説明

防振装置

【課題】製造コストを削減できると共に、軽量化および小型化を図ることができる防振装置を提供すること。
【解決手段】防振装置1は、上側突出部33又は取付部材10の少なくとも一方に配設されたバウンドストッパゴム部と、上側突出部33及び下側突出部15に形成された上下重なり部および上下対向部と、上下重なり部または上下対向部の少なくとも一方に配設されたリバウンドストッパゴム部とを備えている。その結果、上側連結部材30のリバウンド側への大変位が規制される。これらは、車体フレーム側に固設された取付部材10の上面に、上側連結部材30を防振基体40で連結した下側連結部材20を取着し、上側突出部33を下側突出部15と取付部材10との間に位置させることにより配設される。よって、部品点数を削減して組み付け工程や追加部品に係る製造コストを削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材および下側連結部材とこれら上側連結部材および下側連結部材の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体とを備えた防振装置に関し、特に、製造コストを削減できると共に、軽量化および小型化を図ることができる防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンを車両フレームに対して防振支持する防振装置として、例えば、特許文献1に開示の技術がある。特許文献1に開示のエンジンマウント(防振装置)は、貫通穴24が形成された板状の上金具14(上側連結部材)および下金具16(下側連結部材)と、これら上金具14および下金具16の対向面間を連結するマウント本体ゴム18(防振基体)と、上金具14に形成された貫通穴24内に配設されると共に下金具16に固定される内筒金具26と、内筒金具26に固設されるストッパ金具52とを備えて構成されている。ストッパ金具52は板状のストッパ片54,56を有しており、ストッパ片54,56に対応するゴムストッパ部36A,38Cが上金具に形成されている。これにより、防振装置の上金具14が下金具16に対して上下方向や左右方向に大きく変位すると、ストッパ金具52のストッパ片54,56が対応するゴムストッパ部36A,38Cに当接し、それ以上の変位が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−144931号公報(図2、図3及び図5など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の防振装置は、内筒金具26にストッパ金具52を固設しなければならないので、上金具14(上側連結部材)および下金具16(下側連結部材)にマウント本体ゴム18を加硫接着した後、ストッパ金具52の組み付け工程が必要である。組み付け工程においては、ストッパ金具52の中心部に形成された貫通孔53(特許文献1の図5参照)にボルト42を挿通し、このボルト42の先端側を内筒金具26及び下金具16の貫通穴44に挿通すると共に、ボルト42にナット46を締結する作業が行われる。また、上述した従来の防振装置は、ストッパ金具52を組み付けるボルト42及びナット46などの追加部品が必要となる。これら追加部品の組み付け工程が必要となるため、防振装置の製造コストが上昇するという問題点があった。
【0005】
また、マウント本体ゴム18で連結された上金具14及び下金具16の重量に、ストッパ金具52、内筒金具26、ボルト42及びナット46などの重量が加わるため、防振装置の重量が増すという問題点があった。
【0006】
さらに、防振装置のストッパ金具52や内筒金具26は十分な機械的強度が必要なため、ストッパ金具52は貫通孔53の周囲のストッパ片56にある程度の大きさが必要であり、内筒金具26はある程度の肉厚が必要である。また、上金具14及び下金具16は、ストッパ金具52や内筒金具26を取り付けるためのスペースが傾斜部14A,14A(16A,16A)間に必要なため、防振装置の小型化には一定の限度があるという問題点があった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、製造コストを削減できると共に、軽量化および小型化を図ることができる防振装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載の防振装置は、所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材および下側連結部材と、前記上側連結部材および前記下側連結部材の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体とを備える防振装置において、車体フレーム側に固設されると共に前記下側連結部材が上面に取着される取付部材を備え、前記上側連結部材は、エンジン側に連結される上側取着部が形成された上側板部と、前記上側板部から下方に向かって突設されバウンド方向への変位時に下部が前記取付部材の上面に当接する上側突出部とを備え、前記上側突出部の下部および前記取付部材の上面の少なくとも一方は、バウンド方向への変位時に前記上側突出部の下部と前記取付部材の上面とが当接可能な部位に少なくとも配設されたゴム状弾性材から構成されるバウンドストッパゴム部を備え、前記下側連結部材または前記取付部材は、上方に向かって突設される下側突出部を備え、前記上側突出部は、前記下側突出部と前記取付部材との間に位置すると共に上下方向に直交する投影面において前記下側突出部と重なる上下重なり部を備え、前記下側突出部は、前記上下重なり部と上下方向で対向する上下対向部を備え、前記上下重なり部および前記上下対向部の少なくとも一方は、リバウンド方向への変位時に前記上下重なり部と前記上下対向部とが当接可能な部位に少なくとも配設されたゴム状弾性材から構成されるリバウンドストッパゴム部を備えている。
【0009】
請求項2記載の防振装置は、請求項1記載の防振装置において、前記上側突出部は、前記上側板部の両端から突設されている。
【0010】
請求項3の防振装置は、請求項1又は2に記載の防振装置において、前記上側連結部材は、左右方向に分離して左右対称の形状に形成されると共に、前記上側取着部を有する左部材および右部材を備えている。
【0011】
請求項4記載の防振装置は、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置において、前記下側連結部材は、下面から突設され前記取付部材に取着される下側取着部を備え、前記下側連結部材は、前記下側突出部を備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の防振装置によれば、車体フレーム側に固設されると共に下側連結部材が上面に取着される取付部材を備え、上側連結部材は、エンジン側に連結される上側取着部が形成された上側板部と、上側板部から下方に向かって突設されバウンド方向への変位時に取付部材の上面に当接する上側突出部とを備えているので、防振装置にエンジンを支持する支持荷重と同方向の荷重が加わり、上側連結部材が下方(バウンド方向)へ所定量以上移動しようとすると、上側突出部の下部が取付部材に当接し、上側連結部材のそれ以上の変位が規制される。さらに、上側突出部の下部および取付部材の上面の少なくとも一方は、バウンド方向への変位時に上側突出部の下部と取付部材の上面とが当接可能な部位に配設されたゴム状弾性材から構成されるバウンドストッパゴム部を備えているので、取付部材に上側突出部が当接する際には、取付部材と上側突出部との間にバウンドストッパゴム部が介在する。このバウンドストッパゴム部の緩衝作用により、異音の発生を抑制できる。
【0013】
また、下側連結部材または取付部材は、上方に向かって突設される下側突出部を備え、上側突出部は、下側突出部と取付部材との間に位置すると共に上下方向に直交する投影面において下側突出部と重なる上下重なり部を備え、下側突出部は上下重なり部と上下方向で対向する上下対向部を備えている。これにより、防振装置にエンジンを支持する際の支持荷重とは反対方向の荷重が加わり、上側連結部材が下側連結部材から上に離間する方向(リバウンド方向)へ所定量以上移動しようとすると、上側突出部と下側突出部とが上下重なり部および上下対向部で当接し、上側連結部材のそれ以上の変位が規制される。さらに、上下重なり部および上下対向部の少なくとも一方は、リバウンド方向への変位時に上下重なり部と上下対向部とが当接可能な部位に少なくとも配設されたゴム状弾性材から構成されるリバウンドストッパゴム部を備えているので、上下重なり部と上下対向部とが当接する際には、上下重なり部と上下対向部との間にリバウンドストッパゴム部が介在する。このリバウンドストッパゴム部の緩衝作用により、異音の発生を抑制できる。
