説明

電極形成方法および電極形成装置

【課題】基板上に電極を形成する方法および装置において、低コストで、しかも優れた生産性で、幅の異なる電極を形成することのできる技術を提供する。
【解決手段】光硬化性樹脂を含む塗布液と吐出する吐出ノズル部と、吐出された塗布液に光照射して硬化させる光照射部とを2組設け、それぞれの照射条件を異ならせる。第1ヘッド部5に設けた吐出ノズル部52と光照射部53との間隔が、第2ヘッド部7に設けた吐出ノズル部72と光照射部73との間隔よりも小さい。このため、第1ヘッド部5では、塗布液が基板Wに塗布されてから光照射されるまでの時間が短く、幅が狭くて高さのある電極が形成される。一方、第2ヘッド部7では、塗布液が基板Wに塗布されてから光照射されるまでの時間が長いので塗布液が広がり、より幅広の電極が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上に電極を形成する方法および装置に関するものであり、特に太陽電池基板に電極を形成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に所定のパターンを形成する技術としては、パターン材料を含む塗布液をノズルから吐出させて基板にパターンを描画する方法がある。例えば、本願出願人が先に開示した特許文献1に記載の技術では、基板に対し一方向に相対移動するノズルから光硬化性樹脂を含むペースト状のパターン形成材料を吐出させて基板に塗布し、紫外線を照射することによって樹脂を硬化させて基板上にパターン形成を行っている。また、この技術では、基板に対しノズルを走査移動させるのに際して、走査速度、吐出量、露光量のいずれかを定期的に変化させることで、パターン幅を異ならせた節部を一定間隔で形成している。
【0003】
上記した特許文献1に記載の技術を、例えば太陽電池の電極形成に応用することが考えられる。太陽電池の電極においては、例えば特許文献2に記載されているように、フィンガー電極とも称される多数の細い電極と、これらを横断するバス電極とも称される幅広の電極とが組み合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−138911号公報(例えば、図6)
【特許文献2】特開2005−353851号公報(例えば、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した太陽電池のように、幅が大きく異なる電極を形成する方法としては、第1に、それぞれの線幅に応じたサイズの吐出口を有するノズルを個別に設けることが考えられる。また第2に、細い線幅のパターンを隣接させて多数形成することにより、幅広の電極を形成することが考えられる。しかしながら、線幅の微細化に伴ってノズルの部品コストが上昇しているため、第1の方法では装置コストが高くなり、結果的に最終製品の製造コストも高くなってしまう。また、第2の方法では製造のスループットが低くなるという問題がある。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板上に電極を形成する方法および装置において、低コストで、しかも優れた生産性で、幅の異なる電極を形成することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる電極形成方法は、上記目的を達成するため、電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出するノズルを基板に対して第1の方向に相対移動させることで前記塗布液を前記基板に塗布するとともに、前記基板に塗布された前記塗布液を光照射により硬化させることで第1の電極を形成する第1工程と、前記ノズルと同一形状を有するノズルを前記基板に対して前記第1の方向と異なる第2の方向に相対移動させることで前記塗布液を前記基板に塗布するとともに、前記基板に塗布された前記塗布液を光照射により硬化させることで第2の電極を形成する第2工程とを備え、前記第1工程と前記第2工程との間で前記光照射の照射条件を異ならせて、前記第1の電極の幅と前記第2の電極の幅とを異ならせることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を基板に塗布することで基板上に電極を形成する。そして、基板に対しノズルを第1方向に移動させるとき(第1工程)と、第2方向に移動させるとき(第2工程)とで光照射の照射条件を異ならせる。これにより、第1方向に延びる電極(第1の電極)の幅と、第2方向に延びる電極(第2の電極)の幅とを互いに異ならせることができる。このため、同一形状のノズルで幅の異なる電極を形成することができるので、装置コストおよび製品の製造コストを低く抑えることができる。また、幅広の電極を形成するためにノズルを何度も走査させる必要がないので、高い生産性で電極形成を行うことができる。
