説明

車載用電子装置及び車載用電子システム

【課題】携帯装置を簡単に取り外すことができ、かつ前面領域を拡大することが可能な車載用電子装置及び車載用電子システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、携帯装置装着部に携帯装置10を着脱可能とした凹部が形成され、携帯装置10が凹部に装着された状態で前記携帯装置装着部から見て右または左の携帯装置の10側面202を露出する切欠部を有する前面部を具備している車載用電子装置である。本発明によれば、ユーザは携帯装置の右または左側を容易に持つことができ、携帯装置を簡単に取り外すことができる。また、前面領域を拡大することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載用電子装置及び車載用電子システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開放)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、車載機器からCDユニットを着脱可能とする構成が開示されている。特許文献3及び特許文献4には、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【0005】
特許文献6には、車載機器の前面に上面が開放された凹部からなる収納部を有し、ナビゲーション部であるポータブル部を開放された上面からスライドさせ着脱する車載機器が開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【特許文献6】特開2005−173653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献6の車載機器を車両に取り付けた場合、図1(A)のように、携帯装置装着部として収納部170aを車両のコンソール210の前面212から突出し、ポータブル機器10aを収納部170aの上部から上下にスライドさせて装着または脱離することとなる。このため、ポータブル機器10aの着脱の際に、ポータブル機器10aが車載機器100aの上部のエアコン出口等に当たってしまうことがある。このように、ポータブル機器10aの着脱に支障が生じる場合がある。また、ポータブル機器10aの前面200がコンソール210の前面212から突出しているため、ユーザが車両の操作中に車載機器100aに誤って触れてしまうことがある。このように、車両内の空間を狭めてしまう。
【0007】
そこで、図1(B)のように、コンソール210の前面212から車載機器100bの前面212の突き出し量L1を小さくすることが考えられる。しかしながら、突き出し量L1がポータブル機器10bの幅L2より小さい場合、特許文献6のように、収納部170bから上方向にスライドしポータブル機器10bを取り出すことが難しい。そこで、図1(C)のように、凹部を有する収納部170bを車載機器100bの前面200に設ける。図1(B)のように、ポータブル機器10bを収納部170bから前面方向に排出することにより取り出す。この場合、ポータブル機器10bの収納部170からの排出量が小さいとユーザがポータブル機器10bを把持することが難しく、簡単にポータブル機器10bを取り出すことができない。また、ポータブル機器10b収納部170からの排出量を大きくしようとすると、ポータブル機器10bを収納部170から押し出すための機構が大型化してしまう。
【0008】
また、図1(C)の構成では、凹部を有する収納部170bの四方に側壁213〜216が設けられる。よって、前面200に、車載機器100bを操作するための操作部を設ける領域が減少してしまう。車載機器は、限られたコンソールに収めるため前面から見た面積が制限される。このため、操作部を設ける領域が制限されてしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、携帯装置を簡単に取り外すことができ、かつ収納部以外の前面領域を広くすることが可能な車載用電子装置及び車載用電子システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、携帯装置装着部に携帯装置を着脱可能とした凹部が形成され、前記携帯装置が前記凹部に装着された状態で前記携帯装置装着部から見て右または左の前記携帯装置の側面を露出する切欠部を有する前面部を具備していることを特徴とする車載用電子装置および車載用電子装置である。本発明によれば、ユーザは切欠部から携帯装置の右または左側を容易に持つことができ、携帯装置を簡単に取り外すことができる。また、凹部以外の前面領域を広くすることができる。
【0011】
上記構成において、前記携帯装置を離脱する際に、前記携帯装置の前記切欠部側を押し出す押出部を具備する構成とすることができる。この構成によれば、携帯装置を取り外す際に、車載電子装置の前面と携帯装置との間の隙間が大きくすることができる。よって、携帯装置がより把持しやすくなる。
【0012】
上記構成において、前記携帯装置の側面にストラップ孔が設けられ、前記切欠部は、前記携帯装置が前記凹部に装着された状態で、前記ストラップ孔を露出する構成とすることができる。この構成によれば、ストラップ孔に結ばれた紐を容易に引き出すことができる。
【0013】
上記前記携帯装置は携帯ナビゲージョン装置である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザは携帯装置の右または左側を容易に持つことができ、携帯装置を簡単に取り外すことができる。また、凹部以外の前面領域を広くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図2は、電子システムの一例である車載システムの外観形状を示す図である。
【0017】