【0014】
以上のように請求項1記載の防振装置は、上側突出部または取付部材の少なくとも一方に配設されたバウンドストッパゴム部と、上側突出部および下側突出部に形成された上下重なり部および上下対向部と、上下重なり部または上下対向部の少なくとも一方に配設されたリバウンドストッパゴム部とを備えている。これらは、車体フレーム側に固設された取付部材の上面に、上側連結部材を防振基体で連結した下側連結部材を取着し、上側突出部を下側突出部と取付部材との間に位置させることにより配設される。このため、従来のような追加部品の組み付け工程を不要にできる。よって、部品点数を削減して組み付け工程や追加部品に係る製造コストを削減できる効果がある。
【0015】
また、ボルト及びナットなどの追加部品を不要にできるため、追加部品の重量を削減でき軽量化を図ることができる効果がある。また、上側連結部材や下側連結部材は、追加部品を取り付けるためのスペースが不要なため、防振装置の小型化を図ることができる効果がある。
【0016】
さらに、上側連結部材がバウンド方向に大きく変位したときには、上側突出部は取付部材に当接する。そのため、下側連結部材は、上側突出部が当接する際の耐荷重を考慮する必要がなく、堅牢にする必要がない。従って、機械的強度の小さな薄肉の部材等で下側連結部材を製造することができ、軽量化を図ることができると共に、製造コストを削減できる効果がある。
【0017】
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、上側突出部は上側板部の両端から突設されているので、上側連結部材をプレート状の金具で製造できる。そのため、上側連結部材は押出法やプレス法等の簡易な方法で製造することができ、製造コストを削減できる効果がある。
【0018】
請求項3記載の防振装置によれば、請求項1又は2に記載の防振装置の奏する効果に加え、上側連結部材は左右方向に分離して左右対称の形状に形成されると共に、上側取着部を有する左部材および右部材を備えているので、エンジン側に左部材および右部材を左右方向に間隔をあけて取着できる。そのため、左部材と右部材とを連結する部分(上側取着部間の部分)を省略でき軽量化を図る効果がある。また、左部材と右部材とを連結する部分(上側取着部間の部分)を省略することで部材の量を削減できると共に、上側連結部材をプレス等により製造する際の取り数を増やすことができるため、製造コストを削減できる効果がある。また、小型化できるため輸送コストを削減できる効果がある。さらに、左部材および右部材は左右対称の形状に形成されているので、金型等を共通化することができ、製造コストを削減できる効果がある。
【0019】
請求項4記載の防振装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、下側連結部材は、下側突出部を備えているので、上側連結部材の上側突出部と下側連結部材の下側突出部とが上下方向に直交する投影面において重なるように金型内に配置し加硫接着することにより、上側突出部を下側突出部の下方に位置させつつ、上側連結部材を防振基体で下側連結部材に連結できる。
【0020】
ここで、取付部材が下側突出部を備えている場合は、下側連結部材の下側取着部を取付部材に取り付ける際に、上側突出部を下側突出部と取付部材との間に位置させるため、上側突出部を下側突出部にくぐらせたりスライドさせたりする必要がある。これに対し、請求項4記載の防振装置は、上側突出部が下側突出部の下方に位置した状態で上側連結部材と下側連結部材とが防振基体で連結されているので、上側突出部を下側突出部にくぐらせたりスライドさせたりすることなく、下側取着部を取付部材に組み付けることができる。よって、取付部材への下側取着部の取付作業性を向上させる効果がある。また、下側連結部材は下側突出部を備えているので、取付部材の構造を簡素化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施の形態における防振装置の正面図である。
【図2】取付部材の平面図である。
【図3】(a)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の平面図であり、(b)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の正面図である。
【図4】図2のIV−IV線および図3(a)のIV−IV線における防振装置の断面図である。
【図5】図1のVで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。
【図6】本発明の第2実施の形態における防振装置の正面図である。
【図7】取付部材の平面図である。
【図8】(a)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の平面図であり、(b)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の正面図である。
【図9】図7のIX−IX線および図8(a)のIX−IX線における防振装置の断面図である。
【図10】図6のXで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。
【図11】本発明の第3実施の形態における防振装置の正面図である。
【図12】防振装置の取付部材の平面図である。
【図13】(a)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の平面図であり、(b)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の正面図である。
【図14】本発明の第4実施の形態における防振装置の正面図である。
【図15】取付部材の平面図である。
【図16】(a)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の平面図であり、(b)は上側連結部材、防振基体および下側連結部材の正面図である。
【図17】図15のXVII−XVII線および図16(a)のXVII−XVII線における防振装置の断面図である。
【図18】図14のXVIIIで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態における防振装置1の正面図であり、図2は取付部材10の平面図である。なお、各図中の矢印U−D、矢印L−R及び矢印F−Bは、防振装置1が取着される図示しない車両の上下方向、左右方向および前後方向をそれぞれ示している。
【0023】
防振装置1は、図1に示すように、図示しない車体フレーム側に固設される取付部材10と、離間して取付部材10に取着される一対の下側連結部材20と、下側連結部材20と所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材30と、上側連結部材30及び下側連結部材20の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体40とを主に備えて構成されている。
【0024】
取付部材10は、車体フレーム側にボルト等の締結手段を介して固設される部材であり、図1及び図2に示すように、貫通孔11aが2箇所ずつ合計4箇所に穿設された左右の平板部11と、それら左右の平板部11から傾斜して下り勾配を形成する傾斜板部12と、それら傾斜板部12の間に位置する中央板部13とを主に備えて構成されている。また、平板部11、傾斜板部12及び中央板部13で構成される取付部材10の外周縁から、下方に向かって壁部14が垂設されている。これにより、取付部材10の剛性を向上させることができる。なお、貫通孔11aに挿通されたボルト等の締結手段が車体フレーム側の部材に螺合されることで、取付部材10が車体フレーム側に固設される。取付部材10は、例えばダイカストにより一体に形成することができる。
【0025】
中央板部13は、傾斜板部12の底辺から凸起した平坦面が形成された部位であり、中央板部13の高さは、平板部11の高さより少し低めに形成されている。なお、中央板部13の高さは、後述する上側連結部材30の上側突出部33の長さに応じて、適宜設定される。また、中央板部13の両端の傾斜板部12寄りの2箇所から、上方に向かって下側突出部15が突設されている。2箇所から突設された下側突出部15は対向して、それぞれの下側突出部15は先端側が中央板部13と略平行になるまで湾曲しており、2つの下側突出部15の先端は所定の間隔をあけて対向している。
