説明

車載用電子システム

【課題】 ナビゲーション画面においてアルバム等の再生グループを容易に認識しかつ編集することができる「車載用電子システム」を提供する。
【解決手段】 車載用AVNシステム10は、ナビゲーション機能部20と、オーディオ機能部30と、ディスプレイと、複数のアルバムの再生順を決めた再生リストおよび再生リストに含まれるアルバムに固有のアルバム画像を記憶する記憶装置120と、再生リストを再生するとき、再生リストのアルバム画像を再生リストの再生順に対応した位置に含むオーディオ画面をナビゲーション画面の背景画として同時にディスプレイに表示する表示制御分60と、表示されたアルバム画像に含まれる楽曲を再生する再生部94とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能およびオーディオ機能を備えた車載用電子システムに関し、特に、ナビゲーション画面上にオーディオ情報を表示しかつ操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用電子装置として、ナビゲーション装置、オーディオデータを再生するオーディオ装置、およびビデオデータを再生するビジュアル装置が利用されている。これらの装置は、それぞれ単体として使用することが可能であるが、再生データのマルチメディア化に伴い、統合されたシステムとして使用されることが多くなっている。本明細書では、ナビゲーション装置、オーディオ装置およびビジュアル装置を結合したシステムを、便宜上、AVN装置(Audio Visual Navigation)またはAVNシステムと呼ぶこととする。
【0003】
AVNシステムにより、各々の独立していた機能が統合され、それぞれの機能から提供される様々な情報は、1つの共用のディスプレイに出力される。例えば、ナビゲーション機能による提供された道路地図情報がディスプレイに表示されているとき、オーディオ機能によるオーディオ情報の表示または操作を行う場合には、ナビゲーション画面からオーディオ画面へ切替え、オーディオ情報の表示または操作を終了し、再びナビゲーション画面への切替えが行われる。
【0004】
また特許文献1は、ナビゲーション画面に、オーディオファイルを同時に表示する車載システムを開示している。この文献によれば、再生リストの楽曲の再生が予定されている再生時間帯を算出し、再生時間帯に走行が予測される誘導経路上の区間を予測し、予測された誘導経路上の区間から吹出しの形態で楽曲のタイトルや再生時間帯などの情報を表示し、かつ再生リストの再編集を可能にしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−37142号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のAVNシステムでは、ナビゲーション画面上から楽曲のタイトルやアルバム名等を表示することは可能である。しかし、ナビゲーション画面上から、複数のアルバムを含む再生リストから所望のアルバムを選択してその内容を見たり、アルバムを再生する順序を変更することはできなかった。これを行うためには、ナビゲーション画面からオーディオ画面への切替えが必要であり、そのようなアルバムについての操作を行った後に、再びナビゲーション画面へ切換えさなければならず、操作が煩雑であった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決し、道路交通情報を表示する画面上において再生グループの認識を容易にかつその編集を行うことができる車載用電子システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載用電子システムは、目的地までの道路地図情報を案内する機能を備えたナビゲーション手段と、ディスプレイと、ナビゲーション手段の実行により得られた道路地図情報をディスプレイに表示する道路地図情報表示手段と、複数の楽曲をグループ化した再生グループを複数含みかつ複数の再生グループの再生順を決めた再生リストと、再生リストに含まれる複数の再生グループにそれぞれ対応する画像情報と、複数の再生グループに含まれる楽曲データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された再生リストの再生を行うとき、当該再生リストの複数の再生グループの画像情報を、前記再生グループの再生順に対応したエリアに前記道路地図情報と同時にディスプレイに表示する再生グループ表示手段と、ディスプレイに表示された再生グループに含まれる楽曲を再生する再生手段とを有する。
【0009】