図2に示すように車載システム1(車載用電子システム)は、車両に搭載される車載機器100(車載用電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯装置)とから構成される。ポータブル機器10は、車載機器100の前面部120に取り付けて使用でき、さらに車載機器100から取り外して状態で単独で使用することができる。
【0018】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disk)及びDVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に書き込まれた音楽データ及び動画像データの再生機能を有している。また、車載機器100は、記録媒体の再生部や記録媒体の挿排口を有する本体部110と、表示部131や操作部132をを備えている。ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0019】
図3は、ポータブル機器10を取り外した車載機器100の前面部120を示している。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された収納部170(携帯装置装着部)が設けられている。この収納部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック部161及びリブ162と、ポータブル機器10の一端をリブ162に案内するスロープ163と、ポータブル機器10を収納部170の背面から収納部170の前面に向けて押し出す押出部164とが設けられている。
【0020】
尚、収納部170には、押出部164を逃がすための逃げ孔165が形成されている。また、リブ162は、収納部170の左側に2箇所にわたって設けられている。スロープ163は、2つのリブ162を、上下から挟むように2箇所にわたって形成されている。リブ162は、それぞれ3つに併設された突部を有している。
【0021】
前面部120に設けられた取り外しボタン160を操作すると、ロック部161による固定が解除され、前面部120からポータブル機器10が取り外し可能となる。尚、収納部170は、ポータブル機器10が収納部170に装着された状態でポータブル機器10の右側面を露出させる切欠部169を有している。切欠部169の詳細は後述する。
【0022】
図4は、前面部120を本体部110に対して傾斜させ、挿排口180を露出させた状態を示す図である。
【0023】
不図示の駆動機構によって図4に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を本体部110に対してチルトさせることができる。チルト動作によって、本体部110に設けられた挿排口180を露出させ、記録媒体の挿排を行うことができる。車載機器100の前面部120には、操作ボタン(具体的には、図7に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0024】
図5は、車載システム1の車両への搭載例を示す図である。
【0025】
車載システム1は、例えば図5に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。なお、図示していないが、後述するGPS情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置されるか、又はフロントガラスの車室側に貼り付けられる。
【0026】
図6は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0027】
車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30が設けられている。これらのコネクタ150、30を互いに接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信され、車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0028】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、及びコネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はIGの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力が供給されて動作する。
【0029】
表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、及び再生楽曲名等を表示する。
【0030】
操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替える操作指示や、切り替えた各種モードでの操作指示を入力する。操作部132は、図7に示すように、前面部120をチルトさせるためのチルト/イジェクトボタン132a、再生対象のラジオの周波数帯域又は再生対象の記録媒体のトラックを切り替えるためのバンド/チューンボタン132b、表示部131に表示されるタイトル等を切り替えるためのTEXTボタン132c、表示部11に表示される画像をナビゲーション画像及びDVDの動画像のいずれかに切り替える又は音量を調整するためのSCREENボタン132d、再生対象のソースの切替又は車載機器100の電源のオン/オフを行うためのSOURCE/PWRボタン132e、音質を制御するためのCONTROLボタン132f、及び音声をカットする又は表示部11の表示を点灯/消灯するためのMUTE/SCREENOFFボタン132gを備えている。
【0031】
図6に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。
