説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】車載用ナビゲーション装置を用い、燃料不足により走行不能となる事態を回避できるようにする。
【解決手段】現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路とから、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達するのに必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、燃料不足により走行不能となる事態を事前に回避し、車両を最も近い燃料補給地に案内する車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)等により車両の現在地を検出し、その現在地をディスプレイ上に道路地図とともに表示することにより、ドライバを目的地まで円滑に導くようにした車載用ナビゲーション装置が知られている。
【0003】
ところで、車両は、搭載した燃料を用いて走行するものであり、この燃料の残量を常時確認しておかないと、燃料不足により走行不能の事態に陥ってしまうことがある。特に、燃料補給地までの距離が長い山間部等においては、燃料の残量確認を怠ると、重大な事態を招いてしまう。
【0004】
このような事態を回避するため、特許文献1(特開2000−292195号公報)には、水素を燃料とする自動車の水素燃料補給のタイミングを警告する水素燃料補給スタンド案内システムが開示されている。この特許文献1に開示された技術は、水素燃料により駆動される自動車において、走行中、所定の時間間隔で定期的にナビゲーション装置を用いて自車に最も近い水素燃料スタンドの位置を検知するとともに、水素燃料の残量を検知し、最も近い水素燃料スタンドまでの距離と、水素燃料の残量から算出した走行可能距離との差が所定距離以下となったら、燃料補給警告を行うとともに、水素燃料スタンドまでの最短経路を案内するようにしたものである。
【0005】
また、特許文献2(特開2000−46571号公報)には、自動車のガソリン等のエネルギが無くなる前に補給可能な施設に案内するナビゲーションシステムが開示されている。この特許文献2に開示された技術は、エネルギ補給が可能な施設の密度が所定値以下の地域を走行している場合において、探索経路上の1つ先及び2つ先のエネルギ補給施設を検索し、検出した車両のエネルギ残量が2つ先のエネルギ補給施設まで走行できない場合、1つ先のエネルギ補給施設又は最寄りの施設を案内してエネルギ補給の必要性を報知するようにしたものである。
【0006】
さらに、特許文献3(特開平7−85397号公報)には、車載用ナビゲーション装置を利用して、電気自動車のバッテリの残量に応じた走行可能範囲を道路地図上に表示するようにした電気自動車用表示装置が開示されている。この特許文献3に開示された技術は、電気自動車の現在地を求めて道路地図上に表示する車載用ナビゲーション装置において、バッテリの残量を検出し、検出された残量がしきい値以下になったとき、予め設定されている車両走行に伴うバッテリの電力消費量(燃費)から、検出されたバッテリの残量によって走行可能な距離を算出し、道路地図上に、現在地を中心とする円によって走行可能範囲を表示するようにしたものである。また、特許文献3には、走行可能範囲内にある給電所を読み出し、現在地とともに道路地図上に表示し、現在地から最短距離にある給電所を選択し、その給電所への経路を探索することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−292195号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−46571号公報(段落[0007]、[0008])
【特許文献3】特開平7−85397号公報(段落[0012]、[0028]、[0030]、図面[図5])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の場合、燃料補給が必要と判断され、水素燃料スタンドまでの最短経路を案内した時点において、水素燃料スタンドまでの走行が可能であったとしても、ドライバがその案内に従わない、あるいは、誤って経路から外れてしまう、さらには、案内された経路が突発的な事故などにより通行不能であって迂回を余儀なくされるような不測の事態が生じた場合、結果的に水素燃料スタンドに到達できなくなってしまうおそれがある。また、特許文献2の場合も、同様の事態が生じると、エネルギ補給施設に到達できなくなるおそれがある。
【0009】
特許文献3の場合、バッテリの残容量がしきい値以下のとき、走行可能範囲内にある最も近い給電所を選択し、給電所までの経路を探索するものである。給電の要否を残容量のしきい値で判断しているため、給電が必要と判断された場合であっても、必ずしも給電所に到達できる保証はない。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、燃料不足により走行不能となる事態を回避し、車両を最も近い燃料補給地に案内して燃料補給を行い、走行を継続させることのできる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路とから、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達するのに必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記切替手段により前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられると、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記残量よりも前記必要量が大きいとき、前記燃料補給地に到達不可能と判定することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記残量と前記必要量との