは、消失点の間の距離に基づいて評価値を計算している。図8は、消失点の間の距離に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。評価値として、ハフ変換の投票値に基づくものに代えて、補正画像内の所定の基準線210に対して上側エリアと下側エリアとで別々に白線認識を実行し、2つの白線認識結果からそれぞれ決まる2つの消失点位置の間の距離を用いることもできる。ステップS31において、補正画像の上側に対して白線認識を実行する。ここでは、例えば、図5の処理と同様にハフ変換を実行し、補正画像内の上右側エリアの白線と下左側エリアの白線に対してハフ変換による直線検出をそれぞれ実行し、最高の投票値を有する直線を白線認識結果211,212とする。ステップS32において、補正画像の上側の白線認識結果211,212に基づいて第1の消失点位置213を決定する。ステップS33において、補正画像の下側に対して白線認識を実行する。ステップS34において、補正画像の下側の白線認識結果221,222に基づいて第2の消失点位置223を決定する。ステップS35において、第1の消失点位置213及び第2の消失点位置223の間の距離を評価値とする。妥当なレンズ歪み係数k1を設定したときに白線が直線状に補正されるので、補正画像の上側の白線認識結果211,212と下側の白線認識結果221,222との一致度が高くなる(すなわち、評価値が小さくなる)とともに、補正画像内の白線とこれらの白線認識結果との一致度も高くなる。従って、評価値が小さいレンズ歪み係数k1を決定することにより、正しいレンズ歪み係数k1を求めることができる。
【0025】
ステップS5において、計算された評価値を評価値メモリ12に格納する。ステップS6において、レンズ歪み係数k1が最大値に達したか否か(又は、レンズ歪み係数k1を範囲内のすべての値に変化させてステップS3〜S6を実行したか否か)を判断し、達していないうちは、ステップS7において、レンズ歪み係数k1を予め決められた量(例えば0.01)だけインクリメントし、次いでステップS3〜S6を繰り返す。これらのステップを繰り返すことにより、異なるレンズ歪み係数k1ごとに補正画像を生成し、補正画像ごと(すなわちレンズ歪み係数k1ごと)にそれぞれ、補正の妥当性を評価するための評価値を決定することができる。図9に、決定された評価値を含む、評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す。ステップS6においてレンズ歪み係数k1が最大値に達したときには、ステップS8において、評価値メモリ12に格納された評価値を比較し、最良の評価値に対応するレンズ歪み係数k1を決定する。
【0026】
ステップS9において、ステップS8で決定されたレンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS10において、ステップS9の補正画像に対して白線認識を実行し、白線認識により得られた2つの白線の交点を消失点位置として決定する。ステップS11において、ステップS8で決定されたレンズ歪み係数k1と、ステップS10で決定された消失点位置とを、不揮発性メモリ13に格納する。以上の手順で、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることができる。
【0027】
実施の形態1によれば、カメラのレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができる。さらに、実施の形態1によれば、未知のカメラについて、白線認識を行う上で十分な精度でレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を決定することができる。これらの情報を用いることにより白線認識時の探索領域を大幅に限定できるので、高速かつ高精度に白線認識を実行することができる。
【0028】
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2に係る画像認識処理を示すフローチャートである。実施の形態1では1つの元画像に基づいてレンズ歪みパラメータと消失点位置を決定したが、実施の形態2では、所定時間間隔で連続した複数個の画像(時系列画像)を入力として使用する。実施の形態2では、連続する複数個の画像を同じレンズ歪みパラメータによりそれぞれ補正したときの補正の安定度を評価してレンズ歪みパラメータを決定し、これにより、実施の形態1よりも高精度にレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を求めることが可能になる。評価する安定度の指標としては、複数の画像を同じレンズ歪みパラメータによりそれぞれ補正したときの評価値の和を用いることができる。
【0029】
ステップS41において、車載カメラ1から画像を取得して、画像メモリ11に格納する。ステップS42において、時系列画像の番号を示すパラメータnを1に初期化する。ステップS43において、レンズ歪み係数k1を例えば最小値に初期化する。ステップS44において、レンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS45において、図4のステップS4と同様の評価値計算処理を実行する。評価値計算処理としては、例えば、図5又は図7を参照して説明した処理を行うことができる。ステップS46において、計算された評価値を評価値メモリ12に格納する。図11は、決定された評価値を含む、評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す。パラメータn及びk1に応じて、評価値テーブル上の対応する箇所に評価値を格納する。ステップS47において、レンズ歪み係数k1は最大値に達したか否か(又は、レンズ歪み係数k1を範囲内のすべての値に変化させてステップS44〜S47を実行したか否か)を判断し、達していないうちは、ステップS48において、レンズ歪み係数k1を予め決められた量だけインクリメントし、次いでステップS44〜S47を繰り返す。