説明

重合性樹脂組成物、塗膜、パターンおよび表示装置

【課題】露光時に436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光に十分な感度をもち、かつ透過率の高い塗膜またはパターンを形成することができる重合性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)、重合性化合物(B)、開始剤(C)、開始助剤(D)および溶剤(E)を含有し、開始助剤(D)が式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物を含む化合物である重合性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性樹脂組成物、塗膜、パターンおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やタッチパネルなど、表示装置を構成するカラーフィルタとアレイ基板との間には、感光性樹脂を使用したフォトリソグラフィーでスペーサ(フォトスペーサ)を形成することが提案されている。この方法によれば、任意の場所にスペーサを形成することができる。
ところで、フォトリソグラフィーの光源に使用される水銀灯から放射される光は、通常、436nm付近、408nm付近、365nm付近、315nm付近、313nm付近などに、高強度のスペクトルを有する。
実際のフォトスペーサ形成プロセスで使用される露光機は、プロキシミティ露光機やステッパが使用されることが多く、近年のプロキシミティ露光機では、350nm未満の短波長の光をカットして使用される場合が多い。またステッパでは、408nm付近や365nm付近の波長の光が使用されている。
このような350nm未満の短波長の光を放射していない露光機を使用した場合でも、十分な硬化性が得られる組成物、つまり436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光に十分な感度を持つ組成物が提案されている。このような組成物として、特許文献1には4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンを含む組成物が記載されている。また、特許文献2にはアントラセンを含む組成物が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−208360号公報
【特許文献2】特開2003−50459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の組成物では、436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光に十分な感度は得られるものの、該組成物から得られる塗膜またはパターンの透過率が十分には得られない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは、上記課題について検討した結果、特定の化合物を含む重合性樹脂組成物が、350〜450nmの範囲の光に十分な感度を有し、かつ該組成物から得られる塗膜またはパターンの透過率が十分高いことを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A)、重合性化合物(B)、開始剤(C)、開始助剤(D)および溶剤(E)を含有し、開始助剤(D)が式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物を含む化合物である重合性樹脂組成物である。

[式(I−1)および式(I−2)中、環X1、環Xおよび環Xは、それぞれ独立に、炭素数6〜12の芳香環を表す。Y〜Yは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。
該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれるメチレン基は酸素原子、−NH−または硫黄原子に置換されていてもよく、該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置換されてもよい。]
【0006】
また本発明は、開始剤(C)が、ビイミダゾール系化合物、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物およびオキシム系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する化合物である上記重合性樹脂組成物である。
【0007】
また本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A)が、エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する樹脂である上記重合性樹脂組成物である。
また本発明は、アルカリ可溶性樹脂(A)が、反応性二重結合を有する樹脂である上記重合性樹脂組成物である。
また本発明は、開始助剤(D)が、さらに多官能チオール化合物(T)を含む化合物である上記重合性樹脂組成物である。
【0008】
また本発明は、上記重合性樹脂組成物を用いて形成される塗膜である。
また本発明は、上記重合性樹脂組成物を用いて形成されるパターンである。
また本発明は、上記塗膜および上記パターンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の重合性樹脂組成物によれば、露光時に436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光に十分な感度をもち、かつ透過率の高い塗膜またはパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の重合性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、重合性化合物(B)、開始剤(C)、開始助剤(D)および溶剤(E)を含有し、開始助剤(D)が式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物を含む化合物である。
【0012】