好ましくは、前記再生グループ表示手段は、前記複数の再生グループの画像情報を前記道路地図情報の背景画として表示する。好ましくは、前記道路地図情報は、自車位置マークを含み、自車位置マークと重複するエリアは、画像情報を再生する再生エリアである。好ましくは、自車位置マークが位置する道路の進行方向に位置するエリアは、次に画像情報の再生が予定されるエリアである。好ましくは、再生グループ表示手段は、再生グループの再生時間の経過に応じて画像情報をスクロールする。
【0010】
好ましくは車載用電子システムはさらに、ユーザ入力に応答してディスプレイ上の画像情報が表示されるエリアを変更する変更手段と、画像情報が表示されるエリアの変更に応答して再生リストを更新する更新手段とを含む。好ましくは、変更手段は、画像情報が選択されたとき、当該選択された画像情報を再生エリアに移動する。好ましくは、ユーザ入力に応答してディスプレイ上に表示された画像情報が選択されたとき、前記再生グループ表示手段は、選択された再生グループに含まれる複数の楽曲の楽曲データを表示する。好ましくは、ユーザ入力に応答して前記複数の楽曲のいずれかが選択されたとき、前記再生手段は、当該選択された楽曲を再生する。再生グループは、例えば、複数の楽曲をグループ化したアルバムであり、前記画像情報は、アルバム画像である。
【0011】
本発明に係る車載用電子システムにおけるナビゲーション画面上での再生リストの表示方法またはプログラムは、複数の楽曲をグループ化した再生グループを複数含みかつ複数の再生グループの再生順を決めた再生リストと、再生リストに含まれる複数の再生グループにそれぞれ対応する画像情報と、複数の再生グループに含まれる楽曲データを記憶するステップと、前記記憶された再生リストの再生を行うとき、当該再生リストの複数の再生グループの画像情報を、前記再生グループの再生順に対応したエリアにナビゲーション画面の背景画としてディスプレイに表示するステップと、再生グループの再生時間の経過に応じて画像情報をスクロールさせるステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、道路地図情報と同時に再生リストの再生グループの画像情報をディスプレイに表示するようにしたので、ユーザは、走行中に、再生グループの再生順を一見して容易に確認することができる。さらに、道路地図情報の表示画面から、画像情報が表示されるエリアを変更することで、再生グループの再生順を簡単に変更することができる。さらに、道路地図情報の表示画面から、画像情報を選択することで、再生グループに含まれる楽曲データを簡単に閲覧することができる。この結果、従来のように、道路地図情報が表示された画面から他の画面への切換えを必要とせず、操作を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の実施の形態として、オーディオ機能、ビジュアル機能およびナビゲーション機能が統合された車載用AVNシステムについて図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るAVNシステムの構成を示すブロック図である。AVNシステム10は、自車位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路を誘導する機能を備えたナビゲーション機能部20と、オーディオデータを再生する機能を備えたオーディオ機能部30と、ビデオデータを再生する機能を備えたビジュアル機能部40と、オーディオ機能部30によって再生されたオーディオデータをスピーカから出力する音声出力部50と、ビジュアル機能部40により再生されたビデオデータをディスプレイに表示する表示制御部60と、遠隔操作用のリモコン、マウス、キーボードあるいはタッチパネル等の手段によりユーザからの入力を受け取る入力部70と、プログラム等を実行し各部を制御するCPU80と、種々のプログラムを記憶するプログラムメモリ90と、データを一時的に記憶するデータメモリ100と、外部のポータブルメディアを接続する外部インターフェース110と、ナビゲーションに必要な道路地図データベース、オーディオデータやビデオデータの再生に必要な再生情報等を記憶する記憶装置120と、各部を接続するシステムバス130とを含んで構成される。なお、図示しないが、AVNシステムは、地上波ディジタル受信機、AM・FMラジオ受信機、さらには無線通信等により外部ネットワークに接続する通信機能を備えることが可能である。
【0015】
ナビゲーション機能部20は、公知のように、GPS衛星や自立航法センサを利用して自車位置を算出し、記憶装置120に記憶された道路地図データベースから自車位置周辺の道路地図データを読み出し、これをディスプレイに表示させたり、自車位置から目的地までの探索された経路を道路地図上に表示し目的地までの経路誘導をする。
【0016】