ステップS47においてレンズ歪み係数k1が最大値に達したときには、ステップS49において、時系列画像の番号を示すパラメータnが予め決められた最大値Nに達したか否かを判断する。ステップS47においてパラメータnが最大値Nに達していないうちは、ステップS50においてパラメータnを1だけインクリメントし、次いでステップS41において、車載カメラ1から新たな画像を取得して、画像メモリ11に上書きし、ステップS42〜S49を繰り返す。ステップS47においてパラメータnが最大値Nに達したときには、ステップS51において、レンズ歪み係数k1の異なる値毎に、評価値メモリ12に格納されたN個の評価値の総和を計算する。車載カメラ1に映り込む事物によっては一定割合で白線認識の誤りが発生する可能性があるので、ステップS51で総和を計算するときに、レンズ歪み係数k1の異なる値毎に、下位の所定割合の順位を有する評価値を除去してもよい。ステップS52において、評価値の総和を比較し、最良の評価値に対応するレンズ歪み係数k1を決定する。ステップS53において、ステップS52で決定されたレンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS54において、ステップS53の補正画像に対して白線認識を実行し、白線認識により得られた2つの白線の交点を消失点位置として決定する。ステップS55において、ステップS52で決定されたレンズ歪み係数k1と、ステップS54で決定された消失点位置とを、不揮発性メモリ13に格納する。以上の手順で、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることができる。
【0030】
実施の形態2によれば、時系列画像を入力として用いたことにより、実施の形態1よりも高精度にレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を求めることが可能になる。
【0031】
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図1であり、図13は、図12のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。実施の形態3のカメラキャリブレーション装置は、決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置をディスプレイ5に表示し、ユーザが入力装置4を介してレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を確認してさらに調整できることを特徴とする。
【0032】
図12を参照すると、画像認識装置2Aは、図1の画像認識装置2のコントローラ10に代えて、ユーザ入力情報を受け取るための入力装置4にさらに接続されたコントローラ10Aを備える。入力装置4は、レンズ歪みの大小と、消失点の左右位置及び上下位置とを調整するために使用される。画像認識装置2Aは、コントローラ10Aで生成された補正画像(すなわち、図4のステップS9又は図10のステップS53で生成された補正画像)に所定の情報を重畳してディスプレイ5に出力する画像合成回路14をさらに備える。画像合成回路14は、消失点を補正画像に重畳する消失点重畳回路15と、ガイド線を補正画像に重畳するガイド線重畳回路16とを備える。画像認識装置2A内の画像メモリ11、評価値メモリ12、及び不揮発性メモリ13は、図1の画像認識装置2の場合と同様に構成される。
【0033】
入力装置4は、物理的なボタンとして設けてもよいし、カーナビゲーションシステムのタッチパネルを用いてもよい。ディスプレイ5は、カーナビゲーションシステムの表示パネルを用いてもよいし、ディスプレイ付きオーディオ機器の表示パネルなどを用いてもよい。図14は、図12の入力装置4及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。図14の入力装置4は、タッチパネル上のボタン21,22,23として構成されている。ガイド線重畳回路16は、図14に示すように、消失点から放射状にガイド線230を表示することにより、レンズ歪みが正しく補正されているか否かを判定し易くする。図15は、図12の入力装置4及びディスプレイ5のもう1つの実施例を示す図である。図14の入力装置4は、スライドバー21A,22A,23Aとして構成されている。消失点位置を調整するために、ディスプレイ5に表示された画像内のポイントをタッチして直接指示するように構成してもよい。また、入力装置4は、ディスプレイ5の表示内容の確認を容易にするために、また、ユーザ入力情報の精度を高めるために、画像を拡大又は縮小してディスプレイ5に表示させる機能をさらに備えてもよい。
【0034】
コントローラ10Aは、図4又は図10の画像認識処理によりレンズ歪みパラメータ及び消失点位置の情報を決定した後、これらの情報を不揮発性メモリ13に格納する前又は後に、決定されたレンズ歪みパラメータに基づき補正画像を生成して画像合成回路14に送る。画像合成回路14は、決定された消失点位置と、この消失点位置に基づくガイド線とを補正画像に合成し、合成後の画像をディスプレイ5に表示する。ユーザは、表示された画像を見てレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を調整し、コントローラ10Aは、調整されたレンズ歪みパラメータに基づき補正画像を生成して画像合成回路14に送り、画像合成回路14は、調整された消失点位置と、この消失点位置に基づくガイド線とを補正画像に合成し、合成後の画像をディスプレイ5に表示する。以下、調整と表示を繰り返し、コントローラ10Aは、最終的に決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を不揮発性メモリ13に格納する。
【0035】
実施の形態3によれば、画像認識処理(図4又は図10)により決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置が誤っていた場合でも、ディスプレイ5を見ながら簡単な操作で誤りを訂正することが可能になる。
【0036】
実施の形態4.
