説明

配信システム

【課題】一連番号を含むナンバープレート情報をアップリンクする。
【解決手段】配信システム100のセンター装置30は、制御部31は、車両Cの一連番号を含むナンバープレート情報を要求するセンター装置である旨を示す識別情報を通信部35に送信させる。車載器10は、記憶部3cにナンバープレート情報を記憶し、ナンバープレート情報を送信するか否かをセンター装置30から受信した識別情報に基づいて判断し、送信すると判断した場合、このナンバープレート情報をDSRC通信部3bに送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DSRC(Dedicated Short Range Communications)を用いたVICS(Vehicle Information and Communication System)サービスにおいて、車載器は、車両に関する各種情報をサーバに対して送信(アップリンク)する。サーバにアップリンクされる情報には、車載器を特定するための車載器情報や車両に関する車両情報が含まれる。他にも、車載器のメモリに記憶された車両の走行履歴情報及び挙動履歴情報等が、サーバにアップリンクされる。
【0003】
アップリンクされる車両情報には、車両のナンバープレートに含まれる4桁の一連番号を除く、陸運支局コード、用途コード、及び車種分類番号が含まれる。官公庁が提供するサービス(以降、官サービスという)においては、一連番号を含むナンバープレート情報は、行政機関個人情報保護法で定める個人情報に該当する。したがって、現状においては、官サービスにおいてアップリンクされる車両情報には、この一連番号は含まれていない。
【0004】
一方、民間が提供するサービス(以降、民サービスという)においては、ナンバープレート情報のみを取り扱う場合には、個人情報には該当しない。ただし、他の情報(クレジットカードの名義人等)と複合的に組み合わせて使用する場合には、個人情報に該当する可能性がある。
また、個人情報に該当しなくても、プライバシーの侵害になる可能性もあることから、プライバシー保護を目的に、アップリンクして良い路側機かどうかを判断して一連番号をアップリンクする必要がある。
【0005】
時間貸し駐車場をはじめとする民サービスにおいては、車両のナンバープレートをカメラで撮影し、画像認識によってナンバープレート情報を取得する。民サービスの提供者は、このナンバープレート情報に基づいて、車両の入退場管理を行っている。しかし、カメラによって撮影された画像が不鮮明である場合には、画像認識によってナンバープレート情報を取得できない。このため、民サービスの提供者は、車両のナンバープレート情報を取得してサービス提供を行うことができない可能性がある。
【0006】
また、車載器から一連番号を含むナンバープレート情報をアップリンクすることにより、民サービスの提供者は、長時間駐車している車両を特定することができる。他にも、車両のハザードランプの消し忘れ等により、ドライバーを呼び出す必要がある場合に、ナンバープレート情報を店内放送等によってドライバーに通知することができる。これらのサービスを行うためには、現在アップリンクしている情報に加え、一連番号を含むナンバープレート情報を車両からサービス提供者に対して通知しなければならない。
【0007】
近年、車両には、OBD(On Board Diagnosis)2インターフェイスが標準で搭載されている。このインターフェイスにより、車両に搭載された各種センサによって部品の異常が発見された際には、エラー情報がエンジンコンピュータに記憶される。この記憶されたエラー情報は、無線通信等を介して、サーバに通知される。つまり、DSRCアンテナの下を車両が通過することによって車両の状態をサーバに対して送信し、車両の点検(簡易健康診断)を行うことができる。この点検の際にも、サーバに対して一連番号を含むナンバープレート情報を送信しなければ、車両を特定することができない。
【0008】
特許文献1には、DSRC通信によって車載器を識別する情報や車両の速度等を管理サーバに対してアップリンクすることにより、正確な道路交通情報の提供を可能とする道路交通情報提供システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−258726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、車両の速度等をアップリンクすることはできるが、一連番号を含むナンバープレート情報をアップリンクすることはできないため、ドライバーに対して一連番号を含むナンバープレート情報に基づいたサービスを提供することができない。車載器を識別するための車載器管理番号をはじめとするID情報によって車両を特定することも考えられるが、これらのID情報は、例えば数十桁の数字であり、ドライバーが記憶するのは困難である。つまり、車両を特定できる情報のうち、ナンバープレート情報のようにドライバーが記憶しやすい情報をアップリンクすることはできない。サーバは、ナンバープレート情報を取得しなければ、車両の特定を行ってドライバーに対して便利なサービス提供をすることができない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、一連番号を含むナンバープレート情報をプライバシーの保護を考慮してアップリンクすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
センター装置と、車両に備えられる車載器と、が路側無線装置を介してデータ送受信可能に接続される配信システムにおいて、
前記センター装置は、
前記車載器とデータ送受信を行う第1通信手段と、
前記車両の一連番号を含むナンバープレート情報を要求するセンター装置である旨を示す識別情報を前記第1通信手段に送信させる第1制御手段と、
を備え、
前記車載器は、
前記センター装置とデータ送受信を行う第2通信手段と、
前記ナンバープレート情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたナンバープレート情報を送信するか否かを前記第2通信手段を介して受信した識別情報に基づいて判断し、送信すると判断した場合、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させる第2制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第1制御手段は、前記記憶手段における所定の記憶領域に格納された情報を読み出す旨の指示を前記第1通信手段を介して送信させ、
