説明

車速制御装置

【課題】路面の摩擦係数が低い状況で車速制御を行う場合に、制駆動力制御が頻繁に繰り返されることを防止し、路面状況に応じた適切な車速制御を行う。
【解決手段】車速制御装置は、運転者などにより設定された設定速度を超えないように車両の速度を制御し、一旦設定された設定速度を変更する手段を備える。制駆動力制御は、車両挙動安定化制御又はトラクション制御の少なくとも一方である。制駆動力制御が実行された場合には、変更手段により設定速度が変更される。路面摩擦係数が低く滑りやすい路面などを車速制御しながら走行中に、制駆動力制御が実行された場合には、路面状況などに対して設定速度が高すぎると推測し、設定速度を変更する。これにより、車速が設定速度に到るまで運転者がアクセルを踏み続けることにより、頻繁に制駆動力制御が作動することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の速度を制御する車速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車速が予め設定された制限値を超えないようにエンジンへの燃料供給量を制御する車速制限装置において、運転者が制限値を任意に変更できるようにする手法(「可変スピードリミッタ」とも呼ばれる。)が特許文献1に記載されている。また、車速制限装置において、最大速度を第1の値と、それより小さい第2の値とで切替可能に構成したものが特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−225673号公報
【特許文献2】特開2004−28023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、車両の走行安全性の観点から、トラクション制御(Traction Control)や車両の安定化制御(Vehicle Stability Control)などの制駆動力制御が提案されている。一般的に、トラクション制御とは、タイヤの空転を検出して駆動輪の駆動力を減らすことにより路面状況に応じた駆動力を確保する技術である。また、安定化制御とは、車両のコーナリング中のオーバーステア傾向又はアンダーステア傾向を検出し、各車輪を独立に制動することにより、コーナーリング中の走行安定性を確保する技術である。
【0005】
路面の摩擦係数(μ)が非常に低い道路や深雪路などの走行中に可変スピードリミッタを設定した場合、設定された制限値が路面状況に対して高すぎる状態となる場合がある。このような場合、運転者がアクセルを踏み続けると、車速が制限値に到る前に駆動輪がスリップしてトラクション制御が実行され、スロットル開度が下げられる。よって、運転者がいくらアクセルを踏み込んでも車速は制限値に達せず、無駄なアクセル操作が発生するとともに、運転者は可変スピードリミッタが正常に動作していないと誤解する恐れもある。また、トラクション制御などの制駆動力制御が無駄にオン、オフを繰り返すこととなり好ましくない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、路面の摩擦係数が低い状況で車速制御を行う場合に、制駆動力制御が頻繁に繰り返されることを防止し、路面状況に応じた適切な車速制御を行うことが可能な車速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点では、車速が設定速度を超えないように制御する車速制御装置は、前記設定速度を変更する変更手段と、車両の制駆動力制御の実行を検出する検出手段と、を備え、前記変更手段は、前記制駆動力制御が行われた場合には前記設定速度を低下させることを特徴とする。
【0008】
上記の車速制御装置は、例えば運転者などにより設定された設定速度を超えないように車両の速度を制御するものであり、一旦設定された設定速度を変更する手段を備える。一方、車両には制駆動力制御の実行を検出する手段が設けられる。制駆動力制御とは、車両挙動安定化のための制御又はトラクション制御の少なくとも一方である。そして、制駆動力制御が実行された場合には、変更手段により設定速度が変更される。制駆動力制御は、車両のコーナリング中の挙動安定化やスリップ時の駆動力の確保などを主目的とする制御であり、車両に対して適切な制動力を与えるものである。よって、例えば路面摩擦係数が低く滑りやすい路面などを車速制御しながら走行中に制駆動力制御が実行されると、車速が設定速度に達する前に繰り返し制駆動力制御が実行されることとなる。そこで、車速制御中に制駆動力制御が実行された場合には、そのときの路面状況などに対して設定速度が高すぎると推測し、設定速度を変更する。これにより、車速が設定速度に到るまで運転者がアクセルを踏み続けることにより、無駄に制駆動力制御が繰り返し作動することが防止される。
【0009】
上記の車速制御装置の一態様では、前記変更手段は、前記制駆動力制御が所定回数実行されたときに前記設定速度を低下させる。このように、制駆動力制御が所定回数にわたり繰り返し実行されたときには、その路面状況に対して設定速度が高すぎると推測することができるので、設定速度を低下させるのが好ましい。
