説明

遷移金属含有膜の堆積のためのヘテロレプティック(heteroleptic)シクロペンタジエニル遷移金属前駆体

少なくとも1枚の基板が中に配置された反応器を準備することを含む1枚以上の基板上に膜を堆積させるための方法および組成物。少なくとも1種の前駆体が提供されかつ基板上に少なくとも部分的に堆積されて金属含有膜を形成する。遷移金属前駆体を含有するヘテロレプティックアミジナートまたはグアニジナートシクロペンタジエニルを合成反応によって形成する方法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
背景
発明の分野
本発明は一般に半導体、光電池、LCF−TFT、またはフラットパネルタイプデバイスの製造における使用のために使用される組成物、方法および装置に関する。
【0002】
発明の背景
トランジスタの製作の間、シリサイド層がポリシリコンの導電率を高めるのに使用されることがある。たとえばニッケルシリサイド(NiSi)がトランジスタのソースおよびドレインにおける接点として導電率を高めるのに使用されることがある。金属シリサイドを形成するためのプロセスはポリシリコン上への遷移金属薄層、たとえばニッケルの堆積から始まる。金属とポリシリコンの一部とはその後互いに合金化されて金属シリサイド層を形成する。
【0003】
化学気相堆積(CVD)および原子層堆積(ALD)は原子スケールでの堆積を制御するのにおよび極めて薄いコーティングを作り出すのに使用される主な気相化学的プロセスである。典型的なCVDプロセスでは、ウェハが1種以上の揮発性前駆体に曝され、これが基板表面上で反応および/または分解して所望される堆積物を生成する。ALDプロセスは不活性ガスパージを合間に挟んで択一的に適用される金属前駆体の逐次的でありかつ飽和する表面反応に基づいている。
【0004】
高純度で、薄くかつ高性能な固体材料をウェハ上で得るため、高純度、高熱安定性および高揮発性を有する金属前駆体が必要とされる。さらに、それらは迅速におよび再現性のある速度で気化すべきであり、その条件は液体前駆体であれば固体前駆体よりも容易に達成される。
【0005】
いくつかの種類のアミジナート遷移金属前駆体がALDによる堆積のために首尾よく使用されるおよび使用されてきた。揮発性ではあるが、これら前駆体は通常高融点(>70℃)の固体であり熱不安定性にときおり悩まされることがあり(たとえばニッケル)、これはALDプロセスにとっての欠点である。一方、ビス−シクロペンタジエニル前駆体は液体または低融点固体であり、シクロペンタジエニル上の置換基に応じてさらには揮発性であることが知られている。たとえば、Ni(Me−Cp)2:固体 mp=34−36℃、Ni(Et−Cp)2;液体、Ni(iPr−Cp)2:液体。しかしビス−シクロペンタジエニル前駆体でも、たとえばニッケルを有するものは、熱不安定性に悩まされる。
【0006】
したがってCVDまたはALDプロセスに好適な新たな遷移金属前駆体に対する必要性が存在する。
【0007】
概要
本発明の実施形態は基板上への膜の堆積に有用な新規な方法および組成物を提供する。一般に、開示された組成物および方法はヘテロレプティック金属前駆体を利用する。
【0008】
ある実施形態では、基板上に膜を堆積させる方法は少なくとも1枚の基板が中に配置された反応器を準備することを有する。金属含有前駆体が反応器に導入され、前記前駆体は一般式:
M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mk
を有し、ここでMは元素Mn、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Ag、Au、Ru、Os、Rh、Ir、およびReの中より選択される金属である。(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり、および(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子である。R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々はH、C1−C5アルキル基、およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択される。R2はH、C1−C5アルキル基、およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択される。Lは中性配位子(たとえばTHF、ジエチルエーテル、トリグライム、テトラグライムなど)である。変数mは1、2、3、または4のうちの1つであり;変数nは1、2、3、または4のうちの1つであり;および変数kは0、1、2、3、4または5のうちの1つである。反応器は少なくとも約100℃の温度に維持され;および前記前駆体は基板と接触して基板上に金属含有膜を堆積させるまたは形成する。
【0009】
ある実施形態において、ヘテロレプティックシクロペンタジエニル遷移金属前駆体は少なくとも1つの合成反応によって合成される。前記前駆体は一般式:
M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mk
を有し、ここでMは元素Mn、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Ag、Au、Ru、Os、Rh、Ir、およびReの中より選択される金属である。(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり、および(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子である。R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々はH、C1−C5アルキル基、およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択される。R2はH、C1−C5アルキル基、およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択される。Lは中性配位子(たとえばTHF、ジエチルエーテル、トリグライム、テトラグライムなど)である。変数mは1、2、3、または4のうちの1つであり;変数nは1、2、3、または4のうちの1つであり;および変数kは0、1、2、3、4、または5のうちの1つである。
