車載装置
【課題】ユーザが車内で歌を歌うのを楽しむために、適切なタイミングで適切な歌詞を表示する。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、ナビゲーション画面を表示する表示手段と、楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、歌詞表示要求を受け付ける手段とを備えている。再生手段は、歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った位置から再生し直す。表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を歌詞データから抽出してナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、ナビゲーション画面を表示する表示手段と、楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、歌詞表示要求を受け付ける手段とを備えている。再生手段は、歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った位置から再生し直す。表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を歌詞データから抽出してナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関し、特に、楽曲を再生する機能を持ったナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲を再生する機能を備えた車載装置がある。このような車載装置により、車内で楽曲が再生されれば、ユーザは、楽曲に合わせて歌を歌うことを楽しむことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−132771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、歌詞が分からない場合、歌うことはできない。本発明は、ユーザが車内で歌を歌うのを楽しむために、適切なタイミングで適切な歌詞を表示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく本発明の第1の態様である車載装置は、表示手段を備えている。そして、前記車載装置は、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備えている。
前記再生手段は、前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直す。
また、前記表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示する。
【0006】
前記表示手段は、表示した歌詞の部分に相当する楽曲の再生が終了した場合、歌詞の表示を終了するようにしてもよい。
【0007】
また、前記歌詞表示要求受付手段は、
再生し直す部分の長さを受け付けるようにしてもよい。
【0008】
また、本発明の第2の態様である車載用ナビゲーション装置は、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
ナビゲーション画面を表示する表示手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備えている。
前記再生手段は、前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直す。
前記表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して前記ナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声出力装置4と、入力装置5と、現在位置の算出のための各装置(車輪速センサ6、地磁気センサ7、ジャイロセンサ8、GPS(Global Positioning System)受信装置)と、を備えている。
【0011】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在位置を検出する。また、楽曲の再生に必要な音楽データに、再生に必要な処理(例えば、デコード処理やD/A変換処理)を施した後、生成した信号を音声出力装置4に出力する。
【0012】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。
【0013】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データ310、楽曲データ320、歌詞データ330などが記憶されている。
【0014】
図2は、楽曲データ320の構成例を示す。楽曲データ320には、曲目321ごとに、再生に必要な音楽データ322が格納されている。音楽データ322は、圧縮されたエンコードデータであってもよい。
【0015】
図3は、歌詞データ330の構成例を示す。歌詞データ330には、曲目331ごとに、再生開始からの時間帯332に対応付けられた歌詞のテキストデータ333が格納されている。すなわち、歌詞データ330を参照すれば、特定の曲目の再生開始からの特定の時間的位置における歌詞が分かるようになっている。
【0016】
図1に戻って説明する。音声出力装置4は、演算処理部1で生成されたメッセージや楽曲の信号を音声信号に変えて出力する。
