説明

透明蒸着用フイルム及び透明蒸着フイルム

【課題】
本発明の透明蒸着用ポリエステルフイルムは、薄い蒸着膜厚さで高いガスバリア性能及び防湿性能を安定して付与し格段に向上させる透明蒸着用ポリエステルフイルム及びその透明蒸着ポリエステルフイルムを提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の透明蒸着用ポリエステルフイルム及びその透明蒸着ポリエステルフイルムは、2軸配向ポリエステルフイルムであって、蒸着側フイルム表面の中心線面粗さ(SRa)が2〜80nm、山数(SPc)が5〜130ヶ/0.1mmであり、室温30℃で30日間放置した後に、蒸着側フイルム表面上に析出する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが1500個/mm以下であり、フイルムの融解サブピーク Tsが190〜235℃であり、フイルム中のジエチレングリコール量が2.0重量%以下である厚さ5〜100μmを満たすことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明蒸着用フイルムに関するものである。詳しくは、透明蒸着層を設けることによりガスバリア性,防湿性を持つ透明蒸着用2軸配向ポリエステルフイルム及びその透明蒸着ポリエステルフイルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2軸配向ポリエステルフイルムは、透明性,機械的特性,防湿性などに優れ、包装材料などに広く用いられている。更にフイルムの透明性を維持しつつガス遮断性を向上させる目的で、ポリ塩化ビニリデンをコーティングした2軸配向ポリエステルフイルムがガスバリア性の優れたフイルムで、K−PETとして広く知られている。しかし、ポリ塩化ビニリデンは防湿性が不十分で防湿包装には使用できない。また、ポリ塩化ビニリデンは廃棄焼却時に塩素系ガスが発生するため焼却炉の腐食や地球環境への悪影響が指摘されており、更に排ガスを浄化するための焼却炉への設備投資負担も大きいとされている。塩素系ガス問題対策として、エチレンビニルアルコ−ル共重合体を積層したフイルムが知られているが、ガスバリア性,防湿性が不十分で、特に高温での殺菌処理において著しく低下する。これらの問題を解決する包装フイルムとして、金属アルミニウムをポリエステルフイルム上に形成したり、金属酸化物をポリエステルフイルム上に形成したものがガスバリア性,防湿性に優れていることは従来より良く知られている。しかし、金属アルミニウムは高いガスバリア性,防湿性を確保するために厚い膜厚が必要とされ、生産性が落ちる。また、包装にした場合、内容物が見えない、包装内容物の確認のために金属探知器が使用できない、マイクロウェーブを通さず包装のまま電子レンジで加熱できない、等の問題がある。
【0003】
かかる金属アルミニウムの問題を解決するのが金属酸化物を蒸着した包装フイルムで、特に酸化珪素膜をポリエステルフイルム上に形成したものが特許文献1により、酸化アルミニウム膜をポリエステルフイルム上に形成したものが特許文献2により知られている。
【特許文献1】特開平6−278240号公報
【特許文献2】特開平11−10725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、様々な食品や菓子類が市場に登場するに従い、バリア性など特性向上や、品質の長期保存性がより一層重視されるようになってきた。特にスナック菓子や食品等の包装においては、内容物の酸化や湿りを防止し、より長期間に渡って品質を確保するため、これまで以上のガスバリア性が要求されている。
【0005】
また、かかる透明蒸着ポリエステルフイルムの製造は生産性向上により、設備の大型・高速化、それに伴う蒸着の薄膜化によって、ガスバリア性能安定化のため、ポリエステルフイルムへの要求も高度になってきた。
【0006】
本発明は上述のような問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、優れたガスバリア性,防湿性を格段に向上させる透明蒸着用ポリエステルフイルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の物性を有するポリエステルフイルムを基材として用いれば上記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
すなわち本発明の要旨は、
(1) 2軸配向ポリエステルフイルムであって、
蒸着側フイルム表面の中心線面粗さ(SRa)が2〜80nm、
山数(SPc)が5〜130ヶ/0.1mm
30℃で30日間放置した後に、蒸着側フイルム表面上に存在する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが1500個/mm以下、
フイルムの融解サブピーク Tsが190〜235℃、
フイルム中のジエチレングリコール量が2.0重量%以下である
厚さ5〜100μmの透明蒸着用ポリエステルフイルム、
(2) 190℃,20分の熱収縮率が長さ方向で1.0〜6.0%、幅方向で0〜6.0%である(1)に記載の透明蒸着用ポリエステルフイルム、
(3) 蒸着側フイルム表面の濡れ張力が45mN/m以上である請求項1または2のいずれかに記載の透明蒸着用ポリエステルフイルム。
