説明

集積回路装置の評価方法

【課題】 集積回路装置の評価方法に関し、個々のトランジスタやロジック回路の経時劣化の実測による確認を含む設計フローを構築する。
【解決手段】 回路設計を終了した集積回路から信頼性評価対象素子或いは信頼性評価対象回路の少なくとも一方を含む信頼性評価対象要素を抽出し、前記抽出した信頼性評価対象要素を信号遅延測定回路に接続するように配置し、前記信頼性評価対象要素に対して電源電圧をストレス電圧として印加して、前記信頼性評価対象要素の経時劣化を信号遅延の劣化として測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路の評価方法に関するものであり、特に、半導体集積回路装置に設けたトランジスタ及びロジック回路等の経時劣化をウェーハ段階において単時間で評価するための構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の製造ばらつきの増大に伴い、半導体集積回路装置の経時劣化による信号遅延の増大も正確に予測した設計フローを構築することが望まれている。このような経時劣化を正確に予測するために、個々の劣化モードに焦点を当てた加速試験を行ない、トランジスタ閾値電圧やドレイン電流、界面準位などの変化をモデル化し、信頼性シミュレータに取り込む方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図6に示すように、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)劣化の測定の場合には、pチャネル型MOSFETのゲート電極に、通常のゲート電圧より高圧の負のストレス電圧を印加し、劣化をIdsやVthの劣化として半導体テスタ等で測定している。なお、nチャネル型MOSFETの場合にはPBTI(Positive Bias Temperature Instability)劣化となり、PBTI劣化の測定の場合には、通常のゲート電圧より高圧の正のストレス電圧を印加することになるが、NBTI劣化より劣化の程度が低いことが知られている。
【0004】
また、製品チップにおいて、クリティカルパスの遅延の経時変化を予測することは重要であり、この予測のために信頼性シミュレータを使う方法がある。例えば、半導体集積回路装置の経時劣化による各信号パスの信号遅延をシミュレーションにより予測し、半導体集積回路装置の設計時または検査時に見込むべき経時劣化マージン量を適切に設定することも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、本発明者は、経時劣化を測定するものではないが、少数段で構成されるゲート回路等の遅延時間を精度良く評価するための遅延−電圧変換回路を提案している(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−140284号公報
【特許文献2】特開2005−100458号公報
【特許文献3】特開2005−227129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、クリティカルパスの遅延の経時変化を予測するための信頼性シミュレータで使われるモデルの改善は続いているものの、実際の劣化メカニズムが不明な部分も残っており実測による確認が望ましい。
【0007】
例えば、デバイスの製造プロセスに起因して、回路設計時には予測しなかった劣化が発生することがあるが、信頼性シミュレータによる予測ではこのような回路設計時には予測しなかった劣化の発生には全く対応できないという問題がある。
【0008】
また、従来のNBTI劣化の測定においては、個々のpチャネル型MOSFETの劣化を測定しているため、測定に多大の時間を要するという問題がある。
【0009】
したがって、本発明は、個々のトランジスタやロジック回路の経時劣化の実測による確認を含む設計フローを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点からは、回路設計を終了した集積回路から信頼性評価対象素子或いは信頼性評価対象回路の少なくとも一方を含む信頼性評価対象要素を抽出し、前記抽出した信頼性評価対象要素を信号遅延測定回路に接続するように配置し、前記信頼性評価対象要素に対して電源電圧をストレス電圧として印加して、前記信頼性評価対象要素の経時劣化を信号遅延の劣化として測定する集積回路装置の評価方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の集積回路装置の評価方法によれば、ウェーハレベルのPT(プローブテスト)試験時に測定結果がわかるので、パッケージに組む前に良品判定を行なうことが可能となる。また、基本論理ゲート等のユニットセルや単体トランジスタの経時劣化を実使用の動作周波数において測定可能であり、且つ、一度に多数の素子を同条件で劣化させることができるため、測定時間の短縮が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本願発明の実施の形態の遅延測定方法の説明図であり、遅延測定回路の基本的構成は上記の特許文献3において提案している遅延−電圧変換回路を用い、トランジスタ閾値電圧やドレイン電流、界面準位などの変化(劣化)として経時劣化を測定するのではなく、信号遅延の変化(劣化)として測定する。
