説明

電子部品接合方法とバンプ形成方法およびその装置

【課題】回路基板と電子部品との接合あるいは、電極の上へのバンプ形成を接合材料の供給量ばらつきに関わらず、半田オープン、ショート不良のない、安定した品質で量産が行える接合装置および方法を提供する。
【解決手段】回路基板1の上に流動体4を供給した後、供給された流動体4に含まれている導電性粒子3の量をカメラ22の撮影データを画像処理して測定し、測定した数値に基づき、接合工程における第1電極2と第2電極6との隙間の値を適正値に制御して、生産条件に反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に実装したり、電極の上にバンプを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9(e)に示すように回路基板1に電子部品5を実装する場合には、図9(a)〜(e)に示す半田自己集合方法が知られている。この場合、回路基板1の上に形成されている電極2のピッチと、電子部品5の上に形成されている電極6のピッチとは同一である。
【0003】
図9(a)では、回路基板1の上に半田粉3を含む流動体4が供給される。流動体4の供給は、ディスペンサ、スクリーン印刷、転写等の一般的な粘性材料の供給法により行われる。
【0004】
図9(b)では、流動体4が供給された回路基板1を加熱ステージ9に載置するとともに、電子部品5を電子部品吸着ツール7で吸着保持して、電子部品5の電極6を流動体4に押し付け、電極2と電極6の隙間Hを確保するよう保持する。
【0005】
この状態で電子部品吸着ツール7を加熱ヒータ8で加熱し、加熱ステージ9を加熱ヒータ10で加熱して所定の温度プロファイルを実行することによって、図9(c)に示すよう半田粉3が溶融し、かつ電極2と電極6との隙間Hおよびその周辺において、溶融半田12および流動体4の樹脂成分が対流Aする。
【0006】
これによって、液体の表面張力による電極への粒子集積化現象によって、電極2と電極6間に溶融半田12が自己集合する。
図9(d)では、回路基板1および電子部品5を半田粉3の融点以下に冷却することで、電極2と電極6の間に自己集合した溶融半田12は凝固し、電極2と電極6が半田金属接合20される。11は流動体4の中の硬化した樹脂成分を示しており、半田接合後の電子部品5と回路基板1との接合部の保護、および接合強度を確保するアンダーフィルの役割を果たす。
【0007】
図9(a)〜(d)においては、回路基板1に電子部品5を実装する工程について説明を行ったが、この「半田自己集合方式」を用いれば、図10(b)に示すように、回路基板1の電極2の上にバンプ31を形成することもできる。この場合には、図9(a)と同じように回路基板1の上へ流動体4を供給した後、図10(a)に示すように、加熱ツール7aと電極2との間に一定の隙間Hを確保し、保持し、加熱することで行うことによって、回路基板1の電極2に半田が自己集合され半田バンプ31が形成される。なお、流動体4の樹脂成分は、半田バンプ31を形成した後に、洗浄して除去することによって、図10(b)に示す状態になる。
【特許文献1】特開2006−100775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の電子部品接合方法によって回路基板1に電子部品5を実装する場合には、半田粉3の量によって半田ショート不良や接合オープン不良が発生し、安定した量産が行えないという課題がある。
【0009】
図11(b)に半田オープン不良Bの例を示す。図12(b)に半田ショート不良Cの例を示す。半田オープン不良は、供給された流動体4内の半田粉3の量が図11(a)の模式図に示すように少ない場合に発生する。半田ショート不良は、供給された流動体4内の半田粉3の量が図12(a)の模式図に示すように多い場合に発生する。
【0010】
回路基板1の電極2の上にバンプ31を形成する場合も同様であり、半田量過多による電極間のバンプショート不良や半田量過小によるバンプ体積小等のバンプ形状不良が発生し、安定した量産が行えないという課題がある。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、半田粉3などの導電性粒子の供給量のばらつきに関わらず、回路基板と電子部品との接合を半田ショート、オープン不良等の品質不良なく安定的に実施できる電子部品接合方法とその装置と、電極の上へのバンプ形成の品質不良なく安定的に実施できるバンプ形成方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子部品接合方法は、基板と電子部品の間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の第1電極と前記電子部品の第2電極との間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して前記第1電極と前記第2電極の間に溶融した前記導電性粒子が自己集合し、その後に前記導電性粒子の凝固温度以下に冷却して前記電子部品を前記基板に実装するに際し、前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程と、記計測した実際の導電性粒子の量に基づき前記隙間の値を決定して制御する工程と、前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する工程とを含んでいることを特徴とする。
【0013】
