説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明は半導体チップを基板に精度よく実装することができる実装装置を提供することにある。
【解決手段】半導体チップを供給するウエハテーブル2と、ウエハテーブルに設けられた半導体チップをピックアップする実装ツール12と、実装ツールによってピックアップされた半導体チップを基板に実装する前に下方から撮像するチップカメラ21と、基板の半導体チップが実装される部位を撮像する基板カメラ23と、チップカメラの撮像に基づいて半導体チップに設けられた第1の位置合わせマークの位置を算出するとともに、基板カメラの撮像に基づいて基板に設けられた第2の位置合わせマークの位置を算出する演算処理部16と、この演算処理部で算出された第1の位置合わせマークと第2の位置合わせマークの位置に基づいて実装ツールを基板に対して位置決めして半導体チップを実装させる駆動制御部17を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は供給部から実装ツールによって電子部品をピックアップして基板に実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品としてのたとえば半導体チップを実装する実装装置は実装ツールを備えている。この実装ツールは駆動手段によってX、Y方向(水平方向)及びZ方向(上下方向)に駆動されるようになっている。
【0003】
上記実装装置は供給部から半導体チップをピックアップする。供給部は、たとえば多数の半導体チップに分割されて半導体ウエハを保持したウエハテーブルによって構成されている。このウエハテーブルは水平方向に駆動位置決めされるようになっている。
【0004】
上記ウエハテーブルは、水平方向に駆動されて上記実装ツールによってピックアップされる半導体チップを所定の位置に位置決めする。位置決めされた半導体チップはチップカメラによって撮像され、その撮像信号に基いて上記実装ツールがピックアップされる半導体チップの上方で、しかもその軸中心を上記半導体チップの中心に一致するよう位置決めされる。
【0005】
位置決めされた実装ツールは下降方向に駆動される。また、位置決めされた半導体チップは突き上げピンなどによって突き上げられる。そして、実装ツールは突き上げられた上記半導体チップを吸着する。ついで、実装ツールは上昇した後、この半導体チップを実装する基板の実装装置の上方に位置決めされる。基板の半導体チップが実装される実装位置は、この基板の上方に配置された基板カメラによって撮像され、その撮像信号を処理することによって予め算出されている。
【0006】
したがって、基板カメラの撮像に基いて実装ツールを位置決めすれば、この実装ツールに保持された半導体チップを上記基板の所定の位置に実装することができる。
【0007】
このような実装装置は特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−78217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、チップカメラと基板カメラを用いてウエハテーブルの半導体チップを実装ツールで取り出して基板に実装するようにすれば、通常の場合は上記半導体チップを基板の所定の実装位置に精度よく実装することが可能となる。
【0010】
しかしながら、上記チップカメラと基板カメラの撮像に基づいて、ウエハテーブルから半導体チップをピックアップする実装ツール及びこの実装ツールによってピックアップされる半導体チップが基板の実装位置に位置決めされても、実装ツールが突き上げピンによって突き上げられた半導体チップをピックアップする際、半導体チップが突き上げられることで位置ずれしたり、上記実装ツールが半導体チップを吸着する際に半導体チップが位置ずれするということがある。
【0011】
位置ずれした状態で実装ツールに保持された半導体チップは、実装ツールに対する保持状態を確認されることなく、基板カメラの撮像に基づいて算出された実装位置に位置決めされて実装される。そのため、実装ツールにピックアップされた半導体チップに位置ずれが生じていると、その分だけ基板に対する実装精度が低下するということになる。
【0012】
上記供給部にはウエハテーブルに代わって収容凹部が形成されたトレイが用いられることがある。その場合、半導体チップなどの電子部品はトレイの収容凹部に収容される。収容凹部は、通常、電子部品の外形よりも大きく形成されるから、電子部品は凹部内でずれ動くということがある。凹部内で電子部品がずれ動くと、実装ツールに対して電子部品が位置ずれした状態でピックアップされることになる。
したがって、そのような場合にも、上記電子部品を基板に対して精密に実装できなくなるということになる。
【0013】
この発明は、実装ツールが供給部から電子部品をピックアップするときに位置がずれるようなことがあっても、その位置ずれを補正して基板に実装することができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品をピックアップする実装ツールと、
この実装ツールによってピックアップされた電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像するチップカメラと、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する基板カメラと、