【0032】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。
【0033】
再生部135は、CDやDVD等の記録媒体に記録された音声データや動画像データを再生し、再生信号を制御部140に出力する。
【0034】
なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0035】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。
【0036】
メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報を一時的に記憶しておく。マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。
【0037】
外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0038】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、及び音声調整部136などを制御する。また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。
【0039】
なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。
【0040】
また、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134や再生部135の制御を行う。
【0041】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車載機器100に車速パルスが入力されない構成であってもよい。
【0042】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、及びコネクタ30を備えている。
【0043】
表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、並びに車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、及び再生楽曲名等を表示することができる。
【0044】
なお、表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0045】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図7A参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0046】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載装置100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0047】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0048】
蓄電池15は、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態では、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット57(図8(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0049】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0050】
メモリ18は、例えば、読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0051】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶したSD(Secure Digital)カードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーションのための地図画像を作成する。作成した地図画像は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持していてもよい。
【0052】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、取得した音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0053】
図8(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、底面図、左側面図、及び右側面図を示し、図8(B)に、ポータブル機器10の背面図を示す。
【0054】
ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、ポータブル機器10の底面には、SDメモリカードスロット56、USBスロット57、及びイヤホンジャック58が設けられている。また、ポータブル機器10の左側面には、図3のリブ162を収容する凹部59が設けられており、ポータブル機器10の背面には、車載機器100との電気的に接続するためのコネクタ30が設けられている。さらに、ポータブル機器10の底面及び背面には、図3の押出部164と係合する係合溝60が設けられている。
【0055】
地図情報が記憶されたSDカード又はUSBメモリをそれぞれSDメモリカードスロット56又はUSBスロット57に差し込むことで、制御部20は、SDカード又はUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0056】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン又はオフされる。