【0010】
上記の車速制御装置の他の一態様は、前記制駆動力制御の開始時に車両が加速可能な状況であるか否かを判断する状況判断手段と、前記状況判断手段の判断結果に応じて、前記設定速度の低下幅を決定する決定手段と、を備える。制駆動力制御の開始時に車両が加速可能であれば路面の摩擦係数が比較的高いと考えられ、加速不能であれば路面の摩擦係数は比較的低いと考えられる。よって、それらの状況に応じて、設定速度の低下幅を決定するのが好ましい。
【0011】
この場合の好適な例では、前記状況判断手段は、今回の制駆動力制御開始時の車速と前回の制駆動力制御開始時の車速の間の車速差に基づいて車両が加速可能な状態であるか否かを判断し、前記決定手段は、前記車速差に基づいて前記設定速度の低下幅を決定する。今回の制駆動力開始時の車速と前回の制駆動力制御開始時の車速との車速差が大きい場合には、車両が加速している、即ち加速可能であると推測することができ、車速差が小さい場合には車両は加速していない、即ち加速不能であると推測することができる。よって、好適な例では、前記決定手段は、前記車速差が小さいほど前記設定速度の低下幅を大きく決定することができる。即ち、路面の摩擦係数が比較的低く、加速が困難な状態であるほど、車速制御の設定速度を大きく低下させ、車速が設定速度に到るまでに制駆動力制御が頻繁に実行される可能性を低減することが好ましい。また、他の好適な例では、前記決定手段は、前記車速差が所定値より大きい場合には前記設定速度の低下幅をゼロとする。車速差が十分に大きい場合には路面の摩擦係数は比較的大きく、車両は加速可能であると考えられるので、制駆動力制御が頻繁に実行される可能性は低い。よって、車速制御の設定速度を変更しないこととする。
【0012】
本発明の他の観点では、車速が設定速度を超えないように制御する車速制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、検出された車速が前記設定速度以下であった場合、前記設定速度まで車両を加速させる際の、時間に対するスロットル開度勾配を推定路面摩擦係数に基づいて設定する開度設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記の車速制御装置は、例えば運転者などにより設定された設定速度を超えないように車両の速度を制御するものであり、一旦設定された設定速度を変更する手段を備える。車速検出手段により検出された車速が設定速度以下であった場合、車両を設定速度まで増加させる際の、時間に対するスロットル開度勾配、即ちスロットル開度の増加割合は、推定路面摩擦係数に基づいて決定される。推定路面摩擦係数が大きい場合には、迅速な加速が可能であるので、スロットル開度を短時間で大きく増加させて問題ない。一方、推定路面摩擦係数が小さい場合は、急激にスロットル開度を増加させるとスリップなどが生じる可能性が高いため、推定路面摩擦係数に応じて徐々にスロットル開度を増加させる。こうして、設定速度まで車両を加速する際に、制駆動力制御が頻繁に作動することが防止される。
【0014】
上記の車速制御装置の一態様では、前記車速検出手段は、車両の制駆動力制御が終了したときに車速を検出する。また、前記設定手段は、前記推定路面摩擦係数が大きいほど前記スロットル開度勾配を大きくする。これにより、推定路面摩擦係数が大きい場合には設定速度まで迅速に車両を加速させるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車速制御装置を適用した車両の概略構成を示す。
【図2】第1実施例に係る車速制御のフローチャートである。
【図3】第2実施例に係る車速制御のフローチャートである。
【図4】第2実施例に係る車速制御で使用するマップの例である。
【図5】第2実施例に係る車速制御の実行例を示す。
【図6】第3実施例に係る車速制御のフローチャートである。
【図7】第3実施例に係る車速制御の実行例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
[車両の構成]
図1は、本発明に係る車速制御装置を適用した車両の概略構成を示す。図1において、車両10は、エンジン1と、車輪2FR、2FL、2RR及び2RLと、制動装置3FR、3FL、3RR及び3RLと、車輪速センサ4FR、4FL、4RR及び4RLと、ブレーキ油圧制御部5と、コントローラ7と、アクセル開度センサ8と、速度設定部9と、前後加速度センサ22とを備える。なお、以下の説明において、車輪、制動装置、車輪速センサなどについては、前後輪、左右輪の区別を必要としない場合には添え字を省略する。
【0018】
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。エンジン1によって発生した動力は、図示しないトルクコンバータやトランスミッションやドライブシャフトなどを介して、前輪2FR及び2FL、又は、後輪2RR及び2RLの少なくとも一方に伝達される。
【0019】
