説明

車載情報端末

【課題】登録地データを移し替えたときにユーザが登録しなくても、ユーザの嗜好に適合する施設を登録地とすることができる車載情報端末を提供する。
【解決手段】メモリカードに記録された登録地データに基づいて、所定数以上登録されている同じ種類の施設を同種登録施設として選択し(ステップS30)、その同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データを地図データから抽出する(ステップS60)。こうして抽出された施設データを登録地データに追加し(ステップS70)、その登録地データをフラッシュメモリに書き込む(ステップS80)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに登録された登録情報を他の端末に移し替えることができる車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが自宅など特定の地点を登録地として予め登録しておき、その登録地から選択した地点を目的地に設定することにより、使用頻度の高い目的地について素早く設定できるようにしたナビゲーション装置が広く知られている。このようなナビゲーション装置において、メモリカードのような不揮発性の記憶媒体を用いて、登録地のデータを他のナビゲーション装置に移し替えることができるものが知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−83527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置では、古いナビゲーション装置から新しいナビゲーション装置に交換した際、古いナビゲーション装置において登録された登録地データをそのまま新しいナビゲーション装置へ移し替えることができる。しかしながら、たとえば地図データが新しいナビゲーション装置においてバージョンアップされることにより、ユーザの嗜好に適合する施設が新たに追加されたとしても、ユーザが登録しなければその施設を登録地とすることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、予め登録された各登録地に関する登録地データを、接続された中継手段を介して入力する車載情報端末において、予め記録された各種の施設に関する施設データを読み込む施設データ読み込み手段と、入力された登録地データに基づいて抽出条件を設定する条件設定手段と、条件設定手段により設定された抽出条件に応じて、施設データ読み込み手段により読み込まれた施設データからいずれかの施設に関する施設データを抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された施設データを登録地データに追加する追加手段と、追加手段により施設データが追加された登録地データを記憶する記憶手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載情報端末において、条件設定手段は、入力された登録地データに所定数以上登録されている同じ種類の施設を同種登録施設としてそれぞれ選択することにより抽出条件を設定し、抽出手段は、条件設定手段により設定された抽出条件に応じて、その同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データを読み込まれた施設データから抽出するものである。
請求項3の発明は、請求項2の車載情報端末において、同種登録施設の各々の位置に基づいて抽出エリアを設定するエリア設定手段をさらに備え、抽出手段は、エリア設定手段により設定された抽出エリアの中で、同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データを読み込まれた施設データから抽出するものである。
請求項4の発明は、請求項3の車載情報端末において、エリア設定手段は、同種登録施設の各々の位置によって囲まれた領域を抽出エリアに設定するものである。
請求項5の発明は、請求項3の車載情報端末において、エリア設定手段は、同種登録施設のうち、予め登録された自宅から所定距離以上離れた位置にある同種登録施設の各々の位置の周囲に、抽出エリアを設定するものである。
請求項6の発明は、請求項3の車載情報端末において、エリア設定手段は、同種登録施設の各々の位置に沿って延びる道路の周囲に、抽出エリアを設定するものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6いずれか一項の車載情報端末において、記憶手段により記憶された登録地データに基づいて登録地をリスト表示する表示手段をさらに備え、表示手段は、追加手段により追加された施設データによる登録地を、他の登録地とは異なる表示形態でリスト表示するものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7いずれか一項の車載情報端末において、施設データには、現バージョンより追加された施設に対してはそのことを示すフラグ情報が予め付与されており、抽出手段は、施設データ読み込み手段により読み込まれた施設データのうち、フラグ情報が付与された施設に関する施設データを抽出するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、登録地データを移し替えたときにユーザが登録しなくても、ユーザの嗜好に適合する施設を登録地とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。ナビゲーション装置1とナビゲーション装置2は、同じ構成を有しており、不揮発性の可般型記憶媒体であるメモリカード3を挿し換えて交換することにより、メモリカード3を介して登録地データを移し替えることができる。以下ではナビゲーション装置1の構成について説明し、ナビゲーション装置2は同じ構成であるため説明を省略する。
