説明

転写型及び情報記録媒体用基板製造方法

【課題】基材よりはみ出した被転写材を基材側から取り去る転写型を提供する。
【解決手段】表面に穴を中心に同心円状の複数の凹凸構造110を備えた円環領域103と円環領域103を囲む外部領域104及び円領域105とを有し、円環領域103と、円環領域103と同一の大きさであって中心に穴を有する円盤状の基材001との間に配置された被転写材を挟み押圧することで、被転写材に凹凸構造110を転写する転写型100であって、円環領域103、外部領域104、及び円領域105のそれぞれは、被転写材を円環領域103から離型させた時点で外部領域104及び円領域105に被転写材が接着している離型性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸構造を有する情報記録媒体用基板を製造するために用いられる転写型及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ディスクリートトラックメディア及びパターンドメディアを製造するために用いられる転写型及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクなどの情報記録装置を構成するための情報記録媒体として、磁気記録媒体が知られている。そして、近年の情報処理量の増大に伴い、磁気記録媒体に対して高記録密度化の要求が高まっている。
【0003】
磁気記録媒体の技術分野においては、高記録密度化の要求に答える技術として、表面に微細な凹凸構造を有するディスクリートトラックメディア(DTM)やパターンドメディア(PM)などといった磁気記録媒体が提案されている。パターンドメディアの製造方法の一例としては、凹凸構造を有するガラスや樹脂などの基板を作成した後に、該凹凸構造の上に軟磁性層を形成し、さらに該軟磁性層の上に磁性層を形成する方法がある。また、ディスクリートトラックメディアの製造方法の一例としては、製造する磁気記録媒体と同じ大きさで中心に穴を有する円盤状の基材の上に軟磁性層、磁性層を形成し、その上に被転写材を塗布し、凹凸構造が形成された転写型を押しつけて凹凸パターンを形成した後、イオン注入などで磁性層の一部を非磁性化し、最後に被転写材を除去する方法がある。
【0004】
このディスクリートトラックメディア及びパターンドメディア用の基板を作製する方法としては、そのプロセスにおいて、凹凸構造が形成された転写型と、製造する磁気記録媒体と同じ大きさで中心に穴を有する円盤状の基材の間に被転写材を挟み、押圧することにより被転写材表面に凹凸構造を転写する加工方法であるインプリント法がある。このインプリント法は、大面積に亘る均一な構造転写を高いスループットで実現できる手法である。
【0005】
このインプリント法においては、押圧により被転写材が基材上からはみ出すことより、基材の側面が汚染される場合がある。そして、凹凸構造を被転写材に転写した次の工程において、はみ出した被転写材が加熱又は紫外線の照射などにより硬化し、バリとなって残ってしまう。このバリが次工程以降ではがれて表面に付着すると磁気記録媒体としては深刻な欠陥となってしまう。また、バリがはがれずに残ったとしても、ハードディスクドライブなどの情報記録装置に磁気記録媒体を組み込む際の中心位置ずれを引き起こす恐れもある。この様に、被転写材のはみ出しによる基材の汚染は歩留まりの低下の要因となる。さらに、組みあがった情報記録装置を使用した際に内部の磁気記録媒体の回転が安定しないなどの問題が生じ、安定した記録/再生の妨げとなる。
【0006】
従来、基材側面への汚染やバリの発生による問題を回避する方法として、中心に円盤状の外形を持つ光ディスクの製造工程において基材の内周縁近傍及び外周縁近傍に逃げ溝を形成することにより余剰の被転写材のはみ出しを防止する技術(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−263631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ハードディスク用の磁気記録媒体においてはより広く記録領域を設けるため、基材の内/外周縁の極近傍(通常1mm以下)まで微細な凹凸構造を設ける必要があるため、特許文献1に記載されているような逃げ溝を基材上に設けることができない。
【0009】
また、余剰を出さない被転写材の量を厳密に制御する方法もあるが、押圧力のばらつきなどにより被転写材が均一に広がらず端に行くほど膜厚が薄くなったり、構造が転写されない領域が発生するため、この様な方法は歩留まりの低下につながってしまう。
【0010】
さらに、硬化した後に研磨してバリを削り取ってしまう方法もあるが、研磨時にはがれたバリが異物となって媒体表面に再付着すると重大な欠陥となる。また研磨の際に内/外周縁から応力がかかり被転写材からなる膜がはがれたり基材が歪んだりする恐れが生じ、好ましくない。