【0013】
[式(I−1)および式(I−2)中、環X1、環Xおよび環Xは、それぞれ独立に、炭素数6〜12の芳香環を表す。Y〜Yは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。
該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれるメチレン基は酸素原子、−NH−または硫黄原子に置換されていてもよく、該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置換されてもよい。]
開始助剤(D)が式(I−2)で表される化合物を含む化合物であることが好ましい。
【0014】
本発明の重合性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)としては、アルカリ可溶性樹脂(A1)や、アルカリ可溶性樹脂(A2)が例示される。アルカリ可溶性樹脂(A1)は、アルカリ溶解性を示し、アルカリ可溶性樹脂(A2)は、アルカリ溶解性ならびに、光および熱の少なくともいずれか一方の作用による反応性を示す。
【0015】
アルカリ可溶性樹脂(A1)としては、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(a)(以下「(a)」という場合がある)と、(a)と共重合可能な単量体(b)(ただし、(a)とは異なる。)(以下「(b)」という場合がある)とを重合してなる共重合体などが例示される。
【0016】
(a)としては、具体的には、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類;
前記の不飽和ジカルボン酸類の無水物;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕などの2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸などの、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有する不飽和アクリレート類などが挙げられる。
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸または無水マレイン酸などが共重合反応性の点やアルカリ溶解性の点から好ましく用いられる。これらは、単独でまたは組合せて用いられる。
【0017】
(b)としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル類;
シクロヘキシルアクリレート、2−メチルシクロヘキシルアクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(当該技術分野で慣用名としてジシクロペンタニルアクリレートといわれている。)、ジシクロペンタオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレートなどのアクリル酸環状アルキルエステル類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;
フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸アリールエステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどのジカルボン酸ジエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルエステル類;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのビシクロ不飽和化合物類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドなどのジカルボニルイミド誘導体類;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
これらのうち、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどが共重合反応性およびアルカリ溶解性の点から好ましい。
これらは、単独であるいは組合せて用いられる。
【0018】
(a)および(b)を共重合させて得られる共重合体においては、それぞれから導かれる構成成分の比率が、前記の共重合体を構成する構成成分の合計モル数を100モル%としたときにモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)から導かれる構成単位;2〜40モル%
(b)から導かれる構成単位;60〜98モル%
【0019】
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
(a)から導かれる構成単位;5〜35モル%
(b)から導かれる構成単位;65〜95モル%
前記の構成比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性および耐溶剤性が良好になる傾向がある。
【0020】
アルカリ可溶性樹脂(A1)は、たとえば文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法および当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、共重合体を構成する単位(a)および(b)の所定量、重合開始剤および溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、酸素不存在下で、攪拌、加熱、保温することにより、重合体が得られる。なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿などの方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0021】
アルカリ可溶性樹脂(A1)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。アルカリ溶解性を有する樹脂(A1)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A1)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れる傾向があるので好ましい。
本発明の重合性樹脂組成物に用いることができるアルカリ可溶性樹脂(A1)の含有量は、重合性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%である。アルカリ可溶性樹脂(A1)の含有量が、前記の範囲にあると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非露光部分の抜け性が良好な傾向にあり、好ましい。
【0022】
アルカリ溶解性ならびに光および熱の少なくとも一方の作用による反応性を示すアルカリ可溶性樹脂(A2)としては、(A21)〜(A23)が例示される。
アルカリ可溶性樹脂(A21)は、(a)と、(b)と、エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有し、かつ反応性二重結合を有する化合物(c)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体である。
エポキシ基を有する化合物とは、たとえば脂肪族エポキシ基および脂環式エポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物をいう。オキセタニル基を有する化合物とは、たとえば脂肪族オキセタニル基および脂環式オキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する化合物をいう。反応性二重結合を有する化合物とは、不飽和結合を有する化合物をいう。
【0023】
アルカリ可溶性樹脂(A22)は、(a)と(b)との共重合体であって、(a)に由来するカルボキシル基の一部を、(c)に由来するエポキシ基またはオキセタニル基と反応させることで得られる共重合体である。
アルカリ可溶性樹脂(A23)は、(a)と(c)との共重合体である。
【0024】
エポキシ基を有し、かつ反応性二重結合を有する化合物(c1)のうち、脂肪族エポキシ基を有する化合物としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルまたはグリシジルビニルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ基を有し、かつ反応性二重結合を有する化合物(c1)のうち、脂環式エポキシ基を有する化合物としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(たとえばセロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(たとえばサイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(たとえばサイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(II)で表される化合物および式(III)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0025】