【0013】
図1(a)は、本発明の実施の形態の遅延測定方法に用いる遅延−電圧変換回路の概念的構成図であり、周期がTの参照クロック信号の遅延を電圧によって制御する電圧制御遅延回路11、電圧制御遅延回路11に制御電圧を供給するバイアス電源12、参照クロック信号と被測定回路13からの出力信号の位相を比較する位相検出器14、位相検出器14の出力をDA変換してバイアス電源12に供給するチャージポンプ回路15から構成される。
【0014】
この被測定回路13として、本発明の測定対象となる個々のトランジスタ、基本論理回路、或いは、製品チップのクリティカルパスを配置し、この被測定回路13の電源電圧として通常の駆動時の電圧より高い可変の電圧をストレス電圧として印加して、被測定回路13の特性の経時劣化を信号遅延として測定する。
【0015】
図1(b)は、測定結果の説明図であり、縦軸は電圧制御遅延回路11に印加される制御電圧Vであり、横軸は信号遅延ΔTである。被測定回路13がn段のトランジスタ或いは基本ゲート回路で構成されている場合、被測定回路13の最大の信号遅延T2maxは、n段のトランジスタ或いは基本ゲート回路の個々の信号遅延の積み重ねとなる。
【0016】
測定対象が個々のトランジスタ、特に、NBTI劣化が問題となるpチャネル絶縁ゲート型トランジスタである場合、複数のpチャネル絶縁ゲート型トランジスタとストレス電圧印加回路とからなるユニット回路をスイッチング回路を介してn段直列接続し、ゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する。なお、段数nは場合によって異なるが、例えば、1000個程度のオーダーである(但し、実使用周波数での測定を目的とするときは10個程度のオーダーである)。
【0017】
この遅延の測定を、ストレス電圧印加前と、長時間t、例えば、1000〜10000秒程度のストレス電圧印加後に行い、初期遅延値d(t,n)と劣化後期遅延値d(t,n)から、遅延劣化率を、
{d(t,n)−d(t,n)}/d(t,n)
として求めて、特性劣化を評価する。
【0018】
また、測定対象が、インバータ回路、NAND回路、NOR回路等の基本論理ゲートを含むユニットセルである場合には、ユニットセルをスイッチング回路を介してn段直列接続し、このユニットセルにストレス電圧を印加した状態でゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する。この場合も遅延の測定を、ストレス電圧印加前とストレス電圧印加後に行い、初期遅延値と劣化後期遅延値から遅延劣化率を求めて特性劣化を評価する。なお、この場合も段数nは場合によって異なるが、例えば、1000個程度のオーダーである(但し、実使用周波数での測定を目的とするときは10個程度のオーダーである)。
【0019】
また、測定対象が、クリティカルパスである場合には、回路設計を終了した集積回路からタイミング解析シミュレータにより全信号パスを抽出し、抽出した全信号パスの信頼性を信頼性シミュレータで解析し、解析した信号パスのうち経時劣化を大きな順にランキングする。次いで、ランキングした信号パスの内の上位の信号パスをクリティカルパスとして選択し、選択したクリティカルパスにストレス電圧を印加した状態で信号の遅延を測定する。
【0020】
この場合も遅延の測定を、ストレス電圧印加前とストレス電圧印加後に行い、初期遅延値と劣化後期遅延値から遅延劣化率を求めてクリティカルパスの特性劣化を評価する。なお、この場合にクリティカルパスとして選択する上位の信号パスの数は、後述するテストエリアの面積にもよるが、通常は10個のオーダーである。
【0021】
図2は遅延測定回路の配置の説明図であり、図2(a)は上述のようにチップレイアウト合成時に自動発生させた被測定回路を含む遅延−電圧変換回路をウェーハに設けた製品チップ20のスクライブ領域21に配置した例である。この場合、全ての製品チップ20の周囲のスクライブ領域21に配置しても良いし、或いは、適宜選択した製品チップ20の周囲のスクライブ領域21に配置しても良い。
【0022】
このように、本発明の実施の形態においては、ウエハレベルのPT(プローブテスト)試験時に測定結果がわかるので、パッケージに組む前に良品判定を行なうことが可能となる。また、基本論理ゲート等のユニットセルや単体トランジスタの経時劣化を実使用の動作周波数において測定可能であり、且つ、一度に多数の素子を同条件で劣化させることができるため、測定時間の短縮が可能となる。
