説明

車載装置

【課題】位置合わせのための複雑な構造を必要とせずに、交換可能なバッテリを搭載した電気自動車等の車両を適切な停車位置に容易に停車させる。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、車両100の車体底部を含む各部分に搭載された複数のカメラ2により車両100の周囲および下方をそれぞれ撮影することで、バッテリ交換位置201の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像を取得し、車両100の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する。そして、合成したアラウンドビュー画像内でバッテリ交換位置201を認識し、バッテリ交換位置201および車両100におけるバッテリ3の搭載位置をそれぞれ示した支援画像を作成して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能なバッテリを搭載した電気自動車等の車両におけるバッテリの交換を支援するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気自動車では、ガソリンエンジン等の内燃機関を使用した自動車における給油時間と比べて、バッテリの充電時間が長いことが問題となっている。そこで、こうした充電時間の問題を解消するため、電気自動車においてバッテリを交換可能な構造を採用し、バッテリの残容量が少なくなるとそのバッテリを充電されたバッテリと交換するバッテリ交換装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−262951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるバッテリ交換装置では、電気自動車の車体底部に設けられたバッテリ車体収納部の位置を検出し、その検出結果に基づいて、充電されたバッテリユニットとバッテリ車体収納部との位置合わせを行う。そのため、位置合わせ機構がバッテリ交換装置に必要となり、構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に開示されるバッテリ交換装置を使用するためには、バッテリ交換装置の位置を基準とした電気自動車のバッテリ車体収納部の位置が上記の位置合わせ機構の可動範囲内となるように、電気自動車を適切な停車位置に停車させる必要がある。しかし、バッテリ車体収納部は電気自動車の車体底部に設けられているため、電気自動車の運転者にとって適切な停車位置が分かりにくいという問題もある。
【0006】
ここで、上記のような停車位置の把握の困難さを解消するために、たとえば電気自動車のタイヤ幅に応じた溝やタイヤ止めなどの停車位置規制機構をバッテリ交換装置の付近に設けることも考えられる。しかし、こうした停車位置規制機構を利用すると、車体の大きさや車輪間隔などが相互に異なる複数種類の電気自動車が存在する場合に、バッテリ交換装置がそれに対応できないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車載装置は、交換可能なバッテリを車体底部に搭載した車両において搭載され、バッテリの交換を所定のバッテリ交換位置で行うバッテリ交換装置によるバッテリの交換を支援するものであって、車両の車体底部を含む各部分に搭載された複数の撮影手段により車両の周囲および下方をそれぞれ撮影することで、バッテリ交換位置の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、撮影画像取得手段により取得された複数の撮影画像に基づいて、バッテリ交換位置の少なくとも一部を含む車両の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段により合成されたアラウンドビュー画像に基づいて、バッテリ交換位置をアラウンドビュー画像内で認識する画像認識手段と、アラウンドビュー画像および画像認識手段により認識されたバッテリ交換位置に基づいて、バッテリ交換位置および車両におけるバッテリの搭載位置をそれぞれ示した支援画像を作成する画像処理手段と、画像処理手段により作成された支援画像を表示する表示手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交換可能なバッテリをそれぞれ搭載しており、その車体の大きさや車輪間隔などが相互に異なる複数種類の電気自動車等の車両について、位置合わせのための複雑な構造を必要とせずに、適切な停車位置に容易に停車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるバッテリ交換支援システムの概要を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成図である。
【図3】支援画像の一例である。