【0026】
[式(II)および式(III)において、R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
X及びX’は、それぞれ独立に、単結合または炭素数1〜6のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれるメチレン基は、ヘテロ原子に置換されていてもよい。]
【0027】
R及びR’としては、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;
ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基などの水酸基含有アルキル基が挙げられる。好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基または2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子またはメチル基が挙げられる。
【0028】
X及びX’として、単結合や、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;
オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基などのヘテロ原子含有アルキレン基などが挙げられる。好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、オキシメチレン基またはオキシエチレン基が挙げられ、より好ましくは単結合またはオキシエチレン基が挙げられる。
【0029】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられ、より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0030】

【0031】
式(III)で表される化合物としては、式(III−1)〜式(III−15)で表される化合物などが挙げられ、好ましくは式(III−1)、式(III−3)、式(III−5)、式(III−7)、式(III−9)、式(III−11)〜式(III−15)が挙げられ、より好ましくは式(III−1)、式(III−7)、式(III−9)、式(III−15)が挙げられる。
【0032】

【0033】
式(II)で表される化合物および式(III)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、それぞれ単独で用いることもでき、任意の比率で混合することもできる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは[式(II)で表される化合物]:[式(III)で表される化合物]で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0034】
オキセタニル基を有し、かつ反応性二重結合を有する化合物(c2)としては、たとえば3−メチル−3−メタクリルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロキシエチルオキセタンまたは3−エチル−3−アクリロキシエチルオキセタンなどが挙げられる。
これらは、単独であるいは組合せて用いられる。
【0035】
アルカリ可溶性樹脂(A21)において、それぞれから導かれる構成成分の比率が、アルカリ可溶性樹脂(A21)を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)から導かれる構成単位;2〜40モル%
(b)から導かれる構成単位;1〜65モル%
(c)から導かれる構成単位;2〜95モル%
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
(a)から導かれる構成単位;5〜35モル%
(b)から導かれる構成単位;1〜60モル%
(c)から導かれる構成単位;5〜80モル%
前記の構成比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性および機械強度が良好になる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂樹脂(A21)は、たとえば文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法および当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、共重合体を構成する単位(a)、(b)および(c)を導く化合物の所定量、重合開始剤および溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、酸素不存在下で、攪拌、加熱、保温することにより、重合体が得られる。なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿などの方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂樹脂(A22)を製造するにあたって、まず(a)および(b)を共重合させて共重合体を製造する。それぞれから導かれる構成成分の比率が、前記の共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
【0036】
(a)から導かれる構成単位;5〜50モル%
(b)から導かれる構成単位;50〜95モル%
【0037】
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
【0038】
(a)から導かれる構成単位;10〜45モル%
(b)から導かれる構成単位;55〜90モル%
【0039】
次に、光や熱の作用による反応性を持たせるため、(a)および(b)を共重合させて得られる共重合体に由来する(a)のカルボン酸およびカルボン酸無水物の一部を、(c)に由来するエポキシ基またはオキセタニル基と反応させる。
(c)のモル数は、(a)のモル数に対して、5〜80モル%であり、好ましくは10〜75モル%であり、より好ましくは15〜70モル%である。
構成比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度および感度のバランスが良好になる傾向がある。
【0040】
アルカリ可溶性樹脂樹脂(A22)は、二段階の工程を経て製造することができる。たとえば文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法や、特開2001−89533号公報に記載された方法を参考にして製造することができる。
具体的に、まず、第一段階の工程について述べる。(a)および(b)を共重合させて得られる共重合体(すなわち、アルカリ可溶性樹脂)を構成する単位(a)および(b)を導く化合物の所定量、重合開始剤および溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、酸素不存在下で、攪拌、加熱、保温することにより、アルカリ可溶性樹脂が得られる。なお、得られた樹脂は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿などの方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。前記の樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。樹脂の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