前記第2制御手段は、前記記憶手段における所定の記憶領域にナンバープレート情報を格納し、前記センター装置から受信した指示に対応する記憶領域へのメモリアクセスを許可することによって、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第2制御手段は、前記車載器の機器特性に関する情報である特性情報を格納する記憶領域に前記ナンバープレート情報を格納し、当該特性情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記識別情報は、前記センター装置を使用するサービス事業者に一意に割り当てられた取得者IDであることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記記憶手段は、前記ナンバープレート情報を送信したセンター装置に対応する取得者IDの履歴を記憶し、
前記第2制御手段は、前記第2通信手段を介して受信した取得者IDが前記記憶手段に記憶されていると判断した場合、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記識別情報は、前記記憶手段の記憶領域のうち予め定められた特定の領域に前記センター装置がアクセスする旨を指示するためのものであることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記識別情報は、前記センター装置から送信されたコンテンツ情報に含まれる事業者コードであることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明において、
前記車載器は、入力部を更に備え、
前記第2制御手段は、前記入力部から所定の指示が入力された場合に、前記第2通信手段を介して前記センター装置に対して前記ナンバープレート情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一連番号を含むナンバープレート情報をプライバシーの保護を考慮してアップリンクすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】配信システムの構成図である。
【図2】路側無線装置及び路側エリアを説明するための図である。
【図3】車載器の構成を示す図である。
【図4】センター装置の機能的構成を示す図である。
【図5】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理のフローチャートを示す。
【図6】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理Bのフローチャートを示す。
【図7】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理Cのフローチャートを示す。
【図8】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理Dのフローチャートを示す。
【図9】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理Eのフローチャートを示す。
【図10】図3の制御部によって実行されるナンバープレート情報通知処理Fのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
【0023】
図1に、本実施形態における配信システム100の構成図を示す。
配信システム100は、図1に示すように、車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20A、20B、センター装置30を含んで構成されている。配信システム100は、センター装置30から路側無線装置20A又は20Bを介して車載器10に各種情報を配信するものである。以降では、路側無線装置20A、20B、及びセンター装置30をまとめて単に路側システムという。
【0024】
図1に示すように、センター装置30は、DSRC専用のネットワークN1を介して路上や駐車場、道の駅等に複数設置された路側無線装置20A、20Bと接続されている。各路側無線装置20A、20Bは、DSRCによる通信機能を備えた車載器10と無線通信可能に構成され、車載器10と通信が確立すると、その旨をセンター装置30に通知し、センター装置30から各種情報を受信して車載器10に送信する。路側無線装置20Aは、DSRC専用の独自プロトコルにより車載器10及びセンター装置30と通信(DSRC非IP通信という)を行う。路側無線装置20Bは、インターネットプロトコル(IP)により車載器10及びセンター装置30と通信(DSRCIP通信という)を行う。
【0025】
IP通信を行う場合の例としては、DSRCによる専用の通信だけでなく一般的なIP通信にも対応可能な路側無線装置20Bを設け、この路側無線装置20Bを介してセンター装置30と車載器10とがIP通信を行う方法がある。
【0026】
以下、各構成装置について説明する。
図2に、路側無線装置及び路側エリアを説明するための図を示す。
路側無線装置20A、20Bは、図2に示すように本体装置21とアンテナ22とから構成されている。路側無線装置20A、20Bは、道路脇や道路上方に設置されたアンテナ22から、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して、路側無線装置20A、20B近傍に相互通信エリアZを形成する。この相互通信エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。
【0027】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置20A、20BからのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20A、20Bがそれぞれ形成する相互通信エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0028】
本体装置21は、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ22を介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信された各種情報を車載器10に転送する。本体装置21は、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータを適用することができる。なお、路側無線装置20Bは、上述のようにDSRCによる通信による専用の通信だけでなく、DSRCによる通信を介して一般的なIP通信も可能である。
【0029】
車載器10は、車両Cに搭載され、案内経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによる通信やETC(Electric Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
【0030】
