説明

通信エリア制御装置、通信エリア制御方法、車載機

【課題】路側機から車両への同報型通信を行う場合、交通量が増加しても処理時間が膨大とならず実用的に用いることができ、不要波にビームを向けることがない通信エリア制御装置等を提供する。
【解決手段】車両位置取得部34が所定のエリア10内の車両20等の位置を、可視カメラ31等により収集された所定のエリア10内の交通状況に基づき画像処理プロセッサ33等により検出させる。通信エリア特定部35は車両20等の位置に基づき所定のエリア10内で車両20等と通信する通信エリア11等を特定する。ビーム・パターン作成部36は特定された通信エリア12等に応じてアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成する。送信処理部37は作成されたビーム・パターンに基づきアダプティブDBFアンテナ32から送信処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路車間通信における通信エリアを制御する通信エリア制御装置等に関し、特に、車両側とアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナを用いて通信を行う通信エリア制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、路車間通信において安全用途の情報提供サービスが進められている。この安全用途の情報提供サービスでは、設置された路側機(基地局)から所望のエリア内に進入してくる車両(移動局)に対して、確実且つ迅速に安全用途の情報を提供することが必要である。このため、路側機が発する電波は上記所望のエリア内にのみ届くことが理想的とされている。
【0003】
路車間通信において、基地局にダイポールアンテナ等の無指向性アンテナを使用した場合、無指向性(円形)の放射パターンとなる。すなわち、上記無指向性アンテナは指向性が弱く広いビーム・パターンを有するため、所望のエリア内に電波を集中させることが困難であり、建物等により発生するマルチパスフェージングを回避することができないという問題があった。さらに、不要なエリアへ電波を放出するという問題もあった。
【0004】
一方、路車間通信において、基地局に開口面アンテナまたはヤギ(八木)アンテナ等の指向性アンテナを使用した場合、指向性が鋭い放射パターンとなる。すなわち、上記指向性アンテナは鋭い指向性を有するため、所望のエリア内にある程度電波を集中させることはできる。しかし、上記指向性アンテナのビーム・パターンは固定的であるため、指向面があたる路面での電波環境は良いが、指向面が外れる周囲での電波環境にはムラが発生するという問題があった。さらに、所望のエリアの形状を考慮したアンテナ設計および配置を必要とするため、汎用性が低いという問題もあった。
【0005】
上述した問題を解決するために、従来から、複数のアレーアンテナを用いたアダプティブ・アレーアンテナ技術により所望のエリアをカバーする無線ゾーンを形成する技術の開発が進められている(非特許文献1参照)。アダプティブ・アレーアンテナは複数素子のアンテナを配列し、各素子の励振の振幅および位相を独立に制御し合成できるようにしたアレーアンテナである。アダプティブ・アレーアンテナの機能の一つは、アダプティブ・ビーム・フォーミンング(adaptive beam forming)であり、受信波の到来方向が未知または時間的に変化する場合にもアレーのビームを自動的に追従させて、所望の通信相手または通信エリアの方向へアンテナ指向面を向けることができる機能である。他の機能はアダプティブ・ヌル・ステアリング(adaptive null steering)であり、指向性パターンの不感面(ヌル点)を自動的に不要なエリア(干渉波方向)へ向ける機能である。アダプティブ・アレーアンテナを基地局のアンテナとして使用した場合、受信時にはマルチパスフェージング等を回避することができ、送信時には不要な領域へ電波を放射せず所望のエリアに強く放射することができる等、汎用性の高い技術である。
【0006】
上述のアダプティブ・ビーム・フォーミンングにおいて、各素子の振幅、位相調整を増幅器、位相器を用いずに、入力アナログ信号をA−D変換したディジタル信号(ベースバンド信号)に対して振幅、位相の調整量に相当するディジタル値(ウェイト)を重畳させる機能をアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング(adaptive Digital Beam Forming : アダプティブDBF)という。つまり、アダプティブDBFはディジタル演算処理により高速にビーム制御を行なうことができる機能であり、当該機能を実現するアンテナをアダプティブDBFアンテナという。アダプティブDBFは、路車間通信のように通信相手が車両等の高速移動体の場合であっても、移動体が送信する電波の特徴(例えば、送信パケットのパイロット信号、包絡線)を基に高速な演算処理を行うことができる。このため、移動体の移動に追従してビームを制御する追尾ビームの作成を行なうことが可能である。実際に、航空通信における航空管制用として地上局の飛行機追尾システムに用いられている。さらにアダプティブDBFは、移動体を追尾する以外にも、所望の方向またはエリアに対して満遍なくビームを向けることができ、且つ不要なエリアにはビームの不感面を向けるようなビーム・パターンを形成することができる。このため、地面に対して均一な無線ゾーン(フットプリント)を作成することができる。従って、所望のエリア内でのみ通信が可能となるため、空間的に無線エリアを分けることにより周波数の有効利用を図ることが可能であるという特徴を有している。実際に、放送衛星の衛星アンテナおよびPHSの基地局アンテナ等に用いられている。
【0007】
非特許文献2には、アダプティブDBFによる追尾ビームに関する例が記載されている。非特許文献2は、陸上の高速な移動通信環境において路側機が車両1台ずつと通信する場合、多重波フェージング対策として帯域分割・合成型CMA(Constant Modulus Algorithm)アダプティブアレーを提案している。アダプティブアレーの動作原理(到来波推定アルゴリズム)は所望の信号に関する予備知識および評価関数によっていくつかに大別されており、CMA(定包絡線化アルゴリズム)は定包絡線信号を対象とした最小2乗誤差法(Minimum Mean Square Error : MMSE)の変形と言われている。CMAアダプティブアレーでは、路側機は既知の到来波の特徴に一致するようにウェイト演算を行う。CMAは通信する信号の包絡線が時系列でみて一定であることを利用するアルゴリズムである。例えば、周波数変調、位相変調された信号は時間的に一定の包絡線を有している。これらの変調波は合成されると一般にその包絡線が揺らぐが、受信側で所望の信号の包絡線電力を把握していれば、その値に近づくように最急降下法を用いてビーム制御を行なうことが可能である。CMAの長所は、上述のように所望の信号が包絡線一定の性質を有するという条件を満たしていれば、MMSEのような参照信号を必要としないという点である。但し、最適ウェイトの確実性が小さいという短所があり、不要な信号も定包絡線である場合、必ずしも所望の信号を取り出せるという保証はない。
【0008】
特許文献1には、アダプティブDBFによるフットプリントに関する例が記載されている。特許文献1では携帯電話等の基地局アンテナ装置を想定しており、無線機基地局のアンテナ指向性において、水平方向をDBFによるアダプティブアレーとし、垂直方向を建物等によるマルチパスフェージングを防ぐためにコセカント2乗特性を有するアンテナ放射特性として、地面に対して均一なフットプリントを作ることを特徴としている。路車間通信における基地局(路側機)に対して上記技術を適用することにより、建物等によるマルチパスフェージングを避け、常に所望のエリアをカバーするフットプリントを形成することが可能である。このため、同報型の通信に対しても有効であると考えられている。
【0009】
【非特許文献1】中嶋 信生編、「新世代ワイヤレス技術」、丸善株式会社、平成16年3月25日発行。
【非特許文献2】張 毅民、楊 克虎、唐沢 好男、「多重波環境における帯域分割・合成型CMAアダプティブアレーの特性」、電子情報通信学会論文誌B、社団法人電子情報通信学会、1999年1月、第J82−B巻、第1号、pp.97−108.
