説明

遊技機

【課題】 主要部品への不正アクセスを遮断しつつ、設定変更や修理などのメンテナンス時の作業効率の向上を図る。
【解決手段】 遊技機島に固設される外枠1bと、この外枠1bに開閉可能に取付けられる前扉1aと、を備えるスロットマシン1であって、前扉1aと別体に設けられ、前扉1aの裏面側に配置されるとともに、外枠1bの開口部を閉塞する遮蔽板5を備え、遮蔽板5を、前扉1aと外枠1bとの間に挟み込み、前扉1aが開放されたときに、開閉可能な扉体として設けるとともに、遮蔽板5の裏面に、不正改造の対象部品となる主基板ユニット6を配置した構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、メンテナンス時の作業性や不正防止効果を向上させた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、パチンコ機やスロットマシン(回胴式遊技機)などの種々の遊技機が設置されている。
これらの遊技機を構造で分類すると、主に遊技メダルを遊技媒体とし、筐体構造を有するスロットマシンがある一方、これとは異なり、遊技機が設置される遊技機島に固設される外枠と、外枠に開閉可能に支持される前扉とからなる遊技機がある。
このような外枠と前扉とから構成されている遊技機は、使用する遊技媒体を遊技球とするパチンコ機や、パチロット又は球スロと称されるスロットマシンで多く見受けられる(例えば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2006−141447号公報
【特許文献2】特開2006−305020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外枠と前扉とから構成されている遊技機の場合、前扉を開放すると、前扉の裏面に配置された遊技機を制御する主基板などの主要部品が比較的簡単に露出する。このため、不正行為を誘発し易いという欠点があった。
この欠点を回避するために、前扉の裏面に配置された部品を覆うカバー部材を設けることが一般に行われている。
しかしながら、このカバーは、前扉に一体に取り付けられているため、前扉の開放に伴いカバーも外部に露出されることから、カバー内部への不正なアクセスが容易となっていた。
【0004】
また、このような構成からなる遊技機の場合、すべての装置や部品等を、前扉に配設してある。
このため、前扉は相当な重量を有することになり、取り扱い難いものとなっていた。
さらに、一の前扉に各装置や各部品が層状に重なるように配設されているため、各部品の所在が不明確となり、修理等のメンテナンス時における作業効率を低下させる要因にもなっていた。
【0005】
特に、設定確率を変更可能な遊技機(パチロットや、パロット)の場合には、設定変更時の作業性が悪く、煩雑な操作を強いることになっていた。
具体的には、まず、前扉を手前に引き、開放してから、カバーを後方に押し戻して開放させる。そして、電源ユニットなどの設定変更に係る装置を露出させた後、前扉の裏面に手を回して、変更作業を行わなければならなかった。
このように、構造的な都合上、設定確率の変更作業が煩雑になり、その結果、作業効率を低下させ、設定変更に多くの時間を費やさなければならなかった。
【0006】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、外枠と前扉との間に、主基板などの主要部品を裏面に配置する新たな扉体を設けることで、主要部品への不正アクセスを遮断しつつ、設定確率の変更や修理などメンテナンス作業における作業効率を向上させる画期的な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技機島に固設される外枠と、この外枠に開閉可能に取付けられる前扉と、を備える遊技機であって、前記前扉と別体に設けられ、前記前扉の裏面側に位置するとともに、前記外枠の開口部を閉塞する遮蔽板を備え、前記遮蔽板を、前記前扉と前記外枠との間に挟み込み、前記前扉が開放されたときに、開閉可能な扉体として設けるとともに、前記遮蔽板の裏面に、所定の主要部品を配置した構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、不正改造の対象となる主要部品への不正アクセスを遮断しつつ、設定変更や修理などのメンテナンス時の作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図1〜図5を参照しつつ、説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、図2は、裏面図である。また、図3は、前扉を開放した斜視図であり、図4は、前扉と遮蔽板とを開放した斜視図である。また、図5は、組立図を示している。
