説明

録画システムおよび録画装置

【課題】ネットワークの知識のない利用者がカメラドアホンなどのカメラ装置と録画装置をネットワークに簡単に接続できる録画システムおよび録画装置を提供する。
【解決手段】カメラ装置に接続されているドアホンアダプタは所定の時間、登録モードに設定されており、録画装置がすべてのドアホンアダプタへマルチキャストで検索パケットを送信して登録モードのドアホンアダプタを検索する登録モード検索手段と、録画装置が、応答パケットを返信したドアホンアダプタへ自機を特定するIDを付加した認証要求パケットを送信し、認証要求パケットを受信したドアホンアダプタは録画装置のMACアドレスおよびIDを登録するとともに、機器を認証するパスワードを発生し、パスワードを付加した認証完了パケットを録画装置へ返信した後、録画装置がパスワードを登録する機器登録手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭内のネットワーク(LAN:ローカルエリアネットワーク)を利用して玄関先や勝手口の来訪者の画像を録画できるとともに初期設定を簡単な方法で実施できる録画システムおよび録画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に都市部においては防犯上の理由と利便性とから、来訪者の顔画像を宅内において確認できる俗にカメラドアホンと言われる画像監視装置が普及してきている。
【0003】
このカメラドアホンは、玄関先や勝手口などの宅外に設置したドアホン子機と、これに接続して宅内のリビングルームや厨房に設置したドアホン親機とで構成され、ドアホン親機のディスプレイ装置で来訪者の画像をリアルタイムに視認できるものである。
【0004】
また、不在時において、来訪者の画像を、所定時間(例えば30秒間)内部のフラッシュメモリなどの記録媒体に、来訪者がドアホン子機の呼び出し釦を押した時刻を添えて記録し、帰宅後に上記メモリが画像を呼び出して来訪者を確認できる機能を有しているものも実用化されている。
【0005】
この画像を記録できるカメラドアホンにおいては、記録媒体の記録容量に制限があるため、記録できる画像数が制限を受け、記録する画像数が記録媒体の記録限界を超える場合は、古い画像に新しい画像を上書きする方法が採られている。
【0006】
このため、海外旅行などで長期に不在の場合には、すべての来訪者を確認できない課題があった。
【0007】
さて、近年、テレビ放送がアナログ放送からデジタル放送に移行していくことと、パソコン(パーソナルコンピュータ)の高普及を背景にして、主としてテレビ放送を録画できるビデオ録画装置は、画像の記録媒体が磁気テープから磁気ディスク(HDD:ハードディスクドライブ)に移行し、録画装置自体もパソコン並の構造と機能を有するようになってきている。
【0008】
また、インターネットの利用を主とするパソコンが家庭内に複数台普及しつつあることを背景に家庭内のネットワークの普及も向上し、ネットワークの種類もメタル配線から、配線作業の少ない無線ネットワーク、さらには、機器への電力供給を行う電灯線を信号線として利用するPLC(パワー・ライン・キャリア)方式も実用化されるに至っている。これに伴って、家庭内外でネットワークを使った監視システムの技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0009】
以上のことを背景として、家庭内の電気機器にネットワークに接続できるネットワーク端子を設けて、このネットワーク端子をネットワークの情報コンセントに接続し、相互に通信して、電気機器相互の連携作業や相互補完、さらにはインターネットを通じて外部のパソコンや携帯電話からの電気機器の監視や制御といった機能の開発が、進められており一部は実用化されてきた。
【0010】
前述のカメラドアホンについても、ネットワーク端子を設けてネットワークに接続し、同じくネットワークに接続したビデオ録画装置にカメラドアホンの画像を録画するようにすれば、カメラドアホンの記録媒体の容量がギガ(10の9乗)バイト以下のオーダーであるのに対して、ビデオ録画装置の記録媒体の容量がテラ(10の12乗)バイトオーダーのものが登場しており、略1000倍の記録容量の一部、例えば1割を利用すれば、100ギガバイトの容量の記録ができ、前述の長期に不在の場合に、すべての来訪者を確認できない課題を解決することができる。