【特許文献1】特開平11−298225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、非特許文献2で提案された帯域分割・合成型CMAアダプティブアレーは、路側機が車両1台ずつと通信するという1対1の通信の場合には有効である。しかし、路側機から車両への同報型通信の場合、予め路側機配下のすべての車両から到来情報(車両から路側機への情報)を得る必要がある。仮に予め各車両から到来情報を得ていたとしても、各車両に対して総合的に最適なビーム制御を実施する必要があるため、交通量の増加に伴い処理量が増加して処理時間が膨大となり、非実用的であるという問題があった。上述のようにCMAは包絡線を利用するため、最適ウェイトの確実性が小さいという短所があり、推定を誤って不要波にビームを向ける場合もあるという問題があった。
【0011】
上述のように、特許文献1に記載された技術は同報型の通信に対しても有効であると考えられている。しかし、路面は種々の形状を有しているため、路車間通信における所望のエリア(サービス提供エリア)は携帯電話のセルのように広域で固定的なものではない。当該サービス提供エリアは、車速、交通量、通信処理等の遅延、通信される情報の種類および量等により決定され、複雑に変化するものである。従って、特許文献1に記載された常に所望のエリアを固定的にカバーするフットプリントを形成する技術を路車間通信におけるサービス提供エリアに対して適用すると、夜間または休日等の交通量が少ない場合には却って不要な送信電力消費をもたらすという問題があり、電波の路面反射による路側機自身および他の通信への悪影響が生じるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、路側機から車両への同報型通信を行う場合、交通量が増加しても処理時間が膨大とならず実用的に用いることができ、不要波にビームを向けることがない通信エリア制御装置等を提供することにある。
【0013】
本発明の第二の目的は、路車間通信における複雑に変化するサービス提供エリアの場合であっても、安定した電波環境を提供しつつ交通状況に応じて必要最低限に送信電力消費を抑えることができ、電波の路面反射による路側機自身および他の通信への悪影響を生じることがない通信エリア制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の通信エリア制御装置は、路車間通信における通信エリアを制御する通信エリア制御装置であって、該通信エリア制御装置は路側機側に設けられ、車両側とアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナを用いて通信を行うものであり、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得する車両位置取得手段と、前記車両位置取得手段により取得された車両の位置に基づき、所定のエリア内で車両と通信する通信エリアを特定する通信エリア特定手段と、前記通信エリア特定手段により特定された通信エリアに応じてアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成するビーム・パターン作成手段と、前記ビーム・パターン作成手段により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う送信処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、送信処理の可否を判断する送信可否判断手段をさらに備え、前記送信処理手段は、前記送信可否判断手段により送信処理が可能であると判断された場合、前記ビーム・パターン作成手段により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことができる。
【0016】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断手段をさらに備え、前記車両位置取得手段は、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することができる。
【0017】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、路側機に予め管理されている路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断手段をさらに備え、前記ビーム・パターン作成手段は、前記通信エリア特定手段により特定された通信エリアに応じたビーム・パターンの作成に加え、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による送信要求が有ると判断された場合に、該送信要求に基づきアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。
【0018】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断手段をさらに備え、前記車両位置取得手段は、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、該送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ前記複数送信要求判断手段により当該送信要求の数が複数であると判断された場合に、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することができる。
【0019】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記所定のビーム・パターン作成方式は、所定のエリアの一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録したビーム・パターン・テーブルから選択することによりビーム・パターンを作成することができる。
【0020】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記所定の取得方式は、状況収集部により収集された所定のエリア内の道路状況に基づき、該所定のエリア内における車両の位置を車両位置検出部により検出させるものとすることができる。
【0021】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記状況収集部は可視域及び/又は赤外領域に感度を有するカメラであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された画像処理プロセッサであるものとすることができる。
【0022】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記状況収集部はミリ波センサであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された処理プロセッサであるものとすることができる。
【0023】
ここで、この発明の通信エリア制御装置において、前記路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、該所定の制御情報を受信した車両側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものであり、前記車両位置取得手段は、車両の位置を該通信方式に基づき取得し、前記通信エリア特定手段は、前記車両位置取得手段により取得された車両の位置及び該所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における該車両の通信エリアを特定することができる。
【0024】
この発明の通信エリア制御方法は、路車間通信における通信エリアを制御する通信エリア制御方法であって、路側機側に設けられた通信エリア制御装置が車両側とアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナを用いて通信を行うものであり、通信エリア制御装置が、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得する車両位置取得ステップと、前記車両位置取得ステップにより取得された車両の位置に基づき、所定のエリア内で車両と通信する通信エリアを特定する通信エリア特定ステップと、前記通信エリア特定ステップにより特定された通信エリアに応じてアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成するビーム・パターン作成ステップと、前記ビーム・パターン作成ステップにより作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う送信処理ステップとを備えたことを特徴とする。
【0025】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記送信処理ステップに先立ち、送信処理の可否を判断する送信可否判断ステップをさらに備え、前記送信処理ステップは、前記送信可否判断ステップにより送信処理が可能であると判断された場合、前記ビーム・パターン作成ステップにより作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことができる。
【0026】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記車両位置取得ステップに先立ち、所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断ステップをさらに備え、前記車両位置取得ステップは、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することができる。
【0027】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記送信タイミング判断ステップで所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、路側機に予め管理されている路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断ステップをさらに備え、前記ビーム・パターン作成ステップは、前記通信エリア特定ステップにより特定された通信エリアに応じたビーム・パターンの作成に加え、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断ステップにより路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による送信要求が有ると判断された場合に、該送信要求に基づきアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。
【0028】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記送信要求判断ステップで路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断ステップをさらに備え、前記車両位置取得ステップは、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、該送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断ステップにより路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ前記複数送信要求判断ステップにより当該送信要求の数が複数であると判断された場合に、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することができる。
