説明

載置台構造、ロードロック装置及び処理装置

【課題】1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替えすることが可能な載置台構造を提供する。
【解決手段】被処理体Wを収容することができる容器46内に設けられて、搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、載置台58と、ベース台64と、ベース台を昇降させる昇降手段72と、ベース台に設けられ、その上端部で被処理体を支持する複数の第1のピン部66と、載置台の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能にベース台に起立させて設けられ、第1のピン部よりも長く設定されると共にその上端部で載置台上の被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部68と、ベース台の上昇時に第2ピン部を一時的に外側へ展開させる展開機構69とを備える。これにより1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に対して所定の処理を施す処理装置やロードロック装置やこれらに用いられる載置台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハに対して各種の薄膜の成膜処理、改質処理、酸化拡散処理、アニール処理、エッチング処理等が順次繰り返して施される。例えば枚葉式の処理システムを例にとれば、この各種の処理を行うために、連続して処理を行うことができる複数の処理装置を1つの共通搬送装置に共通に連結して、いわゆるクラスタ型の処理システムを作っている。そして、この処理システムにおいて、共通搬送装置内に設けた搬送機構を用いて、半導体ウエハを各処理装置間に、いわば渡り歩くようにして搬送しつつ、その都度、必要な処理を各処理装置にて連続的に、且つ効率的に行うようになっている(例えば特許文献1、2等)。
【0003】
この種のクラスタ処理装置よりなる従来の処理システムの一例を図9乃至図11を参照して説明する。図9は従来のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略平面図、図10は従来の載置台構造のリフタピンの動作を示す工程図、図11はリフタピンの動作を示すフローチャートである。
【0004】
図9に示すように、この処理システム2は、例えば真空雰囲気下で被処理体である半導体ウエハWに対して所定の処理を行う複数、ここでは4つの処理装置4A、4B、4C、4Dと、この4つの処理装置4A〜4Dが周辺部に連結された共通搬送装置6とを有している。これらの4つの処理装置4A〜4Dにおける処理は、成膜処理やエッチング処理や酸化拡散処理等の真空雰囲気下で行われる全ての処理が必要に応じて適用される。また上記各処理装置4A〜4D内には、半導体ウエハWを載置するための載置台構造8A、8B、8C、8Dがそれぞれ設けられている。
【0005】
上記共通搬送装置6は、この内部が真空雰囲気になされ、その外殻は例えば六角形状に成形されており、この周囲の各辺に上記4つの処理装置4A〜4Dが気密に開閉可能になされたゲートバルブGを介してそれぞれ連結されている。
【0006】
この共通搬送装置6の残りの2つの辺には、この共通搬送装置6に対して真空を破ることなく半導体ウエハWを搬出入させるための2つのロードロック装置10、12がそれぞれゲートバルブGを介して連結されている。このロードロック装置10、12は、真空引き及び大気圧復帰が可能になされている。また、このロードロック装置10、12の反対側には、それぞれゲートバルブGを介して横長のロードチャンバ14が共通に連結されている。このロードチャンバ14の一側には、複数枚の半導体ウエハを収容できるカセット(図示せず)を載置するI/Oポート16が設けられ、その長手方向の一端には半導体ウエハの位置決めを行うオリエンタ18が設けられる。
【0007】
そして、このロードチャンバ14内には、半導体ウエハWを搬送するためのロード側の搬送機構20が案内レール21に沿って長手方向へ移動可能に設けられている。また、このロード側の搬送機構20は、屈伸及び旋回が可能になされた2本のピック20A、20Bを有しており、このピック20A、20B上に半導体ウエハWを保持するようになっている。そして、このロードチャンバ14内は、大気圧、或いは大気圧よりも僅かに陽圧になされている。
【0008】
上記共通搬送装置6内には、半導体ウエハWを搬送するために真空側の搬送機構22が設けられる。具体的には、この真空側の搬送機構22は、屈伸及び旋回が可能になされた2本のピック22A、22Bを有しており、これらのピック22A、22Bの先端部に半導体ウエハWを載置した状態で各処理装置4A〜4D間及び2つのロードロック装置10、12間で半導体ウエハWを搬送するようになっている。
【0009】
更に、上記各ロードロック装置10、12内には、半導体ウエハWを一時的に保持するための載置台構造24がそれぞれ設けられる。この載置台構造24は、半導体ウエハWを上面に載置する載置台26を有しており、この載置台26には、半導体ウエハを冷却する冷却手段(図示せず)が設けられている。
【0010】
また図10にも示すように、この載置台26の下方には、昇降可能になされたベース台28が設けられている。このベース台28には、同一の円周上に120度間隔で配置された3本のリフタピン30が設けられており(図10においては3本のリフタピン30を平面的に記載している)、上記載置台26には、上記リフタピン30を挿通させるためのピン孔32が設けられている。従って、これらのリフタピン30を上下方向へ昇降させて半導体ウエハWを持ち上げたり、持ち下げたりして、隣設されたロードチャンバ14との間や共通搬送装置6との間で半導体ウエハWの移載を行うようになっている。
【0011】