【0008】
ナビゲーション装置1は、メモリカードスロット10、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、フラッシュメモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を有している。メモリカードスロット10には、メモリカード3が装填される。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において、DVD−ROM19に記録された地図データに基づいて、設定された目的地までの推奨経路の探索処理など、様々な処理が行われる。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0011】
フラッシュメモリ15は、ナビゲーション装置1の電源が切断されてもその記憶内容を保持できる不揮発性のメモリである。フラッシュメモリ15には、ユーザによって登録された登録地データが記憶される。ユーザは、特定の地点を地図上で指定し、その地点を登録地として予め登録しておくことができる。各登録地の名称は、地図データに基づいて自動的に対応する地名や施設名などが付与されるが、たとえば「自宅」などのように、ユーザが任意の名称を付与することもできる。
【0012】
フラッシュメモリ15により記憶された登録地データは、ユーザの操作によって目的地の設定時に呼び出し、いずれかの登録地を目的地として選択することができる。なお、後述するようにDVD−ROM19の代わりにハードディスクから地図データを読み出す場合には、フラッシュメモリ15を使用せず、そのハードディスクに登録地データを記録することとしてもよい。
【0013】
表示モニタ16は、DVD−ROM19に記録されている地図データ等に基づいて制御回路11により作成される画像データを用いて、地図画像などの様々な画像を表示する。入力装置17は、登録地の設定や推奨経路を探索するための目的地設定など、様々な操作入力をユーザが行うための各種の入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を適宜操作することで、各種処理をナビゲーション装置1に実行させることができる。
【0014】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より地図データを読み出す。地図データには、目的地までのルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データなどが含まれている。また、各種施設や河川、鉄道など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。さらに、各種施設の位置や名称、電話番号、施設の種類などを表す施設データも地図データに含まれている。
【0015】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【0016】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図上に表示された推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0017】
図2は、フラッシュメモリ15に記憶されている移し替え前の登録地データの例である。ここでは、「自宅」、「Tドーム」、「Aラーメン」、「Bラーメン」、「Cラーメン」および「Dラーメン」の合計6ヶ所の登録地データが記録されている例を示している。図2に示すように、登録地データには各登録地の名称と、各登録地の地図上の位置を表す座標値と、各登録地の種別を表すグループ番号(Gr)およびジャンル番号が記録されている。グループ番号は、たとえば娯楽施設、飲食店など各登録地の属するグループ(大分類)を表している。ジャンル番号は、たとえば飲食店についてのラーメン店、ファミリーレストランなど、各登録地のグループ内におけるジャンル(小分類)を表している。上記の各登録地のうち、「Aラーメン」、「Bラーメン」、「Cラーメン」および「Dラーメン」については、いずれもラーメン店であるため、グループ番号とジャンル番号が共通している。なお、登録地が何らかの施設に該当する場合は、地図データに含まれる施設データに基づいて、その登録地データの内容を自動的に決定することができる。
【0018】
登録地から目的地を設定する際には、最初に登録地の一覧が表示され、その一覧からいずれかの登録地がユーザに選択されると、その登録地の位置が表示される。その後、選択された目的地を登録地に設定するか否かがユーザによって選択される。
【0019】
メモリカード3がメモリカードスロット10に装填されると、ナビゲーション装置1とメモリカード3が接続される。この状態で、入力装置17を用いて所定のメニュー操作がユーザにより行われると、図2の登録地データがメモリカード3に記録される。こうしてナビゲーション装置1からナビゲーション装置2へ登録地データを移し替えるために、フラッシュメモリ15の登録地データをメモリカード3に記録することを「エクスポート」という。
