説明

電動車両の走行制御装置

【課題】高効率での電動車両モータ駆動制御を行い、低電費な電動車両向け走行制御装置を提供する。
【解決手段】電動車両の走行制御装置は、実車速とモータの力行及び回生に関する駆動状態とに基づいて、電費効果代をもたらすモータの制駆動に必要な最高効率モータトルクを演算する演算部と、アクセル開度及び実車速に基づいて、モータを最高効率モータトルクで制駆動させて車両を走行させる第1期間と、モータを制駆動させずに車両を惰行させる第2期間との期間配分を演算する演算部と、第1期間における走行と第2期間における惰行とが交互に繰り返されるように、モータをパルス状に制駆動するための目標モータトルクを演算する演算部と、目標モータトルクに応じてモータをパルス状に制駆動することにより車両の走行制御を行う制駆動ECUとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の小さな車両として電気自動車が注目を浴びている。しかしながら、電気自動車に用いられるバッテリは、ガソリンと比べエネルギー密度が小さく、ガソリン車に比べ航続距離が短い欠点がある。電力消費量(以下、電費という)低減の手段として、走行制御中に惰性走行を織り交ぜ、慣性エネルギーを有効活用することにより、モータの稼働時間を減らす技術が知られている。例えば特許文献1では、定速走行時における目標車速に対し、適当な上下限値を設けて幅を持たせ、実車速が前記目標車速上下限内を維持する様に、加速と惰行を繰り返す走行制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−120503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された加速と惰行を繰り返す走行制御技術によると、加速時のエネルギー効率が考慮されていないため、電費低減が不十分という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明による電動車両の走行制御装置は、電動車両の車両走行要件と電動車両のモータの力行及び回生に関する駆動状態とに基づいて、電動車両の電費効果代をもたらすモータの制駆動に必要な所定の基準トルクを演算する第1演算手段と、車両走行要件に基づいて、モータを所定の基準トルクで制駆動させて電動車両を走行させる第1期間と、モータを制駆動させずに電動車両を惰行させる第2期間との期間配分を演算する第2演算手段と、第1期間における電動車両の走行と第2期間における電動車両の惰行とが交互に繰り返されるように、モータを断続的に制駆動するための制御要求トルクを演算する第3演算手段と、制御要求トルクに応じてモータを断続的に制駆動することにより電動車両の走行制御を行う走行制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電動車両の走行制御装置が高効率でのモータ制駆動制御を行い、従来技術よりも一層の電費低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電動車両のモータ効率分布と走行時多用域を示す図
【図2】モータを小型化した際のモータ効率分布と走行時多用域を示す図
【図3】高効率走行制御の原理を示す図
【図4】高効率走行制御の制御内容を示す図
【図5】電動車両のシステム構成を示す図
【図6】制駆動ECUにおける演算内容を示す図
【図7】第1の実施の形態における車両目標トルク演算部の演算内容を示す図
【図8】ドライバー要求基本トルク演算部の演算内容を示す図
【図9】オートクルーズ要求基本トルク演算部の演算内容を示す図
【図10】省エネパルス制御基準トルク演算部の演算内容を示す図
【図11】省エネパルス制御要求トルク演算部の演算内容を示す図
【図12】要求トルク切替え部の演算内容を示す図
【図13】要求トルク切替え判定部の演算内容を示す図
【図14】要求トルク選択処理のタイムチャートを示す図
【図15】パルス制御の詳細を示す図
【図16】第2の実施の形態における高効率走行制御の制御内容を示す図
【図17】第3の実施の形態における高効率走行制御の制御内容を示す図
【図18】第3の実施の形態における車両目標トルク演算部の演算内容を示す図
【図19】第3の実施の形態におけるドライバー要求仮想目標車速演算部の演算内容を示す図
【図20】第3の実施の形態における省エネパルス制御要求トルク演算部の演算内容を示す図
【図21】パルス制御の詳細を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
電気自動車の航続距離を延ばすためにはモータの駆動効率を上げることが有効であるが、図1に示す様に、電気自動車用モータの高効率動作領域と市街地走行等で多用する動作領域とが一致しないことが多い。市街地走行多用域にモータの高効率域を合わせて設計すると、図2に示す様にモータ体格が小さくなる傾向にある。市街地走行時には良好な電力消費量(以下、電費)を示すものの、高速走行や追越し等の高負荷条件において出力が不足するためである。従って、電気自動車用モータの体格は、高負荷の走行条件に合わせて設定せざるを得ず、市街地走行でのモータ効率は犠牲となる。