【0026】
図2に示すように、傾斜板部12には、傾斜板部12の底辺寄りに取着孔16がそれぞれ穿設されている。取着孔16は、傾斜板部12の勾配方向と直交する方向に沿う水平長孔16aと、水平長孔16aと連通する傾斜長孔16bとを備えて構成されている。水平長孔16aは、一端側が上側突出部15の前後方向の中点同士を結ぶ延長線上に位置して穿設されており、水平長孔16aの他端側は、下側突出部15から前方にずれた位置に穿設されている。傾斜長孔16bは、下部が水平長孔16aの他端部に連通し、傾斜板部12の勾配方向に沿って穿設されている。これらの結果、傾斜長孔16bも下側突出部15から前方にずれた位置に穿設されている。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、上側連結部材30、防振基体40及び下側連結部材20について説明する。図3(a)は上側連結部材30、防振基体40及び下側連結部材20の平面図であり、図3(b)は30上側連結部材、防振基体40及び下側連結部材20の正面図である。また、図4は図2のIV−IV線および図3(a)のIV−IV線における防振装置の断面図である。
【0028】
下側連結部材20は、図3(a)及び図3(b)に示すように、外形が略矩形の板材で形成された下側板部21を備えて構成されており、図1及び図4に示すように、取付部材10の傾斜板部12のそれぞれに配設される一対の部材である。図4に示すように、下側連結部材20の下側板部21は、略中心に貫通孔21aが貫通形成されており、ボルトから構成される締結手段が嵌挿される。これにより、雄螺子から構成される下側取着部22が下側板部21の下面に突設される。下側取着部22は取付部材10の取着孔16に挿入され、ナット等の締結手段が螺合される。その結果、下側連結部材20が取付部材10に取着される。
【0029】
上側連結部材30は、図3(a)に示すように、左右方向に横長に延びる略矩形状に形成された上側板部31と、上側板部31の両端から前方および後方に向かって突設される4つの取着板部32とを備えている。取着板部32は、それぞれ貫通孔からなる上側取着部32aが上下方向(取着板部32の板厚方向)に亘って貫通形成されている。上側取着部32aにボルト等の締結手段を挿通し締結することにより、エンジン側と上側連結部材30とを連結できる。
【0030】
防振基体40は、ゴム状弾性材からブロック状に形成され、図1、図3(b)及び図4に示すように、一対の下側連結部材20の下側板部21と上側連結部材30の上側板部31との間に配設(加硫接着)され、これら一対の下側連結部材20の下側板部21と上側連結部材30の上側板部31との間を連結する。防振基体40は下側板部21(下側連結部材20)に対して略垂直に立設され、上側板部31に対して所定角度傾斜した状態で接着されている。図4に示すように、下側取着部22を構成するボルトは下側板部21に貫通形成された貫通孔21aに嵌挿されており、防振基体40は、下側板部21の上面に露呈したボルトの頭部及び下側板部21に接着されている。その結果、貫通孔21aからのボルトの抜けを防止できると共に、防振基体40の軸線の方向と下側取着部22の軸線の方向とを一致させることができる。これにより、車両のコーナリング等においてエンジンが変位して生じる外力を防振基体40に効率良く吸収させて、エンジンの変位を吸収できる。
【0031】
さらに上側連結部材30は、図1、図3(b)及び図4に示すように、上側板部31の左右方向の中心から一対の防振基体40の間を通って下方に向かって垂直に突設される上側突出部33を備えている。上側突出部33は、上側板部31から下方に垂直に突設された垂下板部34(図3(b)参照)と、垂下板部34の下端部から左右方向に同一の長さで突設された張出板部35とを有しており、垂下板部34及び張出板部35は正面視して逆T字状に形成されている。張出板部35は上側板部31と平行に形成されており、張出板部35の形状は、図3(a)に示すように、平面視(底面視)して略矩形状に形成されている。また、上側突出部33の張出板部35の下部33a、先端部33b及び上面部には、ゴム状弾性材から構成されたゴム膜部41が連続して形成されている。このゴム膜部41は、張出板部の前後方向(図1、図3(b)紙面奥側)に亘って形成されている。
【0032】
ここで、張出板部35の前後方向(図3(a)紙面上下方向)の幅は、図3(a)に示すように、上側板部31の前後方向の幅と略同一で、下側突出部15(図2参照)の前後方向の幅と略同一に形成されている。また、張出板部35の左右方向(図3(a)紙面左右方向)の長さは、図1、図2及び図4に示すように、対向する下側突出部15の基部間の間隔より短く、下側突出部15の先端間の間隔より長く形成されている。また、垂下板部34の上下方向の長さは(図1参照)、下側連結部材20を取付部材10に取着した際に、上側板部31から取付板部10の中央板部13までの長さより短く、上側板部31から下側突出部15の先端までの長さより長く形成されている。これにより、下側連結部材20を取付部材10に取着することで、取付部材10から突設された一対の下側突出部15間に、上側突出部30の張出板部35を配設できる。
【0033】
次に、下側連結部材20を取付部材10へ取着する方法について説明する。張出板部35の左右方向の長さは、上述したように、対向する下側突出部15の先端間の間隔より長く形成されている。このため、下側突出部15の真上から上側突出部33を下側突出部15間に配設することはできない。上側突出部33が下側突出部15に衝突してしまうからである。そこで、上側連結部材30が防振基体40で連結された下側連結部材20を取付部材10の上方に位置させ、下側連結部材20の下面から突設された下側取着部22の先端側を、まず傾斜長孔16bに挿入する。傾斜長孔16bは下側突出部15から前方にずれた位置に穿設されているので、上側突出部33を下側突出部15に衝突させることなく、下側突出部15の前方に上側突出部33を配設できる。また、傾斜長孔16bは、下側取着部22を傾斜板部16bに投影してできる長さより少し長めに形成されている(図4参照)。これにより、防振基体40を曲げ変形させることなく傾斜長孔16bに下側取着部22を挿入できる。傾斜長孔16bに下側突出部22の先端側を挿入した後、さらに下側連結部材20を下降させることで、下側取着部22は傾斜長孔16bの下部まで案内される。次いで、下側取着部22を水平長孔16aに移動させ、水平長孔16aの一端部までスライドさせる。これにより、下側突出部15間に上側突出部33の垂下板部34及び張出板部35をスライドさせて進入させることができる。その後、水平長孔16aから突出した下側取着部22にナット等の締結手段を螺合することにより、下側連結部材20が取付部材10に取着される。このように、取付部材10の傾斜板部12に下側連結部材20が固定されることにより、防振基体40が傾斜板部12から略垂設され、上側板部31及び張出板部35が取付部材10の中央板部13に対して略平行に配設される。
【0034】
次に、図5を参照して、下側突出部15間にスライドさせて進入させた上側突出部33と下側突出部15との関係について説明する。図5は、図1のVで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。下側突出部15間に上側突出部33の垂下板部34及び張出板部35をスライドさせることにより、図5に示すように、上側突出部33の張出板部35は、下側突出部15と中央板部13(取付部材10)との間に位置すると共に、上下方向に直交する投影面において下側突出部15と重なる上下重なり部35aが形成される。一方、下側突出部15の先端側は、上下重なり部35aと上下方向で対向する上下対向部15aが形成される。上下重なり部35aには、上下対向部15aと当接可能な部位に、ゴム膜部41によるリバウンドストッパゴム部41aが形成される。これにより、防振装置1(図1参照)に図示しないエンジンを支持する際の支持荷重とは反対方向の荷重が加わり、上側連結部材30が取付部材10から上に離間する方向(リバウンド側)へ所定量以上移動しようとすると、リバウンドストッパゴム部41aが下側突出部15の上下対向部15aに当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、リバウンドストッパゴム部41aの緩衝作用により異音(打音)の発生を抑制できる。