【0011】
また、このように、カメラドアホンの機能の欠点をビデオ録画装置が補完するだけでなく、来訪者のリアルタイムの画像や録画された画像をビデオ録画装置に接続された大型のテレビのディスプレイ上で視認できる効果もある。
【特許文献1】特開2002−279560号公報
【特許文献2】特開2002−77881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上述べたように、カメラドアホンとビデオ録画装置をネットワークで接続することにより、カメラドアホンの欠点を補完し、新たな効果が得られるが、このことを実現するためには次のことが必要である。
【0013】
すなわち、相互に接続しようとするカメラドアホンとビデオ録画装置は、使用に先だって相互の登録・認証(通信相手の特定)をしておく必要がある。なぜなら、登録・認証がなければ、特にネットワークが無線やPLCで構成されている場合には、来訪者の画像が近隣の同様のシステムのビデオ録画装置に録画されたり、その逆の現象が発生したりする。
【0014】
通常、この登録・認証は、ネットワークの知識を必要とし、あるいは、複雑な操作が必要であり、ネットワークの知識のない一般の使用者には困難である。また、前述のようにカメラドアホンの撮影画像は、撮影日付・時刻を添付して記録されるためカメラドアホンが内蔵するカレンダー時計(タイマーとも呼ぶ)が停電その他の理由で誤差を発生すると、誤った来訪時刻を使用者に告知することになり不都合である。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ネットワークの知識のない一般の使用者でも、簡単な操作で上記登録・認証の設定が行えるようにするとともに、正確な撮影日時を記録できる録画システムおよび録画装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明の録画システムは、所定の時間、機器を登録モードに設定可能な少なくとも1台のカメラ装置とカメラ装置の撮影画像を録画する録画装置がネットワークで接続された録画システムであって、登録モードのカメラ装置を検索するために、録画装置がネットワークに接続されているすべてのカメラ装置へマルチキャストで検索パケットを送信し、検索パケットを受信した登録モードのカメラ装置は、録画装置へ応答パケットを返信する登録モード検索手段と、録画装置が、応答パケットを返信したカメラ装置へ自機を特定するIDを付加した認証要求パケットを送信し、認証要求パケットを受信したカメラ装置は録画装置のMACアドレスおよびIDを登録するとともに、機器を認証するパスワードを発生し、パスワードを付加した認証完了パケットを録画装置へ返信した後、録画装置がパスワードを登録する機器登録手段とを備えたことを特徴とする。これにより、ネットワークの知識のない一般の使用者でも、簡単な操作でカメラ装置と録画装置の間で登録・認証の設定が行える。
【0017】
また本発明の録画システムは、カメラ装置は、イベントが発生した場合に、イベント通知を録画装置へ送信するイベント通知手段を有し、録画装置は、イベント通知を受信した場合に、IDおよびパスワードを付加した画像取得要求パケットをカメラ装置へ送信し、カメラ装置は少なくともパスワードで認証後に撮影画像を録画装置へ送信し、録画装置は受信した撮影画像を記録媒体に記録してもよい。これにより、イベントが発生した場合、登録・認証のされた録画装置へカメラ装置の撮影画像を安全・確実に記録することができる。
【0018】
また本発明の録画システムは、カメラ装置は、タイマーを備え、タイマーの日付および時刻情報を撮影画像に付加して録画装置へ送信してもよい。これにより、カメラ装置で撮影された日付および時刻を正確に録画装置へ記録することができる。
【0019】