前記の樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、塗布性や現像性に優れる傾向があるので好ましい。
【0041】
次に、第二段階の工程について述べる。引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、構成成分(a)のモル数に対して、5〜80モル%の構成成分(c)、カルボキシル基とエポキシ基またはオキセタニル基との反応触媒として、たとえばトリスジメチルアミノメチルフェノールをモノマー(a)〜(c)の合計量に対して質量基準で0.001〜5%、および重合禁止剤として、たとえばハイドロキノンをモノマー(a)〜(c)の合計量に対して質量基準で0.001〜5%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で、1〜10時間反応を続けることで、前記の樹脂と構成成分(c)とを反応させることができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量などを考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
アルカリ可溶性樹脂(A23)において、それぞれから導かれる構成成分の比率が、アルカリ可溶性樹脂(A23)を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)から導かれる構成単位;5〜95モル%
(c)から導かれる構成単位;5〜95モル%
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
(a)から導かれる構成単位;10〜90モル%
(c)から導かれる構成単位;10〜90モル%
前記の構成比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性および機械強度が良好になる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂樹脂(A23)は、たとえば文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法および当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、共重合体を構成する単位(a)および(c)を導く化合物の所定量、重合開始剤および溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、酸素不存在下で、攪拌、加熱、保温することにより、重合体が得られる。なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿などの方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0042】
本発明の重合性樹脂組成物に含まれる重合性化合物(B)としては、単官能モノマー、2官能モノマーまたはその他3官能以上の多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーの具体例としては、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートまたはN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
また2官能モノマーの具体例としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートまたは3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他3官能以上の多官能モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、またはカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物などが挙げられる。
特に2官能以上の多官能モノマーが好ましく用いられる。これらの重合性化合物(B)は、単独でまたは二種以上併用して用いることができる。
重合性化合物(B)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)および重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%である。重合性化合物(B)の含有量が、前記の範囲にあると、感度、塗膜およびパターンの強度、平滑性、信頼性および機械強度が良好になる傾向があり、好ましい。
【0043】
本発明の重合性樹脂組成物に含まれる開始剤(C)としては、光または熱の作用により重合を開始する化合物であり、ビイミダゾール系化合物、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物またはオキシム系化合物が好ましく、ビイミダゾール系化合物が感度に優れるので特に好ましい。
【0044】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(たとえば特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報など参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(たとえば特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報など参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(たとえば特開平7−10913号公報など参照。)などが挙げられ、好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0045】
前記のアセトフェノン系化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシー1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2,3−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2、4−ジメチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−クロロベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(3−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メチル−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−メチル−4−ブロモベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−(2−ブロモ−4−メトキシベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0046】
前記のトリアジン系化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる
【0047】
前記のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0048】
前記のオキシム化合物としては、O−エトキシカルボニル−α−オキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、式(IV)で表される化合物、式(V)で表される化合物などが挙げられる。
【0049】