【0057】
図9(A)は、ポータブル機器10が収納部に収納された状態を示す模式図。図9(B)は、ポータブル機器10の模式図である。図9(A)を参照に、実施例1によれば、携帯装置装着部である収納部170(図3参照)には、右面が開放された凹部が形成されている。凹部は、前面部120の前面に設けられ、ポータブル機器10を脱着可能とする。つまり、前面部120は、ポータブル機器10が凹部に装着された状態で前面部120の前面から見て右のポータブル機器10の側面202を露出する切欠部169を有している。これにより、ユーザは切欠部169(図3参照)を介しポータブル機器10の右側(図9(B)の領域206)を容易に持つことができ、ポータブル機器10を簡単に取り外すことができる。
【0058】
また、図9(A)を参照に、収納部170の右側の側壁(図1(C)の側壁213参照)が設けられていないため、収納部170を右側に配置できる。これにより、収納部170の左の領域208を有効に利用することができる。特に、ポータブル機器10が横長な場合、図1(C)のように収納部170を設けると、領域208の面積が小さくなる。よって、切欠部169を設けることが特に有効である。
【0059】
なお、切欠部169は収納部170の前面から見て左側に設けられていてもよい。しかしながら、ポータブル機器10を右手で持つためには、切欠部169は収納部170の前面から見て右側に設けられることが好ましい。
【0060】
図10は、収納部からポータブル機器10を排出する際の状態を示す図である。ポータブル機器10の正面から見て右側が収納部170(図3参照)から押し出されている。これにより、ユーザは、ポータブル機器10の右側を簡単に把持することができる。このように、押出部(図11参照)が、ポータブル機器10を離脱する際に、ポータブル機器10の切欠部169側を前面に押し出す。これにより、前面部120とポータブル機器10との間の隙間が大きくなり、ポータブル機器10をより把持しやすくなる。このとき、切欠部169を有することにより、ポータブル機器10の前面への押し出し量が小さくともポータブル機器10を容易に把持することができる。よって、押出部がポータブル機器10を押し出す量は小さくてもよく、押出部を小型化することができる。
【0061】
次に、図3および図8を参照に、収納部170からのポータブル機器10の着脱について説明する。収納部170にポータブル機器10が装着された状態で取り外しボタン160が押されると、ロック部161による固定が解除され、押出部164がポータブル機器10の背面を押すことによって、ポータブル機器10は収納部170の前面側へと押出される。この際、凹部59とリブ162との係合しているため、ポータブル機器10の左側面側(一辺側)が収納部170に収納されてポータブル機器10の右側面側(対向辺側)が収納部170から押し出される。詳細には、左側面を軸として右側面が旋回するようにしてポータブル機器10は収納部170から押出される。図8は、収納部170から押出されたポータブル機器10の状態を示す図である。図8に示すように、切欠部169が形成された側が手前に押出されることになる。凹部59、リブ162は、案内機構に相当する。
【0062】
図2、図3等に示したように、収納部170には、ポータブル機器10の右側面が露出するように切欠部169が設けられている。このように、収納部170の右側に切欠部169を設けることができたのは、押出部164を収納部170の背後に配置したためである。尚、図9に示した状態で、ポータブル機器10は、押出部164によって取り外し可能に支持される。詳しくは後述する。
【0063】
次に、押出部164について詳細に説明する。図11は、押出部164の斜視図、図12は、前面部120の背面側から見た押出部164を示した図、図13は、前面部120の切欠断面図である。図10乃至図13は、収納部170からポータブル機器10が取り外された状態を示している。図11、図12に示すように、押出部164は、軸部164a、腕部164b、ばね164c、支持ピン164d、遮蔽部164eを有している。
【0064】
押出部164は、収納部170の背後に配置されている。軸部164aは、収納部170の背後において回転可能に支持されている。腕部164bは、軸部164aから径方向外側に延伸している。ばね164cは、付勢部材に相当し、軸部164aに巻きつけられ、腕部164bが収納部170に装着されたポータブル機器10を押出すように作用させる。支持ピン164dは、腕部164bの先端部に形成されている。腕部164bは、詳しくは後述するが、図9に示された状態でポータブル機器10を取り外し可能に支持する支持部に相当する。遮蔽部164eは、腕部164bの底面側に薄板状に形成されている。
【0065】
逃げ孔165は、ポータブル機器10が取り外された状態において、腕部164bと当接する縁部165aを有している。縁部165aは、腕部164bの外形に沿うように形成されている。ばね164cの作用により、腕部164bは、軸部164aに押し付けられる。腕部164bが、縁部165aに当接することにより、腕部164bの回転範囲が規制される。
【0066】
次に、ポータブル機器10と車載機器100との着脱方法について詳細に説明する。図14(A)乃至図14(C)は、ポータブル機器10と車載機器100との着脱方法の説明をするための切欠断面図である。ポータブル機器10を車載機器100に装着するためには、図14(A)に示すように、収納部170の側部に形成されたリブ162と、ポータブル機器10の側部に形成された凹部59とが係合するように、ポータブル機器10を収納部170に対して傾斜した状態で、図14(A)中の矢印の方向にポータブル機器10を挿入する必要がある。尚、図14(A)に示した状態においては、支持ピン164dには、ポータブル機器10の背面がばね164cの付勢力に抗して押し付けられる。
【0067】
