通信システムおよびデータセンタ
【課題】複数の経路探索方法から1つを選択して使用する技術において、アルゴリズムの選択規則を、より道路の実状を反映した信頼性の高いものにする。
【解決手段】複数のユーザIDのそれぞれに対応する車両の出発から到着までの走行履歴から成るレコードを複数レコード分記録するデータセンタ2が、ユーザ端末4から送信されたエリアとユーザIDを受信し、ユーザIDに対応するユーザ走行リストから、当該エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、全ユーザ走行リスト中の全レコードのうち、対象レコードの出発地点および到着地点をこの順に最も速く走行するレコードのルート(最速ルート)を特定し、その最速ルートを実現する経路探索アルゴリズムの探索パラメータを算出し、算出した探索パラメータのうち1つを、最適パラメータとする。
【解決手段】複数のユーザIDのそれぞれに対応する車両の出発から到着までの走行履歴から成るレコードを複数レコード分記録するデータセンタ2が、ユーザ端末4から送信されたエリアとユーザIDを受信し、ユーザIDに対応するユーザ走行リストから、当該エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、全ユーザ走行リスト中の全レコードのうち、対象レコードの出発地点および到着地点をこの順に最も速く走行するレコードのルート(最速ルート)を特定し、その最速ルートを実現する経路探索アルゴリズムの探索パラメータを算出し、算出した探索パラメータのうち1つを、最適パラメータとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよびデータセンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の経路探索アルゴリズムから、自車両のいる地域に適した経路探索アルゴリズムを選択して用いるナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この技術では、地域を観光地、新興住宅地、文教地区等の種類に類別し、それら類別した種類毎にどのアルゴリズムが適しているかについて、あらかじめ固定的に割り当てている。したがって、そのような地域を実際に走行したときの道路の実状を反映したものとはなっていない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、複数の経路探索方法から1つを選択して使用する技術において、経路探索方法の選択規則を、より道路の実状を反映した信頼性の高いものにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストを記憶媒体に記録するデータセンタ(2)と、前記データセンタ(2)と通信可能な通信装置(4、6)と、を備えた通信システムであって、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれ、各レコードには、車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、前記通信装置(4、6)は、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を前記データセンタ(2)に送信し、前記データセンタ(2)は、前記通信装置(4、6)から送信された前記選択情報を受信し、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、前記最適パラメータ値を記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とする通信システムである。
【0007】
このように、通信システム中のデータセンタ(2)が、複数のユーザ走行リストを記録し、通信装置(4、6)から複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、当該選択情報に従って一部のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数の走行リスト中のレコードから選び出し、その最速ルートまたはそれに対して一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0008】
つまり、選択された走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。そして、その最速ルートは、選択されていないレコード中の走行履歴も用いて決定している。このように、最適パラメータ値が、選択されたレコード中の出発地点(第1の地点)から到着地点(第2の地点)についての、他のレコードも含めた走行の実状を反映した形で決定されているので、信頼性の高いものとなっている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に前記第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行すると共に前記第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定することを特徴とする。
【0010】
このように、最速ルートを抽出するレコードとして、元の対象とするレコードと第1の地点の走行時刻が概ね同じものを選択することで、時刻毎の道路の実状に合った最速ルートを、ひいては、時刻毎の道路の実状に合った最適パラメータ値を算出することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信システムにおいて、前記複数のユーザ走行リストは、それぞれが異なるユーザIDに対応し、また、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれに含まれるレコードの各々には、対応するユーザIDの車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、前記ユーザIDが含まれ、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記ユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0012】
このように、通信システム中のデータセンタ(2)が、ユーザID毎にユーザ走行リストを記録し、通信装置(4、6)からユーザIDを受信すると、当該ユーザIDのユーザ走行リスト中から走行履歴のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数のユーザIDの走行リストから選び出し、その最速ルートに対して最も一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0013】
つまり、あるユーザIDの走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。このようになっているので、アルゴリズムのパラメータ値として、ユーザIDに適したものを選択することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の通信システムにおいて、前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、エリアが含まれ、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、前記複数のユーザ走行リストから抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記エリアに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0015】
このように、走行リスト中から抽出するレコードを、受信したエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードに限定することで、特定のエリア内の経路計算に適した最適パラメータ値を決定することができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多いグループに対応するパラメータ値を最適パラメータ値とすることを特徴とする。
【0017】
このように、最速ルートパラメータ値のうち、ユーザIDの走行履歴で最も使用されているものを、最適パラメータ値として決定する。このようになっていることで、最適パラメータ値を用いたときの有用性が向上する。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とする(240、245)ことを特徴とする。
【0019】
このように、最速ルートパラメータが同じグループ内におけるレコード(選択情報に従って抽出されたレコード)のそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を、グループ間で比較し、総和(Tsum)が最も大きいグループの最速ルートパラメータ値を最適パラメータ値として採用することで、最速ルートパラメータ値のうち、最速で走行できる時間が一番長くなる可能性が一番高い最速ルートパラメータ値を、最適パラメータ値として採用することができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の通信システムにおいて、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0021】
このように、最適パラメータ値のスコアを最適パラメータ値と共に記録することで、抽出されたレコードに対応する最適パラメータ値と、別途抽出されたレコードに対応する他の最適パラメータ値とを、スコアを指標として比較することができる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通信システムにおいて、前記通信装置(4、6)は複数あり、前記データセンタ(2)は、前記複数の通信装置(4、6)からそれぞれ異なる選択情報を受信し、それら複数の選択情報の各々を対象として、処理A、処理B、および処理Cを行い、前記処理Aでは、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)によって、対象となる選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記処理Bでは、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)によって、前記抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの前記第1の地点から前記第2の地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし、前記処理Cでは、前記スコア算出手段(250)によって、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとし、前記データセンタ(2)は更に、前記複数の選択情報の各々について、当該選択情報、当該選択情報に対応する最適パラメータ値、および当該最適パラメータ値のスコアを、1つの最適パラメータレコードとして共に記憶媒体に記録し、それら記録された複数個の最適パラメータレコードを、最適パラメータリストとして、前記複数の通信装置(4、6)のいずれか、または、別の通信装置(4、6)に送信し、送信先のユーザ端末(4、6)は、受信した前記最適パラメータリストの情報を、ユーザに表示することを特徴とする。
【0023】
このようにすることで、最適パラメータリストの情報を見たユーザは、スコア、選択情報等の情報を参考にして、使用したい最適パラメータPoを選択することができる。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし(240、245)、当該通信システムは、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、通信装置(4、6)と通信するデータセンタであって、車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストであって、それぞれに複数のレコードが含まれ、さらに各レコードには車両の出発から到着までの走行履歴が含まれる複数のユーザ走行リストを記憶する記憶部(22)と、前記通信装置(4、6)から、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とするデータセンタである。このように、本発明の特徴は、データセンタの特徴としても捉えることができる。
【0026】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】データセンタ2、ユーザ端末4、車両用ナビゲーション装置6の間のデータのやりとりを示す図である。
【図3】データセンタ2の構成図である。
【図4】ユーザ端末4の構成図である。
【図5】車両用ナビゲーション装置6の構成図である。
【図6】車両用ナビゲーション装置における走行履歴の送信処理のフローチャートである。
【図7】データセンタにおける走行履歴の受信処理のフローチャートである。
【図8】ユーザ走行リストの一例を示す図である。
【図9】ユーザ端末がデータセンタと通信するために実行するフローチャートである。
【図10】設定メニュー画面の図である。
【図11】最適パラメータを決定するためにデータセンタが実行する処理のフローチャートである。
【図12】図11のステップ219で抽出されたエリア50内の走行履歴のレコード51〜54を例示する図である。
【図13】同一ODTリストの例を示す図である。
【図14】同一ODTリスト内の各エントリを地図形式で表した図である。
【図15】抽出したレコード71a〜74a、最速レコード71b〜74b、および最速ルートパラメータ値71c〜74cの関係を示す図である。
【図16】リスト形式で表した最速パラメータリストの図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示す。この通信システムは、インターネット等の広域ネットワーク1に接続されたデータセンタ2と、家屋内のルータ3を介して広域ネットワーク1に接続可能なユーザ端末装置4(通信装置の一例に相当する)と、車両5に搭載される車両用ナビゲーション装置6(通信装置の一例に相当する)とを備えている。この車両用ナビゲーション装置6は、データセンタ2と接続されている通信基地局7に対して、道路に沿って複数設置された路側送受信装置8(例えば路上ビーコン)を介して接続可能となっている。
【0029】
なお、車両5と車両用ナビゲーション装置6の組は、複数ある。つまり、本実施形態の通信システムは、複数の車両5のそれぞれに搭載される複数の車両用ナビゲーション装置6を備えている。車両5と車両用ナビゲーション装置6の組の数は、例えば、数千〜数千万の間のいずれかであってもよい。車両5のそれぞれには、他の車両5と識別するための一意のユーザIDが割り当てられている。また、ユーザ端末4も、複数台ある。
【0030】
本実施形態では、図2に示すように、車両用ナビゲーション装置6のそれぞれが、路側送受信装置8および通信基地局7を介して、データセンタ2に自車両5のユーザID、および、自車両5の走行履歴を送信するようになっている。この走行履歴には、出発から到着までの走行位置と走行時刻の情報が含まれている。そしてデータセンタ2は、これら受信した走行履歴をユーザID毎にグループ分けして記録する。
【0031】