【0010】
本発明の他の実施形態は、限定なしに、以下の特徴のうち1つ以上を含んでいてもよい:
−反応器は約100℃ないし500℃の間、および好ましくは約150℃ないし350℃の間にある温度に維持される;
−反応器は約1Paないし105Paの間、および好ましくは約25Paないし103PAの間にある圧力に維持される;
−還元性ガスが反応器に導入され、およびこの還元性ガスが、基板上への前駆体の少なくとも一部の堆積に先立ってまたはそれと同時に、前駆体の少なくとも一部と反応させられる;
−還元性ガスはH2;NH3;SiH4;Si26;Si38;SiH2Me2、SiH2Et2、N(SiH33、水素ラジカル;およびこれらの混合物の1種である;
−酸化性ガスが反応器に導入され、およびこの酸化性ガスが、基板上への前駆体の少なくとも一部の堆積に先立ってまたはそれと同時に、前駆体の少なくとも一部と反応させられる;
−酸化性ガスはO2;O3;H2O;NO;酸素ラジカル;およびこれらの混合物の1種である;
−堆積プロセスは化学気相堆積(「CVD」)式のプロセスまたは原子層堆積(「ALD」)式のプロセスであり、何れもプラズマ強化することができる;
−前駆体は少なくとも1つの合成スキームによって合成される;
−前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケルより選択されるニッケル含有前駆体である;
−前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルトより選択されるコバルト含有前駆体である;および
−前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウムより選択されるルテニウム含有前駆体である。
【0011】
前述では以下の発明の詳細な説明をより十分に理解できるように本発明の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明の追加の特徴および利点を以下に説明する。開示された概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を果たすために他の構成を変更または設計するための基礎として容易に利用されうることは当業者によって理解されるはずである。また、このような等価な構成が添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱しないことは当業者によって理解されるはずである。
【0012】
表記法および命名法
様々な成分および構成部材に言及するために、いくつかの用語を以下の説明および特許請求の範囲を通じて使用している。本文書は機能ではなく名称が異なる成分の間を区別することを意図していない。一般にここで使用される限りにおいて、周期表からの元素はそれらの標準的な略語(たとえばRu=ルテニウム、Co=コバルト、Ni=ニッケルなど)によって略されている。
【0013】
ここで使用される限りにおいて、用語「アルキル基」は炭素原子および水素原子をもっぱら含む飽和官能基を表す。さらに、用語「アルキル基」は直鎖状、分枝状、または環式のアルキル基を表すことがある。直鎖アルキル基の例は、限定なしに、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などを含む。分枝アルキル基の例は、限定なしに、t−ブチルを含む。環式アルキル基の例は、限定なしに、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを含む。
【0014】
ここで使用される限りにおいて、略語「Me」はメチル基を表し;略語「Et」はエチル基を表し;略語「tBt」は第三級ブチル基を表し;略語「iPr」はイソプロピル基を表し;略語「acac」はアセチルアセトナトを表し;および略語「Cp」はシクロペンタジエニル基を表している。
【0015】
ここで使用される限りにおいて、用語「独立して」は、R基について説明している文脈において使用される場合、当該R基が、同じまたは異なる下付き数字または上付き数字をもつ他のR基に対して独立して選択されるだけでなく、同じR基の任意の追加の種に対しても独立して選択されることを意味すると理解されるべきである。たとえば、xが2または3である式MR1x(NR23(4-x)において、2つまたは3つのR1基は、必要ではないが、互いに同じでもよいし、またはR2もしくはR3と同じでもよい。さらに、特別に述べない限り、R基の価数は、異なる式において使用される場合互いに独立していることが理解されるべきである。
【0016】
好ましい実施形態の説明
本発明の実施形態は基板上への膜の堆積に有用な新規な方法および組成物を提供する。これら組成物を合成するための方法も提供される。一般に、開示された組成物および方法はヘテロレプティック金属前駆体を利用する。
【0017】
一般に、シクロペンタジエン配位子をアミジナート配位子と組み合わせて新たなヘテロレプティック金属前駆体にすることはホモレプティックな親よりも低い融点を有する新たな前駆体を生み出す。この新たな前駆体はさらにはホモレプティックな親よりも揮発性でありおよび熱的により安定である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は金属含有前駆体、およびこの前駆体を用いて金属含有膜を堆積させる方法に関する。
【0019】
これらの実施形態では、金属含有前駆体は一般式(1)
【化1】