【0020】
登録地データがメモリカード3に記録された後、ユーザがそのメモリカード3をナビゲーション装置1からナビゲーション装置2へ挿し換えると、エクスポートされた図2の登録地データがナビゲーション装置2に取り込まれる。こうしてエクスポートされた登録地データをメモリカード3から読み出してナビゲーション装置2に取り込むことを「インポート」という。インポートされた登録地データは、ナビゲーション装置2のフラッシュメモリ25によって記憶される。このようにして、ナビゲーション装置1からナビゲーション装置2への登録地データの移し替えが行われる。
【0021】
ナビゲーション装置2において登録地データをインポートする際には、エクスポートされた登録地データの内容に基づいて、ユーザの嗜好を反映した新たな登録地が自動的に追加される。すなわち、エクスポートされた登録地データにおいて、同じ種類の施設が登録地として所定数以上登録されている場合は、その登録地(以下、同種登録施設という)と同じ種類の施設に関する施設データが、DVD−ROM29に記録された地図データ内の施設データから抽出される。こうして抽出された施設データがインポートする際に登録地データに加えられることにより、新たな登録地が追加される。
【0022】
図3は、ナビゲーション装置1からナビゲーション装置2へ移し替えた後の登録地データの内容を示している。この登録地データには、図2に示した移し替え前の登録地データにおける各登録地に、さらに「Xラーメン」および「Yラーメン」を加えた合計8ヶ所の登録地が記録されている。新たに登録地として追加された「Xラーメン」および「Yラーメン」は、上記の同種登録施設に該当する「Aラーメン」、「Bラーメン」、「Cラーメン」および「Dラーメン」の各登録地と同じ種類の施設、すなわちラーメン店である。このような内容の登録地データがフラッシュメモリ25に記録される。
【0023】
図4は、図3の登録地データが記録されたナビゲーション装置2において、その登録地データにおける各登録地の中から目的地を選択する際に表示される画面例を示している。ここでは、ラーメン店である登録地をリスト表示し、その中からユーザに目的地を選択させるようにしている。この画面において、上記で説明したようにユーザの嗜好を反映して新たに追加された登録地である「Xラーメン」と「Yラーメン」については、符合31および32に示すような表示マークを用いて、他の登録地とは異なる表示形態でリスト表示される。これにより、ユーザが他の登録地と区別できるようにしている。なお、これ以外の表示方法を用いることにより、追加された登録地と他の登録地をそれぞれ区別可能に表示してもよい。たとえば、各登録地をリスト表示するとき、その文字や表示枠に対して色や模様などの表示形態を変えることにより、両者を区別できるようにしてもよい。あるいは、両者を別メニューから呼び出すようにすることで区別可能としてもよい。
【0024】
ここで、ナビゲーション装置2において登録地データをインポートする際に、新たに追加する登録地を施設データから抽出するときの抽出エリアについて説明する。前述のように、エクスポートされた登録地データにおいて同種登録施設に該当する登録地があれば、その同種登録施設と同じ種類の施設について、DVD−ROM29に記録された地図データから施設データが抽出される。このとき、以下に説明する図5、6または7に示すような抽出エリアのいずれかが同種登録施設の各々の位置に基づいて設定され、その抽出エリアの中で同種登録施設と同じ種類の施設についての施設データが抽出される。
【0025】
図5に示す抽出エリアは、同種登録施設の各々の位置によって囲まれた領域として設定される。すなわち、同種登録施設である「Aラーメン」、「Bラーメン」、「Cラーメン」および「Dラーメン」が図5に示すような位置関係にあったとすると、その同種登録施設の各々の位置を頂点とする領域40が抽出エリアとして地図上に設定される。この抽出エリア40の中で、同種登録施設と同じ種類の施設、すなわちラーメン店に該当する「Xラーメン」および「Yラーメン」に関する施設データが抽出される。このようにすることで、ユーザがよく利用する地域の施設を登録地に追加することができる。
【0026】
図6に示す抽出エリアは、自宅から離れて位置する同種登録施設の周囲に設定される。すなわち、同種登録施設のうち「Aラーメン」と「Bラーメン」は自宅を中心とする領域41内に位置し、「Cラーメン」と「Dラーメン」は自宅から所定距離以上離れた位置にあることにより、図6に示すような位置関係にあったとする。この場合、「Cラーメン」および「Dラーメン」の周囲に抽出エリア42が設定される。たとえば、「Cラーメン」と「Dラーメン」の中間点を中心に所定距離の半径を有する円形領域が、抽出エリア42として地図上に設定される。こうして設定された抽出エリア42の中で、同種登録施設と同じ種類の施設、すなわちラーメン店に該当する「Xラーメン」および「Yラーメン」に関する施設データが抽出される。このようにすることで、ユーザの生活エリアから離れた地域にある施設、たとえばよく行く旅行先の施設などを登録地に追加することができる。なお、ここでは自宅を中心に領域41を設定したが、他の地点、たとえば「Aラーメン」と「Bラーメン」の中間点を中心に領域41を設定してもよい。
【0027】