【0029】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記所定のビーム・パターン作成方式は、所定のエリアの一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録したビーム・パターン・テーブルから選択することによりビーム・パターンを作成することができる。
【0030】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記所定の取得方式は、状況収集部により収集された所定のエリア内の道路状況に基づき、該所定のエリア内における車両の位置を車両位置検出部により検出させるものとすることができる。
【0031】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記状況収集部は可視域及び/又は赤外領域に感度を有するカメラであり、前記車両位置検出部は通信エリア制御装置内の又は通信エリア制御装置に接続された画像処理プロセッサであるものとすることができる。
【0032】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記状況収集部はミリ波センサであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された処理プロセッサであるものとすることができる。
【0033】
ここで、この発明の通信エリア制御方法において、前記路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、該所定の制御情報を受信した車両側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものであり、前記車両位置取得ステップは、車両の位置を該通信方式に基づき取得し、前記通信エリア特定ステップは、前記車両位置取得ステップにより取得された車両の位置及び該所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における該車両の通信エリアを特定することができる。
【0034】
この発明の車載機は、通信エリア制御装置と路車間通信を行う車両側に搭載された車載機であって、前記所定の制御情報は前記所定の情報の提供時刻を含むものであり、該提供時刻に該所定の情報の提供を受けなかった場合、再度登録要求を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の通信エリア制御装置等によれば、車両位置取得部が所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することができる。所定の取得方式としては、可視カメラ等の状況収集部により収集された所定のエリア内の道路状況(交通状況)に基づき、所定のエリア内における車両の位置を画像処理プロセッサ等の車両位置検出部により検出させる取得方式が挙げられる。通信エリア特定部は車両位置取得部により取得された車両の位置に基づき、所定のエリア内で車両と通信する通信エリア等を特定する。すなわち、通信エリア特定部は車両等が密に存在する通信エリアを特定することができる。ビーム・パターン作成部は、通信エリア特定部により特定された通信エリアに応じてアダプティブDBFアンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成する。所定のビーム・パターン作成方式として、予め所定のエリアの一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録装置内のビーム・パターン・テーブルに記録しておく。ある時間帯における所定のエリア内の車両の分布に適した所望のビーム・パターンをこのビーム・パターン・テーブルから選択することにより、ビーム・パターンを作成する作成方式を用いることができる。送信処理部は、ビーム・パターン作成部により作成されたビーム・パターンに基づき、アダプティブDBFアンテナから送信処理を行う。以上の各構成を有する通信エリア制御装置は、従来技術における車両と1対1の通信を行う場合のように車両毎に合わせたビーム制御を行なうわけではない。通信エリア制御装置は、車両の分布状況に合わせたビーム・パターンを作成するため、交通量が増加しても処理時間が膨大とならず実用的に用いることができ、不要波にビームを向けることをなくすことができる。通信エリア制御装置は、従来技術のように、常に所望のエリアを固定的にカバーするフットプリントを形成するわけではない。通信エリア制御装置は車両の分布状況に合わせたビーム・パターンを作成するため、路車間通信における複雑に変化するサービス提供エリアの場合であっても、安定した電波環境を提供しつつ交通状況に応じて必要最低限に送信電力消費を抑えることができ、電波の路面反射による路側機自身および他の通信への悪影響を生じることをなくすことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の実施例1における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境1を示す。図1において、符号20、21、22、23および24は車載機を有する車両、15は走行レーン、14は走行レーン15に対向する反対側走行レーン、10は路車間通信の対象となるエリア(所定のエリア)、11、12および13は各々所定のエリア10内に設定された車両20等と通信するための通信エリア、30は車両20等側と路車間通信を行う際に通信エリア11等を制御する通信エリア制御装置、32は車両20等側と通信を行うためのアダプティブDBFアンテナである。図1に示されるように、通信エリア制御装置30は当該装置が有する機能ブロックおよび記録装置38等を含めて表現されている。通信エリア制御装置30は路側機(不図示)側に設けられているが、路側機に関する通常の機能等は有するものとしてその説明は省略する。以下では、特に区別する必要がある場合を除き、通信エリア制御装置30と路側機とを同様に用いる。
【0038】
次に、通信エリア制御装置30の機能等について図1ないし図8を適宜用いて説明する。図1に示されるように、通信エリア制御装置30は、所定のエリア10における車両20等の位置を所定の取得方式により取得する車両位置取得部(車両位置取得手段)34を備えている。車両位置取得部34の機能は、路側機側から車両20等側への安全用途の情報提供サービス等を目的とする同報型通信を行うタイミングである場合に実行されることが好適である。上記所定の取得方式としては、図1に示されるように、状況収集部31により収集された所定のエリア10内の道路状況(交通状況)に基づき、所定のエリア10内における車両20等の位置を車両位置検出部33により検出させる取得方式が挙げられる。状況収集部31としては可視域に感度波長域を有する可視カメラまたは赤外領域に感度波長域を有する赤外カメラが好適である。可視カメラおよび赤外カメラの両方を備え、昼間は可視カメラを使用し、夜間は赤外カメラを使用してもよい。夜間であっても夜間照明が高輝度である環境の場合は、可視カメラの使用も可能である。可視域および赤外領域を有するカメラを用いてもよい。車両位置検出部33としては、通信エリア制御装置30内に設けられた画像処理プロセッサ(不図示)、または通信エリア制御装置30に接続された画像処理プロセッサ(不図示)が好適である。
【0039】
車両位置取得部34が用いる状況収集部31を可視カメラとし且つ車両位置検出部33を画像処理プロセッサとする場合、以下の各方式により車両20等の位置を取得することができる。可視カメラ31で撮像した所定のエリア10内の道路等の背景画像と車両20等の画像との差分を画像処理プロセッサ33で比較処理することにより、所定のエリア10内を走行する車両20等および/または障害物等を抽出することができる(背景差分方式)。あるいは、所望の時間間隔で撮影した異なる時刻の画像を画像処理プロセッサ33で比較処理することにより、所定のエリア10内を走行する車両20等および/または障害物等を抽出することができる(時間差分方式)。画像処理プロセッサ33による当該抽出に基づき、車両位置取得部34は車両20等および/または障害物等の位置および速度等の情報を取得することができ、停止車両、渋滞末尾等の事象を検出することも可能である。図1では所定のエリア10は直線で示されているが、急なカーブを有する等の非常に厳しい道路線形条件である場合、さらに大型車両による小型車両のシャドーイング(隠蔽)が頻発するという可視カメラ31の設置条件の場合であっても、車両20等および/または障害物等の位置および速度等の情報を取得することができる。
【0040】
図2は、可視カメラ31を用いて撮像した所定のエリア10を含む道路の画像の一例を示す。図2で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図2に示されるように、走行レーン15内の走行車線側には車両25a、(途中の車両は省略)、25b、25c等が走行し、追い越し車線側には車両26a、26b、(途中の車両は省略)、26c、26d等が走行している。所定のエリア10は走行車線側では車両25aを先頭とし車両25bまで、追い越し車線側では車両26bを先頭とし車両26cまでを含む範囲に設定されている。しかし、さらに広くまたは狭く設定できることは勿論である。
【0041】
図3は、車両位置取得部34による車両25a等の位置の取得について説明する画像を示す。図3で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図3において、符号16は画像処理プロセッサ33により実行される背景差分方式または時間差分方式による車両25a等の抽出に利用される格子である。図3に示される画像において、格子16の各格子点とアダプティブDBFアンテナ32との間の距離および格子点からの方向(方向ベクトル)は、実際の値とマッチングがとれているものとする。画像処理プロセッサ33は上記方式により格子16内の網掛け部分17aおよび17b内に車両25a等がいることを抽出する。格子16の各格子点からの方向ベクトルは実際の値とマッチングがとれているため、車両位置取得部34は格子16内の網掛け部分17aおよび17b内の各格子点に基づき、車両25a等の位置等の情報を取得することができる。
【0042】
図1に戻り、通信エリア制御装置30は車両位置取得部34により取得された車両20等の位置に基づき、所定のエリア10内で車両20等と通信する通信エリア11等を特定する通信エリア特定部(通信エリア特定手段)35を備えている。図4は、通信エリア特定部35の機能について説明する画像を示す。図4で図1および図3と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。通信エリア特定部35は、車両位置取得部34により取得された網掛け部分17a内の車両25a、26b等の位置に基づき、当該車両25a、26b等と通信する通信エリアは通信エリア12であると特定することができる。同様にして、通信エリア特定部35は、車両位置取得部34により取得された網掛け部分17b内の車両25b、26c等の位置に基づき、当該車両25b、26c等と通信する通信エリアは通信エリア13であると特定することができる。すなわち、通信エリア特定部35は車両25a等が密に存在する通信エリア12等を特定することができる。
【0043】