本発明の電子部品接合装置は、基板と電子部品の間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の第1電極と前記電子部品の第2電極との間の隙間に保持した状態で加熱された流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記第1電極と前記第2電極の間に自己集合し、その後に前記導電性粒子の凝固温度以下に冷却して前記電子部品を前記基板に実装する電子部品接合装置であって、前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測するカメラと、前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する処理装置とを設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明のバンプ形成方法は、基板と平板状のツールとの間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記導電性粒子の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するに際し、前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程と、前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する工程とを含んでいることを特徴とする。
本発明のバンプ形成装置は、基板と平板状のツールとの間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記導電性粒子の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するバンプ形成装置であって、前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測するカメラと、前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する処理装置とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この構成によると、量産において、接合材料の供給量に僅かなばらつきが生じた際にも、供給された接合材料の量に応じて、最適な前記隙間の値が接合工程、もしくはバンプ形成工程にフィードバックされて回路基板と電子部品との接合や、電極の上へのバンプ形成を、ショート、オープン不良等の品質の不良なく、安定的に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の電子部品接合方法とバンプ形成方法を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の電子部品接合方法を実行する電子部品接合装置を示す。
【0017】
マイクロコンピュータを主要部として構成されている処理装置20は、図2に示すようにステップS1〜ステップS4で構成されている。
ステップS1では、回路基板1の上へ図3(a)(b)に示すように流動体4を電極2を覆う形状に供給するように供給装置21を運転する。この例では回路基板1の上に9個の電極2が所定間隔で設けられている。供給装置21は、ディスペンサ、印刷等の一般的な粘性材料の供給手段である。流動体4には、接合に寄与する導電性粒子としての半田粉3が含有されている。
【0018】
流動体4に含まれている導電性粒子としてこの実施の形態では半田粉3の場合を説明するが、導電性粒子としては半田がコートされたAgやCuやAuなどの導電性粒子なども同様に使用できる。
【0019】
また、流動体4の樹脂成分としては、室温から導電性粒子の溶融温度の範囲内において流動可能な程度の粘度を有するものであれば良く、又、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑樹脂、または光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。
【0020】
ステップS2では、ステップS1で回路基板1の上に盛られた流動体4を図1(b)に示すように撮影するカメラ22から撮影情報を取得して、流動体4の中にある半田粉3の量を計算する。
【0021】
具体的には、回路基板1の上に供給された流動体4をカメラ22にて画像認識し、流動体4の中に分布する半田粉3を輝度の違いにより、色抽出し、半田粉3のみを識別した半田粉画像データ15とする。図3(c)に半田粉画像データ15の模式図を示す。
【0022】
次に処理装置20は、この半田粉画像データ15を次のように処理する。
処理装置20は、回路基板1の上に形成された電極2を、図3(d)に示すように電極2毎に等ピッチで9個の分割エリアE1〜E9に分割し、分割エリア毎に半田粉画像データ15の面積を算出する。半田粉画像データ15の面積計算は、抽出した半田粉画像データ15が占める画素数をカウントする手法により行う。
【0023】
そして、分割エリアE1〜E9毎に計測した半田粉3の量の平均値を計算し、この平均値を予め決め規定されている目標量と比較して過不足の量を計算する。半田粉3の量の平均値が規定の範囲内の場合には適正量であるとして、適正の半田量に対する目標隙間H0をデータベース23から読み出して、この目標隙間H0に前記隙間Hが近づくようにステップS3で昇降装置24を運転して電子部品吸着ツール7を昇降させて隙間Hを制御して、ステップS4で電子部品5を回路基板1に接合する前記接合動作を実施する。ここで、電子部品5は半導体チップである。
【0024】