また本発明の録画システムは、録画装置は外部から日付および時刻情報を受信して校正可能なタイマーを備え、カメラ装置は、録画装置から日付および時刻情報を取得するための時刻要求パケットを送信し、録画装置は自機のタイマーの日付および時刻情報を付加した時刻応答パケットをカメラ装置へ返信し、カメラ装置は、受信した日付および時刻情報でカメラ装置のタイマーを校正してもよい。これにより、定期的に外部から校正される録画装置の正しい時刻でカメラ装置のタイマーが校正できるので、誤って間違った日付・時刻を録画装置に記録することがない。
【0020】
また本発明の録画システムは、カメラ装置は、時刻要求パケットを送信してから時刻応答パケットを受信するまでの遅延時間を計測し、遅延時間が所定以上の場合は、タイマーの校正を禁止するのが望ましい。これにより、ネットワークのトラフィックの影響で間違った校正がされるのを防ぐことができる。
【0021】
また本発明の録画システムは、カメラ装置がドアホンであり、ネットワークが家庭内電力線通信ネットワークであってもよい。これにより、家庭内で簡単に録画システムを構成することができる。
【0022】
本発明の録画装置は、所定の時間、機器を登録モードに設定可能な少なくとも1台のカメラ装置とネットワークで接続され、カメラ装置の撮影画像を録画する録画装置であって、登録モードのカメラ装置を検索するために、ネットワークに接続されているすべてのカメラ装置へマルチキャストで検索パケットを送信し、検索パケットを受信した登録モードのカメラ装置から応答パケットを受信する登録モード検索手段と、応答パケットを送信したカメラ装置へ自機を特定するIDを付加した認証要求パケットを送信し、認証パケットを受信したカメラ装置が発生したパスワードを受信して自機へ登録する機器登録手段を備えることを特徴とする。
【0023】
また本発明の録画装置は、カメラ装置からイベント通知を受信した場合、IDおよびパスワードを付加した画像取得要求パケットをカメラ装置に送信し、カメラ装置から撮影画像を受信し、撮影画像を記録してもよい。
【0024】
また本発明の録画装置は、録画装置は外部から日付および時刻情報を受信して校正可能なタイマーを備え、カメラ装置から日付および時刻情報を取得するための時刻要求パケットを受信し、自機のタイマーの日付および時刻情報を付加した時刻応答パケットをカメラ装置へ返信してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ネットワークの知識のない利用者がカメラドアホンなどのカメラ装置とビデオ録画装置をネットワークに容易に接続できるとともに、録画された画像の日付・時刻を正確に維持できる録画システムおよび録画装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、説明をわかりやすくするために、一部に数値を付して説明するが、本発明は、この数値には拘束されない。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態は、前述の第1の目的を実現するための発明の実施の形態であり、図1〜図4を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明が適用される録画システムの構成例を示す図である。PLCを用いたネットワーク1には、コンセント1a、1b、1cが設けられている。これらのコンセントは機器への電源の供給とともに情報コンセントも兼ねている。PLCアダプタ(ドアホンアダプタとも呼ぶ)2は情報コンセント1aに接続され、さらにカメラドアホン親機3に接続されている。カメラドアホン親機3には、玄関などに設置されるカメラドアホン子機4が接続されている。
【0029】
PLCアダプタ5は情報コンセント1bと、宅内もしくは宅外に設置されるネットワークカメラ6とに接続されている。PLCアダプタ2およびPLCアダプタ5は、将来的にはそれぞれカメラドアホン親機3とネットワークカメラ6と一体化される性格のものである。
【0030】
PLCアダプタ7は情報コンセント1cとルータ8とに接続されている。ルータ8は、録画装置9と外部のインターネット10に接続される。録画装置9にはテレビ放送を受信するテレビ11が接続される。赤外線式のリモコン装置12は録画装置9とテレビ11のモード切換操作やチャネル切換操作を行う。
【0031】