図1に示されるように、通信エリア制御装置30は通信エリア特定部35により特定された通信エリア12等に応じてアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成するビーム・パターン作成部(ビーム・パターン作成手段)36を備えている。図5は、ビーム・パターン作成部36の機能について説明する画像を示す。図5で図4と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。車両の符号は図面上煩雑となるため、車両25aを除き省略する。ビーム・パターン作成部36は、通信エリア特定部35により車両25a等が密に存在するものと特定された通信エリア12および13に応じて作成するべきビーム・パターンは、図5に示される通信エリア12の後部および通信エリア13(所定のエリア10の奥2/3の通信エリア18)に合わせたものであると判断し、当該通信エリア18の中央にボアサイト(boresight)が向くビーム・パターンを作成する。
【0044】
図1に示されるように、通信エリア制御装置30はビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき、アダプティブDBFアンテナ32から送信処理を行う送信処理部(送信処理手段)37を備えている。例えば、送信処理部37は、ビーム・パターン作成部36により作成された上述の奥2/3の通信エリアの中央にボアサイトが向くビーム・パターンに基づき、アダプティブDBFアンテナ32からの送信処理を行う。
【0045】
上述の説明では、車両位置取得部34が用いる状況収集部31を可視カメラとして説明したが、状況収集部31が赤外カメラであってもよいことは勿論である。車両位置取得部34が用いる状況収集部31を赤外カメラとし且つ車両位置検出部33を画像処理プロセッサとする場合、例えば、赤外カメラ31で検知された遠赤外線による所定のエリア10内の道路面と車両20等の特徴点(マフラおよびタイヤ等の高温点と低温部)との一対を画像処理プロセッサ33で処理することにより、所定のエリア10内を走行する車両20等および/または障害物等を抽出することができる。赤外カメラ31を用いることにより、霧等による悪視程環境、照明のない夜間等においても、画像処理プロセッサ33は所定のエリア10内を走行する車両20等および/または障害物等を抽出することができる。画像処理プロセッサ33による当該抽出に基づき、車両位置取得部34は車両20等および/または障害物等の位置および速度等の情報を取得することができ、停止車両、渋滞末尾等の事象を検出することも可能である。
【0046】
車両位置取得部34が用いる状況収集部31をミリ波センサとし且つ車両位置検出部33を処理プロセッサとすることもできる。ミリ波センサ31は、76−77GHzのミリ波を所定のエリア10へ送出し、その反射波を処理プロセッサ33で処理することにより、反射波の遅延時間とドップラシフトを抽出する。画像処理プロセッサ33による当該抽出に基づき、車両位置取得部34は、反射波の遅延時間から車両20等の位置を取得し、反射波のドップラシフトから車両20等の速度を取得することができる。ミリ波センサ31はアクティブセンサであるため、可視カメラまたは赤外カメラ等の画像系カメラよりシャドーイングを分離することが容易である。ミリ波センサ31を用いることにより、濃霧地帯または吹雪等の強い寒冷地帯等においても、車両位置取得部34は車両20等および/または障害物等の位置および速度等の情報を取得することができ、停止車両、渋滞末尾等の事象を検出することも可能である。
【0047】
上述のように、通信エリア特定部35は車両25a等が密に存在する通信エリア12等を特定することができる。そこで、ビーム・パターン作成部36の所定のビーム・パターン作成方式として以下のような方式を用いることができる。すなわち、図1に示されるように予め所定のエリア10の一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録装置38内のビーム・パターン・テーブル50に記録しておく。ある時間帯における所定のエリア10内の車両20等の分布に適した所望のビーム・パターンをこのビーム・パターン・テーブル50から選択することにより、ビーム・パターンを作成する。
【0048】
図6(A)、(B)は所定のビーム・パターン作成方式を説明するための路車間環境1を示す。図6(A)は路車間環境1の斜視図、図6(B)は路車間環境1の平面図である。図6(A)、(B)で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図6(A)、(B)において、通信エリア11、12および13が各々サブエリア1、サブエリア2、サブエリア3に該当する。上述のように、まず車両位置取得部34が可視カメラ31等を用いて車両20等の位置を取得する。次に、通信エリア特定部35が車両20等が密に存在するサブエリア1、サブエリア3を特定する。この道路状況の時間帯ではサブエリア1とサブエリア3とに各々フットプリント11−C1と13−C1とを作成するようにアダプティブDBFアンテナ32の指向性を制御することが望ましい。すなわち、予めサブエリア1とサブエリア3との組合せに対応したビーム・パターンを記録装置38内のビーム・パターン・テーブル50に記録しておき、当該時間帯には車両20等の分布に適した上記ビーム・パターンをビーム・パターン・テーブル50から選択できるようにすればよい。
【0049】
図7は、ビーム・パターン・テーブル50の内部表現の一例を示す。図7において、符号51はビーム・パターンの番号欄、52はビーム・パターンの名称欄、53はフットプリントイメージ欄であって、図6(A)、(B)に示されるサブエリア1、サブエリア2、サブエリア3の1つ以上の組合せにより7通りのイメージのフットプリントが作成されている。符号53−1はサブエリア1欄、53−2はサブエリア2欄、53−3はサブエリア3欄、54は送信電力消費量欄である。図7に示されるように、ビーム・パターンA1はサブエリア1のみのフットプリント、ビーム・パターンA2はサブエリア2のみのフットプリント、ビーム・パターンA3はサブエリア3のみのフットプリントであり、いずれも送信電力消費量は小さい。これらのビーム・パターンA1等は例えば夜間等のように車両数が疎らな時間帯に適したビーム・パターンといえる。図7に示されるように、ビーム・パターンB1はサブエリア1および2の組合せのフットプリント、ビーム・パターンB2はサブエリア2および3の組合せのフットプリントであり、いずれも送信電力消費量は中程度である。これらのビーム・パターンB1等は例えば車両がある程度の群をなしているような時間帯に適したビーム・パターンといえる。図7に示されるように、ビーム・パターンC1はサブエリア1および3の組合せのフットプリントであり、送信電力消費量は中程度である。これらのフットプリントは、図6(B)に示されるフットプリント11−C1および13−C1に対応している。図7に示されるように、ビーム・パターンD1はサブエリア1ないし3の組合せのフットプリントであり、送信電力消費量は7通りのフットプリントの中で最も大きい。ビーム・パターンD1は渋滞時に適したビーム・パターンといえる。以上のようなサブエリア1の1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンをビーム・パターン・テーブル50に記録しておき、車両20等の分布に適したビーム・パターンをビーム・パターン・テーブル50から選択すればよい。
【0050】
図8は、通信エリア制御装置30およびアダプティブDBFアンテナ32の詳細なブロック図である。図8で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図8のアダプティブDBFアンテナ32側において、符号xm1、xm2ないしxmNは各々アンテナ(以下、「アンテナxm1等」という。)、69−1、69−2ないし69−Nは各々アンテナxm1等と接続した増幅器(以下、「増幅器69−1等」という。)、68−1、68−2ないし68−Nは各々増幅器69−1等と接続したダウンコンバータ/アップコンバータ(以下、「DC/UC68−1等」という。)、67−1、67−2ないし67−Nは各々DC/UC68−1等と接続したADコンバータ/DAコンバータ(以下、「ADC/DAC67−1等」という。)、66−1、66−2ないし66−Nは各々ADC/DAC67−1等と接続したウェイト乗算器(以下、「ウェイト乗算器66−1等」という。)、65はウェイト乗算器66−1等の各ウェイトを決定するウェイト演算器、63はウェイト乗算器66−1等と接続した合成機/分離器である。
【0051】
図8の通信エリア制御装置30側に示されるように、可視カメラ31に対応するセンサ31から出力された映像等のセンサ情報d1は画像処理プロセッサ33へ入力され、画像処理プロセッサ33から映像差分情報および画像処理制御情報d2が通信制御処理装置61へ出力される。通信制御処理装置61は上述の車両位置取得部34、通信エリア特定部35およびビーム・パターン作成部36に相当する。通信制御処理装置61から出力されたビーム・パターン選択情報(ビーム・パターン・テーブル50中のどのビーム・パターンを選択するかという情報)d4に基づき、ビーム・パターン・テーブル50から所望のビーム・パターンに基づくウェイト情報d5が出力される。通信制御処理装置61から送信処理部37に相当する無線信号処理部37へ通信制御情報およびデータ信号d3が出力される。無線信号処理部37から合成機/分離器63へデータ信号d6が出力され、このデータ信号d6にウェイト情報d5が加算器64で加算され、その結果がウェイト演算器65へ出力される。以降のアダプティブDBFアンテナ32側における処理は従来技術と同様である。合成機/分離器63で分離された信号は、ウェイト演算器65により決定されたウェイトに応じてウェイト乗算器66−1等へ送られる。ウェイト乗算器66−1等から出力された信号はADC/DAC67−1等でDA変換され、DC/UC68−1等でアップコンバートされ、増幅器69−1等を経てアンテナxm1等から送信される。
【0052】
アダプティブDBFアンテナ32側が受信する場合における処理は従来技術と同様である。アンテナxm1等で受信された信号は増幅器69−1等を経てDC/UC68−1等でダウンコンバートされ、ADC/DAC67−1等でAD変換され、ウェイト演算器65およびウェイト乗算器66−1等によりウェイトがかけられた後、合成機/分離器63で合成され、無線信号処理部37を介して通信制御処理装置61へ送られる。アダプティブ・ヌル・ステアリングにより指向性パターンの不感面(ヌル点)を自動的に不要なエリア(干渉波方向)へ向ける等の処理が行われることは従来技術と同様である。
【0053】
図9は、本発明の実施例1における通信エリア制御方法の流れをフローチャートで示す。図9に示されるように、通信エリア制御装置30は、まず、所定のエリア10における車両20等の位置を所定の取得方式により取得する(車両位置取得ステップ。ステップS10)。次に、車両位置取得ステップ(ステップS10)により取得された車両20等の位置に基づき、所定のエリア10内で車両20等と通信する通信エリア11等を特定する(通信エリア特定ステップ。ステップS20)。続いて、通信エリア特定ステップ(ステップS20)により特定された通信エリア11等に応じてアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成する(ビーム・パターン作成ステップ。ステップS30)。最後に、ビーム・パターン作成ステップ(ステップS30)により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う(送信処理ステップ。ステップS40)。
【0054】