【0050】
本発明の重合性樹脂組成物に含まれる開始助剤(D)は、式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物を含有する化合物である。
【0051】

【0052】
[式(I−1)および式(I−2)中、環X1、環Xおよび環Xは、それぞれ独立に、炭素数6〜12の芳香環を表す。Y〜Yは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。
該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれるメチレン基は酸素原子、−NH−または硫黄原子に置換されていてもよく、該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置換されてもよい。]
【0053】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
炭素数6〜12の芳香環としては、ベンゼン環、メチルベンゼン環、ジメチルベンゼン環、エチルベンゼン環、プロピルベンゼン環、ブチルベンゼン環、ペンチルベンゼン環、ヘキシルベンゼン環、シクロヘキシルベンゼン環、クロロベンゼン環、ジクロロベンゼン環、ブロモベンゼン環、ジブロモベンゼン環、フェニルベンゼン環、クロロフェニルベンゼン環、ブロモフェニルベンゼン環、ナフタレン環、クロロナフタレン環、ブロモナフタレン環、フェナントレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾ[a]ピレン環、ベンゾ[e]ピレン環、ペリレン環およびそれらの誘導体などが挙げられる。
【0054】
炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチル−n−プロピル基、2−メチル−n−プロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−クロロ−n−ブチル基、2−クロロ−n−ブチル基、3−クロロ−n−ブチル基などが挙げられる。
【0055】
炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルコキシフェニル基、ビフェニル基、クロロビフェニル基、ジクロロビフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、ブロモナフチル基、ジブロモナフチル基、ヒドロキシナフチル基などが挙げられる。
【0056】
式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物として、具体的には、
ジメトキシナフタレン、ジエトキシナフタレン、ジプロポキシナフタレン、ジイソプロポキシナフタレン、ジブトキシナフタレンなどのジアルコキシナフタレン類
ジメトキシアントラセン、ジエトキシアントラセン、ジプロポキシアントラセン、ジイソプロポキシアントラセン、ジブトキシアントラセン、ジペンタオキシアントラセン、ジヘキサオキシアントラセン、メトキシエトキシアントラセン、メトキシプロポキシアントラセン、メトキシイソプロポキシアントラセン、メトキシブトキシアントラセン、エトキシプロポキシアントラセン、エトキシイソプロポキシアントラセン、エトキシブトキシアントラセン、プロポキシイソプロポキシアントラセン、プロポキシブトキシアントラセン、イソプロポキシブトキシアントラセンなどのジアルコキシアントラセン類
ジメトキシナフタセン、ジエトキシナフタセン、ジプロポキシナフタセン、ジイソプロポキシナフタセン、ジブトキシナフタセンなどのジアルコキシナフタセン類
などが挙げられるが、それに限ったものではない。
【0057】
開始剤(C)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)および重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
【0058】
開始助剤(D)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)および重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物の含有量は、開始助剤(D)の含有量に対して、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%、さらに好ましくは65〜100%である。式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物の含有量が前記の範囲にあると、これを含む重合性樹脂組成物を用いて塗膜を形成したときに、塗膜の透明性が良好になり好ましい。
開始剤(C)の合計量が前記の範囲にあると、重合性樹脂組成物が高感度となり、前記の重合性樹脂組成物を用いて形成した塗膜やパターンの強度や、前記の塗膜やパターンの表面における平滑性が良好になる傾向があり、好ましい。前記に加えて、開始助剤(D)の量が前記の範囲にあると、得られる重合性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、前記の重合性樹脂組成物を用いて形成するパターンの生産性が向上する傾向にあり、好ましい。
【0059】
本発明の効果を損なわない程度に、さらにアミン化合物、下記のカルボン酸化合物および多官能チオール化合物(T)を使用してもよい。特に、多官能チオール化合物(T)を使用することが好ましい。
アミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称;ミヒラーズケトン)または4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのの芳香族アミン化合物が挙げられる。
前記のカルボン酸化合物としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシンまたはナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0060】
多官能チオール化合物(T)は、分子内に二個以上のチオール基を有する化合物である。中でも、二個以上の脂肪族チオール基を有する化合物が、本発明の重合性樹脂組成物の感度が高くなるのでより好ましい。
【0061】
多官能チオール化合物(T)としては、具体的には、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)または1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどが挙げられる。
多官能チオール化合物(T)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)および重合性化合物(B)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。多官能チオール化合物(T)の含有量が前記の範囲にあると、感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0062】
本発明の効果を損なわない程度であれば、光重合開始剤などをさらに併用することができ、当該光重合開始剤としては、たとえばベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物またはチオキサントン系化合物などが挙げられる。
より具体的には以下のような化合物を挙げることができ、これらをそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0063】
前記のベンゾイン系化合物としては、たとえばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルまたはベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0064】
前記のベンゾフェノン系化合物としては、たとえばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンまたは2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0065】
前記のチオキサントン系化合物としては、たとえば2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンまたは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0066】
その他にも、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチルまたはチタノセン化合物などが光重合開始剤として例示される。
【0067】
また、連鎖移動を起こしうる基を有する光重合開始剤として、特表2002−544205号公報に記載されている光重合開始剤を使用することができる。
前記の連鎖移動を起こしうる基を有する光重合開始剤としては、たとえば下記式(5)〜下記式(10)の光重合開始剤が挙げられる。
【0068】