図3に、本実施形態における車載器10の構成を示す。
車載器10は、図3に示すように、カーナビゲーション(以下、カーナビと略す)部1、VICSモジュール2、DSRC部3、制御部4、IP通信部5を備えて構成されている。
【0031】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f、音声出力部1g等を備え、車両Cの現在地から目的地までの経路を算出し、当該経路に従って車両Cを目的地へ誘導する等のナビゲーションに係る処理を行う。
【0032】
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから検出した現在地の位置情報及び地図記憶部1cに記憶された地図DB(データベース)等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの経路を算出する。そして、地図記憶部1cに記憶されている地図DBを用いて算出した経路へ誘導するための地図画面を生成し、表示部1eにより表示させる。
【0033】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車両Cの加速度を検出し、方位センサは地磁気の検出を行って車両Cの絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両Cの現在地を示す位置情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0034】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図DB、VICSモジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。
【0035】
入力部1dは、操作キーや表示部1eのモニタと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0036】
表示部1eは、モニタを備え、制御部4やカーナビ制御部1a表示制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信した配信情報のコンテンツの画面等を表示する。
【0037】
記憶部1fは、メモリから構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、車載器ID通信アプリケーション、車載器メモリアクセスアプリケーション、プッシュ型情報配信アプリケーション、これらの各プログラムの実行に必要なパラメータやデータ、路側システムにおいて車載器10を管理するための番号である車載器ID(車載器管理番号)、路側システムから配信されるコンテンツ情報等を記憶している。コンテンツ情報とは、音声データや音楽データ、サービス提供者のクーポン情報等を含む。コンテンツ情報は、予め定められたIDとデータが対応付けられており、後述するセンター装置30から配信される。例えば、コンテンツ情報に含まれるIDが「04」のデータは、このコンテンツ情報の有効期限を示す情報であり、IDが「50」のデータは、駐車場に関する情報等である。
【0038】
車載器ID通信アプリケーションは、センター装置30において車載器10を識別するために、車載器10に一意に割り当てられた車載器IDを路側システムに通知するためのものである。同時に、車載器ID通信アプリケーションは、車載器IDを取得した路側システムを一意に特定できる取得者IDを車載器10に通知するものである。この取得者IDは、記憶部1fに記憶される。車載器ID通信アプリケーションは、車載器IDをセンター装置30に対して通知する機能や、車載器IDの登録/削除等のメンテナンスをする機能を備える。
【0039】
また、車載器ID通信アプリケーションが実行されると、センター装置30から取得者IDがDSRC部3を介して取得される。取得者IDは、車載器10に対し、車載器IDを登録・取得する事業者に一意に割り当てられた情報であり、センター装置30の記憶部34に記憶されている。取得者IDは、例えば、8バイトのデータから構成され、上位2バイトを代表番号として、サービス事業者に一意に割り当てられたサービス事業者コードに使用し、下位6バイトを副番として、サービス事業者が路側無線装置20A又は20B毎に任意に規定する代表採番用のIDとして使用する。なお、取得者IDの構成はこれに限られず、本システムを運用するユーザが全8バイトを規定する個別採番用IDであってもよい。個別採番用IDとして使用することにより、計8バイトの全てに基づいて、後述するナンバープレート情報通知処理によって、ナンバープレート情報を求めている路側システムか否かを判断することができる。このように定められた取得者IDにより、車載器10は、自己が記憶するナンバープレート情報の取得を求めている相手方を特定し、ナンバープレート情報の送信を求めている路側無線装置20A又は20Bか否かを判別することができる。
なお、取得者IDは、DSRCの運用を管理する団体により附番されるものであり、ナンバープレート情報のうち、一連番号を取得したいサービス事業者は、DSRCの運用を管理する団体と契約を行い、一連番号を取得可能な取得者IDを得る必要がある。事前に得られた取得者IDは、サービス事業者が管理するセンター装置30の記憶部34に記憶される。
【0040】
車載器メモリアクセスアプリケーションは、センター装置30からの要求に応じて記憶部1fや後述する記憶部3cに記憶されている可変長データの読出し及び書き込みを行うためのものである。路側システムから記憶部1f又は記憶部3cへのデータの読出し、書き込み等は、予め路側システム又は車載器10において確保された記憶領域(データ格納領域)毎に実施する。記憶部1fのデータ格納領域は、メモリタグ(以下、単にタグという)と称される識別子によって識別される。
【0041】
記憶部1fは、路側システムからデータ格納領域の確保が可能なメモリ領域である路側確保可能メモリと、路側システムからデータ格納領域の確保が不可能なメモリ領域である車載器管理メモリと、から構成される。路側確保可能メモリは、車載器10を製造後に新たに車載器10内に特定用途のメモリ領域を確保して使用する場合に用いられる。車載器管理メモリは、車載器10の製造時に格納されるデータの読み書き、及び路側システムや車載器10に接続される外部機器とのデータの交換等に用いられる。
【0042】
プッシュ型情報配信アプリケーションは、路側システムから受信したコンテンツ情報の種別に応じた処理を自動的に実行するためのものである。路側システムから受信したコンテンツ情報を受信して即時に実行してもよいし、既に記憶部1fに記憶されているコンテンツがプッシュ型情報配信アプリケーションにおいて指定されることによって実行されるようにしてもよい。路側システムから受信するコンテンツ情報には、コンテンツの種別(タイプ)を識別する情報が含まれている。この情報により、車載器10は、プッシュ型アプリケーションの処理によって受信したコンテンツ情報のコンテンツタイプを識別することができる。