【0023】
したがって、遅延劣化率が予想した劣化率より大きな場合には、プロセスに問題がある場合があるので、プロセス解析を行って製造プロセスにフィードバックすることができる。
なお、遅延測定方法に用いる遅延測定回路は、図1で説明した遅延−電圧変換回路に限られるものではなく、他の遅延測定回路でも良く、例えば、リングオシレータ等で測定可能な場合はそちらを用いることも可能である。
【0024】
また、図2(b)はチップレイアウト合成時に自動発生させた被測定回路を含む遅延−電圧変換回路をウェーハに設けた製品チップ20内にモニタ22として配置した例である。この場合、製品チップ20の実動作時に、モニタ22に実動作において印加する電圧より若干高い電圧を印加して信号遅延を測定して、劣化をリアルタイムに検出することが可能になる。
【実施例1】
【0025】
以上を前提として、次に、図3を参照して本発明の実施例1のNBTI劣化の測定方法を説明する。図3は本発明の実施例1のNBTI劣化を測定するための被測定回路の回路構成図である。この被測定回路においては、各段のpチャネル型MOSFET31に、スイッチング用MOSFET32,33と、pチャネル型MOSFET31とともにインバータを構成するnチャネル型MOSFET34,35との直列回路を2対並列接続した並列回路を接続してユニット回路30を構成する。
【0026】
また、各ユニット回路30をスイッチング回路40を介してn段直列接続する。この場合のスイッチング回路40はCMOSインバータ41とCMOS伝達ゲート42によって構成され制御端子43を介して入力される制御信号によってスイッチして、スイッチした段のユニット回路30からの出力のみを取り出して、図1に示した位相検出器に入力する。
【0027】
NBTI劣化の手法を説明すると、まず、各スイッチング用MOSFET32のみをONにしてインバータを構成するpチャネル型MOSFET31とnチャネル型MOSFET34にストレス電圧Vstressを印加して1000〜10000秒程度の駆動して各pチャネル型MOSFET31をNBTI劣化を生起させる。
【0028】
次いで、遅延測定時には各スイッチング用MOSFET33のみをONにしてpチャネル型MOSFET31とnチャネル型MOSFET35とでインバータを構成して動作させる。したがって、遅延測定時には劣化のためのストレス電圧Vstressが印加されなかったnチャネル型MOSFET35とでインバータを構成することになるので、pチャネル型MOSFET31のみの劣化を反映した信号遅延の測定が可能になる。
【0029】
次に、信号遅延測定手順を説明すると、まず、
a.各スイッチング用MOSFET33のみをONにして、スイッチング回路40によりゲート段数nを順次変えながら信号遅延を測定し、初期遅延値d(t,n)を取得する。
b.次いで、各スイッチング用MOSFET32のみをONにして長時間t、回路動作させて各pチャネル型MOSFET31をNBTI劣化させる。
c.次いで、再び、各スイッチング用MOSFET33のみをONにして、スイッチング回路40によりゲート段数nを順次変えながら信号遅延を測定し、劣化後期遅延値d(t,n)を取得する。
d.次いで、取得した初期遅延値d(t,n)と劣化後期遅延値d(t,n)から遅延劣化率を、
{d(t,n)−d(t,n)}/d(t,n)
として求めて、特性劣化を評価する。
【0030】
このように、本発明の実施例1においては、pチャネル型MOSFETの経時劣化を実使用の動作周波数において測定可能であり、且つ、一度に多数の素子を同条件で劣化させることができるため、測定時間の短縮が可能となる。
【実施例2】
【0031】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2のユニットセルの劣化の測定方法を説明する。図4は本発明の実施例2のユニットセルの劣化を測定するための被測定回路の回路構成図である。この被測定回路においては、各段のユニットセル50をスイッチング回路40を介してn段直列接続し、各ユニットセル50にはVDDとしてストレス電圧Vstressを印加する。この場合のユニットセル50は、例えば、インバータ、NAND回路、或いは、NOR回路等の基本論理ゲートからなる。
【0032】
この場合、各段のユニットセル50は全て同じ基本論理ゲートで構成しても良いし、或いは、異なった基本論理ゲートを混在させても良い。全て同じ基本論理ゲートで構成する場合には、特定の基本論理ゲートの劣化特性を評価することが可能になる。また、異なった基本論理ゲートを混在させた場合には、論理回路全体の劣化特性を評価することができる。
【0033】
次に、信号遅延測定手順を説明すると、まず、
a.スイッチング回路40によりゲート段数nを順次変えながら信号遅延を測定し、初期遅延値d(t,n)を取得する。