【0009】
第1工程と第2工程との間で異ならせる照射条件としては、例えば、塗布液を基板に塗布してから光照射を開始するまでの時間を用いることができる。基板に塗布された塗布液は基板上で広がり、光照射されて硬化することによって広がりは停止する。したがって、塗布してから光照射を開始するまでの時間を変えることによって、電極の幅を異ならせることが可能である。より具体的には、例えば、塗布液が基板に着液する基板上の着液位置と、光照射される基板上の光照射位置との距離を、第1工程と第2工程との間で異ならせるようにしてもよい。
【0010】
また、例えば、光照射における露光量を第1工程と第2工程との間で異ならせるようにしてもよい。ここで、露光量は照射光の強度と照射時間との積であり、これらの一方または両方を変化させることで、塗布液に含まれる光硬化性樹脂の硬化の進行を制御して電極の幅を変化させることができる。
【0011】
また、この発明にかかる電極形成装置の第1の態様は、上記目的を達成するため、基板を保持する基板保持手段と、前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動し、電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出口から吐出する第1ノズルと、前記第1ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第1光照射部と、前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動し、前記第1ノズルと同一形状の吐出口を有して該吐出口から前記塗布液を吐出する第2ノズルと、前記第2ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第2光照射部とを備え、前記第1光照射部による光の照射条件と、前記第2光照射部による光の照射条件とが互いに異なることを特徴としている。
【0012】
この電極形成装置は、互いに同一形状の第1ノズルおよび第2ノズルを備えている。そして、第1ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第1光照射部と、第2ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第2光照射部との間で照射条件が異なっている。このため、上記した電極形成方法の発明と同様に、幅の異なる電極を、低コストで、しかも優れた生産性で形成することができる。
【0013】
この場合の照射条件としては、例えば、第1ノズルから塗布液が吐出されてから第1光照射部により光照射が開始されるまでの時間と、第2ノズルから塗布液が吐出されてから第2光照射部により光照射が開始されるまでの時間とを異ならせることができる。こうすることで、吐出された塗布液が硬化するまでの時間が異なるので、幅方向の塗布液の広がり量を変化させることができる。
【0014】
より具体的には、基板保持手段に保持された基板に対して、第1ノズルと第1光照射部とが一体的に相対移動する一方、第2ノズルと第2光照射部とが一体的に相対移動するように構成し、しかも、第1ノズルからの塗布液が基板に着液する基板上の着液位置と第1光照射部により光照射される基板上の光照射位置との間の距離と、第2ノズルからの塗布液が基板に着液する基板上の着液位置と第2光照射部により光照射される基板上の光照射位置との間の距離とを互いに異ならせるようにしてもよい。
【0015】
塗布液が吐出されてから光照射が開始されるまでの時間はノズルと光照射部との距離に応じて変化するので、上記構成とすることで、簡単な構成で互いに幅の異なる電極を形成することが可能となる。
【0016】
また、第1光照射部による露光量と、第2光照射部による露光量とが互いに異なるようにしてもよい。この点は上記した電極形成方法の発明と同様である。
【0017】
また、この発明にかかる電極形成装置の第2の態様は、上記目的を達成するため、基板を保持する基板保持手段と、電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出口から吐出するノズルと、前記ノズルを前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動させる移動機構と、前記ノズルから吐出された塗布液に光を照射する光照射部と、前記光照射部による光の照射条件を変更する照射条件変更手段とを備え、前記照射条件変更手段により前記光照射部の照射条件を第1条件に設定した第1動作モードと、前記照射条件変更手段により前記光照射部の照射条件を前記第1条件と異なる第2条件に設定した第2動作モードとを実行することを特徴としている。