半田粉3の量の平均値が規定の範囲を超えて過多である場合には、その過多の程度に応じて目標隙間H0をデータベース23から読み出して、この目標隙間H0に前記隙間Hが近づくようにステップS3で昇降装置24を制御しながらステップS4の前記接合動作を実施する。この半田粉3の量の平均値が規定の範囲を超えて過多である場合の目標隙間H0は、半田粉3の量の平均値が適正である場合の目標隙間H0よりも大きい。
【0025】
半田粉3の量の平均値が規定の範囲よりも不足している場合には、その不足の程度に応じて前記目標隙間H0をデータベース23から読み出して、この目標隙間H0に前記隙間Hが近づくようにステップS3で昇降装置24を制御しながらステップS4の前記接合動作を実施する。この半田粉3の量の平均値が規定の範囲よりも不足している場合の目標隙間H0は、半田粉3の量の平均値が適正である場合の目標隙間H0よりも小さい。
【0026】
その結果、従来例のように回路基板1の上への流動体4の供給量のばらつきに関わらず、常に隙間Hを一定にして量産を行うのでは無く、都度、隙間Hを最適値に変更しながら接合を行っているので、安定した品質で生産が行える。
【0027】
隙間Hを一定にして量産した比較例と、上記のように隙間Hを最適値に変更しながら量産した実施例を説明する。隙間Hの他の接合条件は、比較例も実施例も同じである。
ここでは図5(a)に示すように回路基板1には、ピッチP=200μm、電極サイズL=100μm□、電極高さ18μmの電極2を484ピン、エリア配置形状に形成した。電子部品5には、回路基板1と対向する位置に回路基板1の電極2と同様のピッチ、電極サイズ、電極配置により高さ15μmの電極6を形成した。流動体4には、平均粒径20μmの半田粉3が50wt%、エポキシ樹脂22wt%、硬化剤22wt%、活性剤5wt%、硬化促進剤1wt%、含有された組成比のものを用いた。
【0028】
流動体4の回路基板1の上への供給をディスペンス法により行った後、図5(b)に示すように、回路基板1の上に供給した流動体4中に含まれる半田粉3の量を画像認識により色抽出し、電極2ごとの分割エリア毎に半田粉3の量を面積換算し、算出した。
【0029】
− 比較例 −
比較例では、回路基板1の電極2と電子部品5の電極6との隙間Hを20μm一定で接合処理した場合の図5(b)に示す分割エリアE1の接合結果を確認した。その確認結果が図5(c)である。これは半田粉3の量を横軸にプロットし、縦軸に分割エリアE1の電極のショート、オープン不良率をプロットしたものである。
【0030】
図5(c)の結果からは、一定の隙間H(=20μm)の接合では、半田粉3の量が0.045mm以下と少ない領域では半田オープン不良が発生し、半田粉3の量が0.27mm以上と多い領域では、半田ショート不良が発生することが明らかとなった。
【0031】
流動体の供給量の最適値は、電極2と電極6の隙間H=20μmでは、接合に必要な半田、樹脂の体積量の計算により、2.0mgと算出されるが、実際の生産工程では、2.0mgを目標値として供給しても、2mg±0.1mgでの管理が限界であり、その結果、分割エリアE1に存在する半田粉3の量は、0.04mmから0.29mmの間でとばらつくので、図5(c)のように半田ショート、オープン不良が発生する半田粉3量との関係と合わせると、隙間Hを20μm一定として量産した場合には接合不良が避けられないことがわかる。
【0032】
− 実施例 −
次に図5と同様の回路基板1、電子部品5、流動体4の構成のもと、図6(a)に示すように、分割エリアE1の半田粉3の量を0.3mmと一定にし、前記隙間Hを変動させて接合を実施した。
【0033】
その結果、図6(b)に示すように、隙間H=26μm以下では、接合に必要は半田量に対し半田過多となり、ショート不良が発生した。見方を換えれば、供給された半田粉3の量に対して、接合不良を起こさない隙間Hの範囲が存在することとなり、隙間Hを制御して接合することによって、接合不良を防げることが分かる。ショート不良に着目したが、オープン不良に対しても供給された半田粉3の量に対して、不良を防げる隙間Hの範囲が存在すると言える。
【0034】
その相関を検証した結果を示したものが図7である。
図7は、分割エリアE1の半田粉3量と隙間Hを因子とし、マトリクス的に接合実験を行い、オープン不良、ショート不良が発生しない、隙間Hと半田粉3の量の相関関係をプロットした図である。流動体4の供給量は、2.0mg±0.1mgとした。
【0035】
その結果、流動体4の目標値として2mgを供給した際の半田粉3の量のばらつき範囲内(0.04mmから0.29mm)において、半田粉3の量に応じて隙間Hを10〜30μmの間で適切に変動、制御することにより、ショート不良、オープン不良のない良好な接合を行えることが確認された。
【0036】
上記の実施の形態では、回路基板1の上に形成された個々の電極2毎に半田粉画像データ15から面積を算出したが、回路基板1の上に形成された個々の電極2毎ではなく、図4に示すように複数の電極2が含まれる分割エリアE01〜E03などに分割しても良い。図4の事例では、回路基板1の上に形成された電極2のエリアを3個に分割した場合を示しているが、接合する対象物の接合エリアの大きさ、電極ピッチ、サイズ等により、分割するエリアの範囲を設定する。
【0037】
また、半田粉画像データ15の面積計算は、抽出した半田粉画像データ15を3次元的に画像処理して半田体積を算出することもできる。
また、各実施の形態では複数の分割エリアごとの半田粉3の量の計測値の平均値を、前記隙間Hの制御にフィードバックす場合を例に挙げて説明したが、複数の分割エリアごとの半田粉3の量の計測値の最小値と最大値を計算し、この最大値と最小値に基づいて前記供給された半田粉3の過不足を判定して、それに応じて適正の半田量に対する目標隙間H0をデータベース23から読み出して、この目標隙間H0に前記隙間Hが近づくようにステップS3で昇降装置24を制御しながらステップS4の前記接合動作を実施することもできる。