【図4】本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置において実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態によるバッテリ交換支援システムの概要を図1により説明する。図1において、電気自動車である車両100には、ナビゲーション装置1、複数のカメラ2およびバッテリ3が搭載されている。バッテリ3は、車両100の車体底部に搭載されており、ナビゲーション装置1およびカメラ2がそれぞれ動作するための電力を供給する。また、車両100に搭載されている不図示のモータや補機類などにも、バッテリ3から電力が供給される。バッテリ3から供給される電力を利用してモータにより発生された駆動力は、車両100の駆動輪に伝えられる。
【0011】
バッテリ交換装置200は、車両100に搭載されているバッテリ3を車体下方から交換するための装置であり、バッテリ3を車両100から取り外すための機構、取り外したバッテリ3を別の交換用のバッテリ3と入れ替えるための機構、交換用のバッテリ3を車両100に取り付けるための機構などから成る。バッテリ交換装置200は、バッテリ交換ステーションとして設立された専用の施設において設置されてもよいし、他の様々な施設、たとえばガソリンスタンド、駐車場、コンビニエンスストア、サービスエリア、パーキングエリア等において設置されてもよい。以下では、バッテリ交換装置200が設置された施設のことを設置施設と総称する。
【0012】
車両100の車体底部に設置されているバッテリ3を交換できるようにするため、バッテリ交換装置200は上述したような設置施設において床面下に設置される。このバッテリ交換装置200の設置位置に対応して、設置施設の床面にはバッテリ交換位置201が定められている。
【0013】
車両100の運転者は、設置施設においてバッテリ3を交換する際、バッテリ3の搭載位置がバッテリ交換位置201と一致するように車両100を停車させる必要がある。この状態において、バッテリ交換装置200は車両100のバッテリ3を交換することができる。
【0014】
各カメラ2は、車両100の周囲をそれぞれ異なる撮影範囲で撮影するためのものであり、車両100のボディ、バンパー、ドアミラー等の各部に設置されている。さらに、車両100の車体底部にも、車両100の下方の床面を撮影するための1つまたは複数のカメラ2が搭載されている。車両100がバッテリ交換位置201に接近しており、複数のカメラ2のうち少なくとも1つの撮影範囲内にバッテリ交換位置201が入っているときには、当該カメラ2によってバッテリ交換位置201を撮影することができる。この場合、バッテリ交換位置201の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像が複数のカメラ2において取得される。なお、車両100の下方の床面を適切な明るさで撮影できるように、車体底部に搭載されるカメラ2は照明用のライト等を備えることが好ましい。
【0015】
各カメラ2により取得された撮影画像は、各カメラ2からナビゲーション装置1へそれぞれ出力される。すなわち、複数のカメラ2から複数の撮影画像がナビゲーション装置1へ出力される。なお、車両100に搭載されるカメラ2の個数および設置位置は、各カメラ2の撮影範囲を合わせると車両100の全周囲および下方の床面をカバーできるように定められている。
【0016】
ナビゲーション装置1は、複数のカメラ2によって取得された複数の撮影画像に基づいて、運転者が車両100を適切な停車位置、すなわちバッテリ3の搭載位置がバッテリ交換位置201と一致する停車位置に容易に停車できるように、後述するようなバッテリ交換支援処理を行う。これにより、車両100におけるバッテリ3の交換を支援する。
【0017】
図2は、以上説明したバッテリ交換支援システムにおけるナビゲーション装置1の構成図を示している。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、表示モニタ15、スピーカ16および入力装置17を備えている。制御部10には、各カメラ2が接続されている。
【0018】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、車両100を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。
【0019】
各カメラ2により取得された撮影画像は、各カメラ2から制御部10へそれぞれ出力される。制御部10は、この複数のカメラ2からの複数の撮影画像に基づいてバッテリ交換支援処理を実行することにより、支援画像を表示モニタ15に表示すると共に、車両100の走行を制御するための車両制御情報を車両100へ出力する。支援画像とは、バッテリ3の交換時に車両100が適切な停車位置に停車されるように運転者を支援することを目的として表示される画像である。この支援画像には、車両100におけるバッテリ3の搭載位置とバッテリ交換位置201との関係が運転者にとって分かりやすく示されている。これにより、運転者が車両100を適切な停車位置に容易に停車できるようにする。なお、バッテリ交換支援処理の具体的な内容は、後で図4のフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0020】
振動ジャイロ11は、車両100の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、車両100の走行速度を検出するためのセンサである。これらのセンサにより車両100の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において車両100の移動方向および移動量が求められる。