ブレーキ油圧制御部5は、各車輪2に設けられた各制動装置3の制動力を制御するものであり、コントローラ7から供給される制御信号15に基づいて動作する。ブレーキ油圧制御部5は、不図示のマスタシリンダ及び伝達系を備え、不図示のブレーキペダルの操作量に応じて各制動装置3を油圧制御する。また、ブレーキ油圧制御部5はABS(Anti-lock Brake System)などのロック防止機能を備えており、ブレーキペダルの操作量とは無関係に各制動装置3の動作量を制御することが可能である。
【0020】
制動装置3FR、3FL、3RR及び3RLは、車輪2FR、2FL、2RR及び2RLをそれぞれ直接に制動する装置であり、ブレーキ油圧制御部5から供給される制御信号13FR、13FL、13RR及び13RLに基づいて、各車輪2FR、2FL、2RR及び2RLに制動力を付与する。
【0021】
車輪速センサ4FR、4FL、4RR及び4RLは、それぞれ各車輪2FR、2RL、2RR及び2RLに設けられ、各車輪の車輪速を個別に検出し、検出信号14FR、14FL、14RR及び14RLとしてコントローラ7へ供給する。なお、車輪速センサ4は本発明における車速検出手段として機能する。
【0022】
アクセル開度センサ8は、車両10に設けられたアクセルペダルの運転者による操作量を検出し、検出信号18としてコントローラ7へ供給する。また、前後加速度センサ22は、車両における前後方向(図1における横方向)の加速度を検出し、検出信号19としてコントローラ7へ供給する。
【0023】
速度設定部9は、車両10における車速制御のオン/オフの切替指示、及び、設定速度の入力を行うために運転者により操作される入力部である。本実施形態における車速制御は、可変スピードリミット、車速制限などとも呼ばれ、車速が設定速度を超えないように車両を制御するものである。例えば運転者が所定の速度で走行しているときに速度設定部9を構成する操作スイッチなどを押すことにより、そのときの車速が設定速度に設定される。
【0024】
車速制御の基本原理を説明すると、コントローラ7は非駆動輪の車輪速センサ4からの検出信号14に基づいて、車速を決定する。そして、得られた車速と設定速度とを比較し、車速が設定速度を超える場合には、エンジン1に制御信号11を送り、エンジン1の燃料噴射量を減少させることにより車速を低下させる。
【0025】
また、本実施形態では、コントローラ7はトラクション制御を実行する。前述のように、トラクション制御とは、タイヤの空転を検出して駆動輪の駆動力を減らすことにより路面状況に応じた駆動力を確保する技術である。具体的には、コントローラ7は、各車輪速センサ4からの検出信号14のうち、非駆動輪の車輪速(即ち、車速)と駆動輪の車輪速の比較により、駆動輪がスリップしているか否かを判定する。非駆動輪では駆動によるスリップを生じないが、駆動輪でスリップが生じると非駆動輪の車輪速を上回る。よって、コントローラ7は、駆動輪の車輪速が非駆動輪の車輪速より所定量以上大きい場合は、スリップが生じていると判定することができる。そして、スリップが生じていると判定すると、コントローラ7はエンジン1へ制御信号11を送り、燃料カット又は燃料噴射量の減少を行う。同時に、コントローラ7は、ブレーキ油圧制御部5へ制御信号15を送り、各制動装置3による各車輪2の制動力を調整する。以上より、コントローラ7は、本発明における変更手段、検出手段、状況判断手段、決定手段、開度設定手段などとして動作する。
【0026】
このように、車速制御とトラクション制御の機能を備えた車両の場合、車速制御の実行中に摩擦係数の低い路面で運転者がアクセルを踏み続けると、車速が設定車速に到らずにトラクション制御が繰り返し実行されるという不具合がある。そこで、本実施形態では、車速制御中にトラクション制御が実行された場合には、そのときに設定されている設定速度が路面状況から考えて高すぎると判断し、設定速度を低下させる。これにより、トラクション制御が不必要に繰り返し実行されることが防止できる。以下、このような本発明の車速制御の実施例を順に説明する。
【0027】
(第1実施例)
第1実施例は、車速制御中にトラクション制御が開始、終了を繰り返す場合、そのときの路面状況及び走行条件に対して、設定速度が高すぎると判断し、設定速度を自動的に低下させるものである。
【0028】
図2に、第1実施例による車速制御のフローチャートを示す。なお、この処理は主としてコントローラ7が各車輪速センサ4、アクセル開度センサ8、速度設定部9などの出力を利用して実行する。また、図2に示す処理は、車両の走行中、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0029】
まず、コントローラ7は、車速制御中であるか否かを判定する(ステップS1)。車速制御自体のオン/オフは、運転者が操作スイッチなどを操作することにより行われる。典型的な例では、速度設定部9が操作スイッチとして運転席近傍に配置され、運転者が車両の走行中にその操作スイッチを操作すると、車速制御が開始されるとともに、操作スイッチが操作されたときの車速が設定速度とされる。
【0030】