【0035】
また、下側突出部15は、上下重なり部35aが形成された上側突出部33の張出板部35及び垂下板部34と左右方向に直交する投影面において重なる左右ストッパ部15bが形成される。一方、上側突出部33は、左右ストッパ部15bと左右方向で対向する左右対向部33cが形成される。左右対向部33cには、左右ストッパ部15bと当接可能な部位に、ゴム膜部41による左右ストッパゴム部41bが形成される。これにより、防振装置1(図1参照)に図示しないエンジンを左右に変位させる荷重が加わり、上側連結部材30が取付部材10に対して左右に大きく変位すると、左右ストッパゴム部41bが下側突出部15の左右ストッパ部15bに当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、左右ストッパゴム部41bの緩衝作用により異音の発生を抑制できる。
【0036】
また、上下対向部15a及び左右ストッパ部15bは下側突出部15の一部として構成されているので、左右ストッパ部15bをリバウンドストッパゴム部41aの近傍に配することができる。これにより、左右方向の移動量およびリバウンド方向の移動量を規制する部位をコンパクトに集約できる。よって、防振装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
また、上側突出部33の張出板部35の下部33a(図5参照)は、中央板部13(取付部材10)の平坦面と平行して対向しており、上側突出部33の下部33aには、ゴム膜部41によりバウンドストッパゴム部41cが形成されている。これにより、防振装置1(図1参照)にエンジンを支持する支持荷重と同方向の荷重が加わり、上側連結部材30が下方(バウンド方向)へ所定量以上移動しようとすると、上側突出部33の下部33aが取付部材10に当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、上側突出部33の下部33a(張出板部35の下部)にバウンドストッパゴム部41cが形成されているので、取付部材10に張出板部35が当接する際には、取付部材10と張出板部35との間にバウンドストッパゴム部41cが介在する。このバウンドストッパゴム部41cの緩衝作用により、異音(打音)の発生を抑制できる。
【0038】
また、上側連結部材30が下側連結部材20に対して前後方向に変位した場合は、上側連結部材30と下側連結部材20とは防振基体40で連結されており、下側連結部材20は取付部材10に固定されているので、上側連結部材30は取付部材10に対して回動しようとする。リバウンドストッパゴム部41a、左右ストッパゴム部41b、バウンドストッパゴム部41cが形成されるゴム膜部41(図1、図3(b)参照)は、張出板部35の幅方向(図1、図3(b)紙面奥側)に亘って形成されているので、上側連結部材30が取付部材10に対して大きく回動して、張出板部35が下側突出部15に対して大きく回動すると、ゴム膜部41の一部が取付部材10の中央板部13や下側突出部15に当接する。これにより、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、ゴム膜部41の緩衝作用により異音の発生を抑制できる。これにより、上下方向・左右方向だけでなく、前後方向の大きな変位を規制できる。
【0039】
本実施の形態における防振装置1は、車体フレーム側に固設された取付部材10の上面に、上側連結部材30を防振基体40で連結した下側連結部材20を取着し、上側突出部33の張出板部35を下側突出部15と取付部材10との間に位置させることにより車体フレーム側に固着できる。このため、従来のような追加部品の組み付け工程を不要にできる。よって、部品点数を削減して組み付け工程や追加部品に係る製造コストを削減できる。また、ボルト及びナットなどの追加部品を不要にできるため、追加部品の重量を削減でき軽量化を図ることができる。また、上側連結部材30や下側連結部材20は、追加部品を取り付けるためのスペースが不要なため、防振装置1の小型化を図ることができる。
【0040】
さらに、上側連結部材30がバウンド方向に大きく変位したときには、上側突出部33は取付部材10に当接する。そのため、下側連結部材20は、上側突出部33の当接による耐荷重を考慮する必要がなく、堅牢にする必要がない。従って、機械的強度の小さな薄肉の部材等で下側連結部材20を製造することができ、軽量化を図ることができると共に製造コストを削減できる。
【0041】
次に、図6から図10を参照して第2実施の形態について説明する。図6は第2実施の形態における防振装置100の正面図であり、図7は取付部材110の平面図である。第1実施の形態では、上側連結部材30の上側板部31の中央から突設された上側突出部33がリバウンドストッパ作用、左右バウンドストッパ作用およびバウンドストッパ作用を発揮するように構成される場合を説明したが、第2実施の形態では、上側連結部材130の上側板部31の両端から突設された上側突出部133が、リバウンドストップ作用、左右バウンドストップ作用およびバウンドストップ作用を発揮するように構成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
防振装置100は、図6に示すように、図示しない車体フレーム側に固設される取付部材110と、離間して取付部材110に取着される一対の下側連結部材20と、下側連結部材20と所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材130と、上側連結部材130及び下側連結部材20の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体40とを主に備えて構成されている。
【0043】
取付部材110は、図6及び図7に示すように、貫通孔11aが穿設された左右の平板部11から傾斜して下り勾配を形成する傾斜板部12と、それら傾斜板部12の間に位置する中央板部113とを主に備えて構成されている。中央板部113は、傾斜板部12の底辺間を連結する平坦面が形成された部位である。
【0044】
下側突出部115は、平板部11寄り(取着孔16の外側)の傾斜板部12の2箇所から内側斜め上方に向かってそれぞれ突設されている。下側突出部115を上方から傾斜板部12に投影してできる投影面(下側突出部115の下方)には、中央板部113と略平行な当接部117が下側突出部115の基部と一体にそれぞれ突設されている。
【0045】
次に、図8及び図9を参照して、上側連結部材130、下側連結部材20及び防振基体40について説明する。図8(a)は上側連結部材130、防振基体40及び下側連結部材20の平面図であり、図8(b)は上側連結部材130、防振基体40及び下側連結部材20の正面図である。また、図9は図7のIX−IX線および図8(a)のIX−IX線における防振装置100の断面図である。
【0046】
上側連結部材130は、図6、図8(b)及び図9に示すように、上側板部31の両端から外側斜め下方に向かってそれぞれ突設された上側突出部133を備えている。上側突出部133の下部133a(先端部)は、上側板部31と略平行に形成されており(図8(b)参照)、上側突出部133の下部133aを含む先端部は、ゴム状弾性材から構成されるゴム膜部141で覆われている。このゴム膜部141は、上側突出部133の前後方向(図6、図8(b)紙面奥側)に亘って形成されている。
【0047】
ここで、上側突出部133の下部133aの前後方向(図8(a)紙面上下方向)の幅は、上側板部31(図8(a)参照)の前後方向の幅より狭く、取付部材110(図7参照)に突設された当接部117の前後方向の幅と略同一に形成されている。また、上側突出部133の左右方向の長さ、及び、上側突出部133と上側板部31とのなす角は、図6及び図9に示すように、下側連結部材20を取付部材110に取着した際に、上側突出部133の下部133aが下側突出部115及び当接部117に触突することなく下側突出部115の下方に位置し、上下方向に直交する投影面において上側突出部133が下側突出部115と重なるように形成されている。
【0048】
次に、下側連結部材20を取付部材110へ取着する方法について説明する。上述のように、上下方向に直交する投影面において上側突出部133が下側突出部115と重なるように、上側連結部材130と下側連結部材20とは防振基体40で連結されている。このため、下側突出部115の真上から下側突出部115の下方に上側突出部133を配設することはできない。上側突出部133が下側突出部115に衝突してしまうからである。