オーディオ機能部30は、記憶装置120に記憶されたオーディオデータ、あるいは外部インターフェース110に接続されたポータブルメディアに記録されたオーディオデータを再生する。オーディオデータは、MP3、WMA、その他の方式で圧縮されたものであってもよい。また、ポータブルメディアは、例えば、CD、DVD、半導体メモリ、USBメモリ、携帯電話、携帯端末装置等を含む。
【0017】
ビジュアル機能部40は、記憶装置120に記憶されたビデオデータ、あるいは外部インターフェース110に接続されたポータブルメディアに記録されたビデオデータを再生する。ビデオデータは、MP3、WAV、その他の方式で圧縮されたものであってもよい。また、ポータブルメディアは、例えば、CD、DVD、半導体メモリ、USBメモリ、携帯電話、携帯端末装置等を含む。
【0018】
表示制御部60は、ナビゲーション機能部20が実行されたとき、ディスプレイ上に自車位置周辺の道路地図データを表示する。また、後述するように、走行中に、すなわち、ナビゲーション機能部20によるナビゲーション画面が表示されているとき、ユーザからの指示によりオーディオ機能部30が動作された場合には、オーディオ情報の表示や操作を行うためのオーディオ画面を同時に表示する。例えば、表示制御部60は、ナビゲーション画面を構成するレイヤの下にオーディオ画面とを構成するレイヤを合成し、オーディオ画面がナビゲーション画面の背景画となるように表示する。これにより、ナビゲーション画面に含まれる道路地図情報がオーディオ画面によって遮蔽されることはない。他方、オーディオ画面のレイヤをナビゲーション画面の上に重ねる場合には、オーディオ画面を透明な状態とし、オーディオ画面によってナビゲーション画面が遮蔽されないようにしてもよい。
【0019】
プログラムメモリ90は、記憶装置120からロードされたプログラムを記憶する。例えば、ナビゲーション機能部20を実行するためのナビゲーションプログラム92、オーディオ機能部30を実行するためのオーディオ再生プログラム94、ビジュアル機能部40を実行するためのビデオ再生プログラム96等を記憶する。
【0020】
データメモリ100は、記憶装置120から読み出された道路地図データ102、オーディオデータの再生に関するオーディオ再生情報104、ビデオデータの再生に関するビデオ再生情報106等を記憶する。
【0021】
記憶装置120は、道路地図データベースやオーディオデータ再生情報104やビデオデータ再生情報106等を記憶する。ここでは、本実施例に特に関連するオーディオデータ再生情報104を詳細に説明する。図2にオーディオデータ再生情報のデータ構造の一例を示す。オーディオ再生情報104は、図2に示すように、複数の再生リスト#1、#2、・・・#nを含むことができる。
【0022】
1つの再生リストは、複数の楽曲をグループ化した再生グループの再生順を規定する。本実施例では、再生グループとしてアルバムを以下の例に用いる。アルバムは、例えば、1枚のCDやDVDに与えられた名称または識別マークであり、言いかえれば、アルバムが異なれば、再生される楽曲が異なる。なお、再生グループは、このようなアルバムの他、例えば、ユーザが任意にグループ化した複数の楽曲の集まりであってもよい。図2の例では、再生リスト#2は、アルバムA、B、C、・・・Nの再生順を規定している。
【0023】
さらに、1つのアルバムは、アルバムに固有のアルバム画像データと、アルバムに含まれる複数の楽曲に関する楽曲データとを含む。アルバム画像データは、例えば、CDに予め与えられたジャケット写真を用いることができる。また、他の画像をアルバムに関連付けして登録することも可能である。楽曲データは、オーディオデータ、楽曲のタイトル、楽曲の再生時間、演奏者等のデータとを含む。
【0024】
再生リストは、ユーザが任意で、記憶装置120に記憶されているアルバムや楽曲に基づき作成することができる。あるいは外部インターフェース110に接続されたメディアに記憶されたアルバムや楽曲に基づき作成することができる。あるいは、ユーザが再生リストを作成しない場合は、アーティスト名やアルファベット順、更新日などから自動的に再生リストを作成するようにしてもよい。作成された再生リストは、記憶装置120に記憶され、その後、入力部70を介して編集したり、削除することが可能である。
【0025】
図3は、図1に示すオーディオ再生プログラムの機能ブロック図である。オーディオ再生プログラム94は、図2に示す再生リストを作成する再生リスト作成部140と、作成された再生リストを記憶装置120に記憶する再生リスト記憶部142と、再生すべき再生リストを選択する再生リスト選択部144と、再生リストのアルバムに対応するアルバム画像データを含むオーディオ画面を生成するオーディオ画面生成部146と、生成されたオーディオ画面のレイヤをナビゲーション画面のレイヤに合成しオーディオ画面を表示するオーディオ画面表示部148と、ユーザからの入力に応じて再生リストの編集を行う再生リスト編集部150と、再生リストに従い楽曲を再生する再生部152とを含んでいる。