ここで図10及び図11も参照して上記リフタピン30とピックとの間の半導体ウエハWの受け渡し方法について具体的に説明する。ここでは、一例として2つのロードロック装置10、12の内のロードロック装置10内に収容してある未処理の半導体ウエハW1と共通搬送装置6内で保持している処理済みの半導体ウエハW2とを交換する場合について説明する。前提として、図10(A)に示すようにロードロック装置10の載置台26上には、未処理の半導体ウエハW1が載置された状態となっている。他方、共通搬送装置6内の真空側の搬送機構22にあっては、図9に示すように一方のピック22A上には処理済みの半導体ウエハW2が保持され、他方のピック22Bは空状態になっている。
【0012】
まず、このロードロック装置10と共通搬送装置6とを仕切っているゲートバルブGを開き、両者を連通させる(S1)。次に、図10(B)に示すようにリフタピン30を最上段まで上昇させて半導体ウエハW1をリフタピン30で持ち上げた後に(S2)、上記空のピック22Bを延ばして上記半導体ウエハW1の下方に挿入する(S3)。
【0013】
次に、図10(C)に示すように上記リフタピン30を最下段まで降下させて、リフタピン30上の半導体ウエハW1を上記空のピック22Bに受け渡すことによって移載する(S4)。次に、半導体ウエハW1が移載された上記ピック22Bを縮退させて引き戻して図10(D)に示すように載置台26の上方を空にする(S5)。
【0014】
次に、真空側の搬送機構22を180度旋回させて処理済みの半導体ウエハW2を保持している他方のピック22Aを、このロードロック装置10側に向ける(S6)。次に、上記処理済みの半導体ウエハW2を保持しているピック22Aを延ばして、このピック22Aを図10(E)に示すように上記載置台26の上方に位置させる(S7)。
【0015】
次に、図10(F)に示すようにリフタピン30を最上段まで上昇させて半導体ウエハW2をリフタピン30で持ち下げて半導体ウエハW2をピック22Aからリフタピン32へ移載する(S8)。次に、上記空になったピック22Aを引き戻して(S9)、図10(G)に示すように載置台26の上方からピック22Aを取り除く。
【0016】
次に、このロードロック装置10と共通搬送装置6との間のゲートバルブGを閉じて両者間の連通を断ち(S10)、図10(H)に示すようにリフタピン30を最下段まで降下させることによって(S11)、処理済みの半導体ウエハW2を載置台26上に載置することになる。
【0017】
これにより、ロードロック装置10と共通搬送装置6との間における未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2との変換、或いは入れ替え(移載)が完了することになる。尚、他方のロードロック装置12における半導体ウエハの入れ替え操作も上述した操作と同様に行われるのは勿論である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−119635号公報
【特許文献2】特開2007−260624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、上記した従来の載置台構造にあっては、未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2とを入れ替える場合、共通搬送装置6内の真空側の搬送機構22は、図11のステップS6で説明したように、半導体ウエハの入れ替え途中において必ず180度旋回させなければならない。この旋回操作に要する時間は僅か5〜10秒程度の非常に短時間ではあるが、この半導体ウエハの入れ替え操作は繰り返し行われるために、旋回時間を合算すればかなりの長い時間となり、この結果、スループットの低下の原因の1つとなっていた。
【0020】
また上記搬送機構22の両ピック22A、22Bの位置精度は厳しく管理されてはいるが、それでも入れ替え操作に異なるピック22A、22Bを必ず用いることから、両ピック22A、22B間に存在する移動時の僅かな誤差が半導体ウエハWの移載時の位置誤差として現れるので好ましくない。また上述したような問題は、各処理装置4A〜4D内で載置されている処理済みの半導体ウエハと共通搬送装置6内のピックで保持されている未処理の半導体ウエハとを入れ替える際にも発生する。
【0021】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明は、1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替えすることが可能な載置台構造、ロードロック装置及び処理装置である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に係る発明は、被処理体を収容することができる容器内に設けられて、外部より前記容器内へ搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、前記被処理体を載置するための載置台と、前記載置台の下方に設けられたベース台と、前記ベース台を昇降させる昇降手段と、前記ベース台に起立されると共に前記載置台を貫通するように設けられ、その上端部で前記被処理体を支持する複数の第1のピン部と、前記載置台の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能に前記ベース台に起立させて設けられ、前記第1のピン部よりも長く設定されると共にその上端部で前記載置台上の前記被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部と、前記ベース台の上昇時に前記第2ピン部を一時的に外側へ展開させる展開機構と、を備えたことを特徴とする載置台構造である。
【0023】