【0049】
そこで、防振基体40で上側連結部材130が連結された下側連結部材20を取付部材110の上方に位置させ、下側連結部材20の下面から突設された下側取着部22の先端側を、まず傾斜長孔16bに挿入する。傾斜長孔16bは下側突出部115から前方にずれた位置に穿設されているので、上側突出部133を下側突出部115に衝突させることなく、下側突出部115の前方に上側突出部133を配設できる。傾斜長孔16bに下側突出部22の先端側を挿入した後、さらに下側連結部材20を下降させることで、下側取着部22は傾斜長孔16bの下部まで案内される。次いで、下側取着部22を水平長孔16aに移動させ、水平長孔16a内を一端部までスライドさせる。これにより、下側突出部115と当接部117との間に上側突出部133をスライドさせて進入させることができる。その後、水平長孔16aから突出した下側取着部22にナット等の締結手段を螺合することにより、下側連結部材20が取付部材110に取着される。このように、取付部材110の傾斜板部12に下側連結部材20が固定されることにより、防振基体40が傾斜板部12から略垂設される。さらに、上側連結部材130の上側板部31が取付部材10の中央板部113に対して略平行に配設されると共に、上側突出部133の下部133aが当接部117に対して略平行に配設される。
【0050】
次に、図10を参照して、下側突出部115と当接部117との間にスライドさせて進入させた上側突出部133と、下側突出部115及び当接部117との関係について説明する。図10は、図6のXで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。下側突出部115と当接部117との間に上側突出部133をスライドさせることにより、図10に示すように、上側突出部133は、下側突出部115と当接部117(取付部材110)との間に位置すると共に、上下方向に直交する投影面において下側突出部115と重なる上下重なり部133bが形成される。一方、下側突出部115の先端側は、上下重なり部133bと上下方向で対向する上下対向部115aが形成される。上下重なり部133bには、上下対向部115aと当接可能な部位に、ゴム膜部141によるリバウンドストッパゴム部141aが形成される。これにより、防振装置100(図6参照)に図示しないエンジンを支持する際の支持荷重とは反対方向の荷重が加わり、上側連結部材130が取付部材110から上に離間する方向(リバウンド側)へ所定量以上移動しようとすると、リバウンドストッパゴム部141aが下側突出部115の上下対向部115aに当接し、上側連結部材130のそれ以上の変位が規制される。さらに、リバウンドストッパゴム部141aの緩衝作用により異音(打音)の発生を抑制できる。
【0051】
また、下側突出部115は、上下重なり部133bが形成された上側突出部133と左右方向に直交する投影面において重なる左右ストッパ部115bが形成される。一方、上側突出部133は、左右ストッパ部115bと左右方向で対向する左右対向部133cが形成される。左右対向部133cには、左右ストッパ部115bと当接可能な部位に、ゴム膜部141による左右ストッパゴム141b部が形成される。これにより、防振装置100(図6参照)に図示しないエンジンを左右に変位させる荷重が加わり、上側連結部材130が取付部材110に対して左右に大きく変位すると、左右ストッパゴム部141bが下側突出部115の左右ストッパ部115bに当接し、上側連結部材130のそれ以上の変位が規制される。さらに、左右ストッパゴム部141bの緩衝作用により異音の発生を抑制できる。
【0052】
また、上下対向部115a及び左右ストッパ部115bは下側突出部115の一部として構成されているので、左右ストッパ部115bをリバウンドストッパゴム部141aの近傍に配することができる。これにより、左右方向の移動量およびリバウンド方向の移動量を規制する部位をコンパクトに集約できる。よって、防振装置100の小型化を図ることができる。
【0053】
また、図10に示すように、上側突出部133の下部133aは当接部117(取付部材110)と平行して対向しており、上側突出部133の下部133aには、ゴム膜部141によりバウンドストッパゴム部141cが形成されている。これにより、防振装置100(図6参照)にエンジンを支持する支持荷重と同方向の荷重が加わり、上側連結部材130が下方(バウンド方向)へ所定量以上移動しようとすると、上側突出部133の下部133aが当接部117(取付部材110)に当接し、上側連結部材130のそれ以上の変位が規制される。さらに、上側突出部133の下部133aにゴム膜部141によるバウンドストッパゴム部141cが形成されているので、取付部材110(当接部117)に上側突出部133が当接する際には、取付部材110と上側突出部133との間にバウンドストッパゴム部141cが介在する。このバウンドストッパゴム部141cの緩衝作用により、異音(打音)の発生を抑制できる。
【0054】
また、上側連結部材130が下側連結部材110に対して前後方向に変位した場合は、上側連結部材130と下側連結部材20とは防振基体40で連結されており、下側連結部材20は取付部材110に固定されているので、上側連結部材130は取付部材110に対して回動しようとする。リバウンドストッパゴム部141a、左右ストッパゴム部141b、バウンドストッパゴム部141cが形成されるゴム膜部141(図6、図8(b)参照)は、上側突出部133の幅方向(図6、図8(b)紙面奥側)に亘って形成されているので、上側連結部材130が取付部材110に対して大きく回動して、上側突出部133が下側突出部115に対して大きく回動すると、ゴム膜部141の一部が当接部117や下側突出部115に当接する。これにより、上側連結部材130のそれ以上の変位が規制される。さらに、ゴム膜部141の緩衝作用により異音の発生を抑制できる。これにより、上下方向・左右方向だけでなく、前後方向の大きな変位を規制できる。
【0055】
本実施の形態における防振装置100は、車体フレーム側に固設された取付部材110の上面に、上側連結部材130を防振基体40で連結した下側連結部材20を取着し、上側突出部133を下側突出部115と取付部材110(当接部117)との間に位置させることにより車体フレーム側に固着できる。このため、従来のような追加部品の組み付け工程を不要にできる。よって、部品点数を削減して組み付け工程や追加部品に係る製造コストを削減できる。また、ボルト及びナットなどの追加部品を不要にできるため、追加部品の重量を削減でき軽量化を図ることができる。また、上側連結部材130や下側連結部材20は、追加部品を取り付けるためのスペースが不要なため、防振装置100の小型化を図ることができる。
【0056】
また、上側連結部材130がバウンド方向に大きく変位したときには、上側突出部133は取付部材110(当接部117)に当接する。そのため、下側連結部材20は、上側突出部133の当接による耐荷重を考慮する必要がなく、堅牢にする必要がない。従って、機械的強度の小さな薄肉の部材等で下側連結部材20を製造することができ、軽量化を図ることができると共に、製造コストを削減できる。
【0057】
さらに、上側突出部133は上側板部31の両端から突設されているので、上側連結部材130をプレート状の金具で製造できる。そのため、上側連結部材130は押出法やプレス法等の簡易な方法で製造することができ、製造コストを削減できる。
【0058】
次に、図11から図13を参照して第3実施の形態について説明する。図11は第3実施の形態における防振装置200の正面図であり、図12は取付部材210の平面図であり、図13(a)は上側連結部材230、防振基体40及び下側連結部材20の平面図であり、図13(b)は上側連結部材230、防振基体40及び下側連結部材20の正面図である。
【0059】
第2実施の形態では、上側連結部材130の上側板部31の両端から突設された上側突出部133が、リバウンドストップ作用、左右バウンドストップ作用およびバウンドストップ作用を発揮するように構成される場合について説明した。第3実施の形態では、上側突出部133が両端から突設された上側連結部材230が、左右方向に分離して左右対称の形状に形成される右部材230a及び左部材230bとして構成される場合について説明する。なお、第1実施の形態および第2実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0060】