【0011】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基材よりはみ出した被転写材を基材側から取り去る転写型を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の情報記録媒体用転写型は、表面に複数の凹凸構造を備えた円環領域と該円環領域を囲む残領域とを有し、前記円環領域と同一の大きさであって中心に穴を有する円盤状の基材と前記円環領域との間に配置された被転写材を挟み押圧することで、前記被転写材に前記凹凸構造が転写された情報記録媒体用の基板を製造するための転写型であって、前記被転写材から引き離されたときに、前記円環領域は前記被転写材が離れる離型性を有し、前記残領域は前記被転写材が接着している接着性を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の転写型であって、前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記円環領域は水に対する接触角が100°以上である膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の転写型であって、前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域はチタン系、クロム系、又はシラン系のカップリング剤で構成された膜が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の転写型であって、前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域は、表面粗さ(Ra)50nm以上であることを有することを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の転写型であって、前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域は、前記円環領域に比べて単位当たりの表面積が少なくとも2倍以上を有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の転写型であって、前記円環領域の外周縁及び内周縁に接する前記残領域に、押圧した時に前記被転写材に食い込む突起を有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報記録媒体用転写型であって、前記突起は、高さが前記凹凸構造の高さ以上であり、かつ前記被転写材の厚みよりも短いことを特徴とするものである。
【0019】
請求項8に記載の情報記録媒体製造方法は、Si、ガラス、又は樹脂で構成されて、表面に複数の凹凸構造を備えた円環領域と該円環領域を囲む残領域とを有する転写型に、前記円環領域が前記残領域よりも相対的に離型しやすくなる処理を施す段階と、前記転写型の前記表面と、前記円環領域と同一の大きさであって中心に穴を有する円盤状の基材とを対向させ前記円環領域と前記円盤が同心に位置するように配置する段階と、前記転写型と前記基材との間に被転写材を挟んで押圧し前記凹凸構造を転写する段階と、前記被転写材が硬化した後に、前記転写型と前記基板とを引き離し、前記残領域に接している部分の前記被転写材を前記表面に残し、前記円環領域に接している部分の前記被転写材を前記基材に残すことで、前記残領域に接している部分の前記被転写材と前記円環領域に接している部分の前記被転写材とを分離させる段階と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る情報記録媒体用転写型及び情報記録媒体の製造方法によると、被転写材から転写型を離型した時に、被転写材の円環領域に当たる部分は基材側に残り、円環領域以外の部分は転写型に残ることになる。これにより、基材からはみ出した被転写材を基材側に残さずに取り除くことが可能となる。したがって、基材が汚染されずに、情報記録媒体の製造における歩留まりを良好にすることができ、また製造した情報記録媒体で構成された情報記録装置の記録/再生の安定性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る情報記録媒体用基板用転写型(以下では、単に「転写型」という。)について説明する。図1(A)は、本実施形態に係る転写型100及び基材001の模式的な断面図である。図1(B)は、図1(A)における転写型100を基材001側から見た平面図である。図1(C)は、図1(A)における基材001を転写型100側から見た平面図である。図2は、転写型100と基材001との間に被転写材010を挟んだ状態を表す図である。図2は、図1(A)で示されている、転写型100と基材001との間に被転写材010を配置し転写型100と基材001との間で被転写材010を押圧した状態である。
【0022】
(材質及び形状)
転写型100は、平坦な表面にパターンニングにより柱などの突起、穴、又は溝などを形成することで複数の同心円状の凹凸構造110を設けた構成である。本実施形態では、後述する離型性の高い膜を形成する前の転写型100はSiで構成されている。ここで、「離型性」とはある部材上で固化した被転写材010を該部材から引き離す(離型する)ためにどのくらいの力が必要かを示すものであり、具体的には、転写型100に対し転写型100が接した状態で固化した被転写材010の離れやすさの程度を示すものである。すなわち、離型性が高いほどより弱い力で被転写材010を転写型100から離型させることができ、離型性が低いほど被転写材010を転写型100から離型させるのにより強い力が必要となる。また、後に「接着性」という言葉を用いるが、「接着性」とは、「離型性」の反語であり、転写型100に対する被転写材010の離れにくさの程度を示すものである。すなわち、「接着性」が大きいほど「離型性」は小さくなり、「接着性」が小さいほど「離型性」が大きくなるという関係を有する。転写型100は他の材質で構成されてもよく、例えばガラス、Niなどでもよいし、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の樹脂や、PET系樹脂やアクリル系樹脂などのシート材でもよい。さらに、転写型100は複数の材料で構成されていてもよく、板状のSi、ガラス、又は樹脂の上に、レジスト(特にフォトレジスト)、紫外線硬化樹脂、又はSOG(スピンオングラス)が載せられておりそのレジストに溝や穴などといった凹凸構造が形成されている構成でもよい。以下の説明では凹凸構造が設けられた側の表面を表面Sという。