また、ユーザ端末4は、ルータ3および広域ネットワーク1を介してデータセンタ2と通信し、その通信の際、経路計算用のアルゴリズム、エリア(地理範囲)、およびユーザIDを含むデータをデータセンタ2に送信する。そしてデータセンタ2は、このデータに基づいて、当該ユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6が当該エリア内の誘導経路を算出するために最適な、当該経路探索アルゴリズムのパラメータ(すなわち、最適パラメータ)を算出する。算出された最適パラメータは、当該ユーザ端末4および当該車両用ナビゲーション装置6に送信され、ユーザ端末4ではその最適パラメータが表示され、車両用ナビゲーション装置6では、その当該エリアの誘導経路を算出する際には、当該アルゴリズムを使用し、かつ、当該アルゴリズムにおいて当該最適パラメータを使用する。
【0032】
また、ユーザ端末4は、当該最適パラメータがどの程度適しているかを表す指標であるスコアを算出し、算出したスコアをユーザ端末4および車両用ナビゲーション装置6に送信する。そしてユーザ端末4および車両用ナビゲーション装置6は、受信したスコアを、当該最適パラメータと共に表示する。
【0033】
以下、このようなデータセンタ2、ユーザ端末4、車両用ナビゲーション装置6の構成について説明する。
【0034】
図3に、データセンタ2の構成を示す。データセンタ2は、通信インターフェース21、記憶部22、および制御部23を有している。通信インターフェース21は、広域ネットワーク1と接続すると共に、通信基地局7と通信するための周知のネットワークインターフェースである。記憶部22は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体である。この記憶部22には、車両用ナビゲーション装置6と同じ地図データ(後述する)が記録されている。制御部23は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータ等の装置である。
【0035】
図4に、ユーザ端末4の構成を示す。ユーザ端末4は、通信インターフェース41、画像表示装置42、操作部43、記憶部44、制御部45を備えている。通信インターフェース41は、ルータ3を介して広域ネットワーク1と接続するための周知のネットワークインターフェースである。画像表示装置42は、液晶ディスプレイ等の画像を表示する装置である。操作部43は、キーボード、マウス等のユーザの操作を受け付ける装置である。記憶部44は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体である。制御部45は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータ等の装置である。
【0036】
図5に、車両用ナビゲーション装置6の構成を示す。車両用ナビゲーション装置6は、位置検出器61、画像表示装置62、操作部63、スピーカ64、通信部65、地図データ取得部66、制御部67を備えている。
【0037】
位置検出器61は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路67に出力する。
【0038】
画像表示装置62は、制御回路67から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0039】
操作部63は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置62の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路67に出力する。
【0040】
通信部65は、路側送受信装置8と無線することで、通信基地局7を介してデータセンタ2と通信を行うための、周知の無線通信インターフェースである。
【0041】
地図データ取得部66は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路67が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0042】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0043】
制御回路(コンピュータに相当する)67は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部66から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部66から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部66の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器61、画像表示装置62、操作部63、スピーカ64、および交通情報受信機65と信号の授受を行う。
【0044】
制御回路67がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、誘導経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0045】
現在位置特定処理は、位置検出器61からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0046】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置62に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0047】
誘導経路算出処理は、操作部63からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適経路を算出し、この最適経路を誘導経路とする処理である。本実施形態の制御部67は、誘導経路算出の際に用いる経路探索アルゴリズムとして、複数種類の経路探索アルゴリズムの中から1つ選択して採用する。複数種類の経路探索アルゴリズムとしては、例えば、ダイクストラ法、A*アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、均一コスト探索、双方向探索等がある。
【0048】
各経路探索アルゴリズムには、変更可能なパラメータ群が用意されている。例えば、ダイクストラ法では、1本の高速道路のリンクに付与するコスト、1本の国道のリンクに付与するコスト、1本の細街路のリンクに付与するコストが、変更可能なパラメータ群に含まれる。制御部67は、採用した経路探索アルゴリズムのパラメータ群の値(すなわちパラメータ値)も設定した上で、誘導経路を算出するようになっている。
【0049】
制御部67における経路探索アルゴリズムの選択および経路探索アルゴリズムのパラメータの設定は、操作部63に対するユーザの選択および設定操作に従って行うようになっていてもよいし、後述するように、データセンタ2から受信した最適パラメータ等に従って行うようになっていてもよい。
【0050】
経路案内処理は、算出された誘導経路に沿った走行を案内する処理であり、誘導経路と自車位置との位置関係を逐次監視し、誘導経路上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ64に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置62に表示させることで、誘導経路に沿った車両の運転を案内する処理である。
【0051】
以下、上記のような構成の通信システムの作動について説明する。まず、車両用ナビゲーション装置6のそれぞれがデータセンタ2に走行履歴(図2参照)を送信する作動について説明する。
【0052】
この作動のために、制御部67は、自車両5の走行開始時に、図6に示すような処理を実行する。この処理において、まずステップ605で、時間の経過を計測するタイマをリセットし、続いてステップ610で、自車両5の現在位置(すなわち走行位置)および現在時刻(すなわち走行時刻。年、日、時、分、秒の情報を含む。)の組をRAM等に記録し、続いてステップ615で、最後のタイマリセットから所定時間(具体的には5分)が経過した場合またはパーキングブレーキが引かれた場合か否かを判定する。所定時間が経過していない場合は、ステップ630に進み、経過している場合は、ステップ620に進む。
【0053】
所定時間が経過していない場合は、続いてステップ630で自車両5が到着地点に到着したか否かを判定する。自車両5が到着地点に到着したか否かは、経路案内処理において目的地に到達したと判定した場合に到着地点に到着したと判定し、経路案内処理を行っていないときは、自車両5が基準時間(例えば10分)以上停止しているときに、自車両5が到着地点に到着したと判定する。到着地点に到着した場合、ステップ635に進み、到着地点に到着していない場合、ステップ610に処理を戻す。
【0054】
したがって、車両用ナビゲーション装置6は、自車両5が走行開始して以降、到着地点に到着するまでの間は、ステップ610、615、630の処理を(例えば、1秒に1回)繰り返すことで、車両の走行位置および走行時刻の組のデータを、走行順に順次蓄積していく。
【0055】
そして、所定時間が経過すると、ステップ620に進み、現在RAMに蓄積されている走行位置および走行時刻の組のすべてを、走行履歴の一部としてデータセンタ2に送信し、送信したデータをRAMから削除する。なお、走行履歴の一部と共に、自車両5のユーザIDもデータセンタ2に送信する。このユーザIDの情報は、ROMまたは地図データ取得部66に記録されている。
【0056】
つまり、制御部67は、所定周期(例えば1秒周期)で走行位置および走行時刻の組を蓄積し、上記所定周期よりも長い所定時間(具体的には5分)が経過する度に、その所定時間内で蓄積された走行位置および走行時刻の組を、走行履歴の一部として、ユーザIDと共にすべてデータセンタ2に送信する。
【0057】
また、ステップ630で到着地点に到着したと判定すると、続いてステップ635で、その時点にRAMに蓄積されている走行位置および走行時刻の組のすべてを、走行履歴の一部として、ユーザIDと共にデータセンタ2に送信する。なおこのとき、自車両5が到着地点に到着したことを示す到着情報もデータセンタ2に送信する。ステップ635の後は、再度自車両5が走行開始するまで、図6の送信処理を中断する。
【0058】
データセンタ2の制御部23は、このようにして送信された走行履歴を受信するために、図7に示す処理を実行する。具体的には、制御部23は、走行履歴の一部およびユーザIDを受信する度に(ステップ201)、RAMに蓄積し(ステップ203)、走行履歴の一部およびユーザIDと共に到着情報を受信した場合は(ステップ205)、当該ユーザIDについて今回およびそれまで蓄積した走行履歴の一部を、時系列順に並べ、その結果の走行履歴のデータを、記憶部22中の当該ユーザIDのユーザ走行リスト中に、1レコードとして追加記録し(ステップ207)、追加記録した分のRAM中の蓄積データについては、消去する。
【0059】
このような処理を行うことで、制御部23は、受信したユーザIDの数だけ、そのユーザIDに対応するユーザ走行リストを作成する。図8に、1つのユーザIDに対応するユーザ走行リストを例示する。この図に示すように、複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれている。図8の表の2行目以降の各行が、1つのレコードに相当する。
【0060】
各レコードには、1つのユーザ走行リスト内の通し番号である走行リストID、および、特定のユーザIDに対応する車両5の出発から到着までの走行履歴が含まれている。
車両5の出発から到着までの走行履歴とは、車両5の出発地点から到着地点までの間に車両5が実際に走行した経路中の各走行地点における、当該走行地点(出発地点、通過地点、到着地点)の位置および当該走行地点を走行した時刻(出発時刻、通過時刻、到着時刻)の組の情報を含んでいる。そして、各走行地点のうち、最初の地点が出発地点であり、最後の地点が到着地点である。
【0061】
次に、ユーザ端末4がデータセンタ2と通信する作動について説明する。この作動において、ユーザ端末4は、データセンタ2から、特定のユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6が特定のエリア内の誘導経路を算出するために最適な、当該経路探索アルゴリズムのパラメータ(すなわち、最適パラメータ)を算出する。
【0062】
図9に、この作動のためにユーザ端末4の制御部45が実行する処理について説明する。制御部45は、ユーザが、操作部43を用いて、自らが所有する車両5のユーザIDを入力すると共に、データセンタ2と通信する旨の操作を行った場合に、図9の処理を開始し、まずステップ405で、図10に示すような設定メニュー画面30を、データセンタ2に表示させる。
【0063】
設定メニュー画面30は、アルゴリズム選択部31、エリア選択部32、エリア表示部33、スイッチ部34、および結果表示部35を有している。
【0064】
アルゴリズム選択部31は、ユーザが操作部43を用いて選択可能な経路計算アルゴリズムのリストが表示されている。なお、選択可能な経路計算アルゴリズムのリストは、あらかじめユーザ端末4において作成されたものでもよいし、データセンタ2から受信するようになっていてもよい。ユーザが操作部43を用いてこのリスト中から経路計算アルゴリズムを1つ選択すると、制御部45は、その選択操作に従って、当該1つの経路計算アルゴリズムを選択する(ステップ410)。
【0065】
エリア選択部32には、ユーザが操作部43を用いて選択可能なエリアのリストが表示されている。なお、選択可能なエリアのリストは、あらかじめユーザ端末4において作成されたものでもよいし、データセンタ2から、受信するようになっていてもよい。
【0066】
選択可能なエリアとしては、過去1年間に上記ユーザIDの車両が走行したルート、特定の日の特定の時間帯に上記ユーザIDの車両が走行したルート、特定の地域(例えば中部エリア)等がある。ユーザが操作部43を用いてこのリスト中からエリアを1つ選択すると、制御部45は、その選択操作に従って、当該1つのエリアを選択する(ステップ415)。
【0067】
エリア表示部33は、選択されたエリアを地図形式で表示する部分である。制御部45は、ステップ415で、エリアを選択すると、そのエリアの範囲をエリア表示部33に示す。その際、このエリア内に含まれる上記ユーザIDの走行履歴を、出発地点から到着地点までの矢印で表してもよい。この場合、ユーザIDの走行履歴は、データセンタ2に要求して取得するようになっていてもよい。このような表示を行うことで、ユーザは、選択するエリアの位置や大きさを視覚的に把握することができる。
【0068】
スイッチ部34は、送信を実行する旨の操作をユーザに促す表示部である。ユーザが、操作部43を用いてこのスイッチ部34を選択する操作を行うと、制御部45は、ステップ410、415で決定した経路探索アルゴリズムおよびエリアを、上記ユーザIDと共に、問い合わせデータとして、データセンタ2に送信する(ステップ420)。この問い合わせデータに含まれるユーザIDおよびエリアの情報は、それぞれ、複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報の一例に相当する。
【0069】
送信後、制御部45は、データセンタ2から問い合わせデータの応答を受信するまで待ち(ステップ425)、応答を受信すると、その応答中に含まれる最適パラメータを、結果表示部35に表示させる(ステップ430)。この際、応答中に含まれるスコア(後述する)も結果表示部35に表示させてもよい。ステップ430の後は、ステップ410に戻ることで、再度アルゴリズムおよびエリアを選択することもできる。