b.次いで、ストレス電圧を印加した状態で長時間t、回路動作させて各ユニットセルを経時劣化させる。
c.次いで、スイッチング回路40によりゲート段数nを順次変えながら信号遅延を測定し、劣化後期遅延値d(t,n)を取得する。
d.次いで、取得した初期遅延値d(t,n)と劣化後期遅延値d(t,n)から遅延劣化率を、
{d(t,n)−d(t,n)}/d(t,n)
として求めて、ユニットセル50の経時劣化を評価する。
【0034】
このように、本発明の実施例2においては、ユニットセルの経時劣化を実使用の動作周波数において測定可能であり、且つ、一度に多数のユニットセルを同条件で劣化させることができるため、測定時間の短縮が可能となる。
【実施例3】
【0035】
次に、図5を参照して、本発明の実施例3のクリティカルパスの劣化の測定方法を説明する。図5は本発明の実施例3のクリティカルパスの抽出方法のフローチャートであり、まず、
a.タイミング解析シミュレータ(STA等)を製品チップに適用してタイミング解析する。
b.次いで、タイミング解析から、全信号パスを抽出する。
c.次いで、抽出した全信号パスの遅延を信頼性シミュレータで解析する。
d.次いで、解析結果に基づいて、経時劣化の大きい信号パスから順にランキングする。e.ランキングした信号パスの内のランキング上位の信号パスをクリティカルパスとして選定する。
f.次いで、選定したクリティカルパスをスクライブ領域或いはモニタ領域に自動配置する。
【0036】
次に、信号遅延測定手順を説明すると、まず、
a.選定した各クリティカルパスの信号遅延を測定して初期遅延値d(t)を取得する。
b.次いで、ストレス電圧を印加した状態で長時間t、回路動作させて各クリティカルパスを経時劣化させる。
c.次いで、再び、各クリティカルパスの信号遅延を測定して劣化後期遅延値d(t)を取得する。
d.次いで、取得した初期遅延値d(t)と劣化後期遅延値d(t)から遅延劣化率を、
{d(t)−d(t)}/d(t
として求めて、各クリティカルパスの経時劣化を評価する。
【0037】
このように、本発明の実施例3においては、クリティカルパスの経時劣化を実使用の動作周波数においてウェーハ段階で従来の製品チップの信頼性評価時に同時に実測値として測定可能になる。また、このような実測の結果を信頼性シミュレータに反映させることによって、クリティカルパスの経時劣化のシミュレーションの精度を高めることができる。
【0038】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は、各実施例に示した条件に限られるものではない。例えば、上記の各実施例においては、半導体集積回路装置の経時劣化の評価方法として説明しているが、評価対象は半導体集積回路装置に限られるものではなく、例えば、超電導集積回路装置の経時劣化の評価方法にも適用されるものである。
【0039】
ここで、実施例1乃至実施例3を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 回路設計を終了した集積回路から信頼性評価対象素子或いは信頼性評価対象回路の少なくとも一方を含む信頼性評価対象要素を抽出し、前記抽出した信頼性評価対象要素を信号遅延測定回路に接続するように配置し、前記信頼性評価対象要素に対して電源電圧をストレス電圧として印加して、前記信頼性評価対象要素の経時劣化を信号遅延の劣化として測定する集積回路装置の評価方法。
(付記2) 前記信頼性評価対象要素がpチャネル絶縁ゲート型トランジスタであり、前記pチャネル絶縁ゲート型トランジスタとストレス電圧印加回路とからなるユニット回路をスイッチング回路を介して多段直列接続し、ゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する付記1記載の集積回路装置の評価方法。
(付記3) 前記ストレス電圧印加回路がスイッチング用トランジスタと、前記pチャネル絶縁ゲート型トランジスタとともにインバータを構成するnチャネル絶縁ゲート型トランジスタとの直列回路を2対並列接続した並列回路からなる付記2記載の集積回路装置の評価方法。
(付記4) 前記信頼性評価対象要素が基本論理ゲートであり、前記基本論理ゲートをスイッチング回路を介して多段直列接続し、前記基本論理ゲートにストレス電圧を印加し、ゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する付記1記載の集積回路装置の評価方法。
(付記5) 前記信頼性評価対象要素がクリティカルパスであり、前記回路設計を終了した集積回路からタイミング解析シミュレータにより全信号パスを抽出し、前記抽出した全信号パスの信頼性を信頼性シミュレータで解析し、前記解析した信号パスのうち経時劣化を大きな順にランキングし、前記ランキングした信号パスの内の上位の信号パスをクリティカルパスとして選択し、前記選択したクリティカルパスにストレス電圧を印加し、信号の遅延を測定する付記1記載の集積回路装置の評価方法。
