説明

遅延同期ループ回路およびインターフェース回路

【課題】外部クロック信号に対して所定の位相差を有する遅延クロック信号を精度良く生成することができるDLL回路を提供する。
【解決手段】DLL回路1は、制御部10と、第1および第2のノードND(0),ND(n)間に直列接続されたn個(nは2以上の整数)の遅延部D(1)〜D(n)とを含む。第1のノードND(0)には外部クロック信号CLKINが入力される。制御部10は、n個の遅延部D(1)〜D(n)のうち所定の2個の遅延部D(4),D(n)の出力信号CLKA,CLKBの位相差に応じた制御電圧VCを出力する。各遅延部Dは互いに同一の構成を有し、入力された信号に対して制御電圧VCに応じた遅延時間だけ遅延した信号を出力する遅延バッファIと、遅延バッファIの出力を電源電圧の振幅を有する矩形波に整形して出力する整形バッファJとを含む。遅延部D(4)〜D(n)の出力信号が遅延クロック信号として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遅延同期ループ回路に関する。また、この発明は、遅延同期ループ回路で生成された遅延クロック信号を用いてシリアル信号をパラレル信号に変換するインターフェース回路に関する。
【背景技術】
【0002】
入力されたクロック信号を利用して遅延クロック信号を生成する回路として遅延同期ループ(DLL:Delay Lock Loop)回路が知られている。DLL回路では、生成した遅延クロック信号の精度がしばしば問題となる。
【0003】
たとえば、特開2002−163034号公報(特許文献1)は、帰還によって生じるループジッタの影響を受けないように構成されたDLL回路を開示する。この文献のDLL回路は、外部からクロック信号を受ける入力バッファと、多相クロック発生回路と、選択回路と、第1および第2の可変遅延回路と、クロックバッファダミーと、位相比較回路と、フィルタと、クロックバッファとを備える。多相クロック発生回路は、入力バッファの出力を受け多相クロックを発生する。選択回路は、多相クロック発生回路からの多相クロック出力を受けそのうちの一つを選択する。第1の可変遅延回路は、選択回路の出力を遅延させる。クロックバッファダミーは、第1の可変遅延回路の出力を受ける。位相比較回路は、多相クロック発生回路からの出力とクロックバッファダミーの出力との位相差を検出する。フィルタは、位相比較回路の出力を平滑化する。第1の可変遅延回路の遅延時間はフィルタ出力によって変化する。第2の可変遅延回路は入力バッファの出力を受け、フィルタ出力によって遅延時間が変化する。クロックバッファは、第2の可変遅延回路の出力を受け、遅延クロックを負荷に出力する。
【0004】
上記の構成によれば、位相比較回路、フィルタ、第1の可変遅延回路、およびクロックバッファダミーが制御系のループを構成する。入力バッファ、第2の可変遅延回路、およびクロックバッファの信号経路には、帰還ループが含まれていないので、クロックバッファから出力される遅延クロックは帰還ループによるジッタの影響を受けない。
【0005】
また、特開2003−264452号公報(特許文献2)は、疑似ロックを防止することによって遅延クロックの遅延時間の精度を高めたDLL回路を開示する。この文献のDLL回路は、パルス幅固定分周器と、遅延回路と、インバータと、位相比較器と、チャージポンプと、ループフィルタとを備える。パルス幅固定分周器は、基本クロックから分周器出力クロックを生成する。分周器出力クロックは、基本クロックの8周期のうち、該基本クロックの1周期分がハイレベル信号となり、その他の7周期の期間がローレベル信号となる。遅延回路は、分周器出力クロックを、基本クロックの1周期分遅延させた遅延クロックを出力する。インバータは分周器出力クロックを反転させた分周器出力反転クロックを出力する。位相比較器は、遅延クロックおよび分周器出力反転クロックの位相差からUP/DOWNパルスを生成する。チャージポンプおよびループフィルタは、このUP/DOWNパルスによって制御電圧を生成し、基本クロック1周期で遅延クロックがロック状態となるように遅延回路を制御する。
【0006】
また、特開2007−110323号公報(特許文献3)は、データレートの高低にかかわらずデータ信号と遅延クロック信号との位相関係を最適に調整する位相調整回路を開示する。この位相調整回路は、離散的にデータ信号とクロック信号との位相を調整するものであり、遅延線と、位相比較器と、第1および第2の遅延制御部とを備える。遅延線は、クロック信号を遅延させて遅延クロック信号を生成する。位相比較器は、データ信号と遅延クロック信号との位相を比較する。第1の遅延制御部は、位相比較器の比較結果に基づいて第1の遅延制御信号を出力する。第2の遅延制御部は、クロック信号の周波数に基づいて、第2の遅延制御信号を出力する。遅延線は、第1のおよび第2の遅延制御信号に基づいて、クロック信号に対する遅延クロック信号の遅延量を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−163034号公報
【特許文献2】特開2003−264452号公報