図16は、本発明の実施の形態4に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4のカメラキャリブレーション装置では、画像内における車両3の左右端位置を画像認識装置2Bに入力することができる。
【0037】
画像合成回路14Aは、図12の画像合成回路14の構成に加えて、車両3の左右端の延長線を示す左右端ガイド線を補正画像に重畳する左右端ガイド線重畳回路17をさらに備える。入力装置4Aは、図14又は図15等の構成に加えて、画像内における車両3の左右端位置を入力して調整するためのキーを備える。コントローラ10Bは、図12のコントローラ10Aの動作に加えて、入力された左右端の位置の情報を処理する。
【0038】
図17は、車両3の右端及び左端に合わせて配置されたマーカー31,32を示す概略図である。例えば、図17に示すように、車両3の右端及び左端の延長線上に、車載カメラ1により撮影された画像上で確認可能な何らかのマーカー31,32を置いておく。このマーカー31,32は、車載カメラ1で確認できれば何でもよい。例えば、紙で作成してもよく、風で飛ばないようにシールで作成してもよく、周辺に転がっている石であってもよい。
【0039】
図18は、図16の入力装置4A及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。入力装置4Aは、タッチパネル上のボタン21,22,23,24,25として構成されてもよく、又は、スライドバーとして構成されてもよく、又は、ディスプレイ5に表示された画像内のポイントをタッチして直接指示するように構成してもよい。ディスプレイ5上には、車両3の右端及び左端の延長線を示すガイド線231,232が表示される。
【0040】
コントローラ10Bは、車両3の左右端位置を所定位置に設定し、この位置の情報を画像合成回路14Aに送る。画像合成回路14Aの左右端ガイド線重畳回路17は、コントローラ10Bから送られた左右端位置の情報に基づいて補正画像内の所定位置にガイド線231,232を重畳し、重畳後の画像はディスプレイ5上に表示される。ユーザは、表示された画像を見て、ガイド線231,232がマーカー31,32に一致するように左右端位置を調整し、コントローラ10Aは、調整された左右端位置の情報を画像合成回路14Aに送り、画像合成回路14Aは、調整された左右端位置の情報に基づいて重畳されるガイド線231,232の位置を調整し、調整後の画像がディスプレイ5上に表示される。以下、調整と表示を繰り返し、コントローラ10Bは、最終的に決定された左右端位置を不揮発性メモリ13に格納する。
【0041】
実施の形態4によれば、画像内における車両3の左右端位置を画像認識装置2Bに予め入力しておくことにより、レーン逸脱の判定精度を改善することができる。
【0042】
なお、本明細書では、画像認識の対象を「白線」として説明したが、これに限定せず、道路上に設けられた区間線又は道路標示であって、車両3の進行方向に実質的に平行な直線であれば、任意の線(例えば白以外の色の線)を利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたときに必要となるカメラの内部パラメータ(レンズ歪み)と外部パラメータ(消失点位置)の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができるカメラキャリブレーション装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車載カメラ、2,2A,2B 画像認識装置、3 車両、4,4A 入力装置、5 ディスプレイ、10,10A,10B コントローラ、11 画像メモリ、12 評価値メモリ、13 不揮発性メモリ、14,14A 画像合成回路、15 消失点重畳回路、16 ガイド線重畳回路、17 左右端ガイド線重畳回路、21,22,23,24,25 ボタン、21A,22A,23A スライドバー、31,32 マーカー、100 道路、101,102 白線、200 カメラ画像、201,202,211,212,221,222 白線認識結果、210 基準線、213,223 消失点、230 ガイド線、231,232 左右端ガイド線。
【技術分野】
【0001】
車載カメラの画像を入力として画像認識を行い、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたとき、カメラの内部パラメータ(レンズ歪み、他)と、外部パラメータ(消失点位置、他)と、車両の左右端を基準とするカメラ位置の情報が必要となる。本発明は、簡便に上記のパラメータ群を求めるためのカメラキャリブレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラのカメラキャリブレーション装置としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものが存在する。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、車載カメラを搭載した車両で走行中にカメラ映像に写りこんだ路面標示や車線を用いて、カメラの外部パラメータを求めるための技術である。本技術では、走行中に撮影された映像中で、既知の形状及びサイズを有する路面標示の検知結果を用いて外部パラメータを求める方法と、2本の車線を延長して交差した点(消失点)を用いて外部パラメータを求める方法が示されている。
【0004】
特許文献2に記載の技術は、車載カメラを搭載した車両を2本の平行線(駐車場の枠線など)が写る場所に停車し、そのカメラ映像を様々に平面変換し、変換された画像上で2本の線が平行になる変換パラメータを見つけることによりカメラの外部パラメータを求めるための技術である。
【0005】
特許文献3に記載の技術は、専用のカメラキャリブレーション用パターンを車両に合わせて設置して、それをカメラで撮影し、その映像中のカメラキャリブレーション用パターンの姿勢から、カメラの外部パラメータと、車両の左右端を基準とするカメラ位置とを求めるための技術である。
【0006】
また、非特許文献1に記載の技術は、専用のカメラキャリブレーション用パターンをカメラで撮影し、その映像中のカメラキャリブレーション用パターンの写り方を認識して、そのカメラの内部パラメータ及び外部パラメータを求める技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−011174号公報。
【特許文献2】特開2008−182652号公報。
【特許文献3】特開2005−016979号公報。
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Z.Zhang, "A Flexible New Technique for Camera Calibration", IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol. 22, No. 11, IEEE, pp. 1330-1334, November 2000。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1及び2は、一般の道路や駐車場の標示パターンを用いたカメラキャリブレーション方法であり、簡便ではあるが、レンズ歪みを求めることができない。特許文献3及び非特許文献1は、カメラキャリブレーションを行うために専用のカメラキャリブレーション用パターンを用いる必要があり、簡便性に欠ける。