【0026】
次に、AVNシステムにおけるオーディオ画面の表示動作について図4のフローを参照して説明する。ここでのオーディオ画面の表示は、ナビゲーション機能部20の実行によりナビゲーション画面、すなわち自車位置周辺の道路地図情報がディスプレイに表示されているときに行われるものとする。先ず、再生リスト作成部140によって図2に示すような再生リストが作成される(ステップS200)。再生リストが作成されると、再生リスト記憶部142は、作成された再生リストを記憶装置120に記憶する(ステップS201)。
【0027】
ユーザからの指示に応答してオーディオ機能部30が実行されると、再生リスト選択部144により、記憶装置120に記憶された複数の再生リストのいずれかが選択される(ステップS202)。この選択は、ユーザの指示によって行われても良いし、オーディオ再生の指示に応答して自動的に、例えば最新の再生リストを選択するようにしてもよい。
【0028】
再生リストが選択されると、オーディオ画面生成部146は、選択された再生リストのアルバムに対応するアルバム画像データを含むオーディオ画面を生成する(ステップS203)。図5は、オーディオ画面の構成例を示す図である。オーディオ画面200は、同図に示すように、矩形状の複数のエリア210、212、214、216、218、220に分割され、各エリアに対応するアルバム画像データが割り当てられる。この例では、オーディオ画面200が6つのエリアに分割され、各エリアには、6つのアルバム画像データが表示される。
【0029】
エリア210は、再生エリアであり、再生エリア210に表示されたアルバム画像データに対応するアルバムが再生される。エリア212〜220は、再生リストのアルバムの再生順に対応する。例えば、エリア212に表示されたアルバム画像データは、次に再生されるアルバムであり、再生エリア210のアルバムの再生が終了すると、エリア212のアルバム画像データが再生エリア210にスクロールされる。これに応じて、エリア214のアルバム画像データがエリア212へ移動し、同様に他のエリア216〜220に表示されたアルバム画像データも移動する。もし、再生リストが6つより多くのアルバムを含むならば、エリア220に7番目のアルバム画像データが表示される。破線230は、オーディオ画面の表示エリアであり、表示エリア230の外側はブランク232である。このブランク232は、アルバム画像データまたはオーディオ画面がスクロールされるときに表示される。
【0030】
次に、オーディオ画面表示部148は、生成されたオーディオ画面をナビゲーション画面に合成して表示させる(ステップS204)。図6(a)は、オーディオ画面をナビゲーション画面に合成したときの表示例である。同図に示すように、ナビゲーション画面300は、自車位置マークMと、自車位置周辺の道路地図情報302を含んでいる。ここでは、ナビゲーション画面300は、自車の進行方向が常に上を向くヘッドアップで表示されている。
【0031】
オーディオ画面は、上記したように、複数のエリア210〜220にアルバムを対応したアルバム画像データを含み、これらのアルバム画像データは、道路地図情報の背景画として表示される。オーディオ画面200の再生エリア210は、ナビゲーション画面上の自車位置マークMに重複している。つまり、自車位置マークMは、再生中のアルバムを指標することになる。図6(a)の表示例は、アルバム画像データA、B、C、D、E、Fを表示しており、自車位置マークMに重複するアルバム画像データEのアルバムが再生中であることを示している。また、次に再生されるアルバムは、再生エリア210に隣接するエリア212であり、このエリア212は、自車位置マークMが存在する道路の進行方向に一致する。なお、再生エリア210をより分かり易くするため矩形状の枠で強調表示するようにしてもよい。
【0032】
再生部150は、再生エリア210のアルバムに含まれる楽曲を再生する(ステップS205)。再生された楽曲のオーディオデータは、音声制御部50を介してスピーカから出力される。再生部150により再生時間が経過すると、アルバムの残りの再生時間が減少する。オーディオ画面生成部148は、再生時間の経過に併せてオーディオ画面をスクロールさせ、アルバムの残りの再生時間があとどれくらいあるのかを表示する。
【0033】
図6(b)は、オーディオ画面のスクロール例である。図5(a)に示すように、アルバムの再生開始時、表示エリア230は、エリア210〜220に割り当てられたアルバム画像データをすべて表示している。再生時間の経過につれて、オーディオ画面生成部148は、図5(b)に示すように、表示エリア230の位置を相対的に位置230aに向けて移動させ、これによりオーディオ画面をスクロールさせる。このスクロールにより、自車位置マークMに対するアルバム画像データの位置が可変し、これがアルバムの残りの再生時間の目安となる。図6(b)に示すように、自車位置マークMを指標に、再生エリア210のアルバムEの再生終了が間近であり、次のアルバムBの再生が直ぐであることを確認することができる。また、自車が走行していれば、道路地図情報も走行に応じてスクロールされる。