防振装置200は、図11に示すように、図示しない車体フレーム側に固設される取付部材210と、離間して取付部材210に取着される一対の下側連結部材20と、下側連結部材20と所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材230と、上側連結部材230及び下側連結部材20の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体40とを主に備えて構成されている。
【0061】
取付部材210は、図12に示すように、中央板部113の両側に傾斜板部12が延設されている。また、傾斜板部12の上部側に下側突出部115が突設され、下側突出部115の下方の傾斜板部12に略円形状の取着孔216がそれぞれ穿設されている。取着孔216は、下側連結部材20の下面に突設された下側取着部22が挿通される部位であり、2箇所の下側突出部115を結ぶ線上に位置している。
【0062】
次に、図11及び図13を参照して、上側連結部材230、下側連結部材20及び防振基体40について説明する。上側連結部材230は、左右方向に分離して左右対称の形状に形成された右部材230a及び左部材230bを備えて構成されている。上側連結部材230の右部材230a及び左部材230bは、図11及び図13に示すように、上側板部231と、上側板部231の端部から外向きの斜め下側に向かって突設される上側突出部とを主に備えて構成されている。図13(a)に示すように、上側板部231は略方形状に形成されており、右部材230a及び左部材230bは、上側板部231から前方および後方に向かって突設される2つの取着板部32をそれぞれ備えている。取着板部32は、それぞれ貫通孔からなる上側取着部32aが貫通形成されており、上側取着部32aにボルト等の締結手段を挿通し締結することにより、エンジン側と上側連結部材230とを連結できる。なお、上側連結部材230の上側板部231及び下側連結部材20の対向面間は、防振基体40でそれぞれ連結されている。
【0063】
次に、下側連結部材20を取付部材210へ取着する方法について説明する。上述のように、上側連結部材230は左右方向に分離した右部材230a及び左部材230bを備えて構成されているので、エンジン側に上側連結部材230を締結固定する前に下側連結部材20を取付部材210に取着する場合は、右部材230aと左部材230bとを別々に取付部材210に取着できる。この場合は、右部材230aと左部材230bとを別々に取付部材210の傾斜板部12の略垂直方向から取着孔216に向けて下降させ、下側取着部20を取付部材210の取着孔216に挿通させて取着する。
【0064】
また、エンジン側に上側連結部材230を締結固定し、次いでこの状態(エンジン側に防振基体40及び下側連結部材20がぶら下がった状態)でエンジン側を車体フレーム側へ向けて下降させる場合は、右部材230aと左部材230bとを別々に取付部材210に取着することができない。そこで、この場合は、車体フレーム側に取付部材110(図7参照。傾斜板部12に傾斜長孔16b及び水平長孔16aが穿設されている。)を固定しておき、第2実施の形態において説明したように、下側取着部22をまず傾斜長孔16bに挿通し、次いで水平長孔16a内をスライドさせることにより組み付けることができる。これらの結果、上側突出部133を下側突出部115と当接部117との間に位置させることができ、第2実施の形態と同様に(図10参照)、リバウンドストッパ作用、左右ストッパ作用及びバウンドストッパ作用が発揮される。
【0065】
本実施の形態における防振装置200は、上側連結部材230が左右方向に分離して左右対称の形状に形成されると共に、上側取着部32aを有する右部材230a及び左部材230bを備えているので、エンジン側に右部材230a及び左部材230bを左右方向に間隔をあけて取着できる。そのため、右部材230aと左部材230bとを連結する部分(右部材230aと左部材230bの間の部分であり、第2実施の形態で説明した上側板部31の中央部分)を省略でき軽量化を図ることができる。また、右部材230aと左部材230bとを連結する部分を省略することで部材の量を削減できると共に、上側連結部材230をプレス等により製造する際の取り数を増やすことができるため、製造コストを削減できる。また、上側連結部材230を小型化できるため、輸送コストを削減できる。さらに、右部材230a及び左部材230bは左右対称の形状に形成されているので、右部材230a及び左部材230bを製造するプレス型等を共通化することができ、製造コストを削減できる。
【0066】
次に、図14から図18を参照して第4実施の形態について説明する。図14は第4実施の形態における防振装置300の正面図であり、図15は取付部材310の平面図である。第1実施の形態から第3実施の形態では、下側突出部15,115が取付部材10,110,210から突設されている場合について説明した。これに対し、第4実施の形態では、下側連結部材320が下側突出部322を備えている場合について説明する。なお、第1実施の形態および第2実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
防振装置300は、図14に示すように、図示しない車体フレーム側に固設される取付部材310と、離間して取付部材310に取着される一対の下側連結部材320と、下側連結部材320と所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材30と、上側連結部材30及び下側連結部材320の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体40とを主に備えて構成されている。
【0068】
取付部材310は、図14及び図15に示すように、貫通孔11aが穿設された左右の平板部11から傾斜して下り勾配を形成する傾斜板部12と、それら傾斜板部12の間に位置すると共に、傾斜板部12の底辺間を連結する平坦な中央板部113とを主に備えて構成されている。傾斜板部12には、傾斜板部12の勾配方向に沿う長孔として構成された取着孔316がそれぞれ穿設されている。
【0069】
次に、図14、図16及び図17を参照して下側連結部材320について説明する。図16(a)は上側連結部材30、防振基体40及び下側連結部材320の平面図であり、図16(b)は上側連結部材30、防振基体40及び下側連結部材320の正面図である。また、図17は、図15のXVII−XVII線および図16(a)のXVII−XVII線における防振装置300の断面図である。
【0070】
下側連結部材320は取付部材310に連結される部材であり、図14、図16(b)及び図17に示すように、上側連結部材30の下方に配設されている。下側連結部材320は左右方向に分離して左右対称の形状に形成された一対の部材により構成されており、長尺の矩形状に形成された金属製の板材を折曲形成することによりそれぞれ製造できる。これにより、生産性を向上できると共に、製造コストを低減できる。
【0071】
下側連結部材320の下側板部321は、上側板部31と所定の間隔をあけて対向して配設されると共に、取付部材310の傾斜板部12に固定される部位である。図14及び図16(b)に示すように、下側板部321のそれぞれの内側端部側は鈍角をなすように折曲された折曲部321aを備えている。下側板部321と折曲部321aとのなす角は、取付部材310の傾斜板部12と中央板部113とのなす角と同一とされている。
【0072】
下側板部321は、図17に示すように、取付部材310の傾斜板部12に穿設された取着孔316の下端側と合致する位置に、貫通孔321bが貫通形成されている。貫通孔321bにはボルトから構成される締結手段が嵌挿される。これにより、下側板部321の下面に雄螺子から構成される下側取着部22が突設される。
【0073】
下側連結部材320は、下側板部321の折曲部321aの内側端部から上方に向かって垂直に折曲形成されて、上側板部31に向かって突設された下側突出部322(図16参照)を備えている。下側突出部322は、下側板部321の折曲部321bから上側板部31に向かって垂直に突設された立設板部323と、立設板部323の先端側が水平方向に折曲形成された折曲板部324とを備えている。下側連結部材320の立設板部323及び折曲板部324は、所定の間隔をあけて対向して配設される。
【0074】