【特許文献3】特開2007−110323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、デジタルテレビや液晶テレビなどのディスプレイ機器では、コントローラ本体からディスプレイパネルにデジタルの画像データを大量かつ高速に伝送する必要がある。このため、コントローラとパネルとの間の画像データの伝送には、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)などの高速のシリアル伝送技術が用いられる。LVDSでは、データ信号とクロック信号とが同期して伝送され、レシーバ側のインターフェース回路でシリアルのデータ信号がパラレル信号に変換される。ここで、DLL回路は、シリアル/パラレル変換に用いられる多相の遅延クロック信号をクロック信号から生成するために設けられている。
【0009】
シリアル・インターフェース回路の動作速度は年々上がっているので、遅延クロック信号とデータ信号との同期タイミングへの要求はますます厳しくなっている。遅延クロック信号とデータ信号との同期タイミングの精度を高めるためには、入力されたクロック信号と生成された複数の遅延クロック信号との位相差を厳密に制御する必要がある。
【0010】
通常、DLL回路から出力される多相の遅延クロック信号は、直列接続された複数の電圧制御遅延回路によって生成される。したがって、入力クロック信号と多相の遅延クロック信号との位相差を厳密に制御するためには、個々の電圧制御遅延回路による遅延時間のばらつきをできるだけ小さくする必要がある。ところが、上記の先行技術文献は、このような遅延回路の遅延時間のばらつきに関して何ら開示していない。
【0011】
この発明は上記の問題点を考慮してなされたものである。この発明の目的は、入力クロックに対して所定の位相差を有する遅延クロック信号を精度良く生成することができるDLL回路を提供することである。また、この発明の他の目的は、このDLL回路を用いたシリアル・インターフェース回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の実施の一形態による遅延同期ループ回路は、制御部と遅延回路とを備える。制御部は、第1および第2のクロック信号の位相差に応じた制御信号を出力する。遅延クロック生成部は、電源電圧の振幅を有する矩形波状の外部クロック信号を第1のノードに受け、外部クロック信号に基づいて1または複数の遅延クロック信号を生成する。遅延クロック生成部は、第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された複数の遅延回路を含む。複数の遅延回路の各々は、各遅延回路で共通の制御信号を受け、入力された信号に対して制御信号に応じた時間だけ遅延した信号を出力する。複数の遅延回路の各々に同一波形の信号が入力された場合に、各遅延回路の遅延時間は同一である。複数の遅延回路の各々は、出力すべき信号を電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号に整形して出力する。第1および第2のクロック信号は、外部クロック信号および複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の2個の信号である。1または複数の遅延クロック信号は、複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の1または複数の信号である。
【発明の効果】
【0013】
上記の実施の形態によれば、各遅延回路から出力された信号は、電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号である。したがって、各遅延回路に入力される信号波形が同一になるので、遅延回路ごとの遅延時間が同一になる。この結果、入力された外部クロック信号に対して所定の位相差を有する遅延クロック信号を精度良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の一形態によるDLL回路1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の遅延バッファIの構成の一例を示す回路図である。
【図3】図1の整形バッファJの構成の一例を示す回路図である。
【図4】図1のDLL回路1の比較例としてDLL回路101の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の遅延クロック生成部120の電圧波形を模式的に示す図である。
【図6】図1の遅延クロック生成部20の電圧波形を模式的に示す図である。
【図7】図1の遅延クロック生成部20の半導体基板SUB上への配置例を示す平面図である。
【図8】テレビジョン装置40の構成を示すブロック図である。
【図9】図8のLVDSレシーバ45の構成を示すブロック図である。
【図10】図1の遅延クロック生成部20の変形例としての遅延クロック生成部61の構成を示すブロック図である。
【図11】図1の遅延クロック生成部20の他の変形例としての遅延クロック生成部62の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0016】
[DLL回路1の構成]
図1は、この発明の実施の一形態によるDLL回路1の構成を示すブロック図である。図1を参照して、DLL回路1は、遅延クロック生成部20と、位相比較器11と、チャージポンプ12と、ローパスフィルタ13とを含む。