【0018】
このように構成された発明では、第1動作モードと第2動作モードとの間で共通のノズルを使用しつつ、これらの動作モード間で光照射条件を変えることで互いに幅の異なる電極を形成することができる。したがって、上記発明と同様に、幅の異なる電極を、低コストで、しかも優れた生産性で形成することができる。また、幅の異なる電極を共通のノズルでの塗布により形成することができるので、コスト低減効果は大きい。
【0019】
例えば、第1動作モードと第2動作モードとの間で、基板に対するノズルの移動方向を異ならせてもよい。こうすることで、互いに交わり、しかも幅の異なる2種類の電極を、共通のノズルを用いた塗布によって形成することができる。
【0020】
この場合において、第1動作モードと第2動作モードとの間で、照射条件として光照射部による露光量を互いに異ならせてもよい。こうすることで、第1動作モードで形成される電極の幅と第2動作モードで形成される電極の幅とを互いに異ならせ、しかもそれらを交わらせることができる。
【0021】
また、ノズルと光照射部とが一体的に基板に対して相対移動するようにし、照射条件変更手段は、ノズルからの塗布液が基板に着液する基板上の着液位置と、光照射部により光照射される基板上の光照射位置との間の距離を、第1動作モードと第2動作モードとの間で互いに異ならせてもよい。こうすることで、前記したように、吐出された塗布液が硬化するまでの時間を両動作モード間で異ならせることができるので、幅方向の塗布液の広がり量を変化させることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかる電極形成方法および電極形成装置によれば、基板に塗布された塗布液に対する光照射条件を異ならせることで、同一形状のノズルを用いて互いに幅の異なる電極を形成することができる。そのため、この発明では、幅の異なる電極を、低コストで、しかも優れた生産性で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明にかかる電極形成装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】ヘッド部の構成をより詳細に示す拡大図である。
【図3】ヘッド部からの塗布液の吐出の様子を模式的に示す図である。
【図4】この装置によって製造される太陽電池モジュールの一例を示す図である。
【図5】第1実施形態の装置による太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【図6】塗布液の広がりと電極のサイズとの関係を模式的に示す図である。
【図7】バス電極形成工程の変形例を示す図である。
【図8】この発明にかかる電極形成装置の第2実施形態を示す図である。
【図9】第2実施形態の装置による太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる電極形成装置の第1実施形態を示す図である。この電極形成装置1は、例えば表面に光電変換層を形成された単結晶シリコンウエハなどの基板W上に導電性を有する電極配線を形成し、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造する装置である。この装置1は、例えば光電変換デバイスの光入射面に集電電極を形成するという用途に好適に使用することができる。
【0025】
この電極形成装置1では、基台11上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台11にはステージ3を跨ぐようにして2組のフレーム121,122が固定され、フレーム121には第1ヘッド部5、フレーム122には第2ヘッド部7がそれぞれ取り付けられる。第2ヘッド部7は、第1ヘッド部5に対して(+X)方向に離隔配置されており、両者の間隔は基板WのX方向長さより広く設定される。
【0026】
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、および、Z方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0027】
