説明

迷子捜索システム、探索端末装置、探索端末装置の制御方法、探索端末装置の制御プログラム及び探索端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる迷子捜索システム等を提供すること。
【解決手段】被探索端末装置20は、測位電波を使用して測位位置を3次元で示す測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段を有し、探索端末装置40は、被探索端末装置から、測位位置情報156を受信する測位位置情報受信手段と、測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、測位位置を2次元表示する2次元表示手段と、予め規定した規定時間において、経度情報及び緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価手段と、2次元情報評価手段が、経度情報及び緯度情報に変化がないと判断した場合には、経度情報、緯度情報及び測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、測位位置を3次元表示する3次元表示手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位衛星からの電波を利用する迷子捜索システム、探索端末装置、探索端末装置の制御方法、探索端末装置の制御プログラム及び探索端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
GPS受信機は、測位の基礎となるC/A(Clear and AcquisionまたはCoarse and Access)コードがどのGPS衛星から発信されたものであるかを特定したうえで、そのC/Aコードの発信時刻と受信時刻に基づいて、GPS衛星とGPS受信機の距離(擬似距離)を算出する。そして、GPS受信機は、3個以上のGPS衛星についての擬似距離と、各GPS衛星の衛星軌道上の位置に基づいて、GPS受信機の位置を測位するようになっている(特開平10−339772号公報等参照)。
そして、GPS受信機を例えば、幼児(迷子)に携帯させて、その位置を監視する監視システムが提案されている(例えば、特開平11−258325号公報)。
しかし、都会の高層ビルなどにおいては、幼児の位置を平面的に把握するだけでは、幼児を探索することができない場合がある。例えば、幼児が高層ビルの10階に位置し、その保護者がその高層ビルの3階に位置する場合には、幼児と保護者の緯度及び経度が正確に一致したとしても、階が異なるから保護者は幼児を発見できない。これは、都会の高層ビルなどにおける監視システムにおいては、高度方向の位置を表示する必要があることを意味する。
これに関連して、移動体の高度変化の軌跡を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−4023号公報(図1等)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述の技術においては、緯度及び経度からなる座標に対応する高度を表示するのではなくて、基点からの距離に対応する高度を表示している。このため、幼児の高度はわかっても、その座標(緯度及び経度)を認識できないため、幼児を探索することが困難であるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる迷子捜索システム、探索端末装置、探索端末装置の制御方法、探索端末装置の制御プログラム及び探索端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、探索対象である被探索端末装置と、前記被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置と、を有する迷子探索システムであって、前記被探索端末装置は、測位に使用可能な測位電波を受信する測位電波受信手段と、前記測位電波を使用して測位位置を3次元で示す測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、前記測位位置情報を前記探索端末装置に送信する測位位置情報送信手段と、を有し、前記探索端末装置は、前記被探索端末装置から、前記測位位置情報を受信する測位位置情報受信手段と、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示手段と、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価手段と、前記2次元情報評価手段が、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示手段と、を有することを特徴とする迷子探索システムにより達成される。
【0006】
2次元表示は3次元表示に比べて、処理する情報量が少ないから、前記探索端末の処理負担が小さく、表示速度も速い。このため、前記被探索端末装置が平面移動している場合には、2次元表示の方が、前記被探索端末装置の探索は容易である。
これに対して、3次元表示の場合には、前記被探索端末装置の位置を3次元的に把握することができるという長所がある。
この点、第1の発明の構成によれば、前記探索端末装置は、前記2次元表示手段を有するから、前記規定時間において前記経度情報及び前記緯度情報に変化がある場合には、前記測位位置を2次元表示することができる。前記規定時間において前記経度情報及び前記緯度情報に変化がある場合には、前記被探索端末装置が、平面移動していることを意味する。このため、前記測位位置を2次元表示することによって、前記被探索端末装置の探索が容易になる。
【0007】
また、前記規定時間において前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないことは、前記被探索端末装置は平面的な移動をしていないことを意味する。ただし、前記被探索端末装置は、例えば、高層ビルでエレベータに乗って移動するなど、3次元的な移動をしている可能性がある。第1の発明の構成によれば、前記探索端末装置は、前記3次元表示手段を有するから、前記規定時間において前記経度情報及び前記緯度情報に変化がない場合には、前記測位位置情報を3次元情報として表示することができる。このため、前記被探索端末装置の位置を3次元的に把握することができる。