【0017】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、ハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成することができる。例えば、楽曲の再生中は、入力装置5のいずれかのボタンがユーザからの歌詞表示要求受付ボタンとして機能するようにしてもよい。
【0018】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0019】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0020】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、ナビゲーション処理部42と、音声処理部43と、表示処理部44とを備えている。
【0021】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。
【0022】
ナビゲーション処理部42は、各センサ6〜8及びGPS受信装置9の出力から現在位置を求めたり、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路を探索したりする。また、探索された推奨経路の誘導情報を生成し、特定の地点においてディスプレイ2に誘導情報を表示する処理を行う。
【0023】
音声処理部43は、音声出力に関する処理を行う。例えば、楽曲データ320に格納されているある曲目の音楽データ322を最初から順番に読み込み、音声出力に必要な処理(例えば、デコード処理やD/A変換処理)を施した後、生成した信号を音声出力装置4に順に出力する処理を行う。
【0024】
表示処理部45は、ディスプレイ2への描画コマンドを生成する。例えば、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、歌詞を表示する場合は、歌詞データ330の中から、表示すべき歌詞のテキスト333を抽出し、抽出したテキストの表示コマンドを生成する。
【0025】
図5は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0026】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0027】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の楽曲再生処理について説明する。
【0028】
図6は、かかる処理におけるディスプレイ2の画面遷移の一例である。本実施形態の車載用ナビゲーション装置100は、ナビゲーション画面を表示しながら、楽曲の再生を行うことができる。
【0029】
図6(a)に示すように、表示画面200には、ナビゲーション処理部42により、ナビゲーション画面201が表示されている。ナビゲーション画面201には、現在位置202の周辺の地図と、推奨経路と、誘導情報などが表示されている。
【0030】
図7は、楽曲再生処理のフロー図である。このフローは、ユーザから入力装置5を介して、楽曲の再生要求を受け付けたときに開始される。
【0031】
まず、音声処理部43は、再生する曲目を設定する。例えば、音声処理部43は、楽曲データ320に格納されている楽曲の曲目321を表示し、その中からユーザに入力装置5を介して選択させる。そして、選択された曲目を、再生する曲目に設定する。なお、予め再生する曲目が設定されている場合、音声処理部43は、かかる処理を省略することができる(S100)。
【0032】
次に、音声処理部43は、楽曲データ320を参照して、S100で設定した曲目の音楽データ322を最初(演奏開始部分)から順に読み込む。そして、音声処理部43は、読み込んだ音楽データ322を順に、音声出力装置4で出力するための信号に変換した後、音声出力装置4を介して音声出力する(S200、S300)。
【0033】
こうして、音声処理部43は、順に音声データ322を読み込み音声出力していくが、楽曲の最後(演奏終了部分)の音声出力が完了すると(S400でYes)、楽曲再生処理を終了する。
【0034】
次に、楽曲の再生中に、歌詞表示の要求を受け付けたときの処理について説明する。この処理は、S200〜S300の処理の間に割込処理として行われる。
【0035】
図8は、音声処理部43が行う、歌詞表示の要求を受け付けたときの割込処理のフロー図である。
【0036】
音声処理部43は、楽曲の再生を一旦停止し(S311)、再生し直す部分の先頭である「戻り位置」を設定する。具体的には、図9に示すように、音声処理部43は、再生していた部分501から、予め定められた「戻り時間」(例えば、4秒分)502戻った位置を「戻り位置」504に設定する。さらに、音声処理部43は、「戻り位置」504の楽曲の最初からの時間的位置を求め、表示処理部44に出力する。例えば、楽曲の最初から50秒後に、歌詞表示要求を受け付けた場合で、設定されている「戻り時間」が4秒の場合、楽曲の開始から46秒の位置が「戻り位置」の時間的位置となる(S312)。
【0037】
そして、音声処理部43は、S312で設定した「戻り位置」からの楽曲の再生を再開する(S313)。こうして、音声処理部43は割り込み処理を終了する。
【0038】
上記のとおり、音声処理部43は、S312において表示処理部44に「戻り位置」を出力する。表示処理部44は、これを受けて、歌詞表示処理を行う。
【0039】
図10は、表示処理部44が行う、歌詞表示処理のフロー図である。
【0040】
表示処理部44は、再生し直す部分に相当する歌詞を取得する。上述したように音声処理部43から「戻り位置」の時間的位置を取得している。そこで、表示処理部44は、歌詞データ330を参照して、歌詞表示要求を受け付けたときに再生していた曲目331の、「戻り位置」の時間的位置の属する時間帯332の歌詞のテキストデータ333を取得する(S321)。