【0021】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。HDD13に記録されているデータは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。
【0022】
HDD13に記録された地図データは、経路計算データと、道路データと、背景データとを含む。経路計算データは、目的地までの推奨経路を探索する際などに用いられるデータである。道路データは、道路の形状や種別などを表すデータである。なお、地図データにおいて各道路の最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、地図データにおいて各道路は複数のリンクにより構成される。背景データは、地図の背景を表すデータである。なお、地図の背景とは、地図上に存在する道路以外の様々な構成物である。たとえば、河川、鉄道、緑地帯、各種構造物などが背景データによって表される。
【0023】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、これらをHDD以外の記録媒体に記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0024】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、車両100の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、車両100の現在位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく現在位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに車両100の現在位置が検出される。
【0025】
表示モニタ15は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ15により、地図画面の表示や、後述する支援画像の表示などが行われる。表示モニタ15に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ15は、たとえば車両100のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0026】
スピーカ16は、制御部10の制御により、車両100の走行に関する様々な音声情報を出力する。たとえば、推奨経路に従って車両100を目的地まで案内するための経路案内用の音声や、各種の警告音などが出力される。
【0027】
入力装置17は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは、入力装置17を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、入力装置17を表示モニタ15と一体化されたタッチパネルとしてもよい。
【0028】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、前述のようにして検出された車両100の現在位置を出発地として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算によるルート探索処理を行う。このルート探索処理により、出発地から目的地まで至る推奨経路が探索されると、探索された推奨経路にしたがってルート案内が行われ、車両100が目的地まで誘導される。
【0029】
次に、制御部10により行われるバッテリ交換支援処理の内容について、図3を用いて説明する。図3は、各カメラ2により取得された撮影画像に基づいて制御部10により作成され、表示モニタ15に表示される支援画像の一例を示している。
【0030】
図3の支援画像では、画面右側に、車両100の上方から見たときのバッテリ交換位置201(図中の破線枠)と、車両100におけるバッテリ3の搭載位置(図中の実線枠)とをそれぞれ示している。画面左側に表示されている「もう少し右前です」のメッセージは、バッテリ3の搭載位置とバッテリ交換位置201とを一致させるための運転者へのアドバイスを示している。このような支援画像を表示モニタ15において表示することにより、バッテリ交換位置201と車両100におけるバッテリ3の搭載位置との関係を車両100の運転者にとって分かりやすく提示することができる。
【0031】
図3の支援画像における右側の画像のように、車両100の全周囲を俯瞰した様子を示す画像は、アラウンドビュー画像と呼ばれている。こうしたアラウンドビュー画像は、車両100に搭載された各カメラ2の撮影画像をその撮影方向に応じて座標変換した上で繋ぐことによって合成することができる。
【0032】
なお、従来の一般的なアラウンドビュー画像では、車両100の下方の床面、すなわち車両100の車体底部に面した床面の状況については示されていない。しかし、本実施形態によるバッテリ交換支援システムにおいて用いられるナビゲーション装置1では、車両100の周囲に加えて、さらに車両100の下方の床面の状況を含むアラウンドビュー画像を合成する。そのため、前述したように車両100の車体底部にもカメラ2が搭載されている。
【0033】
制御部10は、複数のカメラ2からの複数の撮影画像に基づいて、車両100の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成したら、そのアラウンドビュー画像に基づいて、バッテリ交換位置201を当該アラウンドビュー画像内で認識する。なお、バッテリ交換位置201をアラウンドビュー画像内で容易に識別可能とするために、設置施設の床面にはバッテリ交換位置201を示す目印が設けられていることが好ましい。たとえば、設置施設の床面において他とは異なる色彩でバッテリ交換位置201全体を塗装したり、バッテリ交換位置201を枠線で囲ったりすることで、目印とすることができる。
【0034】
上記のようにしてバッテリ交換位置201をアラウンドビュー画像内で認識したら、制御部10は、バッテリ3の搭載位置を基準として、そこから認識したバッテリ交換位置201までの方向および距離を算出する。なお、アラウンドビュー画像内におけるバッテリ3の搭載位置は、車両100における各カメラ2の撮影範囲とバッテリ3の搭載位置との関係から予め定めておくことができる。そして、算出した方向および距離に基づいて、バッテリ交換位置201が表示モニタ15の画面内で予め定められた位置に固定されるように、表示モニタ15におけるアラウンドビュー画像の表示位置を調節する。
【0035】
上記のようにしてアラウンドビュー画像の表示位置を調節したら、制御部10は、その画像内でバッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置とがそれぞれどこにあるかを所定の図形等を用いて示す。また、算出したバッテリ3の搭載位置からバッテリ交換位置201までの方向および距離に基づいて、運転者に提示するアドバイスの内容を決定する。これにより、図3のような支援画像を作成することができる。
【0036】
制御部10はさらに、算出したバッテリ3の搭載位置からバッテリ交換位置201までの方向および距離を実空間上の方向および距離に変換することで、これらの実空間上での位置差を算出する。この位置差は、バッテリ3の搭載位置に対してバッテリ交換位置201が実空間上でどの方向にどの程度ずれているかを表しており、たとえば二次元ベクトル等を用いて表現することができる。そして、算出した位置差に基づいて、車両100の走行を制御するための車両制御情報を車両100へ出力する。さらにこのとき、算出した位置差から、バッテリ3の搭載位置とバッテリ交換位置201とを一致させるための車両100の走行軌跡を求め、その走行軌跡を支援画像において表示してもよい。
【0037】
以上説明したようなバッテリ交換支援処理を制御部10において行うことにより、バッテリ交換位置201の少なくとも一部を含む車両100の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成し、支援画像を作成することができる。また、バッテリ交換位置201と車両100におけるバッテリ3の搭載位置との実空間上での位置差を算出し、その算出結果に基づいて車両100の走行を制御することができる。
【0038】
以上説明したバッテリ交換支援処理のフローチャートを図4に示す。このフローチャートは、ナビゲーション装置1において制御部10により実行される。
【0039】
ステップS10において、制御部10は、バッテリ交換支援処理の実行を開始するか否かを判定する。バッテリ交換支援処理の実行を開始すると判定した場合、次のステップS20へ進む。このステップS10の判定は、たとえば車両100の運転者が入力装置17を用いて所定の開始操作をしたか否かによって行うことができる。あるいは、車両100の現在位置およびHDD13に記録された地図データに基づいて、車両100が設置施設内に進入したか否かをナビゲーション装置1において判断し、進入したと判断した場合にバッテリ交換支援処理の実行を開始すると判定してもよい。
【0040】
ステップS20において、制御部10は、各カメラ2を起動させる。次のステップS30において、制御部10は、各カメラ2により撮影画像を取得する。ここでは前述のように、バッテリ交換位置201の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像が取得されるものとする。
【0041】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30で取得した複数の撮影画像に基づいてアラウンドビュー画像を合成する。このアラウンドビュー画像は前述のように、バッテリ交換位置201の少なくとも一部を含む車両100の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すものである。
【0042】
ステップS50において、制御部10は、ステップS40で合成したアラウンドビュー画像に基づいて、バッテリ交換位置201をそのアラウンドビュー画像内で認識する。たとえば、バッテリ交換位置201を示す前述のような目印が設置施設の床面において設けられている場合は、その目印が合成したアラウンドビュー画像内でどこに位置しているかを認識することで、バッテリ交換位置201を認識することができる。