以上より、本発明の実施例1によれば、車両位置取得部34が所定のエリア10における車両20等の位置を所定の取得方式により取得する。所定の取得方式としては、可視カメラ等の状況収集部31により収集された所定のエリア10内の道路状況(交通状況)に基づき、所定のエリア10内における車両20等の位置を画像処理プロセッサ等の車両位置検出部33により検出させる取得方式が挙げられる。通信エリア特定部35は車両位置取得部34により取得された車両20等の位置に基づき、所定のエリア10内で車両20等と通信する通信エリア11等を特定する。すなわち、通信エリア特定部35は車両20等が密に存在する通信エリア11等を特定することができる。ビーム・パターン作成部36は、通信エリア特定部35により特定された通信エリア11等に応じてアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成する。所定のビーム・パターン作成方式として以下のような方式を用いることができる。すなわち、予め所定のエリア10の一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録装置38内のビーム・パターン・テーブル50に記録しておく。ある時間帯における所定のエリア10内の車両20等の分布に適した所望のビーム・パターンをこのビーム・パターン・テーブル50から選択することにより、ビーム・パターンを作成することができる。送信処理部37は、ビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき、アダプティブDBFアンテナ32から送信処理を行う。以上の各構成を有する通信エリア制御装置30は、従来技術における車両と1対1の通信を行う場合のように車両毎に合わせたビーム制御を行なうわけではない。通信エリア制御装置30は、車両20等の分布状況に合わせたビーム・パターンを作成するため、交通量が増加しても処理時間が膨大とならず実用的に用いることができ、不要波にビームを向けることをなくすことができる。通信エリア制御装置30は、従来技術のように、常に所望のエリアを固定的にカバーするフットプリントを形成するわけではない。通信エリア制御装置30は車両20等の分布状況に合わせたビーム・パターンを作成するため、路車間通信における複雑に変化するサービス提供エリアの場合であっても、安定した電波環境を提供しつつ交通状況に応じて必要最低限に送信電力消費を抑えることができ、電波の路面反射による路側機自身および他の通信への悪影響を生じることをなくすことができる。
【実施例2】
【0055】
図10は、本発明の実施例2における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境2を示す。図10で図1と同じ符号を付した箇所は同じ機能を示すため説明は省略する。図10に示されるように、実施例2で実施例1に追加された機能は送信タイミング判断部(送信タイミング判断手段)40および送信可否判断部(送信可否判断手段)41である。送信タイミング判断部40は、安全用途の情報提供サービス等を目的とする所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する機能を有している。車両位置取得部34は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリア10における車両20等の位置を上述した所定の取得方式により取得する。送信可否判断部41は送信処理の可否を判断する機能を有している。送信処理部37は、送信可否判断部41により送信処理が可能であると判断された場合、ビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う。
【0056】
図11は、本発明の実施例2における通信エリア制御方法の流れをフローチャートで示す。図11で図9と同じステップ番号を付した処理ブロックは同じ処理を行うため説明は省略する。図11に示されるように、車両位置取得ステップ(ステップS10)に先立ち、所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する(送信タイミング判断ステップ。ステップS3)。車両位置取得ステップ(ステップS10)では、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリア10における車両20等の位置を上述した所定の取得方式により取得する。送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)に戻り繰返す。図11に示されるように、送信処理ステップ(ステップS40)に先立ち、送信処理の可否を判断する(送信可否判断ステップ。ステップS35)。送信処理ステップ(ステップS40)では、送信可否判断ステップ(ステップS35)により送信処理が可能であると判断された場合、ビーム・パターン作成ステップ(ステップS30)により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う。送信可否判断ステップ(ステップS35)により送信処理が可能でないと判断された場合、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)に戻り繰返す。
【0057】
以上より、本発明の実施例2によれば、通信エリア制御装置30の機能に所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断部40を加えることができる。この結果、車両位置取得部34は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリア10における車両20等の位置を上述した所定の取得方式により取得することができる。実施例1では、車両位置取得部34の機能は、路側機側から車両20等側への同報型通信を行うタイミングである場合に実行されることが好適であるものとした。実施例2では当該タイミングの判断機能をさらに備えることにより、確実に好適なタイミングで路側機側から車両20等側への同報型通信を行うことが可能となる。さらに、通信エリア制御装置30の機能に送信処理の可否を判断する送信可否判断部41を加えることができる。この結果、送信処理部37は、送信可否判断部41により送信処理が可能であると判断された場合、ビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことができる。
【実施例3】
【0058】
図12は、本発明の実施例3における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境3を示す。図12で図10と同じ符号を付した箇所は同じ機能を示すため説明は省略する。図12に示されるように、実施例3で実施例2に追加された機能は送信要求判断部(送信要求判断手段)42であり、当該追加に伴いビーム・パターン作成部36の機能が一部変更されてビーム・パターン作成部36’と示されている。送信要求判断部42は、路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からの1対1のユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する機能を有している。ここで所定の期間は、例えば安全用途の情報提供サービス等を目的とする同報型通信の提供間隔とすることが好適である。当該同報型通信が提供されない間隔は帯域があくため、その間隔を有効利用することができる。上記送信要求には車両20等の位置を示す情報が含まれているため、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、つまり上記同報型通信が提供されない間隔である場合、車両位置取得部34の機能を用いることなくビーム・パターンの作成を行うことができる。すなわち、ビーム・パターン作成部36’は、通信エリア特定部35により特定された通信エリア11等に応じたビーム・パターンの作成に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による送信要求が所定の期間内に有ると判断された場合に、当該送信要求に含まれる車両20等の位置を示す情報に基づきアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。
【0059】
図13は、本発明の実施例3における通信エリア制御方法の流れをフローチャートで示す。図13で図11と同じステップ番号を付した処理ブロックは同じ処理を行うため説明は省略する。図13に示されるように、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)で所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断ステップ(ステップS7)をさらに備えている。ビーム・パターン作成ステップ(ステップS30’)は、通信エリア特定ステップ(ステップS20)により特定された通信エリア11等に応じたビーム・パターンの作成に加え、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断ステップ(ステップS7)により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による送信要求が所定の期間内に有ると判断された場合に、当該送信要求に含まれる車両20等の位置を示す情報に基づきアアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断ステップ(ステップS7)により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求がないと判断された場合は、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)に戻り繰返す。
【0060】
以上より、本発明の実施例3によれば、通信エリア制御装置30の機能に、路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からの1対1のユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断部42を加えることができる。この結果、ビーム・パターン作成部36’は、通信エリア特定部35により特定された通信エリア11等に応じたビーム・パターンの作成に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求に含まれる車両20等の位置を示す情報に基づきアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。実施例2では、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)に戻り繰返していた。実施例3では、このような場合であっても送信要求判断ステップ(ステップS7)により路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断することができ、送信要求が有ると判断された場合、当該送信要求に基づきアダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。
【実施例4】
【0061】