【0070】
次に、このユーザ端末4から送信される問い合わせデータに応じてデータセンタ2が最適パラメータ等を決定する作動について説明する。この作動のために、データセンタ2の制御部23は、図11に示す処理を実行する。
【0071】
この処理において制御部23は、まずステップ215で、ユーザ端末4から問い合わせデータを受信するまで待ち、受信すると、続いてステップ217で、受信した問い合わせデータ中のユーザID(以下、問い合わせユーザIDという)に対応する1つのユーザ走行リストを、記憶部22から抽出する。更に続いてステップ219で、抽出したユーザ走行リストから、受信した問い合わせデータ中のエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを抽出する。抽出されるレコードは、1つの場合もあれば、複数の場合もある。図12に、抽出されたエリア50内のレコードの例を、出発地点から到着地点までの矢印51〜54で表す。
【0072】
続いて、ステップ219で抽出したレコードのそれぞれを対象として、ループR1を1回実行する。すなわち、ループR1は、ステップ219で抽出したレコードの数だけ繰り返される。
【0073】
以下、1つのループR1内で対象となっているレコードを対象レコードと呼び、対象レコードに含まれる走行履歴の出発地点を第1の地点と呼び、到着地点を第2の地点と呼び、当該出発地点の走行時刻を第1の時刻と呼ぶ。
【0074】
各ループR1内で制御部23は、まずステップ220で、記憶部22に記録されているすべてのユーザ走行リスト中のすべてのレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内(例えば、前後15分以内)に第1の地点を走行した走行履歴を含むレコードを抽出してリスト化する。なお、第1、第2の地点を走行するとは、第1、第2の地点とほぼ同じ地点(具体的には、第1の地点から例えば15メートル程度の所定の距離以内の地点)を走行することも含む概念である。
【0075】
このようにリスト化されたデータを、同一ODT(Orientation, Destination, and departure Time)リストと呼ぶ。この同一ODTリストは、図13に例示するように、複数のエントリを有し、各エントリは、ユーザ走行リスト中の1レコードと、当該ユーザ走行リストに対応するユーザIDとの組から成る。図13では、2行目以降の各行が、1つのエントリに相当する。
【0076】
図13に例示するように、1つの同一ODTリスト内のすべてのエントリは、対象レコードの出発地点と到着地点を走行していると共に、対象レコードのほぼ出発時刻に当該出発地点を走行している。地図形式で表すと、図14に例示するように、同一ODTリスト内の各エントリの走行履歴(一本の線で表す)は、同じ点O1、D1を通っているが、通る経路は異なっている。
【0077】
続いてステップ225では、作成した同一ODTリスト中のエントリのうち、第1の地点から第2の地点までの走行時間が最も短いエントリについて、そのエントリにおける第1の地点から第2の地点までの経路を最速ルートとして抽出する。ただし、第1の地点から第2の地点までの経路の長さを走行時間で除算した値が基準速度(例えば、一般道路なら法定速度の60km/h)を超えるようなエントリについては、極端に速すぎるという理由で、最速ルートとして抽出する対象から外すようになっていてもよい。
【0078】
このように抽出された最速ルートは、対象レコードのルートと同じである場合もあれば、異なる場合もある。最速ルートが対象レコードのルートと異なるということは、問い合わせユーザIDに対応する車両5とほぼ同じ時刻に第1の地点を走行したにもかかわらず、問い合わせユーザIDに対応する車両5とは異なるルートを取ることで、当該車両5よりも速く第2の地点に到着した他の車両5があったということである。そのような最速ルートは、問い合わせユーザIDのユーザにとっては、最適なルートの候補となる。
【0079】
ステップ225に続いては、ステップ230で、ステップ215で受信した問い合わせデータ中の経路探索アルゴリズムのパラメータ群の値として、上記最速ルートを最適経路として算出するためのパラメータ値(以下、最速ルートパラメータ値という)を、最速ルートのパラメータ値に決定する。
【0080】
具体的には、パラメータ群のあらゆる可能な組み合わせのそれぞれを採用して、当該経路探索アルゴリズムで、第1の地点から第2の地点までの誘導経路を算出し、算出したそれら誘導経路のうち、最速ルートと同じ経路のものがあれば、その経路を誘導経路として算出したときに採用したパラメータ群の値を、最速ルートのパラメータ値P、すなわち、最速ルートPとする。
【0081】
例えば、問い合わせリスト中の経路探索アルゴリズムがダイクストラ法であり、パラメータ群として、1本の高速道路のリンクに付与するコストC1、1本の国道のリンクに付与するコストC2、1本の細街路のリンクに付与するコストC3の3つがあり、それらの値は、それぞれ1、2、3のいずれかを取ることができるようになっている場合、制御部23は、3×3×3=27種類のパラメータ値を用いて27個の誘導経路を算出し、それらのうち、最速ルートと合致した誘導経路(1つまたは複数)の算出に用いられたパラメータ値(例えば、(C1、C2、C3)=(1、3、2))を、最速ルートの最速ルートPとする。
【0082】
なお、どのようなパラメータ値でも、最速ルートと同じ経路となる誘導経路を算出できない場合は、算出した誘導経路のうち、最速ルートと最も一致度が高い誘導経路を算出するときに用いられたパラメータ値を、最速ルートのパラメータ値Pとする。ここで、ルート間の一致度は、例えば、一致する部分の経路長が大きくなるほど大きくなるもの、又は異なるルートの部分の走行時間差が大きいほど小さくなるものとする。
【0083】
続いてステップ235では、最速ルートパラメータ値Pの関数Tsum(P)の値に、対象レコードの第1の地点から第2の地点までの走行時間を加算する。なお、すべてのパラメータ値についての関数Tsum(P)の値は、図11のステップ217の実行時にゼロにリセットされるようになっている。
【0084】
このようなループR1内のステップ220〜230を繰り返し実行することで、抽出したレコードのそれぞれを対象として(R1)、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内に第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードを抽出し(ステップ220)、抽出したレコードのうち、第1の地点から第2の地点までの走行時間が最も短いレコードについて、そのレコードにおける当該第1の地点から第2の地点までの経路を最速ルートとして抽出し(225)、また、受信した経路探索アルゴリズムのパラメータの値として、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値Pを、決定する(ステップ230)。
【0085】
なお、最速ルートを最適経路として算出するための最速ルートパラメータ値Pは、最速ルートに完全一致するルートを最適経路として算出するための最速ルートパラメータ値Pであるので、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値Pの一種である。
【0086】
例えば、図15に示すように、問い合わせユーザIDの走行リスト中から上記エリア内のレコード71a〜74aを抽出し、それらレコード71〜74それぞれに対応した最速ルートを通るレコード71b〜74bを全ユーザの走行リスト中のレコードから選び出し、それら最速ルートのレコード71b〜74b(図中では最速レコードと記す)のそれぞれから、その最速ルート71b〜74bを実現する(または、最も一致する)最速ルートパラメータ値71c〜74cを算出する。このように算出された複数の最速ルートパラメータ値71c〜74cの中には、互いに値が同じものもあり得る。図15の例では、最速ルートパラメータ値71c最速ルートとパラメータ値74cは、同一の値である。
【0087】
また、ループR1内のステップ235を繰り返し実行することで、同じパラメータ値が算出された対象レコードの出発地点から到着地点までの走行時間が加算され、その結果、最速ルートパラメータ値P毎に、Tsum(P)の値が算出される。
【0088】
つまり、Tsum(P)=Σ[Tu(i)×δ(P、Pi)]である。ここでΣは、iについての、1からステップ219で抽出されたすべてのレコードの数までの総和を表し、Tu(i)は、i番目のレコードの出発地点から到着地点までの走行時間であり、Piは、i番目のレコードに対応する最速ルートパラメータ値であり、δ(P、Pi)は、P=Piのときのみ1となり、それ以外のとき0となる値である。
【0089】
このようにして算出されたTsum(P)の値は、ステップ219で抽出された問い合わせユーザIDのレコードを、同じ最速ルートパラメータ値Pが決定されたレコードでグループ分けしたときの、各グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和Tsum(P)に相当する。図15の例で言えば、レコード71a、74aは同じグループに属し、Tsum(P1)には、レコード71aの走行時間Tu(1)と、レコード74aの走行時間Tu(4)とが少なくとも加算されている。
【0090】
ループR1に続いては、ステップ240で、繰り返し実行されたステップ230で算出されたすべての最速ルートパラメータ値Pを、走行時間の総和Tsum(P)でソートする。これにより、どのグループの総和Tsum(P)が最も大きいかが判別可能となる。
【0091】
続いてステップ240で、ステップ230のソートの結果から、走行時間の総和Tsum(P)が最大となるグループ(以下、最大グループという)およびそのグループの最速ルートパラメータ値Pを特定し、その最速ルートパラメータ値を、最適パラメータ値Poとする。最大グループの最速ルートパラメータ値Pを最適パラメータPoとするのは、問い合わせユーザの車両5がその最適パラメータPoを採用したときに、全体として走行時間の短縮効果が最も高いと思われるからである。
【0092】
続いてステップ250では、最適パラメータ値Poのスコアを算出する。最適パラメータ値Poのスコアとは、最大グループの走行時間の総和Tsum(Po)に対する、値Tm(Po)の比である。値Tm(Po)は、最大グループ内におけるレコード(例えば、図15のレコード71a、74a)のそれぞれに対応する最速ルートの走行時間(Tmin(1)、Tmin(4))の総和である。
【0093】
すなわち、Tm(Po)=Σ[Tmin(i)×δ(Po、Pi)]である。ここでΣは、iについての、1からステップ219で抽出されたすべてのレコードの数までの総和を表し、Tmin(i)は、i番目のレコードに対応する最速ルートの第1の地点から第2の地点までの走行時間であり、Piは、i番目のレコードに対応するパラメータ値であり、δ(Po、Pi)は、Po=Piのときのみ1となり、それ以外のとき0となる値である。
【0094】
続いてステップ255では、ステップ245で算出した最適パラメータ値Po、ステップ250で算出した当該最適パラメータ値のスコア、ステップ215で受信した問い合わせデータ中の経路探索アルゴリズム、ステップ215で受信した問い合わせデータ中のエリアを、ステップ215で受信した問い合わせデータ中のユーザIDに対応付けて、記憶部22に記録する。このようにユーザIDに対応付けて記録された最適パラメータPoは、当該ユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6で使用すべき探索パラメータである。
【0095】
続いてステップ260では、記録した最適パラメータ値Po、スコア、経路探索アルゴリズム、エリアを、問い合わせデータ送信元のユーザ端末4に、応答として送信する。すると、ユーザ端末4の制御部45は、図9のステップ430で、データセンタ2から応答があったと判定し、ステップ430で、受信した最適パラメータ値Po等を、図10の結果表示部35に表示させる。
【0096】
この最適パラメータ値Poの表示を見たユーザは、自車両5で当該エリアを走行する前に、自車両5の車両用ナビゲーション装置6の操作部63を操作することで、当該経路探索アルゴリズムを選択し、さらに、この最適パラメータ値Poを設定する。これによって、当該エリア内の誘導経路の算出において、この経路探索アルゴリズムおよび最適パラメータ値Poが用いられる。
【0097】
また、ステップ260では、記録した最適パラメータ値Po、スコア、経路探索アルゴリズム、エリアを、問い合わせデータ送信元のユーザ端末4のみならず、問い合わせユーザIDに対応する車両5の車両用ナビゲーション装置6に送信するようになっていてもよい。その場合、車両用ナビゲーション装置6の制御部67は、受信したエリア内の誘導経路を算出する際には、受信した最適パラメータ値Poおよび経路探索アルゴリズムを採用するようになる。なお、データセンタ2の記憶部22には、ユーザIDと送信先の車両用ナビゲーション装置6との対応関係を示すテーブルが記録されており、制御部23は、このテーブルを用いて、送信先のナビゲーション装置6を決定する。
【0098】
以上説明した通り、本実施形態の通信システムにおいては、ユーザ端末4は、複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報(エリア、ユーザID)をデータセンタ2に送信し、データセンタ2は、ユーザ端末4から送信された選択情報を受信し(ステップ215)、受信した選択情報に従って一部のレコードを抽出し(ステップ219)、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象レコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコード(ステップ220)に基づいて、第1の地点から第2の地点までの最速ルートを抽出し(ステップ225)、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、最速ルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するか、または、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定する(ステップ230)。そしてデータセンタ2は、決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値Poとし、当該最適パラメータPoを前記ユーザIDに対応付けて記憶部22に記録する。
【0099】
このように、通信システム中で複数のユーザ走行リストを記録するデータセンタ2が、ユーザ端末4から選択情報を受信すると、当該選択情報に従って一部のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数の走行リスト中のレコードから選び出し、その最速ルートまたはそれに対して一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0100】
つまり、選択された走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。そして、その最速ルートは、選択されていないレコード中の走行履歴も用いて決定している。このように、最適パラメータ値が、選択されたレコード中の出発地点(第1の地点)から到着地点(第2の地点)についての、他のレコードも含めた走行の実状を反映した形で決定されているので、信頼性の高いものとなっている。
【0101】