【0038】
また、各実施の形態では複数の分割エリアごとの半田粉3の量の計測値の平均値を、前記隙間Hの制御にフィードバックする場合を例に挙げて説明したが、接合する対象物に応じて事前に不良と前記分割エリアにおける半田粉3の量の相関を求めておき、半田粉3の量の過不足の判定に効果的な分割エリアを規定しておき、
その有効な一つの分割エリアの半田粉3の量、
またはその有効な複数の分割エリアの平均値、
またはその有効な複数の分割エリアの最大値、
またはその有効な複数の分割エリアの最小値など
に基づいて、前記隙間Hの制御にフィードバックすることによっても実施できる。つまりこの場合も、回路基板1に供給された流動体4を撮像して半田粉の量を画像認識により計測するステップS2では、電極2毎の領域に分割、もしくは電極2を含む複数の領域に分割し、複数の領域の内の予め設定した特定の領域の半田粉3の量に基づいて前記供給された半田粉3の過不足を判定するに含まれる。
【0039】
上記の各実施の形態では、流動体4を回路基板1に供給して電子部品5を回路基板1に接合したが、流動体4を電子部品5に供給して回路基板1に電子部品5を接合する場合も同様に実施できる。
【0040】
上記の各実施の形態では、電子部品5は半導体チップであったが、電子部品5は例えば、電極がペリフェラル配置された半導体素子であっても良い。また、電子部品5は、半導体素子に限定されるわけでなく、その他の能動部品、受動部品や、リジットタイプの基板、フレキタイプの基板であっても良い。
【0041】
上記の各実施の形態では回路基板1に電子部品5を実装する工程について説明を行ったが、回路基板1の電極2の上にバンプ31を形成するバンプ形成において、電極2と加熱ツール7aと回路基板電極2との隙間Hを、同様に半田粉3の量の過不足に応じて制御することによって、ショート不良、盛り上がり不良のない良好なバンプ形成を、安定した品質で形成できる。
【0042】
この場合の処理装置20は、電子部品接合装置の処理装置の構成を示す図2におけるステップS4が、接合処理からバンプ形成処理のステップS4Aに変更されるだけであって、その他の構成は電子部品接合装置の処理装置と同じである。バンプ形成処理は、隙間Hにして半田粉3の溶融温度以上に加熱しながら隙間Hを大きくして加熱ツール7aを回路基板1から離間させ、半田粉3の凝固温度以下に冷却するものである。図8はバンプ形成装置の処理装置20の構成を示している。
【0043】
また、回路基板1の電極2の上にバンプ31を形成する場合だけでなく、電子部品の基板の電極の上にバンプ31を形成する場合も同様に実施できる。この場合の電子部品は、半導体素子に限定されるわけでなく、その他の能動部品、受動部品や、リジットタイプの基板、フレキタイプの基板であっても良い。
【0044】
つまり、本発明のバンプ形成方法ならびにバンプ形成装置は、次のように構成できる。
先ず、バンプ形成方法を実行するバンプ形成装置は、基板と平板状のツールとの間に半田粉を含んだ流動体を介在させるとともに、基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記半田粉が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記半田粉の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するバンプ形成装置であって、前記基板に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測するカメラと、前記計測した実際の半田粉の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する処理装置とを設けて構成されている。
【0045】
本発明のバンプ形成方法は、基板と平板状のツールとの間に半田粉を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記半田粉が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記半田粉の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するに際し、前記基板に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測する工程と、前記計測した実際の半田粉の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する工程とを含んでいることを特徴とする。
【0046】
本発明のバンプ形成方法において、前記基板に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測する工程では、半田粉を画像認識により識別、色抽出した後、画素数をカウントし面積に換算することにより実施する。
【0047】
本発明のバンプ形成方法において、前記基板に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測する工程では、前記電極毎の領域に分割、もしくは前記電極を含む複数の領域に分割し、前記領域毎の半田粉の量に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定することにより実施する。
【0048】