次に、車速制御中である場合(ステップS1;Yes)、コントローラ7は、トラクション制御を開始したか否かを判定する(ステップS2)。即ち、コントローラ7は、トラクション制御が実行されていない状態から、トラクション制御を開始したか否かを判定する。前述のように、トラクション制御は車輪にスリップが生じた場合に実行される。従って、この判定は、具体的にはコントローラ7が、各車輪速センサ4から出力される駆動輪及び非駆動輪の車輪速に基づいて、車輪にスリップが生じているか否かを判定することにより行われる。
【0031】
トラクション制御が開始した場合(ステップS2;Yes)、コントローラ7は、カウンタCTの値を「1」増加する(ステップS3)。カウンタCTは、トラクション制御の実行回数を示すカウンタである。即ち、ステップS2でトラクション制御が新たに開始されたことが検出されたので、トラクション制御の実行回数を1増加している。
【0032】
次に、コントローラ7は、カウンタCTの値が、所定の閾値Th以上となったか否かを判定する(ステップS4)。閾値Thは、車速制御における設定速度を低下させるために要求されるトラクション制御の実行回数を示すものであり、例えば2〜3程度に予め決定されている。言い換えると、車速制御中に、閾値Th以上の回数にわたってトラクション制御が作動した場合には、その設定速度がその時の路面状況などに対して高すぎると判定される。
【0033】
カウンタCTの値が閾値Th以上となった場合(ステップS4;Yes)、コントローラ7は設定速度を所定量低下させ(ステップS5)、処理を終了する。一方、ステップS1で車速制御中でないと判定された場合、ステップS2でトラクション制御が開始していないと判定された場合、及び、ステップS4でカウンタCTの値が閾値Th未満であると判定された場合は、いずれも処理は終了する。
【0034】
このように、第1実施例によれば、車速制御中にトラクション制御が所定回数以上作動した場合、そのときの路面状況などに対して設定速度が高すぎると判定し、設定速度を低下させる。この処理を定期的に繰り返すことにより、車両が摩擦係数の小さい路面を走行している間は、トラクション制御が作動しない程度の速度まで設定速度が徐々に低下される。よって、滑りやすい路面などの走行中に運転者がアクセルを踏み続けた場合にトラクション制御が不必要に頻繁に作動することを防止することができる。
【0035】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は第1実施例を前提とし、車速制御中に所定回数にわたりトラクション制御が開始、終了を繰り返した場合に、車速制御の設定速度を低下させる。これに加え、第2実施例では、設定速度の低下幅を、今回のトラクション制御開始時の車速と前回のトラクション制御開始時の車速との車速差に基づいて決定する点に特徴を有する。
【0036】
図2は第2実施例による車速制御のフローチャートを示し、図3(a)〜(c)は第2実施例の車速制御で使用するマップの例を示す。なお、フローチャートで使用する変数などの意味は以下の通りである。
【0037】
V:(現在の)車速
Vasl:車速制御における設定速度
Tasl:車速制御による要求スロットル開度
Vdr:駆動輪の平均速度
Vtrcs:トラクション制御開始閾値
Vtrce:トラクション制御終了閾値
F(n):今回のトラクション制御中フラグ、「1」で制御中、「0」で非制御中
F(n−1):前回のトラクション制御中フラグ、「1」で制御中、「0」で非制御中
CT:トラクション制御実行回数カウンタ
Th:設定速度を低下させるために要求されるトラクション制御の実行回数
V(CT):車速制御中のCT回目のトラクション制御開始時の車速
V1:今回と前回のトラクション制御開始時の車速差
DV:車速制御の設定速度の低下幅
Trc:トラクション制御による要求スロットル開度
Tdvr:運転者要求スロットル開度(=アクセル開度)
Tfin:最終選択スロットル開度
以下、図2及び図3を参照して、第2実施例による車速制御について説明する。なお、この処理も主としてコントローラ7が各車輪速センサ4、アクセル開度センサ8、速度設定部9などの出力を利用して実行する。また、この処理は、車両の走行中、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0038】
まず、コントローラ7は、車速制御中であるか否かを判定する(ステップS11)。この判定は、第1実施例と同様に、運転者による操作スイッチの操作を検出することにより行われる。車速制御中でない場合、上述したF(n)、CT、DV、V(CT)及びTfinの各変数をリセットし(ステップS25)、処理を終了する。
【0039】
車速制御中である場合、コントローラ7は、図4(a)に示すマップ1(関数f1)を参照し、車速制御の設定速度Vasl及び現在の車速Vに基づいて、車速制御による要求スロットル開度Taslを決定する(ステップS12)。図4(a)に示すように、マップ1は横軸に設定速度Vaslと車速Vの差を示し、縦軸に車速制御による要求スロットル開度Taslを示している。設定速度は制限速度として設定されるので、現在の車速Vが設定速度Vaslより小さいほど要求スロットル開度Taslが増加し、車速Vが設定速度Vaslに近づくように制御される。
