説明

電子部品の樹脂封止成形装置

【課題】圧縮成形用の成形型を用いて、成形前基板に装着された所要複数個の半導体チップを樹脂材料によって樹脂封止する際に、樹脂封止工程における生産性の向上を図る。
【解決手段】樹脂封止成形装置1は、一対の圧縮成形用の成形型5において所定の数の成形前基板17を配置し、該成形前基板17に装着された所要複数個のチップ15を各別に且つ略同時に圧縮成形して樹脂封止する。また、樹脂封止成形装置1は、インユニットとアウトユニットとの間において一対の圧縮成形用の成形型5を有するプレスユニット7を所要数だけ連結した構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体チップに代表される電子部品の樹脂封止成形用の成形型、特に、圧縮成形用の成形型を用いて、基板に装着された所要複数個の電子部品を樹脂材料にて圧縮成形する電子部品の樹脂封止成形装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、基板の種類やボンディングの有無・方式のいかんを問わず、コストダウンのために基板について大型化の要請が強くなることに加えて、基板の厚みが薄型化することという傾向にある。また、IC等の電子部品、特に半導体チップの端子数の増大、半導体チップのスタック化、パッケージの薄型化等による、ワイヤ長の長大化・ワイヤ間隔の狭小化という傾向にある。これらに起因して、従来の短冊状の基板に加えて、様々な大型化・薄型化した基板を効率良く一括して圧縮成形することが強く求められている。
【0003】
以下、電子部品の例として半導体チップを挙げて説明する。基板に装着された所要複数個の半導体チップを一括して圧縮成形することが、例えば、上型と下型とを備えた二型構造の圧縮成形用金型を搭載した装置にて行われる。基板としては、短冊状のリードフレームを使用し、その基板の上に装着された所要複数個の半導体チップを一括して樹脂材料にて圧縮成形するものである(例えば、特許文献1参照。)。
即ち、基板に装着された所要複数個の半導体チップを一括して圧縮成形して樹脂封止する場合、特許文献1に開示されているように、下型側に形成されたキャビティ(キャビティ形成部)内に所要量の樹脂材料を供給する。基板のチップ装着側を下方に向けて、下型に形成された基板セット用の凹所に基板を供給してセットする。この状態で、上下両型を型締することにより、キャビティ内に供給された樹脂材料が加熱溶融化されて溶融樹脂となった後に、キャビティ内の溶融樹脂に所要複数個の半導体チップを浸漬する。溶融樹脂を硬化させることによって、基板に装着された所要複数個の半導体チップを、圧縮成形によって樹脂封止することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−230707号公報(第3−5頁、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従前の装置によれば、一対の圧縮成形用金型を使用して一枚の基板を圧縮成形して樹脂封止する構成であるので、樹脂封止工程における生産性の向上を図るのには、どうしても限界があった。
従って、本発明は、一組の圧縮成形用の成形型に対して二枚の成形前基板を配置し、それらの成形前基板にそれぞれ装着された電子部品を各別に且つ略同時に圧縮成形して樹脂封止すると共に、一組の成形型をそれぞれ含む一個又は複数個のプレスユニットをインユニットとアウトユニットとの間において連結する配置構成にすることにより、より一層樹脂封止工程における生産性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、前記技術的課題を解決するために本発明の請求項1に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形方法であって、次の工程を備えたことを特徴とする。
(1)少なくとも次の構成要素を有する樹脂封止成形装置を準備する工程
(a)成形前基板を移送し、かつ、タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなる樹脂材料を供給するインユニット
(b)成形済基板を受け取るアウトユニット
(c)インユニットとアウトユニットとの間において連結された一個のプレスユニットであって、他のプレスユニットに対して着脱自在に連結され得る構成を有する一個のプレスユニット
(d)一個のプレスユニットに設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型
(2)樹脂封止成形装置に成形前基板を供給する工程
(3)樹脂封止成形装置が有する収納部に樹脂材料を収納する工程
(4)収納部から所要量の樹脂材料を収容治具に収容する工程
(5)収容治具から所要量の樹脂材料を供給機構に移送する工程
(6)供給された成形前基板のうち、二つの型のいずれかにおいて設けられたキャビティに対応する所定の数の成形前基板を供給機構に移送する工程
(7)インユニットから供給機構を移動させることによって、一組の成形型の所定位置に所要量の樹脂材料を供給してセットし、かつ、一組の成形型の所定位置に所定の数の成形前基板を供給してセットする工程
(8)タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、又は、粉末状樹脂からなる所要量の樹脂材料を加熱することによって生成した溶融樹脂、又は、液状樹脂からなる所要量の樹脂材料によって、キャビティを実質的に満たされた状態にする工程
(9)一組の成形型を型締めすることによって溶融樹脂又は液状樹脂に複数個の電子部品を浸漬する工程
(10)溶融樹脂又は液状樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成することによって所定の数の成形済基板を完成させる工程
(11)一組の成形型を型開きする工程
(12)取出機構を使用して一組の成形型から所定の数の成形済基板を取り出す工程
【0007】
また、本発明の請求項2に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形方法であって、次の工程を備えたことを特徴とする。
(1)少なくとも次の構成要素を有する樹脂封止成形装置を準備する工程
(a)成形前基板を移送し、かつ、タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなる樹脂材料を供給するインユニット
(b)成形済基板を受け取るアウトユニット
(c)インユニットとアウトユニットとの間において互いに着脱自在に連結された複数個のプレスユニット
(d)複数個のプレスユニットにそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型
(2)樹脂封止成形装置に成形前基板を供給する工程
(3)樹脂封止成形装置が有する収納部に樹脂材料を収納する工程
(4)収納部から所要量の樹脂材料を収容治具に収容する工程
(5)収容治具から所要量の樹脂材料を供給機構に移送する工程
(6)供給された成形前基板のうち、二つの型のいずれかにおいて設けられたキャビティに対応する所定の数の成形前基板を供給機構に移送する工程
(7)インユニットから供給機構を移動させることによって、一組の成形型の所定位置に所要量の樹脂材料を供給してセットし、かつ、一組の成形型の所定位置に所定の数の成形前基板を供給してセットする工程