【0017】
遅延クロック生成部20は、ノードND(0)(第1のノード)とノードND(n)(第2のノード)との間に直列に接続されたn個(nは2以上の整数)の遅延回路D(1)〜D(n)を含む。図1はnが9以上の整数であるとして描かれている。遅延クロック生成部20は、ノードND(0)に入力された外部クロック信号CLKINを、n個の遅延回路D(1)〜D(n)によって順々に遅延させながらノードND(n)に伝送する。図1において、第x番目(xは1以上n以下の整数)の遅延回路D(x)の出力ノードをND(x)と記載する。また、遅延回路D(1)〜D(n)について総称する場合または不特定のものを示す場合、遅延回路Dと記載する。
【0018】
なお、以下の説明では、簡単のために外部クロック信号CLKINをシングルエンド(Single-Ended)信号として取扱っているが、外部クロック信号は差動信号であってもよい。この場合には、遅延回路D(1)〜D(n)はそれぞれ差動バッファによって構成される。
【0019】
図1の各遅延回路Dは同一の構成を有する。具体的に、第x番目(xは1以上n以下の整数)の遅延回路D(x)は、互いに直列に接続された遅延バッファI(x)と整形バッファJ(x)とを含む。遅延回路D(x)に入力された信号は、遅延バッファI(x)および整形バッファJ(x)を順に通過する。したがって、図1に示すように、n個の遅延バッファI(1)〜I(n)およびn個の整形バッファJ(1)〜J(n)が、ノードND(0)とノードND(n)との間に交互に直列に接続される。なお、遅延バッファI(1)〜I(n)および整形バッファJ(1)〜J(n)についても総称する場合または不特定のものを示す場合に、遅延バッファIおよび整形バッファJとそれぞれ記載する。
【0020】
各遅延バッファIは、入力された信号に対して、ローパスフィルタ13から出力された制御電圧VCに応じた遅延時間だけ遅延した信号を出力する。各遅延バッファIは同一の構成であるので、同一の波形の信号が各遅延バッファIに入力された場合、各遅延バッファIは、入力された信号に対して同一の遅延時間だけ遅延した信号を出力する。
【0021】
各整形バッファJは、入力された信号を電源電圧の振幅を有する矩形波に整形して出力する。各整形バッファJは同一の構成であるので、同一の波形の信号が各整形バッファJに入力された場合、各整形バッファJは、入力された信号に対して各整形バッファJで同一の遅延時間だけ遅延した信号を出力する。
【0022】
図2は、図1の遅延バッファIの構成の一例を示す回路図である。図2を参照して、遅延バッファIは、互いに従属接続された同一構成のインバータ71a,71bを含む。縦続接続されるインバータの段数は必要となる遅延時間に応じて増減させてもよい。
【0023】
インバータ71a,71bの各々は、ゲートおよびドレインがそれぞれ共通に接続されたPMOS(P-channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタQP1とNMOS(N-channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタQN1とを含む。遅延バッファIの入力信号VINは、インバータ71aを構成するトランジスタQP1,QN1のゲートに入力され、遅延バッファIの出力信号VOUTは、インバータ71bを構成するトランジスタQP1,QN1のドレインから出力される。
【0024】
さらに、インバータ71a,71bの各々は、PMOSトランジスタQP1のソースと電源ノードVDDとの間に接続されたPMOSトランジスタQP2と、NMOSトランジスタQN1のソースと接地ノードGNDとの間に接続されたNMOSトランジスタQN2とを含む。PMOSトランジスタQP2のゲートには一定のバイアス電圧VBが入力され、NMOSトランジスタQN2のゲートには制御電圧VCが入力される。これらのトランジスタQP2,QN2は、ゲート電圧によって電流量が制御される電圧制御電流源として機能する。制御電圧VCが増加すればトランジスタQN1の応答時間が早くなるので遅延バッファIの遅延時間が減少し、制御電圧VCが減少すればトランジスタQN1の応答時間が遅くなるので遅延バッファIの遅延時間が増加する。
【0025】
図2の構成に代えて、PMOSトランジスタQP2のゲートに制御電圧VCを入力し、NMOSトランジスタQN2のゲートに一定バイアス電圧VBを入力してもよい。この場合、制御電圧VCが減少すればトランジスタQP1の応答時間が早くなるので遅延バッファIの遅延時間が減少し、制御電圧VCが増加すればトランジスタQP1の応答時間が遅くなるので遅延バッファIの遅延時間が増加する。
【0026】
さらに、NMOSトランジスタQN2のゲートに制御電圧VCを入力し、PMOSトランジスタQP2のゲートに制御電圧VC*を入力することによって、遅延バッファIの遅延時間を制御してもよい。この場合の制御電圧VC*は、制御電圧VCの変化と逆方向に変化する信号であり、制御電圧VCとともにローパスフィルタ13で生成される。
【0027】
図3は、図1の整形バッファJの構成の一例を示す回路図である。図3を参照して、整形バッファJは、互いに従属接続された同一構成のインバータ72a,72bを含む。従属接続するインバータの段数は増減させてもよい。
【0028】