【0040】
次に、コントローラ7は、駆動輪の平均速度Vdrと現在の車速Vとの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsを超えたか否か、即ち、トラクション制御の開始条件が具備されたか否かを判定する(ステップS13)。駆動輪の平均速度Vdrより車速Vが小さいということは、運転者の要求通りに車速が増加していない、即ち、スリップが発生していることになる。よって、駆動輪の平均速度Vdrと車速Vの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsより大きい場合(ステップS13;Yes)、コントローラ7はトラクション制御を開始し、今回のトラクション制御フラグF(n)を「1」に設定する(ステップS14)。
【0041】
次に、コントローラ7は、図4(b)に示すマップ2を参照し、トラクション制御による要求スロットル開度Ttrcを決定する(ステップS15)。図4(b)に示すように、マップ2は横軸に駆動輪の平均速度Vdrと現在の車速Vとの差を示し、縦軸にトラクション制御による要求スロットル開度Ttrcを示している。上述のように駆動輪の平均速度Vdrと現在の車速Vとの差はスリップ量に相当し、その値が大きいほどスロットル開度を低下させて速度を制限するマップとなっている。なお、図4(b)に示すように、トラクション制御終了閾値Vtrceはトラクション制御開始閾値Vtrcsより小さな値に設定されており、一旦トラクション制御が開始された後は、スリップが十分に抑制されるまでトラクション制御は終了しないように設定されている。
【0042】
次に、コントローラ7は、今回のトラクション設定フラグF(n)が1で、かつ、前回のトラクション設定フラグF(nー1)が0であるかどうか、即ち、そのときのトラクション制御が図3に示す本ルーチンの開始後初めて実行されたトラクション制御であるか否かを判定する(ステップS16)。初めて実行されたトラクション制御である場合、カウンタCTを1増加し、その時の車速Vをその回のトラクション制御開始時の車速V(CT)にセットする(ステップS17)。次に、コントローラ7は、カウンタCTの値が、設定速度を低下させるために要求されるトラクション制御の実行回数Thを以上となったか否かを判定する(ステップS18)。Th以上となった場合、コントローラ7は、今回と前回のトラクション制御開始時の車速差V1(=V(CT)−V(CT−1))を算出し、図4(c)に示すマップ3を参照して、得られた車速差V1に基づいて設定速度の低下幅DVを決定する。図4(c)に示すマップ3において、横軸は今回と前回のトラクション制御開始時の車速差V1を示し、縦軸は設定速度の低下幅DVを示す。今回と前回のトラクション制御開始時の車速差V1が大きい場合は、その間に車両が加速したことを意味する。一方、車速差V1が小さい場合は、車両が加速できていないことを意味する。よって、車速差V1が小さい場合は依然として路面の摩擦係数が小さくスリップが生じていると推測し、設定速度の低下幅DVを大きくする。一方、車速差V1が大きい場合は、スリップが減少していると推測し、設定速度の低下幅DVを小さくする。また、車速差V1が所定値Vthより大きい場合は、車速の低下幅DVをゼロ(即ち、低下させない)とする。こうして、前回と今回のトラクション開始時の車速差V1に基づいて、設定速度の低下幅DVが決定される。そしてコントローラ7は、カウンタCTをクリアする(ステップS19)。
【0043】
なお、今回のトラクション制御が本ルーチン開始後の初めてのトラクション制御でない場合(ステップS16;No)、及び、カウンタCTが設定速度を低下させるために要求されるトラクション制御の実行回数Th未満である場合(ステップS18;No)、処理はステップS20へ進む。
【0044】
次に、コントローラ7は、車速制御による設定速度Vaslが現在の車速Vより大きいか否かを判定する(ステップS20)。設定速度Vaslが現在の車速Vより大きい場合、コントローラ7はステップS19で決定された設定速度の低下幅DVだけ設定速度Vaslを減少させるとともに、その設定速度の低下幅DVをリセット(0に設定)する(ステップS21)。こうして、設定速度Vaslが減少される。一方、設定速度Vaslが現在の車速Vより大きくない場合(ステップS20;No)、処理はステップS22へ進む。
【0045】
次に、コントローラ7は、運転者要求スロットル開度Tdr、車速制御による要求スロットル開度Tasl及びトラクション制御による要求スロットル開度Ttrcのうちの最小値を最終選択スロットル開度Tfinとして決定し、制御信号11を利用してエンジンの電子制御スロットルなどに伝達する(ステップS22)。これにより、車速が制御される。なお、運転者要求スロットル開度Tdrは、アクセル開度センサ8から出力されるアクセル開度を用いることができる。
【0046】