上述のように、前記被探索端末装置は、前記被探索端末装置が平面移動をしている場合には前記測位位置を2次元表示し、前記被探索端末装置が3次元的な移動をしている場合には前記測位位置を3次元表示することができる。
これにより、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる。
【0008】
前記目的は、第2の発明によれば、探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置であって、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信手段と、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示手段と、予め規定した規定時間内において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価手段と、前記2次元情報評価手段が、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示手段と、を有することを特徴とする探索端末装置によって達成される。
【0009】
第2の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記測位電波は、測位衛星から発信される電波である衛星電波、無線タグから発信される電波、無線LAN(Local Area Network)から発信される電波、通信基地局から発信される電波を含むことを特徴とする探索端末装置である。
【0011】
第3の発明の構成によれば、前記端末装置は、前記被探索端末装置が前記衛星電波等を使用して生成した前記測位位置情報を受信することができる。
【0012】
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明のいずれかの構成において、前記3次元表示手段は、緯度、経度及び高度から構成される座標を回転することができるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明の構成によれば、前記被探索端末装置の位置を、任意の角度から観測することができるから、迷子を一層容易に探索することができる。
【0014】
前記目的は、第5の発明によれば、探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、を有することを特徴とする探索端末装置の制御方法によって達成される。
【0015】
第5の発明の構成によれば、第2の発明の構成と同様に、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる。
【0016】
前記目的は、第6の発明によれば、コンピュータに、探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させることを特徴とする探索端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0017】
前記目的は、第7の発明によれば、コンピュータに、探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、を実行させることを特徴とする探索端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態の迷子探索システム10を示す概略図である。
この迷子探索システム10は、迷子探索システムの一例である。
図1に示すように、迷子探索システム10は、被探索端末20(以下「幼児端末20」と呼ぶ)及び探索端末40(以下「端末40」と呼ぶ)を有する。幼児端末20は、例えば、幼児甲によって携帯されている。端末40は、その幼児の保護者乙に保持されている。幼児端末20は、端末40によってその位置を監視される探索対象である。
この幼児端末20は、被探索端末装置の一例である。そして、端末40は、幼児端末20の位置を監視する探索端末装置の一例である。
【0020】
幼児端末20は、GPS装置34によって、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dから電波S1,S2,S3及びS4を受信し、電波S1等を使用して現在位置を測位することができる。電波S1等は測位に使用可能な測位電波の一例である。また、電波S1等は衛星電波の一例である。
また、幼児端末20は、通信装置32を有し、基地局60A,専用回線65及び基地局60Bを介して、端末40と通信可能になっている。
一方、端末40は、通信装置52を有し、基地局60A,専用回線65及び基地局60Bを介して、幼児端末20と通信可能になっている。
【0021】
幼児端末20を使用する幼児甲及び端末40を保持する保護者乙は、例えば、ビル12内に位置する。ビル12は、10階建ての高層ビルである。ビル12は、エレベータ13を有し、1階から10階まで垂直移動が可能である。
【0022】
今、幼児甲は保護者乙に連れられて、例えば、百貨店であるビル12の3階(3F)にいるものとする。また、保護者乙自身は自己の位置B1がわかっており、端末40で、幼児甲の位置を監視しているものとする。保護者甲は、幼児端末20が矢印A1のように移動している場合には、自己の位置B1と同じ3階に位置しているものとして、安心している。
ところが、幼児甲がエレベータ13で矢印A2のように移動し、6階(6F)で矢印A3のように移動した場合において、幼児端末20の位置を2次元表示していると、保護者乙は甲が3階にいて、自己位置B1に向かっているものと勘違いすることになる。
このため、高層ビル12内において、幼児甲を監視するためには、幼児端末20の位置を2次元表示するだけでは不十分である。
この点、端末40は、適宜、幼児端末20の位置を3次元表示することによって、幼児端末20の位置を適切に監視することができるようになっている。
【0023】
幼児端末20及び端末40は例えば、携帯電話機であるが、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であってもよい。
また、GPS衛星12a等は、4個に限らず、3個でもよいし、5個以上でもよい。
【0024】
(幼児端末20の主なハードウエア構成について)
図2は、幼児端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、幼児端末20は、コンピュータを有し、コンピュータは、バス22を有する。バス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26等が接続されている。記憶装置26は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