より詳しくは、データセンタ2は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、第1の地点から第2の地点までの最速ルートを抽出する。
【0102】
このように、最速ルートを抽出するレコードとして、元の対象とするレコードと第1の地点の走行時刻が概ね同じものを選択することで、時刻毎の道路の実状に合った最速ルートを、ひいては、時刻毎の道路の実状に合った最適パラメータ値を算出することができる。
【0103】
より詳しくは、データセンタ2は、受信した選択情報に含まれるユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、最速ルートを抽出し、パラメータ値を決定する。
【0104】
つまり、あるユーザIDの走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータとして決定する。このようになっているので、アルゴリズムのパラメータ値として、ユーザIDに適したものを選択することができる。
【0105】
より詳しくは、データセンタ2は、受信した選択情報に含まれるエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、複数のユーザ走行リストから抽出する。このように、ユーザIDの走行リスト中から抽出するレコードを、受信したエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードに限定することで、特定のエリア内の経路計算に適した最適パラメータ値を決定することができる。
【0106】
また、データセンタ2は、抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多い(具体的には最も走行時間が長い、あるいは最も距離が長いでもよい)グループに対応するパラメータ値を、最適パラメータ値Poとする。
【0107】
このように、最速ルートパラメータ値のうち、ユーザIDの走行履歴で最も使用されているものを、最適パラメータとして決定する。このようになっていることで、最適パラメータを用いたときの有用性が向上する。
【0108】
より具体的には、データセンタ2は、抽出したユーザIDのレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの第1の地点から第2の地点までの走行時間の総和Tsum(P)を算出し、算出した総和Tsum(P)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値Poとする。
【0109】
このように、最速ルートパラメータが同じグループ内におけるレコードのそれぞれの第1の地点から第2の地点までの走行時間の総和Tsum(P)を、グループ間で比較し、総和Tsum(P)が最も大きいグループの最速ルートパラメータを最適パラメータPoとして採用することで、最速ルートパラメータ値のうち、最速で走行できる時間が一番長くなる可能性が一番高い最速ルートパラメータ値を、最適パラメータPoとして採用することができる。
【0110】
また、データセンタ2は、最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和Tsum(Po)に対する、最大グループ内におけるレコードのそれぞれに対応する最速ルートの走行時間の総和Tm(Po)の割合Tm(Po)/Tsum(Po)を、最適パラメータ値のスコアとし、最適パラメータ値Poおよび最適パラメータ値Poのスコアを記録することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【0111】
このように、最適パラメータ値のスコアを最適パラメータ値と共に記録することで、あるユーザIDに対応する最適パラメータ値と、他のユーザIDに対応する最適パラメータ値とを、スコアを指標として比較することができる。
【0112】
なお、上記の実施形態においては、データセンタ2の制御部23が、図11のステップ215〜230を実行することでレコード別最速ルートパラメータ決定手段の一例として機能し、ステップ235、240、245を実行することで最適パラメータ決定手段の一例として機能し、ステップ250を実行することでスコア算出手段(250)の一例として機能し、ステップ255を実行することで記録手段の一例として機能する。
【0113】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0114】
例えば、データセンタ2は、複数のユーザ端末4からそれぞれ異なるユーザID、エリア、経路探索アルゴリズムを含む問い合わせデータを受信することで、それら複数の問い合わせデータの各々を対象として、上記実施形態のように、異なる最適パラメータPo、およびスコアを算出して、対応する問い合わせデータ中のユーザID、エリア、経路探索アルゴリズムと共に、記憶部22に、1つの最適パラメータレコードとして、記録することができる。この場合、記憶部22に、複数個の問い合わせデータと1対1に対応する複数個の最適パラメータレコードが記録される。
【0115】
この場合、データセンタ2の制御部23は、それら記録された複数組の最適パラメータレコード中の最適パラメータPo、スコア、エリア、および経路探索アルゴリズムを、最適パラメータリストとして、上記複数のユーザ端末4のいずれか、または、別のユーザ端末4に送信するようになっていてもよい。その場合、ユーザ端末4の制御部45は、画像表示装置42を用いて、受信した最適パラメータリストの情報を、図16に示すように、リスト形式で一覧表示するようになっていてもよい。ただし、最適パラメータPoについては、値そのものではなく、最適パラメータPoに付けられた名称を表示すればよい。あるは、その名称を省略してもよい。
【0116】
このようにすることで、この一覧を見たユーザは、スコアとエリアを参考にして、使用したい最適パラメータPoを選択し、選択したパラメータを使用することができる。
【0117】
また、データセンタ2は、図11のステップ260で、車両用ナビゲーション装置6に対して最適パラメータPoを送信すると共に、その最適パラメータPoに対応する各最速ルートにおける第1の地点から第2の地点までの走行時間の情報を送信するようになっていてもよい。その場合、車両用ナビゲーション装置6の制御部67は、ある最速ルートに対応する第1の地点から第2の地点まで自車両5が走行したときに、その最速ルートに対応して受信した走行時間と、実際の第1の地点から第2の地点までの走行時間とを比較し、それら2つの走行時間の時間ずれを、画像表示装置62に表示させるようになっていてもよい。
【0118】
また、データセンタ2からユーザ端末4に送信された最適パラメータPoは、ユーザ端末4から車両用ナビゲーション装置6に通信によって送信されてもよいし、持ち運び可能な記憶媒体(例えばUSBメモリ)を介してユーザ端末4から車両用ナビゲーション装置6に移し替えられてもよい。つまり、車両用ナビゲーション装置6のユーザが最適パラメータを取得できさえすれば、その最適パラメータは最終的に車両用ナビゲーション装置6で使用可能である。
【0119】
またデータセンタ2は、受信した経路探索アルゴリズムの最適パラメータPoを算出したとき、別途ユーザ端末4から送信された当該エリア内の出発地点および当該エリア内の目的地点に基づいて、当該出発地点から当該目的地点までの誘導経路を、当該アルゴリズムを使用し、かつ、当該アルゴリズムにおいて当該最適パラメータを使用して、算出し、算出した経路をユーザ端末4に表示するようになっていてもよい。つまり、データセンタ2が、誘導経路算出処理を実行するようになっていてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、ユーザ端末4からデータセンタ2に経路探索アルゴリズム、ユーザID、エリアが送信されるようになっているが、使用する経路探索アルゴリズムがあらかじめ決まっていれば、経路探索アルゴリズムの情報は必ずしも送信されるようになっておらずともよい。
【0121】
また、データセンタ2は、ユーザ走行リスト中のレコードのうち、所定時間(例えば1年)以上前の走行時間を有するレコードを破棄することで、ユーザ走行リストの鮮度を保つようになっていてもよい。
【0122】
また、ユーザ端末4からデータセンタ2に送信される選択情報は、必ずしもユーザIDとエリアの両方でなくともよく、いずれか一方のみでもよいし、ユーザIDとエリア以外の情報であってもよい。
【0123】
また、ユーザ端末4の処理を、車両用ナビゲーション装置6が行うようになっていてもよい。その場合は、車両用ナビゲーション装置6が、特許請求の範囲の通信装置の一例に相当する。
【符号の説明】
【0124】
1 広域ネットワーク
2 データセンタ
4 ユーザ端末
5 車両
6 車両用ナビゲーション装置
7 通信基地局
8 路側送受信装置
30 設定メニュー画面
31 アルゴリズム選択部
32 エリア選択部
33 エリア表示部
34 スイッチ部
35 結果表示部
50 エリア
51〜54 走行履歴
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムおよびデータセンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の経路探索アルゴリズムから、自車両のいる地域に適した経路探索アルゴリズムを選択して用いるナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この技術では、地域を観光地、新興住宅地、文教地区等の種類に類別し、それら類別した種類毎にどのアルゴリズムが適しているかについて、あらかじめ固定的に割り当てている。したがって、そのような地域を実際に走行したときの道路の実状を反映したものとはなっていない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、複数の経路探索方法から1つを選択して使用する技術において、経路探索方法の選択規則を、より道路の実状を反映した信頼性の高いものにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストを記憶媒体に記録するデータセンタ(2)と、前記データセンタ(2)と通信可能な通信装置(4、6)と、を備えた通信システムであって、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれ、各レコードには、車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、前記通信装置(4、6)は、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を前記データセンタ(2)に送信し、前記データセンタ(2)は、前記通信装置(4、6)から送信された前記選択情報を受信し、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、前記最適パラメータ値を記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とする通信システムである。
【0007】
このように、通信システム中のデータセンタ(2)が、複数のユーザ走行リストを記録し、通信装置(4、6)から複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、当該選択情報に従って一部のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数の走行リスト中のレコードから選び出し、その最速ルートまたはそれに対して一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0008】
つまり、選択された走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。そして、その最速ルートは、選択されていないレコード中の走行履歴も用いて決定している。このように、最適パラメータ値が、選択されたレコード中の出発地点(第1の地点)から到着地点(第2の地点)についての、他のレコードも含めた走行の実状を反映した形で決定されているので、信頼性の高いものとなっている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に前記第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行すると共に前記第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定することを特徴とする。
【0010】
このように、最速ルートを抽出するレコードとして、元の対象とするレコードと第1の地点の走行時刻が概ね同じものを選択することで、時刻毎の道路の実状に合った最速ルートを、ひいては、時刻毎の道路の実状に合った最適パラメータ値を算出することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信システムにおいて、前記複数のユーザ走行リストは、それぞれが異なるユーザIDに対応し、また、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれに含まれるレコードの各々には、対応するユーザIDの車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、前記ユーザIDが含まれ、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記ユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0012】
このように、通信システム中のデータセンタ(2)が、ユーザID毎にユーザ走行リストを記録し、通信装置(4、6)からユーザIDを受信すると、当該ユーザIDのユーザ走行リスト中から走行履歴のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数のユーザIDの走行リストから選び出し、その最速ルートに対して最も一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0013】
つまり、あるユーザIDの走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。このようになっているので、アルゴリズムのパラメータ値として、ユーザIDに適したものを選択することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の通信システムにおいて、前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、エリアが含まれ、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、前記複数のユーザ走行リストから抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記エリアに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0015】
このように、走行リスト中から抽出するレコードを、受信したエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードに限定することで、特定のエリア内の経路計算に適した最適パラメータ値を決定することができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多いグループに対応するパラメータ値を最適パラメータ値とすることを特徴とする。
【0017】