インバータ72a,72bの各々は、ゲートおよびドレインそれぞれ共通に接続されたPMOSトランジスタQP3とNMOSトランジスタQN3とを含む。トランジスタQP3のソースは電源ノードVDDに接続され、トランジスタQN3のソースは接地ノードGNDに直列に接続される。整形バッファJの入力電圧VINは、インバータ72aを構成するトランジスタQP3,QN3のゲートに与えられ、整形バッファJの出力電圧VOUTは、インバータ72bを構成するトランジスタQP3,QN3のドレインから出力される。整形バッファJの入力電圧VINの大きさに応じてトランジスタQP3,QN3がオン状態またはオフ状態にスイッチングすることによって、出力電圧VOUTが電源電圧または接地電圧に変化する。
【0029】
再び図1を参照して、DLL回路1はさらに、第4〜第n番目の遅延回路D(4)〜D(n)の出力を電源電圧の振幅を有する矩形波にそれぞれ整形する整形バッファK(4)〜K(n)を含む。整形バッファK(4)〜K(n)から、遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)がそれぞれ出力される。
【0030】
さらにまた、DLL回路1は、第4および第n番目の遅延回路D(4),D(n)から出力された信号を、電源電圧の振幅を有する矩形波にそれぞれ整形する整形バッファKa,Kbを含む。整形バッファKa,Kbから出力された第1、第2のクロック信号CLKA,CLKBは、位相比較器11に入力される。
【0031】
位相比較器11は、クロック信号CLKA,CLKBの位相差を比較し、位相差に応じてUPパルスまたはDOWNパルスを出力する。
【0032】
チャージポンプ12は、位相比較器11から出力されたUPパルスまたはDOWNパルスに応じて、充電電流または放電電流を生成する。
【0033】
ローパスフィルタ13は、たとえばコンデンサおよび抵抗素子を含み、チャージポンプ12によって生成された電流を電圧(制御電圧VC)に変換する。具体的に、チャージポンプ12によって充電電流が生成された場合には、ローパスフィルタ13から出力される制御電圧VCは増加する。逆に、チャージポンプ12によって放電電流が生成された場合には、ローパスフィルタ13から出力される制御電圧VCは減少する。ローパスフィルタ13から出力された制御電圧VCによって遅延バッファI(1)〜I(n)の遅延時間が制御される。
【0034】
なお、図2に関連して説明したように、図2の構成の遅延バッファIにおいてトランジスタQN2,QP2のゲート電圧を制御電圧VC,VC*によってそれぞれ制御してもよい。この場合には、ローパスフィルタ13は制御電圧VC,VC*を生成し、生成した制御電圧VC,VC*を各遅延バッファIに出力する。
【0035】
上記の位相比較器11、チャージポンプ12、ローパスフィルタ13、および遅延クロック生成部20によって構成される帰還ループによって、第4番目の遅延回路D(4)の出力電圧と第n番目の遅延回路D(n)の出力電圧との位相差がほぼ0になるように、遅延バッファI(1)〜I(n)の遅延時間が調整される。なお、位相比較器11、チャージポンプ12、およびローパスフィルタ13によってこの発明の制御部10が構成される。制御部10は、クロック信号CLKA,CLKB間の位相差に応じた制御電圧VCを遅延クロック生成部20に出力する。
【0036】
次に従来のDLL回路の構成および動作と対比しながら、図1のDLL回路1の特徴について説明する。
【0037】
[従来のDLL回路の問題点]
図4は、図1のDLL回路1の比較例としてDLL回路101の構成を示すブロック図である。図4の遅延クロック生成部120は、整形バッファJ(1)〜J(n)を含まずに直列接続された遅延バッファI(1)〜I(n)のみで構成される点で図1の遅延クロック生成部20と異なる。その他の点については、図4のDLL回路101の構成は図1のDLL回路1の構成と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0038】
図5は、図4の遅延クロック生成部120の電圧波形を模式的に示す図である。図5は、上から順に、外部クロック信号CLKINの電圧波形および遅延バッファI(1)〜I(5),I(n)の出力電圧波形を示す。
【0039】
図4の遅延バッファI(1)に入力される外部クロック信号CLKINはデジタル信号であるので、図5に示すようにその波形は電源電圧の振幅を有する矩形波である。一方、遅延バッファI(1)〜I(n)の各出力は、図5に示すように、図4の遅延バッファI(1)〜I(4)の各々を信号が通過するにつれて、信号の立上がりおよび立下りが次第に緩やかになるとともに振幅が電源電圧より減少する。最終的に、遅延バッファの出力波形は正弦波に近い形状になる。具体的に図5の場合には、第4番目の遅延バッファI(4)の出力波形は正弦波に近い形状になり、それ以降の出力波形にはほとんど変化が見られない。
【0040】
ここで、注意すべきことは、各遅延バッファIに入力される信号の波形が異なると、各遅延バッファIが共通の制御電圧VCによって制御されていたとしても各遅延バッファIの遅延時間が異なるということである。図4の場合、入力波形の立ち上がりが徐々に緩やかになる第1〜第4番目の遅延バッファI(1)〜I(4)については、各遅延バッファIの遅延時間Td1〜Td4が徐々に増加する。この場合の遅延時間Td1〜Td4は半導体デバイスの製造プロセス、電源電圧、および動作温度のばらつきの影響を受けるので、具体的に遅延時間Td1〜Td4を算定することは困難である。