【0043】
車載器10と路側システムとのDSRC接続が確立した際に、車載器10の特性情報(クライアントインフォメーション)を路側システムに対して送信する。
この特性情報には、車載器10が再生できるコンテンツの種類と搭載しているアプリケーションの情報が含まれる。
センター装置30は、車載器10が特定の記憶領域のうち予め定められた特定の領域に書き込んだ車載器10に関する情報を、車載器メモリアクセスアプリケーションにより読み込むことが可能となる。この動作は、一般的には、アップリンクと称される。
【0044】
なお、記憶部1fが記憶するアプリケーションは、上記に限られない。例えば、路側システムからの要求に応じて後述するICカードI/F部3eに挿入されたクレジットカード等の情報を読み込むためのICカードアクセスアプリケーション等が記憶されてもよい。
【0045】
また、記憶部1fは、制御部4が作成したタグに基づいて各種データを分類して記憶する。タグは、制御部4が作成してもよいし、カーナビ制御部1aが作成してもよい。車載器10から路側システムに対してデータがアップリンクされる際には、路側システムによってタグが指定され、タグに対応する情報を読み出す旨の指示が入力される。この指示に基づいて、制御部4は、車載器10の情報を路側システムにアップリンクする。
【0046】
音声出力部1gは、音声処理部、D/A変換器、増幅器、スピーカ等を備えて構成される。音声出力部1gは、制御部4やカーナビ制御部1aから指示された音声データをD/A変換器によりアナログ信号に変換してスピーカにより音声出力する。また、音声出力部1gは、制御部4やカーナビ制御部1aから指示された表音文字列データに基づいて音声処理部により合成音声信号を生成し、スピーカにより音声出力する。
【0047】
VICSモジュール2は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、VICSセンターと光通信、FM通信、電波通信を行う。VICSモジュール2はVICSセンターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。
【0048】
DSRC部3は、DSRC制御部3a、DSRC通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3d、ICカードI/F部3eを備えて構成されており、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30から各種情報を受信するための通信処理等を行い、センター装置とデータ送受信を行う。
【0049】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、DSRC通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3dにより決済情報の書込処理を行わせる。
【0050】
また、DSRC制御部3aは、センター装置30から各種情報を受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域3c1に記憶されている情報を、DSRC通信部3bにより路側無線装置20A、20Bに送信させる一方、DSRC通信部3bにより路側無線装置20A、20Bを介して各種情報を受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0051】
DSRC通信部3bは、車両Cのダッシュボード上でフロントガラス近傍に固設されたアンテナを備え、このアンテナにより路側無線装置20A、20Bを介してセンター装置30やETC基地局等と、DSRCの電波によるデータ送受信を行う。
【0052】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラムや、車両Cのナンバープレート情報等を記憶している。ナンバープレート情報は、車両Cの4桁の一連番号を含み、利用者が、ETC/DSRCの購入時にセットアップを行うことにより、記憶部3cに記憶される。
【0053】
また、記憶部3cには、アップリンク情報記憶領域3c1が設けられている。アップリンク情報記憶領域3c1は、センター装置30に情報を提供するために専用に設けられた記憶領域であり、車載器10の特性情報の他、アップリンク情報等が記憶される。また、後述するナンバープレート情報通知処理によりナンバープレート情報を通知した路側システムに対応する取得者IDは、記憶部3cに蓄積・記憶される。つまり、DSRC制御部3aの制御により、路側システムにナンバープレート情報を送信するたびに、この送信した相手方の取得者IDを記憶部3cに履歴として記憶する。なお、この履歴は、入力部1dからの入力により履歴の削除等の編集が可能である。
【0054】
特性情報とは、クライアントインフォメーションとも称され、車載器10の機器特性に関する情報をいう。特性情報には、車載器10が対応可能なアプリケーションタイプやコンテンツタイプを示す情報、車載器10のHMI(ヒューマンマシンインターフェース)に関する仕様項目を示すサプリメントインフォが含まれる。サプリメントインフォは、例えば、車載器10が対応できる言語、地図の測地系、著作権管理技術、表示部1eのモニタの解像度、SVG(Scalable Vector Graphics)の対応性、各種情報を蓄積可能な記憶容量等の情報が含まれる。このサプリメントインフォを格納するアップリンク情報記憶領域3c1内の領域をサプリメントインフォ領域という。
【0055】
アップリンク情報は、センター装置30において配信する各種情報を選択するために用いる情報であり、例えば、ユーザの嗜好情報等を含む各種情報の配信を希望する際にセンター装置30に送信する情報である。
【0056】
アップリンク情報は、タグと用途区分が対応付けられており、少なくとも官サービス用のタグと民サービス用のタグがある。例えば、官サービス用のタグは「C0 00 00 00 00 00 00 00」〜「C0 00 00 00 00 00 00 FF」であり、民サービス用のタグは「C0 00 00 00 00 01 00 00」〜「C0 00 00 00 00 01 00 FF」等のように識別される。民サービス用のタグは、更に細分化され、「C0 00 00 00 00 01 00 00」〜「C0 00 00 00 00 01 00 04」は、カーナビ部1によって提供される民サービスにおいて使用される。このタグ以外、つまり、「C0 00 00 00 00 01 00 05」〜「C0 00 00 00 00 01 00 FF」を、以下では特定タグという。特定タグは、予備用のタグであり、通常のコンテンツ情報配信においては、車載器メモリアクセスアプリケーションによるメモリアクセスは行われない。