また、バス22には、電源装置28、入力装置30、通信装置32、GPS装置34及び表示装置36が接続されている。
【0025】
(端末40の主なハードウエア構成について)
図3は、端末40の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末40は、コンピュータを有し、コンピュータは、バス42を有する。バス42には、CPU44、記憶装置46、電源装置48、入力装置50、通信装置52及び表示装置54が接続されている。
【0026】
(幼児端末20の主なソフトウエア構成について)
図4は、幼児端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、幼児端末20は、各部を制御する幼児端末制御部100、図2の通信装置32に対応する通信部102、GPS装置34に対応するGPS部104、各種プログラムを格納する幼児端末第1記憶部110、各種情報を格納する幼児端末第2記憶部150を有する。
【0027】
図4に示すように、幼児端末20は、幼児端末第2記憶部150に、衛星軌道情報152を格納している。衛星軌道情報152は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを含む。アルマナック152aは、すべてのGPS衛星12a等の概略の軌道を示す情報である。エフェメリス152bは、各GPS衛星12a等の精密な軌道を示す情報である。
幼児端末20は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを、測位のために使用する。
【0028】
図4に示すように、幼児端末20は、幼児端末第2記憶部150に、アドレス情報154を格納している。アドレス情報154は、幼児端末制御部100が、後述の測位位置情報156を送信するために使用するアドレスを示す情報である。アドレス情報154に示されるアドレスは、例えば、端末40のメールアドレスである。
【0029】
図4に示すように、幼児端末20は、幼児端末第1記憶部110に、衛星電波受信プログラム112を格納している。衛星電波受信プログラム112は、幼児端末制御部100が、GPS衛星12a等からの電波S1等を受信するためのプログラムである。衛星電波受信プログラム112と幼児端末制御部100は、測位電波受信手段の一例である。
【0030】
具体的には、幼児端末制御部100は、まず、アルマナック152aを参照して現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を算出する。次に、観測可能なGPS衛星12a等のエフェメリス152bと現在の概略位置に基づいて、電波S1等のドップラー偏移を算出する。電波S1等が発信されるときの発信周波数は、例えば、1.5GHzで既知であるから、発信周波数とドップラー偏移に基づいて、電波S1等の受信周波数を算出することができる。
幼児端末制御部100は、電波S1等の受信周波数を算出すると、その受信周波数から予め規定した周波数範囲で電波S1等をサーチし、受信する。
現在の概略位置としては、例えば、前回測位したときの位置を使用する。
【0031】
図4に示すように、幼児端末20は、幼児端末第1記憶部110に、測位プログラム114を格納している。測位プログラム114は、幼児端末制御部100が、GPS衛星12a等からの電波S1等を使用して測位位置Pを示す測位位置情報156を生成するためのプログラムである。測位位置Pは測位位置の一例であり、測位位置情報156は測位位置情報の一例である。そして、測位プログラム114と幼児端末制御部100は、測位位置情報生成手段の一例である。
電波S1等を使用する測位方法については、周知であるから、説明を省略する。
幼児端末制御部100は、例えば、1秒(s)ごとに、測位位置情報156を生成する。
測位位置情報156は、幼児端末20の現在位置Pを緯度、経度及び高度で示す情報である。言い換えると、測位位置情報156は、幼児端末20の現在位置Pを3次元で示す情報である。
幼児端末制御部100は、生成した測位位置情報156を幼児端末第2記憶部150に格納する。
【0032】
図4に示すように、幼児端末20は、幼児端末第1記憶部110に、測位位置情報送信プログラム116を格納している。測位位置情報送信プログラム116は、幼児端末制御部100が、測位位置情報156を端末40に送信するためのプログラムである。この測位位置情報送信プログラム116と幼児端末制御部100は、測位位置情報送信手段の一例である。
具体的には、幼児端末制御部100は、測位位置情報156が生成されるたびに、アドレス情報154に示されるアドレスへ送信する。これは、幼児端末制御部100は、測位位置情報156を、1秒ごとに、アドレス情報154に示されるアドレスへ送信することを意味する。
なお、本実施の形態とは異なり、幼児端末20は、無線タグ(ICタグ)から発信される電波、無線LANから発信される電波、基地局60A及び60B等の通信基地局から発信される電波を使用して現在位置を測位するようにしてもよい。これにより、GPS衛星12a等から電波S1等を受信できない場合であっても、無線タグからの電波等を使用して現在位置を測位することができる。無線タグから発信される電波、無線LANから発信される電波、基地局60A等から発信される電波もまた、測位電波の一例である。
また、本実施の形態とは異なり、幼児端末20は、ビル12内の無線タグからの電波に無線タグの位置を示す3次元位置情報が乗っている場合には、その3次元位置情報を取得し、端末40に送信するようにしてもよい。
【0033】
(端末40の主なソフトウエア構成について)
図5は、端末40の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図5に示すように、端末40は、各部を制御する制御部200、図3の通信装置52に対応する通信部202、各種プログラムを格納する第1記憶部210、各種情報を格納する第2記憶部250を有する。
【0034】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、測位位置情報受信プログラム212を格納している。測位位置情報受信プログラム212は、制御部200が、幼児端末20から測位位置情報156(図4参照)を受信するためのプログラムである。測位位置情報受信プログラム212と制御部100は、測位位置情報受信手段の一例である。