【0041】
そして、図6(b)に示すように、ディスプレイ2の表示画面200に、歌詞のテキスト210を表示する。このとき、歌詞のテキスト210をナビゲーション画面201とともに表示するようにしてもよい。また、歌詞のテキスト210を、ナビゲーション画面201の一部に重ねて表示することもできる。
【0042】
表示処理部44は、その後、再生し直す部分(表示している歌詞部分)の再生が終了したか否かを監視する(S323)。具体的には、再生の再開後、「戻り時間」の長さの再生がなされたときに、再生し直す部分の再生が終了したと判定する。
【0043】
そして、表示処理部44は、再生し直す部分の再生が終了したと判定した場合(S323でYes)、図6(c)に示すように、表示していた歌詞のテキスト210を消去し(S324)、歌詞表示処理を終了する。
【0044】
以上、歌詞表示要求を受け付けたときの、音声処理部43の処理と、表示処理部44の処理を説明した。
【0045】
なお、上記実施形態では、ユーザから歌詞表示要求を受け付けると、予め定めた「戻り時間」だけ戻って再生を行う。すなわち、短時間にユーザから歌詞表示要求を複数回受け付けると、一度に複数回分の「戻り時間」だけ戻って再生が行われることになる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0047】
本実施形態によれば、ユーザの歌詞表示要求をきっかけとして、ユーザの知りたい部分の歌詞が表示される。また、その部分の楽曲が再生し直されるので、ユーザは、歌詞を見ながら口ずさむことができる。
【0048】
また、車載用ナビゲーション装置のディスプレイには、ナビゲーション画面が表示されているため、常に再生中の楽曲の歌詞の全部を表示するというのは現実的ではない。本実施形態によれば、ユーザが知りたいと思うタイムングに、ユーザの知りたい部分の歌詞が表示されるので、画面が混雑するのを防止できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、ユーザの知りたい歌詞を表示することができる。すなわち、ユーザは、完全に歌詞を知らなくても、有る程度覚えていれば、再生される楽曲中の歌詞を聞いて、思い出しながら歌えるものである。しかしながら、車内で楽曲を聞く場合、周囲の騒音により、急に聞こえづらくなる場合がある。かかる場合、従来の車載機では、その部分の歌詞を確認するためには、巻き戻し操作をしなければならない。さらに音量を上げる操作もしなければならない。これに対して、本実施形態によれば、聞き取れなかった部分だけ、戻って再生し直すとともに、その部分の歌詞が表示される。したがって、煩雑な操作をユーザに要求しない。ユーザは、簡便な操作で、聞き取れなかった歌詞を確認しながら、車内で歌を歌うことを楽しむことができる。
【0050】
上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0051】
例えば、上述した「戻り時間」の長さは、ユーザが入力装置5を介して設定できるようにしてもよい。また、歌詞表示要求の際に、「戻り時間」の長さを指定できるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、「戻り時間」により再生し直す部分の長さを定めているが、楽曲の音楽データが小節単位で構成されている場合は、再生し直す部分の長さを、小節の数(例えば2小節)で定めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、楽曲データの構成例である。
【図3】図3は、歌詞データの構成例である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、表示画面の遷移図である。
【図7】図7は、楽曲再生処理のフロー図である。
【図8】図8は、割込処理のフロー図である。
【図9】図9は、「戻り位置」を説明するための図である。
【図10】図10は、歌詞表示処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0054】
100…車載用ナビゲーション装置、
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声出力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…地磁気センサ、8…ジャイロ、9…GPS受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ
41…ユーザ操作解析部、42…ナビゲーション装置、43…音声処理部、44…表示処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関し、特に、楽曲を再生する機能を持ったナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲を再生する機能を備えた車載装置がある。このような車載装置により、車内で楽曲が再生されれば、ユーザは、楽曲に合わせて歌を歌うことを楽しむことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−132771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、歌詞が分からない場合、歌うことはできない。本発明は、ユーザが車内で歌を歌うのを楽しむために、適切なタイミングで適切な歌詞を表示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく本発明の第1の態様である車載装置は、表示手段を備えている。そして、前記車載装置は、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備えている。