【0057】
なお、アップリンク情報は、制御部4によってサービス事業者に応じた内容でサービス事業者毎に生成される。アップリンク情報は、最新の内容となるように制御部4により常に更新されている。
【0058】
ETC処理部3dは、ICカードI/F部3eに挿抜されるIC付きクレジットカード又はETCカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
【0059】
ICカードI/F部3eは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3dとの間で情報のやりとりを仲介する。
【0060】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。例えば、制御部4は、後述するナンバープレート情報通知処理を実行し、センター装置30より受信した取得者IDに基づいて、記憶部3cに記憶されたナンバープレート情報を送信するか否かを判断する。制御部4は、ナンバープレート情報を送信すると判断した場合には、センター装置30に対してナンバープレート情報を送信する。なお、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。その他、制御部4は、センター装置30から受信したコンテンツ情報やVICSモジュール2を介して受信した交通情報等の保存、再生制御等を行う。
【0061】
IP通信部5は、携帯電話やPHS、LANカード等の無線通信デバイス40を接続可能に構成され、当該無線通信デバイス40、無線通信アクセスポイント20Cを介してセンター装置30とIP通信を行う。
【0062】
図4に、センター装置30の機能的構成を示す。
センター装置30は、制御部31、入力部32、表示部33、記憶部34、通信部35等を備えて構成されている。センター装置30は、車載器10から路側無線装置を介して受信した特性情報、アップリンク情報に応じて、記憶部34に保存されているコンテンツ情報や取得者IDを読み出し、車載器10に配信したりする。
【0063】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、記憶部34に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部を集中制御する。
例えば、制御部31は記憶部34に保存されている駐車場情報を読み出し、車載器10に配信する制御を行ったり、車載器10と路側システムとの間のDSRC通信の接続/遮断の制御を行う。
【0064】
入力部32はキーボード等を備えて操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部31に出力する。
【0065】
表示部33はディスプレイを備え、制御部31の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0066】
記憶部34は、制御部31により実行されるプログラムの他、プログラムの実行に必要な各種データ、コンテンツ情報を記憶する。ユーザが所有する車載器10の車載器ID等の情報をユーザ毎にデータベース化して記憶する。また、記憶部34は、取得者IDを記憶し、車載器10からの要求に応じて取得者IDを通信部35を介して送信する。
【0067】
通信部35は、センター装置30がネットワークN1に接続された路側無線装置20A、20Bを介して車載器10とデータ送受信を行うための通信制御を行う。
【0068】
次に動作について説明する。
図5に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理のフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理は、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。以下においては、路側無線装置20A又は20Bが駐車場に設置され、車両CがこのエリアZ内に進入した際の例を示す。
【0069】
まず、車両Cが相互通信エリアZに進入して、路側無線装置20A又は20BとのDSRC通信が開始したか否かが判断される(ステップS101)。
開始したと判断された場合(ステップS101;YES)、車載器10の機器認証及び鍵交換が行われ、正常なユーザであると認証されたか否かが判断される(ステップS102)。ステップS102における機器認証は、記憶部1f等に記憶されている情報(パスワード等)に基づいて行われ、ステップS102において交換された鍵に基づいて以降の路側システムとの通信が暗号化されて行われる。
【0070】
開始したと判断されない場合(ステップS101;NO)、認証されたと判断されない場合(ステップS102;NO)、処理はステップS101に戻り、路側無線装置20A又は20BとのDSRC通信が開始したか否かが判断される。
【0071】
認証したと判断した場合(ステップS102;YES)、記憶部1fから車載器IDが(車載器管理番号)が読み出され、DSRC通信部3bを介して路側無線装置20A又は20Bに送信される(ステップS103)。アップリンク情報記憶領域3c1に書き込まれている特性情報(クライアントインフォメーション)が路側無線装置20A又は20Bに対して送信される(ステップS104)。
【0072】
次いで、車載器ID通信アプリケーションの処理により取得者ID(識別情報)が路側システムより取得される(ステップS105)。この取得された取得者IDに基づいて、センター装置30がナンバープレート情報取得路側機か否かが判断される(ステップS106)。ステップS106における判断は、路側システムから送信される識別情報に基づいて所定の方法によって判断される。例えば、記憶部3cに予め取得者IDとナンバープレート情報取得路側機であるか否かを示す情報とが対応付けられて記憶され、この情報に基づいて判断してもよいし、取得者IDの特定のビット数に、ナンバープレート情報取得路側機であるか否かを示す情報を含ませることによって判断されるようにしてもよい。
【0073】
ナンバープレート情報取得路側機であると判断された場合(ステップS106;YES)、この取得者IDが記憶部3cに記憶された履歴に合致するか否かが判断される(ステップS107)。
【0074】
履歴に合致すると判断された場合(ステップS107;YES)、一連番号を含むナンバープレート情報が記憶部3cから読み出され、アップリンク情報記憶領域3c1の予め定められた特定のタグに書き込まれる(ステップS108)。例えば、先述したように、タグが「C0 00 00 00 00 01 00 05」〜「C0 00 00 00 00 01 00 FF」の特定タグのいずれかに書き込まれる。
【0075】