【0041】
一方、入力波形に変化が見られない第5〜第n番目の遅延バッファI(5)〜I(n)については、個々の遅延時間がほぼ等しくなる。この場合、第4番目の遅延バッファI(4)の出力と第n番目の遅延バッファI(n)の出力とは位相が一致するように制御されているので(図5の場合、時刻t1で一致する。)、外部クロック信号CLKINの周期をTpとすると、第5番目以降の各遅延バッファの遅延時間はTp/(n−4)に等しい。
【0042】
このように、比較例のDLL回路101の場合、多相の遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)の相互の位相差は厳密に制御されている。しかしながら、第1〜第4番目の遅延バッファI(1)〜I(4)の遅延時間は徐々に変化している。したがって、外部クロック信号CLKINのタイミングに対する遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)のタイミングは、厳密には制御されていない。
【0043】
[DLL回路1の動作]
図6は、図1の遅延クロック生成部20の電圧波形を模式的に示す図である。図6は、上から順に、図1の外部クロック信号CLKINの電圧波形、およびバッファI(1),J(1),I(2),J(2),I(3),J(3),I(4),J(4),I(n),J(n)の出力電圧の波形を示す。
【0044】
図1、図6を参照して、制御電圧VCによって制御される遅延バッファI(1)〜I(n)の出力波形は、信号の立上がり、立下りが矩形波よりも緩やかになるとともに振幅が電源電圧よりも小さい値となっている。一方、整形バッファJ(1)〜J(n)の出力波形は、電源電圧に等しい振幅を有する矩形波である。したがって、各遅延バッファIには電源電圧に等しい振幅を有する矩形波が入力されることになり、各遅延バッファIに入力される信号の波形が同じになる。
【0045】
この結果、図1のDLL回路1の場合には全ての遅延バッファI(1)〜I(n)の遅延時間が同一になるとともに、全ての整形バッファJ(1)〜J(n)の遅延時間も同一になる。すなわち、全ての遅延回路D(1)〜D(n)の遅延時間が同一になる。既に説明したように、第4番目の整形バッファJ(4)の出力と第n番目の整形バッファJ(n)の出力とは位相が一致するように制御されているので(図5の場合の時刻t1で位相が一致している。)、外部クロック信号CLKINの周期をTpとすると、第5〜第n番目の遅延回路D(5)〜D(n)の各遅延時間はTp/(n−4)に等しい。
【0046】
ここで注意すべきことは、比較例のDLL回路101の場合と異なり、第1〜第4番目の遅延回路D(1)〜D(4)の遅延時間Td1〜Td4もTp/(n−4)に等しいということである。したがって、実施の形態1のDLL回路1の場合、外部クロック信号CLKINのタイミングに対して多相の遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)のタイミングが厳密に制御されることになる。
【0047】
このように、DLL回路1によれば、遅延回路D(1)〜D(n)にそれぞれ設けられた整形バッファJ(1)〜J(n)によって矩形波状に整形された信号が次段に転送される。この結果、遅延回路D(1)〜D(n)の各々の遅延時間が同一になるので、入力された外部クロック信号CLKINに対して所定の位相差を有する多相の遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)を精度良く生成することができる。
【0048】
[遅延クロック生成部20の配置例]
図7は、図1の遅延クロック生成部20の半導体基板SUB上への配置例を示す平面図である。
【0049】
図7を参照して、DLL回路1が設けられた半導体基板SUB上の領域は、互いに異なる第1および第2の領域31,32を含む。遅延クロック生成部20を構成する遅延バッファI(1)〜I(n)は、第1の領域31に設けられ、第1〜第n番の番号順(信号の伝送順)で一方向(以下、第1の方向と称する)に配設される。遅延クロック生成部20を構成する整形バッファJ(1)〜J(n)は、第2の領域32に設けられる。整形バッファJ(1)〜J(n)は、第1の領域31に設けられた遅延バッファI(1)〜I(n)の列と平行に(第1の方向に)並び、第1〜第n番の番号順(信号の伝送順)に配設される。第1および第2の領域31,32は、遅延バッファIおよび整形バッファJの配列方向(第1の方向)と直交する方向に並ぶ。このように、遅延バッファIと整形バッファJとは、半導体基板SUB上の互いに異なる領域31,32に配設される。この理由は次のとおりである。
【0050】
整形バッファJの出力信号は矩形波であるので、その出力信号には高調波成分が含まれている。したがって、この高調波成分が電源配線や接地配線を介して遅延バッファIに伝搬すると、電源ノイズとして遅延バッファIの動作に影響を及ぼすことになる。このため、遅延バッファIに用いられる電源配線および接地配線と、整形バッファJに用いられる電源配線および接地配線とを別配線で設ける必要がある。
【0051】