【0009】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の透明蒸着用ポリエステルフイルムの少なくとも片面に透明蒸着層を設けてなる透明蒸着ポリエステルフイルム、
(5) (4)に記載の透明蒸着層が酸化アルミニウムを用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム、
(6) (4)に記載の透明蒸着層が酸化珪素を用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム、
(7) (4)に記載の透明蒸着層が酸化アルミニウムと酸化珪素を用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の透明蒸着用ポリエステルフイルムは、薄い蒸着膜厚さで高いガスバリア性能及び防湿性能を安定して付与できるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明の透明蒸着ポリエステルフイルムは、単独包装用フイルムとして用いることができるが、更に、印刷を施したり、蒸着膜の上から保護層などをコーティングしたり、ヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりするなど、更に加工して用いることもできる。また、非蒸着面にヒートシール層を積層したり、他のフイルムと積層したり、あるいはこれらを組み合わせたりすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明について詳細に説明する。本発明のポリエステルフイルムとは2軸配向ポリエステルフイルムであり、無延伸状態のポリエステルシートまたはフイルムを、長手方向及び幅方向の、いわゆる2軸方向に延伸されて作られるものであり、広角X線回折で2軸配向のパターンを示すものをいう。2軸方向へ延伸する方法は、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法のどちらも使用できるが、同時2軸延伸法の方がフイルム表面に傷が発生しにくく望ましい。
【0013】
本発明のポリエステルフイルムに使用されるポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などを用いることができる。また、脂肪族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノン、テトラプロモビスフェノールAなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
【0014】
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ酸等を添加反応させてもよい。またポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルなどを共重合してもよい。
【0015】
ポリエステルは2種以上のものをブレンドしてもよく、例えば、ブレンドされたものの総量を100重量%として50重量%以上がポリエステルであれば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
【0016】
ポリエステルは、耐熱性、製膜性の点から、融点が240℃以上280℃以下であることが望ましい。
【0017】
また、このポリエステル系樹脂の中に公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤,耐酸化安定剤,耐候安定剤,紫外線吸収剤,有機の易滑剤,顔料,染料,充填剤,帯電防止剤,核剤などを配合しても良い。上記で述べたようなポリエステル系樹脂の極限粘度(25℃のオルソクロロフェノール中で測定)は、0.40〜1.20が好ましく、より好ましくは0.50〜0.80、更に好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲である。
【0018】
本発明のポリエステルフイルムに含有される粒子としては、各種核剤により重合時に生成した粒子,凝集体,二酸化珪素粒子,炭酸カルシウム粒子,アルミナ粒子,酸化チタン粒子,硫酸バリウム粒子,珪酸アルミ粒子,リン酸カルシウム粒子,マイカ,カオリン,クレーなどの無機粒子を、また、架橋ポリスチレン粒子,アクリル粒子,イミド粒子,シリコーン粒子等のような有機粒子を、或いは、それらの混合体をその代表例として挙げることができる。なかでも、二酸化珪素粒子,炭酸カルシウム粒子,アルミナ粒子,珪酸アルミ粒子等の無機粒子または、これら無機粒子と各種核剤により重合時に生成した粒子との混合物が好ましい。これらの粒子形状も、真球状粒子,凝集状粒子,鱗片状粒子,数珠状粒子等各種形状のものが使用できる。
【0019】
