説明

電子部品実装方法

【課題】電子部品のバンプ形成面にバンプのほかペーストの付着が禁止される突出部が設けられている場合に、突出部にペーストを付着させることなく、バンプのみに適量のペーストを付着させて電子部品を基板に装着することができる電子部品実装方法を提供すること目的とする。
【解決手段】テーブル13の上面13sに溝状のペースト膜非成膜領域Rを有するペースト膜Pmを形成し、電子部品Ptのバンプ形成面cfに設けられたペーストPstの付着が禁止される突出部Tがペースト膜非成膜領域Rの直上に位置し、かつバンプbpがペースト膜Pmの直上に位置した状態で電子部品Ptをテーブル13に近接させてバンプbpにペーストPstを付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンプ付きの電子部品をバンプ形成面が下方を向く姿勢で基板に装着する電子部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置は、バンプ形成面が下方を向くフェイスダウンの姿勢で供給されたバンプ付きの電子部品の上面を装着ヘッドにより吸着保持してフラックス等のペーストの薄膜(ペースト膜)の上方に移動させ、そこから装着ヘッドを下降させてバンプにペーストを付着させた後、装着ヘッドを基板の上方に移動させて電子部品を基板に装着する。ここでペースト膜の形成を行うペースト膜形成装置は、ペーストが供給されたテーブルに対してテーブルの上方に設置されたスキージを相対移動させることにより、テーブルの上面とスキージとの間隔(ギャップ)に応じた厚さのペースト膜をテーブル上に形成させる構成となっている。
【0003】
このようなペースト膜形成装置では、ペースト膜はバンプの高さよりも小さい均一の厚さに形成され、バンプがテーブルの上面に上方から当接するように装着ヘッドを下降させることによって、電子部品に設けられた全てのバンプに適量のペーストを付着させることができるが、電子部品に反り変形(通常はフェイスダウンの状態で中央部よりも周辺部が高い下方に凸となる形状の変形)がある場合には、電子部品の中央部のバンプと電子部品の周辺部のバンプとでは相対的な高さ位置が異なり、中央部のバンプをテーブルの上面に当接させても周辺部のバンプはテーブルの上面から浮いた状態となるため、均一厚さのペースト膜では全てのバンプに適量のペーストを付着させることができない。このため従来、電子部品に反り変形がある場合には、テーブルに対するスキージの相対移動と連動してギャップの大きさを変化させ、ペースト膜の上面の形状を電子部品の反りに応じた彎曲状にすることにより、中央部のバンプだけでなく周辺部のバンプにも適量のペーストを付着させることができるようにしていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子部品のバンプ形成面にバンプのほか、ペーストの付着が禁止される突出部が設けられている場合には、均一厚さに形成されたペースト膜や、上面の形状が彎曲状に形成されたペースト膜では、その突出部にペーストを付着させさせることなく、バンプのみに適量のペーストを付着させて電子部品を基板に装着することは極めて困難である。
【0006】
そこで本発明は、電子部品のバンプ形成面にバンプのほかペーストの付着が禁止される突出部が設けられている場合に、突出部にペーストを付着させることなく、バンプのみに適量のペーストを付着させて電子部品を基板に装着することができる電子部品実装方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の電子部品実装方法は、バンプ形成面にペーストの付着が禁止される突出部及びこの突出部を挟んで位置する複数のバンプが形成されたバンプ付きの電子部品を
バンプ形成面が下方に向く姿勢で基板に装着する電子部品実装方法であって、テーブルの上面に溝状のペースト膜非成膜領域を有するペースト膜を形成する工程と、バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を装着ヘッドにより吸着保持する工程と、バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を吸着保持した装着ヘッドをテーブルの上方に移動させ、電子部品の突出部がペースト膜非成膜領域の直上に位置し、かつバンプがペースト膜の直上に位置するようにテーブルに対する装着ヘッドの位置決めを行う工程と、テーブルに対する位置決めを行った装着ヘッドをテーブルに対して下降させ、電子部品をテーブルに近接させてバンプにペーストを付着させる工程と、バンプにペーストを付着させた電子部品がテーブルの上方に引き上げられるように装着ヘッドをテーブルに対して上昇させた後、装着ヘッドを基板の上方に移動させる工程と、基板上に設けられた電極の上方に電子部品のバンプが位置するように基板に対する装着ヘッドの位置決めを行う工程と、基板に対する位置決めを行った装着ヘッドを基板に対して下降させ、バンプを電極に接触させる工程とを含む。