前記再生手段は、前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直す。
また、前記表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示する。
【0006】
前記表示手段は、表示した歌詞の部分に相当する楽曲の再生が終了した場合、歌詞の表示を終了するようにしてもよい。
【0007】
また、前記歌詞表示要求受付手段は、
再生し直す部分の長さを受け付けるようにしてもよい。
【0008】
また、本発明の第2の態様である車載用ナビゲーション装置は、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
ナビゲーション画面を表示する表示手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備えている。
前記再生手段は、前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直す。
前記表示手段は、再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して前記ナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声出力装置4と、入力装置5と、現在位置の算出のための各装置(車輪速センサ6、地磁気センサ7、ジャイロセンサ8、GPS(Global Positioning System)受信装置)と、を備えている。
【0011】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在位置を検出する。また、楽曲の再生に必要な音楽データに、再生に必要な処理(例えば、デコード処理やD/A変換処理)を施した後、生成した信号を音声出力装置4に出力する。
【0012】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。
【0013】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データ310、楽曲データ320、歌詞データ330などが記憶されている。
【0014】
図2は、楽曲データ320の構成例を示す。楽曲データ320には、曲目321ごとに、再生に必要な音楽データ322が格納されている。音楽データ322は、圧縮されたエンコードデータであってもよい。
【0015】
図3は、歌詞データ330の構成例を示す。歌詞データ330には、曲目331ごとに、再生開始からの時間帯332に対応付けられた歌詞のテキストデータ333が格納されている。すなわち、歌詞データ330を参照すれば、特定の曲目の再生開始からの特定の時間的位置における歌詞が分かるようになっている。
【0016】
図1に戻って説明する。音声出力装置4は、演算処理部1で生成されたメッセージや楽曲の信号を音声信号に変えて出力する。
【0017】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、ハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成することができる。例えば、楽曲の再生中は、入力装置5のいずれかのボタンがユーザからの歌詞表示要求受付ボタンとして機能するようにしてもよい。
【0018】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0019】
図4は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0020】
図示するように、演算処理部1は、ユーザ操作解析部41と、ナビゲーション処理部42と、音声処理部43と、表示処理部44とを備えている。
【0021】
ユーザ操作解析部41は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け、その要求内容を解析して、その要求内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1の各部を制御する。
【0022】
ナビゲーション処理部42は、各センサ6〜8及びGPS受信装置9の出力から現在位置を求めたり、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ推奨経路を探索したりする。また、探索された推奨経路の誘導情報を生成し、特定の地点においてディスプレイ2に誘導情報を表示する処理を行う。
【0023】
音声処理部43は、音声出力に関する処理を行う。例えば、楽曲データ320に格納されているある曲目の音楽データ322を最初から順番に読み込み、音声出力に必要な処理(例えば、デコード処理やD/A変換処理)を施した後、生成した信号を音声出力装置4に順に出力する処理を行う。
【0024】
表示処理部45は、ディスプレイ2への描画コマンドを生成する。例えば、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。また、歌詞を表示する場合は、歌詞データ330の中から、表示すべき歌詞のテキスト333を抽出し、抽出したテキストの表示コマンドを生成する。
【0025】
図5は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0026】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0027】