このように、被処理体を収容することができる容器内に設けられて、外部より容器内へ搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、ベース台に起立されると共に載置台を貫通し、その上端部で被処理体を支持する複数の第1のピン部を設け、載置台の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能にベース台に起立されており、しかも第1のピン部よりも長く設定されると共にその上端部で載置台上の被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部を設け、更にベース台の上昇時に第2ピン部を一時的に外側へ展開させる展開機構を設けるようにしたので、外部より1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替えすることが可能となる。
【0024】
従って、従来の載置台構造のように、被処理体を搬送する搬送機構を途中で180度旋回させる必要がなくなるので、その分、スループットを向上させることが可能となる。また、被処理体の入れ替え時に例えば1つのピックの操作で被処理体の入れ替え操作を行うことができるので、2つのピックの操作を必要とした従来の載置台構造と比較して、被処理体の移載時に位置誤差の発生を抑制することが可能となる。
【0025】
請求項8の発明は、被処理体を収容して真空引き及び大気圧復帰が可能になされたロードロック用の容器と、請求項1乃至7のいずれか一項に記載された載置台構造と、被処理体を冷却する冷却手段と、を備えたことを特徴とするロードロック装置である。
【0026】
請求項9の発明は、被処理体を収容して所定の処理を行うためのプロセス用の容器と、前記容器内へガスを導入するためのガス導入手段と、前記容器内の雰囲気を排気するための排気手段と、請求項1乃至7のいずれか一項に記載された載置台構造と、を備えたことを特徴とする処理装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る載置台構造、ロードロック装置及び処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
被処理体を収容することができる容器内に設けられて、外部より容器内へ搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、ベース台に起立されると共に載置台を貫通し、その上端部で被処理体を支持する複数の第1のピン部を設け、載置台の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能にベース台に起立されており、しかも第1のピン部よりも長く設定されると共にその上端部で載置台上の被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部を設け、更にベース台の上昇時に第2ピン部を一時的に外側へ展開させる展開機構を設けるようにしたので、外部より1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替えすることができる。
【0028】
従って、従来の載置台構造のように、被処理体を搬送する搬送機構を途中で180度旋回させる必要がなくなるので、その分、スループットを向上させることができる。また、被処理体の入れ替え時に例えば1つのピックの操作で被処理体の入れ替え操作を行うことができるので、2つのピックの操作を必要とした従来の載置台構造と比較して、被処理体の移載時に位置誤差の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】搬送機構のピックの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の載置台構造を有するロードロック装置の一例を示す断面図である。
【図4】載置台構造の載置台を示す平面図である。
【図5】載置台構造のベース台の一例を示す構成図である。
【図6】展開機構の動作を示す動作説明図である。
【図7】本発明の載置台構造における各ピン部の動作を示す工程図である。
【図8】各ピン部の動作を示すフローチャートである。
【図9】従来のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図10】従来の載置台構造のリフタピンの動作を示す工程図である。
【図11】リフタピンの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る載置台構造、ロードロック装置及び処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略平面図、図2は搬送機構のピックの一例を示す平面図、図3は本発明の載置台構造を有するロードロック装置の一例を示す断面図、図4は載置台構造の載置台を示す平面図、図5は載置台構造のベース台の一例を示す構成図、図6は展開機構の動作を示す動作説明図である。尚、図9乃至図11において説明した従来の処理システム等の各構成部分と同一構成部分については、同一参照符号を付して説明する。まず、本発明のロードロック装置を用いた処理システムについて説明する。
【0031】
図1及び図2に示すように、この処理システム2は、例えば真空雰囲気下で被処理体である半導体ウエハWに対して所定の処理を行う複数、ここでは4つの処理装置4A、4B、4C、4Dと、この4つの処理装置4A〜4Dが周辺部に連結された共通搬送装置6とを有している。これらの4つの処理装置4A〜4Dにおける処理は、成膜処理やエッチング処理や酸化拡散処理等の真空雰囲気下で行われる全ての処理が必要に応じて適用される。
【0032】
これらの各処理装置4A〜4Dは、それぞれアルミニウム合金等で形成されたプロセス用の容器3A、3B、3C、3Dを有している。そして、この各プロセス用の容器3A〜3Dには、内部へ必要なガスを流量制御しつつ導入するための例えばシャワーヘッド等よりなるガス導入手段5A、5B、5C、5Dがそれぞれ設けられると共に、各容器3A〜3Dには、内部雰囲気を排気するための排気手段7A、7B、7C、7Dがそれぞれ設けられる。そして、各排気手段7A〜7Dには、各容器3A〜3D内の圧力を調整する圧力調整弁(図示せず)や真空ポンプ(図示せず)等が設けられており、例えば圧力調整しつつ真空引きできるようになっている。また上記各処理装置4A〜4D内には、半導体ウエハWを載置するための載置台構造8A、8B、8C、8Dがそれぞれ設けられている。