【0009】
例えば特開平11−18207号公報では、モータと車軸間に変速機を設け、走行状態に応じてモータの動作点が高効率領域に近づく様に、変速比を制御する技術が公開されている。特開平7−131994号公報では、車両に複数のモータを搭載し、モータ全体の総合効率が最良となる様に、各モータへの負荷配分を最適化する技術が記載されている。特開平11−18207号公報、及び特開平7−131994号公報に示される従来技術では、駆動システムに新たにデバイスを追加することになり、重量増やコスト増を招く。
【0010】
特開2010−120503号公報に示される、加速と惰行を繰り返す走行制御技術では、加速時におけるモータの動作領域について何ら開示が無く、モータ駆動効率改善の余地がある。特開2010−120503号公報に示される従来技術は、定速走行時のみ適用可能であり、ドライバーのアクセル操作による通常走行時には適用できない。
【0011】
すなわち、先行技術文献には、アクセル操作による走行に対応可能であって、且つモータの高効率駆動を考慮した、低電費な電気自動車等電動車両の走行制御装置が開示されていない。
【0012】
そこで、本発明による走行制御装置においては、図3に示す様に、モータ回転数毎に好ましくは最高効率を示すトルクを予め求めておき、その最高効率トルクによるモータ駆動走行(力行)と、モータ駆動停止による惰性走行(惰行)とを周期的に繰り返すパルス状トルク制御を実施する。モータは断続的に駆動されることとなる。図3(a)に示すパルス幅aとパルス周期bとの期間配分、すなわちパルス状トルク制御のパルスデューティー比は、好ましくは式(1)を用いて決定する。
パルスデューティー比=車両要求モータトルク÷最高効率トルク (1)
【0013】
図3(b)は、図3(a)における惰行区間から力行区間へ変化した際のモータトルクのトルク変化を示す図である。このときのモータトルクは、所定のモータ回転数における車両要求トルクを越えて、最高効率トルク線上の最高効率トルクへ変化することが好ましい。最高効率トルク線は、最高効率トルクがモータ回転数に応じて変化することを表している。図3(c)は、図3(a)における力行区間から惰行区間へ変化した際のモータトルクのトルク変化を示す図である。このときのモータトルクは、所定のモータ回転数における車両要求トルクを下回って、トルク値0へ変化することが好ましい。
【0014】
図4は、高効率走行制御の制御内容を示す図である。アクセル開度および実車速に応じて定まる車両要求モータトルク(ドライバ要求モータトルク)が例えば40Nmであって、最高効率モータトルクが例えば80Nmであるとき、式(1)を用いた演算によりパルスデューティー比は50%と決定される。最高効率モータトルクは、上述したようにモータ回転数に応じて変化する。モータ回転数に応じて変化する最高効率モータトルクとパルスデューティー比とを互いに乗じることにより、目標モータトルクが得られる。その目標モータトルクで車両のモータが断続的に駆動されることにより、車両の実車速が得られ、このときのモータ回転数に応じた最高効率モータトルクが、再びパルスデューティー比を決定するための演算に用いられる。
【0015】
図4に示す様に、本発明による走行制御装置においては、駆動モータの実効的な出力をパルスデューティー比にて調整するため、断続的なモータ駆動時には走行負荷に関わらず、例えば最高効率トルクのみを使用できる。従って、従来の継続的なモータ駆動制御に比べ、モータの電力消費低減が図られ、電動車両の航続距離延長やバッテリ搭載量削減効果が実現できるといった、大幅な電費削減効果(電費効果代)が期待できる。本発明による走行制御装置の走行制御は、車両システムのハード構成を変更せずに制御ロジックのみを変更することで対応可能なことから、コストパフォーマンスに優れることが期待できる。車両要求トルクは、アクセル操作に対応して決定されることから、ドライバーのアクセル操作による走行制御についても、本発明による走行制御装置を適用可能である。
【0016】
−−−第1の実施の形態−−−
本発明による走行制御装置を適用した第1の実施の形態における制駆動ECU102について以下に説明する。まず、図5を用いて制駆動ECU102による制御対象である電動車両101のシステム構成について説明する。電動車両101は、アクセル開度信号、ブレーキ信号および車速信号等が入力される制駆動ECU102、インバータ103、モータ104、減速ギア105、バッテリ106、バッテリECU107、およびブレーキECU108を有し、4個の駆動輪3が取り付けられている。
【0017】
制駆動ECU102から出力される目標モータ制駆動トルク207の信号は、インバータ103に入力され、インバータ103は目標モータ制駆動トルク207の信号に応じたトルクを出力するように、モータ104を駆動する。なお、モータ104を駆動するための電力は、バッテリ106から供給される。バッテリECU107は、バッテリ106の充放電の制御や異常の監視などを行い、必要に応じてバッテリ情報を制駆動ECU102に出力する。ブレーキECU108は、制駆動ECU102から入力される目標ブレーキトルク208の信号に基づいて、4個の駆動輪3のブレーキ制動を制御する。