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、第1および第2ヘッド部5,7の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。ステージ移動機構2の各モータは制御ユニット6により制御される。
【0028】
第1ヘッド部5は、ベース51の下面に基板W上に液状の塗布液を吐出する吐出ノズル部52、および、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光照射部53を有し、吐出ノズル部52には供給管522が取り付けられる。供給管522は、制御弁524を介して電極材料を含む塗布液を貯留するタンク525に接続される。タンク525には、図示を省略する窒素ガス(N2)供給源からレギュレータ526を介して窒素ガスが導入され、タンク525内の塗布液が一定の圧力に加圧されている。制御ユニット6が制御弁524の開閉を制御することにより、吐出ノズル部52からの塗布液吐出のオン・オフが制御される。
【0029】
光照射部53は、光ファイバ531を介して紫外線を発生する光源ユニット532に接続される。図示を省略しているが、光源ユニット532はその光出射部に開閉自在のシャッターを有しており、その開閉および開度によって出射光のオン・オフおよび光量を制御することができる。光源ユニット532は制御ユニット6により制御されている。
【0030】
同様に、第2ヘッド部7には、ベース72、吐出ノズル部72、光照射部73が設けられ、吐出ノズル部72には供給管724、制御弁724、タンク725、レギュレータ726等が接続されている。また、光照射部73には光ファイバ731および光源ユニット732が接続されている。これらの各構成の機能は、第1ヘッド部5まわりに設けられた対応する各構成のものと同じである。
【0031】
図2はヘッド部の構成をより詳細に示す拡大図である。より詳しくは、図2(a)は第1ヘッド部5を下方から見たときの吐出ノズル部52先端付近を示す図であり、図2(b)は第2ヘッド部7を下方から見たときの吐出ノズル部72先端付近を示す図である。吐出ノズル部52は内部が筒状の空洞になったノズルベース520に、この空洞に連通された吐出口521aを有する筒状の先端ノズル521が複数個(この例では4個であるがこれに限定されない)、Y方向に等間隔に突設された構造となっている。タンク525から供給管522を経由して輸送されてくる塗布液は、先端ノズル521下端の吐出口521aから基板Wに向けて吐出される。図1および図2(a)に示すように、先端ノズル521は、ノズルベース520から(−Z)方向および(+X)方向に延びている。
【0032】
また、光照射部53は、複数の吐出口521aから吐出される塗布液全体に光を照射するために、Y方向サイズがノズルベース520とほぼ同じになっており、その下端は光を集光させるためのレンズ531となっている。
【0033】
図2(b)に示すように、第2ヘッド部7も同様にノズルベース720および先端ノズル721を備えているが、第1ヘッド部5とは以下の点で相違している。まず、第2ヘッド部7では先端ノズル721が1個だけ設けられている。その一方で、下端にレンズ731を設けられた光照射部73は、第1ヘッド部5の光照射部53と同様に幅広に形成されている。また、第1ヘッド部5における先端ノズル521の吐出口521aとレンズ531とのX方向の距離D1に対して、第2ヘッド部7における先端ノズル721の吐出口721aとレンズ731とのX方向の距離D2の方が大きくなるように、ノズルベースと光照射部との位置関係が設定されている。
【0034】
先端ノズル521,721の材質については特に限定されないが、吐出液に対し汚染物質を混入させることがなく、微細加工ができるという点から、例えばシリコンやジルコニアの結晶を用いることができる。ただし、第1ヘッド部5に設けられた複数の先端ノズル521、第2ヘッド部7に設けられた先端ノズル721はいずれも同一形状とされる。このような微細な加工を要する先端ノズルの形状を全て同一とすることにより、先端ノズルの加工コスト、ひいては装置全体のコストを低減することができる。また、それぞれ1つの吐出口を有し同一形状の複数の先端ノズルをノズルベースに着脱可能に取り付けるようにすれば、例えばいずれかの吐出口が塗布液によって目詰まりや損傷を起こした場合、当該先端ノズルのみを交換すればよいので、吐出ノズル部全体を交換するのに比べれば装置のランニングコストの点でも有利である。
【0035】