そして、各処理装置4A〜4Dには、処理すべき態様に応じて半導体ウエハを加熱する加熱手段やプラズマを発生するプラズマ発生手段等が設けられる。
【0033】
上記共通搬送装置6は、この内部が真空雰囲気になされ、その外殻は例えば六角形状に成形されており、この周囲の各辺に上記4つの処理装置4A〜4Dが気密に開閉可能になされたゲートバルブGを介してそれぞれ連結されている。
【0034】
この共通搬送装置6の残りの2つの辺には、この共通搬送装置6に対して真空を破ることなく半導体ウエハWを搬出入させるための2つの本発明に係るロードロック装置40、42がそれぞれゲートバルブGを介して連結されている。このロードロック装置40、42は、真空引き及び大気圧復帰が可能になされている。また、このロードロック装置40、42の反対側には、それぞれゲートバルブGを介して横長のロードチャンバ14が共通に連結されている。このロードチャンバ14の一側には、複数枚の半導体ウエハを収容できるカセット(図示せず)を載置するI/Oポート16が設けられ、その長手方向の一端には半導体ウエハの位置決めを行うオリエンタ18が設けられる。
【0035】
そして、このロードチャンバ14内には、半導体ウエハWを搬送するためのロード側の搬送機構20が案内レール21に沿って長手方向へ移動可能に設けられている。また、このロード側の搬送機構20は、屈伸及び旋回が可能になされた2本のピック20A、20Bを有しており、このピック20A、20B上に半導体ウエハWを保持するようになっている。そして、このロードチャンバ14内は、大気圧、或いは大気圧よりも僅かに陽圧になされている。
【0036】
上記共通搬送装置6内には、半導体ウエハWを搬送するために真空側の搬送機構22が設けられる。具体的には、この真空側の搬送機構22は、屈伸及び旋回が可能になされた2本のピック22A、22Bを有しており、これらのピック22A、22Bの先端部に半導体ウエハWを載置した状態で各処理装置4A〜4D間及び2つのロードロック装置10、12間で半導体ウエハWを搬送するようになっている。図2にも示すように、上記各ピック22A、22Bの表面には、半導体ウエハWの滑りを防止するために、例えばアルミナ、石英、PI(ポリイミド)、PBI(ポリベンゾイミダノール)[PBI Performance Product社の登録商標)等よりなる滑り防止部材44が複数個、例えば4つ設けられている。
【0037】
そして、本発明に係る各ロードロック装置40、42は、その外殻として例えばアルミニウム合金等よりなるロードロック用の容器46をそれぞれ有しており、各容器46内には本発明に係る載置台構造48がそれぞれ設けられる。ここで上記殻ロードロック装置40、42は互いに同じ構造になっているので、ここでは代表として一方のロードロック装置40を例にとって説明する。
【0038】
図3にも示すように、上記ロードロック用の容器46の底部には、ガス導入口50が形成されており、大気圧復帰時にこのガス導入口50からガスを導入できるようになっている。この大気圧復帰のガスとしては、HeやAr等に代表される希ガスやN 等の不活性ガスを用いることができ、ここではN ガスを用いている。更に、この容器46の底部には、内部雰囲気を排気するガス排気口52が設けられており、このガス排気口52に図示しない真空ポンプと圧力調整弁を接続して、必要時に上記容器46内を所定の圧力の真空雰囲気に維持できるようになっている。
【0039】
そして、上記容器46の対向する両側壁に、半導体ウエハを搬出入するための搬出入口54、56がそれぞれ形成されており、各搬出入口54、56には、それぞれゲートバルブGを介して上記ロードチャンバ14と上記共通搬送装置6とが連結されている。そして、上記ロードロック用の容器46内に設置される本発明の載置台構造48は、例えばアルミニウム合金等の金属よりなる円板状の載置台58を有しており、この載置台58の裏面の中心は、容器底部より起立させた支柱60の上端に連結されて支持されている。この載置台58内には、冷却手段として冷却ジャケット62が設けられており、この冷却ジャケット62に冷媒として例えば冷却水を流すことにより、この載置台58上に載置される処理済みの高温の半導体ウエハWを冷却するようになっている。
【0040】
そして、この載置台58の下方に、昇降可能になされたベース台64と、このベース台64に起立されて設けられると共に半導体ウエハWを支持する複数、すなわち3本の第1のピン部66と、このベース台64に起立されると共に外側へ展開復帰が可能になされた複数、すなわち3本の本発明の特徴とする第2のピン部68とが設けられている。そして、この第2のピン部68で上記半導体ウエハWとは異なる半導体ウエハWを支持するようになっている。また、上記第2のピン部68を外側へ展開させるための展開機構69が容器46側に設けられている。
【0041】
具体的には、上記ベース台64の裏面からは1本の昇降ロッド70が下方へ延びており、この昇降ロッド70の下端は、ロードロック用の容器46の底部に気密に設けた例えばアクチュエータよりなる昇降手段72に連結されている。これにより、上記ベース台64を上下方向へ昇降可能としている。この場合、後述するように、上記ベース台64は、上下方向において異なる3つの位置、すなわち最上段の位置と中段の位置と最下段の位置とに停止できるようになっている。
【0042】
上記ベース台64は、例えばアルミニウム合金等の金属よりなり、図5に示すように、中心に位置する支柱60を囲むように略円に近い円弧状に成形されて円弧部分64Aとなっている。そして、上記円弧部分64Aからは、120度間隔で半径方向の外方へ3つのアーム部64Bが延びており、全体が一体成形されている。