本発明のバンプ形成方法において、前記領域毎の半田粉の量に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定するとは、前記領域毎に計測した半田粉の量の平均値に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定することにより実施する。
【0049】
本発明のバンプ形成方法において、前記領域毎の半田粉の量に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定するとは、前記領域毎に計測した半田粉の量の最大値と最小値に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定することにより実施する。
【0050】
本発明のバンプ形成方法において、前記基板に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測する工程では、前記電極毎の領域に分割、もしくは前記電極を含む複数の領域に分割し、複数の前記領域の内の予め設定した特定の領域の半田粉の量に基づいて前記供給された半田粉の過不足を判定することにより実施する。
【0051】
バンプ形成方法ならびにバンプ形成装置において、流動体4に含まれている導電性粒子として半田粉3の場合を説明したが、導電性粒子としては半田がコートされたAgやCuやAuなどの導電性粒子なども同様に使用できる。
【0052】
バンプ形成方法ならびにバンプ形成装置において、流動体4の樹脂成分としては、室温から導電性粒子の溶融温度の範囲内において流動可能な程度の粘度を有するものであれば良く、又、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑樹脂、または光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。さらに、バンプ形成方法ならびにバンプ形成装置の場合の流動体4としては、上記の樹脂以外にも、高沸点溶剤、オイル等も使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば小型・軽量化が進む電子機器に使用される微小、かつ微細な電極間ピッチを有する半導体と微細な配線パターンが形成されたプリント配線板との電極間接合の接続品質の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態にかかわる電子部品接合装置の構成図と撮像状態を示す説明図
【図2】同実施の形態の処理装置の構成図
【図3】同実施の形態の要部断面を示した模式図と画像処理の説明図
【図4】別の実施の形態の画像処理の説明図
【図5】隙間を一定で接合した比較例の要部断面と接合結果の説明図
【図6】本発明の実施の形態にかかわる電子部品接合方法の接合結果の説明図
【図7】同実施の形態にかかわる電子部品接合方法の接合結果の説明図
【図8】同実施の形態の処理装置の構成図
【図9】従来の電子部品接合方法の工程図
【図10】従来のバンプ形成方法の工程図
【図11】従来の電子部品接合方法によって発生するオープン不良の説明図
【図12】従来の電子部品接合方法によって発生するショート不良の説明図
【符号の説明】
【0055】
1 回路基板
2,6 電極
3 半田粉(導電性粒子)
4 流動体
5 電子部品
7 電子部品吸着ツール
7a 加熱ツール
H 電極2と電極6の隙間
8,10 加熱ヒータ
9 加熱ステージ
11 流動体4の中の硬化した樹脂成分
12 溶融半田
15 半田粉画像データ
20 処理装置
21 供給装置
22 カメラ
23 データベース
24 昇降装置
E1〜E9 分割エリア
31 バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と電子部品の間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の第1電極と前記電子部品の第2電極との間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して前記第1電極と前記第2電極の間に溶融した前記導電性粒子が自己集合し、その後に前記導電性粒子の凝固温度以下に冷却して前記電子部品を前記基板に実装するに際し、
前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程と、
前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき前記隙間の値を決定して制御する工程と、
前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する工程と
を含んでいることを特徴とする
電子部品接合方法。
【請求項2】
前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程では、
導電性粒子を画像認識により識別、色抽出した後、画素数をカウントし面積に換算することにより実施する
請求項1記載の電子部品接合方法。
【請求項3】
前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して半田粉の量を画像認識により計測する工程では、
前記第1電極または前記第2電極毎の領域に分割、もしくは前記第1電極または前記第2電極を含む複数の領域に分割し、
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定する
請求項1記載の電子部品接合方法。
【請求項4】
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定するとは、