具体的には、制御部200は、幼児端末20から受信した測位位置情報156を測位位置履歴情報252として格納する。
例えば、制御部200は、最初に受信した測位位置情報156を測位位置情報252a1、次に受信した測位位置情報156を測位位置情報252a2とするというように、測位位置履歴情報252の構成要素として、第2記憶部に順次格納していく。測位位置情報156は、1秒間隔で送信されるから、端末40は、1秒間隔で測位位置情報156等を受信する。
測位位置情報252a1乃至252anはそれぞれ測位位置P1乃至Pnを示している。
【0035】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、平面表示プログラム214を格納している。平面表示プログラム214は、制御部200が、測位位置情報252a1等に含まれる緯度情報及び経度情報を使用して、測位位置P1等を2次元表示するためのプログラムである。この平面表示プログラム214と制御部200は、2次元表示手段の一例である。
【0036】
図6は、平面表示プログラム214の説明図である。
図6に示すように、制御部200は、幼児端末20の測位位置P1等を、経度(x)及び緯度(y)からなる平面座標において、軌跡L1として表示する。
【0037】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、表示切替条件判断プログラム216を格納している。表示切替条件判断プログラム216は、制御部200が、5秒(s)間において、測位位置情報252a1等に含まれる経度情報及び緯度情報に変化があるか否かを判断するためのプログラムである。
5秒間は、予め規定した規定時間の一例である。そして、表示切替条件判断プログラム216と制御部200は、2次元情報評価手段の一例である。
なお、端末40は、1秒ごとに測位位置情報156(図4参照)を受信するから、5秒間は、測位位置情報156を5回受信する間の時間と同義である。
また、測位には誤差があるから、制御部200は、例えば、5秒間における緯度情報又は経度情報がそれぞれ5メートル(m)以内の範囲内(以下「同一範囲内」と呼ぶ)であれば、緯度情報及び経度情報に変化がないと判断する。
【0038】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、3次元表示プログラム218を格納している。3次元表示プログラム218は、制御部200が、上述の表示切替条件判断プログラム216によって、5秒間において端末20の経度情報及び緯度情報に変化がないと判断した場合に、測位位置情報252a1等に含まれる緯度情報、経度情報及び高度情報を使用して、測位位置P1等を3次元表示するためのプログラムである。この3次元表示プログラム218と制御部200は、3次元表示手段の一例である。
【0039】
図7は、3次元座標表示プログラム218の説明図である。
図7に示すように、制御部200は、幼児端末20の測位位置P1等を、経度(x)、緯度(y)及び高度(z)からなる3次元座標において、軌跡L2として表示する。
【0040】
なお、制御部200は、上述の3次元表示プログラム218によって表示される座標を回転することができるようになっている。
【0041】
迷子探索システム10は、以上のように構成されている。
2次元表示は3次元表示に比べて、処理する情報量が少ないから、端末40の処理負担が小さく、表示速度も速い。このため、幼児端末20が平面移動している場合には、2次元表示の方が、幼児端末20の探索は容易である。
これに対して、3次元表示の場合には、幼児端末20の位置を3次元的に把握することができるという長所がある。
5秒間において幼児端末20の経度及び緯度に変化がないことは、幼児端末20が平面的な移動をしていないことを意味する。ただし、幼児端末20は、例えば、ビル12のエレベータ13に乗って移動するなど、3次元的な移動をしている可能性がある。
この点、端末20は、5秒間において幼児端末20の経度及び緯度に変化がある場合には、測位位置P1等を2次元表示することができる。また、端末40は、5秒間において幼児端末20の経度及び緯度に変化がない場合には、測位位置P1等を3次元表示することができる。
この点、端末40は、幼児端末20が平面移動をしている場合には測位位置P1等を2次元表示し、幼児端末20が3次元的な移動をしている場合には測位位置P1等を3次元表示することができる。
これにより、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる。
【0042】
しかも、3次元表示において、座標を回転することができるから、幼児端末20の位置を、任意の角度から観測することができ、迷子を一層容易に探索することができる。
【0043】
以上が本実施の形態に係る迷子探索システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図8を使用して説明する。
図8は端末40の動作例を示す概略フローチャートである。
【0044】
まず、端末40は、幼児端末20から測位位置情報156(図4参照)を1秒間隔で受信する(図8のステップST1)。このステップST1は、測位位置情報受信ステップの一例である。
続いて、端末40は、測位位置P1等(図5参照)を平面表示する(ステップST2)。このステップST2は、2次元表示ステップの一例である。
【0045】
続いて、端末40は、幼児端末20の経度情報及び緯度情報が5秒間同一範囲か否かを判断する(ステップST3)。このステップST3は、2次元情報評価ステップの一例である。
【0046】
上述のステップのST3において、端末40が幼児端末20の経度情報及び緯度情報が5秒間同一範囲であると判断した場合には、測位位置情報252a1等を3次元表示する(ステップST4)。このステップST4は、3次元表示ステップの一例である。
【0047】
これに対して、上述のステップST3において、端末40が幼児端末20の経度情報及び緯度情報が5秒間同一範囲ではないと判断した場合には、測位位置情報252a1等の2次元表示を継続する(ステップST41)。
【0048】
上述のステップST4に続いて、端末40は、探索終了か否かを判断し(ステップST5)、探索終了ではない場合には、ステップST4以下を実施する。
また、上述のステップST41に続いて、端末40は、探索終了か否かを判断し(ステップST51)、探索終了ではない場合には、ステップST3以下を実施する。