【0008】
請求項2に記載の電子部品実装方法は、請求項1に記載の電子部品実装方法であって、バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を装着ヘッドにより吸着保持した後、その電子部品を下方から撮像し、得られた電子部品の画像に基づいて装着ヘッドに対する電子部品の位置ずれを検出する工程を実行し、その検出した装着ヘッドに対する電子部品の位置ずれに基づいてテーブルに対する装着ヘッドの位置決め及び基板に対する装着ヘッドの位置決めを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、テーブルの上面に溝状のペースト膜非成膜領域を有するペースト膜を形成し、電子部品のバンプ形成面に設けられたペーストの付着が禁止される突出部がペースト膜非成膜領域の直上に位置し、かつバンプがペースト膜の直上に位置した状態で電子部品をテーブルに近接させてバンプにペーストを付着させるようになっており、バンプにペーストが付着するとき、突出部はペースト膜非成膜領域に位置してペーストが付着しないので、電子部品のバンプ形成面にバンプのほかペーストの付着が禁止される突出部が設けられている場合であっても、突出部にペーストを付着させることなく、バンプのみに適量のペーストを付着させて電子部品を基板に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態における電子部品実装装置が備えるペースト膜形成装置の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における電子部品実装装置が備えるペースト膜形成装置の側面図
【図4】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態における電子部品実装装置が備えるペースト膜形成装置の動作説明図
【図5】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態における電子部品実装装置が備えるペースト膜形成装置の動作説明図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるペースト膜形成装置のテーブル上に形成されるペースト膜非成膜領域の説明図
【図7】本発明の一実施の形態における電子部品実装装置により行う電子部品の装着工程の実行手順を示すフローチャート
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の動作説明図
【図9】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本発明の一実施の形態における電子部品実装装置1は、バンプ形成面cf(図1の拡大図参照)に2列に並んで配置された複数バンプbpのほか、2列のバンプbpの間の中間部をバンプbpと同じ方向に突出する突出部Tが形成された電子部品Ptをバンプ形成面cfが下方を向くフェイスダウンの姿勢で供給する部品供給部2と、上面に電極DTを備えた基板Pbを保持する基板保持部3と、三軸直交ロボット4により移動自在に設けられ、下端に吸着ノズル5を着脱自在に備えた装着ヘッド6と、フラックス等のペーストPstの薄膜(以下、ペースト膜Pmと称する)を形成するペースト膜形成装置7と、装着ヘッド6に設けられて撮像視野を下方に向けた基板カメラ8と、撮像視野を上方に向けた部品カメラ9を有して構成されている。
【0012】
ペースト膜形成装置7は、図2及び図3に示すように、この電子部品実装装置1が備える基台Bs(図3)上に設けられたベース部11と、ベース部11上を水平面内の一の方向(X軸方向とする)に延びて設けられた一対のスライドガイド12と、ベース部11の上方をスライドガイド12に沿ってX軸方向に移動自在に設けられたテーブル13と、テーブル13の下部に設けられたブロック部13aの内部をX軸方向に貫通(螺合)して延びたボール螺子14をX軸回りに回転駆動してテーブル13をスライドガイド12に沿ってX軸方向に往復移動させるテーブル駆動モータ15と、テーブル13の上方に設置されたスキージユニット16を備えている。
【0013】