上記チップカメラの撮像に基づいて上記電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するとともに、上記基板カメラの撮像に基づいて上記基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部で算出された上記第1のパターンと第2のパターンの位置に基づいて上記実装ツールを上記基板に対して位置決めして上記電子部品を実装させる駆動制御部と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0015】
上記演算処理部は、上記チップカメラの撮像に基づく上記電子部品の外形形状から上記第1のパターン位置を算出することが好ましい。
【0016】
上記チップカメラは、上記電子部品の下面から上面に設けられた上記第1のパターンを透過して撮像する赤外線カメラであることが好ましい。
【0017】
この発明は、基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品をピックアップする実装ツールと、
この実装ツールによって上記電子部品をピックアップする前に、この電子部品を上方から撮像するピックアップカメラと、
上記実装ツールによってピックアップされた電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像するチップカメラと、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する基板カメラと、
上記ピックアップカメラの撮像に基づいて上記電子部品の外形形状とこの電子部品の上面に設けられた第1のパターンの位置を算出するとともに、上記チップカメラの撮像に基づいて上記電子部品の外形状から上記第1のパターンの位置を算出するときに、上記ピックアップカメラの撮像に基づいて算出された電子部品の外形状と第1のパターンとの位置関係に基づいて上記第1のパターンの位置を補正して算出する一方、上記基板カメラの撮像に基づいて上記基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部で算出された上記第1のパターンと第2のパターンの位置に基づいて上記実装ツールを上記基板に対して位置決めして上記電子部品を実装させる駆動制御部と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0018】
この発明は、基板に電子部品を実装する実装方法であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品を実装ツールによってピックアップする工程と、
ピックアップされて上記実装ツールに保持された電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像する工程と、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する工程と、
上記電子部品の下方からの撮像に基づいてこの電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出する工程と、
基板の撮像に基づいてこの基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する工程と、
算出された上記電子部品の第1のパターンが上記基板の第2のパターンに一致するよう上記電子部品を位置決めして上記基板に実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【0019】
上記供給部から上記電子部品をピックアップする前にその電子部品を上方から撮像する工程と、
上記電子部品の下方からの撮像に基づいてこの電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するときに、この第1のパターンの位置を上記電子部品の上方からの撮像に基づいて算出される上記第1のパターンの位置によって補正する工程をさらに具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、電子部品が供給部から実装ツールによってピックアップされて基板に実装される前に下方から撮像し、その撮像に基づいて電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するようにした。
【0021】
そのため、供給部から実装ツールによって電子部品をピックアップするとき、実装ツールに対して電子部品が位置ずれしても、その位置ずれを補正して基板に実装することが可能となる。
【0022】
この発明によれば、電子部品が供給部から実装ツールによってピックアップする前に上方から撮像し、その撮像に基づいて電子部品の外形形状と上面に設けられた第1のパターンの位置を算出する一方、電子部品が基板に実装される前に下方から撮像し、その撮像に基づいて電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するとき、この第1のパターンの位置を上方から撮像して算出された電子部品の外形形状と第1のパターンの位置関係によって補正するようにした。
【0023】
そのため、供給部から実装ツールによって電子部品をピックアップするとき、実装ツールに対して電子部品が位置ずれしても、その位置ずれを補正して基板に実装することが可能となるばかりか、電子部品の外形状が予め予定された外形状と異なる場合であっても、その電子部品を精密に位置決めして実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の概略的構成図。