【0049】
上述のステップによって、高層ビル内において、迷子を効率的に探索することができる。
【0050】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態の迷子探索システムを示す概略図である。
【図2】被探索端末(幼児端末)の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】探索端末(端末)の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】幼児端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図5】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図6】平面表示プログラムの説明図である。
【図7】3次元表示プログラムの説明図である。
【図8】迷子探索システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20・・・被探索端末(幼児端末)、40・・・探索端末(端末)、212・・・測位位置情報受信プログラム、214・・・平面表示プログラム、216・・・表示切替条件判断プログラム、218・・・3次元表示プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探索対象である被探索端末装置と、
前記被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置と、
を有する迷子探索システムであって、
前記被探索端末装置は、
測位に使用可能な測位電波を受信する測位電波受信手段と、
前記測位電波を使用して測位位置を3次元で示す測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、
前記測位位置情報を前記探索端末装置に送信する測位位置情報送信手段と、
を有し、
前記探索端末装置は、
前記被探索端末装置から、前記測位位置情報を受信する測位位置情報受信手段と、
前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示手段と、
予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価手段と、
前記2次元情報評価手段が、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示手段と、
を有することを特徴とする迷子探索システム。
【請求項2】
探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置であって、
前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信手段と、
前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示手段と、
予め規定した規定時間内において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価手段と、
前記2次元情報評価手段が、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示手段と、
を有することを特徴とする探索端末装置。
【請求項3】
前記測位電波は、測位衛星から発信される電波である衛星電波、無線タグから発信される電波、無線LAN(Local Area Network)から発信される電波、通信基地局から発信される電波を含むことを特徴とする請求項2に記載の探索端末装置。
【請求項4】
前記3次元表示手段は、緯度、経度及び高度から構成される座標を回転することができるように構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の探索端末装置。
【請求項5】
探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、
前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、
前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、
前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、
を有することを特徴とする探索端末装置の制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、
前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、
前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、
前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、
を実行させることを特徴とする探索端末装置の制御プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
探索対象である被探索端末装置の位置を監視する探索端末装置が、前記被探索端末装置が測位に使用可能な測位電波を使用して生成した現在位置を3次元で示す測位位置情報を受信する測位位置情報受信ステップと、
前記探索端末装置が、前記測位位置情報に含まれる経度情報及び緯度情報を使用して、前記測位位置を2次元表示する2次元表示ステップと、
前記探索端末装置が、予め規定した規定時間において、前記経度情報及び前記緯度情報に変化があるか否かを判断する2次元情報評価ステップと、
前記探索端末装置が、前記2次元情報評価ステップにおいて、前記経度情報及び前記緯度情報に変化がないと判断した場合には、前記経度情報、前記緯度情報及び前記測位位置情報に含まれる高度情報を使用して、前記測位位置を3次元表示する3次元表示ステップと、
を実行させることを特徴とする探索端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−164663(P2007−164663A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362857(P2005−362857)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】