(8)タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、又は、粉末状樹脂からなる所要量の樹脂材料を加熱することによって生成した溶融樹脂、又は、液状樹脂からなる所要量の樹脂材料によって、キャビティを実質的に満たされた状態にする工程
(9)一組の成形型を型締めすることによって溶融樹脂又は液状樹脂に複数個の電子部品を浸漬する工程
(10)溶融樹脂又は液状樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成することによって所定の数の成形済基板を完成させる工程
(11)一組の成形型を型開きする工程
(12)取出機構を使用して一組の成形型から所定の数の成形済基板を取り出す工程
【0008】
また、本発明の請求項3に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、所要量の樹脂材料を収容治具に収容する工程では、収納部に収納された樹脂材料からキャビティを実質的に満たすために必要な量からなる所要量の樹脂材料に調整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、二つの型のいずれかにおいてキャビティが二個設けられ、二個のキャビティのそれぞれに一個の成形前基板が対応することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、二個のキャビティのそれぞれは、該キャビティの底面を構成する昇降自在な摺動部材と該摺動部材を取り囲む昇降自在なクランプ部材とによって構成され、複数個の電子部品を浸漬する工程では、二個の摺動部材と該摺動部材を取り囲むクランプ部材とがそれぞれ昇降することによって、摺動部材を取り囲むクランプ部材が二個の成形前基板をそれぞれクランプし、かつ、二個のキャビティにおける溶融樹脂又は液状樹脂を二個の摺動部材がそれぞれ加圧する圧力を均等にすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、複数個の電子部品を浸漬する工程では、プレスユニットのそれぞれにおいて、二個の摺動部材を支える調整手段が二個のキャビティにおける溶融樹脂又は液状樹脂の量に応じて回動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、インユニットとアウトユニットとの間において一個のプレスユニット又は複数個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールにそれぞれ沿って、供給機構を移動させ、かつ、取出機構を移動させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項8に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、キャビティを実質的に満たされた状態にする工程から複数個の電子部品を浸漬する工程までにおける少なくとも一部の期間において、二つの型の型面間にシール部材を介在させてキャビティの内部を外気遮断状態にする工程と、キャビティの内部を真空引きする工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項9に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、二つの型の型面間に離型フィルムを張設する工程と、キャビティにおける型面を離型フィルムによって被覆する工程とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項10に係る電子部品の樹脂封止成形方法は、上述した樹脂封止成形方法において、二つの型の間に設けられた中間型を二つの型とは別に昇降させる工程を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項11に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形装置であって、成形前基板を供給し整列させ移送する成形前基板用機構と樹脂材料を少なくとも収納し供給する樹脂材料用機構とを有するインユニットと、成形済基板を移送し受取り収納する成形済基板用機構を有するアウトユニットと、インユニットとアウトユニットとの間において連結された一個のプレスユニットと、インユニットとアウトユニットとの間において一個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールと、一個のプレスユニットに設けられたプレス機構と、プレス機構にそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに所定の数の成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型と、二つの型のいずれかに設けられ樹脂材料によって実質的に満たされるキャビティと、樹脂材料と所定の数の成形前基板とを一組の成形型に各別に且つ略同時に供給する供給機構と、所定の数の成形済基板を一組の成形型の間から各別に且つ略同時に取出す取出機構と、樹脂封止成形装置全体を制御する制御機構とを含み、更に、一個のプレスユニットは一組の成形型において所定の数の成形前基板に装着された複数個の電子部品を所定の数の成形前基板毎に且つ略同時的に圧縮成形し、インユニットとアウトユニットとの間において、一個のプレスユニットがインユニットとアウトユニットとに着脱自在に連結され、かつ、別のプレスユニットに着脱自在に連結されており、供給機構と取出機構とはそれぞれ搬送レールに沿って往復動することができるようにして設けられており、樹脂材料はタブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなり、樹脂材料用機構は、樹脂材料を収納する収納部と、該収納された樹脂材料のうちから所定の数の成形前基板に相当する所定の数のキャビティを実質的に満たすために必要な所要量の樹脂材料に調整し、かつ、所要量の樹脂材料を収容治具に供給する調整部とを備え、所要量の樹脂材料を収容した収容治具が供給機構に移送され、供給機構は、所要量の樹脂材料を一組の成形型の所定位置に供給してセットし、かつ、所定の数の成形前基板を一組の成形型の所定位置に供給してセットし、所定の数は一であること又は三以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項12に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形装置であって、成形前基板を供給し整列させ移送する成形前基板用機構と樹脂材料を少なくとも収納し供給する樹脂材料用機構とを有するインユニットと、成形済基板を移送し受取り収納する成形済基板用機構を有するアウトユニットと、インユニットとアウトユニットとの間において連結された複数個のプレスユニットと、インユニットとアウトユニットとの間において複数個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールと、複数個のプレスユニットに設けられたプレス機構と、プレス機構にそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに所定の数の成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型と、二つの型のいずれかに設けられ樹脂材料によって実質的に満たされるキャビティと、樹脂材料と所定の数の成形前基板とを一組の成形型に各別に且つ略同時に供給する供給機構と、所定の数の成形済基板を一組の成形型の間から各別に且つ略同時に取出す取出機構と、樹脂封止成形装置全体を制御する制御機構とを含み、更に、複数個のプレスユニットは一組の成形型において所定の数の成形前基板に装着された複数個の電子部品を所定の数の成形前基板毎に且つ略同時的に圧縮成形し、インユニットとアウトユニットとの間において、複数個のプレスユニットが互いに着脱自在に連結されており、供給機構と取出機構とはそれぞれ搬送レールに沿って往復動することができるようにして設けられており、樹脂材料はタブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなり、樹脂材料用機構は、樹脂材料を収納する収納部と、該収納された樹脂材料のうちから所定の数の成形前基板に相当する所定の数のキャビティを実質的に満たすために必要な所要量の樹脂材料に調整し、かつ、所要量の樹脂材料を収容治具に供給する調整部とを備え、所要量の樹脂材料を収容した収容治具が供給機構に移送され、供給機構は、所要量の樹脂材料を一組の成形型の所定位置に供給してセットし、かつ、所定の数の成形前基板を一組の成形型の所定位置に供給してセットし、所定の数は一であること又は三以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項13に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、上述した樹脂封止成形装置において、二つの型の型面間において設けられたシール部材と、少なくとも二つの型が型締めされた状態においてキャビティの内部を真空引きする真空ユニットとを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項14に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、上述した樹脂封止成形装置において、二つの型の型面間に離型フィルムを張設して供給するフィルムユニットを備えるとともに、キャビティにおける型面が離型フィルムによって被覆されることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項15に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、上述した樹脂封止成形装置において、二つの型の間に設けられた中間型を備えるとともに、中間型は二つの型とは別に昇降することを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項16に係る電子部品の樹脂封止成形装置は、上述した樹脂封止成形装置において、成形前基板用機構と成形済基板用機構とは共通の機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、樹脂封止成形装置(1)において、一組の成形型(5)をそれぞれ含む一個又は複数個のプレスユニット(7)をインユニット(4)とアウトユニット(9)との間において連結するという構成を採用する。このことにより、本発明は、より一層樹脂封止工程における生産性の向上を図ることができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、一組の圧縮成形用の成形型(5)に二枚の成形前基板(17)を配置して、それらの成形前基板(17)にそれぞれ装着された所要複数個の電子部品(15)を各別に且つ略同時に圧縮成形して樹脂封止することができる。このことにより、本発明は、樹脂封止する際の効率の向上、樹脂成形上の作業時間(サイクルタイム)の短縮、及び、自動制御化するメリットの向上を図ることができる、電子部品(15)の樹脂封止成形装置(1)を提供すると云う優れた効果を奏する。
なお、この「発明の効果」の説明における( )内の数字は、説明の便宜上付したものであり、図面における符号を示している。これらの数字は、本発明を図面に示される実施の形態に限定することを意味するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本実施形態について、図1から図4を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る半導体チップの樹脂封止成形装置の概略平面図を示す。
図2は、本発明に係る他の半導体チップの樹脂封止成形装置の概略平面図を示す。
図3は、図1に対応する前記装置のA−A断面線であって、前記装置に搭載された一対の圧縮成形用の成形型の型開状態を示す。
図4は、図1に対応する前記装置のA−A断面線であって、前記装置に搭載された一対の圧縮成形用の成形型の型締状態を示す。
なお、図3及び図4に示す一対の金型構造は、一つの実施形態を示している。
【0024】
近年の傾向として、短冊状の基板に加えて、様々な大型化・薄型化した基板を効率良く一括して樹脂封止成形することが強く求められていることを踏まえて、様々な基板を一括して樹脂封止成形するために、例えば、一方の型(上型)と他方の型(下型)とを備えた二型構造を搭載した圧縮成形用の成形型を搭載した装置を用いる。
従前は、一対の圧縮成形用の成形型に対して一枚の基板を圧縮成形して樹脂封止する構成であったが、本実施形態では、一対の圧縮成形用の成形型に対して二枚の基板を効率良く圧縮成形する構成を説明する。
【0025】
本発明に係る樹脂封止成形装置1には、次の構成要素が設けられている。まず、図1に示すように、成形前基板用機構2と樹脂材料用機構3とを有するインユニット4が設けられている。成形前基板用機構2は、成形前材料である樹脂封止成形前の成形前基板17を供給し整列させ移送する。樹脂材料用機構3は、成形前材料であって封止成形時に使用する樹脂材料18を収納し供給する。
インユニット4に着脱自在に、一個のプレスユニット7が設けられている。プレスユニット7は、トランスファーレス成形用の成形型5が搭載されたプレス機構6を有する。成形型5は、相対向する上型5aと下型5bとからなる一対の樹脂封止成形用の成形型である(図3参照)。
プレスユニット7に着脱自在に、アウトユニット9が設けられている。アウトユニット9は、成形型5において圧縮成形によって樹脂封止された樹脂封止成形後の成形済基板20を移送し受取り収納する成形済基板用機構8を有する。
インユニット4・プレスユニット7・アウトユニット9間を横断して、搬送レール10が設けられている。搬送レール10には、搬送レール10に沿ってそれぞれ往復動することができるように、供給機構11と取出機構12とが設けられている。供給機構11は、成形前材料である二枚の成形前基板17と樹脂材料18とを、成形型5内(図3に示された上型5aと下型5bとの間)へ各別に且つ略同時に供給する。取出機構12は、二枚の成形済基板20を成形型5外へ各別に且つ略同時に取出す。
加えて、樹脂封止成形装置1全体を制御する制御機構(図示なし)が設けられている。