【0043】
ステップS60において、制御部10は、ステップS40で合成したアラウンドビュー画像と、ステップS50で認識したバッテリ交換位置201とに基づいて、前述したような方法で支援画像の作成を行う。すなわち、アラウンドビュー画像においてバッテリ3の搭載位置からバッテリ交換位置201までの方向および距離を算出し、その算出結果に応じてアラウンドビュー画像の表示位置を調節する。これにより、図3に例示したような支援画像が作成される。
【0044】
ステップS70において、制御部10は、ステップS60で作成した支援画像を表示するための画像表示処理を行う。これにより、図3に例示したような支援画像が表示モニタ15において表示される。
【0045】
ステップS80において、制御部10は、前述したような方法により、実空間上におけるバッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置との位置差を算出する。すなわち、ステップS60でアラウンドビュー画像の表示位置を調節する際に算出したアラウンドビュー画像におけるバッテリ3の搭載位置からバッテリ交換位置201までの方向および距離を実空間上の方向および距離に変換することで、実空間上における両者の位置差を算出する。
【0046】
ステップS90において、制御部10は、ステップS80で算出したバッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置との位置差に基づいて、車両100の走行を制御するための処理を行う。ここでは、算出した位置差が0となるような車両100の動きを算出し、その算出結果に基づいて車両100のステアリング角度およびモータ駆動量を算出する。こうして算出したステアリング角度とモータ駆動量の情報を、車両制御情報として車両100へ出力する。車両100は、制御部10から出力された車両制御情報に基づいてステアリング角度とモータ駆動量をそれぞれ制御することで、バッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置が一致するように車両100を走行させる。このとき必要に応じて車両100のブレーキを駆動させてもよい。
【0047】
なお、ステップS90において、ステップS80で算出した位置差をそのまま制御部10から車両100へ車両制御情報として出力してもよい。この場合、車両100に搭載された車載コンピュータ等により、車両100のステアリング角度やモータ駆動量を算出し、その算出結果に基づいて車両100を走行させるようにする。
【0048】
ステップS100において、制御部10は、バッテリ交換支援処理を終了するか否かを判定する。この判定は、たとえば車両100の運転者が入力装置17を用いて所定の終了操作をしたか否かによって行われる。運転者により終了操作が行われていなければステップS30へ戻り、終了操作が行われると図4のフローチャートを終了する。あるいは、ステップS80で算出したバッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置との位置差が0となったときに、ステップS100においてバッテリ交換支援処理を終了すると判定してもよい。
【0049】
以上説明した実施の形態によれば、次のような作用効果を奏する。
【0050】
(1)車両100の車体底部を含む各部分には、複数のカメラ2が搭載されている。ナビゲーション装置1は、制御部10において、この複数のカメラ2により車両100の周囲および下方をそれぞれ撮影することで、バッテリ交換位置201の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像を取得し(ステップS30)、取得した複数の撮影画像に基づいて、バッテリ交換位置201の少なくとも一部を含む車両100の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する(ステップS40)。そして、合成したアラウンドビュー画像に基づいて、バッテリ交換位置201をアラウンドビュー画像内で認識し(ステップS50)、そのアラウンドビュー画像およびステップS50で認識したバッテリ交換位置201に基づいて、バッテリ交換位置201および車両100におけるバッテリ3の搭載位置をそれぞれ示した支援画像を作成する(ステップS60)。こうして作成した支援画像を表示モニタ15に表示する(ステップS70)。このようにしたので、バッテリ交換位置201と車両100におけるバッテリ3の搭載位置との関係を車両100の運転者にとって分かりやすく提示することができる。その結果、バッテリ交換位置201とバッテリ3の搭載位置との位置合わせのための複雑な構造を必要とせずに、車両100を適切な停車位置に容易に停車させることができる。
【0051】
(2)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、バッテリ交換位置201と車両100におけるバッテリ3の搭載位置との位置差を算出し(ステップS80)、この位置差に基づいて、車両100の走行を制御するための車両制御情報を車両100へ出力する(ステップS90)。このようにしたので、運転者の手を煩わせることなく、車両100を適切な停車位置に確実に停車させることができる。