このように、最速ルートパラメータ値のうち、ユーザIDの走行履歴で最も使用されているものを、最適パラメータ値として決定する。このようになっていることで、最適パラメータ値を用いたときの有用性が向上する。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とする(240、245)ことを特徴とする。
【0019】
このように、最速ルートパラメータが同じグループ内におけるレコード(選択情報に従って抽出されたレコード)のそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を、グループ間で比較し、総和(Tsum)が最も大きいグループの最速ルートパラメータ値を最適パラメータ値として採用することで、最速ルートパラメータ値のうち、最速で走行できる時間が一番長くなる可能性が一番高い最速ルートパラメータ値を、最適パラメータ値として採用することができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の通信システムにおいて、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0021】
このように、最適パラメータ値のスコアを最適パラメータ値と共に記録することで、抽出されたレコードに対応する最適パラメータ値と、別途抽出されたレコードに対応する他の最適パラメータ値とを、スコアを指標として比較することができる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の通信システムにおいて、前記通信装置(4、6)は複数あり、前記データセンタ(2)は、前記複数の通信装置(4、6)からそれぞれ異なる選択情報を受信し、それら複数の選択情報の各々を対象として、処理A、処理B、および処理Cを行い、前記処理Aでは、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)によって、対象となる選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、前記処理Bでは、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)によって、前記抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの前記第1の地点から前記第2の地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし、前記処理Cでは、前記スコア算出手段(250)によって、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとし、前記データセンタ(2)は更に、前記複数の選択情報の各々について、当該選択情報、当該選択情報に対応する最適パラメータ値、および当該最適パラメータ値のスコアを、1つの最適パラメータレコードとして共に記憶媒体に記録し、それら記録された複数個の最適パラメータレコードを、最適パラメータリストとして、前記複数の通信装置(4、6)のいずれか、または、別の通信装置(4、6)に送信し、送信先のユーザ端末(4、6)は、受信した前記最適パラメータリストの情報を、ユーザに表示することを特徴とする。
【0023】
このようにすることで、最適パラメータリストの情報を見たユーザは、スコア、選択情報等の情報を参考にして、使用したい最適パラメータPoを選択することができる。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の通信システムにおいて、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし(240、245)、当該通信システムは、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、通信装置(4、6)と通信するデータセンタであって、車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストであって、それぞれに複数のレコードが含まれ、さらに各レコードには車両の出発から到着までの走行履歴が含まれる複数のユーザ走行リストを記憶する記憶部(22)と、前記通信装置(4、6)から、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とするデータセンタである。このように、本発明の特徴は、データセンタの特徴としても捉えることができる。
【0026】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図2】データセンタ2、ユーザ端末4、車両用ナビゲーション装置6の間のデータのやりとりを示す図である。
【図3】データセンタ2の構成図である。
【図4】ユーザ端末4の構成図である。
【図5】車両用ナビゲーション装置6の構成図である。
【図6】車両用ナビゲーション装置における走行履歴の送信処理のフローチャートである。
【図7】データセンタにおける走行履歴の受信処理のフローチャートである。
【図8】ユーザ走行リストの一例を示す図である。
【図9】ユーザ端末がデータセンタと通信するために実行するフローチャートである。
【図10】設定メニュー画面の図である。
【図11】最適パラメータを決定するためにデータセンタが実行する処理のフローチャートである。
【図12】図11のステップ219で抽出されたエリア50内の走行履歴のレコード51〜54を例示する図である。
【図13】同一ODTリストの例を示す図である。
【図14】同一ODTリスト内の各エントリを地図形式で表した図である。
【図15】抽出したレコード71a〜74a、最速レコード71b〜74b、および最速ルートパラメータ値71c〜74cの関係を示す図である。
【図16】リスト形式で表した最速パラメータリストの図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示す。この通信システムは、インターネット等の広域ネットワーク1に接続されたデータセンタ2と、家屋内のルータ3を介して広域ネットワーク1に接続可能なユーザ端末装置4(通信装置の一例に相当する)と、車両5に搭載される車両用ナビゲーション装置6(通信装置の一例に相当する)とを備えている。この車両用ナビゲーション装置6は、データセンタ2と接続されている通信基地局7に対して、道路に沿って複数設置された路側送受信装置8(例えば路上ビーコン)を介して接続可能となっている。
【0029】
なお、車両5と車両用ナビゲーション装置6の組は、複数ある。つまり、本実施形態の通信システムは、複数の車両5のそれぞれに搭載される複数の車両用ナビゲーション装置6を備えている。車両5と車両用ナビゲーション装置6の組の数は、例えば、数千〜数千万の間のいずれかであってもよい。車両5のそれぞれには、他の車両5と識別するための一意のユーザIDが割り当てられている。また、ユーザ端末4も、複数台ある。
【0030】
本実施形態では、図2に示すように、車両用ナビゲーション装置6のそれぞれが、路側送受信装置8および通信基地局7を介して、データセンタ2に自車両5のユーザID、および、自車両5の走行履歴を送信するようになっている。この走行履歴には、出発から到着までの走行位置と走行時刻の情報が含まれている。そしてデータセンタ2は、これら受信した走行履歴をユーザID毎にグループ分けして記録する。
【0031】
また、ユーザ端末4は、ルータ3および広域ネットワーク1を介してデータセンタ2と通信し、その通信の際、経路計算用のアルゴリズム、エリア(地理範囲)、およびユーザIDを含むデータをデータセンタ2に送信する。そしてデータセンタ2は、このデータに基づいて、当該ユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6が当該エリア内の誘導経路を算出するために最適な、当該経路探索アルゴリズムのパラメータ(すなわち、最適パラメータ)を算出する。算出された最適パラメータは、当該ユーザ端末4および当該車両用ナビゲーション装置6に送信され、ユーザ端末4ではその最適パラメータが表示され、車両用ナビゲーション装置6では、その当該エリアの誘導経路を算出する際には、当該アルゴリズムを使用し、かつ、当該アルゴリズムにおいて当該最適パラメータを使用する。
【0032】
また、ユーザ端末4は、当該最適パラメータがどの程度適しているかを表す指標であるスコアを算出し、算出したスコアをユーザ端末4および車両用ナビゲーション装置6に送信する。そしてユーザ端末4および車両用ナビゲーション装置6は、受信したスコアを、当該最適パラメータと共に表示する。
【0033】
以下、このようなデータセンタ2、ユーザ端末4、車両用ナビゲーション装置6の構成について説明する。
【0034】
図3に、データセンタ2の構成を示す。データセンタ2は、通信インターフェース21、記憶部22、および制御部23を有している。通信インターフェース21は、広域ネットワーク1と接続すると共に、通信基地局7と通信するための周知のネットワークインターフェースである。記憶部22は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体である。この記憶部22には、車両用ナビゲーション装置6と同じ地図データ(後述する)が記録されている。制御部23は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータ等の装置である。
【0035】
図4に、ユーザ端末4の構成を示す。ユーザ端末4は、通信インターフェース41、画像表示装置42、操作部43、記憶部44、制御部45を備えている。通信インターフェース41は、ルータ3を介して広域ネットワーク1と接続するための周知のネットワークインターフェースである。画像表示装置42は、液晶ディスプレイ等の画像を表示する装置である。操作部43は、キーボード、マウス等のユーザの操作を受け付ける装置である。記憶部44は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体である。制御部45は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータ等の装置である。
【0036】
図5に、車両用ナビゲーション装置6の構成を示す。車両用ナビゲーション装置6は、位置検出器61、画像表示装置62、操作部63、スピーカ64、通信部65、地図データ取得部66、制御部67を備えている。
【0037】
位置検出器61は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路67に出力する。
【0038】
画像表示装置62は、制御回路67から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0039】
操作部63は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置62の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路67に出力する。
【0040】
通信部65は、路側送受信装置8と無線することで、通信基地局7を介してデータセンタ2と通信を行うための、周知の無線通信インターフェースである。
【0041】
地図データ取得部66は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路67が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0042】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0043】
制御回路(コンピュータに相当する)67は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部66から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部66から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部66の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器61、画像表示装置62、操作部63、スピーカ64、および交通情報受信機65と信号の授受を行う。
【0044】
制御回路67がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、誘導経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0045】
現在位置特定処理は、位置検出器61からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0046】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置62に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0047】
誘導経路算出処理は、操作部63からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適経路を算出し、この最適経路を誘導経路とする処理である。本実施形態の制御部67は、誘導経路算出の際に用いる経路探索アルゴリズムとして、複数種類の経路探索アルゴリズムの中から1つ選択して採用する。複数種類の経路探索アルゴリズムとしては、例えば、ダイクストラ法、A*アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、均一コスト探索、双方向探索等がある。
【0048】
各経路探索アルゴリズムには、変更可能なパラメータ群が用意されている。例えば、ダイクストラ法では、1本の高速道路のリンクに付与するコスト、1本の国道のリンクに付与するコスト、1本の細街路のリンクに付与するコストが、変更可能なパラメータ群に含まれる。制御部67は、採用した経路探索アルゴリズムのパラメータ群の値(すなわちパラメータ値)も設定した上で、誘導経路を算出するようになっている。
【0049】
制御部67における経路探索アルゴリズムの選択および経路探索アルゴリズムのパラメータの設定は、操作部63に対するユーザの選択および設定操作に従って行うようになっていてもよいし、後述するように、データセンタ2から受信した最適パラメータ等に従って行うようになっていてもよい。
【0050】
経路案内処理は、算出された誘導経路に沿った走行を案内する処理であり、誘導経路と自車位置との位置関係を逐次監視し、誘導経路上の右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ64に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置62に表示させることで、誘導経路に沿った車両の運転を案内する処理である。
【0051】
以下、上記のような構成の通信システムの作動について説明する。まず、車両用ナビゲーション装置6のそれぞれがデータセンタ2に走行履歴(図2参照)を送信する作動について説明する。
【0052】
この作動のために、制御部67は、自車両5の走行開始時に、図6に示すような処理を実行する。この処理において、まずステップ605で、時間の経過を計測するタイマをリセットし、続いてステップ610で、自車両5の現在位置(すなわち走行位置)および現在時刻(すなわち走行時刻。年、日、時、分、秒の情報を含む。)の組をRAM等に記録し、続いてステップ615で、最後のタイマリセットから所定時間(具体的には5分)が経過した場合またはパーキングブレーキが引かれた場合か否かを判定する。所定時間が経過していない場合は、ステップ630に進み、経過している場合は、ステップ620に進む。