【0018】
図6は、図5の制駆動ECU102における演算内容を示す図である。制駆動ECU102は電動車両101全体の制御を行う制御装置であり、内部にCPUを有し、各種入力信号に基づき所定のプログラムにより所定の処理を行い、各種信号を出力する。本実施の形態の制駆動ECU102は、車両全体の各種の処理のうち、少なくともアクセル開度信号、ブレーキ信号、および車速信号等の車両走行要件に関する入力信号に基づき、所定のプログラムにより所定の処理を行い、目標モータ制駆動トルク207の信号および目標ブレーキ制動トルク208の信号を出力する。
【0019】
アクセル開度信号は、ドライバーによるアクセルペダル(不図示)の踏み込み量に応じた信号である。ブレーキ信号は、ドライバーによるブレーキペダル(不図示)の踏み込み量に応じた信号である。車速信号は、駆動輪3などの回転数を検出する車速センサ(不図示)からの信号であり、電動車両101の車速を示す信号である。
【0020】
図6に示すとおり、制駆動ECU102は、車両目標トルク演算部201、目標モータ制駆動トルク演算部205、回生協調ブレーキトルク演算部(制動トルク振分け演算部)204、および目標ブレーキ制動トルク演算部206を有する。車両目標トルク演算部201は、入力されたアクセル開度信号、ブレーキ信号、車速信号などに基づき、目標駆動トルク202を演算して、目標モータ制駆動トルク演算部205へ出力する。さらに、目標制動トルク203を演算して、回生協調ブレーキトルク演算部204へ出力する。車両目標トルク演算部201の処理内容については、後述する。
【0021】
回生協調ブレーキトルク演算部204は、入力される目標制動トルク値に基づき、モータ104の回生を利用した制動と、機械式ブレーキによる制動との振り分け制御を行い、モータ104の回生用の制御値を目標モータ制駆動トルク演算部205へ、機械式ブレーキによる制動制御値を目標ブレーキ制動トルク演算部206へ出力する。目標モータ制駆動トルク演算部205は、車両目標トルク演算部201からの目標駆動トルク202および回生協調ブレーキトルク演算部204からの回生用モータトルク値に基づき、目標モータ制駆動トルク207を出力する。目標ブレーキ制動トルク演算部206は、回生協調ブレーキトルク演算部204からの機械式ブレーキによる制動トルク値に基づき、目標ブレーキ制動トルク208を演算し、出力する。
【0022】
次に図7を用いて、車両目標トルク演算部201について説明する。ドライバー要求基本トルク演算部301は、入力されたアクセル開度信号および車速信号に基づき、ドライバー要求基本トルクを演算する。また、オートクルーズ要求基本トルク演算部302は、ドライバーが設定した目標車速と、車両走行要件のうちの実際の車速情報との差分を基に、オートクルーズ要求基本トルクを演算する。トルク制御および速度制御切替え部303は、ドライバーの選択スイッチ操作に応じて、トルク制御と速度制御とを切り替える。この切り替えによってトルク制御、すなわちアクセルによる走行制御が選択されると、ドライバー要求基本トルク演算部301によって演算されたドライバー要求基本トルクが選択される。速度制御、すなわちオートクルーズによる走行制御が選択されると、オートクルーズ要求基本トルク演算部302によって演算されたオートクルーズ要求基本トルクが選択される。以下の説明では、トルク制御が選択されたものとする。
【0023】
省エネパルス制御基準トルク演算部304は、車速とモータの駆動状態(力行または回生)の情報とを基に、省エネパルス制御基準トルクを演算する。省エネパルス制御要求トルク演算部305は、トルク制御および速度制御切替え部303によって選択された基本トルク(本実施の形態ではドライバー要求基本トルク)と、省エネパルス制御基準トルクとに基づいて、省エネパルス制御要求トルクを演算する。
【0024】
要求トルク切替え部306は、後述する要求トルク切替え判定部307の判定結果に従って、上述した基本トルクと省エネパルス制御要求トルクとの内、一方を選択する。要求トルク切替え判定部307は、要求トルク情報の他、車速やバッテリ蓄電量(SOC)やドライバーのモード選択意志などの情報を基に、上述した基本トルクと省エネパルス制御要求トルクとのどちらを選択するかを決定する。
【0025】
後段の車両目標駆動トルクおよび制動トルク演算部308は、要求トルク切替え部306によって選択された要求トルクと、ブレーキペダル踏みこみ量とに基づき、車両が目標とする目標駆動トルク202と目標制動トルク203とを演算する。車両目標駆動トルクおよび制動トルク演算部308は、演算した目標駆動トルク202と目標制動トルク203とを、それぞれ、目標モータ制駆動トルク演算部205と回生協調ブレーキトルク演算部204とへ出力する。
【0026】