【図2】制御系統のブロック図。
【図3】(a)は第1の位置合わせマークが設けられた半導体チップの平面図、(b)は第2の位置合わせマークが設けられた基板の一部を示す平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1に示すこの発明の実装装置はベース1を備えている。このベース1の一端部には電子部品の供給部としてのウエハテーブル2が設けられている。このウエハテーブル2はXテーブル3とYテーブル4によって水平方向であるX、Y方向に駆動されて位置決めされるようになっている。X方向は図1に矢印で示す。
【0026】
上記ウエハテーブル2にはウエハリング7が供給される。このウエハリング7には、図示しない樹脂シートに接着された半導体ウエハ5が保持されている。この半導体ウエハ5は賽の目状の多数の半導体チップ6に分断されている。
【0027】
上記ウエハリング7は上記Xテーブル3とYテーブル4によって水平方向に駆動され、後述する実装ツール12によってピックアップされる半導体チップ6が所定の位置に位置決めされる。位置決めされた半導体チップ6は、上記ウエハテーブル2の下方に配置された突き上げ装置8の突き上げピン9によって突き上げられる。
【0028】
ピックアップされる半導体チップ6は上記突き上げピン9によって突き上げられる前に、ウエハテーブル2の上方に設けられたピックアップカメラ11によって撮像される。つまり、ピックアップされる半導体チップ6はその中心が上記ピックアップカメラ11の光軸中心に一致するよう上記ウエハテーブル2によって位置決めされる。
【0029】
位置決めされた半導体チップ6は上記突き上げピン9によって突き上げられた後、上記実装ツール12によってピックアップされる。この実装ツール12は駆動手段13によって水平方向としてのX、Y、θ方向及び上下方向としてのZ方向に駆動されるようになっている。
【0030】
上記実装ツール12は、ピックアップ位置に位置決めされた上記半導体チップ6をピックアップする際、上記ピックアップカメラ11の撮像に基づいて図1に鎖線で示すようにピックアップされる半導体チップ6の上方に位置決めされる。
【0031】
すなわち、図2に示すように上記ピックアップカメラ11の撮像信号は画像処理部14に出力されて二値化処理された後、制御装置15に設けられた演算処理部16に出力され、ここでピックアップされる上記半導体チップ6の中心座標、半導体チップ6の外形形状及び半導体チップ6の上面に設けられた一対の第1のパターンとしての第1の位置合わせマークP1(図3(a)に示す)の位置が算出される。
【0032】
演算処理部16で算出された座標信号は駆動制御部17に出力される。駆動制御部17は演算処理部16からの座標信号に基づいて駆動手段13を駆動し、上記実装ツール12をその軸中心が上記半導体チップ6の中心座標に一致するよう、X、Y方向に位置決めした後、図1に矢印で示すZ方向下方に駆動する。
【0033】
ピックアップされる半導体チップ6が位置決めされてピックアップカメラ11によって撮像されると、この半導体チップ6は上記制御装置15の駆動制御部17によって駆動される突き上げ装置8の突き上げピン9によって突き上げられる。
【0034】
それによって、突き上げられた半導体チップ6はZ方向下方に駆動された上記実装ツール12によって吸着されてピックアップされる。なお、上記実装ツール12は半導体チップ6が突き上げピン9によって突き上げられてから、Z方向下方に駆動される。
【0035】
上記ベース1上には上記ウエハテーブル2からX方向に所定距離離れた位置に、搬送手段として平行に離間した一対のガイドレール20がたとえばX方向と交差するY方向に沿って配置されている。このガイドレール20には上記半導体チップ6が後述するように実装されるリードフレームなどの基板Wが図示しない搬送手段によって搬送位置決めされるようになっている。つまり、基板Wは上記半導体チップ6が上記実装ツール12によって実装される実装位置に位置決めされる。
【0036】
上記ウエハテーブル2から半導体チップ6をピックアップした上記実装ツール12は上記実装位置に向かって駆動される。上記実装ツール12は、上記ウエハテーブル2と上記実装位置との間で一時停止し、その先端面に吸着保持された半導体チップ6が第1の撮像手段としてのチップカメラ21によって撮像される。つまり、半導体チップ6は基板Wに実装される前にチップカメラ21によって撮像される。
【0037】
上記半導体チップ6を撮像した上記チップカメラ21の撮像信号は図2に示すように上記画像処理部14に入力されて画像処理された後、上記演算処理部16で上記半導体チップ6の外形形状を算出し、その外形形状から上記実装ツール12に対する上記半導体チップ6のθ方向の回転角度、及び図3(a)に示す半導体チップ6の上面に設けられた上記第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)が算出される。
【0038】
なお、一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)は、チップカメラ21の撮像信号から算出された半導体チップ6の外形形状に基づいて求められる。つまり、半導体チップ6の上面に設けられた一対の第1の位置合わせマークP1の座標は、この半導体チップ6の形状(大きさ)に応じて設定位置が決定されている。