図3はヘッド部からの塗布液の吐出の様子を模式的に示す図である。ここでは第1ヘッド部5を例にして説明するが、第2ヘッド部7についても同様である。後述するように、この実施形態では、ステージ3に載置された基板Wをステージ移動機構2によりX方向に移動させながら、先端ノズル521の吐出口521aから塗布液を吐出させる。したがって、基板Wに吐出された塗布液A1は、最初に基板に接触する着液位置P1から、基板WとともにX方向(図において右方)に移動してゆく。基板Wに対する走査移動という点では、基板Wを固定し第1ヘッド部5を移動させるようにしても等価であるが、第1ヘッド部5には各種の配管が接続されており、またノズルの振動に起因する吐出量の変動を抑えるという点から、第1ヘッド部5を固定して基板Wを移動させるのが好ましい。
【0036】
基板移動方向において吐出ノズル部52の下流側には光照射部53が設けられており、基板Wに塗布された塗布液A1に対して光L(例えば紫外線)を照射する。基板W上に光Lが照射される光照射位置P2では、塗布液が光硬化性樹脂を含むものであれば、光照射部53からの光照射を受けて硬化が始まる。このようにして、この装置1は基板W上に所定のパターンを形成することができる。
【0037】
図4はこの装置によって製造される太陽電池モジュールの一例を示す図である。この太陽電池モジュールMは、光電変換層を設けられた基板Wの上面(光入射面)に、フィンガー電極Fとバス電極Bとを設けたものである。フィンガー電極Fは、入射光を遮蔽しないように幅を細く、かつ低抵抗とするために厚みを大きく形成された電極であり、多数本が互いに平行に形成される。一方、バス電極Bは、フィンガー電極Fによって集められた電荷を外部に低損失で取り出せるように幅広に、また各フィンガー電極Fに交わるようにして1本または複数本形成される。
【0038】
次に、前述した電極形成装置1により、上記の太陽電池モジュールMを製造する方法について説明する。電極形成装置1においては、フィンガー電極Fおよびバス電極Bの電極材料を含んで調製された塗布液を予めタンク525、725に充填しておき、これを光電変換層を形成された基板Wに塗布することによって、太陽電池モジュールMを製造することが可能である。
【0039】
塗布液としては、導電性および光硬化性を有し、例えば導電性粒子、有機ビヒクル(溶剤、樹脂、増粘剤等の混合物)および光重合開始剤を含むペースト状の混合液を用いることができる。導電性粒子は電極の材料たる例えば銀粉末であり、有機ビヒクルは樹脂材料としてのエチルセルロースと有機溶剤を含む。また、塗布液の粘度は、光照射による硬化処理を実行する前において例えば50Pa・s(パスカル秒)以下で、硬化処理を実行した後は350Pa・s以上になることが好ましい。2つのタンク525、725に充填する塗布液の組成は同じものであってもよく、またそれぞれに組成の異なる塗布液を準備してもよい。
【0040】
図5は第1実施形態の装置による太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。まず最初に、基板Wを装置1内に搬入し、ステージ3に載置する(ステップS101)。そして、ステージ移動機構2を動作させて、基板Wをその右端が第1ヘッド部5の直下近傍位置に来るような所定の描画開始位置(図1における基板Wの位置)へ移動させる(ステップS102)。
【0041】
次いで、基板WをX方向に移動させながら、第1ヘッド部5に設けた吐出ノズル部52および光照射部53からの塗布液吐出および光照射をそれぞれ開始する(ステップS103)。各先端ノズル521から塗布液が吐出されることにより、基板W上には互いに平行な複数(この例では4本)のストライプパターン状に塗布液が塗布される。また、基板移動方向において吐出ノズル部52の下流側に設けた光照射部53から紫外線を照射されることにより、基板W上の塗布液が硬化し、導電性を有する電極が形成される。
【0042】
基板Wの一方端から他方端まで塗布液の塗布および光照射が終了すると、基板Wの全面に電極を形成し終えるまで、描画開始位置に戻って上記動作を必要回数繰り返し行う(ステップS104)。このとき、1回の動作を終えるごとに基板Wの位置をY方向に所定量移動させることで、基板全面にストライプ状のパターンを形成することができる。こうしてフィンガー電極Fが形成される。
【0043】
続いてバス電極Bの形成を行う。フィンガー電極Fの形成が完了した時点では、図1における基板Wの左端が第1ヘッド部5の直下を通過した位置にある。このとき、基板Wの右端が第2ヘッド部7の直下近傍位置に来ているように、2つのフレーム121,122の位置は設定されている。ここで、θ回転機構23を動作させて、基板WをZ軸(鉛直軸)周りに90度回転させる(ステップS105)。
【0044】