【0020】
を有しており、ここでMは元素Mn、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Ag、Au、Ru、Os、Rh、Ir、およびRuの中より選択される金属であり、および好ましくは、Mは元素Ni、Co、およびRuより選択される。(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子(好ましくはR1=R3=イソプロピルでありおよびR2=メチルであるビスイソプロピルアセトアミジナート)であり、および(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子(好ましくは、R4=MeでありおよびR5=R6=R7=R8=Hであるメチルシクロペンタジエニルか;またはR4=HでありおよびR5=R6=R7=R8=Meであるテトラメチルシクロペンタジエニル)である。R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々はH、C1−C5アルキル基、およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択される。R2はH、C1−C5アルキル基、およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択される。Lは中性配位子(たとえばTHF、ジエチルエーテル、トリグライム、テトラグライムなど)である。変数mは1、2、3、または4のうちの1つであり、および好ましくは1であり;変数nは1、2、3、または4のうちの1つであり、および好ましくは1であり;ならびに変数kは0、1、2、3、4、または5のうちの1つであり、および好ましくは0である。
【0021】
いくつかの実施形態において、これら前駆体は堆積式プロセス(たとえばCVD、ALDなど)での使用にとって望ましいものになる特性を呈する。これらの用途にとって望ましい金属前駆体の特性は:i)室温で液体の形態かまたは低融点固体である。より好ましくは前記前駆体は堆積プロセス中は(すなわちプロセス条件では)液体の形態にあるであろう;ii)高い揮発性;iii)取り扱いおよび配送の間での分解を避けるのに十分な熱安定性;iv)CVD/ALDプロセスの間での適切な反応性を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1金属前駆体は以下の前駆体のうちの1種であろうし、それらの構造をさらに以下に示す:
(2)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(3)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(4)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(5)(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(6)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(7)(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(8)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(9)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;
(10)(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;
(11)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;
(12)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;
(13)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;
(14)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;
(15)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;
【化2】

【0023】
(16)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(17)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(18)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(19)(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(20)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(21)(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(22)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(23)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;
(24)(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;
(25)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;
(26)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;
(27)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;
(28)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;
(29)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;
【化3】

【0024】
(30)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(31)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(32)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(33)(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(34)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(35)(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(36)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(37)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(38)(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(39)(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(40)(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;
(41)(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;
(42)(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;
(43)(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム。
【化4】

【0025】
本発明のいくつかの実施形態は、揮発性でありかつALDプロセスに好適な液体または低融点固体の金属前駆体を調製するための、ヘテロレプティックアミジナート(またはグアニジナート)/シクロペンタジエニル金属前駆体の合成を説明する。いくつかの実施形態において、分子式は:
【化5】