【0023】
表面Sは図1(B)で示すように円環領域103、円領域105、円環領域103の外部の領域(以下では、「外部領域104」という。)で構成されている。円環領域103と円領域105は、円環領域103の内周縁で接している。また、円環領域103と外部領域104は、円環領域103の外周縁で接している。この円領域105と外部領域104を合わせたものが本発明における「残領域」にあたる。本実施形態で表面Sは外径150mmであり、厚みが0.6mmである。ここで、本実施形態では、表面Sは円形をしているが、これは他の形状でもよく、例えば、四角形でもよく、さらに中央に穴(ただし、円領域105の以下の穴)があいていてもよい。
【0024】
円環領域103は、図1(A)で示すような凹部101及び凸部102で形成されている凹凸構造110を有している。凸部102は、微細な突起であり、本実施形態では50nmの高さ(ここで、「高さ」とは基材001方向への長さをいう。)である。逆にいえば、凹部101は50nmの深さを有していることになる。一般的には凹凸構造110の高さ(又は深さ)は、おおよそ構造周期の1/2〜2倍程度である。また、凹部101及び凸部102は環状の形状を有しており、さらに凹部101及び凸部102は図1(B)で示すように図1(A)の軸Pを中心として同心円状(ただし、パターンドメディアでは、微細な点の集合によって円形が形成されているが、この説明ではこのような状態も円として説明する。)に配置されている。例えば、この凹凸構造110は、ディクリートトラックメディアでは構造周期100nm以下のライン&スペースであり、パターンドメディアでは構造周期50nm以下のドットである。そして、凹凸構造110は円環領域103のほぼ全域に広がっている。ただし、円環領域103は、凹凸構造110以外の部分も有している。具体的には、内周縁付近の部分及び外周縁付近の部分である。この凹凸構造110以外の部分は平坦状に構成されている。本実施形態では、この凹凸構造110以外の平坦状の部分は内周縁及び外周縁からの幅が1mmである。だだし、この凹凸構造以外の平坦状の部分の大きさは本実施形態より小さい値でもよく、この平坦状の部分が小さいほど記憶領域を増加させることができるため記録密度が大きくなる。
【0025】
さらに、円環領域103の表面には水に対する接触角が100°以上の膜(以下では、「離型膜」という。)が形成されている。この膜は図1(A)における太い線で示されている部分である。
【0026】
例えば、樹脂製の転写型100を用いて被転写材010に凹凸構造110を転写する場合、転写型100と被転写材010の性質が近いため密着しやすい。また、樹脂製の転写型100に限らず凹凸構造110を有する領域は相対的に表面積が大きくなり、転写型100と被転写材010の接触面積が増大することにより、離型の際の摩擦や凝着により被転写材010が転写型100に密着したまま基材001から引き剥がされてしまう。そこで、転写型100の表面エネルギーを低くすることによって、被転写材010との接着力、摩擦を低下させることが行われている。これを「離型処理」という。例えば、Siやガラスのような無機物の転写型100に対しては、最も表面エネルギーが小さい物質として知られている四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂を表面Sに塗布することが有効である。この様な離型処理をおこなう材料を「離型処理剤」という。また、離型処理により生成される膜を「離型膜」という。しかし、フッ素樹脂のように表面エネルギーの小さい物質は元来物質表面への付着力が極めて弱いため、物質表面に強く固定されない。また、通常100nm〜数十μm程度の厚みの膜が形成されるため、高さ数十nmオーダーの凹凸構造110を有する転写型100には不向きである。そこで、シラノール基を介して無機物表面に単分子有機膜をコーティングできるシランカップリング剤を使用することが多い。離型処理剤としてはフッ素系のシランカップリング剤が主流であるが、転写型100の材料や被転写材010の材料の種類に応じて選択することが好ましい。例えば、Niなどの金属の型に離型処理剤を付着させるためには、表面にSiO2膜やDLC膜を形成してから離型処理を行うなどの工夫が必要となる場合がある。なお、以下の説明では気相成長法を示したが、ディッピング、スプレー、スピンコートなど、最適な方法で離型膜の形成を行う。
【0027】
ここで、離型膜の離型性は、水による接触角測定により判断できる。すなわち、水に対する接触角が大きいほど被転写材010の離型性は良くなるといえる。そして、円環領域103の水に対する接触角が100°以上が好ましく、110°以上がより好ましい。円環領域103の水に対する接触角が100°以上であれば、平坦状の部材上で固化した被転写材010が離型せず平坦状の部材に接着したままの状態を維持できる力で、該円環領域103上で固化した被転写材010を離型することができる離型性を円環領域103が有することになる。ここで、水に対する接触角が大きいほど離型性は良くなるが、反対に微細な凹凸構造110へ被転写材010が進入しにくくなるためより大きな力で押圧する必要がある。そこで、実際には押圧力と離型性とを考慮して円環領域103の離型性を決定することが好ましい。
【0028】