【0034】
アルバムEの再生が終了すると、アルバムBが再生エリア210に突入し、アルバムBに含まれる楽曲の再生が開始される。こうして、選択された再生リストに含まれるすべてのアルバムの再生が終了すると(ステップS207)、次の再生リストの再生を開始することができる。
【0035】
次に、本実施例によるオーディオ画面の種々の表示態様および再生リストの編集について説明する。
(A)再生リストの表示
図6(a)は、再生リストのアルバム画像の基本表示パターンである。上記したように、各アルバム画像データは、ナビゲーション画面300上の道路地図302の背景として分割して表示され、再生エリア210は、自車位置マークMと重複する位置に設定されている。自車位置マークMは、アルバムの進行状態を示し、アルバムEの再生時間の目安となる。さらに、自車位置マークMは、その進行方向上にあるアルバムBが次に再生されるアルバムであることを示す。図6(b)は、再生中のアルバムが終盤にさしかかり、次に再生予定のアルバムに移り変わる直前の状態を示している。アルバムEの再生時間とともにオーディオ画面がスクロールし、アルバムEから次のアルバムBに切り替わることになる。アルバムBが再生されると、同様に、自車位置マークMの進行方向上に次に再生予定のアルバムAが表示される。アルバムの再生順は、再生リストにより予め決定されている。
【0036】
図7(a)は、アルバム画像データの他の表示例である。図6に示す表示例では、再生エリア210が自車位置マークMと一致していたが、図7(a)に示す表示例は、再生エリア210aを自車位置マークMの位置と異にし、自車位置周辺エリア310に隣接する図中右側の位置に再生エリア210aを設定し、そこに再生中のアルバム画像データを表示する。つまり、自車位置周辺エリア310は、アルバム画像データを背景画に用いない通常の道路地図情報302を表示している。この場合、オーディオ画面において、自車位置周辺エリア310に対応するエリアはブランクとなる。自車位置周辺エリア310以外のエリアは、アルバム画像データが背景画として表示される。
【0037】
次に再生予定のアルバムは、自車位置マークMの進行方向、つまり自車位置周辺エリア310上に表示されているアルバム画像データBである。再生エリア210aと自車位置周辺エリア310とを別々に設定することで、自車位置週辺の道路地図が幾分見やすくなる効果がある。なお、図7の例では、自車位置周辺エリア310の大きさを、他の再生エリア210aの大きさと同程度にしているが、自車位置周辺エリア310の大きさを再生エリア210aよりも大きくしてもよい。また、自車位置周辺エリア310は、必ずしも矩形状であることを要しない。
【0038】
図7(a)の表示中のアルバム画像データEをユーザがマウスまたはタッチパネルにより選択すると、図7(b)に示すように、アルバムに含まれるトラックリスト320が表示される。トラックリスト320は、楽曲の再生順、アルバムに含まれる楽曲の曲名(タイトル)、再生時間等を含んでいる。図7(b)は、アルバムEの楽曲#1が再生中であることが示されている。好ましくは、現在再生中の楽曲がハイライトされ、その楽曲の再生時間等も併せて表示される。さらに、トラックリスト320からユーザが所望の楽曲を選択することで、その楽曲の再生を行うことができる。このように、アルバム画像を選択するだけで、ユーザは、アルバムの再生状態を確認することができる。また、再生リスト210a以外のアルバム画像データが選択された場合にも、当該アルバムのトラックリストを表示するようにしてもよい。
【0039】
(B)再生リストの編集
次に、ナビゲーション画面上での再生リストの編集方法を示す。図8(a)は、図6(a)で示した再生エリア210が自車位置マークMと一致する表示例である。この例では、アルバムEが再生中であり、次にアルバムBが再生される。ユーザは、アルバムの再生順を変更しようとする場合、アルバム画像データを移動(例えばドラッグアンドドロップの操作)させることができる。すなわち、オーディオ画面は、再生リストの編集を行うためのユーザインターフェースとして機能する。アルバム画像データの移動があったとき、再生リスト作成部140は、この移動に応じて再生リストを更新する。
【0040】