使用される各種粒子の径は特に限定されないが、通常は沈降法あるいは光散乱法により測定する。本発明の粒子径測定では、樹脂は灰化するが粒子はダメージを受けない処理条件を選択してプラズマ低温灰化処理法でフイルムから樹脂を除去し粒子を露出させ、これを走査型電子顕微鏡で粒子数100個程度を観察し、粒子画像を画像処理装置により円相当径から粒子径を求める。各種核剤により重合時に生成した粒子の場合、ポリマ断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率10000程度で写真を(10枚:25cm×25cm)撮影し、内部粒子の平均分散径を円相当径より計算する。数平均粒径が0.05〜8.0μm、好ましくは0.1〜6.0μm、より好ましくは1.0〜5.0μmを好ましい粒子の平均粒径として挙げることができる。かかる粒子の含有量は、ポリエステルフイルムに対して好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%が、より好ましくは0.01〜0.5重量%が好ましい。
【0020】
本発明のポリエステルフイルムは、−COOH量が25〜55当量/tの樹脂を用いてなるポリエステルフイルムが好適である。触媒として三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に150〜650ppmになるように添加して、樹脂中のCOOH量が25〜55当量/tに調整する。樹脂の−COOH量が25当量/t未満の場合、蒸着2軸配向ポリエステルフイルムのガスバリア性及び防湿性が十分発揮できない。樹脂の−COOH量が55当量/tを越えると、ポリエステルフイルムの外観が着色したり、透明蒸着ポリエステルフイルムの場合透明性が悪くなったり、ポリエステルフイルムの製膜性が悪化する等の問題がある。−COOH量の測定は、蒸着前のフイルムをo−クレゾール中に入れ攪拌しながら100℃に加熱溶解し、室温まで冷却後、N/50のアルカリ溶液で滴定を行った。
【0021】
本発明のポリエステルフイルムの厚みは5〜100μmであり、好ましくは5〜25μmであるが、その中でも好適な範囲は用途によって任意に選べばよい。
【0022】
そのフイルム構成は、単層でもよいし、また、異なる組成のポリエステル組成物A,B,Cにより構成される積層構成、例えば、A/Bの2層構成、A/B/AあるいはA/B/Cの3層構成、3層よりも多層の積層構成、でもよい。その際の積層厚み比も任意に設定してよい。これらの積層構成は共押出しによる積層フイルムとして製造することができる。
【0023】
本発明のポリエステルフイルムは、フイルム中のジエチレングリコール量が2.0重量%以下である。好ましくは、1.5重量%以下、更に好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.9重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下で、さらに好ましくは0.7重量%以下である。フイルム中のジエチレングリコールが2.0重量%を越えた場合、ガスバリア性能及び防湿性が低下することが多い。また、ポリエステルフイルムは蒸着工程を経て、さらに印刷や粘着剤塗工、あるいはラミネート加工が施されるが、いずれも熱履歴を受けるわけである。フイルム中のジエチレングリコールが2.0重量%を越えた場合、フイルムの耐熱性が落ちてそれぞれの加工工程で、フイルムが外力に対して伸びたりシワが発生したり、フイルムの走行性が不安定になり、加工性が悪化するという問題が生じる。DEGが0.01重量%以下では破れ等、フイルムの生産性が不安定になることがある。
【0024】
フイルム中のジエチレングリコールは、ポリエチレンテレフタレートの場合はペレット製造工程において副反応として生成される。この時のジエチレングリコール量は、重合触媒量,エチレングリコールの添加方法や反応温度を制御すること,エステル交換触媒としてアルカリ性化合物の添加量等で調整することが可能である。
【0025】
本発明のポリエステルフイルムは、30℃で30日間放置した後に、蒸着側フイルム表面上に存在する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが1500個/mm以下である。好ましくは、1300個/mm以下、更に好ましくは、1000個/mm以下、より好ましくは、800個/mm以下、さらに好ましくは、500個/mm以下である。フイルム蒸着面にオリゴマーが存在した場合、蒸着時に透明蒸着膜形成を阻害し欠陥の原因となる。蒸着側フイルム表面上に存在する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが1500個/mmを越えた場合、製造後、夏季等の高温下でフイルムを30日間以上保管すると、ガスバリア性能及び防湿性が低下する。
【0026】
本発明の蒸着側フイルム表面上に析出するポリエステルオリゴマーは、室温30℃で30日間放置した後に、フイルム単位面積当たりに析出した直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーの個数のことで、ポリエステルフイルムを30℃で30日間放置した後に、透明蒸着面側にアルミニウムを真空蒸着し微分干渉顕微鏡で倍率1000倍で写真を撮り直径0.5μm以上の析出したポリエステルオリゴマー数をカウントし1mm当たりに換算する。オリゴマーの直径は長径と短径の平均値とする。30℃で30日間放置した後に、蒸着側フイルム表面上に析出する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーを1500個/mm以下にするには、オリゴマー量の少ないポリエステルペレットを使用したり、フイルム製膜時の熱処理温度を下げたり、製膜後のフイルムのオリゴマーを溶剤で洗浄,抽出する、等がある。