なお、下側板部321の折曲部321aと立設板部323との稜線においては、稜線と直交する方向に一部が押入されて、折曲部321a及び立設板部323との間に三角錐状の潰しリブ325が形成されている。潰しリブ325は折曲部321aと立設板部323との稜線の一部を押入する簡易な工程により形成されるので、下側板部321及び下側突出部322の剛性を飛躍的に向上できる。これにより、製造工程を煩雑化させることなく剛性を向上でき、生産性に優れる。
【0075】
防振基体40は、ゴム状弾性材からブロック状に形成され、図14、図16(b)及び図17に示すように、一対の下側連結部材320の下側板部321と上側連結部材30の上側板部31との間に配設(加硫接着)され、これら一対の下側連結部材320の下側板部321と上側連結部材30の上側板部31との間を連結する。防振基体40は下側板部321に対して略垂直に立設され、上側板部31に対して所定角度傾斜した状態で接着されている。この防振基体40は、下側連結部材320の下側突出部322の折曲板部324が、上側連結部材30の上側突出部33の張出板部35と上側板部31との間に位置すると共に、上下方向に直交する投影面において張出板部35と折曲板部324とが重なるように金型内に配置し、加硫接着して形成される。
【0076】
ここで、上側連結部材30の上側板部31から突設された垂下板部34の上下方向の長さは、上側連結部材30と下側連結部材320とを防振基体40で連結した際に、上側板部31から折曲板部324までの長さより長く、上側板部31から折曲部321bまでの長さより短くなるように形成されている。これにより、上側連結部材30と下側連結部材320とを防振基体40で連結した際に、上側突出部33の張出板部35を下側突出部322の対向する立設板部323間に配設できる。
【0077】
次に、下側連結部材320を取付部材310へ取着する方法について説明する。上述のように、上側連結部材30及び下側連結部材320は、上下方向に直交する投影面において上側突出部33の張出板部35が下側突出部322の折曲板部324と重なる状態で連結されている。また、図17に示すように、傾斜板部12に形成された取着孔316の長さは、下側取着部22を傾斜板部12に投影してできる長さより少し長めに形成されており、2つの取着孔316は2つの下側取着部22と合致する位置に形成されている。これにより、防振基体40で上側連結部材30が連結された下側連結部材320を取付部材310に下降させることで、下側取着部22を取着孔316に挿通させることができる。その後、取着孔316から突出した下側取着部22にナット等の締結手段を螺合することにより、下側連結部材320が取付部材310に取着される。このように、取付部材310の傾斜板部12及び中央板部113に下側連結部材320が固定されることにより、防振基体40が傾斜板部12から略垂設されると共に、上側板部31、張出板部35及び折曲板部324が取付部材310の中央板部113に対して略平行に配設され、立設板部323が中央板部113に立設される。
【0078】
次に、図18を参照して、取付部材310に組み付けられた上側突出部33と下側突出部322との関係について説明する。図18は、図14のXVIIIで示す部分を拡大して示した部分拡大図である。取付部材310に上側連結部材30及び下側連結部材320を組み付けることにより、図18に示すように、張出板部35は折曲板部324と中央板部113(図14参照)との間に位置すると共に、上下方向に直交する投影面において折曲板部324と重なる上下重なり部35aが形成される。一方、折曲板部324は上下重なり部35aと上下方向で対向する上下対向部324aが形成される。上下重なり部35aには、上下対向部324aと当接可能な部位に、ゴム膜部41によるリバウンドストッパゴム部41aが形成される。これにより、防振装置300(図14参照)に図示しないエンジンを支持する際の支持荷重とは反対方向の荷重が加わり、上側連結部材30(図14参照)が取付部材310から上に離間する方向(リバウンド側)へ所定量以上移動しようとすると、リバウンドストッパゴム部41aが折曲板部324(下側突出部322)の上下対向部324aに当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、リバウンドストッパゴム部41aの緩衝作用により異音(打音)の発生を抑制できる。
【0079】
また、下側突出部322の立設板部323は、上下重なり部35aが形成された上側突出部33の張出板部35及び垂下板部34と左右方向に直交する投影面において重なる左右ストッパ部323aが形成される。一方、上側突出部33は、左右ストッパ部323aと左右方向で対向する左右対向部33cが形成される。左右対向部33cには、左右ストッパ部323aと当接可能な部位に、ゴム膜部41による左右ストッパゴム部41bが形成される。これにより、防振装置300(図14参照)に図示しないエンジンを左右に変位させる荷重が加わり、上側連結部材30が取付部材310に対して左右に大きく変位すると、左右ストッパゴム部41bが下側突出部322の左右ストッパ部323aに当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、左右ストッパゴム部41bの緩衝作用により異音の発生を抑制できる。
【0080】
また、上下対向部324aは左右ストッパ部323aと共に下側突出部322の一部として構成されているので、左右ストッパ部323aをリバウンドストッパゴム部41aの近傍に配することができる。これにより、左右方向の移動量およびリバウンド方向の移動量を規制する部位をコンパクトに集約できる。よって、防振装置300の小型化を図ることができる。
【0081】
また、上側突出部33の張出板部35の下部33aは、取付部材310の中央板部113(図14参照)と平行して対向しており、上側突出部33の下部33aには、ゴム膜部41によりバウンドストッパゴム部41cが形成されている。これにより、防振装置300にエンジンを支持する支持荷重と同方向の荷重が加わり、上側連結部材30が下方(バウンド方向)へ所定量以上移動しようとすると、上側突出部33(張出板部35)の下部33aが取付部材310の中央板部113に当接し、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、上側突出部33(張出板部35)の下部33aにゴム膜部41によるバウンドストッパゴム部41cが形成されているので、取付部材310に張出板部35が当接する際には、取付部材310と張出板部35との間にバウンドストッパゴム部41cが介在する。このバウンドストッパゴム部41cの緩衝作用により、異音(打音)の発生を抑制できる。
【0082】
また、上側連結部材30が下側連結部材320に対して前後方向に変位した場合は、上側連結部材30と下側連結部材320とは防振基体40で連結されており、下側連結部材320は取付部材310に固定されているので、上側連結部材30は取付部材310に対して回動しようとする。リバウンドストッパゴム部41a、左右ストッパゴム部41b及びバウンドストッパゴム部41cが形成されるゴム膜部41(図14、図16(b)参照)は、張出板部35の幅方向(図14、図16(b)紙面奥側)に亘って形成されているので、上側連結部材30が取付部材310に対して大きく回動して、張出板部35が下側突出部322に対して大きく回動すると、ゴム膜部41の一部が取付部材310の中央板部113や下側突出部322に当接する。これにより、上側連結部材30のそれ以上の変位が規制される。さらに、ゴム膜部41の緩衝作用により異音の発生を抑制できる。これにより、上下方向・左右方向だけでなく、前後方向の大きな変位を規制できる。
【0083】
第4実施の形態における防振装置300によれば、下側突出部322は下側連結部材320から突設されているので、上側連結部材30を防振基体40で下側連結部材320に連結する際に、上側突出部33の張出板部35を下側突出部322の張出板部234の下方に位置させることで、上下重なり部35a及び上下対向部324aを形成できる。そのため、下側連結部材320の下側取着部22を取付部材310に取り付ける際には、上側突出部33を下側突出部322にくぐらせたりスライドさせたりすることなく、下側連結部材320を単に下降させて、傾斜板部12に穿設された取着孔316に下側取着部22を挿通させるだけで良い。よって、取付部材310への下側取着部22の取付作業性を向上させることができる。
【0084】
また、下側突出部322は下側連結部材320から突設されているので、取付部材310に下側突出部を設ける必要がなく、取付部材310の構造を簡素化できる。さらに、取着孔316として穿設するのは勾配方向に沿った長孔だけでよく、勾配方向に直交する水平方向の長孔を穿設する必要がない。そのため、取着孔316の面積を小さくすることができ、取付部材310の機械的強度を高めることができる。