本実施形態の離型膜の形成方法を図3を参照して説明する。図3は離型膜の生成方法を表す図であり、(A)〜(G)の順に生成工程が進んでいく。図3(A)はポジ型レジスト塗布工程、図3(B)はレジストが塗布された状態、図3(C)はマスク露光工程、図3(D)は現像工程、図3(E)は気相成長工程、図3(F)は単分子フッ素樹脂膜が生成された状態、図3(G)はレジスト溶解除去工程、である。まず、図3(A)に示すように、転写型100の凹凸構造110(円環領域103)を有する表面Sにフォトレジスト200を塗布する。これにより、図3(B)に示すように転写型100の表面S上にフォトレジスト200の層が形成される。次に図3(C)に示すように、基材001側に被転写材010を付着させておきたい領域のみが露光されるようなマスク201を用いて光を照射し、図3(D)で示すように現像を施す。その後、図3(E)に示すように、FDTS202(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリクロロシラン)を、凹凸構造110を含む円環領域103を有する表面Sに気相成長させる。これにより、図3(F)に示すように、凹凸構造及びフォトレジスト200の周りにFDTS202の単分子フッ素樹脂膜203が形成される。その後、図3(G)に示すように、フォトレジスト200を溶解除去することにより、基材001に被転写材010を付着させておきたい領域、すなわち円環領域103のみに単分子フッ素樹脂膜203を形成する。この処理をFDTS処理という。
【0029】
FDTS処理を施す前のSi基板及びガラス基板で接触角測定を行った場合、水に対する接触角はおよそ5°である。これに対し、FDTS処理後(すなわち、FDTSの膜を形成した後)の円環領域103で接触角測定を行ったところ、水3μlに対する接触角が110°であった。この様に、円環領域103にFDTS処理を施すことで水に対する接触角が100°以上、さらに詳しくは110°以上となる。この様に、FDTS処理を施した場合には良好な離型性が発現されていることが確認できた。そして、円環領域103の水に対する接触角が100°以上の場合には1.6MPaの力で被転写材010が離型する。これは、Siで形成された平坦状の部材から被転写材010が離型する力に比べ十分に小さい力である。したがって、固化した被転写材010が離型せず平坦状の部材に接着したままの状態を維持できる力で、該円環領域103上で固化した被転写材010を離型することができる離型性に構成される。ここで、本実施形態ではFDTSを用いた単分子フッ素樹脂膜における接触角で説明したが、他のフッ素樹脂を用いたフッ素樹脂膜を作製した場合でも、水に対する接触角は100°以上となり、FDTSを用いた場合とほぼ同様の結果となる。この離型膜はFDTS以外の材料としては、FOTS(トリデカフルオロ‐1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン)等がある。
【0030】
外部領域104と円領域105は、平坦な形状を有している。外部領域104と円領域105はFDTS処理を施されていないため、Siの表面を有する。
【0031】
基材001は、ガラスで構成されている。ここで、基材001は他の材料で構成してもよく、例えば、アルミなどでもよい。基材001は、円環領域103と同じ大きさの円形状をしている。さらに、基材001には、図1(A)及び図1(C)に示すように中央に穴があいている。この中央の穴は、転写型100の円領域105と同一の大きさを有する。基材001は、外径65mm、内径20mm、厚さ0.635mmである。基材001の転写型100側の表面には接着性を高めるための処理(例えば気相成長法などを用いてシランカップリング剤による膜を形成する処理)、が施されている。
【0032】
被転写材010は、本実施形態では紫外線硬化樹脂で構成されている。ただし、この被転写材010は、熱や光といった外部からのエネルギーを加えて硬化する樹脂であれば他の材質でもよく、例えば、熱可塑性樹脂、SOGなどでもよい。被転写材010は、硬化することで情報記録媒体用の基板となる。そして、被転写材010の押圧後の膜厚は数十nm〜数百nmである。
【0033】
(情報記録媒体用基板の製造)
次に、図1、図2、図4、及び図5を参照して、本実施形態に係る転写型100を用いた情報記録媒体用基板の製造の流れを説明する。図4は本実施形態に係る転写型100を用いた情報記録媒体用基板の製造のフローチャート図である。図5は、転写型100と基材001とを引き離した離型時の状態を表す図である。
【0034】
(ステップS001)
基材001と転写型100とは、転写型100の表面Sが基材001と対抗するように配置される。さらに、基材001と転写型100とは、基材001の中心軸と転写型100の円環領域103の中心軸とが一致するように配置される。それぞれの軸は図1(A)では軸Pで一致している。
【0035】
(ステップS002)
基材001に被転写材010を塗布することで、転写型100と基材001との間に被転写材010を配置する。ここでは、基材001に被転写材010を塗布する方法で説明しているが、これは転写型100へ被転写材010を塗布する方法でもよい。
【0036】
(ステップS003)
図2のように転写型100と基材001とで被転写材010を挟み押圧する。そして、ガラスで構成された基材001側から紫外線を照射することで、被転写材010を硬化させる。ここで、被転写材010が押圧されて転写型100の凹凸構造110に入り込み、その状態で硬化することにより、被転写材010に転写型100の凹凸構造110が転写される。すなわち、転写型100の凹部101は、被転写材010が硬化して形成される情報記録媒体用基板における溝の部分を形成し、転写型100の凸部102は該基板における突起の部分を形成する。
【0037】