【0043】
そして、上記ベース台64の円弧部分64Aには、これより上方へ向けて起立された複数本、ここでは3本の上記第1のピン部66が設けられている。この各第1のピン部66は、上方へ直線状に延びるリフタピン74を有しており、このリフタピン74は120度間隔で同一円周上に配置されている。そして、上記載置台58には、上記各リフタピン74を挿通させるためのピン挿通孔76が形成されており、この挿通孔76を挿通された上記リフタピン74の上端部で載置台58上に位置する半導体ウエハWを支持してこれを押し上げたり、押し下げたりできるようになっている。このリフタピン74は、例えばアルミナ、石英等により形成されている。
【0044】
一方、上記3つの第2のピン部68は、上記載置台58の外周側に位置させて設けられ、その長さは上記第1のピン部66よりも長く設定されている。そして、この第2のピン部68も同一円周状に120度間隔で配置されている。具体的には、この第2のピン部68は、上端部が載置台58の半径方向の内方に向けて屈曲されたようにL字状に曲げられて中心方向へ延びる可動リフタピン78を有している。そして、上記屈曲されたように延びた部分が接触支持部80となり、この接触支持部80の上面が半導体ウエハWの周辺部の裏面に当接して半導体ウエハWを支持するようになっている。この接触支持部80の長さは50〜70mm程度である。この接触支持部80は、載置台58の周辺部を、上下方向へ切り欠いて形成した収容溝82内へ収容されており(図4参照)、上下方向へ移動できるようになっている。
【0045】
また、この収容溝82の形成位置は、半導体ウエハWを載置台58上に載置する時の載置領域の周辺部に位置するように設定されている。ここでは半導体ウエハWの直径と載置台58の直径は略同じになるように設定されており、従って、載置台58の上面の全体が載置領域となっている。
【0046】
そして、上記可動リフタピン78の基端部は、ベース台64のアーム部64B(図5参照)の先端に、ピン84により軸支されており、この軸支した点を支点として揺動可能になされている。そして、このアーム部64Bには、上記可動リフタピン78の基端部に対応させてストッパ部材86が起立させて設けられており、上記可動リフタピン78が起立状態から載置台58の半径方向の内方へ揺動乃至展開することを阻止すると共に、半径方向の外方への展開を許容するようになっている(図6参照)。
【0047】
また、このアーム部64Bの先端部には、バネ係合片88が起立して形成されており、このバネ係合片88と上記可動リフタピン78との間に、弾発部材90が掛け渡すようにして取り付けられている。そして、弾発部材90の作用により、上記可動リフタピン78には、載置台58の半径方向の内方に向けた弾発力を付すようになっている。従って、後述するように、この可動リフタピン78が載置台58の半径方向の外方(外側)に向けて展開乃至揺動しても、その後に元の位置に復帰するようになされている(図6参照)。この弾発部材90としては、例えばコイルバネ等を用いることができる。
【0048】
そして、上記第2のピン部68である可動リフタピン78を外側に向けて展開させるための上記展開機構67は、上記可動リフタピン78に設けられた第1の係合部92と、この第1の係合部92に対向するようにしてロードロック用の容器46側に設けた第2の係合部94とを有している。具体的には、上記第1の係合部92は、上記可動リフタピン78より載置台58の半径方向の外方に向けて突出されて水平方向へ延びる第1の係合突起片96を有しており、この第1の係合突起片96の先端には、外方に向けて下向き傾斜された第1のテーパ面96Aが形成されている(図6参照)。
【0049】
これに対して、上記第2の係合部94は、上記ロードロック用の容器46の側壁に設けられた取付部材98を有しており、この取付部材98には、上記第1の係合部92の第1の係合突起片96に向けて水平方向に延びる第2の係合突起片100が設けられている。この第2の係合突起片100の基端部は、上記取付部材98の中央部にピン102により軸支されており、この軸支された点を支点として揺動可能になされている。
【0050】
そして、上記取付部材98の先端側がストッパ部材104として機能するようになっており、この第2の係合突起片100が上方向への揺動乃至展開することを阻止すると共に、下方向への展開を許容するようになっている(図6参照)。そして、この取付部材98の先端部と上記第2の係合突起片100との間に、弾発部材106が掛け渡すように取り付けられている。そして、この弾発部材106により、上記第2の係合突起片100に対して上方向に向けた弾発力を付すようになっている。この弾発部材106としては、例えばコイルバネを用いることができる。従って、この第2の係合突起片100が下方向に向けて展開しても、その後に元の位置に復帰するようになされている(図6参照)。
【0051】
そして、この第2の係合突起片100の先端は、上記取付部材98よりも内側に延びており、この第2の係合突起片100の先端には、ロードロック側の容器46の半径方向の外方に向けて下向き傾斜された第2のテーパ面100Aが形成されている。この第2のテーパ面100Aは、上記第1の係合突起片96の第1のテーパ面96Aと同じ向きに傾斜しており、非動作時において対向するようにして配置されて互いに非常に接近された状態となっている。
【0052】
上記構成により、上記昇降手段72が動作して上記ベース台64が上昇する時に、上記展開機構69は、第2のピン部68の可動リフタピン78を外側へ一時的に展開乃至揺動させて、この可動リフタピン78の上端部が上記載置台58上に載置されている半導体ウエハWの周辺部の外側まで展開させて半導体ウエハWと干渉させないようになっている。
【0053】