【0069】
本発明の重合性樹脂組成物に用いられる溶剤(E)は、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテートおよびエチルセロソルブアセテートのなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
ベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレンなどの芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、メトキシブタノール、エトキシブタノール、およびグリセリンなどのアルコール類;
3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;
γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、好ましくは前記溶剤の中で沸点が100〜200℃である有機溶剤が挙げられる。沸点が100〜200℃である有機溶剤として、具体的には、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、メトキシブタノールおよびエトキシブタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノンなどのケトン類、
3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、メトキシブタノール、メトキシブチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルが挙げられる。
これらの溶剤(E)は、それぞれ単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
本発明の重合性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、重合性樹脂組成物に対して質量分率で、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは65〜85質量%である。溶剤(E)の含有量が、前記の範囲にあると、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーターとも呼ばれることがある。
)、インクジェット、ロールコータ、ディップコーターなどの塗布装置で塗布したときに塗布性が良好になる見込みがあり、好ましい。
【0070】
本発明の重合性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、着色材、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤などの添加剤を併用することもできる。
【0071】
充填剤として具体的には、ガラス、シリカまたはアルミナなどが例示される。
【0072】
他の高分子化合物として具体的には、エポキシ樹脂またはマレイミド樹脂などの硬化性樹脂やポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0073】
着色材としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料などが挙げられる。
【0074】
顔料分散剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、たとえばシリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を組合せて用いられる。前記の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などのほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)またはPB821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0075】
密着促進剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランまたは3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0076】
酸化防止剤として具体的には、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]または2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0077】
紫外線吸収剤として具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールまたはアルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0078】
光安定剤として具体的には、こはく酸と(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)エタノールからなる高分子、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、デカンジオイックアシッドと、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキシドとの反応物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートまたはメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートなどが挙げられる。
【0079】
連鎖移動剤としては、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
【0080】
重合性樹脂組成物は、たとえば以下のようにして、ガラス基板やフィルム基板、カラーフィルタや駆動回路を形成した基材上に塗布し、光硬化および現像を行って、塗膜やパターンを形成することができる。まず、この重合性樹脂組成物を基板(通常はガラス)または先に形成された重合性樹脂組成物の固形分からなる層の上に塗布し、塗布された重合性樹脂組成物層からプリベークすることにより溶剤などの揮発成分を除去して、平滑な未硬化塗膜を得る。このときの未硬化塗膜の厚さは、およそ1〜6μmである。このようにして得られた未硬化塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して、水銀灯や発光ダイオードから発生する紫外線を照射する。
また、パターン形成において、その線幅は、マスクサイズによって、適宜、制御できる。
【0081】
近年の露光機では、350nm未満の光を、当該波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光を、当該波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりして、露光部全体に均一に平行光線が照射される。このときマスクと基板の正確な位置合わせが行われるよう、マスクアライナやステッパなどの装置を使用するのが好ましい。さらにこの後、光照射の終了した塗膜をアルカリ水溶液に接触させて非露光部を溶解させ、現像することにより、目的とする塗膜やパターンが得られる。現像方法は、液盛り法、ディッピング法またはスプレー法などのいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0082】
パターニング露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。
【0083】
アルカリ性化合物は、無機または有機のアルカリ性化合物のいずれでもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムまたはアンモニアなどが挙げられる。
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミンまたはエタノールアミンなどが挙げられる。これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0084】
またアルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤のいずれでもよい。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩または第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用いることもできる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%の範囲、より好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0085】
現像後、水洗を行い、さらに必要に応じて、150〜230℃で10〜180分のポストベークを施すこともできる。
【0086】
本発明の重合性樹脂組成物を用いて、以上のような各工程を経て、基板上あるいはカラーフィルタ基板上に、パターンを形成することができる。このパターンは、液晶表示装置に使用されるフォトスペーサやパターニング可能なオーバーコートとして有用である。また、未硬化塗膜へのパターニング露光の際に、ホール形成用フォトマスクを使用すれば、ホールを形成することができ、層間絶縁膜として有用である。さらに、未硬化塗膜への露光の際に、フォトマスクを使用せず全面露光および加熱硬化、あるいは加熱硬化のみで透明膜を形成することができ、この透明膜は、オーバーコートとして有用であり、また、タッチパネルにも用いることができる。
【0087】
こうして得られる塗膜やパターンを、液晶表示装置などの表示装置に組み込むことにより、優れた品質の表示装置を高い歩留りで製造することができる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
【0089】
(樹脂Aaの合成例)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200部および3−メトキシブチルアセテート105部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(II−1)で表される化合物および式(III−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)240部および、3−メトキシブチルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を3−メトキシブチルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6%、酸価110mg−KOH/g(固形分換算)の共重合体(樹脂Aa)の溶液を得た。得られた樹脂Aaの重量平均分子量Mwは、1.3×10、分散度は2.50であった。
【0090】