次いで、メモリアクセスアプリケーションの処理によって、この書き込まれた特定のタグにアクセスされてナンバープレート情報が路側無線装置20A又は20Bに対して通知される(ステップS109)。具体的には、センター装置30からこのタグに格納された情報を読み出す旨の指示が受信され、このタグに対するメモリアクセスを許可し、ナンバープレート情報を読み出してセンター装置30に対して送信する。
【0076】
一方、合致すると判断されない場合(ステップS107;NO)、表示部1eに確認画面(図示せず)が表示されてナンバープレート情報の送信を許可する旨の指示が入力部1dから入力されたか否かが判断される(ステップS110)。ステップS110においては、入力部1dから所定の指示が入力されたか否かによって判断されればよく、例えば、確認画面に「ナンバープレート情報をアップリンクしますか?」のようなメッセージを表示させることにより、ユーザに入力部1dからの入力を促すようにしてもよいし、音声出力部1gにより音声によって通知されるようにしてもよい。
入力されたと判断された場合(ステップS110;YES)、処理はステップS108に移行し、ナンバープレート情報が予め定められた特定のタグに書き込まれる。
【0077】
一方、ナンバープレート情報取得路側機であると判断されない場合(ステップS106;NO)、入力されたと判断されない場合(ステップS110;NO)、I/CカードI/F部3eを介してクレジットカード情報が正確に認証されたか否かが判断される(ステップS111)。
正確に認証されたと判断された場合(ステップS111;YES)、表示部1eに支払い方法の確認画面(図示せず)が表示されて入力部1dからの入力が待ち受けられる(ステップS112)。
【0078】
入力部1dから、支払い方法がクレジットカードである旨が入力された場合(ステップS112;クレジットカード)、ICカードアクセスアプリケーションの処理により、ICカードI/F部3eからクレジットカードに関する情報が取得され、クレジット決済に必要な情報が路側無線装置20A又は20Bに対して送信される(ステップS113)。
【0079】
正確に認証されたと判断されない場合(ステップS111;NO)、プッシュ型情報配信アプリケーションの処理により、カード確認警告を示す旨の情報が路側無線装置20A又は20Bに対して送信される(ステップS114)。次いで、カード確認警告が規定回数及び規定時間に達したか否かが判断される(ステップS115)。
【0080】
達したと判断されない場合(ステップS115;NO)、処理はステップS111に戻り、クレジットカードが正確に認証されたか否かが判断される。
一方、入力部1dから、支払い方法が現金である旨が入力された場合(ステップS112;現金)、達したと判断された場合(ステップS115;YES)、現金の決済処理が実行される(ステップS116)。次いで、プッシュ型情報配信アプリケーションの処理により、現金決済に必要な情報が路側無線装置20A又は20Bに対して送信される(ステップS117)。
【0081】
駐車場のゲートが開いて車両Cが入場している旨を示す情報が記憶部1fに記憶され(ステップS118)、処理は終了する。
【0082】
以上のように、本実施の形態における配信システムによれば、ナンバープレート情報通知処理が実行され、車載器ID通信アプリケーションによって取得者IDを取得し、ナンバープレート情報取得路側機であるか否かを判断する。この取得者IDに対応する路側システムに対してナンバープレート情報を送信すると判断した場合には、ナンバープレート情報をアップリンク情報記憶領域の特定のタグに書き込み、メモリアクセスアプリケーションの処理により、ナンバープレート情報を路側システムに対して送信することができる。この取得者IDが、個別採番用取得者IDであれば、常にナンバープレート情報をアップリンクする等の設定を行うことにより、利便性の高いナンバープレート情報のアップリンクが可能となる。この場合には、DSRCの運用を管理する団体と利用者の契約に依存する。つまり、ナンバープレート情報をアップリンクするか否かは、この管理団体の信用度に依存することになる。信用度の高い管理団体に、ナンバープレート情報をアップリンクすることにより、プライバシーの保護を考慮することができる。
【0083】
また、路側システムから取得した取得者IDを車載器に記憶し、過去にナンバープレート情報を通知した路側システムに対しては常にナンバープレート情報を通知する等の制御を行うことができる。履歴と合致しない場合には、確認画面において、ナンバープレート情報を通知するか否かを選択させることができる。この履歴を入力部により編集可能とすることにより、車載器が記憶する取得者IDを自由に管理することができる。
【0084】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る好適な配信システムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態における記憶部以外のその他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、SD(Secure Digital)カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリのようなフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータや音声データ等の各種データを、搬送波(キャリアウェーブ)に重畳させて通信回線を介して提供することも可能である。
【0085】
その他、配信システムの細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0086】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係わる配信システムの第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における配信システム100は、ナンバープレート情報通知処理のみが第1の実施の形態と異なる。以下においては、第1の実施の形態と異なるナンバープレート情報通知処理(ナンバープレート情報通知処理Bという)についてのみ説明する。
【0087】
図6に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理Bのフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理Bは、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。
【0088】
図6に示すように、ステップS201〜ステップS207は、それぞれステップS101〜ステップS107と同様なので、説明を省略する。
【0089】