このような構成において、リモコン装置12を操作して、録画装置9によってカメラドアホン子機4やネットワークカメラ6の撮影する来客や宅外の映像を録画する。あるいは、テレビ11の画面上で上記映像を視認したり、録画した映像を呼び出してみることが可能である。また、外出先の携帯電話機で、録画した映像や留守宅のペットの様子をインターネットを通じて見ることができる。
【0032】
しかしながら、以上のことを行うためには、予め、カメラドアホン親機3やネットワークカメラ6を録画装置に直接、メタル配線で接続し、登録・認証を行う必要がある。通常、相互に通信する相手を特定する、いわゆる機器同士の登録・認証は、当該の機器にそれぞれの通信相手の識別子(ID)と共通のパスワードを登録しておくことによって行われる。
【0033】
以下、この登録・認証の方法について、カメラドアホン親機3と録画装置9とを例にして図2〜図4を用いて説明する。図2は、本実施の形態のカメラドアホン用のPLCアダプタ(ドアホンアダプタ)2の外観を示す図である。カメラドアホン用のPLCアダプタ2には、使用者が操作するための登録釦2aと表示ランプ2bが設けられている。登録・認証の設定は、この登録釦2aの操作とリモコン装置12の操作で行われる。リモコン装置12の操作は、使用者がテレビ11の画面に表示されたアイコンと呼ばれる釦表示をリモコン装置12のカーソルキーで選択して決定釦を押す方式のGUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)と呼ばれる一般的な方式で実施するため図示を省略する。なお、登録釦2aと表示ランプ2bは、カメラドアホン親機3に設けても差し支えがない。
【0034】
図3は、本実施の形態の登録・認証設定のための使用者の操作手順を示す図である。この図面に従い、図2を参照しながら登録・認証設定の概要を説明する。S(ステップ)101において、使用者はテレビ画面を機器の登録画面にしておく。次にS102で登録釦2aを押すと、S103で表示ランプ2bが6分間点滅する。次にS104で、表示ランプ2bの点滅中において、登録画面で登録設定のアイコンを選択・設定する。これにより、カメラドアホン親機3のPLCアダプタ2と録画装置9の間で相互に登録・認証手続きのための通信が行われる。
【0035】
次に、S106でテレビ画面にカメラドアホン親機3の録画装置9への登録が終了したガイダンスが表示される。同時にS107で、PLCアダプタ2の表示ランプ2bの点滅が点灯に変わり、カメラドアホン親機3に録画装置9が登録されたことが識別できる。
【0036】
次に、前述したS105の相互通信の詳細を図4の前半を用いて説明する。図4の前半は、登録設定のための通信の手順を示す図である。図4は本実施の形態のカメラドアホン用のPLCアダプタ(ドアホンアダプタ)2と録画装置9との通信の手順を示す図で、説明の便宜上、前者をA、後者をBとして説明する。
【0037】
まず、S201において、使用者がAの登録釦2aを押すと、Aは、6分間は登録設定のための待機状態になる。次にS202で、B側で使用者が登録設定の操作をすると、BはS203で、登録モード機器検索のパケットをマルチキャストもしくはブロードキャストでネットワーク1に送出する(以下単に送出と記載)。
【0038】
このパケットを受信したAは、S204で、上記パケットに含まれるBのMACアドレス宛てに、自己が登録モード機器である旨の応答パケットをユニキャストで送出する。この場合、応答パケットの送出は、6分間に登録モード機器検索のパケットを受信した場合に限定され、6分を過ぎて登録モード機器検索のパケットを受信した場合は、応答パケットは送出されず、登録操作は中止される。
【0039】
次に、S205において、Bは、乱数発生などの方法によりパスワードBを生成し記憶する。このパスワードBは複数のカメラドアホンを登録する際の使用を想定しているが、必ずしもこのパスワードBは使用する必要はなく、後述するようにAで発生されるパスワードAをすべての装置で共有するようにしてもよい。
【0040】
次のS206において、パスワードBとBのID(録画装置であることの識別子、型番、一連の製造番号など)を添付した認証要求パケットを送出する。
【0041】