【0010】
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたときに必要となるカメラの内部パラメータ(レンズ歪み)と外部パラメータ(消失点位置)の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができるカメラキャリブレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様に係る車載カメラのカメラキャリブレーション装置は、上記カメラキャリブレーション装置は、画像認識処理を実行するコントローラを備え、
上記コントローラは、
上記車載カメラから、車両の進行方向にそれぞれ実質的に平行な直線状の2本の区間線が設けられた道路の入力画像を取得し、
複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第1の補正画像をそれぞれ生成し、
上記各第1の補正画像において、上記各区間線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、
最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、
上記決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第2の補正画像を生成し、
上記第2の補正画像において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカメラキャリブレーション装置によれば、カメラのレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができる。レンズ歪みやカメラの設置角度が未知のカメラであっても、本発明のカメラキャリブレーション装置を備えた車両をしばらく走行させるだけで、レンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることが可能になる。これにより、未知のカメラの画像を入力として画像認識を行い、レーン逸脱警報システムを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。
【図3】図2の車載カメラ1により道路100上の直線状の白線101,102を撮影したカメラ画像200を示す概略図である。
【図4】図1のコントローラ10によって実行される画像認識処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の評価値計算処理S4の一実施例を示すサブルーチンである。
【図6】ハフ変換の投票値に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。
【図7】図4の評価値計算処理S4のもう1つの実施例を示すサブルーチンである。
【図8】消失点の間の距離に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。
【図9】図4の画像認識処理において、図1の評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る画像認識処理を示すフローチャートである。
【図11】図10の画像認識処理において、図1の評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図1である。
【図13】図12のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。
【図14】図12の入力装置4及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。
【図15】図12の入力装置4及びディスプレイ5のもう1つの実施例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図17】車両3の左右端に合わせて配置されたマーカー31,32を示す概略図である。
【図18】図16の入力装置4A及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図であり、図2は、図1の画像認識装置2を備えた車両3を示す概略図である。実施の形態1のカメラキャリブレーション装置では、画像認識装置2が、車載カメラ1で撮影された画像を入力として画像認識を行い、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータを決定するとともに、消失点位置を決定する。
【0016】
車載カメラ1は、カラー可視カメラ、グレースケールの可視カメラ、近赤外線カメラ、赤外線カメラのいずれであってもよい。また、車載カメラ1から出力される画像信号は、アナログ信号であってもデジタル信号であってもよい。図2では、車載カメラ1を車両3の後方向きに設置するように図示したが、前方向きなど他の方向に設置したカメラであってもよい。
【0017】
画像認識装置2は、車載カメラ1から入力された画像に対して後述の画像認識処理(図4を参照)を実行し、レンズ歪みパラメータ及び消失点位置を決定するコントローラ10を備え、画像認識装置2はさらに、入力された画像及び補正画像を格納する画像メモリ11と、各補正画像の評価値を格納する評価値メモリ12と、決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を格納する不揮発性メモリ13とを備える。画像認識装置2は、演算処理を行うことが可能な処理プロセッサやメモリを搭載した処理ボードである。画像認識装置2は、カーナビゲーションシステムであってもよい。
【0018】
図3は、図2の車載カメラ1により道路100上の直線状の白線101,102を撮影したカメラ画像200を示す概略図である。図3は、道路走行時に取得されるカメラ画像の例を示す。実施の形態1では、レンズ歪みパラメータ及び消失点位置を決定するために、道路上の直線状の白線を用いる。図3のカメラ画像200では、一般にリアカメラとして使用されている広角カメラの画像を図示したが、狭い角度のカメラや、より広い魚眼カメラであってもよい。
【0019】
図4は、図1のコントローラ10によって実行される画像認識処理を示すフローチャートである。ステップS1において、車載カメラ1から画像(元画像)を取得して、画像メモリ11に格納する。次いで、所定量のレンズ歪みが存在していると仮定して、仮定したレンズ歪みを除去するように画像の補正を行う。レンズ歪みをモデル化するさまざまな近似式が提案されているが、例えば、一般の広角カメラであれば、レンズ歪みは次式で表される。
【0020】
[数1]
X=(x−x0)×(1+k1×r2+k2×r4)+x0
[数2]