【0026】
また、本発明に係る樹脂封止成形装置1によれば、より一層樹脂封止工程における生産性の向上を図るために、プレスユニット7を一個でなく、所要複数個、例えば、四個設けることができる。図2は、インユニット4とアウトユニット9との間に四個のプレスユニット7が連結して配置されたその他の樹脂封止成形装置1の例を示している。この例によれば、一度の樹脂封止工程において、一対の上型5aと下型5bとからなる成形型5(図3参照)を四組使用して、二枚から八枚までの成形前基板17を、各別に且つ略同時に、圧縮成形して樹脂封止することができる。
【0027】
更に、図1及び図2に示すように、本発明に係る樹脂封止成形装置1には、成形型5の型面間に供給する離型フィルムを張設して供給するフィルムユニット13、及び、成形型5の型面間にシール部材を介在させて樹脂封止成形時に成形型5を外気遮断状態にして真空引きする真空ユニットを設けることができる。つまり、離型フィルム成形と真空引き(減圧)成形とを取捨選択して、又はそれらの双方を選択して実施することができる。ただし、本実施形態ではフィルムユニット13、真空ユニットを用いずに説明している。
この離型フィルム成形と真空引き成形とを併用実施するような場合においては、上型5aと下型5bとからなる二型構造を有する成形型5ではなく、図示していないが、中間型を含む三型構造を有する一組の成形型を用いることができる。そして、プレス機構6とは別の中間型駆動用の中間型固定機構を使用して個別に中間型を上下動することができる。
【0028】
成形前材料は、成形前基板17と所要量の樹脂材料18とを意味する。成形前基板17は、図3に示すように、例えば、基板本体14と、基板本体14の上の所定の部位に装着された所要複数個(この場合、二列×四個の計八個)の半導体チップ15と、基板本体14と半導体チップ15とを電気的に接続する複数本のワイヤ16とを有する。所要量の樹脂材料18は、成形前基板17を各別に且つ略同時に圧縮成形して樹脂封止するための樹脂材料(この場合、顆粒状樹脂)である。一方、成形後材料は、図1に示すように、樹脂材料18を原料として生成された硬化樹脂19を有する成形済基板20を意味する。
なお、所要複数個の半導体チップ15が装着される基板本体14としては、ワイヤボンディング基板の他に、フリップチップ基板、或は、ウェーハレベルパッケージの製造に使用されるウェーハ基板等が採用される。基板本体14の形状については、短冊状に加えて、円形状或は多角形状等の任意の形状が採用される。基板本体14の材質については、任意の金属製リードフレームやPCボードと呼ばれる任意のプラスチック・セラミック・ガラス・その他の材質からなるプリント回路板、等が採用される。そして、樹脂材料18については、顆粒状樹脂の他に、任意のタブレット状樹脂・液状樹脂・粉末状樹脂、等が採用される。
【0029】
インユニット4の成形前基板用機構2には、成形前基板17を供給する基板供給部21と、基板供給部21から移送された二枚の成形前基板17を所定の間隔で略平行に整列させる基板整列部22と、基板整列部22で整列された成形前基板17を供給機構11へ移送させる基板移送部23とが設けられている。
インユニット4の樹脂材料用機構3には、樹脂材料18を収納するレジンストッカー等の適宜な収納部(図示なし)と、一回の樹脂封止工程において使用される二枚の成形前基板17に対応して樹脂材料18を所要量に調整できる適宜な調整部(図示なし)とが設けられている。調整部は、樹脂材料18をレジントレイ等の収容治具(図示なし)に供給する機能を少なくとも兼ね備える。
アウトユニット9の成形済基板用機構8には、二枚の成形済基板20を取出機構12から受け取って移送する基板移送部24と、基板移送部24によって移送された二枚の成形済基板20を受け取る基板受取部25と、基板受取部25から移送された二枚の成形済基板20が最終的に収納される製品収納部26とが設けられている。
インユニット4の成形前基板用機構2とアウトユニット9の成形済基板用機構8とについては、樹脂封止成形前と樹脂封止成形後という違いがあるものの、基板本体14をそれぞれ含む成形前基板17と成形済基板20とを対象とする。このことから、成形前基板用機構2と成形済基板用機構8とは、同様の機構形態を採用することができるように構成されている。この構成によって、樹脂封止成形装置1における各機構に使用される部品の共通化によるコストダウンを図ることができる。
【0030】
ここで、本実施形態に係る樹脂封止成形装置1を用いて、成形前基板17が有する複数個の半導体チップ15を樹脂封止することによって成形済基板20を完成させる一連の樹脂封止工程を、図1から図4を参照して説明する。
【0031】
インユニット4の成形前基板用機構2において、まず、基板供給部21に備えられ所要数の成形前基板17を収容したインマガジン27から基板整列部22に、プッシャー等の適宜な手段(図示なし)を使用して、二枚の成形前基板17を個別に或は略同時に移送する。
次に、基板整列部22において、成形型5に二枚の成形前基板17が供給されてセットされる所定の位置と所定の間隔とに対応して、二枚の成形前基板17を所定の位置において所定の間隔で略平行に整列させる。
次に、基板移送部23に備えられたピックアップ手段(図示なし)を使用して、基板整列部22から供給機構11に、二枚の成形前基板17を個別に或は略同時に移送する。一方、インユニット4の樹脂材料用機構3においては、調整部によって、二枚の成形前基板17を圧縮成形して樹脂封止するための樹脂材料18を所要量に調整する。そして、所要量の樹脂材料18を各レジントレイに収容して、個別に或は略同時に、樹脂材料18を供給機構11に移送する。
ここまでの工程によって、インユニット3の領域内の供給位置Xにおいて、供給機構11は、上面側に二枚の成形前基板17を、下面側に二枚の成形前基板17に対応する所要量の樹脂材料18を、それぞれ保持する。
次に、インユニット3から、プレスユニット7に搭載された上型5aと下型5bとの間(図3参照)に供給機構11が進入・退出できる位置(進入退出位置Y)まで、搬送レール10に沿って供給機構11を移動させる。
次に、供給機構11を、搬送レール10に対して直交方向に移動させて上型5aと下型5bとの間に進入させる。供給機構11が保持している二枚の成形前基板17と二枚の成形前基板17に対応する所要量の樹脂材料18とを、成形型5の所定の位置に、各別に且つ略同時に、供給してセットする。所要量の樹脂材料18は、下型5bに設けられたキャビティ(図3のキャビティ37参照)に供給される。その後に、樹脂材料18を加熱して溶融させることによって溶融樹脂44(図4参照)を生成する。供給機構11を、上型5aと下型5bとの間から後退させ、進入退出位置Yを経由して、搬送レール10に沿って供給位置Xまで移動させて待機させる。
次に、図4に示すように、上型5aと下型5bとを型締する。このことによって、下型5bに設けられたキャビティ37において、成形前基板17が有する複数個の半導体チップ15を溶融樹脂44に浸漬させる。溶融樹脂44を硬化させることによって、硬化樹脂19(図1、図2参照)を形成する。ここまでの工程によって、二枚の成形前基板17が有する複数個の半導体チップ15は、成形型5において、各別に且つ略同時に、圧縮成形によって樹脂封止される。これにより、二枚の成形済基板20が完成する。