【0039】
したがって、基板Wに実装される半導体チップ6の大きさを、上記演算処理部16に格納部18を介して接続された設定部22によって設定しておけば、半導体チップ6を撮像したチップカメラ21の撮像信号によって求められた外形形状から一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標を算出することができる。
【0040】
なお、上記ピックアップカメラ11の撮像に基づいて上記演算処理部16で算出された上記ウエハリング7に設けられたピックアップされる前の半導体チップ6の外形形状、第1の位置合わせマークP1の位置及び中心座標の情報は上記格納部18に格納される。
【0041】
上記第1の位置合わせマークP1の中心座標は、実装ツール12の軸線の座標を基準にして求めればよい。半導体チップ6がチップカメラ21によって撮像されるときの実装ツール12の軸線の座標は、実装ツール12を駆動する駆動手段13に制御装置15の駆動制御部17から出力される駆動信号によって求めることができる。
【0042】
図1に示すように、上記実装位置の上方には基板Wを撮像する第2の撮像手段としての基板カメラ23が配置されている。この基板カメラ23は、実装位置に位置決めされた基板Wの、図3(b)に鎖線で示す上記半導体チップ6が実装される部位24の中心Oに光軸が一致するよう配置されている。
【0043】
上記基板カメラ23は上記基板Wの上記半導体チップ6が実装される部位24を撮像する。この部位24には、半導体チップ6の上面に設けられた一対の第1の位置合わせマークP1を位置決めするための第2のパターンとしての一対の第2の位置合わせマークP2が上記一対の第1の位置合わせマークP1と対応する位置に設けられている。
【0044】
上記基板カメラ23の撮像信号は上記画像処理部14に入力されて画像処理された後、上記演算処理部16に出力される。この演算処理部16では一対の第2の位置合わせマークP2の中心座標(X11、Y11)及び(X22、Y22)が算出される。
【0045】
上記演算処理部16から上記駆動制御部17には、この演算処理部16で算出された一対の第2の位置合わせマークP2の中心座標(X11、Y11)及び(X22、Y22)と、上記実装ツール12に保持された半導体チップ6の一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)との差に応じたX、Y及びθ方向の駆動信号が上記駆動手段13に出力される。
【0046】
それによって、駆動手段13は、基板Wの第2の位置合わせマークP2の中心座標(X11、Y11)及び(X22、Y22)に対して半導体チップ6の一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)が一致するよう、上記実装ツール12を図1に鎖線で示すように位置決めする。
【0047】
ついで、上記駆動制御部17から上記駆動手段13には実装ツール12を矢印で示すZ方向に下降させる駆動信号が出力される。それによって、実装ツール12に保持された半導体チップ6は上記基板Wの実装位置に精密に位置決めされて実装されることになる。
【0048】
ガイドレール20に保持された基板Wの半導体チップ6が実装される部位24の下方にはバックアップテーブル26が上下駆動源27によって上下方向に駆動可能に設けられている。上記バックアップテーブル26は、基板Wに半導体チップ6を実装するときに上昇方向に駆動されて上記基板Wの下面を支持すようになっている。
【0049】
上記構成の実装装置においては、ウエハテーブル2によってピックアップ位置に位置決めされた半導体チップ6はピックアップカメラ11によって撮像されてから、実装ツール12によってピックアップされる。この実装ツール12は実装位置で基板Wに半導体チップ6を実装する前に、上記ピックアップ位置と上記実装位置との間で、上記実装ツール12に保持された半導体チップ6がチップカメラ21によって下方から撮像される。
【0050】
上記チップカメラ21が半導体チップ6を撮像したならば、その撮像信号によって半導体チップ6の外形形状を算出し、その外形形状である半導体チップ6の大きさによって上面に設けられた一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)が求められる。
【0051】
つまり、第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)は、設定部22によって演算処理部16に設定された半導体チップ6の大きさと第1の位置合わせマークP1の位置関係とのデータ及び半導体チップ6がチップカメラ21によって撮像されるときに位置決めされた実装ツール12に軸線の座標から求めることができる。
【0052】
半導体チップ6の大きさは、半導体ウエハ5から半導体チップ6をダイシングソーによって分断するときに、そのダイシングソーの磨耗状態などによって数μm単位で誤差が生じることがある。
【0053】
そのような場合、実装ツール12に保持された半導体チップ6をチップカメラ21によって下方から撮像して外形形状を求め、その外形形状に基づいて設定部22に設定された一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)を設定すると、その中心座標は外形形状の差によって実際の半導体チップ6、つまり実装ツール12に保持された半導体チップ6の一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標と一致しないということがある。
