説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものであり、特に、無駄な燃料補給処理を行うことなく、探索した経路に従い車両を目的地まで案内する車載用ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)等により車両の現在地を検出し、その現在地をディスプレイ上に道路地図とともに表示することにより、ドライバを目的地まで円滑に導くようにした車載用ナビゲーション装置が知られている。
【0003】
ところで、車両は、搭載した燃料を用いて走行するものであり、この燃料の残量を常時確認しておかないと、目的地に到達できないか、あるいは、目的地に到達したものの、その目的地から燃料補給地まで移動できない事態に至ってしまう。
【0004】
このような事態を回避するため、特許文献1(特開平7−85397号公報)には、車載用ナビゲーション装置を利用して、電気自動車のバッテリの残量に応じた走行可能範囲を道路地図上に表示するようにした電気自動車用表示装置が開示されている。この特許文献1に開示された技術は、電気自動車の現在地を求めて道路地図上に表示する車載用ナビゲーション装置において、バッテリの残量を検出し、検出された残量がしきい値以下になったとき、予め設定されている車両走行に伴うバッテリの電力消費量(燃費)から、検出されたバッテリの残量によって走行可能な距離を算出し、道路地図上に、走行可能範囲を現在地を中心とする円によって表示するようにしたものである。また、特許文献1には、走行可能範囲内にある給電所を読み出し、現在地とともに道路地図上に表示し、現在地から最短距離にある給電所を選択し、その給電所への経路を探索することが開示されている。
【0005】
なお、バッテリの残量を精度よく検出して表示する技術として、特許文献2(特開平4−368401号公報)に開示されたバッテリの残存容量表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−85397号公報(段落[0012]、[0028]、[0030]、図面[図5])
【特許文献2】特開平4−368401号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、バッテリの残量がしきい値以下のとき、走行可能範囲内にある最も近い給電所を選択し、給電所までの経路を探索しており、残量がしきい値以下の場合、給電所に行くことが最優先されるため、車両が目的地の近くにいたとしても、給電所が案内されてしまう。
【0008】
この場合、給電所の位置によっては、目的地から遠ざかってしまうこともあり、給電後に目的地に向かうことで、燃料が無駄に消費されてしまう。また、給電の要否をバッテリの残量の固定されたしきい値で判断しているため、設定したしきい値によっては、給電所が車両から遠く離れた位置にあり、給電が必要と判断された場合であっても、必ずしも給電所に到達できるとは限らない。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、目的地に確実に到達することができ、且つ、無駄な燃料補給を行うことのない車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替えることを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要量を算出し、前記残量と前記削減された必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、地図記憶手段は、さらに、燃料補給地の位置情報を記憶し、前記経路探索手段は、車両が前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかる発明は、目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地を経由して前記目的地に最も近い燃料補給地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記目的地に最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替えることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記判定手段は、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要量を算出し、前記残量と前記削減された必要量とに基づき、前記車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記経路探索手段は、車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、前記車両は、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項1にかかる発明においては、目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替える。
【0019】
このような構成によれば、現在の燃費及び燃料の残量では、車両が目的地に到達できないと判定されたとき、車両の電装品を省エネルギ状態に切り替えることにより、燃費を高めて車両の走行距離を延ばし、車両を目的地に到達させることができる。
【0020】
また、本願の請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要消費量を算出し、前記残量と削減された前記必要消費量とに基づき、前記車両が前記目的地に到達可能か否か判定することにより、省エネルギ状態に切り替えたときに、車両が目的地に到達可能か否かを確認することができる。
【0021】
また、本願の請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記車両が前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することにより、省エネルギ状態に切り替えても車両が目的地に到達できないとき、車両を燃料補給地に導いて燃料の補給を行うことができる。
【0022】