図8(b)は、アルバム画像を移動させたときの表示例である。図8(a)に示す表示例において、ユーザは、再生中のアルバムEではなく、アルバムAを聞きたい場合、アルバムAをクリックまたはタッチして選択する。アルバムAが選択されると、アルバムAと再生中のアルバムEとが入れ替わり、アルバムAが再生エリア210へ移動し、アルバムAの再生が開始される。この場合、再生リスト作成部140は、アルバムAとアルバムEの再生順を変更する。なお、アルバムAを選択したとき、必ずしもアルバムAとアルバムEの再生順を交換するのではなく、アルバムAの再生順をアルバムEよりも先にするようにしてもよい。この場合、アルバムEは、アルバムAの次の再生予定位置に移動される。
【0041】
図9は、他の再生リストの編集例であり、ここでは、道路地図情報の表示を省略してある。図9(a)は、図6(a)で示した基本表示パターンである。アルバムEの再生中に、アルバムCの10番目の楽曲を聞きたい場合、アルバム画像Cをドラックアンドドロップ又はクリックし、図9(b)に示すように、再生エリア210に移動させる。これにより、アルバムEとアルバムCの画像が入替わり、アルバムCの先頭の楽曲から再生が開始される。ここで、アルバム画像Cをクリックすると、図9(c)に示すように、アルバムCのトラックリスト320が表示され、そこに含まれる10番目の楽曲#10を選択することで、楽曲#10が再生される。楽曲#10番は、最後の曲であるため、図9(d)に示すように、オーディオ画面がスクロールされ、アルバム画像Cの上部に自車位置マークMが表示される。これにより、ユーザはアルバムCがもうすぐ終了し、次にアルバムBが再生されることを視覚的に判断できる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0043】
上記実施例では、楽曲を再生をする例を示したが、この場合には、AVNシステムは、必ずしもビジュアル機能部を必要としない。他方、本発明は、ビデオデータの再生にも適用可能であり、この場合にも上記と同様に、再生リストに含まれる再生グループに対応した画像情報をナビゲーション画面の背景画として表示すればよい。
【0044】
上記実施例では、オーディオ画面を複数の矩形状のエリアに分割しそこにアルバム画像データを表示したが、必ずしもエリアは矩形状でなくてもよい。また、アルバム画像データは、2次元的な表示例を示したが、勿論、3次元的であってもよい。同様に、道路地図情報も3次元的な表示であってもよい。
【0045】
さらに、再生リストを編集する際のアルバム画像データの移動方法は、上記した説明に限定されることなく、リモコン操作や他の操作によって移動させるようにしてもよい。また、上記実施例では、ナビゲーション画面は、道路地図情報に加えて他の情報を表示するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係るAVNシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】記憶装置に記憶される再生情報のデータ構造の一例を説明する図である。
【図3】本実施例に係るオーディオ再生プログラムの機能ブロック図である。
【図4】本実施例によるオーディオ画面の表示動作を説明するフローチャートである。
【図5】オーディオ画面の構成例を示す図である。
【図6】図6(a)は、オーディオ画面とナビゲーション画面とを合成して表示した例、図6(b)は、再生時間の経過とともにオーディオ画面をスクロールした例である。
【図7】本実施例に係る再生リストの他の表示例であり、図7(a)は自車位置マークの表示エリアと異なる位置に再生エリアを設定したときの表示例、図7(b)はトラックリストの表示例である。
【図8】本実施例に係るナビゲーション画面上での再生リストの編集方法を示し、図8(a)はアルバム画像の移動前の状態を示し、図8(b)はアルバム画像を再生エリアへ移動した状態を示す。
【図9】本実施例に係るナビゲーション画面上での再生リストの他の編集方法を示し、図9(a)はアルバム画像の移動前の状態を示し、図9(b)はのアルバム画像を入替えた状態を示し、図9(c)は再生リストのアルバム画像のトラックリストの表示例を示し、図9(d)はアルバム画像がスクロールされた状態を示す。
【符号の説明】
【0047】
10:AVNシステム 20:ナビゲーション機能部
30:オーディオ機能部 40:ビジュアル機能部
50:音声出力部 60:表示制御部
70:入力部 80:CPU
90:プログラムメモリ 94:オーディオ再生プログラム
100:データメモリ 102:道路地図データ
104:オーディオデータ 106:再生リスト
200:オーディオ画面 210:再生エリア
212〜220:エリア 230:表示エリア
300:ナビゲーション画面 302:道路地図
320:トラックリスト M:自車位置マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの道路地図情報を案内する機能を備えたナビゲーション手段と、
ディスプレイと、