【0010】
各図に示すように、本実施形態の遊技機は、遊技媒体として遊技球を用いるスロットマシンであって、複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技球を獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0011】
具体的には、本実施形態のスロットマシン1は、遊技機島に固設される外枠1bと、遊技操作に係る装置等が配設され、スロットマシン前面を構成する前扉1aとを備え、さらに、前扉1aと外枠1bとの間に、本発明の遮蔽板5が設けられている。
この遮蔽板5を設けることによって、主基板を収容する主基板ユニット6などの主要部品が正面からアクセス不能に遮断されるとともに、前扉1aを開放するだけで、設定確率の変更操作に係る電源ユニット8などのメンテナンス部品を外部に露出でき、メンテナンス時の作業効率が向上されるようになっている。
以下、各部、各装置について、詳述する。
【0012】
前扉1aは、スロットマシン前面を構成し、図4に示すように、上下に設けられた蝶番15を介して、後述の遮蔽板5に支持され、遮蔽板5及び外枠1bに対して、独立して開閉する扉体である。
前扉1aの右端部には、施錠部16が設けられている(図1参照)。
この施錠部16には、図示しない爪部が設けられ、前扉1aを閉状態とすると、この爪部が遮蔽板5に係止することで、施錠されるように構成されている。また、この施錠部16に、所定の施錠キーを挿入し、回動すると、この爪部と遮蔽板5との係止状態が解除され、前扉1aを開放できるようになっている。
【0013】
また、前扉1aは、ほぼ中央部分に表示窓11が設けられ、この表示窓11を介して、各リール41を外部から視認することができるようになっている。
表示窓11は、無色透明又は有色透明の樹脂製パネル等からなり、三つの各リール41a,41b,41cの周囲に描かれた複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する複数(通常三つ)の図柄をそれぞれ視認,識別できる。
【0014】
表示窓11の下側には、スタートレバー24,停止ボタン25,1BETスイッチ22,MAXBETスイッチ23等の遊技操作に係る操作手段や、上皿21を備える操作台2が設けられている。操作台2は、前扉1aの前面から前方に向けて張り出した凸型形状の操作用台であって、操作しやすいように各操作手段が集中して取り付けられている。
【0015】
上皿21は、操作台2の上面に凹設された部分であって(図3参照)、スロットマシン遊技に使用する遊技球を貯留(待機)するとともに、貯留した遊技球を投入口211に向けて転動させる流路として形成されている。
後述する貯留払出ユニット7に貯留された遊技球は、上皿21上部に設けられた払出口14から、この上皿21に払出されるようになっている。
【0016】
また、上皿21には、取込装置17が内蔵されている(図4参照)。この取込装置17は、投入口211から流入した遊技球を、計数しつつ、順次スロットマシン内部に取込むように構成され、遊技球を検出するセンサ等の検出手段と、遊技球を内部に送出するソレノイドやモータ等の駆動手段を有してなる。
この取込装置17を介して取込まれた遊技球は、前扉1a裏面に設けられた流出口171から流出し、この流出口171と連通する後述の遮蔽板5に設けられた誘導路52(図3参照)を経て、遊技機島に排出されるようになっている。
なお、取込装置17を、図4に示すように、前扉1aの裏面に取付けたのは、取込装置17は、メンテナンス部品であり、遊技球の流入に伴うゴミ等の混入によるトラブルの発生を考慮し、トラブル発生の際には、前扉1aのみを開放するだけで、取込装置17を外部に露出でき、店員がゴミの除去等のメンテナンス作業を簡単に行えるためである。
【0017】
スタートレバー24は、三つの各リール41の回転を開始させるゲームスタート手段であり、このスタートレバー24が遊技者により押下操作されることで、後述の主基板ユニット6に収容された主基板にスタート信号が出力され、各リール41が一斉に(又は順次)回転するようになっている。
また、このスタート信号が入力されることで、主基板において、ボーナスや小役を抽せんする内部抽せんが行われる。
【0018】
停止ボタン25は、回転するリール41を停止させる停止手段であり、三つのリール(左)41a,リール(中)41b,リール(右)41cに対応して、停止ボタン(左)25a,停止ボタン(中)25b,停止ボタン(右)25cが備えられている。これら各停止ボタン25が遊技者の任意のタイミングで押下されることで、主基板にストップ信号が出力され、対応する各リール41の回転が停止されるようになっている。