【0027】
本発明のポリエステルフイルムは、フイルムの融解サブピーク Tsが190〜235℃である。好ましくは、195〜230℃であり、更に好ましくは195〜225℃であり、より好ましくは195〜220℃である。Tsが235℃を越えるとガスバリア性能及び防湿性が低下する。また、フイルムが脆化する。Tsが190℃未満であると、フイルムと透明蒸着層の密着性が悪化し印刷加工後やラミネート加工後にデラミネーションが発生する。また、高温における熱寸法安定性が悪化し、加工後に印刷ピッチズレ等の問題が生じる。
【0028】
フイルムの融解サブピークは、示差走査熱量計測定による結晶融解前に現れる微小吸熱ピークである。この融解サブピーク Tsはフイルムの熱処理温度に相当する温度に微小ピーク(フイルムの融解吸熱曲線と重なる場合はラダーピークとなる場合がある。)として観測され、熱処理で形成された結晶構造のうち不完全な部分(擬結晶)が融解するために生じるものである。
【0029】
従って、フイルムの融解サブピーク Tsを190〜235℃とするためにはフイルム製膜時の熱処理温度をこの範囲にすることで可能になる。
【0030】
本発明のポリエステルフイルムは、190℃,20分の熱収縮率が長さ方向で1.0〜6.0%、幅方向で0〜6.0%であることが好ましい。長さ方向では好ましくは1.0〜5.5%、更に好ましくは1.5〜5.0%である。幅方向では好ましくは0.5〜5.5%、より好ましくは1.0〜5.0%である。ポリエステルフイルムは蒸着工程を経て、さらに印刷や粘着剤塗工、あるいはラミネート加工が施されるが、いずれも熱履歴を受ける。長さ方向の熱収縮率が1.0%未満であったり、幅方向の熱収縮率が0%未満であった場合、ガスバリア性能及び防湿性が低下する。また、それぞれの加工工程でフイルムにシワが発生したり、フイルムの走行性が不安定になり、加工性が悪化するという問題が生じる。長さ方向の熱収縮率が6.0%を越えたり、幅方向の熱収縮率が6.0%越えた場合、高温における熱寸法安定性が悪化し、加工後に印刷ピッチズレ、或いはそれぞれの加工工程でフイルムにシワが発生する。熱処理温度範囲を190〜235℃,幅方向に0〜12%の弛緩処理をすることで、熱収縮率の範囲を調整することができる。
【0031】
本発明のポリエステルフイルムは、蒸着側フイルム表面の中心線面粗さ(SRa)が2〜80nm、山数(SPc)が5〜130ヶ/0.1mmである。中心線面粗さ(SRa)は好ましくは5〜60nm、さらに好ましくは10〜50nmが適している。ここでSRaは3次元表面粗さのパラメーターで、中心面平均粗さと定義する。SRaが2nm未満であれば滑りが悪くなってフイルムをロール状に巻くことができなくなったりブロッキングするおそれがある。一方、SRaが80nmを越えれば、蒸着後のガスバリア性及び防湿性が悪化する。ここでSRaは3次元表面粗さのパラメーターで、中心線面平均粗さと定義する。山数(SPc)は好ましくは5〜120ヶ/0.1mm2、更に好ましくは10〜100ヶ/0.1mm2が適している。山数(SPc)が2ヶ/0.1mm2 未満であれば、滑りが悪くなってフイルムをロール状に巻くことができなかったりブロッキングする等の問題があり、山数(SPc)が130ヶ/0.1mm2 を越える場合は、蒸着後のガスバリア性及び防湿性が悪化する。SRa,SPcは、原料ペレット中に平均粒子径1.0〜5.0μmの粒子を0.01〜0.50重量%添加することで上記SRa、SRzの範囲を調整することができる。
【0032】
中心線面粗さ(SRa),山数(SPc)は、小坂研究所製三次元粗さ計の三次元粗さパラメーターである。中心線面粗さ(SRa)は、粗さ曲面の中心面上に直交座標X,Y軸を置き中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面をf(x,y)、基準面の大きさLx,Lyとした時、次の数式1で与えられる値である。
【0033】
【数1】

【0034】
山数(SPc)は、粗さ曲面の中心面に平行な平面を中心面の上下に設け、上下の2平面とも山と認めた山数を計測し、指定した面積当たりに換算して表す。
【0035】
ポリエステルフイルム中の粒子の含有量で中心線面粗さ(SRa),山数(SPc)を決めることが可能である。
【0036】
本発明のポリエステルフイルムは、JIS K−6768−1995に基づく蒸着側フイルム表面の濡れ張力が45mN/m以上である。好ましくは48mN/m以上、更に好ましくは50mN/m以上が適している。濡れ張力が45mN/m未満であれば、蒸着後のガスバリア性及び防湿性が十分発揮できなかったり、蒸着層とポリエステルフイルムとの接着性が不充分で、ポリエステルフイルムの蒸着層上へラミネート等の後加工を行った場合、蒸着層とポリエステルフイルムが剥がれる等の問題がある。濡れ張力を上記範囲に制御する方法として、代表的にはコロナ放電処理を用いることができる。
【0037】
本発明の透明蒸着用ポリエステルフイルムに設ける透明蒸着層としては、酸化アルミニウム、または酸化珪素、或いは酸化アルミニウムと酸化珪素の混合層である。その中で、食品衛生性,コスト,生産設備,着色について勘案すると酸化アルミニウム膜が有利である。