図14(A)に示した矢印の方向にポータブル機器10が挿入されると、図14(B)に示すように、凹部59とリブ162とが係合すると共に、係合溝60と支持ピン164dとが係合する。係合溝60と支持ピン164dとが係合することにより、図14(B)に示した状態でポータブル機器10は支持される。
【0068】
尚、この際にスロープ163は、ポータブル機器10の背面と摺接して、凹部59とリブ162とが係合する位置へとポータブル機器10を案内する。凹部59とリブ162とが係合する位置とは、ポータブル機器10が収納部170に装着される位置である。即ち、スロープ163は、装着位置までポータブル機器10を案内する案内部に相当する。これによりポータブル機器10の装着が容易となる。
【0069】
次に、図14(B)に示した状態からポータブル機器10が収納部170へと押しこまれると、ロック部161がポータブル機器10をロックして図14(C)に示すように、ポータブル機器10が収納部170へ装着される。
【0070】
次に、収納部170からポータブル機器10の取り外しについて説明する。収納部170からポータブル機器10を取り外すには、取り外しボタン160を押し込むことにより、ロック部161によるロック状態が解除される。これにより、押出部164はポータブル機器10の背面から前面に向けて付勢しているので、ポータブル機器10は、凹部59とリブ162とが係合した状態で、収納部170から一部分押出される。即ち、図9、図14(B)に示した状態で、ポータブル機器10は収納部170から押出される。
【0071】
尚、収納部170から押出されたポータブル機器10は、係合溝60と支持ピン164dとが係合することにより、図14(B)に示した状態で支持される。詳細には、ポータブル機器10の自重により係合溝60と支持ピン164dとの係合状態が維持される。ユーザは、支持ピン164dによって支持されたポータブル機器10を、収納部170より若干手前側上方に持ち上げることにより、係合溝60から支持ピン164dが離脱して、ポータブル機器10を取り外すことができる。
【0072】
以上のようにして、車載機器100からポータブル機器10が着脱される。また、上述したように、押出部164は、ポータブル機器10の中央部、詳細には、左側面と右側面との間を押す。押出部164によるポータブル機器10の押す位置がポータブル機器10の右側面側、即ち、収納部170から排出される側に近いと、押出すために必要なストロークが大きくなる。ストロークが大きいと、押出部が大型化する恐れがある。しかしながら、本実施例のようにポータブル機器10の中央部を押すことにより、小さなストロークでもポータブル機器10を押出すことができ、押出部164が小型化されている。
【0073】
尚、押出部164を、収納部170の左側に配置することも考えられる。押出部164を収納部170の左側に配置すると、ポータブル機器10は、左側面を軸として旋回するように押出されるので、ポータブル機器10を押出すためのストロークは短くてすむ。しかしながら、ポータブル機器10を押出すための力を大きく設定する必要がある。このため、付勢力の大きなばねを採用することが必要となり、付勢力の大きなばねを採用した場合、押出部164に作用する力が増大することになる。これにより押出部164に対する負荷が増大して破損する恐れがある。また、収納部170の左側には操作部132等が設けられているので、押出部164を収納部170の左側に配置することはスペース上困難である。従って、本実施例の車載機器100のように押出部164を収納部170の背後に配置することにより、上記問題が防止されている。
【0074】
また、上述したように、押出部164によってポータブル機器10が押出された際には、係合溝60と支持ピン164dとが係合することによって、ポータブル機器10は取り外し可能に支持される。係合溝60は、ポータブル機器10の底面に近い位置であって、左側面と右側面との間の中央部に形成されている。従って、ポータブル機器10は、底面側の中央部で支持されることになる。重心に近い底面側の中央部にて支持されるので、ポータブル機器10は安定して支持される。尚、底面側で支持される、とは、ポータブル機器10の右側面、左側面、上面、底面のうち、最も底面に近い位置で支持されることである。
【0075】
また、遮蔽部164eは、図13に示すように、車載機器100からポータブル機器10が取り外された状態で、逃げ孔165の一部分を塞ぐ。これにより、車載機器100からポータブル機器10が取り外された状態において、ユーザが逃げ孔165と押出部164との間に指を挟みこむことを防止できる。
【0076】
また、図13に示すように、縁部165aは、腕部164bの側面に沿うように形成されている。例えばポータブル機器10を収納部170に装着する際に、ポータブル機器10の左側面が押出部164に接触して、図13において右方向に押出部164に対して力が加わる場合がある。このような場合に、押出部164に加えられた力が縁部165aによって分散され、軸部164aへ負荷が集中することを防止できる。これにより、押出部164の破損が防止されている。
【0077】
また、上述したように、スロープ163は、装着位置までポータブル機器10を案内する。このように、スロープ163を設けた理由について説明する。ポータブル機器10は、従来のものより薄型化されているため、左側面の面積が従来のものよりも小さい。従って、スロープ163が設けられていないと、ポータブル機器10の左側面に形成された凹部59と、リブ162とが係合しにくい状態となる。スロープ163を設けることにより、薄型化されたポータブル機器10を容易に車載機器100へと装着することができる。
【0078】