次にS207においてAは、上記の認証要求パケットに含まれるMACアドレスBとIDを自己の不揮発性メモリなどに関連づけて記憶するとともにパスワードAを生成し記憶する。
【0042】
次にS208で、生成したパスワードAを添付した認証完了パケットを録画装置のMACアドレス宛に送出する。
【0043】
次にS209で、Bは、上記の認証完了パケットに含まれるAのパスワードAを自己の不揮発性メモリなどに記憶し、登録設定の通信手順を終了する。
【0044】
以上のようにして、PLCアダプタ(ドアホンアダプタ)2には、録画装置9のMACアドレスBとIDが登録され、録画装置9には、PLCアダプタ2のパスワードAが登録される。これにより相互の通信相手を特定し、盗視や誤った録画を防止できる。このようにドアホンアダプタと録画装置が同じパスワードAを共有することによりお互いの機器を簡単に認証できる。ドアホンが2台以上、録画装置に接続される場合も同様である。
【0045】
以上説明したように、本発明の録画システムは、ネットワークに接続したカメラなどの撮像装置と録画装置との登録・認証を、簡単な釦操作で実施できるものであり、使用者はネットワークの知識を持たなくても容易に実施できるものである。
【0046】
なお、本実施の形態で実施している相互に登録する機器のIDは、必ずしも必要ではなく、省略しても差し支えがない。
【0047】
また、PLCアダプタ2に設けた登録釦2aは、カメラドアホン親機3のディスプレイ上にタッチパネル式に設けてもよく、同様に表示ランプ2bもディスプレイ上に文字などでのガイダンスで実施しても差し支えない。
【0048】
さらに、録画装置側の設定操作もGUIの方式によらず、図2に示す釦と表示を録画装置9に設けて行うようにしても差し支えない。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態は、前述の第2の目的を実現するための発明の実施の形態であり、図4〜図7を用いて説明する。システム構成は実施の形態1と同じであるのでシステムの説明は省略し、録画装置9の構成を説明する。
【0050】
図5は、本実施の形態の録画装置9の内部の構成例を示す図である。録画装置9は、マイコン(マイクロコンピュータ)、RAM、ROM、カレンダー時計(タイマー)などで構成されたCPU21、デジタル放送を選局するチューナ22、選曲した映像の圧縮などの処理をする映像処理部23、映像を録画するHDD24、選曲や録画設定を行う操作部25、時刻表示やチャネル表示や録画中などのモード表示を行う表示部26、ネットワーク1に接続するためのネットワーク端子27、ネットワーク1と通信を行うための通信インタフェース28、ネットワーク1を介して得られたカメラドアホン子機4の映像を一時的に保存する映像バッファ(メモリ)29、映像バッファ29の映像の圧縮を行う映像処理部30、映像バッファ29の映像をテレビ(図示せず)でモニタするための映像出力端子31、テレビとの制御信号の通信を行うための信号端子32、テレビの映像を録画するための映像入力端子33を備えている。
【0051】
ここで、CPU21内のカレンダー時計は、デジタル放送に含まれる日付・時刻情報により常時校正される。また、不在時にカメラドアホン親機3の映像を録画するように設定された場合は、録画装置は、HDD24の駆動は停止していて、その他の構成部は準備状態にある。カメラドアホン親機3の映像の取得が開始されると同時にCPU21は、HDD24の駆動を開始し、HDD24の録画準備が整った段階で、映像バッファ29の映像をHDD24のパーテーションされた専用の記録部Cに記録するように制御する(なお、テレビ放送は同Bに録画される。)。従って、画像バッファ29は、カメラドアホン親機3から配信された映像の1回分(30秒)の映像がストックできるよう約40メガバイトの記憶容量を有している。
【0052】
不在時のカメラドアホン親機3の映像を録画する設定は、前述のGUIの方式によりテレビ画面上において、リモコン装置により行れるので、その信号は信号端子32よりCPU21が取得する。なお、カメラドアホン親機3の映像をHDD24の専用の記録部Cに記録するようにしたのは、テレビ放送の録画でHDD24の記録容量が満杯になった場合にカメラドアホンの映像が録画できなくなること避けるためである。