ところが、遅延バッファIと整形バッファJとが半導体基板SUB上に混在して設けられていると、遅延バッファI用の電源配線および接地配線と整形バッファJ用の電源配線および接地配線とが必ず交差することになる。この結果、配線間のカップリングによって整形バッファJの電源ノイズが電源配線または接地配線を介して遅延バッファIに伝搬してしまう。
【0052】
上記の問題点を解決するために、図7の遅延クロック生成部20では、遅延バッファIを配設する領域31と整形バッファJを配設する領域32とが分離される。これによって、遅延バッファI用の電源配線および接地配線と整形バッファJ用の電源配線および接地配線とが相互に交差しないように配置できる。この結果、整形バッファJの出力に含まれる高調波成分が電源ノイズとして遅延バッファIに影響を及ぼすことが抑制できる。
【0053】
また、このように遅延バッファIおよび整形バッファJを領域31,32に分離して配置することによって遅延クロック生成部20に要する回路面積を減らすことができる。
【0054】
[DLL回路1の半導体装置への適用例]
以下、DLL回路1の半導体装置への適用例として、テレビジョン(TV:television)装置用のシリアル・インターフェースについて説明する。
【0055】
図8は、テレビジョン装置40の構成を示すブロック図である。図8を参照して、テレビジョン装置40は、受信機などを有するTV本体41と、TVパネル装置42とを含む。ここで、TVパネル装置42は、インターフェース回路としてのLVDSレシーバ45と、表示制御装置46と、ソースドライバ群47と、ゲートドライバ群48と、液晶パネル49とを含む。
【0056】
LVDSレシーバ45は、TV本体41から画像データを受ける。画像データは、TV本体41とLVDSレシーバとを接続するケーブル43を介して、LVDS規格の差動のシリアル信号44としてLVDSレシーバ45に伝送される。LVDS規格の差動シリアル信号44は、クロック信号(図9のCLKIN)とクロック信号に同期したm個(mは1以上の整数、ここでは数個)のデータ信号(図9のDATA(1)〜DATA(m))とを含む。LVDSレシーバ45は、シリアルの画像データ信号をパラレル信号に変換して表示制御装置46に出力する。
【0057】
表示制御装置46は、LVDSレシーバ45によってシリアル/パラレル変換された画像データに基づいて、液晶パネル49の表示を制御するために各種の制御信号をソースドライバ群47およびゲートドライバ群48に出力する。液晶パネル49は、ソースドライバ群47およびゲートドライバ群48を介して受けた各種の制御信号に基づいて画像を表示する。
【0058】
図9は、図8のLVDSレシーバ45の構成を示すブロック図である。図9を参照して、LVDSレシーバ45は、m個のデータバッファ50(1)〜50(m)と、クロックバッファ51と、DLL回路1と、シリアル/パラレル変換器52(データ変換回路)とを含む。
【0059】
データバッファ50(1)〜50(m)は、データ信号DATA(1)〜DATA(m)をそれぞれ受信し、受信したデータ信号を電源電圧の振幅を有する矩形波に整形する。また、クロックバッファ51は、クロック信号CLKINを受信し、受信したクロック信号CLKINを電源電圧の振幅を有する矩形波に整形する。
【0060】
DLL回路1は、クロックバッファ51によって波形整形されたクロック信号CLKINに基づいて多相の遅延クロック信号を生成する。図9のDLL回路1の構成は図1のDLL回路1の構成と同じである。DLL回路1は、生成した多相の遅延クロック信号をシリアル/パラレル変換器52に出力する。
【0061】
シリアル/パラレル変換器52は、DLL回路1から出力された多相の遅延クロック信号に基づいて、データバッファ50(1)〜50(m)によって整形されたデータ信号DATA(1)〜DATA(m)をパラレル信号DATAOUTに変換する。変換されたパラレル信号DATAOUTは図8の表示制御装置46に出力される。
【0062】
図1〜図6で説明したように、DLL回路1で生成された多相の遅延クロック信号のタイミングは、クロック信号CLKINのタイミングに対して厳密に制御されたものになっている。したがって、シリアル/パラレル変換器52でデータ信号DATA(1)〜DATA(m)をパラレル変換する際に、データ信号DATA(1)〜DATA(m)と多相の遅延クロック信号との間でほとんど位相ずれが生じないようにできる。
【0063】
[変形例]
図1のDLL回路1では、第4〜第n番目の遅延回路D(4)〜D(n)の出力信号が遅延クロック信号CLKOUT(4)〜CLKOUT(n)として外部に出力されていた。遅延回路D(4)〜D(n)の出力信号の他にも、遅延回路D(1)〜D(3)の出力信号を遅延クロック信号として用いることができる。より一般的に言えば、遅延回路D(1)〜D(n)の各々から出力された信号のうちの1または複数個の信号を遅延クロック信号として用いることができる。
【0064】
また、図1のDLL回路1では、遅延回路D(4),D(n)の出力が位相比較用のクロック信号CLKA,CLKBとして位相比較器11に入力されていたが、位相比較器11の入力はこれに限らない。より一般的に言えば、外部クロック信号CLKINおよび遅延回路D(1)〜D(n)の出力信号のうちいずれか2個の信号を、位相比較器11に入力されるクロック信号CLKA,CLKBとして用いることができる。