Y=(y−y0)×(1+k1×r2+k2×r4)+y0
[数3]
r2=(x−x0)2+(y−y0)2
【0021】
ここで、(x,y)はレンズ通過前の画像座標(すなわち歪み補正後の画像座標)であり、(X,Y)は、レンズ通過後の画像座標(すなわち歪み補正前の画像座標)であり、(x0,y0)は画像中心であり、k1,k2はレンズ歪み係数である。パラメータk1、k2、(x0,y0)を適当な範囲で組み合わせた所定量のレンズ歪みを仮定し、上記近似式に従って、レンズ歪みを除去した補正画像を生成する。対象となるカメラが、一般的にリアカメラに使用される画角140度前後の広角カメラであり、カメラキャリブレーションの目的がレーン逸脱警報システムの構築であれば、厳密なレンズ歪みの除去は必要ないので、(x0,y0)を画像の中央に設定し、レンズ歪み係数k2=0とし、レンズ歪み係数k1のみを、例えば−0.4〜−0.1程度まで0.01ずつ変化させれば十分である。以下では、レンズ歪み係数k1のみを変化させる処理について説明するが、レンズ歪み係数k1,k2の両方を用いた処理や、数1〜数3とは異なる近似式に基づく処理についても本発明の原理が適用可能であることは理解されるであろう。
【0022】
ステップS2において、レンズ歪み係数k1を例えば最小値に初期化する。ステップS3において、レンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS4において、補正画像中の直線状の白線を認識し、白線認識結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を決定する評価値計算処理を実行する。白線認識処理には様々な手法が提案されているが、例えば、入力画像の各画素について、水平方向に隣り合う画素との差が大きい画素を、白線のエッジである可能性が高い特徴点として抽出し、抽出された特徴点に対してハフ変換を適用して直線検出を行うという手法を用いることができる。ハフ変換は、画像処理の分野で広く用いられている直線検出手法であり、画像中の特徴点が与えられたとき、その特徴点を含む図形についての仮説を生成し、多くの特徴点から支持される仮説を正しいものと考えて図形の検出を行う手法である。仮説の生成は、仮説集合を表すパラメータ空間へ投票することによって実現され、各仮説に対して蓄積された投票度数(投票値)を調べることによって図形の検出が行われる。このとき、補正画像を生成する際に用いたレンズ歪み計数k1が真の値に近ければ、補正画像上で白線は真っ直ぐに近くなっているはずであり、従って、白線認識においてはっきりした直線が求まることになる。また、直線検出に用いる特徴点は、水平方向に数画素離れた2点に対して、所定のしきい値以上輝度が高い点を用いてもよい。
【0023】
図5は、図4の評価値計算処理S4の一実施例を示すサブルーチンであり、ここでは、ハフ変換の投票値に基づいて評価値を計算している。図6は、ハフ変換の投票値に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。評価値、すなわち補正の妥当性を表す指標としては、補正画像内の右側エリアの白線と左側エリアの白線に対してハフ変換による直線検出をそれぞれ実行し、ハフ変換の投票値の最高値(すなわち、直線候補として検出された直線の投票値)の合計を用いることができる。ステップS21において、補正画像内の右側の白線に対してハフ変換を実行して右側の白線に対する直線候補の投票値を取得し、ステップS22において、右側の白線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定する。また、ステップS23において、補正画像内の左側の白線に対してハフ変換を実行して左側の白線に対する直線候補の投票値を取得し、ステップS24において、左側の白線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定する。ステップS25において、決定された2つの投票値の合計を評価値とする。妥当なレンズ歪み係数k1を設定したときに白線が直線状に補正されるので、補正画像内の白線と白線認識結果201,202(すなわち、検出された直線)との一致度が高くなり、評価値も高くなる。従って、評価値が高いレンズ歪み係数k1を決定することにより、正しいレンズ歪み係数k1を求めることができる。
【0024】
図7は、図4の評価値計算処理S4のもう1つの実施例を示すサブルーチンであり、ここでは、消失点の間の距離に基づいて評価値を計算している。図8は、消失点の間の距離に基づく評価値の計算を説明するための概略図である。評価値として、ハフ変換の投票値に基づくものに代えて、補正画像内の所定の基準線210に対して上側エリアと下側エリアとで別々に白線認識を実行し、2つの白線認識結果からそれぞれ決まる2つの消失点位置の間の距離を用いることもできる。ステップS31において、補正画像の上側に対して白線認識を実行する。ここでは、例えば、図5の処理と同様にハフ変換を実行し、補正画像内の上右側エリアの白線と下左側エリアの白線に対してハフ変換による直線検出をそれぞれ実行し、最高の投票値を有する直線を白線認識結果211,212とする。ステップS32において、補正画像の上側の白線認識結果211,212に基づいて第1の消失点位置213を決定する。ステップS33において、補正画像の下側に対して白線認識を実行する。ステップS34において、補正画像の下側の白線認識結果221,222に基づいて第2の消失点位置223を決定する。ステップS35において、第1の消失点位置213及び第2の消失点位置223の間の距離を評価値とする。妥当なレンズ歪み係数k1を設定したときに白線が直線状に補正されるので、補正画像の上側の白線認識結果211,212と下側の白線認識結果221,222との一致度が高くなる(すなわち、評価値が小さくなる)とともに、補正画像内の白線とこれらの白線認識結果との一致度も高くなる。従って、評価値が小さいレンズ歪み係数k1を決定することにより、正しいレンズ歪み係数k1を求めることができる。
【0025】
ステップS5において、計算された評価値を評価値メモリ12に格納する。ステップS6において、レンズ歪み係数k1が最大値に達したか否か(又は、レンズ歪み係数k1を範囲内のすべての値に変化させてステップS3〜S6を実行したか否か)を判断し、達していないうちは、ステップS7において、レンズ歪み係数k1を予め決められた量(例えば0.01)だけインクリメントし、次いでステップS3〜S6を繰り返す。これらのステップを繰り返すことにより、異なるレンズ歪み係数k1ごとに補正画像を生成し、補正画像ごと(すなわちレンズ歪み係数k1ごと)にそれぞれ、補正の妥当性を評価するための評価値を決定することができる。図9に、決定された評価値を含む、評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す。ステップS6においてレンズ歪み係数k1が最大値に達したときには、ステップS8において、評価値メモリ12に格納された評価値を比較し、最良の評価値に対応するレンズ歪み係数k1を決定する。
【0026】