次に、図8を用いてドライバー要求基本トルク演算部301の詳細について説明する。ドライバー要求基本トルク演算部301は、アクセル開度および車速を入力パラメータとする演算マップを有しており、該演算マップを参照して、アクセル開度および車速に基づきドライバー要求基本トルク値を演算する。アクセル全開時にはマップ領域上限のトルクをドライバー要求基本トルク値として算出し、アクセル全閉時にはマップ領域下限のトルクをドライバー要求基本トルク値として算出する。アクセル開度が中間位置の場合は、その開度に応じたマップ領域上下限内の値をドライバー要求基本トルク値として算出する。エンジン車の特性に合わせて、アクセル全閉時かつ低車速時には、クリープトルクに相当する力行側の正のトルクをドライバー要求基本トルク値として算出し、アクセル全閉時かつ中高車速時には、エンジンブレーキに相当する回生側の負のトルクをドライバー要求基本トルク値として算出する。
【0027】
次に、図9を用いてオートクルーズ要求基本トルク演算部302が出力するオートクルーズ要求基本トルクの演算処理の詳細について説明する。オートクルーズ要求基本トルク演算部302にはPID制御器が設置されており、ドライバーが設定した目標車速と実際の車速との偏差を基に、目標車速を維持するのに必要なトルクを算出する。モータトルクの実現可能な範囲を越えない様に、出力後段にてモータトルクリミット処理が施される。上述したように、本実施の形態においては、トルク制御および速度制御切替え部303によって、オートクルーズ要求基本トルクは選択されていないこととする。
【0028】
次に図10を用いて、省エネパルス制御基準トルク演算部304が出力する省エネパルス制御基準トルクの演算処理の詳細について説明する。図中に示す様に、モータの駆動効率には分布があり、モータ回転数ひいては対応する車速毎に、最高効率を示すトルク値は異なる。省エネパルス制御基準トルク演算部304には、トルクおよび車速の正負で決まる4象限を対象に、例えば最高効率を示すトルクをラインで結び、省エネパルス制御基準トルク算出用マップが格納されている。負の車速は、バックギアあるいは上り坂による後退走行によって得られる。正のトルクは力行時に得られ、負のトルクは回生時に得られる。省エネパルス制御基準トルク演算部304は、車速およびトルクの正負の情報を基に、省エネパルス制御基準トルク算出用マップを参照して、省エネパルス制御基準トルクを算出する。
【0029】
次に、図11を用いて省エネパルス制御要求トルク演算部305が出力する省エネパルス制御要求トルクの演算処理の詳細について説明する。省エネパルス制御要求トルク演算部305は、ドライバー要求基本トルクと省エネパルス制御基準トルクとが入力されると、省エネパルス制御基準トルクをベースにPWM処理を施して、省エネパルス制御要求トルクを算出する。PWM処理のパルスデューティー比(期間配分比)は、ドライバー要求基本トルクと省エネパルス制御基準トルクとの比によって表され、パルスデューティー比演算部401によって、以下の式(2)を用いた演算にて求められる。
パルスデューティー比=ドライバー要求基本トルク÷省エネパルス制御基準トルク
(2)
【0030】
例えば、ドライバー要求基本トルクが40Nm、省エネパルス制御基準トルクが80Nmの場合、パルスデューティー比は50%となり、本デューティー比を満足するパルス状のトルクが、省エネパルス制御要求トルクとして、省エネパルス制御要求トルク演算部305によって出力される。
【0031】
なお、後述する要求トルク切替え判定部307は、「パルスデューティー比≦100%」、すなわち、「ドライバー要求基本トルク≦省エネパルス制御基準トルク」の条件が満足された場合に、省エネパルス制御要求トルクを最終要求トルクとして選択する。上記条件を満足しない場合には、要求トルク切替え判定部307は、ドライバー要求基本トルクを最終要求トルクとして選択する。
【0032】
次に、図12および図13を用いて、要求トルク切替え部306と要求トルク切替え判定部307の詳細について説明する。図13に示す要求トルク切替え判定部307は、ドライバー要求基本トルク、省エネパルス制御基準トルク、エコモードやパワーモード等のモード選択SW(スイッチ)入力、アクセル開度、車速、SOC(バッテリ残量)等を基に、最終要求トルクとして、ドライバー要求基本トルクと省エネパルス制御要求トルクとのどちらを選択するかを決定する。要求トルク切替え部306が有するセレクタ405は、要求トルク切替え判定部307の決定にしたがって要求トルクの切替えを実施する。図12は、ドライバー要求基本トルクが選択されて要求トルク切替え部306から出力される例を示している。
【0033】
具体的な判断基準としては、省エネパルス制御はその原理上、要求トルクが最高効率トルクよりも低い場合にのみ適用可能であること、およびパルス制御のため緻密でないトルク制御に比較的適していることを考慮し、以下の条件にて判定を行う。
(A)ドライバー要求基本トルク選択条件
・高負荷時 (ドライバー要求基本トルク>省エネパルス制御基準トルク)
・急加減速(制振)時または微低速時
・パワーモード走行時またはコンフォートドライブモード走行時
・ABS動作時またはTCS動作時
(B)省エネパルス制御選択条件
・低SOC状態の時または長距離走行が計画されている時
・エコドライブモード走行時
・オートクルーズが選択されている時
【0034】
次に図14を用いて、要求トルク切替え判定部307による要求トルク選択処理のタイムチャートを示す。