従って、遊技者がスタートレバー24及び停止ボタン25を操作することにより、三つのリール41を回転及び停止させて、各リール41に付された図柄を所定の入賞配列となるよう揃えるスロットマシン遊技を行うことができる。
【0019】
1BETスイッチ22は、上皿21に貯留された遊技球を投入する球投入用のスイッチであって、一回の押下につき一ゲームに投入可能な最小の球数(通常五個)を投入することができる最小個数賭け用の投入ボタンである。
MAXBETスイッチ23は、1BETスイッチ22と同様、上皿21に貯留された遊技球を投入する球投入用のスイッチである。ただし、MAXBETスイッチ23は、一回の押下につき一ゲームに投入可能な最大の球数(通常十個又は、十五個)を投入することができる最大個数賭け用の投入ボタンである。
これら1BETスイッチ22又はMAXBETスイッチ23が押下されると、BET信号が主基板に出力され、押下されたボタンの種類又はその回数に応じた数の遊技球が取込装置17に取込まれ、遊技機内部に投入されることになる。
【0020】
さらに、操作台2には、上皿21に貯留されている遊技球を精算する際に操作される精算スイッチ26が設けられている。
また、その他の操作手段として、取込済球表示器、残額表示器、返却スイッチ、球貸スイッチなどを設けることもできる。
取込済球表示器は、1BETスイッチ22又はMAXBETスイッチ23の操作により取り込まれた遊技球数を表示する。
残額表示器は、スロットマシン1に並設されたカードユニット(図示せず)に挿入したプリペイドカードから読み出された有価価値の残額を表示する。
返却スイッチは、カードユニット(図示せず)に挿入したプリペイドカードを返却させる際に操作されるスイッチである。
球貸スイッチは、残額表示器に表示された有価価値の残額の範囲内で遊技球の貸し出しを受ける際に操作されるスイッチである。
【0021】
前扉1aの前面において操作台2のさらに下方には、下皿3が備えられている。
下皿3は、遊技球を貯留可能に凹状に形成された玉収容部である。
この下皿3には、図示しない返却口が設けられ、払出装置71から払い出された遊技球や、精算スイッチ26が操作されることで上皿21から流下する遊技球が、この返却口から排出され、下皿3に貯留されるようになっている。
【0022】
また、前扉1aの裏面上方には、TV表示ユニット9とスピーカ12が備えられている。
TV表示ユニット9は、表示装置であって、液晶TVと、中央演算処理装置(CPU)などの電子部品が実装された制御基板と、この制御基板を収容する基板ケース等で構成され、所定の演出表示を行う。また、この制御基板には、スピーカ12を駆動させるアンプや所定の音声ROMや音源ICも実装され、スピーカ12からメロディ音やメッセージ音等の各種の音声を発生するようになっている。液晶TVやスピーカ12は、例えば、主基板で内部抽せんが行われ、ボーナスや小役に当せんした場合や、入賞図柄が揃ってボーナスや小役に入賞した場合等に、所定の演出を行うようになっている。
なお、TV表示ユニット9とスピーカ12を、前扉1aの裏面に取付けたのは、これらの部品は、メンテナンス部品であり、故障等のトラブル発生を考慮し、故障の際には、前扉1aのみを開放するだけで、これらの外部に露出でき、店員が修理等のメンテナンス作業を簡単に行えるためである。
【0023】
外枠1bは、スロットマシン1を遊技機島に設置する際に、遊技機島に固設されるもので、矩形状の枠構造を有してなる。
外枠1bは、本実施形態では、主にラワン材等からなる平板材を、L字状の金属板等で連結した枠体であって、釘やネジ等で、直接遊技機島に固設されるようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の遮蔽板5は、前扉1a及び外枠1bと別体に形成された一枚板の扉体として構成されている(図4,図5参照)。
遮蔽板5は、ヒンジ13を介して、開閉可能に外枠1bに支持されている。前述したように、前扉1aは、蝶番15を介して、遮蔽板5に取付けられていることから、前扉1aの開放に連動して、遮蔽板5が開放することはない。
さらに、遮蔽板5は、外枠1bの開口部Aを閉塞するように構成されている。
【0025】
また、遮蔽板5の右端部には、フック51aが上下に設けられている(図3参照)。各フック51aは、外枠1bに対応して設けられた爪部51b(図4参照)に係止されるとともに(ロック手段)、係止解除可能に上下動する。