ステップS9において、ステップS8で決定されたレンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS10において、ステップS9の補正画像に対して白線認識を実行し、白線認識により得られた2つの白線の交点を消失点位置として決定する。ステップS11において、ステップS8で決定されたレンズ歪み係数k1と、ステップS10で決定された消失点位置とを、不揮発性メモリ13に格納する。以上の手順で、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることができる。
【0027】
実施の形態1によれば、カメラのレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができる。さらに、実施の形態1によれば、未知のカメラについて、白線認識を行う上で十分な精度でレンズ歪みパラメータと消失点位置の情報を決定することができる。これらの情報を用いることにより白線認識時の探索領域を大幅に限定できるので、高速かつ高精度に白線認識を実行することができる。
【0028】
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2に係る画像認識処理を示すフローチャートである。実施の形態1では1つの元画像に基づいてレンズ歪みパラメータと消失点位置を決定したが、実施の形態2では、所定時間間隔で連続した複数個の画像(時系列画像)を入力として使用する。実施の形態2では、連続する複数個の画像を同じレンズ歪みパラメータによりそれぞれ補正したときの補正の安定度を評価してレンズ歪みパラメータを決定し、これにより、実施の形態1よりも高精度にレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を求めることが可能になる。評価する安定度の指標としては、複数の画像を同じレンズ歪みパラメータによりそれぞれ補正したときの評価値の和を用いることができる。
【0029】
ステップS41において、車載カメラ1から画像を取得して、画像メモリ11に格納する。ステップS42において、時系列画像の番号を示すパラメータnを1に初期化する。ステップS43において、レンズ歪み係数k1を例えば最小値に初期化する。ステップS44において、レンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS45において、図4のステップS4と同様の評価値計算処理を実行する。評価値計算処理としては、例えば、図5又は図7を参照して説明した処理を行うことができる。ステップS46において、計算された評価値を評価値メモリ12に格納する。図11は、決定された評価値を含む、評価値メモリ12内の評価値テーブルを示す。パラメータn及びk1に応じて、評価値テーブル上の対応する箇所に評価値を格納する。ステップS47において、レンズ歪み係数k1は最大値に達したか否か(又は、レンズ歪み係数k1を範囲内のすべての値に変化させてステップS44〜S47を実行したか否か)を判断し、達していないうちは、ステップS48において、レンズ歪み係数k1を予め決められた量だけインクリメントし、次いでステップS44〜S47を繰り返す。ステップS47においてレンズ歪み係数k1が最大値に達したときには、ステップS49において、時系列画像の番号を示すパラメータnが予め決められた最大値Nに達したか否かを判断する。ステップS47においてパラメータnが最大値Nに達していないうちは、ステップS50においてパラメータnを1だけインクリメントし、次いでステップS41において、車載カメラ1から新たな画像を取得して、画像メモリ11に上書きし、ステップS42〜S49を繰り返す。ステップS47においてパラメータnが最大値Nに達したときには、ステップS51において、レンズ歪み係数k1の異なる値毎に、評価値メモリ12に格納されたN個の評価値の総和を計算する。車載カメラ1に映り込む事物によっては一定割合で白線認識の誤りが発生する可能性があるので、ステップS51で総和を計算するときに、レンズ歪み係数k1の異なる値毎に、下位の所定割合の順位を有する評価値を除去してもよい。ステップS52において、評価値の総和を比較し、最良の評価値に対応するレンズ歪み係数k1を決定する。ステップS53において、ステップS52で決定されたレンズ歪み係数k1に基づき補正画像を生成する。ステップS54において、ステップS53の補正画像に対して白線認識を実行し、白線認識により得られた2つの白線の交点を消失点位置として決定する。ステップS55において、ステップS52で決定されたレンズ歪み係数k1と、ステップS54で決定された消失点位置とを、不揮発性メモリ13に格納する。以上の手順で、車載カメラ1のレンズ歪みパラメータと消失点位置を求めることができる。
【0030】
実施の形態2によれば、時系列画像を入力として用いたことにより、実施の形態1よりも高精度にレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を求めることが可能になる。
【0031】
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図1であり、図13は、図12のカメラキャリブレーション装置を備えた車両3を示す概略図である。実施の形態3のカメラキャリブレーション装置は、決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置をディスプレイ5に表示し、ユーザが入力装置4を介してレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を確認してさらに調整できることを特徴とする。
【0032】
図12を参照すると、画像認識装置2Aは、図1の画像認識装置2のコントローラ10に代えて、ユーザ入力情報を受け取るための入力装置4にさらに接続されたコントローラ10Aを備える。入力装置4は、レンズ歪みの大小と、消失点の左右位置及び上下位置とを調整するために使用される。画像認識装置2Aは、コントローラ10Aで生成された補正画像(すなわち、図4のステップS9又は図10のステップS53で生成された補正画像)に所定の情報を重畳してディスプレイ5に出力する画像合成回路14をさらに備える。画像合成回路14は、消失点を補正画像に重畳する消失点重畳回路15と、ガイド線を補正画像に重畳するガイド線重畳回路16とを備える。画像認識装置2A内の画像メモリ11、評価値メモリ12、及び不揮発性メモリ13は、図1の画像認識装置2の場合と同様に構成される。
【0033】
入力装置4は、物理的なボタンとして設けてもよいし、カーナビゲーションシステムのタッチパネルを用いてもよい。ディスプレイ5は、カーナビゲーションシステムの表示パネルを用いてもよいし、ディスプレイ付きオーディオ機器の表示パネルなどを用いてもよい。図14は、図12の入力装置4及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。図14の入力装置4は、タッチパネル上のボタン21,22,23として構成されている。ガイド線重畳回路16は、図14に示すように、消失点から放射状にガイド線230を表示することにより、レンズ歪みが正しく補正されているか否かを判定し易くする。図15は、図12の入力装置4及びディスプレイ5のもう1つの実施例を示す図である。図14の入力装置4は、スライドバー21A,22A,23Aとして構成されている。消失点位置を調整するために、ディスプレイ5に表示された画像内のポイントをタッチして直接指示するように構成してもよい。また、入力装置4は、ディスプレイ5の表示内容の確認を容易にするために、また、ユーザ入力情報の精度を高めるために、画像を拡大又は縮小してディスプレイ5に表示させる機能をさらに備えてもよい。