そして、再びWをX方向に移動させながら、今度は第2へッド部7に設けた吐出ノズル部72および光照射部73からの塗布液吐出および光照射を行う(ステップS106)。このとき、吐出ノズル部72から吐出された塗布液が基板Wに塗布されるが、先に基板Wが90度回転されているため、基板Wに対する第2ヘッド部7の相対移動方向は、第1ヘッド部5の移動方向とは90度異なっている。そのため、既に基板Wに形成されているフィンガー電極Fと直交するように、新たな塗布が行われる。また、前記したように、第2ヘッド部7では吐出ノズル部72と光照射部73との間隔が第1ヘッド部5よりも大きいため(図2)、塗布液により形成されるパターンの幅はフィンガー電極Fよりも大きくなる。
【0045】
図6は塗布液の広がりと電極のサイズとの関係を模式的に示す図である。ノズルから吐出された直後の塗布液の断面は、図6(a)に実線で示すように、幅W0が小さく高さH0の大きな形状となっている。一方、塗布直後を起点とした時刻tが増加するにつれて、図6に一点鎖線、二点鎖線の順に示すように、塗布液は次第に側方へ広がってゆき、その幅は増加するが高さは減少してゆく。
【0046】
つまり、図6(b)に示すように、塗布直後の塗布液に光照射を行えば、塗布直後の形状のまま塗布液が硬化し、幅W0、高さH0の電極を得ることができる。したがって、幅に対する高さの比、すなわちアスペクト比の高い電極を形成することができる。光照射を行わなければ、時刻tの増加に伴って塗布液の幅が増加する一方、高さが減少し、例えば時刻t1で光照射を行ったとすると、形成される電極の幅W1は塗布直後の初期値W0より大きくなる一方、高さH1は初期値H0よりも小さくなる。
【0047】
言い換えると、塗布液が基板Wに塗布されてから、光照射を行うまでの時間によって、電極の幅および高さを制御することができる。上記したように、フィンガー電極Fには高いアスペクト比が求められるので、ステップS103の塗布工程では塗布液の塗布から光照射までの時間が短いことが望ましい。そこで、この実施形態では、第1ヘッド部5における吐出ノズル部52と光照射部53との距離D1を小さくし、これにより吐出ノズル部52からの塗布液吐出と光照射部53による光照射との時間差を小さくする(第1条件)。
【0048】
これに対して、バス電極Bを形成するステップS106の塗布工程では、電極幅を大きくすることが求められるので、第2ヘッド部7における吐出ノズル部72と光照射部73との距離D2を大きくすることで吐出ノズル部72からの塗布液吐出と光照射部73による光照射との時間差を大きくし(第2条件)、より大きな電極幅を得ることができる。
【0049】
なお、このようにすると十分な電極高さを得られない場合があり得る。このような場合には、例えば吐出ノズル部72からの塗布液の吐出量を多くしたり、ステージ移動機構2による基板Wの移動速度を小さくするようにしてもよい。単位時間当たりの吐出量が一定であれば、基板Wの移動速度を遅くすることで単位移動量当たりの吐出量が大きくなるので、電極の高さを確保することができる。ただしこの場合、塗布から光照射までの時間差がさらに大きくなるので、塗布液が広がりすぎるのを防止するために塗布液の粘度を調整することが好ましい。また、次のようにしてもよい。
【0050】
図7はバス電極形成工程の変形例を示す図である。図7に示すように、第1ヘッド部5(図2(a))と同様に、複数の先端ノズル721を有する吐出ノズル部72aを、第2ヘッド部7に設けるようにしてもよい。そして、基板Wに塗布された塗布液に対する光照射を遅らせることで、各先端ノズル721から吐出されて基板W上で広がった塗布液を互いに接触させて、全体として幅広の電極を得るようにしてもよい。このようにすると、各先端ノズル721から吐出された塗布液の広がりは小さくてよいので、より高さのあるバス電極を形成することが可能である。
【0051】
図5に戻ってフローチャートの説明を続ける。基板Wの一方端から他方端まで塗布液の塗布および光照射が終了すると、基板W上にはフィンガー電極Fに直交する幅広のバス電極Bが1本形成される。基板WのY方向位置を変えながら上記動作を必要回数繰り返し行うことで、必要な本数のバス電極Bを形成することができる(ステップS107)。こうしてバス電極Bが形成される。電極の形成を完了した基板Wについては、装置外へ搬出することで(ステップS108)、太陽電池モジュールMの製造は完了する。
【0052】
以上のように、この実施形態では、幅の狭いフィンガー電極Fと、幅広のバス電極Bとを基板W上で交わらせてなる電極パターンを有する太陽電池モジュールMを製造することが可能である。このとき、基板Wに塗布された塗布液に対する光照射条件、より具体的には、基板Wに塗布液が塗布されてから光照射されるまでの時間を変えることで、形成される電極の幅を制御している。このため、塗布液を吐出する先端ノズルの構造を共通化することができ、装置コストを大きく低減することが可能である。