【0091】
(樹脂Abの合成例)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200部および3−メトキシブチルアセテート105部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸55部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(II−1)で表される化合物および式(III−1)で表される化合物を、モル比で、50:50の混合物。)175部ならびにN−シクロヘキシルマレイミド70部を、3−メトキシブチルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0092】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部を3−メトキシブチルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6%、酸価34.3mg−KOH/gの共重合体(樹脂Ab)の溶液を得た。得られた樹脂Abの重量平均分子量(Mw)は1.4×10、数平均分子量(Mn)は、5.4×10、分散度は2.5であった。
【0093】
(樹脂Acの合成例)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部を加え、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸52.6部、メタクリル酸メチルを105.2部、メタクリル酸ベンジルを29.9部ならびにN−ベンジルマレイミド29.9部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0094】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート164部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却した。
次いで、この反応液にメタクリル酸グリシジル37.4部、触媒として取りえているアミン(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)0.5部、重合禁止剤として2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.2部を追加し、5%酸素濃度の調整した空気、窒素混合ガスを200ml/分の流量でバブリングしながら4時間100℃で保温した後、冷却して、固形分42.0%、酸価28.9mg−KOH/gの共重合体(樹脂Ac)の溶液を得た。得られた樹脂Acの重量平均分子量(Mw)は8.2×10、数平均分子量(Mn)は、4.7×10、分散度は1.8であった。
【0095】
(分子量の測定)
樹脂Aa〜樹脂Acの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量の比を分散度(Mw/Mn)とした。
【0096】
(実施例1)
[重合性樹脂組成物1の合成]
樹脂Aaの溶液153部(固形分換算50部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARADDPHA;日本化薬(株)製)(B)50部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(B−CIM;保土谷化学(株)製)(C)4部、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA;川崎化成(株)製)(D)1部、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PEMP;堺化学工業(株)製)(T)3部、3−エトキシエチルプロピオネート(D)88部、3−メトキシ−1−ブタノール(D)5部、3−メトキシブチルアセテート(D)65部を混合して重合性樹脂組成物1を得た。
【0097】
[パターン1の作製]
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)を、中性洗剤、水およびアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、重合性樹脂組成物1を、200mJ/cmの露光量(405nm)で露光し、現像、水洗、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるようにスピンコートし、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークした。冷却後、この重合性樹脂組成物1を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を10μmとし、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、200mJ/cmの露光量(405nm基準)で光照射した。なお、このときの重合性樹脂組成物1への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(LU0400;朝日分光(株)製)を通過させ、400nm以下の光をカットし使用した。1辺が10μmである正方形の透光部を有し、当該正方形の間隔が100μmのフォトマスクを用いて、露光を行った。
【0098】
光照射後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を25℃で100秒間浸漬して現像し、水洗後、オーブン中、220℃で20分間ポストベークを行い、パターン1を得た。
【0099】
【表1】


(表1の数値の単位は部である。)
【0100】
(実施例2)
表1に示す組成となるように、実施例1と同様にして、重合性樹脂組成物2およびパターン2を得た。
【0101】
(実施例3)
表1に示す組成となるように、実施例1と同様にして、重合性樹脂組成物3およびパターン3を得た。
【0102】
(比較例1)
表1に示す組成となるように、式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物に代えて4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(EAB−F)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合性樹脂組成物4およびパターン4を得た。
【0103】
(比較例2〜比較例9)
表1に示す組成となるように、式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物に代えて記載の化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、重合性樹脂組成物5〜重合性樹脂組成物12およびパターン5〜パターン12を得た。
【0104】
重合性樹脂組成物1〜重合性樹脂組成物12およびパターン1〜パターン12について、以下の評価を行い、結果を表2に示した。
【0105】
<溶解性>
重合性組成物を目視で観察し、不溶物がない場合を○、不溶物がある場合を×とした。