【0052】
(3)制御部10は、ステップS60において、バッテリ交換位置201が固定されるようにアラウンドビュー画像の表示位置を調節することで支援画像を作成するようにした。これにより、車両100が移動した場合においても、バッテリ交換位置201と車両100におけるバッテリ3の搭載位置との関係を車両100の運転者にとって分かりやすく提示することができる。
【0053】
(4)制御部10は、HDD13に記録された地図データと、振動ジャイロ11、車速センサ12およびGPS受信部14を用いて検出した車両100の現在位置とに基づいて、バッテリ交換装置200が設置されている施設に車両100が進入したか否かを判定することで、ステップS10の判定を行うことができる。この場合、車両100がその施設内に進入したと判定されたときにステップS10を肯定判定し、ステップS20で各カメラ2を起動し、ステップS30で複数の撮影画像を取得することができる。このようにすれば、適切なタイミングで自動的に撮影画像を取得し、車両100におけるバッテリ3の交換支援を行うことができる。
【0054】
なお、以上説明した実施の形態において、ステップS70の支援画像表示とステップS90の車両制御のうちいずれか一方の処理のみを実行し、他方の処理を実行しないこととしてもよい。ステップS70の支援画像表示を行わない場合は、ステップS60の支援画像作成の処理を省略することができる。一方、ステップS90の車両制御を行わない場合は、ステップS80の位置差算出の処理を省略することができる。
【0055】
また、以上説明した実施の形態では、ナビゲーション装置1によりバッテリ交換支援処理を行うこととしたが、ナビゲーション装置以外の車載装置を用いてこれを実現してもよい。
【0056】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1:ナビゲーション装置、2:カメラ、3:バッテリ、10:制御部、
11:振動ジャイロ、12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、
15:表示モニタ、16:スピーカ、17:入力装置、100:車両、
200:バッテリ交換装置、201:バッテリ交換位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なバッテリを車体底部に搭載した車両において搭載され、前記バッテリの交換を所定のバッテリ交換位置で行うバッテリ交換装置による前記バッテリの交換を支援する車載装置であって、
前記車両の車体底部を含む各部分に搭載された複数の撮影手段により前記車両の周囲および下方をそれぞれ撮影することで、前記バッテリ交換位置の少なくとも一部の画像を含む複数の撮影画像を取得する撮影画像取得手段と、
前記撮影画像取得手段により取得された前記複数の撮影画像に基づいて、前記バッテリ交換位置の少なくとも一部を含む前記車両の周囲および下方の床面を俯瞰した様子を示すアラウンドビュー画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段により合成されたアラウンドビュー画像に基づいて、前記バッテリ交換位置を前記アラウンドビュー画像内で認識する画像認識手段と、
前記アラウンドビュー画像および前記画像認識手段により認識された前記バッテリ交換位置に基づいて、前記バッテリ交換位置および前記車両における前記バッテリの搭載位置をそれぞれ示した支援画像を作成する画像処理手段と、
前記画像処理手段により作成された支援画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置において、
前記バッテリ交換位置および前記バッテリの搭載位置に基づいて、前記車両の走行を制御するための車両制御情報を前記車両へ出力する車両制御情報出力手段をさらに備えることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載装置において、
前記画像処理手段は、前記バッテリ交換位置が固定されるように前記アラウンドビュー画像の表示位置を調節することで前記支援画像を作成することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載装置において、
地図データを記憶する記憶手段と、
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記地図データと前記位置検出手段により検出された前記車両の位置とに基づいて、前記バッテリ交換装置が設置されている施設に前記車両が進入したか否かを判定する進入判定手段とを備え、
前記撮影画像取得手段は、前記進入判定手段により前記車両が前記施設に進入したと判定されたときに、前記複数の撮影画像を取得することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−8020(P2012−8020A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144524(P2010−144524)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】