図2及び図3において、スキージユニット16は、基台Bsに対して固定して設けられたスキージベース21と、スキージベース21の下方をX軸方向と直交する水平面内の方向(Y軸方向とする)に延びた「へら」状の部材から成り、スキージベース21に対して上下方向(Z軸方向とする)に移動(昇降)自在に設けられたスキージ22と、スキージ22をスキージベース21に対して昇降させるスキージ昇降モータ23と、スキージベース21の下方をY軸方向に延びてスキージ22とX軸方向に対向した「へら」状の部材から成り、スキージベース21から下方に延びて設けられたスクレーパガイド24に昇降自在に保持され、付勢ばね25によって下方に付勢されたスクレーパ26とから成る。スキージ昇降モータ23によってスキージ22を昇降させると、テーブル13の上面13sとスキージ22の下縁22sとの間隔であるギャップGp(図3中の拡大図参照)の大きさが変更される。
【0014】
テーブル13は、テーブル駆動モータ15によるボール螺子14の軸回りの一の方向(正方向とする)への回転駆動によって基台Bsの前後方向に沿った一の方向(この方向を基台Bsの前方とする)に移動し、テーブル13が最前方に位置した状態では(図3に示す状態)、テーブル13の後端部がスクレーパ26の直後に位置する。また、テーブル13は、テーブル駆動モータ15によるボール螺子14の軸回りの上記一の方向とは反対の方向(逆方向とする)へ回転駆動によって基台Bsの後方に移動し、テーブル13が最後方に位置した状態では、テーブル13の前端部がスキージ22の直前に位置する。
【0015】
図1において、電子部品実装装置1が備える制御装置30は三軸直交ロボット4を駆動するロボット駆動部31の作動制御を行って、装着ヘッド6を水平面内で移動させる。また制御装置30は装着ヘッド6が備える吸着ノズル5に繋がる吸着機構32の作動制御を行って、吸着ノズル5に電子部品Ptを吸着保持させ、或いはその吸着保持の解除を行って吸着ノズル5から電子部品Ptを離脱させる。
【0016】
図1において、制御装置30は基板カメラ8及び部品カメラ9の撮像動作制御を行い、基板カメラ8及び部品カメラ9の撮像動作によって得られた画像データは記憶部33に取り込まれて記憶される。
【0017】
図1において、制御装置30はペースト膜形成制御部30aからテーブル駆動モータ15及びスキージ昇降モータ23の作動制御を行って、テーブル13の上面13sにペースト膜Pmを形成(成膜)させる。詳細には、制御装置30は、スキージ昇降モータ23を作動させてギャップGpの大きさを調節したうえでテーブル駆動モータ15を作動させ、テーブル13をスキージ22に対して水平方向に相対移動させて(図1中に示す矢印A)、テーブル13上にギャップGpの大きさに応じた厚さt(図3)のペースト膜Pmを形成させる。なお、通常、ペースト膜Pmの厚さtは、ギャップGpの大きさの6割程度となる。
【0018】
ペースト膜形成装置7によりペースト膜Pmを形成する場合、制御装置30は、はじめにスクレーパ26によるペーストPstの掻き寄せを実行する。スクレーパ26によるペーストPstの掻き寄せでは、制御装置30は、スキージ昇降モータ23を作動させてスキージ22を上昇させ、スキージ22の下縁22sがテーブル13上のペーストPstに接触しないようにしたうえでテーブル駆動モータ15を前述の逆方向に回転駆動し、テーブル13を後方に移動させる(図4(a)。図中に示す矢印B1参照)。これによりテーブル13上のペーストPstは付勢ばね25によってテーブル13の上面13sに押し付けられているスクレーパ26によってテーブル13の前方に掻き寄せられる(図4(b))。
【0019】
制御装置30は、スクレーパ26によるペーストPstの掻き寄せを行ったら、スキージ昇降モータ23を作動させてスキージ22を下降させ、ギャップGpの大きさを調節したうえで(図4(c)。図中に示す矢印C1参照)、テーブル駆動モータ15を前述の正方向に回転駆動し、テーブル13を前方に移動させる(図4(d)中に示す矢印B2参照)。これによりテーブル13上のペーストPstは、スキージ22によって、ギャップGp(図4(c))の大きさに応じた厚さのペーストPstを残してテーブル13の後方に掻き取られ、テーブル13上のスキージ22の前方の領域にはギャップGpの大きさに応じた厚さtのペースト膜Pmが形成される(図4(d))。
【0020】