【0035】
(区間a)
区間aは停止から発進に至る期間であり、アクセルによるデリケートなトルク操作が求められることから、要求トルク切替え判定部307は、トルク制御性に優れるドライバー要求基本トルクを選択する。ドライバー要求基本トルクによって、モータ104は継続的に駆動制御される。
【0036】
(区間b)
区間bは低負荷の定常走行期間であり、条件「ドライバー要求基本トルク≦省エネパルス制御基準トルク」が成立していることから、トルク切替え判定部307は経済性を考慮し、電費効果代をもたらす省エネパルス制御要求トルクを選択する。省エネパルス制御要求トルクによって、モータ104は断続的に駆動制御される。
【0037】
(区間c)
区間cは追越し等に起因する加速区間であり、高レスポンスが要求され、且つ、ドライバー要求基本トルクが省エネパルス制御基準トルクよりも大きいことから、区間bで成立した条件は区間cでは成立しない。要求トルク切替え判定部307は、省エネパルス制御要求トルクではなく、ドライバー要求基本トルクを選択する。ドライバー要求基本トルクによって、モータ104は継続的に駆動制御される。
【0038】
(区間d)
区間dは、低負荷定常走行に戻り、その後、アクセルオフによる減速へ移行する期間である。条件「ドライバー要求基本トルク≦省エネパルス制御基準トルク」が成立していることから、トルク切替え判定部307は経済性を考慮し、電費効果代をもたらす省エネパルス制御要求トルクを選択する。省エネパルス制御要求トルクによって、モータ104は断続的に駆動制御される。
【0039】
(区間e)
区間eは、ドライバーのアクセルオフ操作に伴い、エンジンブレーキ相当のマイナストルク(回生トルク)が発生する期間である。条件「|ドライバー要求基本トルク|≦|省エネパルス制御基準トルク|」が成立していることから、トルク切替え判定部307は経済性を考慮し、電費効果代をもたらす省エネパルス制御要求トルクを選択する。省エネパルス制御要求トルクによって、モータ104は断続的に駆動制御される。
【0040】
本実施の形態における制駆動ECU102による走行制御は、駆動モータの実効的な出力をパルスデューティー比にて調整するため、走行負荷に関わらずモータ駆動時には最高効率トルクのみを使用できる。トルク切替え判定部307が、車速や負荷情報等を基にして、ドライバー要求基本トルクと省エネパルス制御要求トルクとの適切な切替えを実施する。従って、運転性や経済性に優れた走行制御となり、従来の継続的なモータ駆動制御に比べ、大幅な電費削減効果(電費効果代)が得られ、電動車両の航続距離延長やバッテリ搭載量削減効果が実現できる。
【0041】
図15に示す様に、図3(a)に示したパルス状トルク制御によるトルクパルスの周期を短くして高周波化することで、運転性や乗り心地に関してドライバーや乗員が不快に感じないように調節することが可能である。運転性はトルク応答性に起因する。応答時間が長いとドライバーは不快に感じる。トルク応答性はトルクパルスの周期に依存する。乗り心地もまたトルクパルスの周期に起因する。トルクパルスの周期が所定時間よりも短いときはドライバーや乗員は振動を感知することはほとんどないが、トルクパルスの周期がその所定時間よりも長いときはドライバーや乗員は振動を感知して、乗り心地が不快であると感じる。具体的には実験によって調節されるが、モータのトルク応答性とPWM時のトルク分解能とを考慮し、パルス周期≦500ms、かつ最小パルス幅≦5msに設定することが望ましい。
【0042】
第1の実施の形態における制駆動ECU102は、以下の作用効果を奏する。
(1)制駆動ECU102は、電動車両101の実車速と電動車両101のモータ104の力行及び回生に関する駆動状態とに基づいて、電動車両101の電費効果代をもたらすモータ104の制駆動に必要な省エネパルス制御基準トルクを演算する省エネパルス制御基準トルク演算部304と、実車速及びアクセル開度に基づいて、モータ104を省エネパルス制御基準トルクで制駆動させて電動車両101を走行させる期間と、モータ104を制駆動させずに電動車両101を惰行させる期間との期間配分を演算する省エネパルス制御要求トルク演算部305と、電動車両101の走行と惰行とが交互に繰り返されるように、モータ104を断続的に制駆動するための省エネパルス制御要求トルクを演算する省エネパルス制御要求トルク演算部305と、省エネパルス制御要求トルクに応じてモータ104を断続的に制駆動することにより電動車両101の走行制御を行う目標モータ制駆動トルク演算部205とを有することとした。したがって、従来の継続的なモータ駆動制御に比べ、大幅な電費削減効果(電費効果代)が得られ、電動車両の航続距離延長やバッテリ搭載量削減効果が実現できる。
【0043】
(2)制駆動ECU102において、モータ104を省エネパルス制御基準トルクで制駆動させて電動車両101を走行させる期間と、モータ104を制駆動させずに電動車両101を惰行させる期間とが繰り返される周期は、500ms以下とした。したがって、運転性や乗り心地に関してドライバーや乗員が不快に感じない。
【0044】
−−−第2の実施の形態−−−