(ステップS004)
図5のように、転写型100と基材001とを引き離す。ここで、転写型100の表面Sは円環領域103の部分が水3μlに対する接触角が110°である。したがって、円環領域103は、Siで形成された平坦状の部材上で固化した被転写材010が離型せず平坦状の部材に接着したままの状態を維持できる力で、該円環領域103上で固化した被転写材010を離型することができる離型性を有している。そして、外部領域104及び円領域105はSiでかつ平坦状の面である。そこで、転写型100と基材001とを引き離した場合、円環領域103に接している被転写材010は基材001からの接着力により円環領域103から離型し、基材001の上に残る(以下では、この部分を被転写材011という。)。そして、外部領域104及び円領域105に接している被転写材010は、円環領域103から被転写材010が離型する力で引かれても接着し続けるため、外部領域104及び円領域105に接着した状態で転写型100側、に残る(以下では、この部分を被転写材012という。)。ここで、被転写材010は十分に薄いため(数十nm〜数百nm程度)、基材001への接着力と外部領域104及び円領域105の接着力とで相対する方向に引かれた場合に、相対する方向に力が加わっている境界の位置で容易に分離する。すなわち、図5に示すように、被転写材010は、被転写材011と被転写材012とに分離する。
【0038】
以上で説明したように、本実施形態にかかる転写型は円環領域の離型性を向上させることで、円環領域と残領域との離型性を異ならせ、円環領域部分から被転写材を離型する力で引いても残領域部分に接している被転写材は離型せず接着した状態を維持する構成である。そして該転写型を用いて情報記録媒体用基板を作製した場合、円環領域部分の被転写材だけ基材側に残り、その他の部分(残領域)の被転写材は分離して転写型側に残ることになる。これにより、基材上からはみ出した転写材による基材の汚染を軽減することが可能となり、情報記録媒体用基板の作成における歩留まりが向上し、また作成した情報記録媒体用基板を用いた情報記録装置の記録及び再生の安定性を向上させることが可能となる。
【0039】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る転写型について説明する。図6は、本実施形態に係る転写型100及び基材001の模式的な断面図である。本実施形態に係る転写型100は、形状は第1の実施形態の転写型と同様の形状を有している。そして、本実施形態に係る転写型100は第1の実施形態と異なり円環領域103に処理を施さず、残領域に接着性を向上させる処理を施した構成である。そこで、以下では、残領域への処理について説明する。
【0040】
(材質及び形状)
接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、Siで構成されている。そして、接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、一つの平坦な面にパターニングを施すことにより凹凸構造110が形成されている。
【0041】
円環領域103は、Siの表面を有している。
【0042】
外部領域104及び円領域105はその表面に、接着性を向上させる膜600が設けられている。
【0043】
元来、転写型100を構成するSiやガラスのような無機材料と紫外線硬化樹脂のような有機材料は馴染みが悪い。そのため、離型時には転写型100から容易に被転写材が離れ、押圧によりはみ出した紫外線硬化樹脂も基材001側に残存する。そこで、無機材料で構成された転写型100の表面に有機材料を結合させ、無機物を有機物であるかのように振舞わせ、無機材料で構成される転写型100と有機材料で構成される被転写材010との馴染みを良くするプライマーの役目を持つ化合物で、所望の領域を処理することにより、その領域の紫外線硬化樹脂で構成された被転写材010を転写型100に強く接着することができる。この化合物の例としては、カップリング剤がありチタン系、クロム系、シラン系などがある。Siやガラスなどの表面改質ではシラン系が主流である。シランカップリング剤は金属やガラスの表面のヒドロキシ(OH)基と反応するアルコキシ基と、紫外線硬化樹脂のような高分子と反応し得る有機官能基の両方を1分子中に有している。被転写材010としては、ビニル系、エポキシ系、アミノ系などがあるが、転写型100の材料や被転写材010の材料の種類に応じて、前述したプライマーの役目を有する化合物を選択することが好ましい。なお、以下の説明では、気相成長法を示したが、ディッピング、スプレー、スピンコートなど、最適な方法で膜の形成を行うことが好ましい。
【0044】
ここで、外部領域104及び円領域105の表面への膜600の具体的な形成方法を図7を参照して説明する。図7は接着性を向上させる膜600の生成方法を表す図であり、(A)〜(G)の順に生成工程が進んでいく。図7(A)はポジ型レジスト塗布工程、図7(B)はレジストが塗布された状態、図7(C)はマスク露光工程、図7(D)は現像工程、図7(E)は気相成長工程、図7(F)は単分子アミノ樹脂膜が生成された状態、図7(G)はレジスト溶解除去工程、である。まず、図7(A)に示すように、転写型100の表面Sにフォトレジスト200を塗布する。これにより、図7(B)に示すように転写型100の表面S上にフォトレジスト200の層が形成される。次に、図7(C)に示すように、基材001側に被転写材を付着させておきたい領域以外、すなわち外部領域104及び円領域105に露光されるマスク201を用いて光を照射し、図7(D)に示すように現像を施す。その後、図7(E)に示すように、3−アミノプロピルトリメトキシシラン204を転写型100の表面Sに気相成長させる。これにより、図7(F)に示すように、フォトレジスト200及び外部領域104及び円領域105の表面に3−アミノプロピルトリメトキシシラン204の単分子アミノ樹脂膜205が形成される。その後、図7(G)に示すように、フォトレジスト200を溶解除去することにより、外部領域104及び円領域105の表面に単分子アミノ樹脂膜205(膜600)が形成される。