図7に示す抽出エリアは、同種登録施設が並んでいる道路の周囲に設定される。すなわち、同種登録施設である「Aラーメン」、「Bラーメン」、「Cラーメン」および「Dラーメン」の各々の位置に沿って道路43が延びており、それぞれが図7に示すような位置関係にあったとすると、その道路43から所定範囲内の地域が抽出エリアとして地図上に設定される。この抽出エリアの中で、同種登録施設と同じ種類の施設、すなわちラーメン店に該当する「Xラーメン」および「Yラーメン」に関する施設データが抽出される。このようにすることで、既に登録されている同種登録施設と同じ道路に沿って位置する施設を登録地に追加することができる。
【0028】
登録地データをインポートする際には、以上説明したような図5〜7の抽出エリアのいずれかがナビゲーション装置2において設定される。このとき設定する抽出エリアの種類は、状況に応じて変えることができる。たとえば、同種登録施設がいずれも所定の距離範囲内に存在する場合は図5のような抽出エリアを設定し、いずれかが所定の距離内に存在しない場合は、図6または図7のような抽出エリアを設定する。このとき、同種登録施設が自宅付近に位置するものとそうでないものに分けられる場合は図6のような抽出エリアを設定し、同じ道路に沿って並んでいる場合は図7のような抽出エリアを設定する。このようにすれば、状況に応じて最適な抽出エリアを設定することができる。なお、いずれの場合にも該当しなければ、任意の範囲、たとえば自宅周辺の所定距離内の範囲を抽出エリアに設定してもよいし、あるいは、ユーザに抽出エリアの設定方法を選択させることとしてもよい。
【0029】
以上説明したようにして、ナビゲーション装置2において、ユーザの嗜好を反映した新たな登録地を追加して登録地データがインポートされる。このとき実行されるフローチャートを図8に示す。このフローチャートは、ナビゲーション装置1からエクスポートされた登録地データを記録されたメモリカード3がメモリカードスロット20に装填されているときに、制御回路21によって実行される。
【0030】
ステップS10では、ナビゲーション装置1からエクスポートされ、メモリカード3に記録された登録地データをメモリカード3から読み出す。これにより、登録地データがナビゲーション装置2に入力される。次のステップS20では、ステップS10で読み出した登録地データにおいて、同じ種類の施設、すなわち前述のグループ番号とジャンル番号が等しい施設が登録地として所定数以上登録されているか否かを判定する。登録されていると判定した場合はステップS30へ進み、登録されていないと判定した場合はステップS80へ進む。
【0031】
ステップS30では、ステップS20において所定数以上登録されていると判定された同じ種類の施設に該当する登録地を、前述の同種登録施設としてそれぞれ選択する。次のステップS40では、ステップS30で選択した同種登録施設の各々に共通のグループ番号とジャンル番号によって特定される施設種別により、新たに登録地を追加するときの対象施設種別を決定する。こうして対象施設種別を決定することにより、後で説明するステップS60において施設データを抽出するときの抽出条件が設定される。
【0032】
ステップS50では、ステップS30において選択された同種登録施設の各々の位置に基づいて、抽出エリアを地図上に設定する。この抽出エリアは、図5〜7を用いて説明したいずれかの方法を用いて設定される。ステップS60では、新たな登録地として追加登録する施設の施設データを、DVD−ROM29に記録された地図データから抽出する。このとき、ステップS50において設定された抽出エリアの中で、ステップS40において決定された対象施設種別と同じ種類の施設について、施設データを抽出する。これにより、ステップS30で選択された同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データが抽出される。
【0033】
ステップS70では、ステップS60において抽出された施設データをステップS10で読み出された登録地データに追加する。これにより、新たな登録地が追加される。ステップS80では、その登録地データをフラッシュメモリ25に書き込む。こうして書き込まれた登録地データがフラッシュメモリ25によって記憶される。なお、ステップS20において同じ種類の施設が所定数以上登録されていないと判定された場合、すなわち同種登録施設がない場合は、ステップS10で読み出された登録地データがそのままフラッシュメモリ25に書き込まれる。ステップS80を実行したら図8のフローチャートを終了する。このようにして、ユーザの嗜好を反映した新たな登録地が登録地データにおいて追加され、ナビゲーション装置2にインポートされる。
【0034】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)メモリカードスロット20にメモリカード3が装填され、ナビゲーション装置2とメモリカード3が接続された状態で、ナビゲーション装置1においてユーザによって予め登録された登録地データを、メモリカード3を介して入力する。そして、入力されたその登録地データに基づいて、施設データを抽出するときの抽出条件とされる対象施設種別を設定し(ステップS40)、その抽出条件に応じて、ディスクドライブ28によってDVD−ROM29から読み込まれた地図データ中の施設データからいずれかの施設に関する施設データを抽出する(ステップS60)。こうして抽出された施設データを登録地データに追加し(ステップS70)、その施設データが追加された登録地データをフラッシュメモリ25に書き込んで記憶するようにした(ステップS80)。このようにしたので、登録地データを移し替えたときにユーザが登録しなくても、ユーザの嗜好に適合する施設を登録地とすることができる。