次に、本発明による第2の実施の形態における制駆動ECU102による走行制御について、図16を用いて説明する。図16は、加速と惰行との繰り返しによる定速走行制御を対象とした制御ブロック図を示している。ドライバーによって目標車速が設定されると、目標車速および車両の実車速が図7に示す省エネパルス制御要求トルク演算部305に入力される。すなわち、省エネパルス制御要求トルク演算部305は、ドライバー要求基本トルク演算部301やオートクルーズ要求基本トルク演算部302が出力する基本トルクの代わりに、目標車速および実車速を用いて省エネパルス制御要求トルクを演算する。省エネパルス制御要求トルク演算部305によって、実車速が目標車速±v[Km/h]の間に含まれるように加速制御のONおよびOFFが繰り返される。車速変化量vは、ドライバーによって省エネパルス制御要求トルク演算部305に入力されるか、または省エネパルス制御要求トルク演算部305に含まれる不図示のメモリに予め設定されている。後者の場合、車速変化量vは目標車速に応じて定められることとしても良い。また、車速変化量vは路面状況や地形にも影響を受けるので、電動車両101に搭載された不図示のナビゲーション装置からの情報等を利用して、路面状況や地形に応じた所定期間における車速変化量vを演算しても良い。
【0045】
加速制御のONおよびOFFの期間配分は、以下のようにして定められる。すなわち、惰行により実車速が減速して目標車速−vに達すると、モータトルクのトルクパルスが1となって、加速制御がONされる。実車速が加速して目標車速+vに達すると、モータトルクのトルクパルスが0となって、加速制御がOFFされる。第1の実施の形態の説明で述べたように、最高効率モータトルク(省エネパルス制御基準トルク)はモータ回転数に応じて変化するため、モータトルクのトルクパルスが1のときは、モータ回転数に応じた最高効率モータトルクで車両のモータが駆動される。モータトルクのトルクパルスが0のときは、車両のモータは駆動されない。こうして加速制御のONおよびOFFが繰り返されることによって定められる目標モータトルク(省エネパルス制御要求トルク)に従って車両のモータが駆動されることにより、車両の実車速が得られ、このときのモータ回転数に応じた最高効率モータトルクが、再び目標モータトルクを決定するための演算に用いられる。
【0046】
省エネパルス制御要求トルクに従って車両のモータ104が駆動されるのは、省エネパルス制御選択条件が満たされた場合である。ドライバー要求基本トルク選択条件が満たされた場合は、ドライバー要求基本トルク演算部301またはオートクルーズ要求基本トルク演算部302が出力する基本トルクに従って車両のモータ104が駆動される。ドライバー要求基本トルク選択条件および省エネパルス制御選択条件は第1の実施の形態と同様である。
【0047】
本実施の形態における制駆動ECU102による走行制御においては、加速時のモータトルク値として、モータ回転数毎の最高効率トルクを用いるため、モータの駆動効率が向上し、低電費走行が可能となる。
【0048】
−−−第3の実施の形態−−−
次に、本発明による第3の実施の形態における制駆動ECU102による走行制御について、図17〜図21を用いて説明する。本実施の形態においては、ドライバーのアクセル操作に応じた通常の走行制御に対応して演算されるドライバー要求仮想目標車速に対して、実車速がドライバー要求仮想目標車速±v[Km/h]の間に含まれるように加速制御のONおよびOFFが繰り返される。
【0049】
具体的構成としては、アクセルと車速を基にドライバーが要求するモータトルクを演算するとともに、電動車両の動力特性を模擬した車両モデルに対してモータトルクを入力し、ドライバーが仮想的に要求するドライバー要求仮想目標車速を演算する。車両モデルを表す演算式は、制駆動ECU102が有する不図示のメモリに記憶されている。演算したドライバー要求仮想目標車速に対して、図16を用いて説明した第2の実施の形態と同様に、実車速がドライバー要求仮想目標車速±v[Km/h]の間に含まれるように加速と惰行とを期間配分して繰り返す走行制御を行うことによって、アクセル操作に応じた低電費走行制御が実現可能となる。
【0050】
次に図18を用いて、第3の実施の形態における制駆動ECU102が有する車両目標トルク演算部201の詳細について説明する。ドライバー要求基本トルク演算部301、省エネパルス制御基準トルク演算部304、要求トルク切替え部306、要求トルク切替え判定部307、ならびに車両目標駆動トルクおよび制動トルク演算部308の詳細については第1の実施の形態と共通するため、説明を省略する。ドライバー要求仮想目標車速演算部309と、省エネパルス制御要求トルク演算部305とについて詳細を以下に説明する。
【0051】
図19は、ドライバー要求仮想目標車速演算部309の詳細を示す。ドライバー要求仮想目標車速演算部309には、車軸駆動力演算部411、走行抵抗演算部412、仮想車両加速度演算部413、および仮想速度変換部414が内包され、これらの演算部を用いて、最終的にドライバー要求仮想目標車速が演算される。車軸駆動力演算部411は、ドライバー要求基本トルクを基に、減速比やタイヤ半径を考慮して、車軸駆動力Fを演算する。走行抵抗演算部412は、不図示のメモリに記憶されているテーブルを参照することにより、車速から転がり抵抗や空気抵抗を演算し、車両トータルの走行抵抗Fを演算する。仮想車両加速度演算部413は、車両重量m、車軸駆動力Fおよび走行抵抗Fに基づき、下記の式(2)を用いて、仮想車両加速度αを算出する。