【0053】
次に図5を参照しながら、前述した図4の後半と図6を用いて、外出時を例にした録画動作を説明する。図6は、本実施の形態の録画動作の手順を説明するためのフローチャートである。また、図4の後半は、録画設定、映像配信のための通信の手順を示す図である。
【0054】
図6でS301において、使用者による録画設定の操作が行われるが、その手順を図4のS210〜S213で説明する。
【0055】
S210で使用者がリモコン装置12を操作して録画設定の操作を行うと、B(録画装置9)は、A(カメラドアホン用のPLCアダプタ2)に対してイベント通知要求のパケットをユニキャストで送出する。このパケットを受信したAは、パケットに含まれるMACアドレスによりBを認証し、S212において、カメラドアホン子機4の呼び出し釦が押されたときに映像を送出するモードに設定する。
【0056】
そして、Bに対して上記モードに設定したことを知らせるイベント準備完了のパケットをユニキャストで送出し、録画できる準備を終了する。この通信により、図6のS302において、録画装置9はHDD24のみが停止された前述の準備(録画待機)状態になる。
【0057】
また、S303において、カメラドアホン側は映像が送出できる映像送出準備の状態になる。次に、S304でカメラドアホンの呼び出し釦が押されると、S305でカメラドアホンの画像が録画装置に向けて送出されるが、このS303〜S305の詳細を図4のS214〜S218で説明する。
【0058】
S214で来客がカメラドアホン子機4の呼び出し釦(図示しない)を押すと、S215においてもA(カメラドアホン用のPLCアダプタ2)は、イベント発生のパケットをB(録画装置9)に対してユニキャストで送出する。このパケットを受けたBは、S216において、前述のAから取得したパスワードAと自機BのIDを添付した映像要求パケットをAに対してユニキャストで送出する。
【0059】
この映像要求パケットを受けたAは、S217において、パスワードAとIDでBを認証し、次のS218で、映像データをパケットにしてBに配信する。この場合、配信する映像データには、呼び出し釦が押された時刻の情報が添付される。
【0060】
このように、AがBをMACアドレスだけでなく、パスワードとIDとでも認証するために、冒頭で記載したような近隣の録画装置に映像を送出するようなことが発生しない。
【0061】
再び図6に戻る。S306において、カメラドアホンから取得した映像は、一旦、映像バッファ29に蓄積される。録画装置9は、図4のS215のイベント通知を受け取った時点でCPU21がHDD24を駆動して(S307)、映像が映像バッファ29に蓄積される過程(S308)で録画準備が整うので、S309において、映像バッファ29に蓄積した映像が逐次HDD24に録画される。S310で録画が終了するとS311でHDD24の駆動を停止し、S304に戻って次の録画動作に備える。
【0062】
次に、カメラドアホン親機3の時刻の修正方法について図7を用いて説明する。カメラドアホン親機3が配信する映像には、呼び出し釦が押された日付・時刻が添付されるが、この日付・時刻の情報は、カメラドアホン親機3に内蔵するカレンダー時計(タイマー)に基づいたものであることが要求される。なぜなら、ネットワークを介して録画装置が受け取った時刻を用いることは、ネットワーク上の伝送時間が必ず一定している保証がないからである。
【0063】
図7(a)は、カメラドアホン側から録画装置にアクセスしてカメラドアホンに内蔵のカレンダー時計の時刻を修正する手順を説明するためのフローチャート、図7(b)は、録画装置側からアクセスしてカメラドアホンに内蔵のカレンダー時計の時刻を修正する手順を説明するためのフローチャートである。
【0064】
まず、図7(a)ついて説明する。ドアホンアダプタ2は、S401において、内蔵のカレンダー時計から所定時刻(例えば0時)になるとS402において、自己の所定時刻情報を添付した時刻要求のパケットを録画装置9に対してユニキャストで送出する。このパケットを受けた録画装置9は、S403で自己のデジタルテレビ放送で得た時刻もしくは、デジタル放送を受けて整時した自己のカレンダー時計の情報により、誤差を把握する。