また、遮蔽板5の周縁には、全周に亘ってリブ5bが立設されるとともに、当該リブ5bとL字で連結するフランジ部5aが設けられている。このように、遮蔽板5は、全体的に凹状に形成されることで、撓みや曲げに対して強い剛性を有している。
【0026】
また、遮蔽板5は、前扉1aの裏面側に配置されている。これにより、前扉1aが開放されたときに、初めて遮蔽板5が外部に露出するようになっている。
さらに、フランジ部5aが前扉1aと外枠1bとの間に挟み込まれている。このため、少なくとも前扉1aを開放しない限り、遮蔽板5を開放することはできない。
【0027】
そして、この遮蔽板5は、図4及び図5に示すように、外枠1bの開口部Aを閉塞するとともに、この遮蔽板5の表裏面には種々の装置や部品が配設されている。特に、遮蔽板5の裏面に、スロットマシン1を制御する主基板が収容された主基板ユニット6や、払出装置71などの不正改造の対象となる主要部品が配置されている。
このため、これらの主要部品にアクセスするには、まず、前扉1aを開放し、次いで、遮蔽板5を開放する、二重の手間を要することになる。
【0028】
主基板や払出装置71は、不正改造の対象部品であり、特に主基板は、不正行為者のみならず、店員が不正行為者と共謀して、改造することもあるため、遊技場の店員といえども、主基板へのアクセスを禁止している遊技場もある。
そこで、このような二重構造とすることで、主要部品へのアクセスを制限しつつ、店員が行う通常のメンテナンス時の作業性を確保できるようになっている。以下、遮蔽板5に配設されている複数の装置や部品の構成及び配置状態について詳述する。
【0029】
図4及び図5に示すように、遮蔽板5に配設されている主な装置や部品には、ドラムユニット4と、電源ユニット8と、主基板ユニット6と、貯留払出ユニット7とがある。
また、遮蔽板5には、前扉1aに設けられた前述の流出口171と連通する誘導路52が、遮蔽板5の右下部に形成されている。
この誘導路52は、遮蔽板5の裏面側に向かって下方に傾斜する流路であり(図示省略)、流出口171から流入した遊技球を、遊技機島に排出するように構成されている。
このように誘導路52は、流出口171と遊技機島とを中継する流路として形成されている。
仮に、流出口171を、遊技機島まで直接伸長させる構成にすると、前扉1aを開放時に、流出口171が邪魔になり、思うようにメンテナンス作業ができなくなるが、誘導路52が流出口171と遊技機島とを中継するので、このような問題も生じることはない。
【0030】
ドラムユニット4は、三つのリール41a〜41cを回転及び停止制御する装置であって、リール41a,41b,41cと、各リール41を回転自在に保持するステッピングモータと、モータ駆動回路と、これらを覆うドラム裏カバー42などから構成されている。
【0031】
リール41は、既存のスロットマシンにおけるものと同様、外周に複数(通常21個)の絵柄や文字等の図柄が描かれた円筒状に形成され、縦方向(図面上下方向)に回転する三つのリール(左)41a,リール(中)41b,リール(右)41cが横方向(図面左右方向)に一列に並んで配設されている。
【0032】
各リール41に描かれる図柄は、リール41毎に等間隔で配設され、例えば「チェリー」や「BAR」,「リプレイ」等の文字や、スロットマシン1のキャラクターや果物等を示す絵柄等が、所定の順番で表示されており、通常、各リール41に21個ずつの図柄が表示されるようになっている。
そして、それらリール41の図柄が、対応する停止ボタン25が押下操作されることで、上述した表示窓11の入賞ラインに沿って所定の組合せで停止し、入賞が決定される。
【0033】
モータ駆動回路(図示せず)は、三つのリール41a〜41cを回転自在に保持するステッピングモータ(図示せず)を回転駆動し、各リール41の回転の始動,定速回転及び停止の制御を行う。
回胴位置検出部(図示せず)は、回転中の各リール41の位置を検出して位置信号を制御手段に出力する。
【0034】
また、リール41を停止させる際には、主基板で行われる内部抽せんの結果に応じてリール41の停止位置が制御されて、遊技者の停止ボタン25を押すタイミングに基づき、一定範囲内(通常、図柄4コマの範囲内)で対応するリール41の図柄が特定の配列となるよう、各リール41が停止制御される。
これにより、スタートレバー24からのスタート信号を契機として主基板で内部抽せんが行われ、主基板からの制御信号によりドラムユニット4が制御されることで、停止ボタン25が押下されるタイミングに基づき、一定範囲内で内部抽せんの結果に応じた停止位置で各リール41が停止されることになる。
【0035】
このような構成からなるドラムユニット4は、図5に示すように、遮蔽板5に形成された開口部(図示省略)に表面から挿入され、樹脂性のロック部材で、遮蔽板5に固着される。