【0085】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値(例えば、各構成の数量や寸法等)は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0086】
上記第1実施の形態では、張出板部35にゴム膜部41を設けることによりリバウンドストッパゴム部41a、左右ストッパゴム部41b及びバウンドストッパゴム部41cを形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。取付部材10から突設した下側突出部15の上下対向部15aの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、上下重なり部35a(張出板部35)が当接するリバウンドストッパゴム部とすることが可能である。また、下側突出部15の左右ストッパ部15bの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、左右対向部33cの一部(張出板部15の先端)が当接する左右ストッパゴム部とすることが可能である。また、取付部材10の中央板部13の上面にゴム膜部を設けることにより、上側突出部33の張出板部35が当接するバウンドストッパゴム部とすることも可能である。なお、第1実施の形態の場合は、防振基体40を加硫接着する際にゴム膜部41を接着することができる。これにより、ゴム膜部41の製造工程を簡素化できるため好ましい。
【0087】
上記第2実施の形態および第3実施の形態では、上側突出部133にゴム膜部141を設けることによりリバウンドストッパゴム部141a、左右ストッパゴム部141b及びバウンドストッパゴム部141cを形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。取付部材10から突設した下側突出部115の上下対向部115aの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、上下重なり部133bが当接するリバウンドストッパゴム部とすることが可能である。また、下側突出部115の左右ストッパ部115bの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、左右対向部133cの一部(上側突出部133の先端側)が当接する左右ストッパゴム部とすることが可能である。また、取付部材10の当接部117の上面にゴム膜部を設けることにより、上側突出部133の下部133aが当接するバウンドストッパゴム部とすることも可能である。なお、第2実施の形態および第3実施の形態の場合は、防振基体40を加硫接着する際にゴム膜部141を接着することができる。これにより、ゴム膜部141の製造工程を簡素化できるため好ましい。
【0088】
上記第3実施の形態では、上側連結部材230の右部材230a及び左部材230bが分離して形成された場合について説明した。この場合において、右部材230a及び左部材230bの上側板部231間をゴム状弾性材から構成される連結部で連結する場合もある。この連結部は防振基体40を加硫接着する際に一体形成できる。右部材230aと左部材230bとが連結部で連結されていることにより、車両への組み付け作業における作業性を向上できる。さらに、連結部が比重の比較的小さなゴム状弾性材で構成されているので、右部材230a及び左部材230bを連結しても上側連結部材230の軽量性を確保できる。
【0089】
上記第4実施の形態では、張出板部35にゴム膜部41を設けることによりリバウンドストッパゴム部41a、左右ストッパゴム部41b及びバウンドストッパゴム部41cを形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。下側板部321から突設した下側突出部322(折曲板部324)の上下対向部324aの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、上下重なり部35a(張出板部35)が当接するリバウンドストッパゴム部とすることが可能である。また、下側突出部322の左右ストッパ部323aの少なくとも一部にゴム膜部を設けることにより、左右対向部33cの一部(張出板部15の先端33b又は垂下板部34)が当接する左右ストッパゴム部とすることが可能である。ゴム膜部は、防振基体40を加硫接着する際に設けることができる。なお、この場合は、ゴム膜部を上下対向部324a(張出板部324)及び左右ストッパ部323a(立設板部323)に連続して設け、リバウンドストッパゴム部および左右ストッパゴム部を連続させることが好ましい。ゴム膜部の製造工程やゴム膜部を設けるための金型のキャビティ構造を簡素化できるからである。また、取付部材10の中央板部113の上面にゴム膜部を設けることにより、上側突出部33の張出板部35が当接するバウンドストッパゴム部とすることも可能である。なお、第4実施の形態の場合は、防振基体40を加硫接着する際にゴム膜部41を接着して、バウンドストッパゴム部41cを設けることができる。これにより、ゴム膜部41の製造工程を簡素化できるため好ましい。
【符号の説明】
【0090】
1,100,200,300 防振装置
10,110,210,310 取付部材
15,115,322 下側突出部
20,320 下側連結部材
22 下側取着部
30,130,230 上側連結部材
31,231 上側板部
32a 上側取着部
33,133 上側突出部
35a,133b 上下重なり部
15a,115a,324a 上下対向部
40 防振基体
41a,141a リバウンドストッパゴム部
41c,141c バウンドストッパゴム部
230a 右部材
230b 左部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てつつ対向して配設される上側連結部材および下側連結部材と、前記上側連結部材および前記下側連結部材の対向面間を連結すると共にゴム状弾性材から構成される一対の防振基体とを備える防振装置において、
車体フレーム側に固設されると共に前記下側連結部材が上面に取着される取付部材を備え、
前記上側連結部材は、エンジン側に連結される上側取着部が形成された上側板部と、前記上側板部から下方に向かって突設されバウンド方向への変位時に下部が前記取付部材の上面に当接する上側突出部とを備え、
前記上側突出部の下部および前記取付部材の上面の少なくとも一方は、バウンド方向への変位時に前記上側突出部の下部と前記取付部材の上面とが当接可能な部位に少なくとも配設されたゴム状弾性材から構成されるバウンドストッパゴム部を備え、
前記下側連結部材または前記取付部材は、上方に向かって突設される下側突出部を備え、
前記上側突出部は、前記下側突出部と前記取付部材との間に位置すると共に上下方向に直交する投影面において前記下側突出部と重なる上下重なり部を備え、
前記下側突出部は、前記上下重なり部と上下方向で対向する上下対向部を備え、
前記上下重なり部および前記上下対向部の少なくとも一方は、リバウンド方向への変位時に前記上下重なり部と前記上下対向部とが当接可能な部位に少なくとも配設されたゴム状弾性材から構成されるリバウンドストッパゴム部を備えていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記上側突出部は、前記上側板部の両端から突設されていることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記上側連結部材は、左右方向に分離して左右対称の形状に形成されると共に、前記上側取着部を有する左部材および右部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記下側連結部材は、下面から突設され前記取付部材に取着される下側取着部を備え、前記下側連結部材は、前記下側突出部を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−17358(P2011−17358A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161006(P2009−161006)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】