【0053】
所定時間が経過していない場合は、続いてステップ630で自車両5が到着地点に到着したか否かを判定する。自車両5が到着地点に到着したか否かは、経路案内処理において目的地に到達したと判定した場合に到着地点に到着したと判定し、経路案内処理を行っていないときは、自車両5が基準時間(例えば10分)以上停止しているときに、自車両5が到着地点に到着したと判定する。到着地点に到着した場合、ステップ635に進み、到着地点に到着していない場合、ステップ610に処理を戻す。
【0054】
したがって、車両用ナビゲーション装置6は、自車両5が走行開始して以降、到着地点に到着するまでの間は、ステップ610、615、630の処理を(例えば、1秒に1回)繰り返すことで、車両の走行位置および走行時刻の組のデータを、走行順に順次蓄積していく。
【0055】
そして、所定時間が経過すると、ステップ620に進み、現在RAMに蓄積されている走行位置および走行時刻の組のすべてを、走行履歴の一部としてデータセンタ2に送信し、送信したデータをRAMから削除する。なお、走行履歴の一部と共に、自車両5のユーザIDもデータセンタ2に送信する。このユーザIDの情報は、ROMまたは地図データ取得部66に記録されている。
【0056】
つまり、制御部67は、所定周期(例えば1秒周期)で走行位置および走行時刻の組を蓄積し、上記所定周期よりも長い所定時間(具体的には5分)が経過する度に、その所定時間内で蓄積された走行位置および走行時刻の組を、走行履歴の一部として、ユーザIDと共にすべてデータセンタ2に送信する。
【0057】
また、ステップ630で到着地点に到着したと判定すると、続いてステップ635で、その時点にRAMに蓄積されている走行位置および走行時刻の組のすべてを、走行履歴の一部として、ユーザIDと共にデータセンタ2に送信する。なおこのとき、自車両5が到着地点に到着したことを示す到着情報もデータセンタ2に送信する。ステップ635の後は、再度自車両5が走行開始するまで、図6の送信処理を中断する。
【0058】
データセンタ2の制御部23は、このようにして送信された走行履歴を受信するために、図7に示す処理を実行する。具体的には、制御部23は、走行履歴の一部およびユーザIDを受信する度に(ステップ201)、RAMに蓄積し(ステップ203)、走行履歴の一部およびユーザIDと共に到着情報を受信した場合は(ステップ205)、当該ユーザIDについて今回およびそれまで蓄積した走行履歴の一部を、時系列順に並べ、その結果の走行履歴のデータを、記憶部22中の当該ユーザIDのユーザ走行リスト中に、1レコードとして追加記録し(ステップ207)、追加記録した分のRAM中の蓄積データについては、消去する。
【0059】
このような処理を行うことで、制御部23は、受信したユーザIDの数だけ、そのユーザIDに対応するユーザ走行リストを作成する。図8に、1つのユーザIDに対応するユーザ走行リストを例示する。この図に示すように、複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれている。図8の表の2行目以降の各行が、1つのレコードに相当する。
【0060】
各レコードには、1つのユーザ走行リスト内の通し番号である走行リストID、および、特定のユーザIDに対応する車両5の出発から到着までの走行履歴が含まれている。
車両5の出発から到着までの走行履歴とは、車両5の出発地点から到着地点までの間に車両5が実際に走行した経路中の各走行地点における、当該走行地点(出発地点、通過地点、到着地点)の位置および当該走行地点を走行した時刻(出発時刻、通過時刻、到着時刻)の組の情報を含んでいる。そして、各走行地点のうち、最初の地点が出発地点であり、最後の地点が到着地点である。
【0061】
次に、ユーザ端末4がデータセンタ2と通信する作動について説明する。この作動において、ユーザ端末4は、データセンタ2から、特定のユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6が特定のエリア内の誘導経路を算出するために最適な、当該経路探索アルゴリズムのパラメータ(すなわち、最適パラメータ)を算出する。
【0062】
図9に、この作動のためにユーザ端末4の制御部45が実行する処理について説明する。制御部45は、ユーザが、操作部43を用いて、自らが所有する車両5のユーザIDを入力すると共に、データセンタ2と通信する旨の操作を行った場合に、図9の処理を開始し、まずステップ405で、図10に示すような設定メニュー画面30を、データセンタ2に表示させる。
【0063】
設定メニュー画面30は、アルゴリズム選択部31、エリア選択部32、エリア表示部33、スイッチ部34、および結果表示部35を有している。
【0064】
アルゴリズム選択部31は、ユーザが操作部43を用いて選択可能な経路計算アルゴリズムのリストが表示されている。なお、選択可能な経路計算アルゴリズムのリストは、あらかじめユーザ端末4において作成されたものでもよいし、データセンタ2から受信するようになっていてもよい。ユーザが操作部43を用いてこのリスト中から経路計算アルゴリズムを1つ選択すると、制御部45は、その選択操作に従って、当該1つの経路計算アルゴリズムを選択する(ステップ410)。
【0065】
エリア選択部32には、ユーザが操作部43を用いて選択可能なエリアのリストが表示されている。なお、選択可能なエリアのリストは、あらかじめユーザ端末4において作成されたものでもよいし、データセンタ2から、受信するようになっていてもよい。
【0066】
選択可能なエリアとしては、過去1年間に上記ユーザIDの車両が走行したルート、特定の日の特定の時間帯に上記ユーザIDの車両が走行したルート、特定の地域(例えば中部エリア)等がある。ユーザが操作部43を用いてこのリスト中からエリアを1つ選択すると、制御部45は、その選択操作に従って、当該1つのエリアを選択する(ステップ415)。
【0067】
エリア表示部33は、選択されたエリアを地図形式で表示する部分である。制御部45は、ステップ415で、エリアを選択すると、そのエリアの範囲をエリア表示部33に示す。その際、このエリア内に含まれる上記ユーザIDの走行履歴を、出発地点から到着地点までの矢印で表してもよい。この場合、ユーザIDの走行履歴は、データセンタ2に要求して取得するようになっていてもよい。このような表示を行うことで、ユーザは、選択するエリアの位置や大きさを視覚的に把握することができる。
【0068】
スイッチ部34は、送信を実行する旨の操作をユーザに促す表示部である。ユーザが、操作部43を用いてこのスイッチ部34を選択する操作を行うと、制御部45は、ステップ410、415で決定した経路探索アルゴリズムおよびエリアを、上記ユーザIDと共に、問い合わせデータとして、データセンタ2に送信する(ステップ420)。この問い合わせデータに含まれるユーザIDおよびエリアの情報は、それぞれ、複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報の一例に相当する。
【0069】
送信後、制御部45は、データセンタ2から問い合わせデータの応答を受信するまで待ち(ステップ425)、応答を受信すると、その応答中に含まれる最適パラメータを、結果表示部35に表示させる(ステップ430)。この際、応答中に含まれるスコア(後述する)も結果表示部35に表示させてもよい。ステップ430の後は、ステップ410に戻ることで、再度アルゴリズムおよびエリアを選択することもできる。
【0070】
次に、このユーザ端末4から送信される問い合わせデータに応じてデータセンタ2が最適パラメータ等を決定する作動について説明する。この作動のために、データセンタ2の制御部23は、図11に示す処理を実行する。
【0071】
この処理において制御部23は、まずステップ215で、ユーザ端末4から問い合わせデータを受信するまで待ち、受信すると、続いてステップ217で、受信した問い合わせデータ中のユーザID(以下、問い合わせユーザIDという)に対応する1つのユーザ走行リストを、記憶部22から抽出する。更に続いてステップ219で、抽出したユーザ走行リストから、受信した問い合わせデータ中のエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを抽出する。抽出されるレコードは、1つの場合もあれば、複数の場合もある。図12に、抽出されたエリア50内のレコードの例を、出発地点から到着地点までの矢印51〜54で表す。
【0072】
続いて、ステップ219で抽出したレコードのそれぞれを対象として、ループR1を1回実行する。すなわち、ループR1は、ステップ219で抽出したレコードの数だけ繰り返される。
【0073】
以下、1つのループR1内で対象となっているレコードを対象レコードと呼び、対象レコードに含まれる走行履歴の出発地点を第1の地点と呼び、到着地点を第2の地点と呼び、当該出発地点の走行時刻を第1の時刻と呼ぶ。
【0074】
各ループR1内で制御部23は、まずステップ220で、記憶部22に記録されているすべてのユーザ走行リスト中のすべてのレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内(例えば、前後15分以内)に第1の地点を走行した走行履歴を含むレコードを抽出してリスト化する。なお、第1、第2の地点を走行するとは、第1、第2の地点とほぼ同じ地点(具体的には、第1の地点から例えば15メートル程度の所定の距離以内の地点)を走行することも含む概念である。
【0075】
このようにリスト化されたデータを、同一ODT(Orientation, Destination, and departure Time)リストと呼ぶ。この同一ODTリストは、図13に例示するように、複数のエントリを有し、各エントリは、ユーザ走行リスト中の1レコードと、当該ユーザ走行リストに対応するユーザIDとの組から成る。図13では、2行目以降の各行が、1つのエントリに相当する。
【0076】
図13に例示するように、1つの同一ODTリスト内のすべてのエントリは、対象レコードの出発地点と到着地点を走行していると共に、対象レコードのほぼ出発時刻に当該出発地点を走行している。地図形式で表すと、図14に例示するように、同一ODTリスト内の各エントリの走行履歴(一本の線で表す)は、同じ点O1、D1を通っているが、通る経路は異なっている。
【0077】
続いてステップ225では、作成した同一ODTリスト中のエントリのうち、第1の地点から第2の地点までの走行時間が最も短いエントリについて、そのエントリにおける第1の地点から第2の地点までの経路を最速ルートとして抽出する。ただし、第1の地点から第2の地点までの経路の長さを走行時間で除算した値が基準速度(例えば、一般道路なら法定速度の60km/h)を超えるようなエントリについては、極端に速すぎるという理由で、最速ルートとして抽出する対象から外すようになっていてもよい。
【0078】
このように抽出された最速ルートは、対象レコードのルートと同じである場合もあれば、異なる場合もある。最速ルートが対象レコードのルートと異なるということは、問い合わせユーザIDに対応する車両5とほぼ同じ時刻に第1の地点を走行したにもかかわらず、問い合わせユーザIDに対応する車両5とは異なるルートを取ることで、当該車両5よりも速く第2の地点に到着した他の車両5があったということである。そのような最速ルートは、問い合わせユーザIDのユーザにとっては、最適なルートの候補となる。
【0079】
ステップ225に続いては、ステップ230で、ステップ215で受信した問い合わせデータ中の経路探索アルゴリズムのパラメータ群の値として、上記最速ルートを最適経路として算出するためのパラメータ値(以下、最速ルートパラメータ値という)を、最速ルートのパラメータ値に決定する。
【0080】
具体的には、パラメータ群のあらゆる可能な組み合わせのそれぞれを採用して、当該経路探索アルゴリズムで、第1の地点から第2の地点までの誘導経路を算出し、算出したそれら誘導経路のうち、最速ルートと同じ経路のものがあれば、その経路を誘導経路として算出したときに採用したパラメータ群の値を、最速ルートのパラメータ値P、すなわち、最速ルートPとする。
【0081】
例えば、問い合わせリスト中の経路探索アルゴリズムがダイクストラ法であり、パラメータ群として、1本の高速道路のリンクに付与するコストC1、1本の国道のリンクに付与するコストC2、1本の細街路のリンクに付与するコストC3の3つがあり、それらの値は、それぞれ1、2、3のいずれかを取ることができるようになっている場合、制御部23は、3×3×3=27種類のパラメータ値を用いて27個の誘導経路を算出し、それらのうち、最速ルートと合致した誘導経路(1つまたは複数)の算出に用いられたパラメータ値(例えば、(C1、C2、C3)=(1、3、2))を、最速ルートの最速ルートPとする。
【0082】
なお、どのようなパラメータ値でも、最速ルートと同じ経路となる誘導経路を算出できない場合は、算出した誘導経路のうち、最速ルートと最も一致度が高い誘導経路を算出するときに用いられたパラメータ値を、最速ルートのパラメータ値Pとする。ここで、ルート間の一致度は、例えば、一致する部分の経路長が大きくなるほど大きくなるもの、又は異なるルートの部分の走行時間差が大きいほど小さくなるものとする。
【0083】
続いてステップ235では、最速ルートパラメータ値Pの関数Tsum(P)の値に、対象レコードの第1の地点から第2の地点までの走行時間を加算する。なお、すべてのパラメータ値についての関数Tsum(P)の値は、図11のステップ217の実行時にゼロにリセットされるようになっている。
【0084】
このようなループR1内のステップ220〜230を繰り返し実行することで、抽出したレコードのそれぞれを対象として(R1)、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内に第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードを抽出し(ステップ220)、抽出したレコードのうち、第1の地点から第2の地点までの走行時間が最も短いレコードについて、そのレコードにおける当該第1の地点から第2の地点までの経路を最速ルートとして抽出し(225)、また、受信した経路探索アルゴリズムのパラメータの値として、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値Pを、決定する(ステップ230)。
【0085】
なお、最速ルートを最適経路として算出するための最速ルートパラメータ値Pは、最速ルートに完全一致するルートを最適経路として算出するための最速ルートパラメータ値Pであるので、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値Pの一種である。
【0086】
例えば、図15に示すように、問い合わせユーザIDの走行リスト中から上記エリア内のレコード71a〜74aを抽出し、それらレコード71〜74それぞれに対応した最速ルートを通るレコード71b〜74bを全ユーザの走行リスト中のレコードから選び出し、それら最速ルートのレコード71b〜74b(図中では最速レコードと記す)のそれぞれから、その最速ルート71b〜74bを実現する(または、最も一致する)最速ルートパラメータ値71c〜74cを算出する。このように算出された複数の最速ルートパラメータ値71c〜74cの中には、互いに値が同じものもあり得る。図15の例では、最速ルートパラメータ値71c最速ルートとパラメータ値74cは、同一の値である。
【0087】