差が所定値以下のとき、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否かの判定処理を繰り返すことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記車両は、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1にかかる発明においては、現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路とから、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達するのに必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、燃料の残量と、現在地から最も近い燃料補給地まで走行するのに必要な燃料の必要量とに基づき、車両が燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、車両の電装品を省エネルギ状態に切り替えることにより、不測の事態が生じた場合であっても、車両を確実に燃料補給地に到達させることができる。
【0020】
また、本願の請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記切替手段により前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられると、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内するため、省エネルギ状態に切り替えた後、車両を現在地から最も近い燃料補給地に案内することが可能となる。
【0021】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記残量よりも前記必要量が大きいとき、前記燃料補給地に到達不可能と判定することができる。
【0022】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記残量と前記必要量との差が所定値以下のとき、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内するため、現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能になる前に、車両を現在地から最も近い燃料補給地に案内することができる。
【0023】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否かの判定処理を繰り返すため、車両の現在地の変化や燃費の変化を考慮して電装品を省エネルギ状態に切り替え、車両を燃料補給地に確実に到達させることができる。
【0024】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されるため、車載用ナビゲーション装置が車両の燃費を算出することが可能となる。
【0025】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車に適用した場合、燃料補給地のインフラが充分に普及していないエリアにおいても、電気自動車を安定して走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体例を実施形態及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための車載用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの車載用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用ナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明の実施形態にかかる電気自動車に搭載される車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【0029】
制御手段10は、CPU11、ROM12、RAM13からなるプロセッサで構成され、ROM12、RAM13に記録された制御プログラム等に従って車載用ナビゲーション装置の各部の動作を制御するものである。なお、後述するように、制御手段10は、電気自動車が目的地に最も近い充電スタンド(燃料補給地)に到達可能か否かを判定する判定手段として機能するとともに、到達不可能と判定されたときに、車載用ナビゲーション装置と電気自動車の電装品とを省エネルギ状態に切り替える切替手段として機能する。
【0030】
現在地検出手段14は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在地を検出する。また、現在地検出手段14としては、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。
【0031】
地図記憶手段15は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0032】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、制限速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0033】
さらに、地図記憶手段15には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、ガソリンスタンドや充電スタンドの位置、施設形状、施設名称を含む施設情報が記憶されている。
【0034】
経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている道路情報を参照し、現在地から目的地又は充電スタンドに至る電気自動車の最適経路を探索する。
【0035】