【0054】
したがって、チップカメラ21によって撮像された半導体チップ6の外形形状に基づいて一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)を算出する際、ピックアップカメラ11によって上面側から撮像された半導体チップ6の外形形状と一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標(X1、Y1)及び(X2、Y2)との関係に基づいて上記設定部22によって設定された中心座標を補正する。
【0055】
それによって、半導体チップ6の外形形状が設定部22によって予め設定された外形形状に対して誤差があっても、その誤差に影響されずに、実装ツール12に保持された半導体チップ6の一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標を精密に算出することが可能となる。
【0056】
一方、実装位置に位置決めされた基板Wの上記半導体チップ6が実装される部位24は基板カメラ23によって撮像され、その撮像信号によって上記基板Wに設けられた一対の第2の位置合わせマークP2の中心座標(X11、Y11)及び(X22、Y22)が算出される。
【0057】
そして、上記実装ツール12は、この実装ツール12に保持された半導体チップ6の一対の第1の位置合わせマークP1が、上記基板Wの一対の第2の位置合わせマークP2に一致するよう、上記実装ツール12が駆動手段13によってX、Y及びθ方向に駆動位置決めされてから、Z方向下方に駆動される。それによって、半導体チップ6は基板Wの実装位置に精密に位置決めされて実装されることになる。
【0058】
このようにして半導体チップ6を基板Wに実装すれば、実装ツール12が半導体チップ6をウエハテーブル2からピックアップするとき、実装ツール12に対して半導体チップ6が種々の原因よって位置ずれして吸着されても、その位置ずれが補正されて基板Wに実装されることになる。つまり、基板Wに対する半導体チップ6の実装精度を向上させることができる。
【0059】
しかも、実装ツール12によってピックアップされる前の半導体チップ6をピックアップカメラ11によって上方から撮像し、その撮像に基づいて半導体チップ6の外形形状と一対の第1の位置合わせマークP1の中心座標の位置を算出して格納部18に格納しておくようにした。
【0060】
そして、実装される前の半導体チップ6をチップカメラ21によって下方から撮像し、その撮像によって算出された半導体チップ6の外形形状から実装ツール12に保持された半導体チップ6の上面側の第1の位置合わせマークP1の中心座標を設定部22によって設定されたデータから求めるとき、中心座標をピックアップカメラ11の撮像に基づいて算出された実際の半導体チップ6の外形形状と第1の位置合わせマークP1の中心座標の関係に基づいて補正するようにした。
【0061】
そのため、半導体チップ6の外形形状が一定でなくても、その外形形状に影響を受けることなく、半導体チップ6の上面側に設けられた第1の位置合わせマークP1の中心座標を精密に算出することができるから、それに応じて実装精度も向上することになる。
【0062】
なお、ピックアップカメラ11の撮像に基づく半導体チップ6の中心座標の補正は、要求される実装精度によっては行わなくてもよい場合もあるが、実装精度をより一層、向上させる場合には行った方がよいことは勿論である。
【0063】
この発明は上記一実施の形態に限定されるものではない。たとえば、ウエハテーブルから実装ツールによって半導体チップ6をピックアップするとき、ピックアップカメラの撮像に基づいて実装ツールを位置決めするようにしたが、ピックアップカメラを用いずに、ピックアップされるためにウエハテーブルによって位置決めされた半導体チップの位置決め座標に対して実装ツールを軸線が一致するよう位置決めするようにしてもよい。
【0064】
そのようにしても、半導体チップを実装ツールによりピックアップするようにしても、その半導体チップは基板に実装される前に、一対の第1の位置合わせマークの座標がチップカメラの撮像に基づいて算出される。したがって、半導体チップを実装精度の低下を招くことなく実装することができる。つまり、チップカメラを用いることで、ピックアップカメラを省略することもできる。
【0065】
チップカメラによって実装ツールに保持された半導体チップを下方から撮像し、その撮像に基づいて半導体チップの外形形状を算出し、その外形形状及び予め設定された半導体チップの大きさに基づいて上面に設けられた第1のパターンである第1の位置合わせマークの座標を算出するようにしたが、チップカメラに赤外線カメラを用いれば、半導体チップの下面側から上面に設けられた第1の位置合わせマークを、半導体チップを透視して撮像することができる。
【0066】
したがって、半導体チップの上面に設けられた第1の位置合わせマークを下面側から撮像して座標を求めることが可能となる。つまり、半導体チップの外形形状を算出することなく、第1の位置合わせマークの座標を算出できる。
【0067】
なお、チップカメラに赤外線カメラを用いる場合、半導体チップの厚さなどの種々の条件によっては、その上面に設けられた第1の位置合わせマークを確実に撮像できないから、そのような場合には上述したようにピックアップカメラとチップカメラの撮像に基づいて第1の位置合わせマークの位置を求めるようにすれば、半導体チップを高精度で実装することができる。