ステップS208においては、ナンバープレート情報が記憶部3cから読み出され、アップリンク情報記憶領域3c1におけるクライアントインフォメーションのサプリメントインフォ領域に格納される(ステップS208)。次に、DSRC通信がセンター装置30により一旦遮断され、再度路側無線装置20A又は20BとのDSRC通信が開始される(ステップS209)。
【0090】
記憶部1fから車載器ID(車載器管理番号)が読み出され、DSRC通信部3bを介して路側無線装置20A又は20Bに送信される(ステップS210)。アップリンク情報記憶領域3c1に書き込まれている特性情報(クライアントインフォメーション)が路側無線装置20A又は20Bに対して送信される(ステップS211)。
ステップS212〜ステップS220は、それぞれステップS110〜ステップS118と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
以上のように、第2の実施の形態における配信システムによれば、サプリメントインフォ領域にナンバープレート情報が書き込まれた特性情報をアップリンクすることによって、路側システムに対してナンバープレート情報を送信することができる。この手法を用いることで、民サービスにおいて使用されるタグ(民間タグ)の定義は不要となる。
【0092】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係わる配信システムの第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態における配信システム100は、ナンバープレート情報通知処理のみが第1の実施の形態と異なる。以下においては、第1の実施の形態と異なるナンバープレート情報通知処理(ナンバープレート情報通知処理Cという)についてのみ説明する。
【0093】
図7に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理Cのフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理Cは、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。
【0094】
図7に示すように、ステップS301〜ステップS304は、それぞれステップS101〜ステップS104と同様なので、説明を省略する。
【0095】
ステップS305においては、車載器メモリアクセスアプリケーションの処理により、記憶部1fにおける予め定められた特定のタグにメモリアクセスがなされたか否かが判断される(ステップS305)。具体的には、センター装置30より、車載器メモリアクセスアプリケーションにより、この特定のタグにメモリアクセスされたか否かによって判断される。
ステップS306は、ステップS110と同様である。ステップS307とステップS308は、それぞれステップS108とステップS109と同様である。以降のステップS309〜ステップS316は、それぞれステップS111〜ステップS118と同様である。
【0096】
以上のように、第3の実施の形態における配信システムによれば、車載器の特定のタグにメモリアクセスがあったか否かに基づいて、路側システムがナンバープレート情報を要求しているか否かを判断することができる。
【0097】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係わる配信システムの第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態における配信システム100は、ナンバープレート情報通知処理のみが第3の実施の形態と異なる。以下においては、第3の実施の形態と異なるナンバープレート情報通知処理(ナンバープレート情報通知処理Dという)についてのみ説明する。
【0098】
図8に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理Dのフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理Dは、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。
【0099】
図8に示すように、ステップS401〜ステップS406は、それぞれステップS301〜ステップS306と同様である。ステップS407〜ステップS410は、それぞれステップS208〜ステップS211と同様である。ステップS411〜ステップS418は、それぞれステップS309〜ステップS316と同様である。
【0100】
以上のように、第4の実施の形態における配信システムによれば、車載器10の特定のタグにメモリアクセスがあったか否か(識別情報)に基づいて、路側システムがナンバープレート情報を要求しているか否かを判断することができる。また、クライアントインフォメーションのサプリメント領域にナンバープレート情報を含ませてアップリンクすることができる。
【0101】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係わる配信システムの第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態における配信システム100は、ナンバープレート情報通知処理のみが第1の実施の形態と異なる。以下においては、第1の実施の形態と異なるナンバープレート情報通知処理(ナンバープレート情報通知処理Eという)についてのみ説明する。
【0102】
図9に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理Eのフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理Eは、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。
【0103】
図9に示すように、ステップS501〜ステップS504は、それぞれ、ステップS101〜ステップS104と同様である。
【0104】
ステップS505においては、コンテンツ情報に含まれる特定の情報により、路側システムが特定される(ステップS505)。この特定の情報(識別情報)は、コンテンツ情報に含ませることができる予め定められた任意の情報であればよく、例えば、センター装置30を識別するための事業者コードに基づいて路側システムが特定される。次いで、この特定された路側システムが、記憶部3cに記憶された履歴と合致するか否かが判断される(ステップS506)。
【0105】
ステップS507〜ステップS517は、それぞれステップS108〜ステップS118と同様である。
【0106】