【0035】
(2)ステップS40において対象施設種別を決定する際には、入力された登録地データに所定数以上登録されている同じ種類の施設を同種登録施設としてそれぞれ選択し(ステップS30)、その同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データをステップS60において抽出することとした。このようにしたので、ユーザの嗜好に適合する施設に関する施設データを抽出して、その施設データを登録地データに追加することができる。
【0036】
(3)ステップS30で選択された同種登録施設の各々の位置に基づいて抽出エリアを設定し(ステップS50)、その抽出エリアの中で、同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データをステップS60において抽出することとした。このようにしたので、ユーザの登録状況に応じて適切な位置にある施設の施設データを抽出することができる。
【0037】
(4)ステップS50において、同種登録施設の各々の位置によって囲まれた領域を抽出エリアに設定することとすれば、ユーザがよく利用する地域の施設について施設データを抽出することができる。
【0038】
(5)また、ステップS50において、同種登録施設のうち、予め登録された自宅から所定距離以上離れた位置にある同種登録施設の各々の位置の周囲に抽出エリアを設定することとすれば、ユーザの生活エリアから離れた地域にある施設、たとえばよく行く旅行先の施設などについて施設データを抽出することができる。
【0039】
(6)また、ステップS50において、同種登録施設の各々の位置に沿って延びる道路の周囲に抽出エリアを設定することとすれば、既に登録されている同種登録施設と同じ道路に沿って位置する施設について施設データを抽出することができる。
【0040】
(7)登録地データにおける各登録地をリスト表示する際に、インポート時に新たに追加された登録地については、他の登録地とは異なる表示形態でリスト表示することとした。このようにしたので、新たに追加された登録地がどれであるかをユーザに簡単に判別させることができる。
【0041】
なお、上記の実施の形態では、新たに登録地に追加する施設データを地図データから抽出する際に、地図データの更新履歴を考慮せずに抽出する例について説明した。しかし、地図データの更新履歴を考慮して施設データを抽出するようにしてもよい。たとえば、登録地データを移行する前のナビゲーション装置1と、登録地データを移行した後のナビゲーション装置2において、地図データがバージョンアップされていることがある。このような場合、ナビゲーション装置2で使用される現バージョンの地図データ、すなわちDVD−ROM29に記憶されている地図データにおいて、新たに追加された施設に対しては、そのことを示すフラグ情報を予め付与しておく。そして、新たに登録地に追加する施設データを抽出する際には、このフラグ情報が増やされた施設に関する施設データを抽出するようにする。このようにすれば、登録地データ移行前の地図データには無かったため登録されておらず、バージョンアップ後に追加された施設を、新たな登録地として追加することができる。
【0042】
また、上記の実施の形態では、登録地に対するユーザの使用履歴を考慮せずに、新たに登録地に追加する施設データを地図データから抽出する例について説明したが、ユーザの使用履歴を考慮してもよい。たとえば、登録地データにおいて、ユーザが目的地に設定した回数などを使用履歴として登録地ごとに記録しておく。そして、新たに登録地に追加する施設データを抽出する際には、この使用履歴が多い登録地付近を抽出エリアとして設定することにより、ユーザが頻繁に利用する登録地に近い施設を新たな登録地として追加することができる。あるいは、同種登録施設として選択された各登録地の使用履歴の合計数により、抽出する施設データの施設数を変化させてもよい。このようにすれば、ユーザが頻繁に利用する施設種類に対しては追加する登録地数を多くし、あまり利用しない施設種類に対しては追加する登録地数を少なくすることができる。その結果、よりユーザの嗜好に合わせて登録地を追加することができる。
【0043】
なお、上記の実施の形態では、メモリカード3を介して登録地データを移し替える例を説明したが、その他のものを介して登録地データを移し替えるようにしてもよい。たとえば、ナビゲーション装置1とナビゲーション装置2をケーブルによって接続し、そのケーブルを介して登録地データを移し替えるようにしてもよい。あるいは、ナビゲーション装置1とナビゲーション装置2の間にパーソナルコンピュータを接続し、そのパーソナルコンピュータを介して登録地データを移し替えるようにしてもよい。それ以外にも、たとえば磁気ディスクを用いたり、あるいは電波や赤外線を用いた無線通信を介して接続したりするなど、様々な方法で登録地データを移し替えることができる。
【0044】
以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0045】