【0068】
また、第1、第2のパターンとしては第1、第2の位置合わせマークに限られず、半導体チップと基板に設けられた回路パターンであってもよい。
【0069】
また、供給部としてはウエハテーブルに限られず、電子部品が収容される収容凹部が形成されたトレイをであってもよく、電子部品としては半導体チップ以外のものであっても差し支えない。
【符号の説明】
【0070】
2…ウエハテーブル(供給部)、6…半導体チップ(電子部品)、11…ピックアップカメラ、12…実装ツール、13…駆動手段、14…画像処理部、15…制御装置、16…演算処理部、17…駆動制御部、21…チップカメラ(第1の撮像手段)、22…設定部、23…基板カメラ(第2の撮像手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品をピックアップする実装ツールと、
この実装ツールによってピックアップされた電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像するチップカメラと、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する基板カメラと、
上記チップカメラの撮像に基づいて上記電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するとともに、上記基板カメラの撮像に基づいて上記基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部で算出された上記第1のパターンと第2のパターンの位置に基づいて上記実装ツールを上記基板に対して位置決めして上記電子部品を実装させる駆動制御部と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記演算処理部は、上記チップカメラの撮像に基づく上記電子部品の外形形状から上記第1のパターン位置を算出することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記チップカメラは、上記電子部品の下面から上面に設けられた上記第1のパターンを透過して撮像する赤外線カメラであることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品をピックアップする実装ツールと、
この実装ツールによって上記電子部品をピックアップする前に、この電子部品を上方から撮像するピックアップカメラと、
上記実装ツールによってピックアップされた電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像するチップカメラと、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する基板カメラと、
上記ピックアップカメラの撮像に基づいて上記電子部品の外形形状とこの電子部品の上面に設けられた第1のパターンの位置を算出するとともに、上記チップカメラの撮像に基づいて上記電子部品の外形状から上記第1のパターンの位置を算出するときに、上記ピックアップカメラの撮像に基づいて算出された電子部品の外形状と第1のパターンとの位置関係に基づいて上記第1のパターンの位置を補正して算出する一方、上記基板カメラの撮像に基づいて上記基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する演算処理部と、
この演算処理部で算出された上記第1のパターンと第2のパターンの位置に基づいて上記実装ツールを上記基板に対して位置決めして上記電子部品を実装させる駆動制御部と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項5】
基板に電子部品を実装する実装方法であって、
上記電子部品の供給部と、
この供給部に設けられた電子部品を実装ツールによってピックアップする工程と、
ピックアップされて上記実装ツールに保持された電子部品を上記基板に実装する前に下方から撮像する工程と、
上記基板の上記電子部品が実装される部位を撮像する工程と、
上記電子部品の下方からの撮像に基づいてこの電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出する工程と、
基板の撮像に基づいてこの基板に設けられた第2のパターンの位置を算出する工程と、
算出された上記電子部品の第1のパターンが上記基板の第2のパターンに一致するよう上記電子部品を位置決めして上記基板に実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項6】
上記供給部から上記電子部品をピックアップする前にその電子部品を上方から撮像する工程と、
上記電子部品の下方からの撮像に基づいてこの電子部品に設けられた第1のパターンの位置を算出するときに、この第1のパターンの位置を上記電子部品の上方からの撮像に基づいて算出される上記第1のパターンの位置によって補正する工程をさらに具備することを特徴とする請求項5記載の電子部品の実装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−96841(P2011−96841A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249125(P2009−249125)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】