また、本願の請求項4にかかる発明においては、目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地を経由して前記目的地に最も近い燃料補給地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段は、前記目的地に最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替える。
【0023】
このような構成によれば、現在の燃費及び燃料の残量では、車両が目的地を経由して目的地に最も近い燃料補給地まで走行できないと判定されたとき、車両の電装品を省エネルギ状態に切り替えることにより、燃費を高めて車両の走行距離を延ばし、目的地を経由して車両を燃料補給地に確実に到達させることができる。また、目的地を経由して燃料補給地に到達できるため、目的地に到達した後、燃料補給地まで走行して燃料を補給することができる。さらに、燃料の補給に際して、目的地から離れた燃料補給地まで走行して燃料を補給した後、目的地に向かう、といった無駄な走行を回避し、燃料の消費を必要最小限に抑えることができる。
【0024】
また、本願の請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要消費量を算出し、前記残量と削減された前記必要消費量とに基づき、前記車両が前記燃料補給地に到達可能か否か判定することにより、省エネルギ状態に切り替えたときに、車両が燃料補給地に到達可能か否かを確認することができる。
【0025】
また、本願の請求項6にかかる発明においては、請求項5にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記車両が前記燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、目的地に向かうことなく、燃料の補給を最優先して、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することができる。
【0026】
また、本願の請求項7にかかる発明においては、請求項1乃至6のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されるため、前記車両の燃費を、車載用ナビゲーション装置が算出可能となる。
【0027】
また、本願の請求項8にかかる発明においては、請求項1乃至7のいずれか1項にかかる車載用ナビゲーション装置において、前記車両が、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車である。この場合、例えば、インフラとしての燃料補給地であるバッテリの充電スタンドが充分に整備されていない地域であっても、車両を目的地に到達させることができ、あるいは、目的地を経由して燃料補給地に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる車載用ナビゲーション装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の具体例を実施形態及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための車載用ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの車載用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用ナビゲーション装置にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0030】
図1は、本発明の実施形態にかかる電気自動車に搭載される車載用ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【0031】
制御手段10は、CPU11、ROM12、RAM13からなるプロセッサで構成され、ROM12、RAM13に記録された制御プログラム等に従って車載用ナビゲーション装置の各部の動作を制御するものである。なお、後述するように、制御手段10は、電気自動車が目的地又はバッテリの充電スタンド(燃料補給地)に到達可能か否かを判定する判定手段として機能するとともに、到達不可能と判定されたときに、車載用ナビゲーション装置と電気自動車の電装品とを省エネルギ状態に切り替える切替手段として機能する。
【0032】
現在地検出手段14は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成され、受信した電波に基づき現在地を検出する。また、現在地検出手段14としては、距離センサ、方位センサ、舵角センサ等からなる自立航法装置を用いることもできる。
【0033】
地図記憶手段15は、道路の分岐地点等の結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む道路情報を記憶している。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、分岐地点名称等が記憶されている。
【0034】
また、道路リンクデータには、始点及び終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、制限速度、車線数、車道幅等の道路属性が含まれる。道路リンクデータには、さらに、道路属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、国道や都道府県道等の別を含む情報である。
【0035】
さらに、地図記憶手段15には、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、ガソリンスタンドや充電スタンドの位置、施設形状、施設名称を含む施設情報が記憶されている。
【0036】
経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている道路情報を参照し、現在地から目的地又は充電スタンドに至る電気自動車の最適経路を探索する。
【0037】
最適経路の探索は、例えば、現在地から目的地又は充電スタンドに対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法等の各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間等を累積し、総リンク長又は総所要時間等が最短となる経路を最適経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを最適経路データとして提供するものである。