【0026】
であり、ここでMは元素Mn、Fe、Ni、Co、Pd、Pt、Ag、Au、Ru、Os、Rh、Ir、およびReの中より選択される金属であり、および好ましくは、Mは元素Ni、Co、およびRuより選択される。(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子(好ましくはR1=R3=イソプロピルでありおよびR2=メチルであるビスイソプロピルアセトアミジナート)であり、および(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子(好ましくはR4=メチルでありおよびR5=R6=R7=R8=Hであるメチルシクロペンタジエニルか;またはR4=HでありおよびR5=R6=R7=R8=メチルであるテトラメチルシクロペンタジエニル)である。R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8の各々はH、C1−C5アルキル基、およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択される。R2はH、C1−C5アルキル基、およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択される。Lは中性配位子(たとえばTHF、ジエチルエーテル、トリグライム、テトラグライムなど)である。変数mは1、2、3、または4のうちの1つであり、および好ましくは1であり;変数nは1、2、3、または4のうちの1つであり、および好ましくは1であり;ならびに変数kは0、1、2、3、4、または5のうちの1つであり、および好ましくは0である。
【0027】
いくつかの実施形態は以下の方法で行うことができるM(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mkの合成を説明する。
【0028】
方法A:[M(R45678Cp)mnj]p(ここでX=Cl、BrまたはIであり;Qは中性配位子(たとえばPPh3)であり;j、p、およびkは0ないし5より独立して選択され;ならびにmおよびnは1ないし4より独立して選択される)をn等量のN(R1−N−C(R2)=N−R3),ここでN=Li、Na、Kである,と反応させることによる(スキーム1)。
【化6】

【0029】
方法B1およびB2:
−方法B1:M(R45678Cp)m+n(ここでmおよびnは1ないし4より独立して選択され;ならびにkは0ないし5より独立して選択される)をn等量のN(R1−N−C(R2)=N−R3),ここでN=H、Li、Na、Kである,と反応させることによる(スキーム2)。
【化7】

【0030】
−方法B2:M(R1−N−C(R2)=N−R3m+n(ここでmおよびnは1ないし4より独立して選択され;ならびにkは0ないし5より独立して選択される)をm等量のN(R45678Cp),ここでN=H、Li、Na、Kである,と反応させることによる(スキーム2−2)。
【化8】

【0031】
方法C1およびC2:
−方法C1:[MXm+np(ここでX=Cl、Br、Iであり;j、p、およびkは0ないし5より独立して選択され;ならびにmおよびnは1ないし4より独立して選択される)をm等量のN(R45678Cp)(ここでN=Li、Na、Kである)と(中間生成物の単離なしに段階的な反応で)最終的には還流下でその場で反応させて、最終的には濾過が続き、および濾液をn等量のN(R1−N−C(R2)=N−R3)(ここでN=Li、Na、Kである)と反応させる(スキーム3−1)。
【化9】

【0032】
−方法C2:MXm+n(ここでX=Cl、Br、Iであり;j、p、およびkは0ないし5より独立して選択され;ならびにmおよびnは1ないし4より独立して選択される)をn等量のN(R1−N−C(R2)=N−R3)(ここでN=Li、Na、Kである)と(中間生成物の単離なしに段階的な反応で)最終的には還流下でその場で反応させて、最終的には濾過が続き、および濾液をm等量のN(R45678Cp)(ここでN=Li、Na、Kである)と反応させる(スキーム3−2)。
【化10】