【0038】
本発明の透明蒸着ポリエステルフイルムの透明蒸着層の厚さは、1〜40nm、好ましくは2〜30nmである。1nm未満であればガスバリア性及び防湿性が悪化する。40nmを越えれば、生産性が落ちる。特に、金属酸化物の場合、膜厚を厚くするとカールしやすく、ハンドリングが悪くなり乱暴に扱うと蒸着膜にクラック(割れ)が入り、ガスバリア性,防湿性が低下したり、蒸着膜が着色したりする。
【0039】
次に本発明の透明蒸着用ポリエステルフイルムの代表的製造方法について説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0040】
エステル交換反応や重合段階でDEG量,−COOH量を調整したり更に固層重合を行ってオリゴマー量を調整したりした無機粒子または有機粒子を含有する樹脂(2軸配向ポリエステルフイルムを構成すべき樹脂)を所定の条件で乾燥を行い、押出機等で溶融した後、フイルム状物に成形(通常は冷却ドラム上で)する。フイルム状物と冷却ドラムの密着性を向上させるには、通常、静電印加密着法および/または液面塗布密着法を採用することが好ましい。このフイルムを75〜130℃に加熱して、長手方向に2.0〜9.0倍に延伸して1軸配向フイルムとする。製膜で非蒸着面へコーティング層を設ける場合は、この1軸配向フイルムの非蒸着面にコロナ放電処理等の表面処理を必要に応じ適宜施した後、水系の樹脂を公知の方法(グラビアコーター,リバースコーター,キスコーター,ダイコーター,バーコーター,コンマコーターなど)を用いて塗布する。この1軸配向フイルムを75〜130℃に加熱しつつ、幅方向に2.0〜9.0倍延伸し、引き続いて、190〜235℃の熱処理ゾーン中へ導いて、1〜10秒間熱処理する。この熱処理中に、幅方向に0〜12%の弛緩処理をする方がよい。熱処理されたフイルムを、中間冷却ゾーンを経て徐々に冷却し、室温まで至った時点で巻き取り機で巻き取りミルロールとした。次に、このミルロールをスリッターにかけて製品ロールとした。この製品ロールを巻き返しながら、フイルムの蒸着面側表面にコロナ放電処理を行った。非蒸着面側にコロナ放電処理を行う場合は、この巻き返し時に行う。
【0041】
DEG量は、触媒として三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に150〜650ppmになるように添加したり、更にマンガン化合物やカリウムのようなアルカリ金属化合物を添加し、調整する。
【0042】
このようにして得られた2軸配向ポリエステルフイルムに蒸着層を設ける。反応性蒸着法において酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとして酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたりしても良い。更にオゾンを加えたり、イオンアシストなどの反応を促進する手法も採用されて良い。これら真空プロセス中での2軸配向ポリエステルフイルム表面のプラズマ処理を併用すると、ガスバリア性,透湿性が向上し、より好ましい。
【0043】
酸化珪素を反応性蒸着法で蒸着するには、Si金属,SiOやSiOを電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で2軸配向ポリエステルフイルム上に酸化珪素を堆積させる方式や、有機珪素化合物ガス,酸素ガスと不活性ガス中で酸化珪素を2軸配向ポリエステルフイルム上に堆積させるプラズマ化学蒸着法が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
【0044】
酸化アルミニウムと酸化珪素の混合層を蒸着するにも、上記の反応性蒸着法が採用される。
【0045】
[特性値の測定法]
(1)表面オリゴマー測定
製膜直後の蒸着前の製品ロールから採取した10cm×10cmのサンプルを30℃に設定したオーブンに入れ30日間放置する。放置後、室温の部屋に取り出し蒸着面側のフイルム表面にアルミニウムを真空蒸着し微分干渉顕微鏡で倍率1000倍で写真を撮り直径0.5μm以上の析出したポリエステルオリゴマー数をカウントし1mm当たりに換算した。オリゴマーの直径は長径と短径の平均値から求めた。
【0046】
(2)フイルム融解のサブピーク Ts
蒸着前の製品ロールから採取したフイルムを示差走査熱量計(パーキン・エルマー社製DSC−2型)により、20℃/分の昇温速度で測定した。この測定により観測される擬結晶の変態により発生するサブピーク温度をTsとした。
【0047】
(3)ポリエステル中のジエチレングリコール
蒸着前の製品ロールから採取したフイルム成分の含有量13C−NMRスペクトルによって測定した。
【0048】
(4)熱収縮率
蒸着前の製品ロールから採取したフイルムサンプルの標線間を200mmにとり、フイルムを10mm幅に切断し、フイルムサンプルを長さ方向に吊るし、1gの荷重を長さ方向に加えて、予め所定温度に設定した熱風オーブンを用い所定時間加熱した後、標線間の長さを測定し、フイルムの収縮量を原寸法に対する割合として百分率で表した。
【0049】
(5)中心線面粗さ(SRa)、山数(SPc)