α=(F−F)/m (3)
【0052】
仮想速度変換部414は、下記の式(3)を用いて、ドライバー要求仮想目標車速Vを演算する。
V = ∫α dt=∫(F−F)/m dt (4)
【0053】
次に図20を用いて、第3の実施の形態における制駆動ECU102が有する省エネパルス制御要求トルク演算部305の演算内容について説明する。省エネパルス制御要求トルク演算部305に入力される主要パラメータは、省エネパルス制御基準トルク演算部304によって演算された省エネパルス基準トルクであり、例えば最高効率モータトルクである。ドライバー仮想目標車速と実車速との大小関係を基に、省エネパルス基準トルクに対するON−OFFパルス変調を実施する。詳細には、目標車速について±v[km/h]の許容幅を設け、第1条件「目標車速+v<車速」が成立するときは、パルスOFFとなって、第2条件が成立するまで加速制御OFFが維持される。第2条件「目標車速−v>車速」が成立するときは、パルスONとなって、第1条件が成立するまで加速制御ONが維持される。
【0054】
省エネパルス制御基準トルク(例えば最高効率モータトルク)はモータ回転数に応じて変化するため、モータトルクのトルクパルスが1のときは、モータ回転数に応じた省エネパルス制御基準トルクで車両のモータが駆動される。モータトルクのトルクパルスが0のときは、車両のモータは駆動されない。こうして加速制御のONおよびOFFが繰り返されることによって、図20に示すように省エネパルス制御要求トルク演算部305の出力する省エネパルス制御要求トルクが定められる。省エネパルス制御要求トルクにしたがって車両のモータが駆動されることにより、車両の実車速が得られ、このときのモータ回転数に応じた最高効率モータトルク、すなわち省エネパルス制御基準トルクが、図17に示すように再び目標モータトルク、すなわち省エネパルス制御要求トルクを決定するための演算に用いられる。
【0055】
省エネパルス制御要求トルクに従って車両のモータ104が駆動されるのは、省エネパルス制御選択条件が満たされた場合である。ドライバー要求基本トルク選択条件が満たされた場合は、ドライバー要求基本トルク演算部301またはオートクルーズ要求基本トルク演算部302が出力する基本トルクに従って車両のモータ104が駆動される。ドライバー要求基本トルク選択条件および省エネパルス制御選択条件は第1および第2の実施の形態と同様である。
【0056】
本実施の形態における制駆動ECU102による走行制御においては、加速制御のONおよびOFFが繰り返されるため、低電費な走行制御が実現可能である。
【0057】
−−−変形例−−−
上述した各実施の形態において、パルス状トルクに伴う上述した運転性や乗り心地に関して、ドライバーや乗員が不快に感じないように調節することが可能である。こうした調節は、図21に示す様に、省エネパルス制御要求トルク演算部305が図21(a)に示すトルクパルスに対して3種類の変調処理、すなわちランプ処理、サイン波処理、または扁平化処理を適用することによって実現できる。
【0058】
ランプ処理は、図21(b)に示すように、トルクの立ち上がりや立ち下がり時の変化をランプ状に設定する処理である。サイン波(正弦波)処理は、図21(c)に示すように、トルクの立ち上がりや立ち下がり時の変化率をサイン波状に設定する処理である。扁平化処理は、図21(d)に示すように、基準トルクを最高効率トルクより小さく設定する処理である。その際、トルク効率特性カーブを考慮し、効率低下許容閾値に基づいて許容できるトルク低下率の範囲内で基準トルクを設定する。図21(d)は、許容できるトルク低下率の最大値に基づいて基準トルクが設定された例を示している。これら3種類の変調処理に基づき、基準トルク、すなわちモータの動作点と、最高効率トルクとの偏差に応じた電費効果代が所定値以上となる範囲で、適用場面に応じてトルクパルスに対する加工の度合いを変化させることが望ましい。
【符号の説明】
【0059】
3 駆動輪
101 電動車両
102 制駆動ECU
103 インバータ
104 モータ
105 減速ギア
106 バッテリ
107 バッテリECU
108 ブレーキECU
201 車両目標トルク演算部
202 目標駆動トルク
203 目標制動トルク
204 回生協調ブレーキトルク演算部
205 目標モータ制駆動トルク演算部
206 目標ブレーキ制動トルク演算部
207 目標モータ制駆動トルク
208 目標ブレーキ制動トルク
301 ドライバー要求基本トルク演算部
302 オートクルーズ要求基本トルク演算部
303 トルク制御および速度制御切替え部
304 省エネパルス制御基準トルク演算部
305 省エネパルス制御要求トルク演算部
306 要求トルク切替え部
307 要求トルク切替え判定部
308 車両目標駆動トルクおよび制動トルク演算部