【0065】
次にS404において、上記の誤差情報(例えばマイナス10秒)を正規時刻応答パケットとしてドアホンアダプタ2に対しユニキャストで送出する。このパケットを受信したドアホンアダプタ2はS405で自己のカレンダー時計の時刻を修正し、S406で時刻を修正した旨の修正通知パケットを録画装置9にユニキャストで送出する。これにより録画装置は、カメラドアホン側の時刻が修正されたことを確認できる(S407)。
【0066】
なお、上記説明ではドアホンアダプタ2から自己の時刻を添付して録画装置9へ時刻要求パケットを送信し、録画装置9から誤差情報を受け取って時刻を修正するとしたが、時刻の修正の仕方はこれに限定されるものではない。例えば、ドアホンアダプタ2からは時刻要求パケットのみを送信し、録画装置9から正規時刻を受信して、この受信した時刻でドアホンアダプタの時刻を修正してもよい。
【0067】
また、ドアホンアダプタ2が録画装置9へ時刻要求パケットを送ってから、録画装置9より誤差情報や正規時刻を受け取るまでの遅延時間は、ネットワークの状態によって変動し、許容範囲(例えば1秒)をオーバーする場合がある。そこで、ドアホンアダプタ2は上記遅延時間を監視し、例えば1秒以内に誤差情報を受け取った場合のみ、この誤差情報を信用してドアホンアダプタ2の時刻を修正するのが望ましい。
【0068】
次に図7(b)ついて説明する。録画装置9は、S501において所定時刻(例えば0時)になるとS502において、デジタルテレビ放送で得た時刻もしくは、デジタル放送を受けて整時した自己のカレンダー時計の情報に基づいた時刻情報パケットをマルチキャストにより送出する。
【0069】
このパケットを受信したドアホンアダプタ2はS503において自己のカレンダー時計(タイマー)の時刻を修正し、S504において修正した旨の時刻修正パケットを録画装置9にユニキャストで送出する。これにより録画装置9は、カメラドアホン側の時刻が修正されたことを確認できる(S505)。
【0070】
以上説明したように、本発明の録画システムは、カメラなどの撮像装置の映像をビデオ録画装置の特定領域に記録できるようにしたものであり、撮像装置に記録するのに比べ格段に大容量の記録ができ、かつ、記録領域を特定しているため録画漏れが発生することが少ない。
【0071】
また、撮像視装置自体が保有するカレンダー時計の時刻をデジタルテレビ放送から得られた時刻情報に基づいて修正するため、録画された画像の日付・時刻を正確に維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ネットワークで接続された撮像装置と録画装置がお互いに登録・認証し、撮像画像を録画装置に記録する録画システムに幅広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明が適用される録画システムの構成例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1のカメラドアホン用のPLCアダプタの外観を示す図
【図3】同登録・認証設定のための使用者の操作手順を示す図
【図4】同登録設定、録画設定、映像配信のための通信の手順を示す図
【図5】本発明の実施の形態2の録画装置内部の構成例を示す図
【図6】同録画動作の手順を説明するためのフローチャート
【図7】同時刻修正の手順を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0074】
1 ネットワーク
1a,1b,1c 情報コンセント
2,5,7 PLCアダプタ(ドアホンアダプタ)
2a 登録釦
2b 表示ランプ
3 カメラドアホン親機
4 カメラドアホン子機
6 ネットワークカメラ
9 録画装置
12 リモコン装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間、機器を登録モードに設定可能な少なくとも1台のカメラ装置と前記カメラ装置の撮影画像を録画する録画装置がネットワークで接続された録画システムであって、