以上説明した各実施の形態では、施設データ読み込み手段をディスクドライブ28、記憶手段をフラッシュメモリ25によってそれぞれ実現し、それ以外の各手段を制御回路21の処理によって実現している。具体的には、条件設定手段をステップS30およびS40、エリア設定手段をステップS50、抽出手段をステップS60、追加手段をステップS70の処理によってそれぞれ実現している。しかし、これはあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の各実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】移し替える前の登録地データの例を示す図である。
【図3】移し替えた後の登録地データの例を示す図である。
【図4】登録地の中から目的地を選択する際のリスト表示画面の例である。
【図5】同種登録施設によって囲まれた領域として設定される抽出エリアの例である。
【図6】自宅から離れて位置する同種登録施設の周囲に設定される抽出エリアの例である。
【図7】同種登録施設が並んでいる道路の周囲に設定される抽出エリアの例である。
【図8】ユーザの嗜好を反映した新たな登録地を追加して登録地データをインポートするときに実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1、2:ナビゲーション装置
3:メモリカード
10、11:メモリカードスロット
11、21:制御回路
12、22:ROM
13、23:RAM
14、24:現在地検出装置
15、25:フラッシュメモリ
16、26:表示モニタ
17、27:入力装置
18、28:ディスクドライブ
19、29:DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された各登録地に関する登録地データを、接続された中継手段を介して入力する車載情報端末において、
予め記録された各種の施設に関する施設データを読み込む施設データ読み込み手段と、
前記入力された登録地データに基づいて抽出条件を設定する条件設定手段と、
前記条件設定手段により設定された抽出条件に応じて、前記施設データ読み込み手段により読み込まれた施設データからいずれかの施設に関する施設データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された施設データを前記登録地データに追加する追加手段と、
前記追加手段により施設データが追加された登録地データを記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
請求項1の車載情報端末において、
前記条件設定手段は、前記入力された登録地データに所定数以上登録されている同じ種類の施設を同種登録施設としてそれぞれ選択することにより抽出条件を設定し、
前記抽出手段は、前記条件設定手段により設定された抽出条件に応じて、その同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データを前記読み込まれた施設データから抽出することを特徴とする車載情報端末。
【請求項3】
請求項2の車載情報端末において、
前記同種登録施設の各々の位置に基づいて抽出エリアを設定するエリア設定手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記エリア設定手段により設定された抽出エリアの中で、前記同種登録施設と同じ種類の施設に関する施設データを前記読み込まれた施設データから抽出することを特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
請求項3の車載情報端末において、
前記エリア設定手段は、前記同種登録施設の各々の位置によって囲まれた領域を前記抽出エリアに設定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項5】
請求項3の車載情報端末において、
前記エリア設定手段は、前記同種登録施設のうち、予め登録された自宅から所定距離以上離れた位置にある同種登録施設の各々の位置の周囲に、前記抽出エリアを設定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項6】
請求項3の車載情報端末において、
前記エリア設定手段は、前記同種登録施設の各々の位置に沿って延びる道路の周囲に、前記抽出エリアを設定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか一項の車載情報端末において、
前記記憶手段により記憶された登録地データに基づいて登録地をリスト表示する表示手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記追加手段により追加された施設データによる登録地を、他の登録地とは異なる表示形態でリスト表示することを特徴とする車載情報端末。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか一項の車載情報端末において、
前記施設データには、現バージョンより追加された施設に対してはそのことを示すフラグ情報が予め付与されており、
前記抽出手段は、前記施設データ読み込み手段により読み込まれた施設データのうち、前記フラグ情報が付与された施設に関する施設データを抽出することを特徴とする車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−17333(P2007−17333A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200273(P2005−200273)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】