309 ドライバー要求仮想目標車速演算部
401 パルスデューティー比演算部
405 セレクタ
411 車軸駆動力演算部
412 走行抵抗演算部
413 仮想車両加速度演算部
414 仮想速度変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の車両走行要件と前記電動車両のモータの力行及び回生に関する駆動状態とに基づいて、前記電動車両の電費効果代をもたらす前記モータの制駆動に必要な所定の基準トルクを演算する第1演算手段と、
前記車両走行要件に基づいて、前記モータを前記所定の基準トルクで制駆動させて前記電動車両を走行させる第1期間と、前記モータを制駆動させずに前記電動車両を惰行させる第2期間との期間配分を演算する第2演算手段と、
前記第1期間における前記電動車両の走行と前記第2期間における前記電動車両の惰行とが交互に繰り返されるように、前記モータを断続的に制駆動するための制御要求トルクを演算する第3演算手段と、
前記制御要求トルクに応じて前記モータを断続的に制駆動することにより前記電動車両の走行制御を行う走行制御手段とを備えることを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記車両走行要件は前記電動車両の実車速を含むことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記所定の基準トルクは、前記モータの最高効率に対応する最高効率トルク近傍に含まれることを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記車両走行要件に基づいて前記モータを継続的に制駆動するための要求基本トルクを演算する第4演算手段をさらに備え、
前記第2演算手段は、前記第4演算手段によって演算された前記要求基本トルクを取得し、前記第1演算手段によって演算された前記所定の基準トルクを取得し、前記要求基本トルクと前記所定の基準トルクとに基づいて前記第1期間と前記第2期間とを演算することを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記第1期間と前記第2期間との比は、前記要求基本トルクと前記所定の基準トルクとの比に基づいて定められることを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記所定の基準トルクの絶対値は、前記要求基本トルクの絶対値よりも高トルクであり、且つ前記所定の基準トルクによる前記モータの制駆動時のモータ効率は、前記要求基本トルクによる前記モータの制駆動時のモータ効率よりも高いことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記第1期間と前記第2期間とが繰り返される周期は、500ms以下であることを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記第2演算手段は、前記車両走行要件として前記電動車両の目標車速および実車速を取得し、前記目標車速および前記実車速に基づいて前記第1期間および前記第2期間を演算することを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記第2演算手段は、前記実車速と、前記電動車両のアクセル開度と、前記電動車両の重量と、前記電動車両が走行する際の抵抗とに基づいて前記目標車速を取得することを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記走行制御手段は、前記走行制御と、前記車両走行要件に基づいて前記モータを継続的に制駆動することによる前記電動車両の走行制御とを、前記電動車両のドライバーの意思または前記ドライバーによる前記電動車両の運転状態に応じて択一的に行うことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記意思は、前記モータの制駆動に要求されるトルク、エコモードもしくはパワーモードを選択するためのスイッチ入力、及びアクセル開度のうちの少なくとも1つを含み、前記運転状態は、前記所定の基準トルク、前記電動車両の実車速、及びSOCのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする電動車両の走行制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電動車両の走行制御装置において、
前記第3演算手段は、前記制御要求トルクに対して、ランプ処理、正弦波処理、および扁平化処理のうちの少なくとも1つを実施することを特徴とする電動車両の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−110089(P2012−110089A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255694(P2010−255694)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】