一方、ステップS13において、駆動輪の平均速度Vdrと現在の車速Vとの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsを超えていない場合、即ち、トラクション制御を開始しない場合(ステップS13;No)、コントローラ7は駆動輪の平均速度Vdrと現在の車速Vとの差がトラクション制御終了閾値Vtrceより小さくなったか、即ち、トラクション制御の終了条件が具備されたか否かを判定する(ステップS24)。トラクション制御の終了条件が具備された場合(ステップS23;Yes)、コントローラ7はトラクション制御を終了し、今回のトラクション制御中フラグF(n)に0をセットして処理を終了する。一方、トラクション制御の終了条件が具備されていない場合(ステップS23;No)、処理はステップS20へ進む。
【0047】
以上のように、第2実施例では、第1実施例と同様に、車速制御中にトラクション制御が所定回数作動した場合には車速制御の設定速度を低下させる。この際、第2実施例では、前回のトラクション制御開始時の車速V(CT−1)と、今回のトラクション制御開始時の車速V(CT)に基づいて車両が加速可能な状態にあるか否かを判定し、加速可能な状態にある場合には設定速度の低下幅DVを小さく又はゼロに設定し、加速可能な状態にない場合には設定速度の低下幅DVを大きく設定する。従って、路面の摩擦係数が小さく加速ができない状態では、車速制御の設定速度を大きな幅で低下させて設定速度を実際の車速に近づけることにより、トラクション制御が開始される設定速度に到るまでにトラクション制御が介入する機会を減少させることができる。よって、路面の摩擦係数が小さく滑りやすい路面を車速制御を行いながら走行する際に、トラクション制御が不必要に繰り返し作動することをより効果的に防止することができる。
【0048】
図5に、第2実施例による車速制御の実行例を示す。図5において、上段はスロットル開度の変化を示し、下段は車速の変化を示す。なお、図5の例は、設定速度を低下させるために要求されるトラクション制御の実行回数Thが「3」に設定されている場合の例である。
【0049】
図5において、時刻t0から車速制御が継続しており、時刻t1付近で摩擦係数の小さい路面状態になったとする。時刻t0〜t1の間は、最終選択スロットル開度Tfinは基本的に運転者要求スロットル開度Tdvrに追従している。時刻t1へ向けて運転者はアクセルを踏んで要求スロットル開度Tdvrを増加させており、それに応じて、駆動輪の平均速度Vdrが車速Vを大きく上回るようになっている。即ち、駆動輪にスリップが生じ始めている。
【0050】
時刻t1では、駆動輪の平均速度Vdrと車速Vとの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsを超え、トラクション制御が開始されている。トラクション制御の開始により、最終選択スロットル開度Tfinはトラクション制御による要求スロットル開度Ttrcに従うようになり、それに応じて車速Vも減少していく。そして、時刻t2において、駆動輪の平均速度Vdrと車速vとの差がトラクション制御終了閾値Vtrceより小さくなり、トラクション制御は終了する。
【0051】
運転者は時刻t1以降もアクセルを踏み続けているので、運転者要求スロットル開度Tdvrは高い値に維持されている。よって、時刻t2でトラクション制御が終了すると、最終選択スロットル開度Tfinは運転者要求スロットル開度Tdrvへ向かって上昇し始め、再び駆動輪の平均速度Vdrが上昇する。時刻t3で、駆動輪の平均速Vdrと車速Vとの差が再びトラクション制御開始閾値Vtrcsを超え、トラクション制御が開始される。その後、トラクション制御により最終選択スロットル開度Tfinがトラクション制御による要求スロットル開度Ttrcまで低下し、駆動輪の平均速度Vdrが低下する。時刻t4では、駆動輪の平均速度Vdrと車速Vの差がトラクション制御終了閾値Vtrceより小さくなり、トラクション制御が終了する。
【0052】
その後、再度駆動輪の平均速度Vdrが増加して、時刻t5で3回目のトラクション制御が開始されると、コントローラ7は設定車速Vaslを低下幅DVだけ減少させ、それに応じて車速制御による要求スロットル開度Taslを減少させる。この際、設定車速の低下幅DVは、今回のトラクション制御開始時の車速V(3)と、前回のトラクション制御開始時の車速V(2)との車速差を、図4(c)に示すマップ3に当てはめることにより決定される。時刻t5以降は、車速制御によるスロットル開度Taslが最も小さくなるため、最終選択スロットル開度Tfinは車速制御によるスロットル開度Taslとなる。
【0053】
なお、上記の第2実施例では、設定車速の低下幅を、今回と前回のトラクション制御開始時の車速差に基づいて決定している。その代わりに、今回と前回のトラクション制御開始時の車速差に加えて、前回と前々回のトラクション制御開始時の車速差に基づいて決定することとしてもよい。その場合には、例えば図4(c)に示すマップ3の代わりに、今回と前回のトラクション開始時の車速差、及び、前回と前々回のトラクション制御開始時の車速差の2つの値を入力とする3次元マップを用意し、設定車速の低下幅を決定することとすればよい。