蒸着前の製品ロールから採取したフイルムの蒸着面側を3次元表面粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて、次の条件で触針法により測定を行った。
【0050】
針径 2(μmR)
針圧 10(mg)
測定長 500(μm)
縦倍率 20000(倍)
CUT OFF 250(μm)
測定速度 100(μm/s)
測定間隔 5(μm)
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±5(nm)
基準面積 0.1(mm2)。
【0051】
(6)濡れ張力
蒸着前のコロナ放電処理後の製品ロールから採取したフイルムの蒸着面側表面をJIS K−6768−1995に記載された方法に従い、フイルム表面の濡れ張力を測定した。
【0052】
(7)カルボキシル末端基量(COOH)
蒸着前の製品ロールから採取したフイルムをo−クレゾール中に入れ攪拌しながら100℃に加熱溶解し、室温まで冷却後、N/50のアルカリ溶液で滴定を行った。滴定量から次の式によりカルボキシル末端基量(COOH)を算出した。
【0053】
A=試料滴定量(ml)
B=ブランク滴定量(ml)(溶媒の滴定量)
W=試料重量(g)
COOH(当量/トン)=((A−B)× 1/50 ×103)/ W
(8)蒸着層の膜厚
透明蒸着後のフイルムを採取し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−1200EX)を用い、加速電圧100kVで断面を超薄切片法で観察し、蒸着膜の膜厚を測定した。
【0054】
(9)ガスバリア性
A.水蒸気透過率
蒸着1週間後に透明蒸着フイルムを採取し、モダンコントロール社製水蒸気透過率計Permatran W 3/31を用いてJIS K−7129−1992に記載されたB法に従い、40℃ 90RH%の条件で測定した。測定した水蒸気透過率で次のように評価した。
◎:0(g/m2・day)以上,2(g/m2・day)未満
○:2(g/m2・day)以上,4(g/m2・day)未満
×:4(g/m2・day)以上。
【0055】
B.酸素透過率
蒸着1週間後に透明蒸着フイルムを採取し、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN 2/20を用いて JIS−K−7126−1987に記載されたB法に従い、20℃0%RHの条件にて酸素透過率を測定した。測定した酸素透過率で次のように評価した。
◎:0(cc/m2・day)以上,2(cc/m2・day)未満
○:2(cc/m2・day)以上,4(cc/m2・day)未満
×:4(cc/m2・day)以上。
【0056】
(10)加工性
蒸着及びコーティング,印刷,ラミネート加工時のフイルムの取り扱い性を○×で判定した。加工時のフイルムの巻き出しや搬送で加工に支障のあるロール上やロール間でのシワ、フイルムのバタツキ、滑り性が不良によるロール上でのシワや傷が発生すれば×、これらの問題が発生しなければ良好で○である。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
テレフタル酸86.4重量部,エチレングリコール42重量部にてエステル化反応を行い、更にリン酸0.01重量部,三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に550ppmになるように添加し、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.15重量%になるように調整したエチレングリコールスラリー1.0重量部を添加し、引き続き高温高真空下で常法通り重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g,ジエチレングリコール量1.0重量%のPETを得た。この平均粒子径約1.5μmの凝集シリカ粒子を0.15重量%含有する−COOH量35当量/tのPETペレットを水分率20ppmに真空乾燥した後、押出機に供給して、280℃で溶融押出し、10μmカットのフィルターで濾過した後、T字型口金からシート状に押出し、これを表面温度50℃の冷却ドラムに静電印加密着法で冷却固化せしめた。このようにして得られた未延伸PETフイルムを、95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸して1軸延伸フイルムとした。この1軸延伸フイルムを98℃で予熱し、次いで105℃に加熱しつつ幅方向に3.9倍に延伸した。このフイルムを225℃の熱風中に導き入れ、1秒間緊張熱固定した後、同じ雰囲気温度内で幅方向に元のフイルム幅の8%リラックスを施し冷却する。最終的に室温まで冷却し、これを巻取り機に導いて巻き上げてミルロールとした。次に、このミルロールをスリッターにかけて製品ロールとした。この製品ロールを巻き返しながら、フイルム両面にそれぞれ20W・min/mの処理強度でコロナ放電処理を行った。このようにして得られた12μmのフイルムに、酸化アルミニウム蒸着を行った。この2軸配向ポリエステルフイルムの表面へ酸化アルミニウムを蒸着する方法は、フイルムを連続式真空蒸着機の巻き出し装置にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフイルムを巻き取る。この時連続式真空蒸着機を10−4Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製ルツボに純度99.99%の金属アルミニウムを装填して金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフイルム上に付着堆積させ、厚さ20nmの酸化アルミニウム膜を形成した。この透明蒸着2軸配向ポリエステルフイルムの特性を表1に示した。