また、図13に示すように、リブ162は、根元側から先端側に向かって細くなる突状に形成されている。これにより、リブ162が凹部59に係合しやすくなる。また、リブ162は、先端が面取りされている。これにより、ポータブル機器10を収納部170へ装着する際に、リブ162の先端とポータブル機器10の右側面とが接触した場合に、ポータブル機器10に傷がつくことが防止され、またリブ162が破損することが防止されている。
【実施例2】
【0079】
実施例2は、ポータブル機器がストラップ孔を有する例である。図15はポータブル機器10の背面図である。ポータブル機器10は側面にストラップ孔220を有する。ストラップ孔220はポータブル機器10に紐等を結ぶ孔である。例えば、車載機器100を展示した際、ポータブル機器10の盗難防止のためポータブル機器10に紐等を結ぶ場合にストラップ孔220が用いられる。
【0080】
図15は、ポータブル機器10を前面部120に装着した際の側面図である。切欠部169には、ストラップ孔220を露出させる切欠222が設けられている。このように、切欠部169が、ポータブル機器10が収納部(凹部)に装着された状態で、ストラップ孔220を露出する。これにより、ストラップ孔220に結ばれた紐等を切欠部169から導出することができる。
【0081】
実施例1および2においては、前面部120は、図9(A)のように本体部110の前面に相対して自立した状態で、本体部110を遮断する。また、図4のように、前面部120の下部が前面にスライドした状態で、本体部110の前面を露出する。このように、前面部120は移動自在である。さらに、前面部120がこのように移動自在となるように、スライダー181を用い本体部110によって支持されている。このように、実施例1および2においては、前面部120と本体部110を有する例を説明したが、前面部120は移動自在でなく、車載機器100の前面に設けられていればよい。
【0082】
実施例1および2は、携帯装置としてポータブルナビ(携帯ナビゲーション装置)である例を説明した。携帯装置は収納部170に装着可能な装置であればよい。携帯装置がポータブルナビの場合、前面から見た表示部11の面積を大きくすることが求められ、その結果、収納部170が大きくなる。よって、本発明を用いることが有効である。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1(A)から図1(C)は、従来の課題を説明するための図であり、図1(A)及び図1(B)は車載機器を車両のコンソールに設けた側面模式図、図1(C)は車載機器の正面斜視模式図である。
【図2】図2は、車載システムの外観を示す図である。
【図3】ポータブル機器を取り外した車載機器の前面部を示す図である。
【図4】前面部を車載機器本体部に対してチルトし、CD挿排口を露出させた状態を示す図である。
【図5】車載システムを車両に搭載した状態を示す図である。
【図6】車載システムの構成を示す図である。
【図7】前面部の構成を示す図である。
【図8】図8(A)は、ポータブル機器の正面図、上面図、底面図、左側面図、及び右側面図であり、図8(B)は、ポータブル機器の背面図である。
【図9】図9(A)はポータブル機器を着装した車載機器の模式図、図9(B)はポータブル機器の模式図である。
【図10】図10は、収納部から押出されたポータブル機器の状態を示す図である。
【図11】図11は、押出部の斜視図である。
【図12】図12は、前面部の背面側から見た押出部を示した図である。
【図13】図13は、前面部の切欠断面図である。
【図14】図14(A)乃至図14(C)は、ポータブル機器と車載機器との着脱方法の説明をするための切欠断面図である。
【図15】図15は実施例2のポータブル機器の背面図である。
【図16】図16はポータブル機器を前面部に装着した際の前面部の側面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 車載システム(車載用電子システム)
10 ポータブル機器(携帯装置)
100 車載機器(車載用電子装置)
110 本体部
120 前面部
162 リブ
164 押出部
164a 軸部
164b 腕部
164c ばね
164d 支持ピン
164e 遮蔽部
165 逃げ孔
165a 縁部
169 切欠部
170 収納部
220 ストラップ孔
222 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯装置装着部に携帯装置を着脱可能とした凹部が形成され、前記携帯装置が前記凹部に装着された状態で前記携帯装置装着部から見て右または左の前記携帯装置の側面を露出する切欠部を有する前面部を具備していることを特徴とする車載用電子装置。
【請求項2】
前記携帯装置を離脱する際に、前記携帯装置の前記切欠部側を押し出す押出部を具備することを特徴とする請求項1記載の車載用電子装置。
【請求項3】
前記携帯装置の側面にストラップ孔が設けられ、
前記切欠部は、前記携帯装置が前記凹部に装着された状態で、前記ストラップ孔を露出することを特徴とする請求項1または2記載の車載用電子装置。
【請求項4】
前記携帯装置は携帯ナビゲージョン装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の車載用電子装置。
【請求項5】
携帯装置と、
携帯装置装着部に前記携帯装置を着脱可能とした凹部が形成された前面部を備えた車載用電子装置と、を具備し、
前記前面部は、前記携帯装置が前記凹部に装着された状態で前記携帯装置装着部から見て右または左の前記携帯装置の側面を露出する切欠部を有していることを特徴とする車載用電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−280113(P2009−280113A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134878(P2008−134878)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】