【0045】
3−アミノプロピルトリメトキシシランの膜600を設けた外部領域104及び円領域105は、Siで形成された円環領域103上で固化した被転写材が円環領域103から離型する力を加えても、外部領域104及び円領域105上で固化した被転写材は離型せず外部領域104及び円領域105上に接着した状態を維持できる離型性(接着性)に構成される。
【0046】
ここで、本実施形態では3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて接着性の高い膜を作成した場合で説明したが、他のチタン系、クロム系、シラン系のカップリング剤でも同様の接着性を有する膜が形成される。これらの例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0047】
(情報記録媒体用基板の製造)
本実施形態に係る転写型100を用いた情報記録媒体用基板の製造も第1の実施形態で説明した製造方法と同様である。そして、本実施形態に係る転写型100は、外部領域104及び円領域105の表面に単分子アミノ樹脂の膜600が設けられている。そのため、円環領域103上で固化した被転写材が円環領域103から離型する時点で、外部領域104及び円領域105上で固化した被転写材は外部領域104及び円領域105上に接着した状態を維持している。このため、外部領域104及び円領域105に接している被転写材と円環領域103に接している被転写材は、外部領域104及び円領域105と円環領域103との境目の位置で分離する。
【0048】
以上で説明したように、本実施形態にかかる転写型は残領域に3−アミノプロピルトリメトキシシランの膜を形成することで接着性を向上させ、円環領域と残領域との離型性を異ならせ、円環領域部分から被転写材を離型する力で引いても残領域部分に接している被転写材は離型せず接着した状態を維持する構成である。そして該転写型を用いて情報記録媒体用基板を作製した場合、円環領域部分の被転写材だけ基材側に残り、その他の部分(残領域)の被転写材は分離して転写型側に残ることになる。これにより、基材上からはみ出した被転写材による基材の汚染を軽減することが可能となり、情報記録媒体用基板の作成における歩留まりが向上し、また作成した情報記録媒体用基板を用いた情報記録装置の記録及び再生の安定性を向上させることが可能となる。
【0049】
以上の説明では、残領域の接着性を向上のみを実施したが、第1の実施形態と組み合わせることもでき、その場合、より円環領域と残領域との離型性の差ができるため、より確実な被転写材の分離がなされることになる。
【0050】
〔第3の実施形態〕
以下、この発明の第3の実施形態に係る転写型について説明する。図8は、本実施形態に係る転写型100及び基材001の模式的な断面図である。本実施形態に係る転写型100は、形状は第1の実施形態の転写型と同様の形状を有している。そして、本実施形態に係る転写型100は第1の実施形態と異なり円環領域103に処理を施さず、残領域に接着性を向上させる処理を施した構成である。そこで、以下では、残領域への処理について説明する。
【0051】
(材質及び形状)
接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、アクリル樹脂で構成されている。ここで、本実施形態に係る転写型100は、他の材質で構成されてもよく、例えば、樹脂であればポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、又はPET系樹脂やアクリル型樹脂などのシート材でもよく、さらには、ガラスやSiなどでもよい。そして、接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、一つの平坦な面にパターニングを施すことにより凹凸構造110が形成されている。
【0052】
円環領域103は、アクリル樹脂の表面を有している。
【0053】
外部領域104及び円領域105はその表面に、円環領域103にマスクを施し、パターンニング等により表面に粗面化処理が施された面800となっている。この粗面化処理は表面粗さRa50nm以上である。そして、円環領域103の単位当たりの表面積に比較して外部領域104及び円領域105の単位当たりの表面積は2倍以上になることが好ましい。そのため、円環領域103に比較して外部領域104及び円領域105の被転写材に対する摩擦係数が大きくなっており、接着性が向上している。この粗面化処理の方法の例としては、転写型100へ凹凸構造110を作製する際に、凹凸構造110と同様の作成方法で処理を行う方法や、粗面化を行いたい部分以外にマスクをし、ウェットエッチングやブラストであらす方法などがある。この粗面化処理においては、粗面化した部分の溝の側壁が荒れていると摩擦が大きくなり接着性が向上するためより好ましい。また、粗面化した部分の溝が表面Sから離れるにつれて溝幅が広がる逆テーパー形状をしていると摩擦が大きくなり接着性が向上するためより好ましい。
【0054】