また、この昇降手段72が動作した時には、前述したように、ベース台64を上下方向において異なる3つの位置で停止できるようになっているが、後述する図7において最下段の位置は、図7(A)に示すように第2のピン部68の先端が載置台58の載置面より下方に位置するようなポジションを指し、中段の位置は、図7(C)及び図7(D)に示すように、第2のピン部68、すなわち可動リフタピン78の先端が侵入するピックの水平レベルよりも上方に位置して侵入してくるピックと干渉せず、且つ第1のピン部66、すなわちリフタピン74の上端が上記水平レベルよりも下方に位置するようなポジションを指し、最上段の位置は図7(E)及び図7(F)に示すように第1のピン部66、すなわちリフタピン74の先端が上記水平レベルよりも上方に位置して侵入してくるピックと干渉しないようなポジションを指すことになる。
【0054】
<本発明の動作>
次に、以上のように構成された本発明の載置台構造及びロードロック装置の動作について図7及び図8も参照して説明する。図7は本発明の載置台構造における各ピン部の動作を示す工程図、図8は各ピン部の動作を示すフローチャートである。まず、ロードチャンバ14に設けたI/Oポート16からは、未処理の半導体ウエハWがロード側の搬送アーム20により取り上げられ、ロードチャンバ14側へ搬入される。この半導体ウエハWは、ロード側の搬送アーム20によりオリエンタ18まで搬送されてここで位置合わせがなされる。この位置合わせ後の半導体ウエハWは、2つのロードロック装置40、42の内のいずれか一方の大気圧雰囲気になっているロードロック室内に搬入される。
【0055】
このロードロック装置内は真空雰囲気になされた後に、予め真空雰囲気になされた共通搬送装置6側のゲートバルブGを開くことにより、共通搬送装置6内と連通される。そして、真空側の搬送機構22を動作させることによって2つのピック22A、22Bの内のいずれか一方のピックで上記ロードロック装置内の半導体ウエハWを取り上げ、これを共通搬送装置6内へ取り込む。この際、後述するように、一方のピックのみで処理済みの半導体ウエハと未処理の半導体ウエハの入れ替え操作を行うことになる。そして、上記ゲートバルブGを閉じた後に、第1の処理を行うべくこの半導体ウエハWを例えば第1の処理装置4A内へ搬入する。
【0056】
このようにして、第1の処理装置4A内で、所定の処理、例えば熱処理が行われた半導体ウエハWは、真空側の搬送機構22の2つのピック22A、22Bの内のいずれか一方のピックを用いて、処理の態様にもよるが、例えば第2の処理装置4B、第3の処理装置4C及び第4の処理装置4Dへと順次搬送され、その都度、各処理装置4B〜4D内でそれぞれの処理が施されることになる。そして、処理が完了した半導体ウエハWは、上述した搬送経路とは逆の経路を辿って処理済みの半導体ウエハWを置くI/Oポート16側へ搬出されて行くことになる。この場合、ロードロック装置にて処理済みの半導体ウエハを、未処理の半導体ウエハと入れ替える際に上述したように一方のピックのみで行われることになる。
【0057】
ここで上記ロードロック装置40、42において1つのピックを用いて未処理の半導体ウエハと処理済みの半導体ウエハとの入れ替えを行う場合について詳しく説明する。上記両ロードロック装置40、42における半導体ウエハの入れ替え(受け渡し)操作は全く同じようになされるので、ここでは一方のロードロック装置40の動作を例にとって説明する。
【0058】
具体的には、一方のロードロック装置40内に収容してある未処理の半導体ウエハW1と共通搬送装置6内で保持している処理済みの半導体ウエハW2とを交換する場合について説明する。前提として、図7(A)に示すようにロードロック装置40の載置台58上には、未処理の半導体ウエハW1が載置された状態となっている。他方、共通搬送装置6内の真空側の搬送機構22にあっては、図1に示すように一方のピック22A上には処理済みの半導体ウエハW2が保持され、他方のピック22Bは空状態になっている。そして、この時には、載置台構造48のベース台64は、最下段に位置されている。
【0059】
まず、このロードロック装置40と共通搬送装置6とを仕切っているゲートバルブGを開き、両者を連通させる(S21)。次に、図7(B)に示すように、処理済みの半導体ウエハW2を保持するピック22Aを延ばして、これを載置台58の上方に位置させる(S22)。
【0060】
次に、ベース台64を上昇させることによって中段に位置させる(S23)。これにより、ピック22A上に支持されていた処理済みの半導体ウエハW2は、図7(C)に示すように、第2のピン部68の可動リフタピン78の上端の接触支持部80の上面に当接してこれにより持ち上げられ、同時に、載置台58上に支持されていた未処理の半導体ウエハW1は第1のピン部66の第1のリフタピン74の上端により持ち上げられる。
【0061】
ここで重要な点は、図7(C)において、矢印110に示すように可動リフタピン78は、上昇しつつその下端部を支点として外側へ一時的に展開して元の位置に復帰するように動作し、載置台58上の半導体ウエハW1と干渉しないようになっている。具体的には、図6(A)に示すように、ベース台64を上昇し始めると、可動リフタピン78に設けた展開機構69の第1の係合部92の第1の係合突起片96の先端である第1のテーパ面96Aが、容器側壁に設けた第2の係合部94の第2の係合突起片100の先端である第2のテーパ面100Aと接触して可動リフタピン78を下方へ押し上げるように動作する。
【0062】
すると、この可動リフタピン78は、この下端部のピン84を支点として図6(A)中の矢印112に示すように展開乃至揺動しつつ上昇して行くことになる。この結果、第2の係合突起片100は、ストッパ部104により上方向への回転が規制されているので、この可動リフタピン78の先端の接触支持部80は、弾発部材90の付勢力に抗して載置台58上に支持されている半導体ウエハW1の周辺部よりも外側へ一時的に展開し、この半導体ウエハW1の周辺部を外側へ避けるようにして上昇する。そして、可動リフタピン78がある程度まで上昇すると、上記第1のテーパ面96Aと第2のテーパ面100Aとの接触係合状態が解かれて、この可動リフタピン78は弾発部材90の付勢力によって矢印114に示すように元の方向へ回転して元の状態に戻ることになる。この結果、図7(C)に示すような状態となる。