【0065】
また、図1の遅延クロック生成部20の構成は変更可能である。
図10は、図1の遅延クロック生成部20の変形例としての遅延クロック生成部61の構成を示すブロック図である。図10の遅延クロック生成部61の各遅延回路Dは、2個の遅延バッファIa,Ibと、1個の整形バッファJとを含む。各遅延回路Dに入力された信号は、遅延バッファIa,Ibおよび整形バッファJをこの順番で通過する。また、遅延バッファIa,Ibおよび整形バッファJの各々の構成は遅延回路Dごとに同一である。
【0066】
ここで、2個の遅延バッファIa,Ibによって遅延部DUが構成され、整形バッファJによって波形整形部SUが構成されていると考えれば、図10遅延クロック生成部61は図1の遅延クロック生成部20と同じ構成である。図1の遅延クロック生成部20の場合には、1個の遅延バッファIによって遅延部DUが構成され、1個の整形バッファJによって波形整形部SUが構成されていた考えることができる。
【0067】
したがって、図10の場合、隣接する遅延回路D間で信号が転送されるときは、各遅延回路Dに設けられた波形整形部SUによって矩形波に整形された信号が隣接する遅延回路Dの遅延部DUに転送される。この結果、各遅延部DUに入力される信号の波形が同一になるので、各遅延部DUの遅延時間が互いに同一になるとともに各波形整形部SUの遅延時間が互いに同一になる。結果として、各遅延回路Dの遅延時間も互いに同一になる。したがって、外部クロック信号CLKINおよび遅延回路D(1)〜D(n)の出力信号のうちいずれか2個の信号の位相差が一致するように制御すれば、入力された外部クロック信号CLKINに対して所定の位相差を有する遅延クロック信号を精度良く生成することができる。
【0068】
図11は、図1の遅延クロック生成部20の他の変形例としての遅延クロック生成部62の構成を示すブロック図である。図11は、各遅延回路Dの構成が互いに同一でない場合を示す。
【0069】
図11の遅延クロック生成部62の各遅延回路Dは、第1、第2のサブユニットDa,Dbを含む。第1のサブユニットDaは、遅延バッファIa,Ibと整形バッファJaとを含む。第1のサブユニットDaに入力された信号は、遅延バッファIa,Ibおよび整形バッファJaをこの順番で通過する。第2のサブユニットDbは、遅延バッファIcと整形バッファJbとを含む。第2のサブユニットDbに入力された信号は、遅延バッファIcおよび整形バッファJbをこの順番で通過する。また、遅延バッファIa,Ib,Icおよび整形バッファJa,Jbの各々の構成は遅延回路Dごとに同一である。
【0070】
図11の遅延クロック生成部62の場合、遅延回路Dごとに第1、第2のサブユニットDa,Dbの配列順が異なる。たとえば、図11に示す第1番目の遅延回路D(1)では、第1のサブユニットDa(1)および第2のサブユニットDb(1)の順番で信号が通過する。一方、第2番目の遅延回路D(2)では、第2のサブユニットDb(2)および第1のサブユニットDa(2)の順番で信号が通過する。
【0071】
このように、図11の場合、各遅延回路Dの構成は互いに同一でない。しかしながら、各遅延回路Dの遅延時間は同一になる。なぜなら、隣接するサブユニットDa,Db間で信号が転送される際に、各サブユニットDa,Dbの出力段に設けられた整形バッファJa,Jbによって矩形波状に整形された信号が転送されるからである。この場合、サブユニットDa,Dbの構成は遅延回路Dごとに同一であるので、第1のサブユニットDaの遅延時間は全ての遅延回路Dで同一になり、第2のサブユニットDbの遅延時間も全ての遅延回路Dで同一となる。したがって、第1、第2のサブユニットDa,Dbを1つずつ含む各遅延回路Dの遅延時間も互いに同一になる。この結果、外部クロック信号CLKINおよび遅延回路D(1)〜D(n)の出力信号のうちいずれか2個の信号の位相差が一致するように制御すれば、入力された外部クロック信号CLKINに対して、遅延回路D(4)〜D(n)の出力信号である多相の遅延クロック信号の位相を高精度に制御することが可能になる。
【0072】
以上を総括すれば、図1、図10、図11の遅延クロック生成部20,61、62はいずれも、外部クロック信号CLKINが入力される第1のノードND(0)と第2のノードND(n)との間に直列接続されたn個(nは2以上の整数)の遅延回路D(1)〜D(n)を含む。各遅延回路Dは、各遅延回路Dで共通の制御電圧VCを受け、入力された信号に対して制御電圧VCに応じた遅延時間だけ遅延した信号を出力する。さらに、各遅延回路Dは、同一の波形の信号が各遅延回路Dに入力された場合に、入力された信号に対して各遅延回路Dで同一の遅延時間だけ遅延した信号を出力する。さらにまた、各遅延回路Dは、出力すべき信号を電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号に整形して出力する。
【0073】
上記の構成によれば、各遅延回路Dに入力される信号の波形が互いに同一になるので、各遅延回路Dの遅延時間を互いに同一にすることができる。この結果、外部クロック信号CLKINおよび遅延回路D(1)〜D(n)の出力信号のうちいずれか2個の信号の位相差が一致するように制御すれば、入力された外部クロック信号CLKINに対して所定の位相差を有する遅延クロック信号を精度良く生成することができる。