[動作の説明]次に、上記構成の車載用ナビゲーション装置100の楽曲再生処理について説明する。
【0028】
図6は、かかる処理におけるディスプレイ2の画面遷移の一例である。本実施形態の車載用ナビゲーション装置100は、ナビゲーション画面を表示しながら、楽曲の再生を行うことができる。
【0029】
図6(a)に示すように、表示画面200には、ナビゲーション処理部42により、ナビゲーション画面201が表示されている。ナビゲーション画面201には、現在位置202の周辺の地図と、推奨経路と、誘導情報などが表示されている。
【0030】
図7は、楽曲再生処理のフロー図である。このフローは、ユーザから入力装置5を介して、楽曲の再生要求を受け付けたときに開始される。
【0031】
まず、音声処理部43は、再生する曲目を設定する。例えば、音声処理部43は、楽曲データ320に格納されている楽曲の曲目321を表示し、その中からユーザに入力装置5を介して選択させる。そして、選択された曲目を、再生する曲目に設定する。なお、予め再生する曲目が設定されている場合、音声処理部43は、かかる処理を省略することができる(S100)。
【0032】
次に、音声処理部43は、楽曲データ320を参照して、S100で設定した曲目の音楽データ322を最初(演奏開始部分)から順に読み込む。そして、音声処理部43は、読み込んだ音楽データ322を順に、音声出力装置4で出力するための信号に変換した後、音声出力装置4を介して音声出力する(S200、S300)。
【0033】
こうして、音声処理部43は、順に音声データ322を読み込み音声出力していくが、楽曲の最後(演奏終了部分)の音声出力が完了すると(S400でYes)、楽曲再生処理を終了する。
【0034】
次に、楽曲の再生中に、歌詞表示の要求を受け付けたときの処理について説明する。この処理は、S200〜S300の処理の間に割込処理として行われる。
【0035】
図8は、音声処理部43が行う、歌詞表示の要求を受け付けたときの割込処理のフロー図である。
【0036】
音声処理部43は、楽曲の再生を一旦停止し(S311)、再生し直す部分の先頭である「戻り位置」を設定する。具体的には、図9に示すように、音声処理部43は、再生していた部分501から、予め定められた「戻り時間」(例えば、4秒分)502戻った位置を「戻り位置」504に設定する。さらに、音声処理部43は、「戻り位置」504の楽曲の最初からの時間的位置を求め、表示処理部44に出力する。例えば、楽曲の最初から50秒後に、歌詞表示要求を受け付けた場合で、設定されている「戻り時間」が4秒の場合、楽曲の開始から46秒の位置が「戻り位置」の時間的位置となる(S312)。
【0037】
そして、音声処理部43は、S312で設定した「戻り位置」からの楽曲の再生を再開する(S313)。こうして、音声処理部43は割り込み処理を終了する。
【0038】
上記のとおり、音声処理部43は、S312において表示処理部44に「戻り位置」を出力する。表示処理部44は、これを受けて、歌詞表示処理を行う。
【0039】
図10は、表示処理部44が行う、歌詞表示処理のフロー図である。
【0040】
表示処理部44は、再生し直す部分に相当する歌詞を取得する。上述したように音声処理部43から「戻り位置」の時間的位置を取得している。そこで、表示処理部44は、歌詞データ330を参照して、歌詞表示要求を受け付けたときに再生していた曲目331の、「戻り位置」の時間的位置の属する時間帯332の歌詞のテキストデータ333を取得する(S321)。
【0041】
そして、図6(b)に示すように、ディスプレイ2の表示画面200に、歌詞のテキスト210を表示する。このとき、歌詞のテキスト210をナビゲーション画面201とともに表示するようにしてもよい。また、歌詞のテキスト210を、ナビゲーション画面201の一部に重ねて表示することもできる。
【0042】
表示処理部44は、その後、再生し直す部分(表示している歌詞部分)の再生が終了したか否かを監視する(S323)。具体的には、再生の再開後、「戻り時間」の長さの再生がなされたときに、再生し直す部分の再生が終了したと判定する。
【0043】
そして、表示処理部44は、再生し直す部分の再生が終了したと判定した場合(S323でYes)、図6(c)に示すように、表示していた歌詞のテキスト210を消去し(S324)、歌詞表示処理を終了する。
【0044】
以上、歌詞表示要求を受け付けたときの、音声処理部43の処理と、表示処理部44の処理を説明した。
【0045】
なお、上記実施形態では、ユーザから歌詞表示要求を受け付けると、予め定めた「戻り時間」だけ戻って再生を行う。すなわち、短時間にユーザから歌詞表示要求を複数回受け付けると、一度に複数回分の「戻り時間」だけ戻って再生が行われることになる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0047】
本実施形態によれば、ユーザの歌詞表示要求をきっかけとして、ユーザの知りたい部分の歌詞が表示される。また、その部分の楽曲が再生し直されるので、ユーザは、歌詞を見ながら口ずさむことができる。
【0048】