最適経路の探索は、例えば、現在地から目的地又は充電スタンドに対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる経路を最適経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを最適経路データとして提供するものである。
【0036】
通信手段17は、例えば、インフラとして所定の地点に配備されているVICS(登録商標)等の情報提供システムを介して通信を行い、渋滞情報を含む交通情報を定期的に取得するものである。
【0037】
入力手段18は、車載用ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0038】
表示手段19は、地図画像や経路の画像、自車両の位置、案内する目的地や充電スタンドの位置等を表示するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。なお、この表示手段19は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0039】
音声報知手段20は、探索された経路に関する情報や外部から取得した交通情報等を音声で案内するものである。
【0040】
バッテリ残量検出手段21は、電気自動車の走行に必要な電力を供給するバッテリの残量を検出するものである。なお、バッテリの残量は、駆動源に供給される電流値を検出して算出することができ、例えば、特開平4−368401号公報に開示された周知の方法を利用可能である。
【0041】
電装品22は、電気自動車に装備されるステレオ、テレビ、車内イルミネーション、エアコン等の機器である。これらの電装品22は、車載用ナビゲーション装置と電気的に接続されており、切替手段として機能する制御手段10により、必要に応じて、省エネルギ状態に切り替えられる。ここで、省エネルギ状態への切り替えとは、例えば、ステレオ又はテレビのボリュームを下げる、ディスプレイの表示輝度を下げる、あるいは、これらの電装品22の電源をオフにする等のことであり、また、エアコンの風力を下げる、あるいは、エアコンの電源をオフにする等を行ってもよい。さらには、車内のイルミネーションの輝度を下げ、走行に影響を与えない範囲で各種メータ類の照明を消灯するようにしてもよい。
【0042】
また、電装品22は、電気自動車に装備される機器に限らず、車載用ナビゲーション装置の液晶ディスプレイ、車載用ナビゲーション装置に組み込まれたオーディオ、ビデオユニット、地デジ放送等の放送受信ユニットを含んでいてもよく、電気自動車に装備される機器と同様に、切替手段として機能する制御手段10により、必要に応じて、省エネルギ状態に切り替えられる。
【0043】
なお、以下の説明では、省エネルギ状態への切り替えを節電処理として説明を行う。
【0044】
次に、図2のフローチャートを用いて、本実施形態の車載用ナビゲーション装置の動作を説明する。なお、本フローチャートでは、電気自動車を運転するドライバは、ナビゲーション装置に特定の目的地を設定することなく、電気自動車を任意の目的地に向けて走行させているものとする。
【0045】
現在地検出手段14は、GPS衛星から受信した情報、あるいは、自車の距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からの情報に基づき、現在地を検出する(ステップS101)。
【0046】
次に、経路探索手段16は、現在地検出手段14により検出された電気自動車の現在地と、地図記憶手段15に記憶されている複数の充電スタンドの位置情報とに基づき、現在地から最も近い位置にある充電スタンドを探索する(ステップS102)。次いで、経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている道路情報に基づき、現在地から最も近い充電スタンドまでの経路を探索する(ステップS103)。なお、探索された充電スタンド及び充電スタンドまでの経路は、車両の現在地とともに表示手段19に表示してもよい。
【0047】
一方、制御手段10は、経路探索手段16により探索された現在地から充電スタンドまで至る経路の走行予定所要時間と、電気自動車の現在の使用状態における燃費、すなわち、単位時間当りの平均電力使用量とから、最も近い充電スタンドに到達するために必要なバッテリの必要容量を算出する(ステップS104)。なお、単位時間当りの平均電力使用量は、入力手段18を用いてユーザが入力しても良いし、例えば、所定時間毎に、バッテリの残量を検出し、前回検出したバッテリの残量と今回検出したバッテリの残量とから減少したバッテリ量を算出し、算出したバッテリ量を、例えば、RAM13などに蓄積し、蓄積したバッテリ量の平均値を用いても良い。
【0048】
次に、バッテリ残量検出手段21は、現在のバッテリの残量を検出する(ステップS105)。
【0049】
次に、制御手段10は、ステップS104で算出したバッテリの必要容量とステップS105で検出された現在のバッテリの残量との差が所定値以下か否かを判定する(ステップS106)。差が所定値以下でない場合、車両は、そのまま任意の目的地に向かい、制御手段10は、ステップS101からの処理を繰り返す。なお、所定値は、例えば、現在地周辺に設置されている充電スタンドの間隔、或いは、車両が走行している地域に設置されている充電スタンドの間隔に基づき充分に走行可能な値として設定することが好ましい。
【0050】
充電スタンドに到達するために必要なバッテリの必要容量とバッテリの残量との差が所定値以下の場合(ステップS106、Y)、制御手段10は、表示手段19及び音声報知手段20を用いて、ステップS103で探索された現在地から最も近い充電スタンドまでの経路をドライバに案内する(ステップS107)。この案内に従って充電スタンドに向かうことにより、バッテリがなくなる前に充電スタンドに到達でき、バッテリの充電を行うことができる。
【0051】
制御手段10は、ステップS107の経路案内を行うとともに、ステップS101〜S105の確認処理を繰り返す(ステップS108)。確認処理を繰り返す理由は、例えば、ドライバがステップS107の経路案内に従わない、あるいは、誤って経路から外れてしまう、さらには、案内された経路が突発的な交通事故や工事中等により通行不能であり、迂回を余儀なくされるような不測の事態に対処するためである。