【0038】
通信手段17は、例えば、インフラとして所定の地点に配備されているVICS(登録商標)等の情報提供システムを介して通信を行い、渋滞情報を含む交通情報を定期的に取得するものである。
【0039】
入力手段18は、車載用ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0040】
表示手段19は、地図画像や経路の画像、自車両の位置、案内する目的地や充電スタンドの位置等を表示するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。なお、この表示手段19は、タッチセンサを備えた入力手段として機能させることができる。この場合、ディスプレイ上に表示されたアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われる。
【0041】
音声報知手段20は、探索された経路に関する情報や外部から取得した交通情報等を音声で案内するものである。
【0042】
バッテリ残量検出手段21は、電気自動車の走行に必要な電力を供給するバッテリの残量を検出するものである。なお、バッテリの残量は、駆動源に供給される電流値を検出して算出することができ、例えば、特許文献2(特開平4−368401)に開示された周知の方法を利用可能である。
【0043】
電装品22は、電気自動車に装備されるステレオ、テレビ、車内イルミネーション、エアコン等の機器である。これらの電装品22は、車載用ナビゲーション装置と電気的に接続されており、切替手段として機能する制御手段10により、必要に応じて、省エネルギ状態に切り替えられる。ここで、省エネルギ状態への切り替えとは、例えば、ステレオ又はテレビのボリュームを下げる、ディスプレイの表示輝度を下げる、あるいは、これらの電装品22の電源をオフにする等のことであり、また、エアコンの風力を下げる、あるいは、エアコンの電源をオフにする等を行ってもよい。さらには、車内のイルミネーションの輝度を下げ、走行に影響を与えない範囲で各種メータ類の照明を消灯するようにしてもよい。
【0044】
また、電装品22は、電気自動車に装備される機器に限らず、車載用ナビゲーション装置の液晶ディスプレイ、車載用ナビゲーション装置に組み込まれたオーディオ、ビデオユニット、地デジ放送等の放送受信ユニットを含んでいてもよく、電気自動車に装備される機器と同様に、切替手段として機能する制御手段10により、必要に応じて、省エネルギ状態に切り替えられる。
【0045】
なお、以下の説明では、省エネルギ状態への切り替えを節電処理として説明を行う。
【0046】
次に、図2のフローチャートを用いて、第1実施形態の車載用ナビゲーション装置の動作を説明する。第1実施形態では、現在地から目的地までの経路を探索し、バッテリの残量が足りなくて目的地に到達できない場合、節電処理を行い、それでも目的地に到達できない場合には、現在地から最も近い充電スタンドまでの経路を探索する。
【0047】
先ず、入力手段18を用いてユーザにより目的地が入力されると(ステップS101)、経路探索手段16は、入力された目的地と、現在地検出手段14により検出された電気自動車の現在地と、地図記憶手段15に記憶されている道路ノードデータ及び道路リンクデータを含む道路情報とに基づき、目的地までの最適な経路を探索する(ステップS102)。なお、探索された最適経路は、表示手段19に表示される。ドライバは、表示された最適経路に従って目的地に向う。
【0048】
一方、制御手段10は、経路探索手段16により探索された現在地から目的地までの最適経路の走行所要時間と、電気自動車の現在の使用状態における燃費、すなわち、単位時間当りの平均電力使用量とから、目的地に到達するまでに必要なバッテリの必要容量を算出する(ステップS103)。なお、単位時間当りの平均電力使用量は、入力手段18を用いてユーザが入力しても良いし、例えば、所定時間毎に、バッテリの残量を検出し、前回検出したバッテリの残量と今回検出したバッテリの残量とから減少したバッテリ量を算出し、算出したバッテリ量を、例えば、RAM13などに蓄積し、蓄積したバッテリ量の平均値を用いても良い。
【0049】
次に、バッテリ残量検出手段21は、現在のバッテリの残量を検出する(ステップS104)。
【0050】
次に、制御手段10は、ステップS103で算出したバッテリの必要容量と、ステップS104でバッテリ残量検出手段21により検出された現在のバッテリの残量とを比較することにより、電気自動車が最適経路に従って走行した場合に、目的地に到達可能か否かを判定する(ステップS105)。目的地に到達可能と判定された場合、ドライバは、表示手段19に表示された最適経路に従い、そのまま目的地に向うことになる。
【0051】
一方、目的地に到達するために必要なバッテリの必要容量が現在のバッテリの残量よりも多く、電気自動車が目的地に到達不可能と判定された場合、制御手段10は、節電処理を行う(ステップS106)。
【0052】
なお、制御手段10は、節電処理を行う際に、音声報知手段20を介してユーザに節電処理を行う旨の報知をすることが望ましい。
【0053】
次に、節電処理を行った後、制御手段10は、電気自動車の節電処理後の使用状態での燃費である単位時間当たりの平均電力使用量を算出する。そして、算出した平均電力使用量と、現在地から目的地までの最適経路の所要時間とから、目的地に到達するまでに必要なバッテリの必要容量(以下、節電処理後必要容量)を算出する(ステップS107)。ここで、節電処理後の単位時間当たりの平均電力使用量の算出は、例えば、液晶ディスプレイの表示輝度を下げる節電処理を行った例を挙げると、液晶ディスプレイの表示輝度を下げた場合に減少する電力使用量をRAM13などに予め記憶しておき、節電処理前の単位時間当たりの平均電力使用量から上記記憶した電力使用量を差し引くことで算出する。
【0054】
次いで、制御手段10は、ステップS107で算出した節電処理後必要容量と、バッテリ残量検出手段21により検出された現在のバッテリの残量とを比較し、電気自動車が最適経路に従って走行した場合に、目的地に到達可能か否かを再び判定する(ステップS108)。目的地に到達可能と判定された場合、ドライバは、表示手段19に表示された最適経路に従い、目的地に向うことになる。