また、ループR1内のステップ235を繰り返し実行することで、同じパラメータ値が算出された対象レコードの出発地点から到着地点までの走行時間が加算され、その結果、最速ルートパラメータ値P毎に、Tsum(P)の値が算出される。
【0088】
つまり、Tsum(P)=Σ[Tu(i)×δ(P、Pi)]である。ここでΣは、iについての、1からステップ219で抽出されたすべてのレコードの数までの総和を表し、Tu(i)は、i番目のレコードの出発地点から到着地点までの走行時間であり、Piは、i番目のレコードに対応する最速ルートパラメータ値であり、δ(P、Pi)は、P=Piのときのみ1となり、それ以外のとき0となる値である。
【0089】
このようにして算出されたTsum(P)の値は、ステップ219で抽出された問い合わせユーザIDのレコードを、同じ最速ルートパラメータ値Pが決定されたレコードでグループ分けしたときの、各グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和Tsum(P)に相当する。図15の例で言えば、レコード71a、74aは同じグループに属し、Tsum(P1)には、レコード71aの走行時間Tu(1)と、レコード74aの走行時間Tu(4)とが少なくとも加算されている。
【0090】
ループR1に続いては、ステップ240で、繰り返し実行されたステップ230で算出されたすべての最速ルートパラメータ値Pを、走行時間の総和Tsum(P)でソートする。これにより、どのグループの総和Tsum(P)が最も大きいかが判別可能となる。
【0091】
続いてステップ240で、ステップ230のソートの結果から、走行時間の総和Tsum(P)が最大となるグループ(以下、最大グループという)およびそのグループの最速ルートパラメータ値Pを特定し、その最速ルートパラメータ値を、最適パラメータ値Poとする。最大グループの最速ルートパラメータ値Pを最適パラメータPoとするのは、問い合わせユーザの車両5がその最適パラメータPoを採用したときに、全体として走行時間の短縮効果が最も高いと思われるからである。
【0092】
続いてステップ250では、最適パラメータ値Poのスコアを算出する。最適パラメータ値Poのスコアとは、最大グループの走行時間の総和Tsum(Po)に対する、値Tm(Po)の比である。値Tm(Po)は、最大グループ内におけるレコード(例えば、図15のレコード71a、74a)のそれぞれに対応する最速ルートの走行時間(Tmin(1)、Tmin(4))の総和である。
【0093】
すなわち、Tm(Po)=Σ[Tmin(i)×δ(Po、Pi)]である。ここでΣは、iについての、1からステップ219で抽出されたすべてのレコードの数までの総和を表し、Tmin(i)は、i番目のレコードに対応する最速ルートの第1の地点から第2の地点までの走行時間であり、Piは、i番目のレコードに対応するパラメータ値であり、δ(Po、Pi)は、Po=Piのときのみ1となり、それ以外のとき0となる値である。
【0094】
続いてステップ255では、ステップ245で算出した最適パラメータ値Po、ステップ250で算出した当該最適パラメータ値のスコア、ステップ215で受信した問い合わせデータ中の経路探索アルゴリズム、ステップ215で受信した問い合わせデータ中のエリアを、ステップ215で受信した問い合わせデータ中のユーザIDに対応付けて、記憶部22に記録する。このようにユーザIDに対応付けて記録された最適パラメータPoは、当該ユーザIDの車両5に搭載された車両用ナビゲーション装置6で使用すべき探索パラメータである。
【0095】
続いてステップ260では、記録した最適パラメータ値Po、スコア、経路探索アルゴリズム、エリアを、問い合わせデータ送信元のユーザ端末4に、応答として送信する。すると、ユーザ端末4の制御部45は、図9のステップ430で、データセンタ2から応答があったと判定し、ステップ430で、受信した最適パラメータ値Po等を、図10の結果表示部35に表示させる。
【0096】
この最適パラメータ値Poの表示を見たユーザは、自車両5で当該エリアを走行する前に、自車両5の車両用ナビゲーション装置6の操作部63を操作することで、当該経路探索アルゴリズムを選択し、さらに、この最適パラメータ値Poを設定する。これによって、当該エリア内の誘導経路の算出において、この経路探索アルゴリズムおよび最適パラメータ値Poが用いられる。
【0097】
また、ステップ260では、記録した最適パラメータ値Po、スコア、経路探索アルゴリズム、エリアを、問い合わせデータ送信元のユーザ端末4のみならず、問い合わせユーザIDに対応する車両5の車両用ナビゲーション装置6に送信するようになっていてもよい。その場合、車両用ナビゲーション装置6の制御部67は、受信したエリア内の誘導経路を算出する際には、受信した最適パラメータ値Poおよび経路探索アルゴリズムを採用するようになる。なお、データセンタ2の記憶部22には、ユーザIDと送信先の車両用ナビゲーション装置6との対応関係を示すテーブルが記録されており、制御部23は、このテーブルを用いて、送信先のナビゲーション装置6を決定する。
【0098】
以上説明した通り、本実施形態の通信システムにおいては、ユーザ端末4は、複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報(エリア、ユーザID)をデータセンタ2に送信し、データセンタ2は、ユーザ端末4から送信された選択情報を受信し(ステップ215)、受信した選択情報に従って一部のレコードを抽出し(ステップ219)、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象レコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコード(ステップ220)に基づいて、第1の地点から第2の地点までの最速ルートを抽出し(ステップ225)、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、最速ルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するか、または、最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定する(ステップ230)。そしてデータセンタ2は、決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値Poとし、当該最適パラメータPoを前記ユーザIDに対応付けて記憶部22に記録する。
【0099】
このように、通信システム中で複数のユーザ走行リストを記録するデータセンタ2が、ユーザ端末4から選択情報を受信すると、当該選択情報に従って一部のレコードを抽出し、当該レコード毎に、そのレコード中の第1の地点から第2の地点までの最速ルートを、複数の走行リスト中のレコードから選び出し、その最速ルートまたはそれに対して一致度が高いルートを実現する経路探索アルゴリズム用パラメータの値を算出し、算出したパラメータ値のうち1組を、最適パラメータ値として記録する。
【0100】
つまり、選択された走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータ値として決定する。そして、その最速ルートは、選択されていないレコード中の走行履歴も用いて決定している。このように、最適パラメータ値が、選択されたレコード中の出発地点(第1の地点)から到着地点(第2の地点)についての、他のレコードも含めた走行の実状を反映した形で決定されているので、信頼性の高いものとなっている。
【0101】
より詳しくは、データセンタ2は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、第1の地点および第2の地点をこの順に走行すると共に第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、第1の地点から第2の地点までの最速ルートを抽出する。
【0102】
このように、最速ルートを抽出するレコードとして、元の対象とするレコードと第1の地点の走行時刻が概ね同じものを選択することで、時刻毎の道路の実状に合った最速ルートを、ひいては、時刻毎の道路の実状に合った最適パラメータ値を算出することができる。
【0103】
より詳しくは、データセンタ2は、受信した選択情報に含まれるユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、最速ルートを抽出し、パラメータ値を決定する。
【0104】
つまり、あるユーザIDの走行履歴のレコード毎に、走行した2つの地点間を最速で走行するための最速ルートパラメータ値を決め、それらパラメータのうち1組を、最適パラメータとして決定する。このようになっているので、アルゴリズムのパラメータ値として、ユーザIDに適したものを選択することができる。
【0105】
より詳しくは、データセンタ2は、受信した選択情報に含まれるエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、複数のユーザ走行リストから抽出する。このように、ユーザIDの走行リスト中から抽出するレコードを、受信したエリア内に出発地点および到着地点を有するレコードに限定することで、特定のエリア内の経路計算に適した最適パラメータ値を決定することができる。
【0106】
また、データセンタ2は、抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多い(具体的には最も走行時間が長い、あるいは最も距離が長いでもよい)グループに対応するパラメータ値を、最適パラメータ値Poとする。
【0107】
このように、最速ルートパラメータ値のうち、ユーザIDの走行履歴で最も使用されているものを、最適パラメータとして決定する。このようになっていることで、最適パラメータを用いたときの有用性が向上する。
【0108】
より具体的には、データセンタ2は、抽出したユーザIDのレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの第1の地点から第2の地点までの走行時間の総和Tsum(P)を算出し、算出した総和Tsum(P)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値Poとする。
【0109】
このように、最速ルートパラメータが同じグループ内におけるレコードのそれぞれの第1の地点から第2の地点までの走行時間の総和Tsum(P)を、グループ間で比較し、総和Tsum(P)が最も大きいグループの最速ルートパラメータを最適パラメータPoとして採用することで、最速ルートパラメータ値のうち、最速で走行できる時間が一番長くなる可能性が一番高い最速ルートパラメータ値を、最適パラメータPoとして採用することができる。
【0110】
また、データセンタ2は、最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和Tsum(Po)に対する、最大グループ内におけるレコードのそれぞれに対応する最速ルートの走行時間の総和Tm(Po)の割合Tm(Po)/Tsum(Po)を、最適パラメータ値のスコアとし、最適パラメータ値Poおよび最適パラメータ値Poのスコアを記録することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【0111】
このように、最適パラメータ値のスコアを最適パラメータ値と共に記録することで、あるユーザIDに対応する最適パラメータ値と、他のユーザIDに対応する最適パラメータ値とを、スコアを指標として比較することができる。
【0112】
なお、上記の実施形態においては、データセンタ2の制御部23が、図11のステップ215〜230を実行することでレコード別最速ルートパラメータ決定手段の一例として機能し、ステップ235、240、245を実行することで最適パラメータ決定手段の一例として機能し、ステップ250を実行することでスコア算出手段(250)の一例として機能し、ステップ255を実行することで記録手段の一例として機能する。
【0113】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0114】
例えば、データセンタ2は、複数のユーザ端末4からそれぞれ異なるユーザID、エリア、経路探索アルゴリズムを含む問い合わせデータを受信することで、それら複数の問い合わせデータの各々を対象として、上記実施形態のように、異なる最適パラメータPo、およびスコアを算出して、対応する問い合わせデータ中のユーザID、エリア、経路探索アルゴリズムと共に、記憶部22に、1つの最適パラメータレコードとして、記録することができる。この場合、記憶部22に、複数個の問い合わせデータと1対1に対応する複数個の最適パラメータレコードが記録される。
【0115】
この場合、データセンタ2の制御部23は、それら記録された複数組の最適パラメータレコード中の最適パラメータPo、スコア、エリア、および経路探索アルゴリズムを、最適パラメータリストとして、上記複数のユーザ端末4のいずれか、または、別のユーザ端末4に送信するようになっていてもよい。その場合、ユーザ端末4の制御部45は、画像表示装置42を用いて、受信した最適パラメータリストの情報を、図16に示すように、リスト形式で一覧表示するようになっていてもよい。ただし、最適パラメータPoについては、値そのものではなく、最適パラメータPoに付けられた名称を表示すればよい。あるは、その名称を省略してもよい。
【0116】
このようにすることで、この一覧を見たユーザは、スコアとエリアを参考にして、使用したい最適パラメータPoを選択し、選択したパラメータを使用することができる。
【0117】
また、データセンタ2は、図11のステップ260で、車両用ナビゲーション装置6に対して最適パラメータPoを送信すると共に、その最適パラメータPoに対応する各最速ルートにおける第1の地点から第2の地点までの走行時間の情報を送信するようになっていてもよい。その場合、車両用ナビゲーション装置6の制御部67は、ある最速ルートに対応する第1の地点から第2の地点まで自車両5が走行したときに、その最速ルートに対応して受信した走行時間と、実際の第1の地点から第2の地点までの走行時間とを比較し、それら2つの走行時間の時間ずれを、画像表示装置62に表示させるようになっていてもよい。
【0118】
また、データセンタ2からユーザ端末4に送信された最適パラメータPoは、ユーザ端末4から車両用ナビゲーション装置6に通信によって送信されてもよいし、持ち運び可能な記憶媒体(例えばUSBメモリ)を介してユーザ端末4から車両用ナビゲーション装置6に移し替えられてもよい。つまり、車両用ナビゲーション装置6のユーザが最適パラメータを取得できさえすれば、その最適パラメータは最終的に車両用ナビゲーション装置6で使用可能である。
【0119】
またデータセンタ2は、受信した経路探索アルゴリズムの最適パラメータPoを算出したとき、別途ユーザ端末4から送信された当該エリア内の出発地点および当該エリア内の目的地点に基づいて、当該出発地点から当該目的地点までの誘導経路を、当該アルゴリズムを使用し、かつ、当該アルゴリズムにおいて当該最適パラメータを使用して、算出し、算出した経路をユーザ端末4に表示するようになっていてもよい。つまり、データセンタ2が、誘導経路算出処理を実行するようになっていてもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、ユーザ端末4からデータセンタ2に経路探索アルゴリズム、ユーザID、エリアが送信されるようになっているが、使用する経路探索アルゴリズムがあらかじめ決まっていれば、経路探索アルゴリズムの情報は必ずしも送信されるようになっておらずともよい。
【0121】