【0033】
前記前駆体は純粋な形態かまたは好適な溶媒:好ましくはエチルベンゼン、キシレン、メシチレン、デカン、ドデカンとの様々な濃度でのブレンドで配送することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は一般式、(1)M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mkを有する前駆体を使用して金属含有膜を堆積させる方法も説明する。
【0035】
いくつかの実施形態において、堆積される膜は一般式M、MkSil、MnmまたはMxyzであろうし、ここでk、l、m、n、x、yは1ないし6の範囲内にある。
【0036】
開示された前駆体は当業者に知られている任意の堆積方法を使用して薄膜を形成するように堆積されるであろう。好適な堆積方法の例は、限定なしに、従来のCVD、低圧化学気相堆積(LPCVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、原子層堆積(ALD)、パルス化学気相堆積(P−CVD)、プラズマ強化原子層堆積(PE−ALD)またはこれらの組み合わせを含む。
【0037】
ある実施形態では、第1前駆体は反応器に蒸気の形態で導入される。蒸気の形態にある前駆体は液体前駆体溶液を従来の気化工程たとえば直接気化、蒸留により気化させることによって製造することができるし、または不活性ガス(たとえばN2、He、Arなど)を前駆体溶液中にバブリングしかつ不活性ガスに前駆体を加えた混合物を前駆体蒸気溶液として反応器に供給することによって製造することもできる。不活性ガスによるバブリングはさらに前駆体溶液中に存在するいくらかの溶存酸素を除去することもできる。
【0038】
反応器は、堆積方法が行われるデバイス内の、たとえば限定なしに、コールドウォール式反応器、ホットウォール式反応器、枚葉式反応器、マルチウェハ反応器、または前駆体を反応させて層を形成するのに好適な条件下にある他の種類の堆積システムなどの任意のエンクロージャまたはチャンバでありうる。
【0039】
一般に、反応器は1枚以上の基板を収容し、そこに薄膜が堆積される。1枚以上の基板は半導体、光電池、フラットパネルまたはLCD−TFTデバイス製造において使用される任意の好適な基板であろう。好適な基板の例は、限定なしに、シリコン基板、シリカ基板、窒化シリコン基板、酸化窒化シリコン基板、タングステン基板、またはこれらの組み合わせを含む。加えて、タングステンまたは貴金属(たとえば白金、パラジウム、ロジウムまたは金)を有する基板が使用されてもよい。基板は前段の製造工程からそれに既に堆積されている様々な材料の1つ以上の層をさらに有してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態においては、第1前駆体に加えて、反応性ガスが反応器にさらに導入されることがある。これらの実施形態のいくつかにおいては、反応性ガスは酸化性ガスたとえば酸素、オゾン、水、過酸化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、これらのラジカル種のうちの1種、およびこれらの何れか2種以上の混合物などでもよい。これらの実施形態の他のいくつかにおいては、反応性ガスは還元性ガスたとえば水素、アンモニア、シラン(たとえばSiH4;Si26;Si38)、SiH2Me2;SiH2Et2;N(SiH33;これらのラジカル種のうちの1種、およびこれらの何れか2種以上の混合物などでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態においては、および堆積されることが所望される膜の種類に応じて、第2前駆体が反応器に導入されてもよい。第2前駆体は別の金属ソース、たとえば銅、プラセオジム、マンガン、ルテニウム、チタン、タンタル、ビスマス、ジルコニウム、ハフニウム、鉛、ニオブ、マグネシウム、アルミニウム、ランタン、またはこれらの混合物を有する。第2金属含有前駆体が利用される実施形態では、基板上に堆積して得られる膜は少なくとも2種類の異なる金属を含有することができる。
【0042】
第1前駆体および任意の反応物質または前駆体は逐次的に(ALDでのように)または同時に(CVDでのように)反応チャンバに導入されてもよい。いくつかの実施形態において、反応チャンバは前駆体の導入と反応物質の導入との合間に不活性ガスでパージされる。ある実施形態では、反応物質および前駆体を混合して反応物質/前駆体混合物を形成した後、混合物の形態で反応器に導入してもよい。いくつかの実施形態では、反応物質は、反応物質をそのラジカルの形態に分解するために、プラズマによって処理されるであろう。これらの実施形態のうちのいくつかでは、プラズマは反応チャンバから離れたところに、たとえば、遠隔設置されたプラズマシステム内に一般に存在するであろう。他の実施形態では、プラズマは反応器自体の中で発生してもよいしまたはそこに存在してもよい。当業者はこのようなプラズマ処理に好適な方法および装置を一般に認識しているであろう。
【0043】
特定のプロセスパラメータに応じて、堆積は様々な長さの時間にわたって行われるであろう。一般に、必要な特性をもつ膜を製造するのに所望されるだけまたは必要なだけ、堆積は継続されるであろう。典型的な膜厚は、特定の堆積プロセスに応じて、数百オングストロームないし数百ミクロンにわたって多様であろう。また堆積プロセスは所望される膜を得るのに必要な回数行われるであろう。
【0044】
いくつかの実施形態において、反応器内の温度および圧力はALDまたはCVD堆積にとって好適な条件に維持される。たとえば、反応器内の圧力は、堆積パラメータに必要されるのに応じて、約1Paないし約105Paの間、または好ましくは約25Paないし103Paの間に保たれるであろう。同様に、反応器内の温度は約100℃ないし約500℃の間、好ましくは約150℃ないし約350℃の間に保たれるであろう。
【0045】
いくつかの実施形態において、前駆体蒸気溶液および反応ガスを逐次的にまたは同時(たとえばパルスCVD)に反応器へパルスしてもよい。前駆体の各パルスは約0.01秒ないし約10秒、あるいは約0.3秒ないし約3秒、あるいは約0.5秒ないし約2秒の範囲内にある時間間隔にわたって持続するであろう。別の実施形態においては、反応性ガスも、反応器へパルスしてもよい。このような実施形態では、各ガスのパルスは約0.01秒ないし約10秒、あるいは約0.3秒ないし約3秒、あるいは約0.5秒ないし約2秒の範囲内にある時間間隔にわたって持続するであろう。
【0046】