【0074】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 DLL回路、10 制御部、11 位相比較器、12 チャージポンプ、13 ローパスフィルタ、20,61,62 遅延クロック生成部、31,32 第1、第2の領域、45 LVDSレシーバ(インターフェース回路)、52 シリアル/パラレル変換器、CLKIN 外部クロック信号、CLKOUT 遅延クロック信号、VC 制御電圧、I(1)〜I(n) 遅延バッファ、J(1)〜J(n) 整形バッファ、D(1)〜D(n) 遅延回路、ND(0)〜ND(n) ノード、SUB 半導体基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のクロック信号の位相差に応じた制御信号を出力する制御部と、
電源電圧の振幅を有する矩形波状の外部クロック信号を第1のノードに受け、前記外部クロック信号に基づいて1または複数の遅延クロック信号を生成する遅延クロック生成部とを備え、
前記遅延クロック生成部は、前記第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された複数の遅延回路を含み、
前記複数の遅延回路の各々は、各遅延回路で共通の前記制御信号を受け、入力された信号に対して前記制御信号に応じた時間だけ遅延した信号を出力し、
前記複数の遅延回路の各々に同一波形の信号が入力された場合に、各遅延回路の遅延時間は同一であり、
前記複数の遅延回路の各々は、出力すべき信号を前記電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号に整形して出力し、
前記第1および第2のクロック信号は、前記外部クロック信号および前記複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の2個の信号であり、
前記1または複数の遅延クロック信号は、前記複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の1または複数の信号である、遅延同期ループ回路。
【請求項2】
前記複数の遅延回路の各々は、
入力された信号に対して前記制御信号に応じた時間だけ遅延した信号を出力する遅延部と、
前記遅延部の出力信号を前記電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号に整形して出力する波形整形部とを含み、
前記複数の遅延回路の各前記遅延部に同一波形の信号が入力された場合に、各前記遅延部の遅延時間は互いに同一であり、
前記複数の遅延回路の各前記波形整形部に同一波形の信号が入力された場合に、各前記波形整形部の遅延時間は互いに同一である、請求項1に記載の遅延同期ループ回路。
【請求項3】
前記複数の遅延回路の各前記遅延部は、互いに同一の構成を有し、
前記複数の遅延回路の各前記波形整形部は、互いに同一の構成を有する、請求項2に記載の遅延同期ループ回路。
【請求項4】
前記遅延同期ループ回路が設けられた半導体基板上の領域は、
前記複数の遅延回路の各前記遅延部が、信号の伝送順で第1の方向に配設された第1の領域と、
前記複数の遅延回路の各波形整形部が、信号の伝送順で前記第1の方向に配設された第2の領域とを含み、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記第1の方向と直交する第2の方向に並べられた請求項2または3に記載の遅延同期ループ回路。
【請求項5】
電源電圧の振幅を有する矩形波状の外部クロック信号を第1のノードに受け、前記外部クロック信号に基づいて1または複数の遅延クロック信号を生成する遅延同期ループ回路と、
シリアルの外部データ信号を受け、前記1または複数の遅延クロック信号に基づいて前記外部データ信号をシリアル/パラレル変換するデータ変換回路とを備え、
前記遅延同期ループ回路は、
第1および第2のクロック信号の位相差に応じた制御信号を出力する制御部と、
前記第1のノードと第2のノードとの間に直列に接続された複数の遅延回路とを含み、
前記複数の遅延回路の各々は、各遅延回路で共通の前記制御信号を受け、入力された信号に対して前記制御信号に応じた時間だけ遅延した信号を出力し、
前記複数の遅延回路の各々に同一波形の信号が入力された場合に、各遅延回路の遅延時間は同一であり、
前記複数の遅延回路の各々は、出力すべき信号を前記電源電圧の振幅を有する矩形波状の信号に整形して出力し、
前記第1および第2のクロック信号は、前記外部クロック信号および前記複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の2個の信号であり、
前記1または複数の遅延クロック信号は、前記複数の遅延回路の各々の出力信号のうちの所定の1または複数の信号である、インターフェース回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−288005(P2010−288005A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139270(P2009−139270)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】