【0054】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。上記の第1及び第2実施例では、車速制御中にトラクション制御が所定回数以上作動した場合に、設定速度を低下させている。これに対し、第3実施例では、車速制御中にトラクション制御が1回作動し、終了したときには、その後の車速制御による要求スロットル開度Taslをトラクション制御中の推定路面μに基づいて設定する点に特徴を有する。トラクション制御はスリップなどが生じたときに路面に対する駆動力を確保する制御であるので、トラクション制御中に推定される路面μはその状況における路面μを示していると考えることができる。よって、第3実施例では、トラクション制御中に路面μを推定し、トラクション制御の終了後は、推定された路面μに基づいて車速制御による要求スロットル開度Taslを決定する。これにより、摩擦係数が小さい路面の走行中における頻繁なトラクション制御の作動を防止することができる。なお、後述のように路面μは、前後加速度センサの出力に基づいて推定することができる。
【0055】
図6に、第3実施例による車速制御のフローチャートを示す。この処理も主としてコントローラ7が各車輪速センサ4、速度設定部9、前後加速度センサ22などの出力を利用して実行する。また、この処理は、車両の走行中、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0056】
まず、コントローラ7は、第1及び第2実施例と同様に、車速制御中であるか否かを判定する(ステップS21)。車速制御中である場合、コントローラ7は、トラクション制御開始条件が具備されたか否かを判定する(ステップS22)。これは、駆動輪の平均速度Vdrと車速Vの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsを超えたか否かの判定により行われる。
【0057】
トラクション制御の開始条件が具備された場合、コントローラ7はトラクション制御を開始するとともに、路面μを推定する(ステップS23)。ここで、路面μの推定は前後加速度センサ22の出力を用いて行う。トラクション制御中は、トラクション制御により路面に対する車輪の駆動力が確保されているから、トラクション制御中の前後加速度が大きければ路面μは大きく、前後加速度が小さければ路面μは小さいと推定することができる。即ち、トラクション制御中の前後加速度は路面μに比例すると考えることができる。よって、コントローラ7は、前後加速度センサ22からの出力に基づいて推定路面μを決定する。
【0058】
次に、コントローラ7は、トラクション制御終了条件が具備されたか否かを判定する(ステップS24)。これは、駆動輪の平均速度Vdrと車速Vとの差がトラクション制御終了閾値Vtrceより小さくなったか否かにより判定される。トラクション制御が終了すると、コントローラ7は、ステップS23で得られた推定路面μに基づいて車速制御による要求スロットル開度Taslを決定し、車速制御を継続する(ステップS25)。ここで、車速制御による要求スロットル開度Taslは、トラクション制御中の推定路面μが大きいほど、スロットル開度の勾配、即ち、時間に対するスロットル開度の増加割合が大きくなるように決定される。これにより、路面μが大きい場合ほど車両を迅速に加速することが可能となる。
【0059】
図7に、第3実施例による車速制御の実行例を示す。図7において、上段はスロットル開度の変化を示し、下段は車速の変化を示す。
【0060】
図7において、時刻t10より車速制御は継続している。時刻t11付近で車輪のスリップが生じ始め、時刻t11で駆動輪の平均速度Vdrと車速Vとの差がトラクション制御開始閾値Vtrcsを超えてトラクション制御が開始されている。その後、トラクション制御によりスリップが減少し、時刻t12で駆動輪の平均速度Vdrと車速Vとの差がトラクション制御終了閾値Vtrceより小さくなり、トラクション制御が終了している。その後、コントローラ7は、車速制御による要求スロットル開度Taslを増加させるが、増加の割合は図7上段に矢印Raslで示すようにトラクション制御中の推定路面μに応じて変化する。具体的には、推定路面μが大きいほど、要求スロットル開度Taslの勾配(時間当たりの増加割合)が大きくなるように決定される。
【0061】
時刻t12以降、車速制御による要求スロットル開度Taslの増加に伴って最終選択スロットル開度Tfinが増加し、時刻t13で車速制御による要求スロットル開度Taslが運転者要求スロットル開度Tdvrを超えると、最終選択スロットル開度Tfinは運転者要求スロットル開度Tdvrに従う。時刻t14で車速Vが設定速度Vaslに近づくと、コントローラ7は車速制御による要求スロットル開度Taslを徐々に低下させ、それに伴って最終選択スロットル開度Tfinも徐々に低下する。そうして、車速Vは設定速度Vaslを超えないように制御される。
【0062】