また、車載用ナビゲーション装置のディスプレイには、ナビゲーション画面が表示されているため、常に再生中の楽曲の歌詞の全部を表示するというのは現実的ではない。本実施形態によれば、ユーザが知りたいと思うタイムングに、ユーザの知りたい部分の歌詞が表示されるので、画面が混雑するのを防止できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ユーザに煩雑な操作を要求することなく、ユーザの知りたい歌詞を表示することができる。すなわち、ユーザは、完全に歌詞を知らなくても、有る程度覚えていれば、再生される楽曲中の歌詞を聞いて、思い出しながら歌えるものである。しかしながら、車内で楽曲を聞く場合、周囲の騒音により、急に聞こえづらくなる場合がある。かかる場合、従来の車載機では、その部分の歌詞を確認するためには、巻き戻し操作をしなければならない。さらに音量を上げる操作もしなければならない。これに対して、本実施形態によれば、聞き取れなかった部分だけ、戻って再生し直すとともに、その部分の歌詞が表示される。したがって、煩雑な操作をユーザに要求しない。ユーザは、簡便な操作で、聞き取れなかった歌詞を確認しながら、車内で歌を歌うことを楽しむことができる。
【0050】
上記実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。
【0051】
例えば、上述した「戻り時間」の長さは、ユーザが入力装置5を介して設定できるようにしてもよい。また、歌詞表示要求の際に、「戻り時間」の長さを指定できるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、「戻り時間」により再生し直す部分の長さを定めているが、楽曲の音楽データが小節単位で構成されている場合は、再生し直す部分の長さを、小節の数(例えば2小節)で定めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、楽曲データの構成例である。
【図3】図3は、歌詞データの構成例である。
【図4】図4は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図6は、表示画面の遷移図である。
【図7】図7は、楽曲再生処理のフロー図である。
【図8】図8は、割込処理のフロー図である。
【図9】図9は、「戻り位置」を説明するための図である。
【図10】図10は、歌詞表示処理のフロー図である。
【符号の説明】
【0054】
100…車載用ナビゲーション装置、
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声出力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…地磁気センサ、8…ジャイロ、9…GPS受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ
41…ユーザ操作解析部、42…ナビゲーション装置、43…音声処理部、44…表示処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段を備える車載装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示する
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
表示手段を備える車載装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示し、表示した歌詞の部分に相当する楽曲の再生が終了した場合、歌詞の表示を終了する
ことを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記歌詞表示要求受付手段は、
再生し直す部分の長さを受け付ける
ことを特徴とする車載装置。
【請求項4】
車載用ナビゲーション装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
ナビゲーション画面を表示する表示手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して前記ナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項1】
表示手段を備える車載装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示する
ことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
表示手段を備える車載装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して表示し、表示した歌詞の部分に相当する楽曲の再生が終了した場合、歌詞の表示を終了する
ことを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記歌詞表示要求受付手段は、
再生し直す部分の長さを受け付ける
ことを特徴とする車載装置。
【請求項4】
車載用ナビゲーション装置であって、
楽曲データと歌詞データとを記憶する記憶手段と、
ナビゲーション画面を表示する表示手段と、
前記楽曲データを用いて楽曲を再生する再生手段と、
歌詞表示要求を受け付ける歌詞表示要求受付手段とを備え、
前記再生手段は、
前記歌詞表示要求受付手段により歌詞表示要求を受け付けた場合、再生していた部分から所定分戻った部分から再生し直し、
前記表示手段は、
再生し直す部分に相当する歌詞を前記歌詞データから抽出して前記ナビゲーション画面とともに表示し、表示した歌詞の部分の再生が終了した場合、表示している歌詞を消去する
ことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−102001(P2007−102001A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293517(P2005−293517)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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