【0053】
また、基板Wに対する第2ヘッド部7の1回の走査移動で幅の広い電極を形成するので、走査移動の回数が少なくて済み(場合によっては1回でもよい)、製造のスループットを高めることができる。すなわち、この実施形態では、優れた生産性で太陽電池モジュールMを製造することが可能である。
【0054】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態の電極形成装置1では、先端ノズルの形状は共通であるが別体のヘッド部5,7を用いてフィンガー電極F、バス電極Bをそれぞれ形成する。これに対して、次に説明するこの発明にかかる電極形成装置の第2実施形態では、同一のヘッド部を用いて、その使用条件を変えて電極の幅を作り分けることで、幅の異なる2種類のフィンガー電極Fおよびバス電極Bを形成する。
【0055】
図8はこの発明にかかる電極形成装置の第2実施形態を示す図である。この実施形態の電極形成装置1aでは、第1実施形態におけるフレーム121,122に代えて、第3ヘッド部8を取り付けられたフレーム123が設けられている。フレーム123には、吐出ノズル部82および光照射部83が設けられている。
【0056】
第3ヘッド部8は、ベース81の下面に基板W上に液状の塗布液を吐出する吐出ノズル部82、および、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光照射部83を有し、吐出ノズル部82には供給管822が取り付けられる。供給管822は、制御弁824を介して電極材料を含む塗布液を貯留するタンク825に接続される。タンク825には、図示を省略する窒素ガス供給源からレギュレータ826を介して窒素ガスが導入され、タンク825内の塗布液が一定の圧力に加圧されている。制御ユニット6aが制御弁824の開閉を制御することにより、吐出ノズル部82からの塗布液吐出のオン・オフが制御される。
【0057】
光照射部83は、光ファイバ831を介して紫外線を発生する光源ユニット832に接続される。図示を省略しているが、光源ユニット832はその光出射部に開閉自在のシャッターを有しており、その開閉および開度によって出射光のオン・オフおよび光量を制御することができる。光源ユニット832は制御ユニット6aにより制御されている。
【0058】
また、ベース81にはモータプレート84が取り付けられるとともに、モータプレート84には制御ユニット6aにより制御されるモータ86が設けられている。光照射部83はボールねじ機構によって保持されており、ボールねじ機構を構成するボールねじ85はモータ86に結合されている。したがって、制御ユニット6aからの制御指令に応じてモータ86が回転すると、光照射部83がX方向に移動して適宜の位置に位置決めされる。すなわち、この実施形態では、吐出ノズル部82と光照射部83との間隔D3を、制御ユニット6aからの制御指令に応じて可変することができる。
【0059】
上記の点を除く装置の構成や基本的な動作は第1実施形態のものと同一であるので、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。また、第3ヘッド部8における吐出ノズル部82および光照射部83それぞれの構成は、第1実施形態における第1ヘッド部5の吐出ノズル部52および光照射部53と同じである。
【0060】
図9は第2実施形態の装置による太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。フィンガー電極Fを形成し終えるまでの動作(ステップS201〜S204)は、第1実施形態における動作(ステップS101〜S104)と同じである。すなわち、基板Wを装置1aに搬入して描画開始位置にセットした後(ステップS201、S202)、基板WをX方向に移動させながら吐出ノズル部82から塗布液を吐出し光照射部83より光照射を行う。ただし、このとき吐出ノズル部82と光照射部83との間隔D3は最小値に設定されている。
【0061】
フィンガー電極Fの形成が終了すると、この実施形態では、ステージ3を90度回転させた後(ステップS205)、モータ86を動作させて光照射部83を移動させ、吐出ノズル部82との間隔D3を大きくする(ステップS206)。これにより、以後の工程では塗布液が塗布されてから光照射されるまでの時間が長くなる。
【0062】