【0063】
次に、今まで延びていたピック22Aを縮退させて引き戻し(S24)、この空になったピック22Aを図7(D)に示すように載置台58の上方より排除して共通搬送装置6内へ納める。次に、図7(E)に示すようにベース台64を最上段まで上昇させる(S25)。次に、共通搬送装置6内に納めていた空になっていたピック22Aを再び延ばし(S26)、この空のピック22Aを図7(F)に示すように、未処理の半導体ウエハW1を支持している第1のピン部66のリフタピン74の先端よりも下方に挿入する。
【0064】
次に、図7(G)に示すように、ベース台64を中段の位置まで降下させる(S27)。これにより、上記リフタピン74に支持されていた上記未処理の半導体ウエハW1が上記ピック22A上に移されることになる。次に、未処理の半導体ウエハW1が移されたピック22Aを再び縮退させて引き戻し(S28)、この未処理の半導体ウエハW1を支持するピック22Aを図7(H)に示すように載置台58の上方より排除して共通搬送装置6内へ納める。
【0065】
次に、このロードロック装置40と共通搬送装置6とを仕切るゲートバルブGを閉じた後に(S29)、図7(I)に示すように、上記ベース台64を最下段まで降下させることによって処理済みの半導体ウエハW2を上記載置台58上に支持させる。この場合、上記ベース台64を最下段まで降下させる際に、図6(B)に示すように、可動リフタピン78に設けた第1の係合部92の第1の係合突起片96は、容器側壁に設けた第2の係合部94の第2の係合突起片100に突き当たることになる。しかし、この第2の係合突起片100は、弾発部材106の弾発力に抗してピン102を支点として矢印116に示すように、下方向へ展開乃至揺動する。この際、可動リフタピン78はストッパ部86により逆方向への回転が阻止されている。
【0066】
そして、更に上記可動リフタピン78がある程度以上降下すると、上記第1の係合突起片96と第2の係合突起片100との係合が解けて、この第2の係合突起片100は矢印118に示すように、元の方向に戻るように回転し、元の水平の位置に戻ることになる。尚、ここで上記ステップS29とS30とを入れ替えて行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0067】
このようにして、真空側の搬送機構22の1つのピック22Aだけを用いて、すなわち他方のピック22Bを用いることなく、ロードロック装置40内における未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2との入れ替え操作を行うことができる。この場合、他方のピック22Bのみを用いてロードロック装置40内における未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2との入れ替え操作を行うことができるのは勿論である。また、他方のロードロック装置42を用いて半導体ウエハの入れ替え操作ができるのも上述した通りである。
【0068】
このように、1つのピックのみを用いて未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2との入れ替え操作を行うことができるので、従来の載置台構造のように真空側の搬送機構22を180度旋回させる必要がなくなり、その分、スループットを向上させることができる。また、1つのみのピックを用いることから、半導体ウエハの入れ替え操作に伴って発生する移載時の位置誤差も抑制することができる。
【0069】
尚、上記載置台58上に載置した未処理の半導体ウエハW1を空のピック22Aで受け取りに行く場合には、図7(A)に示す状態から図7(E)に示すように、ベース台64を直接的に最上段へ上昇させるようにすればよく、以降の操作は、可動リフタピン78が空の状態で図7(F)〜図7(I)の各工程を順に行えばよい。また、ピック22A上に支持した処理済みの半導体ウエハW2を空状態の載置台58へ移載する場合には、図7(A)から図7(D)の各工程を行った後に、図7(I)の工程を直接的に行えばよい。
【0070】
このように、本発明によれば、被処理体、例えば半導体ウエハWを収容することができる容器、例えばロードロック用の容器46内に設けられて、外部より容器46内へ搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、ベース台64に起立されると共に載置台58を貫通し、その上端部で被処理体を支持する複数の第1のピン部66を設け、載置台58の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能にベース台64に起立されており、しかも第1のピン部66よりも長く設定されると共にその上端部で載置台58上の被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部68を設け、更にベース台64の上昇時に第2ピン部68を一時的に外側へ展開させる展開機構69を設けるようにしたので、外部より1つのピックを前進及び後退させることで未処理の被処理体と処理済みの被処理体とを入れ替えすることが可能となる。
【0071】
従って、従来の載置台構造のように、被処理体を搬送する搬送機構を途中で180度旋回させる必要がなくなるので、その分、スループットを向上させることが可能となる。また、被処理体の入れ替え時に例えば1つのピックの操作で被処理体の入れ替え操作を行うことができるので、2つのピックの操作を必要とした従来の載置台構造と比較して、被処理体の移載時に位置誤差の発生を抑制することが可能となる。また搬送機構の旋回動作が不要になることから、搬送機構自体の故障率を低減させて長寿命化を図ることができる。
【0072】