以下の非制限的な例は本発明の実施形態をさらに説明するために与えられる。しかし、これらの例は包括的であることを意図していないし、ここに説明した発明の範囲を制限することを意図していない。
【0047】
例1
(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケルの合成
100mLのシュレンク管に0.974gのビスイソプロピルカルボジイミド(7.716mmol)を10mLのTHFと共に導入した。MeLi(エーテル中1.6M)4.82mL(7.716mmol)を−78℃で滴下して導入した。白色沈殿物が形成された。それを1時間("h)かけて室温まで暖めた。この第1溶液に1.0gのNiCl2(7.716mmol)を添加した。それを60℃で攪拌しながら16時間にわたって還流した。色が暗茶色へとゆっくりと変わった。次にLiCp555mg(7.716mmol)を導入しおよび最終溶液を一夜(約12時間)室温で反応させた。色が暗緑色へと変わった。溶媒を減圧下で除去してペンタンを添加した(20mL)。溶液をセライト上で濾過してこのセライトをペンタン(10mL)で洗浄した。ペンタンを減圧下で除去して暗緑色の粘着性のある固体を得た。それを40℃/10mTorrで昇華させて665mg(35%)の暗緑色の粘着性固体を得た。1H NMR C66 δppm=8.0(s、2H)、3.49(s、3H)、0.91(s、12H)、0.12(s、5H)、MP=13℃。
【0048】
例2
(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケルの合成
100mLのシュレンク管に0.974gのビスイソプロピルカルボジイミド(7.716mmol)を10mLのTHFと共に導入した。MeLi(エーテル中1.6M)4.82mL(7.716mmol)を−78℃で滴下して導入した。白色沈殿物が形成された。それを1hかけて室温まで暖めた。この第1溶液に1.0gのNiCl2(7.716mmol)を添加した。それを60℃で攪拌しながら16時間にわたって還流した。色が暗茶色へとゆっくりと変わった。次にLiMeCp664mg(7.716mmol)を導入しおよび最終溶液を一夜(約12時間)室温で反応させた。色が暗緑色へと変わった。溶媒を減圧下で除去しておよびペンタンを添加した(20mL)。溶液をセライト上で濾過してこのセライトをペンタン(10mL)で洗浄した。ペンタンを減圧下で除去して暗緑色の液体を得た。それを100℃/20mTorrで蒸留して1.27g(59%)の暗緑色の液体を得た。1H NMR C66 δppm=9.52(s、2H)、9.04(s、3H)、4.21(s、3H)、1.0(s、12H)、−1.73(s、2H)、−1.90(s、2H)、MP=9℃。
【0049】
例3
(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケルの合成
100mLのシュレンク管に1.948gのビスイソプロピルカルボジイミド(15.431mmol)を20mLのTHFと共に導入した。MeLi(エーテル中1.6M)9.64mL(15.431mmol)を−78℃で滴下して導入した。白色沈殿物が形成された。それを1hかけて室温まで暖めた。この第1溶液に2.0gのNiCl2(15.431mmol)を添加した。それを60℃で攪拌しながら16時間にわたって還流した。色が暗茶色へとゆっくりと変わった。次にLiEtCp1.544g(15.431mmol)を導入しおよび最終溶液を一夜(約12時間)室温で反応させた。色が暗緑色へと変わった。溶媒を減圧下で除去しておよびペンタンを添加した(20mL)。溶液をセライト上で濾過してこのセライトをペンタン(10mL)で洗浄した。ペンタンを減圧下で除去して暗緑色の液体を得た。それを100−110℃/14mTorrで蒸留して1.24g(27%)の暗緑色の液体を得た。1H NMR C66 δppm=10.02(s、2H)、9.08(s、2H)、4.42(s、3H)、1.84(s、3H)、1.02(s、12H)、−2.15(s、2H)、−2.46(s、2H)。
【0050】
例4
(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルトの合成
100mLのシュレンク管に1.943gのビスイソプロピルカルボジイミド(15.4mmol)を10mLのTHFと共に導入した。MeLi(エーテル中1.6M)9.625mL(15.4mmol)を−78℃で滴下して導入した。それを1h室温で反応させた。この第1溶液にCoCl2を2.0g(15.4mmol)を添加した。色が暗緑色へと変わった。それを80℃で攪拌しながら5時間にわたって還流させた。NaCp1.360mg(15.4mmol)を導入しおよび最終溶液を一夜(約12時間)室温で攪拌した。色が暗赤色/茶色へと迅速に変わった。溶媒を減圧下で除去しておよびペンタンを添加した(20mL)。溶液をセライト上で濾過しておよびペンタンを減圧下で除去して暗赤色/茶色の液体を得た。それを100℃/6mTorr(6mTorrでのbp=65℃)で蒸留して1.850g(45%)の暗赤色の液体を得た。1H NMR C66 δppm=4.33(s、12H)、−23.53(s、5H)、−51.04(s、2H)、−69.89(s、3H)。MP=7℃。
【0051】
例5
SiO2上での(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケルを使用するPEALD実験
様々な堆積(PEALD式)をこの分子を用いて行い、その結果を下に示す。
【表1】