ナビゲーション手段の実行により得られた道路地図情報をディスプレイに表示する道路地図情報表示手段と、
複数の楽曲をグループ化した再生グループを複数含みかつ複数の再生グループの再生順を決めた再生リストと、再生リストに含まれる複数の再生グループにそれぞれ対応する画像情報と、複数の再生グループに含まれる楽曲データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された再生リストの再生を行うとき、当該再生リストの複数の再生グループの画像情報を、前記再生グループの再生順に対応したエリアに前記道路地図情報と同時にディスプレイに表示する再生グループ表示手段と、
ディスプレイに表示された再生グループに含まれる楽曲を再生する再生手段と、
を有する車載用電子システム。
【請求項2】
前記再生グループ表示手段は、前記複数の再生グループの画像情報を前記道路地図情報の背景画として表示する、請求項1に記載の車載用電子システム。
【請求項3】
前記道路地図情報は、自車位置マークを含み、自車位置マークと重複するエリアは、画像情報を再生する再生エリアである、請求項1に記載の車載用電子システム。
【請求項4】
自車位置マークが位置する道路の進行方向に位置するエリアは、次に画像情報の再生が予定されるエリアである、請求項3に記載の車載用電子システム。
【請求項5】
再生グループ表示手段は、再生グループの再生時間の経過に応じて画像情報をスクロールする、請求項1に記載の車載用電子システム。
【請求項6】
車載用電子システムはさらに、ユーザ入力に応答してディスプレイ上の画像情報が表示されるエリアを変更する変更手段と、画像情報が表示されるエリアの変更に応答して再生リストを更新する更新手段とを含む、請求項1に記載の車載用電子システム。
【請求項7】
前記変更手段は、画像情報が選択されたとき、当該選択された画像情報を再生エリアに移動する、請求項6に記載の車載用電子システム。
【請求項8】
ユーザ入力に応答してディスプレイ上に表示された画像情報が選択されたとき、前記再生グループ表示手段は、選択された再生グループに含まれる複数の楽曲の楽曲データを表示する、請求項1に記載の車載用電子システム。
【請求項9】
ユーザ入力に応答して前記複数の楽曲のいずれかが選択されたとき、前記再生手段は、当該選択された楽曲を再生する、請求項8に記載の車載用電子システム。
【請求項10】
前記再生グループは、複数の楽曲をグループ化したアルバムであり、前記画像情報は、アルバム画像である、請求項1ないし9いずれか1つに記載の車載用電子システム。
【請求項11】
車載用電子システムにおけるナビゲーション画面上での再生リストの表示方法であって、
複数の楽曲をグループ化した再生グループを複数含みかつ複数の再生グループの再生順を決めた再生リストと、再生リストに含まれる複数の再生グループにそれぞれ対応する画像情報と、複数の再生グループに含まれる楽曲データを記憶するステップと、
前記記憶された再生リストの再生を行うとき、当該再生リストの複数の再生グループの画像情報を、前記再生グループの再生順に対応したエリアにナビゲーション画面の背景画としてディスプレイに表示するステップと、
再生グループの再生時間の経過に応じて画像情報をスクロールさせるステップと、
を含む再生リストの表示方法。
【請求項12】
ナビゲーション画面の自車位置マークと重複するエリアは、画像情報を再生する再生エリアである、請求項11に記載の表示方法。
【請求項13】
表示方法はさらに、ユーザ入力に応答してディスプレイ上の画像情報が表示されるエリアを変更するステップと、画像情報の表示されるエリアの変更に応答して再生リストを更新するステップとを含む、請求項11に記載の表示方法。
【請求項14】
車載用電子システムにおけるナビゲーション画面上での再生リストの表示プログラムであって、
複数の楽曲をグループ化した再生グループを複数含みかつ複数の再生グループの再生順を決めた再生リストと、再生リストに含まれる複数の再生グループにそれぞれ対応する画像情報と、複数の再生グループに含まれる楽曲データを記憶するステップと
前記記憶された再生リストの再生を行うとき、当該再生リストの複数の再生グループの画像情報を、前記再生グループの再生順に対応したエリアにナビゲーション画面の背景画としてディスプレイに表示するステップと、
再生グループの再生時間の経過に応じて画像情報をスクロールさせるステップと、
を含む再生リストの表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−41913(P2009−41913A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203856(P2007−203856)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】