このようにドラムユニット4が装着されることで、遮蔽板5を開放させることなく、ドラムユニット4が脱着可能となるため、ドラムユニット4が故障したような場合のメンテナンス作業が容易となる。
また、従来の遊技機では、ドラムユニットは、前扉に装着されていたが、ドラムユニット4を遮蔽板5に装着することで、前扉1aの軽量化が図られ、取り扱いが容易となる。
【0036】
なお、ドラムユニット4は、遮蔽板5の裏面に突出する構成になっており、そのため遮蔽板5には、開口部が形成されているが、図2や図4に示すように、ドラムユニット4の背面は、ドラム裏カバー42で覆われていることから、遮蔽板5の表面と裏面は、このドラム裏カバー42で隔離される。
これにより、遮蔽板5の表面から裏面に、例えば、セルや針金などの長物の不正治具を侵入させて行う不正行為を阻止できる。
なお、遮蔽板5にドラム裏カバー42を一体に設け、遮蔽板5を開口のない一枚の扉体として形成することもできる。
【0037】
電源ユニット8は、スロットマシン1の各部、各装置に供給される電源を生成する電源装置であって、図示しない電源基板や、ボーナスや小役等の発生確率を設定変更可能な設定基板、これらを収容する基板ケース等で構成されている。
電源ユニット8の正面側には、確率設定変更に係る設定キーを挿入するシリンダや、設定変更に際して、操作される電源スイッチ等の設定操作部が配設されている(図示省略)。
スロットマシンの場合、通常、設定確率の変更は、頻繁に行われており、このため、店員は、シリンダや電源スイッチ等の設定操作部を、日常的に操作する必要がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、電源ユニット8を、図3〜図5に示すように、遮蔽板5の表面に配置してある。これにより、前扉1aを開放すると、電源ユニット8が店員の正面に位置することになる。
設定操作部は、電源ユニット8の正面側に配置されていることから、設定操作部の操作が容易となり、設定変更作業の効率化が図られる。
【0039】
主基板ユニット6は、中央演算処理装置(CPU)や、制御プログラムやデータが記録されたROM、ワーク領域を有するRAM等の電子部品が実装された主基板と、これを収容する基板ケース等で構成されている。
このように主基板は、コンピュータとして構成され、スロットマシン1の各部、各装置を制御する主要部品である。
そのため、主基板を収容する主基板ユニット6は、正規のCPUやROM等を変造品に取り替える不正改造の対象部品となっている。
【0040】
次に、貯留払出ユニット7は、遊技機島から補給された遊技球を貯留可能に凹状に形成されるとともに、小役の入賞時に所定数の遊技球を払い出す払出装置71を備える装置であり、スロットマシン1の主要部品となっている。
払出装置71には、遊技球を送出するモータや、送出する遊技球を計数するセンサなどの計数手段が設けられている。
このような払出装置71は、遊技機外部からセルや針金などの長物の治具を侵入させ、遊技球を計数するセンサやモータを不正に操作し、過剰な払出が誘発されることがある。
そのため、払出装置71は、不正改造の対象部品となっている。
【0041】
このように、主基板及び払出装置71は、スロットマシン1の主要部品であり、不正改造の対象部品となっていることから、本実施形態では、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とを、遮蔽板5の裏面に配置してある。
これにより、単に前扉1aを開放しただけでは、遮蔽板5に阻まれ、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とに、直接アクセスすることはできない。
前扉と外枠とで構成された従来の遊技機の場合、前扉を開放しただけで、前扉の裏面に、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とが露出することになっていた。
【0042】
そこで、本発明のように、遮蔽板5を設けることで、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とを、遮蔽板5の裏面に配置することができ、前扉1aを開放しただけでは、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とにアクセス不能とすることができる。
これにより、主基板の不正改造を防止できるとともに、払出装置71に対する不正操作を排除することができる。
【0043】