【0052】
例6
SiO2上での(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナートコバルト)を使用するPEALD実験
様々な堆積(PEALD式)をこの分子を用いて行い、その結果を下に示す。
【表2】

【0053】
本発明の実施形態を示して説明してきたが、当業者は本発明の精神または教示から逸脱することなくその変更を行うことができる。ここで説明した実施形態は例示的なだけで限定的ではない。組成物および方法の多くの変形および変更が可能であり、本発明の範囲内にある。したがって、保護の範囲はここで説明した実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲に内容の全ての等価物を包むであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属含有膜を形成する方法であって:
a)反応器とそこに配置された少なくとも1枚の基板とを準備することと;
b)金属含有前駆体を前記反応器に導入することと,
ここで前記金属含有前駆体は一般式:
M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mk; (I)
の前駆体を有し、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−Lは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;および
−0≦k≦5である;
c)前記反応器を少なくとも100℃の温度に維持することと;
d)前記前駆体を前記基板と接触させて金属含有膜を形成することと;
を有する方法。
【請求項2】
前記金属含有前駆体は一般式:
M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mk; (I)
の前駆体を有し、ここで:
−Mは:Ni;Co;およびRuからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)は、R1=R3=イソプロピルでありおよびR2=メチルである、ビスイソプロピルアセトアミジナートであり;
−(R45678Cp)は:R4=MeでありおよびR5=R6=R7=R8=Hであるメチルシクロペンタジエニルか;またはR4=HでありおよびR5=R6=R7=R8=Meであるテトラメチルシクロペンタジエニルの何れかであり;
−m=n=1であり;および
−k=0である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応器を約100℃ないし約500℃の間にある温度に維持することをさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応器を約150℃ないし約350℃の間にある温度に維持することをさらに有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応器を約1Paないし約105Paの間にある圧力に維持することをさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応器を約25Paないし約103Paの間にある圧力に維持することをさらに有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の還元性ガスを前記反応器に導入することをさらに有し、ここで前記還元性ガスはH2;NH3;SiH4;Si26;Si38;SiH2Me2;SiH2Et2;N(SiH33;水素ラジカル;およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属含有前駆体および前記還元性ガスは実質的に同時にチャンバに導入され、および前記チャンバは化学気相堆積のために構成されている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属含有前駆体および前記還元性ガスは実質的に同時にチャンバに導入され、および前記チャンバはプラズマ強化化学気相堆積のために構成されている請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有前駆体および前記還元性ガスは逐次的にチャンバに導入され、および前記チャンバは原子層堆積のために構成されている請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記金属含有前駆体および前記還元性ガスは逐次的にチャンバに導入され、および前記チャンバはプラズマ強化原子層堆積のために構成されている請求項7に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種の酸化性ガスを前記反応器に導入することをさらに有し、ここで前記酸化性ガスは:O2;O3;H2O;NO;酸素ラジカル;およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属含有前駆体および前記酸化性ガスは実質的に同時にチャンバに導入され、および前記チャンバは化学気相堆積のために構成されている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属含有前駆体および前記酸化性ガスは実質的に同時にチャンバに導入され、および前記チャンバはプラズマ強化化学気相堆積のために構成されている請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1金属含有前駆体および前記酸化性ガスは逐次的にチャンバに導入され、および前記チャンバは原子層堆積のために構成されている請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1金属含有前駆体および前記酸化性ガスは逐次的にチャンバに導入され、および前記チャンバはプラズマ強化原子層堆積のために構成されている請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記金属含有前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ニッケル;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケル;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属含有前