【0058】
(実施例2)
実施例1の中で、緊張熱固定温度を230℃に変更した。
【0059】
(実施例3)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に320ppm、フイルム幅のリラックスを5%、緊張熱固定温度を215℃、PETペレットをジエチレングリコール量0.8重量%のPETペレットに変更した。
【0060】
(実施例4)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に150ppm、フイルム幅のリラックスを5%、緊張熱固定温度を215℃に変更した。また、PETペレットを縮重合後、更に固層重合して極限粘度0.72dl/gとし,ジエチレングリコール量0.6重量%のPETペレットに変更した。
【0061】
(実施例5)
実施例1の中で、緊張熱固定温度を233℃に変更した。
【0062】
(実施例6)
実施例1の中で、緊張熱固定温度を230℃に変更した。更にスリッターにかけた製品ロールを巻き返して、塩化メチレン中を通してフイルムのオリゴマーを洗浄,抽出、乾燥し巻き取った後、コロナ放電処理した。この製品ロールを実施例1にあるように、厚さ20nmの酸化アルミニウム膜を蒸着形成した。表面オリゴマー測定用サンプルは、前述のコロナ放電処理後に採取した。
【0063】
(実施例7)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.13重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、変更した。また、酸化アルミニウム蒸着膜を変更し、コロナ放電処理後のフイルム表面に、3×10-5Torrの真空中で、10kwの電子ビーム加熱方式によってSiO及びSiO2を加熱蒸発させて、フイルムの片面に厚み20nmの酸化珪素膜を形成した。
【0064】
(実施例8)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.13重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに変更した。また、酸化アルミニウム蒸着膜を変更し、コロナ放電処理後のフイルム表面に、10-4Torr以下の真空中で、10kwの電子ビーム加熱方式によってAl及びSiO2の3:7の混合物を加熱蒸発させて、フイルムの片面に厚み30nmの透明蒸着膜を形成した。
【0065】
(実施例9)
実施例1の中で、PETペレットを縮重合後、更に固層重合した極限粘度0.72dl/gのPETペレットに変更した。
【0066】
(実施例10)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に320ppm、PETペレットをジエチレングリコール量0.8重量%のPETペレットに変更した。
【0067】
(実施例11)
実施例1の中で三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に320ppmに、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.10重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、PETペレットをジエチレングリコール量0.8重量%のPETペレットに変更した。
【0068】
(実施例12)
実施例1の中で三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に320ppmに、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの単球シリカ粒子がPET中で0.10重量%に、PETペレットをジエチレングリコール量0.8重量%のPETペレットに変更した。
【0069】
(実施例13)
実施例1の中で、ジメチルテレフタレート101重量部、エチレングリコール42重量部、酢酸マンガン4水塩と酢酸カリウムをPET中のMn含有量45ppm、K含有量20ppmとなるように添加しエステル交換反応させた後、リン酸0.01重量部,三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に240ppmになるように添加し、平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.15重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーを1.0重量部添加し、引き続き高温高真空下で常法通り重縮合反応を行い、極限粘度0.63dl/g,ジエチレングリコール量0.2重量%のPETペレットに変更した。
【0070】