【0055】
一方、ステップS108での判定の結果、節電処理後必要容量が、現在のバッテリの残量よりも多く、節電処理を行っても電気自動車が目的地に到達不可能であると判定された場合、経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている充電スタンドの位置情報に従い、電気自動車の現在地から最も近い位置にある充電スタンドを探索する(ステップS109)。
【0056】
次いで、探索した充電スタンドを経由地に設定した後(ステップS110)、経路探索手段16は、現在地から、ステップS110で設定した充電スタンドを経由し、目的地まで至る最適経路を探索する(ステップS111)。なお、探索の結果は、表示手段19に表示される。また、経路が変更された旨を音声報知手段20を用いてユーザに報知するようにしてもよい。
【0057】
以上のように、第1実施形態では、現在のバッテリの残量から目的地に到達可能か否かを判定し、到達できない場合には、節電処理を行った後、再び目的地に到達可能か否かを判定し、さらに到達できないと判定された場合には、最も近い充電スタンドを経由地に設定して経路案内を行う。この結果、移動中に走行不可能な状態になることがなく、確実に目的地に到達することができる。
【0058】
次に、図3のフローチャートを用いて、第2実施形態の車載用ナビゲーション装置の動作を説明する。第2実施形態では、ユーザにより目的地が入力された場合、現在地から目的地を経由し、目的地に最も近い充電スタンドまで至る経路を探索する。そして、現在のバッテリの残量では充電スタンドに到達できない場合、節電処理を行い、それでも充電スタンドに到達できない場合には、現在地から最も近い充電スタンドを経由して目的地まで至る経路を探索する。
【0059】
入力手段18を用いてユーザにより目的地が入力されると(ステップS121)、経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている充電スタンドの位置情報に基づき、目的地から最も近い位置にある充電スタンドを探索する(ステップS122)。
【0060】
次いで、経路探索手段16は、電気自動車の現在地と、入力された目的地と、探索した充電スタンドの位置と、地図記憶手段15に記憶されている道路情報とに基づき、現在地から目的地を経由し、目的地に最も近い位置にある充電スタンドまでの最適経路を探索する(ステップS123)。
【0061】
一方、制御手段10は、経路探索手段16により探索された現在地から目的地を経由して充電スタンドまで至る最適経路による走行所要時間と、電気自動車の現在の使用状態における燃費、すなわち、単位時間当りの平均電力使用量とから、充電スタンドに到達するまでに必要なバッテリの必要容量を算出する(ステップS124)。また、バッテリ残量検出手段21は、バッテリの現在の残量を検出する(ステップS125)。
【0062】
次に、制御手段10は、ステップS124で算出したバッテリの必要容量と、ステップS125でバッテリ残量検出手段21により検出された現在のバッテリの残量とを比較し、電気自動車が最適経路に従って走行した場合に、充電スタンドに到達可能か否かを判定する(ステップS126)。充電スタンドに到達可能と判定された場合、ドライバは、表示手段19に表示された最適経路に従い目的地に向うことになる。
【0063】
一方、電気自動車が目的地を経由して充電スタンドに到達不可能と判定された場合、制御手段10は、第1実施形態の場合と同様に、節電処理を行う(ステップS127)。
【0064】
なお、制御手段10は、節電処理を行うとき、音声報知手段20を介してユーザに節電処理を行う旨報知することが望ましい。
【0065】
次に、節電処理を行った後、電気自動車の節電処理後の使用状態での燃費である単位時間当たりの平均電力使用量を算出する。そして、算出した平均電力使用量と、現在地から目的地を経由して充電スタンドまで至る最適経路の所要時間とから、充電スタンドに到達するまでに必要なバッテリの節電処理後必要容量を算出する(ステップS128)。
【0066】
次いで、制御手段10は、ステップS128で算出した節電処理後必要容量と、バッテリ残量検出手段21が検出した現在のバッテリの残量とを比較し、電気自動車が最適経路に従って走行した場合に、充電スタンドに到達可能か否かを再び判定する(ステップS129)。充電スタンドに到達可能と判定された場合、ドライバは、表示手段19に表示された最適経路に従い、目的地に向うことになる。
【0067】
一方、節電処理を行っても電気自動車が目的地を経由して充電スタンドに到達不可能であると判定された場合、経路探索手段16は、地図記憶手段15に記憶されている充電スタンドの位置情報に従い、電気自動車の現在地から最も近い位置にある充電スタンドを探索する(ステップS130)。
【0068】
次いで、探索した充電スタンドを経由地に設定した後(ステップS131)、経路探索手段16は、現在地から、ステップS131で設定した充電スタンドを経由し、目的地まで至る最適経路を探索する(ステップS132)。なお、探索の結果は、表示手段19に表示される。また、経路が変更された旨を音声報知手段20を用いてユーザに報知するようにしてもよい。
【0069】
以上のように、第2実施形態では、現在のバッテリの残量から目的地を経由して充電スタンドに到達可能か否かを判定し、到達できない場合には、節電処理を行った後、再び目的地を経由して充電スタンドに到達可能か否かを判定し、さらに到達できないと判定された場合には、現在地に最も近い充電スタンドを経由地に設定して目的地までの経路案内を行う。この結果、移動中に走行不可能な状態になることがなく、確実に目的地に到達することができる。また、目的地を経由して充電スタンドに到達できるため、目的地に到達後、充電スタンドまで移動できなくなるといった事態を回避することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、車載用ナビゲーション装置を電気自動車に適用するものとして説明したが、本発明は、通常のガソリンを燃料として走行するガソリン自動車、あるいは、ガソリンと電気とを燃料として走行するハイブリッド車にも適用することができる。ガソリン車の場合、ガソリンの残量を検出し、探索した経路に従って目的地又はガソリンスタンド(燃料補給地)まで走行可能か否かを判定し、その判定結果に従い、必要に応じて節電処理を行うようにすればよい。また、ハイブリッド車の場合には、ガソリンの残量とバッテリの残量とを加算した値を用いて、目的地又は燃料補給地まで走行可能か否かの判定を行えばよい。