さらに、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7とにアクセスするには、ロック手段となっているフック51aを解除しなければならないようになっている。このように、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7に、容易にアクセスすることができないため、主基板ユニット6と貯留払出ユニット7を不正改造から強固に保護することができる。
一方、店員の行う通常のメンテナンス作業では、特に、遮蔽板5を開放する必要もないことから、メンテナンス時の作業効率を低下させることもない。
【0044】
また、主基板ユニット6は、電源ユニット8が位置する裏面に、主基板ユニット6と電源ユニット8とが表裏一体となるように配置してある。これにより、電源ユニット8から主基板までの電源ケーブルを短くすることができ、コストの削減や、ラインノイズを軽減することができ、主基板の誤動作を防止することができる。
また、電源ケーブルを用いず、電源基板と主基板とを直接コネクタ接続する構成としてもよい。これにより上記の効果に加え、接続時の作業性も向上する。
【0045】
さらに、貯留払出ユニット7は、遮蔽板5の最上部に配置し、ドラムユニット4は、貯留払出ユニット7の下側に配置してある。
貯留払出ユニット7には、遊技機島内で上方に揚送された遊技球が補給されることから、最上部が適所となっている。
ドラムユニット4を、貯留払出ユニット7の下側に配置することで、遊技者が最も目視し易いところに位置することになる。
そして、ドラムユニット4の下側に、主基板ユニット6と電源ユニット8とを配置してある。
主基板ユニット6と電源ユニット8は、その機能において上下の位置を特定する必要がないため、ドラムユニット4下側の空いたスペースに配置してある。
このように、新たな配置場所である遮蔽板を設けることで、スペースを有効に利用して、各々の部品を適所に配置することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態のスロットマシン1によれば、外枠1bと前扉1aとの間に、主基板などの主要部品を裏面に配置する新たな扉体となる遮蔽板5を設けることで、主要部品への不正なアクセスを遮断するとともに、設定確率の変更や修理などのメンテナンス作業を円滑に行うことができる。
【0047】
すなわち、新たな扉体となる遮蔽板5を設けることで、スロットマシンに備える部品を、遮蔽板5を境に、この遮蔽板5の表側(前扉1aの裏面も含む)か、裏側のいずれかに配置することができる。その結果、部品の機能や他の部品と関連性などの設計上の都合や、不正改造の対象部品か否かなどの不正対策上の都合に基づいて、各部品を選択的に配置でき、部品配置の自由度を広げることができる。
【0048】
また、前扉と外枠とで構成された従来の遊技機の場合、すべての部品を前扉に配置していたことから、前扉の重量が増大し、取り扱い難いものとなっていた。
一方、本発明は、遮蔽板5を備えているため、部品を分散して配置できることから、重量が分散され、前扉の重量が軽くなり、取り扱いが容易となるだけでなく、従来のように各部品を重ねて配置する必要もないため、各部品の配置も明確となり、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0049】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述の実施形態においては、遮蔽板5は、ロック手段として、フック51aを外枠1bの爪部51bに係止させる構成としたが、所定の錠前を設け、施錠する構成としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、遮蔽板5を一枚板で構成したが、遮蔽板5を上下に分割し、各々独立して開閉する二枚扉で構成することもできる。
この場合、下側に位置する遮蔽板5の裏面に、主基板ユニットを配置し、上側に位置する遮蔽板5の裏面に、貯留払出ユニットを配置する。さらに、主基板ユニットを配置した下側の遮蔽板5は、貯留払出ユニットを配置した上側の遮蔽板5より、強固な施錠手段を設ける構成とすることもできる。
【0051】
これにより、主基板ユニットは、メンテナンス時の作業性を重視するより、セキュリティを重視した方がよいことから、遮蔽板5によって、主基板ユニットを強固に保護することができる。
一方、貯留払出ユニットにおいて、遊技球の球詰まりが発生し、店員が球詰まりを解消する等の作業を行う場合もあることから、この場合には、上側の遮蔽板5のみを開放すれば足り、主基板ユニットを遮蔽しつつ、効率的なメンテナンス作業が行える。
【0052】