供給機構11を供給位置Xまで移動させた後に(図1参照)、完成後の二枚の成形済基板20を成形型5の外に取り出せるように、搬送レール10に沿って取出機構12を進入退出位置Yまで移動させて待機させる。そして、図4の上型5aと下型5bとを型開する。
次に、図1の取出機構12を、進入退出位置Yから搬送レール10に対して直交方向に移動させて上型5aと下型5bとの間に進入させる。取出機構12を使用して、成形型5から二枚の成形済基板20を取り出し、取り出した二枚の成形済基板20を取出機構12の上部に保持する。そして、取出機構12を、上型5aと下型5bとの間から後退させて、進入退出位置Yまで移動させる。
次に、取出機構12が二枚の成形済基板20を保持した状態で、取出機構12を、プレスユニット7からアウトユニット9の領域(受渡位置Z)内まで、搬送レール10に沿って移動させる。
次に、受渡位置Zに位置する取出機構12が保持している二枚の成形済基板20を、基板移送部24に備えられたピックアップ手段(図示なし)を使用して、個別に或は略同時に、基板受取部25へと移送する。
次に、基板受取部25から、製品収納部26に備えられ所要数の成形済基板20を収容するアウトマガジン28に、プッシャー等の適宜な手段(図示なし)を使用して、二枚の成形済基板20を個別に或は略同時に移送して収納する。
従って、本実施形態に係る樹脂封止成形装置1を使用して、二枚の成形前基板17が有する複数個の半導体チップ15を圧縮成形によって樹脂封止して、二枚の成形済基板20を完成させる一連の樹脂封止工程を、連続的に或は断続的に、実施することができる。この樹脂封止工程は検査、予備加熱を含んでいてもよい。
【0032】
ここで、図3及び4を用いて、プレスユニット7のプレス機構6、及び、成形型5(上型5a・下型5b)の構成要素を、以下に詳細に説明する。
なお、図3及び図4に示す一対の成形型5を構成する、特に、後述する取付棒39、弾性部材40、先端部41、調整手段42については、一つの実施形態を示しているもので、これに限定するものではない。
【0033】
プレス機構6には、上型5aが固定される固定盤29と、下型5bが載置される可動盤30と、固定盤29と可動盤30とを支持する所要複数本(この場合、四本)のポスト31と、ポスト31に沿って可動盤30を上下に摺動させる型締手段32とが設けられている。型締手段32を使用して、下型5bが載置された可動盤30をポスト31に沿って上下に摺動することができる。そして、型締手段32の駆動源となる、例えば、任意のシリンダーやモータ等を適宜選択して、可動盤30の下方に形成された空間領域に配置することができる。
【0034】
上型5aには、上型5aの金型面(上型面33)の所定の位置に二枚の成形前基板17又は二枚の成形済基板20を固定する基板固定部34が、設けられている。成形前基板17又は成形済基板20は、半導体チップ15を下方に向けた状態で、上型5aの金型面(上型面33)の所定の位置に固定される。
下型5bには、次の構成要素が設けられている。二枚の成形前基板17又は二枚の成形済基板20の外周囲(硬化樹脂19の部分を除く)を、言い換えれば基板本体14が露出している部分を、各別にクランプするクランプ部材35が設けられている。各クランプ部材35を各別に且つ弾性的に摺動させる任意のスプリング等からなる適宜な弾性部材36が設けられている。各クランプ部材35と併せて各別にキャビティ37を形成し、且つ、各別に摺動する摺動部材38が設けられている。各摺動部材38の天面は、各キャビティ37における内底面を構成する。各摺動部材38の底面には、図3に示す垂直方向に各別に付設された取付棒39が設けられている。各摺動部材38を弾性的に摺動させるために、各取付棒39に巻き付けられた任意のスプリング等からなる適宜な弾性部材40が設けられている。
更に、可動盤30には、下型5bに設けられた各取付棒39における滑らかな曲線形状部分を有する先端部41と当接し、且つ、各キャビティ37内に供給された樹脂材料18を各摺動部材38を介して所要の圧力で押圧するように調整するための、調整手段42が設けられている。調整手段42は、可動盤30と共に上下動する。加えて、調整手段42は、成形型5が型締される際に各摺動部材38を摺動させることによって、各摺動部材38を介して均等に調整された圧力でもって樹脂材料18を押圧する。このことにより、二枚の成形前基板17に装着された半導体チップ15を、各別に且つ略同時に、均等な圧力で圧縮成形することによって樹脂封止することができる。
このような各摺動部材38、及び、調整手段42によれば、図3に示す成形型5の型開時において、各摺動部材38は、各弾性部材40によって弾性的に支持される。各摺動部材38の天面(各キャビティ37における内底面)は、所要量の樹脂材料18が供給される前の位置(樹脂材料供給位置P)において待機する。樹脂材料供給位置Pは、クランプ部材35と摺動部材38との相対的な位置関係において摺動部材38の天面が最も低い位置である。
一方、図4に示す成形型5の型締時において、各摺動部材38の天面(各キャビティ37における内底面)は、各摺動部材38がそれぞれ摺動して上昇したことによって、成形済基板20の硬化樹脂19にそれぞれ対応する各キャビティ37を形成する位置(キャビティ形成位置Q)まで上昇している。調整手段42によって、各摺動部材38が各キャビティ37内の溶融樹脂44を均等な圧力で押圧して、この状態で各摺動部材38が上昇する。具体的に説明すれば、各キャビティ37に供給された樹脂材料18の量に僅かな増減がある場合、言い換えれば各溶融樹脂44の量に僅かな差がある場合には、その差に応じて調整手段42が僅かに回動する。これにより、各摺動部材38の天面(各キャビティ37における内底面)は、各摺動部材38を介して、僅かに上下動する。したがって、各キャビティ37内における溶融樹脂44の量に僅かな差がある場合においても、調整手段42を使用して、溶融樹脂44が均等な圧力で押圧されるように調整することができる。
【0035】
ここで、本実施形態に係る樹脂封止成形装置1を使用して、二枚の成形前基板17を二枚の成形済基板20に、各別に且つ略同時に、圧縮成形して樹脂封止する実施方法を、図3及び図4を用いて、以下に説明する。
【0036】
まず、図3に示すように、上型5aと下型5bとが型開した状態において、供給機構11を使用して、二枚の成形前基板17と二枚の成形前基板17に対応する量の樹脂材料18とを成形型5内に各別に且つ略同時に供給する。具体的には、上型面33の所定の位置において、各成形前基板17における半導体チップ15が装着された側を下方に向けた状態で、基板固定部34に各成形前基板17を各別に供給してセットする。下型5bの金型面(下型面43)の側においては、クランプ部材35と摺動部材38とによって構成される各キャビティ37に、樹脂材料18を各別に供給する。このとき、各クランプ部材35は、各弾性部材36が復元した状態(伸びきった状態)にあるので、下型面43から突出した状態で待機する。各摺動部材38は、所要量の樹脂材料18を供給セットできる適宜な位置(樹脂材料供給位置P)において、各弾性部材40によって弾性的に支持されて待機する。