制御装置30は、スキージ22がテーブル13のほぼ中央部に達したら、一旦テーブル13の移動動作を停止させたうえで、スキージ昇降モータ23を作動させてスキージ22を下降させ、スキージ22の下縁22sをテーブル13の上面13sに当接させてギャップGpの大きさを零にする(図5(a)。図中に示す矢印C2参照)。そして、テーブル13の移動を再開させ(図5(b)中に示す矢印B3)、テーブル13がスキージ22に対して所定距離だけ相対移動したところで再びテーブル13の移動動作を停止させる(図5(b))。そして、スキージ昇降モータ23を作動させてスキージ22を上昇させ(図5(c)中に示す矢印C3参照)、ギャップGpの大きさを元の値に戻し(図5(c))、そのうえでテーブル13の移動を開始する(図5(d)中に示す矢印B4)。
【0021】
これによりテーブル13上には、溝状のペースト膜非成膜領域R(ペースト膜Pmが形成されない領域)を有する厚さtのペースト膜Pmが形成される(図2)。なお、ギャップGpの大きさを零にした状態でテーブル13をスキージ22に対して相対移動させた距離がΔであれば、溝状のペースト膜非成膜領域Rの幅(X軸方向の寸法)はΔとなる(図5(c)及び図5(d))。
【0022】
ここで、ペースト膜非成膜領域Rの幅Δは、図6(a)に示すように、電子部品Ptのバンプ形成面cfにおいて突出部Tを挟んで位置する2列のバンプbpの間の最短距離Dよりも小さく、かつ、2列のバンプbpの間の中間部に位置する突出部Tの幅dよりも大きい寸法とし、突出部Tが溝状のペースト膜非成膜領域R内に収まるように電子部品Ptをテーブル13に対して位置決めして下降させたとき、図6(b)に示すように、突出部
Tを挟んで位置する2列のバンプbpはそれぞれペースト膜非成膜領域Rの両側のペースト膜Pmに接触し得るようにする。
【0023】
このようなペースト膜形成装置7を備えた電子部品実装装置1において、制御装置30が電子部品Ptを基板Pbに装着する電子部品Ptの装着工程を実行する場合、制御装置30は先ず、前述の要領により、ペースト膜形成装置7が備えるテーブル13上に、幅Δの溝状のペースト膜非成膜領域Rを有する厚さtのペースト膜Pmを形成する(図7に示すステップST1)。
【0024】
制御装置30は、ペースト膜形成装置7のテーブル13上に、幅Δの溝状のペースト膜非成膜領域Rを有する厚さtのペースト膜Pmを形成したら、部品供給部2よりバンプ形成面cfを下方に向けて供給される電子部品Ptの上面を装着ヘッド6により吸着保持した後(図7に示すステップST2)、装着ヘッド6を部品カメラ9の直上の位置に移動させたうえで部品カメラ9を作動させ、電子部品Ptを下方から撮像する(図7に示すステップST3)。そして制御装置30は、画像認識部30b(図1)において、撮像によって得られた電子部品Ptの画像データに基づく画像認識処理を行い、装着ヘッド6(吸着ノズル5)に対する電子部品Ptの位置ずれを検出する(図7に示すステップST4)。
【0025】
制御装置30は、装着ヘッド6に対する電子部品Ptの位置ずれを検出したら、バンプ形成面cfを下方に向けた電子部品Ptの上面を吸着保持した装着ヘッド6をテーブル13の上方に移動させ、ステップST4で検出した装着ヘッド6に対する電子部品Ptの位置ずれに基づいて、電子部品Ptの突出部Tがペースト膜非成膜領域Rの直上に位置し、かつバンプbpがペースト膜Pmの直上に位置するようにテーブル13に対する装着ヘッド6の位置決めを行う(図7に示すステップST5。図6(a))。
【0026】
制御装置30は、テーブル13に対する装着ヘッド6の位置決めを行ったら、そこから装着ヘッド6をテーブル13に対して下降させ(図8(a)。図中に示す矢印D1参照)、電子部品Ptをテーブル13に近接させてバンプbpにペーストPstを付着させる(図7に示すステップST6。図6(b)及び図8(b))。このとき突出部Tはペースト膜非成膜領域Rの上方領域を下降するため、突出部TにはペーストPstは付着しない。なお、このときバンプbpをテーブル13の上面13sに当接させてバンプbpがペースト膜Pmの厚さtの高さ分のペーストPstに浸るようにする(図6(b)参照)。これにより、電子部品Ptのバンプ形成面cfにバンプbpのほか、ペーストPstの付着が禁止される突出部Tが設けられている場合であっても、突出部TにペーストPstを付着させることなく、バンプbpのみに適量のペーストPstを付着させることができる。
【0027】
制御装置30は、電子部品Ptをペースト膜Pmに近接させてバンプbpをペーストPstに付着させたら、そのバンプbpにペーストPstを付着させた電子部品Ptがテーブル13の上方に引き上げられるように装着ヘッド6をテーブル13に対して上昇させる(図7に示すステップST7。図8(c)中に示す矢印D2参照)。テーブル13の上方に引き上げられた電子部品Ptの各バンプbpは、ペースト膜Pmの厚さtの高さ分のペーストPstによって外周面を覆われた状態となっている(図8(c)中に示す拡大図参照)。
【0028】