また、本実施形態では、遊技球を用いて遊技を行うスロットマシンについて説明したが、本発明の遊技機は、スロットマシンに限るものではなく、前扉と外枠とを有するすべての遊技機(パチンコ機、雀球機、アレンジボールなど)を対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、前扉と外枠とを有する遊技機に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技機の裏面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊技機の前扉を開放した斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊技機の前扉と遮蔽板を開放した斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る遊技機の組立図である。
【符号の説明】
【0055】
1 遊技機(スロットマシン)
1a 前扉
1b 外枠
2 操作台
3 下皿
4 ドラムユニット
5 遮蔽板
6 主基板ユニット
7 貯留払出ユニット
8 電源ユニット
9 TV表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機島に固設される外枠と、この外枠に開閉可能に取付けられる前扉と、を備える遊技機であって、
前記前扉と別体に設けられ、前記前扉の裏面側に位置するとともに、前記外枠の開口部を閉塞する遮蔽板を備え、
前記遮蔽板を、前記前扉と前記外枠との間に挟み込み、前記前扉が開放されたときに、開閉可能な扉体として設けるとともに、
前記遮蔽板の裏面に、所定の主要部品を配置したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遮蔽板を、前記外枠に開閉不能にロックするロック手段を備えた請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遮蔽板に、複数のリールを備えるドラムユニットを配置した請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記ドラムユニットを、前記遮蔽板の表面側から着脱可能に設けた請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記遮蔽板に、当該遊技機に投入される遊技媒体を遊技機島に誘導する誘導路を設けた請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記主要部品が、当該遊技機を制御する主基板である請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記主要部品が、遊技媒体を払出す払出装置である請求項1〜6のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項8】
設定確率を変更可能な所定の装置を前記遮蔽板の表面に配置した請求項1〜7のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項9】
電源を生成・供給する電源装置を前記遮蔽板の表面に配置し、この電源装置が位置する前記遮蔽板の裏面に当該遊技機を制御する主基板を配置した請求項1〜8のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項10】
遊技媒体を払出す払出装置を前記遮蔽板の上部に配置し、
前記払出装置の下側に複数のリールを備えるドラムユニットを配置し、
前記ドラムユニットの下側に、電源を生成・供給する電源装置と当該遊技機を制御する主基板とを配置した請求項1〜9のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項11】
当該遊技機内部に遊技媒体を取込む取込装置を前記前扉の裏面に配置した請求項1〜10のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項12】
所定の表示装置を前記前扉の裏面に配置した請求項1〜11のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−88779(P2010−88779A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264070(P2008−264070)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【出願人】(502147579)有限会社共和科学 (27)
【Fターム(参考)】