【0071】
また、上記実施例では、第1実施形態において、節電処理を行っても、目的地に到達不可能とであると判定された場合、及び、第2実施形態において、節電処理を行っても、目的地に最も近い位置にある充電スタンドに到達不可能であると判定された場合、現在地に最も近い充電スタンドを探索し、探索した充電スタンドを経由地に設定したが、これに限ることはなく、例えば、節電処理後の使用状態での燃費である単位時間当たりの平均電力使用量と地図記憶手段15に基づき、電気自動車が到達可能である充電スタンドをリストにし、表示手段19に表示し、ユーザが入力手段18を用いて選択した充電スタンドを経由地として設定しても良い。
【0072】
また、上記実施例では、節電処理後に、電気自動車の節電処理後の使用状態での燃費である単位時間当たりの平均電力使用量を算出し、算出した平均電力使用量に基づき、目的地又は目的地に最も近い位置にある充電スタンドに到達可能か否かを判別したが、これに限ることはなく、上記実施例の様に、節電処理により減少する電力使用量が予め記憶されている場合、始めに、電気自動車の節電処理後の使用状態での燃費である単位時間当たりの平均電力使用量を算出し、算出した平均電力使用量に基づき、目的地又は目的地に最も近い位置にある充電スタンドに到達可能か否かを判別する。そして、目的地又は目的地に最も近い位置にある充電スタンドに到達可能と判別された場合に、節電処理を行うようにしてもよい。
【0073】
また、第2実施形態において、目的地が入力されると、地図記憶手段15に基づき、目的地に最も近い位置にある充電スタンドを探索したが、これに限ることはなく、目的地が入力されると、地図記憶手段15に基づき、目的地から最も短い距離にある充電スタンドを探索してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10・・・制御手段
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・現在地検出手段
15・・・地図記憶手段
16・・・経路探索手段
17・・・通信手段
18・・・入力手段
19・・・表示手段
20・・・音声報知手段
21・・・バッテリ残量検出手段
22・・・電装品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、
車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、
車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定する判定手段と、
前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、
を備え、
前記切替手段は、前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要量を算出し、前記残量と前記削減された必要量とに基づき、車両が前記目的地に到達可能か否か判定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
地図記憶手段は、さらに、燃料補給地の位置情報を記憶し、
前記経路探索手段は、車両が前記目的地に到達不可能と判定されたとき、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することを特徴とする請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
目的地を入力する入力手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、燃料補給地の位置情報を含む地図情報を記憶する地図記憶手段と、前記現在地から前記目的地を経由して前記目的地に最も近い燃料補給地まで至る経路を探索する経路探索手段と、前記探索された経路を前記地図情報とともに表示する表示手段とを備える車載用ナビゲーション装置において、
車両を走行させるための燃料の残量を検出する残量検出手段と、
車両の燃費と前記探索された経路とから、前記探索された経路の走行に必要な前記燃料の必要量を算出し、前記残量と前記必要量とに基づき、車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定する判定手段と、
前記燃料を消費する電装品を省エネルギ状態に切り替える切替手段と、
を備え、
前記切替手段は、前記目的地に最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記電装品を省エネルギ状態に切り替えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記電装品が省エネルギ状態に切り替えられることで削減される前記必要量を算出し、前記残量と前記削減された必要量とに基づき、前記車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達可能か否か判定することを特徴とする請求項4に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路探索手段は、車両が前記目的地に最も近い燃料補給地に到達不可能と判定されたとき、前記現在地から最も近い燃料補給地までの経路を探索することを特徴とする請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記車両の燃費は、前記残量検出手段が所定時間毎に燃料の残量を検出することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記車両は、バッテリに蓄積される電力を前記燃料として走行する電気自動車であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75291(P2011−75291A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223925(P2009−223925)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】