粗面化処理を施した外部領域104及び円領域105は、アクリル樹脂で形成された円環領域103上で固化した被転写材が円環領域103から離型する力を加えても、外部領域104及び円領域105上で固化した被転写材は離型せず外部領域104及び円領域105上に接着した状態を維持できる離型性(接着性)に構成される。
【0055】
(情報記録媒体用基板の製造)
本実施形態に係る転写型100を用いた情報記録媒体用基板の製造も第1の実施形態で説明した製造方法と同様である。そして、本実施形態に係る転写型100は、外部領域104及び円領域105の表面に粗面化処理が施されている。そのため、円環領域103上で固化した被転写材が円環領域103から離型する時点で、外部領域104及び円領域105上で固化した被転写材は外部領域104及び円領域105上に接着した状態を維持している。このため、外部領域104及び円領域105に接している被転写材と円環領域103に接している被転写材は、外部領域104及び円領域105と円環領域103との境目の位置で分離する。
【0056】
以上で説明したように、本実施形態にかかる転写型は残領域に粗面化処理を施すことでの接着性を向上させ、円環領域と残領域との離型性を異ならせ、円環領域部分から被転写材を離型する力で引いても残領域部分に接している被転写材は離型せず接着した状態を維持する構成である。そして該転写型を用いて情報記録媒体用基板を作製した場合、円環領域部分の被転写材だけ基材側に残り、その他の部分(残領域)の被転写材は分離して転写型側に残ることになる。これにより、基材上からはみ出した被転写材による基材の汚染を軽減することが可能となり、情報記録媒体用基板の作成における歩留まりが向上し、また作成した情報記録媒体用基板を用いた情報記録装置の記録及び再生の安定性を向上させることが可能となる。
【0057】
以上の説明では、残領域の接着性を向上のみを実施したが、第1の実施形態と組み合わせることもでき、その場合、より円環領域と残領域との離型性の差ができるため、より確実な被転写材の分離がなされることになる。
【0058】
〔第4の実施形態〕
以下、この発明の第4の実施形態に係る転写型について説明する。図9は、本実施形態に係る転写型100及び基材001の模式的な断面図である。本実施形態に係る転写型100は、形状は第1の実施形態の転写型と同様の形状を有している。そして、本実施形態に係る転写型100は第1の実施形態の転写型に加えて、残領域の円環領域103に接する部分に突起を設けた構成である。そこで、以下では、突起について主に説明する。
【0059】
接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、アクリル樹脂で構成されている。ここで、本実施形態に係る転写型100は、他の材質で構成されてもよく、例えば、樹脂であればポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂、又はPET系樹脂やアクリル型樹脂などのシート材でもよく、さらには、ガラスやSiなどでもよい。そして、接着性を向上させる処理を施す前の転写型100は、一つの平坦な面にパターニングを施すことにより凹凸構造110が形成されている。
【0060】
円環領域103は、円環領域103の表面には第1の実施形態で説明したFDTS処理によりFDTSの膜が形成されている。
【0061】
外部領域104及び円領域105は、アクリル樹脂の表面を有している。
【0062】
さらに、図9に示すように外部領域104の円環領域103の外周縁と接する部分に微細な突起901が設けられている。また、円領域105の円環領域103の内周縁と接する部分に微細な突起902が設けられている。この突起901及び突起902は、高さが凹部101と同じ高さもしくはそれ以上の高さが好ましく、かつ作製する情報記録媒体用基板の厚みよりも小さい突起である。凹部101と同じ幅と高さであることが好ましい。この突起901及び突起902は円環領域103の内周縁及び外周縁に沿って円環状に設けられている。さらに、この突起901及び突起902は1つの突起による円である必要はなく、複数の突起の集合体でもよい。また、本実施形態では、突起の頭頂部を三角で説明したが、これは他の形状でもよく、例えば、矩形でも先端が丸まった形状でもよい。
【0063】
(情報記録媒体用基板の製造)
本実施形態に係る転写型100を用いた情報記録媒体用基板の製造も第1の実施形態で説明した製造方法と同様である。そして、第1の実施形態で説明したように、被転写材は、離型時に円環領域103と接している部分と残領域と接している部分とで分離することになる。その時、突起901及び突起902により分離が誘導され、この突起901及び突起902の位置、すなわち円環領域103の外周縁及び内周縁の位置で分離がなされる。
【0064】
以上で説明したように、本実施形態にかかる転写型は円環領域の内周縁及び外周縁と接する残領域の部分に突起を設け、その突起により硬化した被転写材の分離を誘導する構成である。これにより、基材上からはみ出した被転写材を、より正確に円環領域との境目の位置で分離することができ、より正確な情報記録媒体用基板を作製することが可能となる。したがって、情報記録媒体用基板の作成における歩留まりが向上し、また作成した情報記録媒体用基板を用いた情報記録装置の記録及び再生の安定性を向上させることが可能となる。
【0065】
また、以上の説明では、第1の実施形態において突起を設けたが、これは、第2の実施形態、第3の実施形態、及びそれらと第1の実施形態の組み合わせの場合においても突起を設けることも可能であり、それらの場合にも、より正確に円環領域との境目の位置で分離することができるという効果が発生する。
【0066】