制御装置30は、装着ヘッド6をテーブル13に対して上昇させたら、装着ヘッド6を基板Pbの上方に移動させ(図7に示すステップST8)、ステップST4で検出した装着ヘッド6に対する電子部品Ptの位置ずれに基づいて、基板Pb上に設けられた電極DTの上方に電子部品Ptのバンプbpが位置するように基板Pbに対する装着ヘッド6の位置決めを行う(図7に示すステップST9。図9(a))。そして、その基板Pbに対する位置決めを行った装着ヘッド6を基板Pbに対して下降させ(図9(a)中に示す矢
印E1)、基板Pb上の電極DTにバンプbpを接触させた後(図9(b))、装着ヘッド6による電子部品Ptの吸着を解除し、装着ヘッド6を基板Pbに対して上昇させて(図9(c)。図中に示す矢印E2)、電子部品Ptを基板Pbに装着する(図7に示すステップST10)。
【0029】
制御装置30は電子部品Ptを基板Pbに装着したら、基板Pb上に装着すべき全ての電子部品Ptの装着が終了したかどうかの判断を行う(図7に示すステップST11)。その結果、基板Pbに装着すべき全ての電子部品Ptの装着が終了していなかったときには、制御装置30はステップST2に戻ってまだ装着していない電子部品Ptの装着を行う。なお、この繰り返し行う電子部品Ptの装着工程の実行過程において、電子部品Ptのバンプbpをペースト膜Pmに接触させるときは、以前に他の電子部品Ptのバンプpbを接触させた箇所は避け、目標厚さtに形成された状態になっている部分にバンプbpを接触させるようにする。一方、ステップST11の判断において、基板Pbに装着すべき全ての電子部品Ptの装着が終了していたときには、その基板Pbへの電子部品Ptの装着工程を終了する。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態における電子部品実装方法は、バンプ形成面cfにペーストPstの付着が禁止される突出部T及びこの突出部Tを挟んで位置する複数のバンプbpが形成されたバンプbp付の電子部品Ptをバンプ形成面cfが下方を向く姿勢で基板Pbに装着する方法であり、ペースト膜形成装置7が備えるテーブル13の上面13sに溝状のペースト膜非成膜領域Rを有するペースト膜Pmを形成する工程(ステップST1)と、バンプ形成面cfを下方に向けた電子部品Ptの上面を装着ヘッド6により吸着保持する工程(ステップST2)と、バンプ形成面cfを下方に向けた電子部品Ptの上面を吸着保持した装着ヘッド6をテーブル13の上方に移動させ、電子部品Ptの突出部Tがペースト膜非成膜領域Rの直上に位置し、かつバンプbpがペースト膜Pmの直上に位置するようにテーブル13に対する装着ヘッド6の位置決めを行う工程(ステップST5)と、テーブル13に対する位置決めを行った装着ヘッド6をテーブル13に対して下降させ、電子部品Ptをテーブル13に近接させてバンプbpにペーストPstを付着させる工程(ステップST6)と、バンプbpにペーストPstを付着させた電子部品Ptがテーブル13の上方に引き上げられるように装着ヘッド6をテーブル13に対して上昇させた後(ステップST7)、装着ヘッド6を基板Pbの上方に移動させる工程(ステップST8)と、基板Pb上に設けられた電極DTの上方に電子部品Ptのバンプbpが位置するように基板Pbに対する装着ヘッド6の位置決めを行う工程(ステップST9)と、基板Pbに対する位置決めを行った装着ヘッド6を基板Pbに対して下降させ、バンプbpを電極DTに接触させる工程(ステップST10)を含むものとなっている。
【0031】
このように本実施の形態における電子部品実装方法では、テーブル13の上面13sに溝状のペースト膜非成膜領域Rを有するペースト膜Pmを形成し、電子部品Ptのバンプ形成面cfに設けられたペーストPstの付着が禁止される突出部Tがペースト膜非成膜領域Rの直上に位置し、かつバンプbpがペースト膜Pmの直上に位置した状態で電子部品Ptをテーブル13に近接させてバンプbpにペーストPstを付着させるようになっており、バンプbpにペーストPstが付着するとき、突出部Tはペースト膜非成膜領域Rに位置してペーストPstが付着しないので、電子部品Ptのバンプ形成面cfにバンプbpのほかペーストPstの付着が禁止される突出部Tが設けられている場合であっても、突出部TにペーストPstを付着させることなく、バンプbpのみに適量のペーストPstを付着させて電子部品Ptを基板Pbに装着することができる。
【0032】
また、本実施の形態では、バンプ形成面cfを下方に向けた電子部品Ptの上面を装着ヘッド6により吸着保持した後(ステップST2)、その電子部品Ptを下方から撮像し(ステップST3)、得られた電子部品Ptの画像に基づいて装着ヘッド6に対する電子