【0034】
コントローラ10Aは、図4又は図10の画像認識処理によりレンズ歪みパラメータ及び消失点位置の情報を決定した後、これらの情報を不揮発性メモリ13に格納する前又は後に、決定されたレンズ歪みパラメータに基づき補正画像を生成して画像合成回路14に送る。画像合成回路14は、決定された消失点位置と、この消失点位置に基づくガイド線とを補正画像に合成し、合成後の画像をディスプレイ5に表示する。ユーザは、表示された画像を見てレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を調整し、コントローラ10Aは、調整されたレンズ歪みパラメータに基づき補正画像を生成して画像合成回路14に送り、画像合成回路14は、調整された消失点位置と、この消失点位置に基づくガイド線とを補正画像に合成し、合成後の画像をディスプレイ5に表示する。以下、調整と表示を繰り返し、コントローラ10Aは、最終的に決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を不揮発性メモリ13に格納する。
【0035】
実施の形態3によれば、画像認識処理(図4又は図10)により決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置が誤っていた場合でも、ディスプレイ5を見ながら簡単な操作で誤りを訂正することが可能になる。
【0036】
実施の形態4.
図16は、本発明の実施の形態4に係るカメラキャリブレーション装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4のカメラキャリブレーション装置では、画像内における車両3の左右端位置を画像認識装置2Bに入力することができる。
【0037】
画像合成回路14Aは、図12の画像合成回路14の構成に加えて、車両3の左右端の延長線を示す左右端ガイド線を補正画像に重畳する左右端ガイド線重畳回路17をさらに備える。入力装置4Aは、図14又は図15等の構成に加えて、画像内における車両3の左右端位置を入力して調整するためのキーを備える。コントローラ10Bは、図12のコントローラ10Aの動作に加えて、入力された左右端の位置の情報を処理する。
【0038】
図17は、車両3の右端及び左端に合わせて配置されたマーカー31,32を示す概略図である。例えば、図17に示すように、車両3の右端及び左端の延長線上に、車載カメラ1により撮影された画像上で確認可能な何らかのマーカー31,32を置いておく。このマーカー31,32は、車載カメラ1で確認できれば何でもよい。例えば、紙で作成してもよく、風で飛ばないようにシールで作成してもよく、周辺に転がっている石であってもよい。
【0039】
図18は、図16の入力装置4A及びディスプレイ5の一実施例を示す図である。入力装置4Aは、タッチパネル上のボタン21,22,23,24,25として構成されてもよく、又は、スライドバーとして構成されてもよく、又は、ディスプレイ5に表示された画像内のポイントをタッチして直接指示するように構成してもよい。ディスプレイ5上には、車両3の右端及び左端の延長線を示すガイド線231,232が表示される。
【0040】
コントローラ10Bは、車両3の左右端位置を所定位置に設定し、この位置の情報を画像合成回路14Aに送る。画像合成回路14Aの左右端ガイド線重畳回路17は、コントローラ10Bから送られた左右端位置の情報に基づいて補正画像内の所定位置にガイド線231,232を重畳し、重畳後の画像はディスプレイ5上に表示される。ユーザは、表示された画像を見て、ガイド線231,232がマーカー31,32に一致するように左右端位置を調整し、コントローラ10Aは、調整された左右端位置の情報を画像合成回路14Aに送り、画像合成回路14Aは、調整された左右端位置の情報に基づいて重畳されるガイド線231,232の位置を調整し、調整後の画像がディスプレイ5上に表示される。以下、調整と表示を繰り返し、コントローラ10Bは、最終的に決定された左右端位置を不揮発性メモリ13に格納する。
【0041】
実施の形態4によれば、画像内における車両3の左右端位置を画像認識装置2Bに予め入力しておくことにより、レーン逸脱の判定精度を改善することができる。
【0042】
なお、本明細書では、画像認識の対象を「白線」として説明したが、これに限定せず、道路上に設けられた区間線又は道路標示であって、車両3の進行方向に実質的に平行な直線であれば、任意の線(例えば白以外の色の線)を利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、レーン逸脱警報システムを構築しようとしたときに必要となるカメラの内部パラメータ(レンズ歪み)と外部パラメータ(消失点位置)の情報を、専用のカメラキャリブレーション用パターンなどを用いずに簡便に求めることができるカメラキャリブレーション装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車載カメラ、2,2A,2B 画像認識装置、3 車両、4,4A 入力装置、5 ディスプレイ、10,10A,10B コントローラ、11 画像メモリ、12 評価値メモリ、13 不揮発性メモリ、14,14A 画像合成回路、15 消失点重畳回路、16 ガイド線重畳回路、17 左右端ガイド線重畳回路、21,22,23,24,25 ボタン、21A,22A,23A スライドバー、31,32 マーカー、100 道路、101,102 白線、200 カメラ画像、201,202,211,212,221,222 白線認識結果、210 基準線、213,223 消失点、230 ガイド線、231,232 左右端ガイド線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像認識処理を実行するコントローラを備えた、車載カメラのカメラキャリブレーション装置であって、
上記コントローラは、
上記車載カメラから、車両の進行方向にそれぞれ実質的に平行な直線状の2本の区間線が設けられた道路の入力画像を取得し、
複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像をそれぞれ補正して複数の第1の補正画像を生成し、
上記各第1の補正画像において、上記各区間線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、
最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、