次に、各成形前基板17を上型面33の所定の位置に固定した状態で、可動盤30に載置された下型5bを上昇させる。これにより、各成形前基板17の外周囲と各クランプ部材35とを当接させる。このとき、各弾性部材36によって各クランプ部材35が各成形前基板17を弾性的に押圧するという作用は、働いていない。この状態になるまでに、各キャビティ37内に供給された所要量の樹脂材料18が溶融するために必要な所定の温度になるまで、成形型5全体を加熱する。そして、各樹脂材料18を加熱することによって溶融させて、溶融樹脂44を生成させる。
次に、図4に示すように、更に可動盤30に載置された下型5bを上昇させる。これにより、成形型5を型締する。成形型5が型締された状態において、各弾性部材36が縮んだ状態になっているので、各クランプ部材35は弾性的に支持された状態になる。この状態で、各クランプ部材35は各成形前基板17を弾性的に支持して(クランプして)、その状態が維持される。
一方、各摺動部材38は、成形済基板20の硬化樹脂19(図1参照)にそれぞれ対応する各キャビティ37を形成する位置(キャビティ形成位置Q)まで摺動して上昇する。調整手段42の作用によって、各摺動部材38を介して樹脂材料(溶融樹脂44)を均等な圧力で押圧した状態を、次のようにして実現する。
図4の例は、左側の溶融樹脂44の量が右側の溶融樹脂44の量よりも僅かに多い場合を示す。左側と右側との溶融樹脂44の量の差に起因して、左側の摺動部材38・取付棒39が僅かに下降する。これに従って、左側の取付棒39の先端部41に当接する調整手段42が、軸支部分を基準にして僅かに反時計回りに回動する。これによって、調整手段42は、左側の取付棒39の先端部41に当接する部分において、実質的に僅かに下降する。そして、調整手段42は、右側の取付棒39の先端部41に当接する部分において、実質的に僅かに上昇する。したがって、調整手段42は、右上がりに僅かに傾斜する。このとき、傾斜した調整手段42に従って、左側の摺動部材38が僅かに下降し、右側の摺動部材38が僅かに上昇する。したがって、成形型5の型締時に、各摺動部材38を介して、キャビティ37において樹脂材料18を均等な圧力で押圧し且つ調整することができる。このことにより、二枚の成形前基板17に装着された半導体チップ15を、各別に且つ略同時に、均等な圧力で圧縮成形することによって樹脂封止することができる。
【0037】
次に、図示していないが、成形型5を図4に示す型締状態に維持する。そして、各キャビティ37における溶融樹脂44を硬化させるための所要時間を経過させる。これにより、溶融樹脂44を硬化させて硬化樹脂19(図1、図2参照)を形成して、最終的に、二枚の成形済基板20を完成させる。
次に、図示していないが、二枚の成形済基板20を、摺動部材38の天面とその摺動部材38の両側に位置する各クランプ部材35の内側面とからなる面(キャビティ37の形成面)から離型させる。まず、各クランプ部材35が成形済基板20における基板本体14をクランプした状態から、各摺動部材38の天面がキャビティ形成位置Q(図4参照)から樹脂材料供給位置P(図3参照)に移動するまで、可動盤30に載置された下型5bを下降させる。次に、更に下型5bを下降させて型開動作を行う。これらによって、各成形済基板20における基板本体14(図4参照)をクランプしていた各クランプ部材35が基板本体14から離間する。この段階で、上型面33の所定の位置には、成形済基板20が固定されており、下型5bの側においては、図3に示された状態から各樹脂材料18を除いた状態になる。その後、取出機構12を使用して、上型5aと下型5bとの間からこの二枚の成形済基板20を取り出す(図1、図4参照)。
【0038】
以上、本実施形態における半導体チップ15の樹脂封止成形方法を実施する樹脂封止成形装置1について説明した。この樹脂封止成形装置1によれば、一組の圧縮成形用の成形型5をそれぞれ有する所要数のプレスユニット7を、インユニット4とアウトユニット9との間に連結した配置にする。このことにより、より一層樹脂封止工程における生産性の向上を図ることができる。
また、前述の一連の樹脂封止工程を経て、一組の圧縮成形用の成形型5に対して二枚の成形前基板17を配置して、各別に且つ略同時に、二枚の成形前基板17が有する複数個の半導体チップ15を圧縮成形によって樹脂封止する。このことによって、一連の樹脂封止工程によって二枚の成形済基板20を完成させることができる。そして、前述した制御ユニットにより、この一連の樹脂封止工程を連続的、或いは、断続的に、稼動・停止させることを適宜に変更して実施できる。
また、各キャビティ37内の溶融樹脂44の量に僅かな差がある場合においても、調整手段42を使用して、溶融樹脂44が均等な圧力で押圧されるように調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明に係る半導体チップの樹脂封止成形装置の概略平面図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る他の半導体チップの樹脂封止成形装置の概略平面図を示す。
【図3】図3は、図1に対応する前記装置のA−A断面線であって、前記装置に搭載された一対の圧縮成形用の成形型の型開状態を示す。
【図4】図4は、図1に対応する前記装置のA−A断面線であって、前記装置に搭載された一対の圧縮成形用の成形型の型締状態を示す。
【符号の説明】
【0040】
1 樹脂封止成形装置
2 成形前基板用機構
3 樹脂材料用機構
4 インユニット
5 成形型
5a 上型
5b 下型
6 プレス機構
7 プレスユニット
8 成形済基板用機構
9 アウトユニット
10 搬送レール
11 供給機構
12 取出機構
13 フィルムユニット(フィルム供給機構ユニット)
14 基板本体
15 半導体チップ(電子部品)
16 ワイヤ
17 成形前基板
18 樹脂材料
19 硬化樹脂
20 成形済基板
21 基板供給部
22 基板整列部
23・24 基板移送部
25 基板受取部
26 製品収納部
27 インマガジン
28 アウトマガジン
29 固定盤
30 可動盤
31 ポスト
32 型締手段
33 上型面
34 基板固定部
35 クランプ部材
36・40 弾性部材
37 キャビティ
38 摺動部材
39 取付棒
41 先端部
42 調整手段
43 下型面
44 溶融樹脂
P 樹脂材料供給位置
Q キャビティ形成位置
X 供給位置
Y 進入退出位置
Z 受渡位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形方法であって、次の工程を備えたことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
(1)少なくとも次の構成要素を有する樹脂封止成形装置を準備する工程
(a)前記成形前基板を移送し、かつ、タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなる樹脂材料を供給するインユニット
(b)前記成形済基板を受け取るアウトユニット
(c)前記インユニットと前記アウトユニットとの間において連結された一個のプレスユニットであって、他のプレスユニットに対して着脱自在に連結され得る構成を有する一個のプレスユニット
(d)前記一個のプレスユニットに設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに前記成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型
(2)前記樹脂封止成形装置に前記成形前基板を供給する工程