以上のように、第3実施例では、車両制御中にトラクション制御が実行された場合、トラクション制御中に路面μを推定し、トラクション制御終了後はトラクション制御中に得られた推定路面μに応じて車速制御における要求スロットル開度Taslを決定する。これにより、トラクション制御の終了後、路面μが大きい場合には迅速に車両を加速させ、路面μが小さい場合には、それに応じて車両を徐々に加速させる。よって、路面μが小さい状態で急激に駆動力を増加させてしまうことによりトラクション制御を不必要に頻繁に作動させてしまうことを防止することができる。
【0063】
[変形例]
上記の実施例では、車速制御中にトラクション制御が実行される場合について説明したが、車速制御中にVSC(Vehicle Stability Control)などの車両挙動安定化制御が実行される場合にも、本発明を同様に適用することができる。車両挙動安定化制御とは、主として車両のコーナリング中にオーバーステア傾向又はアンダーステア傾向を検出し、各車輪を独立に制動することにより、コーナーリング中の走行安定性を確保する技術である。典型的な例では、4輪の車輪速センサに加え、ヨーレートセンサ、前後及び横加速度センサなどを用いてコーナリング中に車両に発生している力を検出し、車両の挙動を安定化させるように個々の車輪に独立に適切な制動力を与える。なお、本発明では、この車両挙動安定化のための制御とトラクション制御とを含めた概念を「制動駆動力制御」と呼んでいる。
【符号の説明】
【0064】
1 エンジン
2 車輪
3 制動装置
4 車輪速センサ
5 ブレーキ油圧制御部
7 コントローラ
8 アクセル開度センサ
9 速度設定部
10 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車速が設定速度を超えないように制御する車速制御装置であって、
前記設定速度を変更する変更手段と、
車両の制駆動力制御の実行を検出する検出手段と、を備え、
前記変更手段は、前記制駆動力制御が行われた場合には前記設定速度を低下させることを特徴とする車速制御装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記制駆動力制御が所定回数実行されたときに前記設定速度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車速制御装置。
【請求項3】
前記制駆動力制御の開始時に車両が加速可能な状況であるか否かを判断する状況判断手段と、
前記状況判断手段の判断結果に応じて、前記設定速度の低下幅を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車速制御装置。
【請求項4】
前記状況判断手段は、今回の制駆動力制御開始時の車速と前回の制駆動力制御開始時の車速の間の車速差に基づいて車両が加速可能な状態であるか否かを判断し、
前記決定手段は、前記車速差に基づいて前記設定速度の低下幅を決定することを特徴とする請求項3に記載の車速制御装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記車速差が小さいほど前記設定速度の低下幅を大きく決定することを特徴とする請求項4に記載の車速制御装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記車速差が所定値より大きい場合には前記設定速度の低下幅をゼロとすることを特徴とする請求項4に記載の車速制御装置。
【請求項7】
車速が設定速度を超えないように制御する車速制御装置であって、
車速を検出する車速検出手段と、
検出された車速が前記設定速度以下であった場合、前記設定速度まで車両を加速させる際の、時間に対するスロットル開度勾配を推定路面摩擦係数に基づいて設定する開度設定手段と、を備えることを特徴とする車速制御装置。
【請求項8】
前記車速検出手段は、車両の制駆動力制御が終了したときに車速を検出することを特徴とする請求項7に記載の車速制御装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記推定路面摩擦係数が大きいほど前記スロットル開度勾配を大きくすることを特徴とする請求項7又は8に記載の車速制御装置。
【請求項10】
前記制駆動力制御は、車両挙動安定化のための制御又はトラクション制御の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の車速制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−136690(P2011−136690A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11775(P2011−11775)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【分割の表示】特願2005−273214(P2005−273214)の分割
【原出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】