図14は、本発明の実施例4における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境4を示す。図14で図12と同じ符号を付した箇所は同じ機能を示すため説明は省略する。図14に示されるように、実施例4で実施例3に追加された機能は複数送信要求判断部(複数送信要求判断手段)43であり、当該追加に伴い車両位置取得部34の機能が一部変更されて車両位置取得部34’と示されている。複数送信要求判断部43は、送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する機能を有している。複数の車両20等から所定の期間内に送信要求を受けた場合を想定すると、当該複数のユニキャスト型通信による送信要求に対して複数の車両20等へマルチキャスト送信するよりも、実施例1のように車両位置取得部34の機能を用いて車両20等の位置を取得し、ビーム・パターンを作成した方がよい。そこで、車両位置取得部34’は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ複数送信要求判断部43により当該送信要求の数が複数である(複数の車両20等側からの所定の期間内におけるユニキャスト型通信による送信要求が有る)と判断された場合にも、所定のエリア10における車両20等の位置を上述の所定の取得方式により取得することができる。複数送信要求判断部43により上記送信要求が単一であると判断された場合は、実施例3と同様に、ビーム・パターン作成部36’が上記送信要求に含まれる車両20等の位置を示す情報に基づき、アダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成する。
【0062】
図15は、本発明の実施例4における通信エリア制御方法の流れをフローチャートで示す。図15で図13と同じステップ番号を付した処理ブロックは同じ処理を行うため説明は省略する。図15に示されるように、送信要求判断ステップ(ステップS7)で路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断ステップ(ステップS9)をさらに備えている。車両位置取得ステップ(ステップS10’)は、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断ステップ(ステップS7)により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ複数送信要求判断ステップ(ステップS9)により当該送信要求の数が複数であると判断された場合にも、所定のエリアにおける車両20等の位置を上述した所定の取得方式により取得することができる。
【0063】
以上より、本発明の実施例4によれば、通信エリア制御装置30の機能に、送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断部43を追加することができる。この結果、車両位置取得部34’は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ複数送信要求判断部43により当該送信要求の数が複数である(複数の車両20等側からの所定の期間内におけるユニキャスト型通信による送信要求が有る)と判断された場合にも、所定のエリア10における車両20等の位置を上述の所定の取得方式により取得することができる。
【実施例5】
【0064】
上述の実施例1ないし4において車両位置取得部34が用いる所定の取得方式は、可視カメラ31等により収集された所定のエリア10内の状況に基づき、所定のエリア10内における車両20等の位置を画像処理プロセッサ33等により検出させるというものであった。本実施例5では、車両20等の位置(車両20等の分布状況)を路車間通信により検出させる例について説明する。実施例5における路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、当該所定の制御情報を受信した車両20等側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものとする。
【0065】
図16は、本発明の実施例5における通信エリア制御装置30’を用いた路車間通信環境5を示す。図16で図1と同じ符号を付した箇所は同じ機能を有するため説明は省略する。図16において、符号45はビーコン送信装置、Zはビーコンが届く無線ゾーンである。図16に示されるように、まず、路側機(通信エリア制御装置30’)側から、路側機自身のID、サービス内容、位置、通信速度等を含む所定の制御情報を定期的且つ同報型のビーコンによりビーコン送信装置45から送信する。無線ゾーンZにおいて当該所定の制御情報を有するビーコンを受信した車両20等側は、サービスエントリを望む場合、当該車両20等自身のID、位置、速度、走行ベクトル等を有する所定の車両情報を含む登録要求(サービス要求)を路側機側へ送信する。登録要求はアダプティブDBFアンテナ32により受信され、通信エリア制御装置30’の車両位置取得部34’は、上記通信方式に基づき車両20等の位置を取得する。例えば、路側機が通信エリア13内の車両21、22および23(車両21等)からの登録要求を受信した場合、当該登録要求に含まれる車両21等の所定の車両情報(位置)に基づき、車両21等の位置を取得する。図16に示されるように、無線ゾーンZは所定のエリア10外も含むため、路側機が車両25、26および27(車両25等)からの登録要求を受信した場合、当該登録要求に含まれる車両25等の所定の車両情報に基づき、車両25等の位置を取得することも可能である。続いて通信エリア特定部35’は、車両位置取得部34’により取得された車両21等の位置および所定の車両情報(速度、走行ベクトル)に基づき、所定の情報(サービス内容に示されるようなサービス情報)を提供する際における車両21等が密に存在する通信エリアを例えば通信エリア12と特定する。通信エリア特定部35’は、車両位置取得部34’により取得された車両25等の位置および所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における車両25等が密に存在する通信エリアを例えば通信エリア13と特定することもできる。
【0066】
後は実施例1等と同様に、ビーム・パターン作成部36は、通信エリア特定部35’により車両21等が密に存在するものと特定された通信エリア12または車両25等が密に存在するものと特定された通信エリア13に応じて、上記所定のビーム・パターン作成方式により通信エリア12または13の中央にボアサイトが向くビーム・パターンを作成する。送信処理部37は、ビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき、アダプティブDBFアンテナ32からの送信処理を行う。
【0067】
図17は、通信エリア制御装置30’およびアダプティブDBFアンテナ32の詳細なブロック図である。図17で図8および図16と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため説明は省略する。図17に示されるブロック図が図8に示されるブロック図と異なる点は、センサ31および画像処理プロセッサ33がない点と、通信制御処理装置61が上述の車両位置取得部34’、通信エリア特定部35’およびビーム・パターン作成部36に相当する点と、記録装置38内にエントリ車両テーブル62が設けられた点とである。上述のように、車両21等からの登録要求はアダプティブDBFアンテナ32により受信され、通信エリア制御装置30’の車両位置取得部34’(通信制御処理装置61)は、上記通信方式に基づき車両21等の位置を取得することができる。すなわち、上記通信方式によれば車両21等の位置を取得するためにセンサ31および画像処理プロセッサ33は不要である。受信された車両21等からの所定の車両情報(位置、速度、走行ベクトル等)を含む登録要求は、エントリ車両テーブル62に記録しておけばよい。通信エリア特定部35’
(通信制御処理装置61)は、所定の情報を提供する際における車両21等が密に存在する通信エリアを特定する際に、エントリ車両テーブル62に記録された車両21等の所定の車両情報を参照する。他の機能については、実施例1の図8に示される通信エリア制御装置30およびアダプティブDBFアンテナ32と同様であるため説明は省略する。
【0068】
図18は、本発明の実施例5における通信エリア制御方法の流れをフローチャートで示す。図18で図9と同じステップ番号を付した処理ブロックは同じ処理を行うため説明は省略する。図18に示されるように、路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、当該所定の制御情報を受信した車両21等側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いる。まず、通信エリア制御装置30’は、車両21等の位置を上記通信方式に基づき取得する(車両位置取得ステップ。ステップS10’)。次に、車両位置取得ステップ(ステップS10’)により取得された車両21等の位置および上記所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における車両21等の通信エリアを特定する(通信エリア特定ステップ。ステップS20’)。以降のビーム・パターン作成ステップ(ステップS30)および送信処理ステップ(ステップS40)は、実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0069】
以上より、本発明の実施例5によれば、路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、当該所定の制御情報を受信した車両21等側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものとした場合、車両21等の位置(車両21等の分布状況)を通信により検出させることができる。路側機側から、路側機自身のID、サービス内容、位置、通信速度等を含む所定の制御情報を定期的且つ同報型のビーコンによりビーコン送信装置45から送信する。無線ゾーンZにおいて当該所定の制御情報を有するビーコンを受信した車両21等側は、サービスエントリを望む場合、当該車両21等自身のID、位置、速度、走行ベクトル等を有する所定の車両情報を含む登録要求(サービス要求)を路側機側へ送信する。登録要求はアダプティブDBFアンテナ32により受信され、通信エリア制御装置30’の車両位置取得部34’は、上記通信方式に基づき車両21等の位置を取得することができる。無線ゾーンZは所定のエリア10外も含んでいてもよい。通信エリア特定部35’は、車両位置取得部34’により取得された車両21等の位置および所定の車両情報(速度、走行ベクトル)に基づき、所定の情報を提供する際における車両21等が密に存在する通信エリアを例えば通信エリア12と特定する。後は実施例1等と同様である。すなわち、上記通信方式によれば車両21等の位置を取得するためにセンサ31および画像処理プロセッサ33は不要とすることができる。実施例5においても他の実施例と同様に、通信エリア制御装置30’は車両21等の分布状況に合わせたビーム・パターンを作成するため、路車間通信における複雑に変化するサービス提供エリアの場合であっても、安定した電波環境を提供しつつ交通状況に応じて必要最低限に送信電力消費を抑えることができ、電波の路面反射による路側機自身および他の通信への悪影響を生じることをなくすことができる。
【実施例6】
【0070】
実施例1に対する実施例2と同様に、実施例5に送信タイミング判断部40および送信可否判断部41の機能を追加することも可能である。この場合、図1に示される通信エリア制御装置30に図10に示される送信タイミング判断部40および送信可否判断部41が追加されたように、図16に示される通信エリア制御装置30’に送信タイミング判断部40および送信可否判断部41を追加すればよい。同様に、図9に示される通信エリア制御方法のフローチャートに図11に示される送信タイミング判断ステップ(ステップS3)および送信可否判断ステップ(ステップS35)が追加されたように、図18に示される通信エリア制御方法のフローチャートに送信タイミング判断ステップ(ステップS3)および送信可否判断ステップステップ(ステップS35)を追加すればよい。