(3)前記樹脂封止成形装置が有する収納部に前記樹脂材料を収納する工程
(4)前記収納部から所要量の樹脂材料を収容治具に収容する工程
(5)前記収容治具から前記所要量の樹脂材料を供給機構に移送する工程
(6)供給された前記成形前基板のうち、前記二つの型のいずれかにおいて設けられたキャビティに対応する所定の数の前記成形前基板を前記供給機構に移送する工程
(7)前記インユニットから前記供給機構を移動させることによって、前記一組の成形型の所定位置に前記所要量の樹脂材料を供給してセットし、かつ、前記一組の成形型の所定位置に前記所定の数の成形前基板を供給してセットする工程
(8)前記タブレット状樹脂、前記顆粒状樹脂、又は、前記粉末状樹脂からなる前記所要量の樹脂材料を加熱することによって生成した溶融樹脂、又は、前記液状樹脂からなる前記所要量の樹脂材料によって、前記キャビティを実質的に満たされた状態にする工程
(9)前記一組の成形型を型締めすることによって前記溶融樹脂又は前記液状樹脂に前記複数個の電子部品を浸漬する工程
(10)前記溶融樹脂又は前記液状樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成することによって前記所定の数の前記成形済基板を完成させる工程
(11)前記一組の成形型を型開きする工程
(12)取出機構を使用して前記一組の成形型から前記所定の数の成形済基板を取り出す工程
【請求項2】
成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形方法であって、次の工程を備えたことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
(1)少なくとも次の構成要素を有する樹脂封止成形装置を準備する工程
(a)前記成形前基板を移送し、かつ、タブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなる樹脂材料を供給するインユニット
(b)前記成形済基板を受け取るアウトユニット
(c)前記インユニットと前記アウトユニットとの間において互いに着脱自在に連結された複数個のプレスユニット
(d)前記複数個のプレスユニットにそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに前記成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型
(2)前記樹脂封止成形装置に前記成形前基板を供給する工程
(3)前記樹脂封止成形装置が有する収納部に前記樹脂材料を収納する工程
(4)前記収納部から所要量の樹脂材料を収容治具に収容する工程
(5)前記収容治具から前記所要量の樹脂材料を供給機構に移送する工程
(6)供給された前記成形前基板のうち、前記二つの型のいずれかにおいて設けられたキャビティに対応する所定の数の前記成形前基板を前記供給機構に移送する工程
(7)前記インユニットから前記供給機構を移動させることによって、前記一組の成形型の所定位置に前記所要量の樹脂材料を供給してセットし、かつ、前記一組の成形型の所定位置に前記所定の数の成形前基板を供給してセットする工程
(8)前記タブレット状樹脂、前記顆粒状樹脂、又は、前記粉末状樹脂からなる前記所要量の樹脂材料を加熱することによって生成した溶融樹脂、又は、前記液状樹脂からなる前記所要量の樹脂材料によって、前記キャビティを実質的に満たされた状態にする工程
(9)前記一組の成形型を型締めすることによって前記溶融樹脂又は前記液状樹脂に前記複数個の電子部品を浸漬する工程
(10)前記溶融樹脂又は前記液状樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成することによって前記所定の数の前記成形済基板を完成させる工程
(11)前記一組の成形型を型開きする工程
(12)取出機構を使用して前記一組の成形型から前記所定の数の成形済基板を取り出す工程
【請求項3】
請求項1又は2に記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記所要量の樹脂材料を前記収容治具に収容する工程では、前記収納部に収納された前記樹脂材料から前記キャビティを実質的に満たすために必要な量からなる前記所要量の樹脂材料に調整することを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記二つの型のいずれかにおいて前記キャビティが二個設けられ、
二個の前記キャビティのそれぞれに一個の前記成形前基板が対応することを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
二個の前記キャビティのそれぞれは、該キャビティの底面を構成する昇降自在な摺動部材と該摺動部材を取り囲む昇降自在なクランプ部材とによって構成され、
前記複数個の電子部品を浸漬する工程では、二個の前記摺動部材と該摺動部材を取り囲む前記クランプ部材とがそれぞれ昇降することによって、前記摺動部材を取り囲む前記クランプ部材が二個の前記成形前基板をそれぞれクランプし、かつ、二個の前記キャビティにおける前記溶融樹脂又は前記液状樹脂を二個の前記摺動部材がそれぞれ加圧する圧力を均等にすることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項6】
請求項5に記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記複数個の電子部品を浸漬する工程では、前記プレスユニットのそれぞれにおいて、二個の前記摺動部材を支える調整手段が二個の前記キャビティにおける前記溶融樹脂又は前記液状樹脂の量に応じて回動することを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において前記一個のプレスユニット又は前記複数個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールにそれぞれ沿って、前記供給機構を移動させ、かつ、前記取出機構を移動させることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記キャビティを実質的に満たされた状態にする工程から前記複数個の電子部品を浸漬する工程までにおける少なくとも一部の期間において、
前記二つの型の型面間にシール部材を介在させて前記キャビティの内部を外気遮断状態にする工程と、
前記キャビティの内部を真空引きする工程とを備えることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記二つの型の型面間に離型フィルムを張設する工程と、
前記キャビティにおける型面を前記離型フィルムによって被覆する工程とを備えることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された電子部品の樹脂封止成形方法において、
前記二つの型の間に設けられた中間型を前記二つの型とは別に昇降させる工程を備えることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項11】
成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記成形前基板を供給し整列させ移送する成形前基板用機構と樹脂材料を少なくとも収納し供給する樹脂材料用機構とを有するインユニットと、