部品Ptの位置ずれを検出する工程(ステップST4)を実行し、その検出した装着ヘッド6に対する電子部品Ptの位置ずれに基づいてテーブル13に対する装着ヘッド6の位置決め(ステップST5)及び基板Pbに対する装着ヘッド6の位置決め(ステップST9)を行うようにしている。このため、電子部品Ptのバンプ形成面cfに設けられた突出部TにはペーストPstを付着させることなく、バンプbpのみに適量のペーストPstを付着させるためのテーブル13に対する装着ヘッド6の位置決めを、精度良く行うことができる。
【0033】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、テーブル13上に溝状のペースト膜非成膜領域Rを有するペースト膜Pmを形成するときの手順は前述したものに限定されるわけではく、他の手順によってもよい。また、上述の実施の形態では、ペーストPmが供給されたテーブル13をスキージ22に対して水平方向に相対移動させることによってテーブル13上にペースト膜Pmを形成させるようになっていたが、ペーストPmが供給されたテーブル13に対してスキージ22を水平方向に相対移動させることによってテーブル13上にペースト膜Pmを形成させるようになっていてもよい。また、上述の実施の形態では、電子部品Ptのバンプ形成面cfにおいて突出部Tを挟んで位置するバンプbpは2列であったが、必ずしも2列でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
電子部品のバンプ形成面にバンプのほかペーストの付着が禁止される突出部が設けられている場合に、突出部にペーストを付着させることなく、バンプのみに適量のペーストを付着させて電子部品を基板に装着することができる電子部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0035】
6 装着ヘッド
13 テーブル
13s 上面
Pst ペースト
Pm ペースト膜
R ペースト膜非成膜領域
Pt 電子部品
cf バンプ形成面
bp バンプ
T 突出部
Pb 基板
DT 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンプ形成面にペーストの付着が禁止される突出部及びこの突出部を挟んで位置する複数のバンプが形成されたバンプ付の電子部品をバンプ形成面が下方を向く姿勢で基板に装着する電子部品実装方法であって、
テーブルの上面に溝状のペースト膜非成膜領域を有するペースト膜を形成する工程と、
バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を装着ヘッドにより吸着保持する工程と、
バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を吸着保持した装着ヘッドをテーブルの上方に移動させ、電子部品の突出部がペースト膜非成膜領域の直上に位置し、かつバンプがペースト膜の直上に位置するようにテーブルに対する装着ヘッドの位置決めを行う工程と、
テーブルに対する位置決めを行った装着ヘッドをテーブルに対して下降させ、電子部品をテーブルに近接させてバンプにペーストを付着させる工程と、
バンプにペーストを付着させた電子部品がテーブルの上方に引き上げられるように装着ヘッドをテーブルに対して上昇させた後、装着ヘッドを基板の上方に移動させる工程と、
基板上に設けられた電極の上方に電子部品のバンプが位置するように基板に対する装着ヘッドの位置決めを行う工程と、
基板に対する位置決めを行った装着ヘッドを基板に対して下降させ、バンプを電極に接触させる工程とを含むことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項2】
バンプ形成面を下方に向けた電子部品の上面を装着ヘッドにより吸着保持した後、その電子部品を下方から撮像し、得られた電子部品の画像に基づいて装着ヘッドに対する電子部品の位置ずれを検出する工程を実行し、その検出した装着ヘッドに対する電子部品の位置ずれに基づいてテーブルに対する装着ヘッドの位置決め及び基板に対する装着ヘッドの位置決めを行うことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−60987(P2011−60987A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208884(P2009−208884)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】