(付記6) 前記信頼性評価対象要素の信号遅延の測定を、集積回路チップを複数個隣接して配置したウェーハ段階で行う付記1乃至5のいずれか1に記載の集積回路装置の評価方法。
(付記7) 前記信頼性評価対象要素の信号遅延の測定を、集積回路チップの通常動作時に行う付記1乃至5のいずれか1に記載の集積回路装置の評価方法。
(付記8) 前記信号遅延測定回路と前記選択した信頼性評価対象要素を、前記ウェーハのスクライブ領域に配置する付記6記載の集積回路装置の評価方法。
(付記9) 前記信号遅延測定回路と前記選択した信頼性評価対象要素を、前記ウェーハの製品領域に配置する付記6または7に記載の集積回路装置の評価方法。
(付記10)回路設計を終了した集積回路から抽出した信頼性評価対象素子或いは信頼性評価対象回路の少なくとも一方を含む信頼性評価対象要素と、前記抽出した信頼性評価対象要素の信号の遅延を測定する信号遅延測定回路とをモニタ領域に設けるとともに、前記信頼性評価対象要素にストレス電圧を印加するストレス電圧印加手段を備えた集積回路装置。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態の遅延測定方法の説明図である。
【図2】遅延測定回路の配置の説明図である。
【図3】本発明の実施例1のNBTI劣化を測定するための被測定回路の回路構成図である。
【図4】本発明の実施例2のユニットセルの劣化を測定するための被測定回路の回路構成図である。
【図5】本発明の実施例3のクリティカルパスの抽出方法のフローチャートである。
【図6】従来のNBTI劣化の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
11 電圧制御遅延回路
12 バイアス電源
13 被測定回路
14 位相検出器
15 チャージポンプ回路
20 製品チップ
21 スクライブ領域
22 モニタ
30 ユニット回路
31 pチャネル型MOSFET
32,33 スイッチング用MOSFET
34,35 nチャネル型MOSFET
40 スイッチング回路
41 CMOSインバータ
42 CMOS伝達ゲート
43 制御端子
50 ユニットセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路設計を終了した集積回路から信頼性評価対象素子或いは信頼性評価対象回路の少なくとも一方を含む信頼性評価対象要素を抽出し、
前記抽出した信頼性評価対象要素を信号遅延測定回路に接続するように配置し、
前記信頼性評価対象要素に対して電源電圧をストレス電圧として印加して、
前記信頼性評価対象要素の経時劣化を信号遅延の劣化として測定する集積回路装置の評価方法。
【請求項2】
前記信頼性評価対象要素がpチャネル絶縁ゲート型トランジスタであり、 前記pチャネル絶縁ゲート型トランジスタとストレス電圧印加回路とからなるユニット回路をスイッチング回路を介して多段直列接続し、ゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する請求項1記載の集積回路装置の評価方法。
【請求項3】
前記信頼性評価対象要素が基本論理ゲートであり、
前記基本論理ゲートをスイッチング回路を介して多段直列接続し、
前記基本論理ゲートにストレス電圧を印加し、ゲート段数を変えながら順次信号の遅延を測定する請求項1記載の集積回路装置の評価方法。
【請求項4】
前記信頼性評価対象要素がクリティカルパスであり、
前記回路設計を終了した集積回路からタイミング解析シミュレータにより全信号パスを抽出し、
前記抽出した全信号パスの信頼性を信頼性シミュレータで解析し、
前記解析した信号パスのうち経時劣化を大きな順にランキングし、
前記ランキングした信号パスの内の上位の信号パスをクリティカルパスとして選択し、 前記選択したクリティカルパスにストレス電圧を印加し、信号の遅延を測定する請求項1記載の集積回路装置の評価方法。
【請求項5】
前記信号遅延測定回路と前記選択した信頼性評価対象要素を、前記ウェーハのスクライブ領域に配置する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の集積回路装置の評価方法。
【請求項6】
前記信号遅延測定回路と前記選択した信頼性評価対象要素を、前記ウェーハの製品領域に配置する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の集積回路装置の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−50365(P2010−50365A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214919(P2008−214919)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】