さらに、以上の各実施形態において、転写型の材料としてSi又はガラスなどを用いた場合、通常は転写型に付着した被転写材を溶液などで除去し再利用する。これに対し、転写型の材料として樹脂を使用した場合、転写型自体が大量生産可能であるので、通常は転写型に付着した被転写材の除去は行わずに使い捨てることとなる。また、転写型としてSiなどの上にレジストなどを載せて凹凸構造をつけた場合にも、上に載せたレジストなどの部分は捨てることになる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(A)第1の実施形態に係る情報記録媒体用基板用転写型及び基材の模式的な断面図、(B)図1(A)における情報記録媒体用基板用転写型を基材側から見た平面図、(C)図(A)における基材を情報記録媒体用基板用転写型側から見た平面図
【図2】情報記録媒体用基板用転写型と基板との間に被転写材を挟んだ状態を表す図
【図3】離型膜の生成方法を表す図、(A)レジスト塗布工程、(B)レジストが塗布された状態、(C)マスク露光工程、(D)現像工程、(E)気相成長工程、(F)単分子フッ素樹脂膜が生成された状態、(G)レジスト溶解除去工程
【図4】本発明に係る情報記録媒体用基板用転写型を用いた情報記録媒体用基板の製造のフローチャート図
【図5】情報記録媒体用基板用転写型と基板とを引き離した離型時の状態を表す図
【図6】第2の実施形態に係る情報記録媒体用基板用転写型及び基材の模式的な断面図
【図7】接着膜の生成方法を表す図、(A)レジスト塗布工程、(B)レジストが塗布された状態、(C)マスク露光工程、(D)現像工程、(E)気相成長工程、(F)単分子アミノ樹脂膜が生成された状態、(G)レジスト溶解除去工程
【図8】第3の実施形態に係る情報記録媒体用基板用転写型及び基材の模式的な断面図
【図9】第4の実施形態に係る情報記録媒体用基板用転写型及び基材の模式的な断面図
【符号の説明】
【0068】
001 基材
010 被転写材
100 情報記録媒体用基板用転写型(転写型)
101 凹部
102 凸部
103 円環領域
104 外部領域
105 円領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の凹凸構造を備えた円環領域と該円環領域を囲む残領域とを有し、前記円環領域と同一の大きさであって中心に穴を有する円盤状の基材と前記円環領域との間に配置された被転写材を挟み押圧することで、前記被転写材に前記凹凸構造が転写された情報記録媒体用の基板を製造するための転写型であって、
前記被転写材から引き離されたときに、前記円環領域は前記被転写材が離れる離型性を有し、前記残領域は前記被転写材が接着している接着性を有することを特徴とする転写型。
【請求項2】
前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記円環領域は水に対する接触角が100°以上である膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の転写型。
【請求項3】
前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域はチタン系、クロム系、又はシラン系のカップリング剤で構成された膜が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写型。
【請求項4】
前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域は、表面粗さ(Ra)50nm以上であることを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写型。
【請求項5】
前記転写型はSi、ガラス、又は樹脂で構成されており、前記残領域は、前記円環領域に比べて単位当たりの表面積が少なくとも2倍以上を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写型。
【請求項6】
前記円環領域の外周縁及び内周縁に接する前記残領域に、押圧した時に前記被転写材に食い込む突起を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の転写型。
【請求項7】
前記突起は、高さが前記凹凸構造の高さ以上であり、かつ前記被転写材の厚みよりも短いことを特徴とする請求項6に記載の転写型。
【請求項8】
Si、ガラス、又は樹脂で構成されて、表面に複数の凹凸構造を備えた円環領域と該円環領域を囲む残領域とを有する転写型に、前記円環領域が前記残領域よりも相対的に離型しやすくなる処理を施す段階と、
前記転写型の前記表面と、前記円環領域と同一の大きさであって中心に穴を有する円盤状の基材とを対向させ前記円環領域と前記円盤が同心に位置するように配置する段階と、
前記転写型と前記基材との間に被転写材を挟んで押圧し前記凹凸構造を転写する段階と、
前記被転写材が硬化した後に、前記転写型と前記基板とを引き離し、前記残領域に接している部分の前記被転写材を前記表面に残し、前記円環領域に接している部分の前記被転写材を前記基材に残すことで、前記残領域に接している部分の前記被転写材と前記円環領域に接している部分の前記被転写材とを分離させる段階と、
を有することを特徴とする情報記録媒体用基板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−113772(P2010−113772A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286513(P2008−286513)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】