【0106】
<パターン>
露光量100mJ/cm、220℃で20分の条件でポストベークして得られたパターンを、走査電子顕微鏡(S−4100;(株)日立製作所製)を用いて断面観察した。
(下底の大きさ≧上底の大きさ)であった場合を○、(下底の大きさ<上底の大きさ)であった場合を×、パターン剥離が生じた場合を−とした。
【0107】
<残膜感度>
パターンの評価と同様の操作を行い、露光量100mJ/cmおよび200mJ/cmのパターンを形成した。それぞれのポストベーク後のパターン高さを、三次元非接触表面形状計測システム(Micromap MM527N−PS−M100;(株)菱化システム社製)で計測した。下記式(1)により残膜感度を算出した。
【0108】
残膜感度(%)=100×(露光量100mJ/cmにおける高さ)
/(露光量200mJ/cmにおける高さ) (1)
【0109】
残膜感度(%)の数値が大きいほど、パターン高さの露光量依存性が小さく、プロセスマージンが広いので、良好である。
【0110】
<透過率>
重合性樹脂組成物を用いて、ポストベーク後の膜厚が3.0μmになるように硬化膜を作製した。該硬化膜の作製途中において、プリベーク後、露光後およびポストベーク後の各段階について、顕微分光測光装置(OSP−SP200;OLYMPUS社製)を用いて、400nmにおける透過率(%)を測定した。
透過率が高くなることは、吸収が小さくなることを意味する。パターン剥離が生じたため測定できなかった場合は、−とした。
【0111】
【表2】

【0112】
表2に示す実施例1〜3の結果から、特定構造の開始助剤を含有する本発明の重合性樹脂組成物を使用すると、パターンが良好で、感度と透過率とのバランスに優れたパターンおよび塗膜が得られることがわかる。一方、比較例1は、感度は良好なものの透過が低く、比較例9は、感度、透過率ともに低く、比較例2〜8は、パターンの剥離が生じており、残膜感度と透過率との双方が高いものが得られなかった。
本発明の重合性樹脂組成物は、パターンが良好で、感度と透過率とのバランスに優れた塗膜およびパターンを形成することが可能であり、オーバーコート、フォトスペーサ、絶縁膜、液晶配向制御用突起、着色パターンの膜厚をあわせるためのコート層など、表示装置に用いられる膜の形成に好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の重合性樹脂組成物によれば、露光時に436nm付近、408nm付近、365nm付近の波長の光に十分な感度をもち、かつ透過率の高い塗膜またはパターンを形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、重合性化合物(B)、開始剤(C)、開始助剤(D)および溶剤(E)を含有し、開始助剤(D)が式(I−1)および式(I−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種で表される化合物を含む化合物である重合性樹脂組成物。

[式(I−1)および式(I−2)中、環X1、環Xおよび環Xは、それぞれ独立に、炭素数6〜12の芳香環を表す。Y〜Yは、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表す。
該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれるメチレン基は酸素原子、−NH−または硫黄原子に置換されていてもよく、該芳香環、該アルキル基及び該アリール基に含まれる水素原子はハロゲン原子に置換されてもよい。]
【請求項2】
開始剤(C)が、ビイミダゾール系化合物、アセトフェノン系化合物、トリアジン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物およびオキシム系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する化合物である請求項1記載の重合性樹脂組成物。
【請求項3】
アルカリ可溶性樹脂(A)が、エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する樹脂である請求項1または2記載の重合性樹脂組成物。
【請求項4】
アルカリ可溶性樹脂(A)が、反応性二重結合を有する樹脂である請求項1〜3のいずれか記載の重合性樹脂組成物。
【請求項5】
開始助剤(D)が、さらに多官能チオール化合物(T)を含む化合物である請求項1〜4のいずれか記載の重合性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の重合性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか記載の重合性樹脂組成物を用いて形成されるパターン。
【請求項8】
請求項6記載の塗膜および請求項7記載のパターンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む表示装置。

【公開番号】特開2009−139932(P2009−139932A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270642(P2008−270642)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】