【0071】
以上より、本発明の実施例6によれば、通信エリア制御装置30’の機能に所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断部40を加えることができる。この結果、車両位置取得部34’は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、上記通信方式に基づき車両21等の位置を取得することができる。さらに、通信エリア制御装置30’の機能に送信処理の可否を判断する送信可否判断部41を加えることができる。この結果、送信処理部37は、送信可否判断部41により送信処理が可能であると判断された場合、ビーム・パターン作成部36により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことができる。
【実施例7】
【0072】
実施例2に対する実施例3と同様に、実施例6に送信要求判断部42の機能を追加し、当該追加に伴いビーム・パターン作成部36の機能を一部変更してビーム・パターン作成部36’とすることも可能である。この場合、図10に示される通信エリア制御装置30に図12に示される送信要求判断部42を追加し、ビーム・パターン作成部36’と変更したように、実施例6の通信エリア制御装置30’(不図示)に送信要求判断部42を追加し、ビーム・パターン作成部36’と変更すればよい。同様に、図11に示される通信エリア制御方法のフローチャートに図13に示される送信要求判断ステップ(ステップS7)を追加し、ビーム・パターン作成ステップ(ステップS30’)と変更したように、実施例6の通信エリア制御方法のフローチャート(不図示)に送信要求判断ステップ(ステップS7)を追加し、ビーム・パターン作成ステップ(ステップS30’)と変更すればよい。
【0073】
以上より、本発明の実施例7によれば、実施例6の通信エリア制御装置30’の機能に、路側機に予め管理されている路側機配下の車両21等側からの1対1のユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断部42を加えることができる。この結果、ビーム・パターン作成部36’は、通信エリア特定部35により特定された通信エリア11等に応じたビーム・パターンの作成に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両21等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、アダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。実施例6では、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、送信タイミング判断ステップ(ステップS3)に戻り繰返していた。実施例7では、このような場合であっても追加された送信要求判断ステップ(ステップS7。不図示)により路側機に予め管理されている路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断することができ、送信要求が有ると判断された場合、アダプティブDBFアンテナ32のビーム・パターンを上述した所定のビーム・パターン作成方式により作成することができる。
【実施例8】
【0074】
実施例3に対する実施例4と同様に、実施例7に複数送信要求判断部43の機能を追加し、当該追加に伴い車両位置取得部34の機能を一部変更して車両位置取得部34’とすることも可能である。この場合、図12に示される通信エリア制御装置30に図14に示される複数送信要求判断部43を追加し、車両位置取得部34’と変更したように、実施例7の通信エリア制御装置30’(不図示)に複数送信要求判断部43を追加し、車両位置取得部34’と変更すればよい。同様に、図13に示される通信エリア制御方法のフローチャートに図15に示される複数送信要求判断ステップ(ステップS9)を追加し、車両位置取得ステップ(ステップS10’)と変更したように、実施例7の通信エリア制御方法のフローチャート(不図示)に複数送信要求判断ステップ(ステップS9)を追加し、車両位置取得ステップ(ステップSS10’)と変更すればよい。
【0075】
以上より、本発明の実施例8によれば、実施例7の通信エリア制御装置30’の機能に、送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断部43を追加することができる。この結果、車両位置取得部34’は、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、送信タイミング判断部40により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ送信要求判断部42により路側機配下の車両20等側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ複数送信要求判断部43により当該送信要求の数が複数である(複数の車両20等側からの所定の期間内におけるユニキャスト型通信による送信要求が有る)と判断された場合にも、車両21等の位置を上記通信方式により取得することができる。
【実施例9】
【0076】
路側機が送信する所定の制御情報には、サービス提供までの時間を含めることができる。実施例9では、路側機配下の車両21等が上記ビーコンを受信してサービス情報(所定の情報)提供までの時間を知ったにもかかわらず、当該時間になってもサービス情報を受信しなかった場合の処理について説明する。このような場合は、例えば車両21等が大型車両の陰に隠れたというようなシャドーイング等の理由により発生する。そこで、上記所定の制御情報が上記サービス情報の提供までの時間またはサービス情報提供時刻を含む場合、実施例5ないし8の通信エリア制御装置30’と路車間通信を行う車両21等側に搭載された車載機に、当該提供時間までにまたは当該提供時刻に当該所定の情報の提供を受けなかった場合、再度登録要求を送信する機能を備えさせることができる。この結果、路側機は、次回のサービス情報提供時刻には当該車両21等(と新たにビーコンを受信してエントリした車両と)に対応したビーム・パターンを作成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の活用例として、安全用途の情報提供サービスを行う路車間通信において、通信エリアを制御する通信エリア制御装置等への適用が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境1を示す図である。
【図2】可視カメラ31を用いて撮像した所定のエリア10を含む道路の画像の一例を示す図である。
【図3】車両位置取得部34による車両25a等の位置の取得について説明する画像を示す図である。
【図4】通信エリア特定部35の機能について説明する画像を示す図である。
【図5】ビーム・パターン作成部36の機能について説明する画像を示す図である。
【図6】所定のビーム・パターン作成方式を説明するための路車間環境2を示す図である。
【図7】ビーム・パターン・テーブル39の内部表現の一例を示す図である。
【図8】通信エリア制御装置30およびアダプティブDBFアンテナ32の詳細なブロック図である。
【図9】本発明の実施例1における通信エリア制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例2における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境2を示す図である。
【図11】本発明の実施例2における通信エリア制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図12】発明の実施例3における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境3を示す図である。
【図13】本発明の実施例3における通信エリア制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図14】発明の実施例4における通信エリア制御装置30を用いた路車間通信環境4を示す図である。
【図15】本発明の実施例4における通信エリア制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施例5における通信エリア制御装置30’を用いた路車間通信環境5を示す図である。
【図17】通信エリア制御装置30’およびアダプティブDBFアンテナ32の詳細なブロック図である。
【図18】本発明の実施例5における通信エリア制御方法の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1、2、3、4、5 路車間通信環境、 10 所定のエリア、 11、12、13、18 通信エリア、 11−C1、13−C1 フットプリント、 14、15 走行レーン、 16 格子、 17a、17b 網掛け部分、 18 20、21、22、23、24、25a、25b、25c、26a、26b、26c、26d 車両、 30、30’ 通信エリア制御装置、 31 状況収集部、 32 アダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナ、 33 車両位置検出部、 34、34’ 車両位置取得部、 35、35’ 通信エリア特定部、 36、36’ ビーム・パターン作成部、 37 送信処理部、 38 記録装置、 40 送信タイミング判断部、 41 送信可否判断部、 42 送信要求判断部、 43 複数送信要求判断部、 45 ビーコン送信装置、 50 ビーム・パターン・テーブル、 51 ビーム・パターンの番号欄、 52 ビーム・パターンの名称欄、 53 フットプリントイメージ欄、 53−1 サブエリア1欄、 53−2 サブエリア2欄、 53−3 サブエリア3欄、 54 送信電力消費量欄、 61 通信制御処理装置、 62 エントリ車両テーブル、 63 合成機/分離器、 64 加算器、 65 ウェイト演算器、 66−1、66−2、66−N ウェイト乗算器、 67−1、67−2、67−N ADコンバータ/DAコンバータ、 68−1、68−2、68−N ダウンコンバータ/アップコンバータ、 69−1、69−2、69−N 増幅器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路車間通信における通信エリアを制御する通信エリア制御装置であって、該通信エリア制御装置は路側機側に設けられ、車両側とアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナを用いて通信を行うものであり、
所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得する車両位置取得手段と、
前記車両位置取得手段により取得された車両の位置に基づき、所定のエリア内で車両と通信する通信エリアを特定する通信エリア特定手段と、
前記通信エリア特定手段により特定された通信エリアに応じてアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成するビーム・パターン作成手段と、
前記ビーム・パターン作成手段により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う送信処理手段とを備えたことを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信エリア制御装置において、送信処理の可否を判断する送信可否判断手段をさらに備え、