【0052】
確認処理では、車両の現在地を確認し(ステップS101)、現在地から最も近い充電スタンドを探索し(ステップS102)、充電スタンドまでの経路を探索し(ステップS103)、充電スタンドに到達するのに必要なバッテリの必要容量を算出し(ステップS104)、バッテリの残量を検出する(ステップS105)。そして、バッテリの必要容量が残量よりも多くなければ(ステップS109、N)、そのまま充電スタンドまでの経路案内を継続する(ステップS107)。
【0053】
一方、確認処理の結果、バッテリの必要容量が残量よりも多く(ステップS109、Y)、電気自動車が最も近い充電スタンドに到達不可能と判定された場合、制御手段10は、電装品22を制御して省エネルギ状態に切り替える節電処理を行う(ステップS110)。
【0054】
なお、制御手段10は、これらの節電処理を行うとき、音声報知手段20を介してユーザに節電処理を行う旨報知することが望ましい。
【0055】
以上の節電処理を行った後、再び、現在地から最も近い位置にある充電スタンドを探索し(ステップS111)、その充電スタンドまでの経路を探索する(ステップS112)。そして、表示手段19及び音声報知手段20を用いて、充電スタンドまでの経路を案内する(ステップS113)。ドライバは、経路案内に従って充電スタンドに向かうことになる。
【0056】
なお、ステップS108及びステップS111において、再度、現在地から最も近い位置にある充電スタンドを探索する理由は、現在地が移動し、現在地から最も近い位置にある充電スタンドが変わる可能性があるためである。
【0057】
以上のように、本実施形態では、充電スタンドに到達可能か否かを、バッテリの残量を検出しながら常時判定し、到達できないと判定されたとき、車両の電装品を省エネルギ状態に切り替えて充電スタンドの経路案内を行う。これにより、充電スタンドへの案内中に不測の事態が生じた場合であっても、確実に充電スタンドに到達して充電処理を行うことができる。なお、ステップS113において車両を充電スタンドに案内する際には、充電スタンドに到達するために必要なバッテリの残量が少ないため、ドライバに対して、ステップS107での案内よりも強い警告を行うことが好ましい。
【0058】
なお、上述した実施形態では、車載用ナビゲーション装置を電気自動車に適用するものとして説明したが、本発明は、通常のガソリンを燃料として走行するガソリン自動車、あるいは、ガソリンと電気とを燃料として走行するハイブリッド車にも適用することができる。ガソリン車の場合、ガソリンの残量を検出し、探索した経路に従ってガソリンスタンド(燃料補給地)まで走行可能か否かを判定し、その判定結果に従い、必要に応じて節電処理を行うようにすればよい。また、ハイブリッド車の場合には、ガソリンの残量とバッテリの残量とを加算した値を用いて、燃料補給地まで走行可能か否かの判定を行えばよい。
【0059】
また、上記実施例では、現在地検出手段14により現在地が検出されると、地図記憶手段15を参照して、現在地に最も近い位置にある充電スタンドを探索したが、これに限ることはなく、現在地から最も短い距離にある充電スタンドでもよいし、現在地から最も少ない燃料で到達できる充電スタンドでもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・制御手段
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・現在地検出手段
15・・・地図記憶手段
16・・・経路探索手段
17・・・通信手段
18・・・入力手段
19・・・表示手段
20・・・音声報知手段
21・・・バッテリ残量検出手段
22・・・電装品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、
車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、
車両の燃費と前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路とから、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達するのに必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、
前記現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記切替手段により前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられると、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記残量よりも前記必要量が大きいとき、前記現在地から最も近い燃料補給地に到達不可能と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記残量と前記必要量との差が所定値以下のとき、前記表示手段を介して、前記車両を前記現在地から最も近い燃料補給地に案内することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記車両が前記現在地から最も近い燃料補給地に到達可能か否かの判定処理を繰り返すことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車両は、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−75290(P2011−75290A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223924(P2009−223924)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】