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−コバルト;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルト;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−コバルトからなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記金属含有前駆体は:(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(イソプロピルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(テトラメチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−イソプロピルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(エチルシクロペンタジエニル)−(メチル−エチルアセトアミジナート)−ルテニウム;(シクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;(メチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウム;および(エチルシクロペンタジエニル)−(ビス−イソプロピルホルムアミジナート)−ルテニウムからなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ヘテロレプティックシクロペンタジエニル遷移金属前駆体を合成する方法であって、金属含有前駆体を形成するための少なくとも1つの反応を行うことを有し、ここで前記金属含有前駆体は一般式:
M(R1−N−C(R2)=N−R3n(R45678Cp)mk; (I)
の前駆体を有し、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−Lは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;および
−0≦k≦5である方法。
【請求項21】
前記前駆体は合成反応:
【化1】

によって形成され、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−XはCl;Br;およびIより独立して選択され;
−NはLi;Na;およびKより独立して選択され;
−LおよびQは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;
−0≦k≦5であり;
−0≦j≦5であり;および
−0≦p≦5である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記前駆体は合成反応:
【化2】

によって形成され、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1
3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−NはH;Li;Na;およびKより独立して選択され;
−Lは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;および
−0≦k≦5である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記前駆体は合成反応:
【化3】

によって形成され、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−NはH;Li;Na;およびKより独立して選択され;
−Lは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;および
−0≦k≦5である請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記前駆体は合成反応:
【化4】

によって形成され、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−XはCl;Br;およびIより独立して選択され;
−NはLi;Na;およびKより独立して選択され;
−LおよびQは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;
−0≦k≦5であり;
−0≦j≦5であり;および
−0≦p≦5である請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記前駆体は合成反応:
【化5】

によって形成され、ここで:
−Mは:Mn;Fe;Ni;Co;Cu;Pd;Pt;Ag;Au;Ru;Os;Rh;Ir;およびReからなる群より選択される少なくとも1種であり;
−(R1−N−C(R2)=N−R3)はアミジンまたはグアニジン配位子であり;
−(R45678Cp)は、置換されたまたは置換されていない、シクロペンタジエニル配位子であり;
−R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はH;C1−C5アルキル基;およびSi(R')3より独立して選択され、ここでR'はH、およびC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−R2はH;C1−C5アルキル基;およびNR'R''より独立して選択され、ここでR'およびR''はC1−C5アルキル基より独立して選択され;
−XはCl;Br;およびIより独立して選択され;
−NはLi;Na;およびKより独立して選択され;
−LおよびQは中性配位子であり;
−1≦m≦4であり;
−1≦n≦4であり;
−0≦k≦5であり;
−0≦j≦5であり;および
−0≦p≦5である請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529135(P2011−529135A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519277(P2011−519277)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053252
【国際公開番号】WO2010/010538
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】