前記送信処理手段は、前記送信可否判断手段により送信処理が可能であると判断された場合、前記ビーム・パターン作成手段により作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の通信エリア制御装置において、所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断手段をさらに備え、
前記車両位置取得手段は、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の通信エリア制御装置において、路側機に予め管理されている路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断手段をさらに備え、
前記ビーム・パターン作成手段は、前記通信エリア特定手段により特定された通信エリアに応じたビーム・パターンの作成に加え、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、該送信要求に基づきアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成することを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の通信エリア制御装置において、前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合に、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断手段をさらに備え、
前記車両位置取得手段は、前記送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、該送信タイミング判断手段により所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断手段により路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ前記複数送信要求判断手段により当該送信要求の数が複数であると判断された場合に、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の通信エリア制御装置において、前記所定のビーム・パターン作成方式は、所定のエリアの一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録したビーム・パターン・テーブルから選択することによりビーム・パターンを作成することを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の通信エリア制御装置において、前記所定の取得方式は、状況収集部により収集された所定のエリア内の道路状況に基づき、該所定のエリア内における車両の位置を車両位置検出部により検出させることを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の通信エリア制御装置において、前記状況収集部は可視域及び/又は赤外領域に感度を有するカメラであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された画像処理プロセッサであることを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項9】
請求項7記載の通信エリア制御装置において、前記状況収集部はミリ波センサであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された処理プロセッサであることを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれかに記載の通信エリア制御装置において、前記路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、該所定の制御情報を受信した車両側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものであり、
前記車両位置取得手段は、車両の位置を該通信方式に基づき取得し、
前記通信エリア特定手段は、前記車両位置取得手段により取得された車両の位置及び該所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における該車両の通信エリアを特定することを特徴とする通信エリア制御装置。
【請求項11】
路車間通信における通信エリアを制御する通信エリア制御方法であって、路側機側に設けられた通信エリア制御装置が車両側とアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナを用いて通信を行うものであり、通信エリア制御装置が、
所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得する車両位置取得ステップと、
前記車両位置取得ステップにより取得された車両の位置に基づき、所定のエリア内で車両と通信する通信エリアを特定する通信エリア特定ステップと、
前記通信エリア特定ステップにより特定された通信エリアに応じてアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成するビーム・パターン作成ステップと、
前記ビーム・パターン作成ステップにより作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行う送信処理ステップとを備えたことを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項12】
請求項11記載の通信エリア制御方法において、前記送信処理ステップに先立ち、送信処理の可否を判断する送信可否判断ステップをさらに備え、
前記送信処理ステップは、前記送信可否判断ステップにより送信処理が可能であると判断された場合、前記ビーム・パターン作成ステップにより作成されたビーム・パターンに基づき送信処理を行うことを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載の通信エリア制御方法において、前記車両位置取得ステップに先立ち、所定の同報型通信を送信するタイミングを判断する送信タイミング判断ステップをさらに備え、
前記車両位置取得ステップは、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項14】
請求項13記載の通信エリア制御方法において、前記送信タイミング判断ステップで所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断された場合、路側機に予め管理されている路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求の有無を判断する送信要求判断ステップをさらに備え、
前記ビーム・パターン作成ステップは、前記通信エリア特定ステップにより特定された通信エリアに応じたビーム・パターンの作成に加え、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断ステップにより路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による送信要求が有ると判断された場合に、該送信要求に基づきアダプティブ・ディジタル・ビーム・フォーミンング・アンテナのビーム・パターンを所定のビーム・パターン作成方式により作成することを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項15】
請求項14記載の通信エリア制御方法において、前記送信要求判断ステップで路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断された場合、当該送信要求の数が複数であるか単一であるかを判断する複数送信要求判断ステップをさらに備え、
前記車両位置取得ステップは、前記送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングであると判断された場合に加え、該送信タイミング判断ステップにより所定の同報型通信を送信するタイミングでないと判断され且つ前記送信要求判断ステップにより路側機配下の車両側からのユニキャスト型通信による所定の期間内における送信要求が有ると判断され且つ前記複数送信要求判断ステップにより当該送信要求の数が複数であると判断された場合に、所定のエリアにおける車両の位置を所定の取得方式により取得することを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれかに記載の通信エリア制御方法において、前記所定のビーム・パターン作成方式は、所定のエリアの一部であるサブエリアの1つ以上の組合せに対応したビーム・パターンを記録したビーム・パターン・テーブルから選択することによりビーム・パターンを作成することを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかに記載の通信エリア制御方法において、前記所定の取得方式は、状況収集部により収集された所定のエリア内の道路状況に基づき、該所定のエリア内における車両の位置を車両位置検出部により検出させることを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項18】
請求項17記載の通信エリア制御方法において、前記状況収集部は可視域及び/又は赤外領域に感度を有するカメラであり、前記車両位置検出部は通信エリア制御装置内の又は通信エリア制御装置に接続された画像処理プロセッサであることを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項19】
請求項17記載の通信エリア制御方法において、前記状況収集部はミリ波センサであり、前記車両位置検出部は該通信エリア制御装置内の又は該通信エリア制御装置に接続された処理プロセッサであることを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項20】
請求項11乃至16のいずれかに記載の通信エリア制御方法において、前記路車間通信は、路側機側が所定の制御情報を送信し、該所定の制御情報を受信した車両側が所定の車両情報を含む登録要求を送信することにより路側機の通信リンクに登録する通信方式を用いるものであり、
前記車両位置取得ステップは、車両の位置を該通信方式に基づき取得し、
前記通信エリア特定ステップは、前記車両位置取得ステップにより取得された車両の位置及び該所定の車両情報に基づき、所定の情報を提供する際における該車両の通信エリアを特定することを特徴とする通信エリア制御方法。
【請求項21】
請求項10記載の通信エリア制御装置と路車間通信を行う車両側に搭載された車載機であって、前記所定の制御情報は前記所定の情報の提供時刻を含むものであり、該提供時刻に該所定の情報の提供を受けなかった場合、再度登録要求を送信することを特徴とする車載機。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−228196(P2007−228196A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46054(P2006−46054)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)【国等の委託研究の成果に係る記載事項】 平成17年度、独立行政法人情報通          信研究機構、「ユビキタスITSの研究開発」に関する委          託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】