また、データセンタ2は、ユーザ走行リスト中のレコードのうち、所定時間(例えば1年)以上前の走行時間を有するレコードを破棄することで、ユーザ走行リストの鮮度を保つようになっていてもよい。
【0122】
また、ユーザ端末4からデータセンタ2に送信される選択情報は、必ずしもユーザIDとエリアの両方でなくともよく、いずれか一方のみでもよいし、ユーザIDとエリア以外の情報であってもよい。
【0123】
また、ユーザ端末4の処理を、車両用ナビゲーション装置6が行うようになっていてもよい。その場合は、車両用ナビゲーション装置6が、特許請求の範囲の通信装置の一例に相当する。
【符号の説明】
【0124】
1 広域ネットワーク
2 データセンタ
4 ユーザ端末
5 車両
6 車両用ナビゲーション装置
7 通信基地局
8 路側送受信装置
30 設定メニュー画面
31 アルゴリズム選択部
32 エリア選択部
33 エリア表示部
34 スイッチ部
35 結果表示部
50 エリア
51〜54 走行履歴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストを記憶媒体に記録するデータセンタ(2)と、
前記データセンタ(2)と通信可能な通信装置(4、6)と、を備えた通信システムであって、
前記複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれ、各レコードには、車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、
前記通信装置(4、6)は、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を前記データセンタ(2)に送信し、
前記データセンタ(2)は、
前記通信装置(4、6)から送信された前記選択情報を受信し、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、
前記最適パラメータ値を記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に前記第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行すると共に前記第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数のユーザ走行リストは、それぞれが異なるユーザIDに対応し、また、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれに含まれるレコードの各々には、対応するユーザIDの車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、
前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、前記ユーザIDが含まれ、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記ユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、エリアが含まれ、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、前記複数のユーザ走行リストから抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記エリアに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項5】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多いグループに対応するパラメータ値を最適パラメータ値とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とする(240、245)ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、
前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信装置(4、6)は複数あり、
前記データセンタ(2)は、前記複数の通信装置(4、6)からそれぞれ異なる選択情報を受信し、それら複数の選択情報の各々を対象として、処理A、処理B、および処理Cを行い、
前記処理Aでは、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)によって、対象となる選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記処理Bでは、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)によって、前記抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの前記第1の地点から前記第2の地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし、
前記処理Cでは、前記スコア算出手段(250)によって、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとし、
前記データセンタ(2)は更に、前記複数の選択情報の各々について、当該選択情報、当該選択情報に対応する最適パラメータ値、および当該最適パラメータ値のスコアを、1つの最適パラメータレコードとして共に記憶媒体に記録し、それら記録された複数個の最適パラメータレコードを、最適パラメータリストとして、前記複数の通信装置(4、6)のいずれか、または、別の通信装置(4、6)に送信し、
送信先のユーザ端末(4、6)は、受信した前記最適パラメータリストの情報を、ユーザに表示することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし(240、245)、
当該通信システムは、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、
前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項10】
通信装置(4、6)と通信するデータセンタであって、
車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストであって、それぞれに複数のレコードが含まれ、さらに各レコードには車両の出発から到着までの走行履歴が含まれる複数のユーザ走行リストを記憶する記憶部(22)と、
前記通信装置(4、6)から、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、
前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とするデータセンタ。
【請求項1】
車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストを記憶媒体に記録するデータセンタ(2)と、
前記データセンタ(2)と通信可能な通信装置(4、6)と、を備えた通信システムであって、
前記複数のユーザ走行リストのそれぞれには、複数のレコードが含まれ、各レコードには、車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、
前記通信装置(4、6)は、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を前記データセンタ(2)に送信し、
前記データセンタ(2)は、
前記通信装置(4、6)から送信された前記選択情報を受信し、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、
前記最適パラメータ値を記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、前記抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点とすると共に前記第1の地点を第1の時刻に出発しているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行すると共に前記第1の時刻に対して所定時間以内に前記第1の地点を走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数のユーザ走行リストは、それぞれが異なるユーザIDに対応し、また、前記複数のユーザ走行リストのそれぞれに含まれるレコードの各々には、対応するユーザIDの車両の出発から到着までの走行履歴が含まれ、
前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、前記ユーザIDが含まれ、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記ユーザIDに対応するユーザ走行リスト中のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信装置(4、6)が送信する前記選択情報には、エリアが含まれ、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)は、受信した前記選択情報に含まれる前記エリア内に出発地点および到着地点を有するレコードを、前記複数のユーザ走行リストから抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記記録手段は、前記最適パラメータ値を前記エリアに対応付けて前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項5】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードを、同じパラメータ値が決定されたレコードでグループ分けし、最も走行量の多いグループに対応するパラメータ値を最適パラメータ値とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とする(240、245)ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、
前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信装置(4、6)は複数あり、
前記データセンタ(2)は、前記複数の通信装置(4、6)からそれぞれ異なる選択情報を受信し、それら複数の選択情報の各々を対象として、処理A、処理B、および処理Cを行い、
前記処理Aでは、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)によって、対象となる選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定し、
前記処理Bでは、前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)によって、前記抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードのそれぞれの前記第1の地点から前記第2の地点までの走行時間の総和(Tsum)を算出し、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし、
前記処理Cでは、前記スコア算出手段(250)によって、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行時間の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとし、
前記データセンタ(2)は更に、前記複数の選択情報の各々について、当該選択情報、当該選択情報に対応する最適パラメータ値、および当該最適パラメータ値のスコアを、1つの最適パラメータレコードとして共に記憶媒体に記録し、それら記録された複数個の最適パラメータレコードを、最適パラメータリストとして、前記複数の通信装置(4、6)のいずれか、または、別の通信装置(4、6)に送信し、
送信先のユーザ端末(4、6)は、受信した前記最適パラメータリストの情報を、ユーザに表示することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記最適パラメータ決定手段(235、240、245)は、前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が前記選択情報に従って抽出したレコードに対し、同じパラメータ値が決定されたレコード同士を同一グループとするグループ分けを行い、各グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)を算出し(235)、算出した総和(Tsum)が最大となる最大グループのパラメータ値を最適パラメータ値とし(240、245)、
当該通信システムは、前記最大グループ内におけるレコードのそれぞれの出発地点から到着地点までの走行量の総和(Tsum)に対する、前記最大グループ内におけるレコードの出発地点から到着地点までの最速ルートの走行時間の総和(Tm)の割合(Tm/Tsum)を、前記最適パラメータ値のスコアとするスコア算出手段(250)を備え、
前記記録手段(255)は、前記最適パラメータ値および前記最適パラメータ値のスコアを前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項10】
通信装置(4、6)と通信するデータセンタであって、
車両の走行履歴に関する複数のユーザ走行リストであって、それぞれに複数のレコードが含まれ、さらに各レコードには車両の出発から到着までの走行履歴が含まれる複数のユーザ走行リストを記憶する記憶部(22)と、
前記通信装置(4、6)から、前記複数のユーザ走行リスト中の複数のレコードのうち一部を選択する選択情報を受信すると、受信した前記選択情報に従って前記一部のレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれを対象として、対象とするレコードが示す走行履歴が第1の地点を出発地点として第2の地点を到着地点としているとき、前記複数のユーザ走行リスト中のレコードのうち、前記第1の地点および前記第2の地点をこの順に走行した走行履歴から成るレコードに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点までの最速ルートを抽出し、経路探索アルゴリズムで用いられるパラメータの値として、前記最速ルートに最も一致度が高いルートを最適経路として算出するためのパラメータ値を決定するレコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)と、
前記レコード別最速ルートパラメータ決定手段(215〜230)が決定したパラメータ値のうち1組を最適パラメータ値とする最適パラメータ決定手段(235、240、245)と、
前記最適パラメータ値を前記ユーザIDに対応付けて記憶媒体に記録する記録手段(255)と、を備えたことを特徴とするデータセンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−197911(P2011−197911A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62801(P2010−62801)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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