前記領域毎に計測した導電性粒子の量の平均値に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定することである
請求項3記載の電子部品接合方法。
【請求項5】
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定するとは、
前記領域毎に計測した導電性粒子の量の最大値と最小値に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定することである
請求項3記載の電子部品接合方法。
【請求項6】
前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程では、
前記第1電極または前記第2電極毎の領域に分割、もしくは前記第1電極または前記第2電極を含む複数の領域に分割し、
複数の前記領域の内の予め設定した特定の領域の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定する
請求項1記載の電子部品接合方法。
【請求項7】
基板と電子部品の間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の第1電極と前記電子部品の第2電極との間の隙間に保持した状態で加熱された流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記第1電極と前記第2電極の間に自己集合し、その後に前記導電性粒子の凝固温度以下に冷却して前記電子部品を前記基板に実装する電子部品接合装置であって、
前記基板または前記電子部品に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測するカメラと、
前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する処理装置と
を設けた電子部品接合装置。
【請求項8】
基板と平板状のツールとの間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記導電性粒子の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するに際し、
前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程と、
前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する工程
とを含んでいるバンプ形成方法。
【請求項9】
前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程では、
導電性粒子を画像認識により識別、色抽出した後、画素数をカウントし面積に換算することにより実施する請求項8記載のバンプ形成方法。
【請求項10】
前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程では、
前記電極毎の領域に分割、もしくは前記電極を含む複数の領域に分割し、
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定する
請求項8記載のバンプ形成方法。
【請求項11】
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定するとは、
前記領域毎に計測した導電性粒子の量の平均値に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定することである
請求項10記載のバンプ形成方法。
【請求項12】
前記領域毎の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定するとは、
前記領域毎に計測した導電性粒子の量の最大値と最小値に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定することである
請求項10記載のバンプ形成方法。
【請求項13】
前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測する工程では、
前記電極毎の領域に分割、もしくは前記電極を含む複数の領域に分割し、
複数の前記領域の内の予め設定した特定の領域の導電性粒子の量に基づいて前記供給された導電性粒子の過不足を判定する
請求項8記載のバンプ形成方法。
【請求項14】
基板と平板状のツールとの間に導電性粒子を含んだ流動体を介在させるとともに、前記基板の電極と前記ツールとの間の隙間に保持した状態で加熱された前記流動体が流動して溶融した前記導電性粒子が前記電極と前記ツールの間に自己集合し、その後に前記ツールを前記基板から離間させるとともに前記導電性粒子の固化温度以下に冷却して、前記電極にバンプを形成するバンプ形成装置であって、
前記基板に供給された流動体を撮像して導電性粒子の量を画像認識により計測するカメラと、
前記計測した実際の導電性粒子の量に基づき適切な目標隙間の値を決定して前記隙間が前記目標隙間に近づくように制御する処理装置と
を設けたバンプ形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−225821(P2010−225821A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71064(P2009−71064)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】