尚、上記実施例では、本発明の載置台構造48をロードロック装置40、42内へ適用した場合を例にとって説明したが、これに限定されず、各処理装置4A〜4Dのプロセス用の容器3A〜3D内の各載置台構造8A〜8Dとして、上記載置台構造48をそれぞれ適用するようにしてもよい。
【0073】
この場合には、載置台58内に、冷却ジャケット62に替えて抵抗加熱ヒータ等の半導体ウエハを加熱するための加熱手段が設けられる。また、図7において半導体ウエハを入れ替える場合の操作は、未処理の半導体ウエハW1と処理済みの半導体ウエハW2との立場が逆転することになる。また、上記実施例で説明した展開機構69の構成は、単に一例を示したに過ぎず、上記したと同じ機能を発揮するならば、どのような構成にしてもよい。
【0074】
また、ここでは本発明の載置台構造を主として真空雰囲気下で半導体ウエハを取り扱うロードロック装置や真空の処理装置に対して適用する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、半導体ウエハを大気圧雰囲気下で取り扱う搬送装置や処理装置にも本発明を適用することができる。
【0075】
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、この半導体ウエハにはシリコン基板やGaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体基板も含まれ、更にはこれらの基板に限定されず、液晶表示装置に用いるガラス基板やセラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
2 処理システム
3A〜3D プロセス用の容器
4A〜4D 処理装置
5A〜5D ガス導入手段
6 共通搬送装置
8A〜8D 載置台構造
20 ロード側の搬送機構
22 真空側の搬送機構
22A,22B ピック
40,42 ロードロック装置
46 ロードロック用の容器
48 載置台構造
58 載置台
62 冷却ジャケット(冷却手段)
64 ベース台
66 第1のピン部
68 第2のピン部
69 展開機構
72 アクチュエータ(昇降手段)
78 可動リフタピン
80 接触支持部
90 弾発部材
92 第1の係合部
94 第2の係合部
96 第1の係合突起片
96A 第1のテーパ面
100 第2の係合突起片
100A 第2のテーパ面
106 弾発部材
W 半導体ウエハ(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収容することができる容器内に設けられて、外部より前記容器内へ搬入される被処理体を載置するための載置台構造において、
前記被処理体を載置するための載置台と、
前記載置台の下方に設けられたベース台と、
前記ベース台を昇降させる昇降手段と、
前記ベース台に起立されると共に前記載置台を貫通するように設けられ、その上端部で前記被処理体を支持する複数の第1のピン部と、
前記載置台の外周側に位置されると共に外側へ屈伸復帰可能に前記ベース台に起立させて設けられ、前記第1のピン部よりも長く設定されると共にその上端部で前記載置台上の前記被処理体とは異なる被処理体を支持する複数の第2ピン部と、
前記ベース台の上昇時に前記第2ピン部を一時的に外側へ展開させる展開機構と、
を備えたことを特徴とする載置台構造。
【請求項2】
前記第2のピン部は、上端部が前記載置台の半径方向の内方に向けて延びて、その上面が前記被処理体の周辺部の裏面に当接して支持する接触支持部が設けられている可動リフタピンを有していることを特徴とする請求項1記載の載置台構造。
【請求項3】
前記昇降手段は、前記ベース台を、上下方向において異なる3つの位置で停止させることを特徴とする請求項1又は2記載の載置台構造。
【請求項4】
前記展開機構は、
前記第2のピン部の前記可動リフタピンに、前記載置台の半径方向の外方に向けて突出させて設けられると共にその先端に第1のテーパ面が形成された第1の係合部と
前記容器側に下方向へ展開復帰可能に設けられると共に前記第1のテーパ面と当接して前記第2のピン部を展開させる第2のテーパ面を有する第2の係合部とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項5】
前記第2の係合部は、
前記展開の後に元の位置に復帰させるための弾発部材を有していることを特徴とする請求項4に記載の載置台構造。
【請求項6】
前記第2のピン部は、
前記展開の後に元の位置に復帰させるための弾発部材を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項7】
前記展開機構は、前記展開時に前記第2のピン部の上端部を、前記載置台上に載置される前記被処理体の周辺部の外側へ一時的に展開させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項8】
被処理体を収容して真空引き及び大気圧復帰が可能になされたロードロック用の容器と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された載置台構造と、
被処理体を冷却する冷却手段と、
を備えたことを特徴とするロードロック装置。
【請求項9】
被処理体を収容して所定の処理を行うためのプロセス用の容器と、
前記容器内へガスを導入するためのガス導入手段と、
前記容器内の雰囲気を排気するための排気手段と、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された載置台構造と、
を備えたことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−66186(P2011−66186A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215322(P2009−215322)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】