以上のように、第5の実施の形態における配信システムによれば、路側システムから特定コンテンツ情報を受信したか否かに基づいて路側システムがナンバープレート情報を要求しているか否かを判断することができる。この特定のコンテンツ情報に事業者を識別するための事業者コードを含ませることにより、車載器は、相手方を特定してナンバープレート情報を送信することができる。特定のコンテンツ情報とは、例えば、車載器と路側システムのDSRC通信が確立した際に、車載器の表示部に表示すべき初期画面(Welcome画面)を含むコンテンツ情報に事業者コードを格納したものである。車載器においては、路側システムから受信したコンテンツ情報により表示部にWelcome画面を表示させるとともに、このコンテンツ情報に含まれる事業者コードに基づいて、事業者がナンバープレート情報の取得を求めている事業者であるか否かを判断することができる。さらに、ナンバープレート情報をアップリンクした事業者の履歴を記憶部に記憶しておくことにより、過去にナンバープレート情報を通知した事業者を特定して、この事業者に対してナンバープレート情報をアップリンクすることができる。
【0107】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係わる配信システムの第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態における配信システム100は、ナンバープレート情報通知処理のみが第5の実施の形態と異なる。
【0108】
図10に、車両Cのエンジンが起動されて車載器10の電源が投入された際に、制御部4によって実行されるナンバープレート情報通知処理Fのフローチャートを示す。ナンバープレート情報通知処理Fは、制御部4と記憶部1fに記憶されたプログラムとの協働により実現する。
【0109】
図10に示すように、ステップS601〜ステップS607は、それぞれステップS501〜ステップS507と同様である。ステップS608〜ステップS610は、それぞれステップS209〜ステップS211と同様である。ステップS611〜ステップS619は、それぞれステップS509〜ステップS517と同様である。
【0110】
以上のように、第6の実施の形態における配信システムによれば、路側システムから特定コンテンツ情報を受信したか否かによって、路側システムがナンバープレート情報を要求しているか否かを判断することができる。クライアントインフォメーションのサプリメントインフォ領域に格納することによって、ナンバープレート情報を路側システムに対してアップリンクすることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 カーナビ部
1a カーナビ制御部
1b 現在地検出部
1c 地図記憶部
1d 入力部
1e 表示部
1f 記憶部
1g 音声出力部
2 VICSモジュール
3 DSRC部
3a DSRC制御部
3b DSRC通信部
3c 記憶部
3c1 アップリンク情報記憶領域
3d ETC処理部
3e ICカードI/F部
4 制御部
5 IP通信部
10 車載器
20A、20B 路側無線装置
21 本体装置
22 アンテナ
30 センター装置
31 制御部
32 入力部
33 表示部
34 記憶部
35 通信部
40 無線通信デバイス
100 配信システム
C 車両
N1 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター装置と、車両に備えられる車載器と、が路側無線装置を介してデータ送受信可能に接続される配信システムにおいて、
前記センター装置は、
前記車載器とデータ送受信を行う第1通信手段と、
前記車両の一連番号を含むナンバープレート情報を要求するセンター装置である旨を示す識別情報を前記第1通信手段に送信させる第1制御手段と、
を備え、
前記車載器は、
前記センター装置とデータ送受信を行う第2通信手段と、
前記ナンバープレート情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたナンバープレート情報を送信するか否かを前記第2通信手段を介して受信した識別情報に基づいて判断し、送信すると判断した場合、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させる第2制御手段と、
を備えることを特徴とする配信システム。
【請求項2】
前記第1制御手段は、前記記憶手段における所定の記憶領域に格納された情報を読み出す旨の指示を前記第1通信手段を介して送信させ、
前記第2制御手段は、前記記憶手段における所定の記憶領域にナンバープレート情報を格納し、前記センター装置から受信した指示に対応する記憶領域へのメモリアクセスを許可することによって、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
前記第2制御手段は、前記車載器の機器特性に関する情報である特性情報を格納する記憶領域に前記ナンバープレート情報を格納し、当該特性情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする請求項1に記載の配信システム。
【請求項4】
前記識別情報は、前記センター装置を使用するサービス事業者に一意に割り当てられた取得者IDであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記ナンバープレート情報を送信したセンター装置に対応する取得者IDの履歴を記憶し、
前記第2制御手段は、前記第2通信手段を介して受信した取得者IDが前記記憶手段に記憶されていると判断した場合、前記ナンバープレート情報を前記第2通信手段に送信させることを特徴とする請求項4に記載の配信システム。
【請求項6】
前記識別情報は、前記記憶手段の記憶領域のうち予め定められた特定の領域に前記センター装置がアクセスする旨を指示するためのものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項7】
前記識別情報は、前記センター装置から送信されたコンテンツ情報に含まれる事業者コードであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の配信システム。
【請求項8】
前記車載器は、入力部を更に備え、
前記第2制御手段は、前記入力部から所定の指示が入力された場合に、前記第2通信手段を介して前記センター装置に対して前記ナンバープレート情報を送信することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−287040(P2010−287040A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140274(P2009−140274)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】