(実施例14)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.01重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、変更した。
【0071】
(実施例15)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径4.0μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.10重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、変更した。
【0072】
(実施例16)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径2.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.01重量%になるように調整したに変更した。
【0073】
(実施例17)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.21重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーを1.0重量部に、変更した。
【0074】
(実施例18)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に750ppmに、PETペレットをジエチレングリコール量1.9重量%のPETペレットに、緊張熱固定温度を194℃に変更した。
【0075】
(比較例1)
実施例1の中で、緊張熱固定温度を240℃に変更した。
【0076】
(比較例2)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に800ppmに、PETペレットをジエチレングリコール量2.3重量%のPETペレットに変更した。
【0077】
(比較例3)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に650ppmに、緊張熱固定温度を180℃、PETペレットをジエチレングリコール量1.2重量%のPETペレットに変更した。
【0078】
(比較例4)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径1.5μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.38重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、変更した。
【0079】
(比較例5)
実施例1の中で、エチレングリコールスラリーを平均粒径4.1μmの凝集シリカ粒子がPET中で0.25重量%になるように調整したエチレングリコールスラリーに、粒径約4.1μmの凝集シリカ粒子を0.25重量%に変更した。
【0080】
(比較例6)
実施例1の中で、三酸化アンチモンをSb含有量でPET中に650ppmに、緊張熱固定温度を233℃、PETペレットをジエチレングリコール量1.2重量%のPETペレットに変更した。
各実施例、比較例での測定・評価結果を表1に示す。
【0081】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸配向ポリエステルフイルムであって、
蒸着側フイルム表面の中心線面粗さ(SRa)が2〜80nm、
山数(SPc)が5〜130ヶ/0.1mm
30℃で30日間放置した後に、蒸着側フイルム表面上に存在する直径0.5μm以上のポリエステルオリゴマーが1500個/mm以下、
フイルムの融解サブピーク Tsが190〜235℃、
フイルム中のジエチレングリコール量が2.0重量%以下である
厚さ5〜100μmの透明蒸着用ポリエステルフイルム。
【請求項2】
190℃,20分の熱収縮率が長さ方向で1.0〜6.0%、幅方向で0〜6.0%である請求項1に記載の透明蒸着用ポリエステルフイルム。
【請求項3】
蒸着側フイルム表面の濡れ張力が45mN/m以上である請求項1または2のいずれかに記載の透明蒸着用ポリエステルフイルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の透明蒸着用ポリエステルフイルムの少なくとも片面に透明蒸着層を設けてなる透明蒸着ポリエステルフイルム。
【請求項5】
請求項4に記載の透明蒸着層が酸化アルミニウムを用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム。
【請求項6】
請求項4に記載の透明蒸着層が酸化珪素を用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム。
【請求項7】
請求項4に記載の透明蒸着層が酸化アルミニウムと酸化珪素を用いてなる層である透明蒸着ポリエステルフイルム。

【公開番号】特開2008−238648(P2008−238648A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83862(P2007−83862)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】