上記決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第2の補正画像を生成し、
上記第2の補正画像において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定することを特徴とする車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記車載カメラから複数の入力画像を取得し、
上記各入力画像に対して上記第1の補正画像の生成及び上記評価値の計算を実行し、
上記レンズ歪みパラメータの決定において、異なるレンズ歪みパラメータ毎に、上記各入力画像に対応する評価値の総和を計算し、最良の評価値の総和に対応するレンズ歪みパラメータを決定することを特徴とする請求項1記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項3】
上記評価値の計算は、
上記第1の補正画像内の右側の区画線に対してハフ変換を実行して、上記右側の区画線に対する直線候補の投票値を取得することと、
上記右側の区画線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定することと、
上記第1の補正画像内の左側の区画線に対してハフ変換を実行して、上記左側の区画線に対する直線候補の投票値を取得することと、
上記左側の区画線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定することと、
上記決定された2つの最高の投票値の合計を評価値とすることとを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項4】
上記評価値の計算は、
上記第1の補正画像の上側において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を第1の消失点位置として決定することと、
上記第1の補正画像の下側において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を第2の消失点位置として決定することと、
上記第1及び第2の消失点位置の間の距離を評価値とすることとを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項5】
上記車載カメラのカメラキャリブレーション装置は、
ユーザ入力情報を取得する入力手段と、
上記第2の補正画像及び上記消失点位置を表示する表示手段とをさらに備え、
上記コントローラは、上記ユーザ入力情報に応じて上記決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項6】
上記コントローラは、車両の左右端位置の情報を上記入力手段から取得し、
上記表示手段は、車両の左右端の延長線を示す左右端ガイド線をさらに表示することを特徴とする請求項5記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項1】
画像認識処理を実行するコントローラを備えた、車載カメラのカメラキャリブレーション装置であって、
上記コントローラは、
上記車載カメラから、車両の進行方向にそれぞれ実質的に平行な直線状の2本の区間線が設けられた道路の入力画像を取得し、
複数の異なるレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像をそれぞれ補正して複数の第1の補正画像を生成し、
上記各第1の補正画像において、上記各区間線に対応する直線を検出し、直線検出結果に基づいて、補正の妥当性を評価するための評価値を計算し、
最良の評価値に対応するレンズ歪みパラメータを決定し、
上記決定されたレンズ歪みパラメータに基づいて上記入力画像を補正して第2の補正画像を生成し、
上記第2の補正画像において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を消失点位置として決定することを特徴とする車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記車載カメラから複数の入力画像を取得し、
上記各入力画像に対して上記第1の補正画像の生成及び上記評価値の計算を実行し、
上記レンズ歪みパラメータの決定において、異なるレンズ歪みパラメータ毎に、上記各入力画像に対応する評価値の総和を計算し、最良の評価値の総和に対応するレンズ歪みパラメータを決定することを特徴とする請求項1記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項3】
上記評価値の計算は、
上記第1の補正画像内の右側の区画線に対してハフ変換を実行して、上記右側の区画線に対する直線候補の投票値を取得することと、
上記右側の区画線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定することと、
上記第1の補正画像内の左側の区画線に対してハフ変換を実行して、上記左側の区画線に対する直線候補の投票値を取得することと、
上記左側の区画線に対する直線候補の投票値のうちで最高の投票値を決定することと、
上記決定された2つの最高の投票値の合計を評価値とすることとを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項4】
上記評価値の計算は、
上記第1の補正画像の上側において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を第1の消失点位置として決定することと、
上記第1の補正画像の下側において、上記各区間線に対応する2本の直線を検出し、検出された2本の直線の交点を第2の消失点位置として決定することと、
上記第1及び第2の消失点位置の間の距離を評価値とすることとを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項5】
上記車載カメラのカメラキャリブレーション装置は、
ユーザ入力情報を取得する入力手段と、
上記第2の補正画像及び上記消失点位置を表示する表示手段とをさらに備え、
上記コントローラは、上記ユーザ入力情報に応じて上記決定されたレンズ歪みパラメータ及び消失点位置を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【請求項6】
上記コントローラは、車両の左右端位置の情報を上記入力手段から取得し、
上記表示手段は、車両の左右端の延長線を示す左右端ガイド線をさらに表示することを特徴とする請求項5記載の車載カメラのカメラキャリブレーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−185753(P2011−185753A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51492(P2010−51492)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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