前記成形済基板を移送し受取り収納する成形済基板用機構を有するアウトユニットと、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において連結された一個のプレスユニットと、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において前記一個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールと、
前記一個のプレスユニットに設けられたプレス機構と、
前記プレス機構にそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに所定の数の前記成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型と、
前記二つの型のいずれかに設けられ前記樹脂材料によって実質的に満たされるキャビティと、
前記樹脂材料と前記所定の数の成形前基板とを前記一組の成形型に各別に且つ略同時に供給する供給機構と、
前記所定の数の成形済基板を前記一組の成形型の間から各別に且つ略同時に取出す取出機構と、
前記樹脂封止成形装置全体を制御する制御機構とを含み、
更に、前記一個のプレスユニットは前記一組の成形型において前記所定の数の成形前基板に装着された複数個の電子部品を前記所定の数の成形前基板毎に且つ略同時的に圧縮成形し、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において、前記一個のプレスユニットが前記インユニットと前記アウトユニットとに着脱自在に連結され、かつ、別のプレスユニットに着脱自在に連結されており、
前記供給機構と前記取出機構とはそれぞれ前記搬送レールに沿って往復動することができるようにして設けられており、
前記樹脂材料はタブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなり、
前記樹脂材料用機構は、前記樹脂材料を収納する収納部と、該収納された前記樹脂材料のうちから前記所定の数の成形前基板に相当する前記所定の数の前記キャビティを実質的に満たすために必要な所要量の樹脂材料に調整し、かつ、前記所要量の樹脂材料を収容治具に供給する調整部とを備え、
前記所要量の樹脂材料を収容した前記収容治具が前記供給機構に移送され、
前記供給機構は、前記所要量の樹脂材料を前記一組の成形型の所定位置に供給してセットし、かつ、前記所定の数の成形前基板を前記一組の成形型の所定位置に供給してセットし、
前記所定の数は一であること又は三以上であることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項12】
成形前基板に装着された複数個の電子部品を樹脂封止することによって成形済基板を完成させる電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記成形前基板を供給し整列させ移送する成形前基板用機構と樹脂材料を少なくとも収納し供給する樹脂材料用機構とを有するインユニットと、
前記成形済基板を移送し受取り収納する成形済基板用機構を有するアウトユニットと、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において連結された複数個のプレスユニットと、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において前記複数個のプレスユニットを横断して設けられた搬送レールと、
前記複数個のプレスユニットに設けられたプレス機構と、
前記プレス機構にそれぞれ設けられ、相対向する二つの型を少なくとも含むとともに所定の数の前記成形前基板を圧縮成形する際に使用される一組の成形型と、
前記二つの型のいずれかに設けられ前記樹脂材料によって実質的に満たされるキャビティと、
前記樹脂材料と前記所定の数の成形前基板とを前記一組の成形型に各別に且つ略同時に供給する供給機構と、
前記所定の数の成形済基板を前記一組の成形型の間から各別に且つ略同時に取出す取出機構と、
前記樹脂封止成形装置全体を制御する制御機構とを含み、
更に、前記複数個のプレスユニットは前記一組の成形型において前記所定の数の成形前基板に装着された複数個の電子部品を前記所定の数の成形前基板毎に且つ略同時的に圧縮成形し、
前記インユニットと前記アウトユニットとの間において、前記複数個のプレスユニットが互いに着脱自在に連結されており、
前記供給機構と前記取出機構とはそれぞれ前記搬送レールに沿って往復動することができるようにして設けられており、
前記樹脂材料はタブレット状樹脂、顆粒状樹脂、粉末状樹脂、又は、液状樹脂のいずれかからなり、
前記樹脂材料用機構は、前記樹脂材料を収納する収納部と、該収納された前記樹脂材料のうちから前記所定の数の成形前基板に相当する前記所定の数の前記キャビティを実質的に満たすために必要な所要量の樹脂材料に調整し、かつ、前記所要量の樹脂材料を収容治具に供給する調整部とを備え、
前記所要量の樹脂材料を収容した前記収容治具が前記供給機構に移送され、
前記供給機構は、前記所要量の樹脂材料を前記一組の成形型の所定位置に供給してセットし、かつ、前記所定の数の成形前基板を前記一組の成形型の所定位置に供給してセットし、
前記所定の数は一であること又は三以上であることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された電子部品の樹脂封止成形装置において、
前記二つの型の型面間において設けられたシール部材と、
少なくとも前記二つの型が型締めされた状態において前記キャビティの内部を真空引きする真空ユニットとを備えることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形装置において、
前記二つの型の型面間に離型フィルムを張設して供給するフィルムユニットを備えるとともに、
前記キャビティにおける型面が前記離型フィルムによって被覆されることを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載された電子部品の樹脂封止成形装置において、
前記二つの型の間に設けられた中間型を備えるとともに、
前記中間型は前記二つの型とは別に昇降することを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれかに記載された電子部品の樹脂封止成形装置において、
前記成形前基板用機構と前記成形済基板用機構とは共通の機構を有することを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−143730(P2011−143730A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91383(P2011−91383)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【分割の表示】特願2006−48191(P2006−48191)の分割
【原出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】