登録モードのカメラ装置を検索するために、前記録画装置が前記ネットワークに接続されているすべてのカメラ装置へマルチキャストで検索パケットを送信し、
前記検索パケットを受信した前記登録モードのカメラ装置は、前記録画装置へ応答パケットを返信する登録モード検索手段と、
前記録画装置が、前記応答パケットを返信した前記カメラ装置へ自機を特定するIDを付加した認証要求パケットを送信し、
前記認証要求パケットを受信した前記カメラ装置は前記録画装置のMACアドレスおよび前記IDを登録するとともに、機器を認証するパスワードを発生し、前記パスワードを付加した認証完了パケットを前記録画装置へ返信した後、前記録画装置が前記パスワードを登録する機器登録手段とを備えたことを特徴とする録画システム。
【請求項2】
前記カメラ装置は、イベントが発生した場合に、イベント通知を前記録画装置へ送信するイベント通知手段を有し、
前記録画装置は、前記イベント通知を受信した場合に、前記IDおよび前記パスワードを付加した画像取得要求パケットを前記カメラ装置へ送信し、前記カメラ装置は少なくとも前記パスワードで認証後に前記撮影画像を前記録画装置へ送信し、前記録画装置は受信した前記撮影画像を記録媒体に記録することを特徴とする請求項1に記載の録画システム。
【請求項3】
前記カメラ装置は、タイマーを備え、前記タイマーの日付および時刻情報を前記撮影画像に付加して前記録画装置へ送信することを特徴とする請求項2に記載の録画システム。
【請求項4】
前記録画装置は外部から日付および時刻情報を受信して校正可能なタイマーを備え、
前記カメラ装置は、前記録画装置から日付および時刻情報を取得するための時刻要求パケットを送信し、前記録画装置は自機のタイマーの日付および時刻情報を付加した時刻応答パケットを前記カメラ装置へ返信し、前記カメラ装置は、受信した前記日付および時刻情報で前記カメラ装置のタイマーを校正することを特徴とする請求項3に記載の録画システム。
【請求項5】
前記カメラ装置は、前記時刻要求パケットを送信してから時刻応答パケットを受信するまでの遅延時間を計測し、前記遅延時間が所定以上の場合は、前記タイマーの校正を禁止することを特徴とする請求項4に記載の録画システム。
【請求項6】
前記カメラ装置がドアホンであり、前記ネットワークが家庭内電力線通信ネットワークであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の録画システム。
【請求項7】
所定の時間、機器を登録モードに設定可能な少なくとも1台のカメラ装置とネットワークで接続され、前記カメラ装置の撮影画像を録画する録画装置であって、
登録モードのカメラ装置を検索するために、前記ネットワークに接続されているすべてのカメラ装置へマルチキャストで検索パケットを送信し、
前記検索パケットを受信した前記登録モードのカメラ装置から応答パケットを受信する登録モード検索手段と、
前記応答パケットを送信した前記カメラ装置へ自機を特定するIDを付加した認証要求パケットを送信し、前記認証パケットを受信した前記カメラ装置が発生したパスワードを受信して自機へ登録する機器登録手段を備えることを特徴とする録画装置。
【請求項8】
前記カメラ装置からイベント通知を受信した場合、前記IDおよび前記パスワードを付加した画像取得要求パケットを前記カメラ装置に送信し、前記カメラ装置から前記撮影画像を受信し、前記撮影画像を記録することを特徴とする請求項7に記載の録画装置。
【請求項9】
前記録画装置は外部から日付および時刻情報を受信して校正可能なタイマーを備え、
前記カメラ装置から日付および時刻情報を取得するための時刻要求パケットを受信し、自機のタイマーの日付および時刻情報を付加した時刻応答パケットを前記カメラ装置へ返信することを特徴とする請求項8に記載の録画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−43049(P2009−43049A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207582(P2007−207582)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】