続いて、基板Wを再び描画開始位置に戻し(ステップS207)、基板WをX方向に移動させながら、吐出ノズル部82から塗布液を吐出させて基板Wに塗布するとともに、光照射部83より光照射を行う(ステップS208)。このとき、吐出ノズル部82と光照射部83との間隔D3が広がっているので、塗布液が基板Wに塗布されてから光照射されるまでの時間が長くなっている。このため、塗布液の広がりも大きくなっている。図7に示したように、隣接する先端ノズルからそれぞれ吐出された塗布液が互いに接触する位置まで広がるように、吐出ノズル部82と光照射部83との間隔D3を設定しておくことで、幅広で厚みのあるバス電極Bを1回の走査移動により形成することができる。
【0063】
これを必要回数繰り返した後(ステップS209)、基板Wを装置外へ搬出することにより、太陽電池モジュールMの製造は完了する。
【0064】
以上のように、この実施形態によっても、図4に示した太陽電池モジュールMを低コストで、しかも優れた生産性で製造することが可能である。この場合、フィンガー電極Fとバス電極Bとを全く同一の1組のヘッド部によって形成しているので、装置コストをより低減することが可能である。
【0065】
<その他>
以上説明したように、上記各実施形態においては、先端ノズル521,721等が本発明の「ノズル」として機能しており、特に、第1実施形態においては、先端ノズル521が「第1ノズル」として機能する一方、先端ノズル721が「第2ノズル」として機能している。また、第1実施形態における光照射部53,73がそれぞれ本発明の「第1光照射部」および「第2光照射部」として機能する一方、第2実施形態における光照射部83が本発明の「光照射部」として機能している。
【0066】
また、上記各実施形態においては、ステージ3が本発明の「基板保持手段」として機能している。また、上記第2実施形態におけるボールねじ85およびモータ86が、本発明の「照射条件変更手段」として機能している。また、ステージ移動機構2が本発明の「移動機構」として機能している。
【0067】
また、上記各実施形態では、フィンガー電極Fを形成する工程(ステップS103、S203)が本発明の「第1工程」および「第1動作モード」に相当する一方、バス電極Bを形成する工程(ステップS106、S208)が本発明の「第2工程」および「第2動作モード」に相当している。
【0068】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態は、フィンガー電極Fとバス電極Bとを直交させた電極を有する太陽電池モジュールMを製造するための装置に本発明を適用したものであるが、本発明の適用対象はこれに限定されず、互いに異なる2種類以上の幅を有する電極を含むものであれば、上記と異なるパターンを形成する目的にも、本発明を適用することが可能である。
【0069】
また、上記各実施形態では、吐出ノズル部と光照射部との距離を変えることによって基板への塗布液の着液位置と光照射位置との距離を変え、これによって光の照射条件のうち塗布から光照射までの時間差を変えることで、形成される電極の幅を制御している。これに代えて、例えば光照射における露光量を変化させることによって電極の幅を制御するようにしてもよい。ここで、露光量は照射光量と照射時間との積であり、これらのパラメータ光硬化性樹脂の硬化速度に影響を与えるから、照射光量および照射時間の一方、または両方によって電極の幅を制御することも可能である。
【0070】
照射光量については、光源ユニットに設けられたシャッターの開閉制御によって調節することが可能である。また、照射時間については、基板Wと光照射部との間の相対速度によって調節することが可能である。速度を遅くすると基板Wが光照射される時間が長くなるが、前記したように、このときノズルからの単位時間当たりの塗布液の吐出量が一定であれば結果的に基板Wへの塗布量も多くなってしまうことになる。電極の幅を大きくするために速度を落とすのであるから、塗布量の増加は電極の厚さを確保することができるという点ではむしろ好都合である。
【0071】
また、光照射部による光の照射方向を変えることによっても着液位置に対する光照射位置を変えることができるので、これにより照射条件を変えて電極の幅を制御するようにしてもよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、4個の先端ノズルを有する吐出ノズル部を設けているが、先端ノズルの数はこれに限定されず任意である。例えば、第1実施形態においては、第1ヘッド部5の先端ノズルの数を第2ヘッド部7と同様に1個のみとしてもよい。逆に、第2ヘッド部7の先端ノズルの数を多くしてもよい。また、第1ヘッド部5に多数の先端ノズルをY方向に並べて、基板全面へのフィンガー電極の形成を1回の走査で行えるようにしてもよい。このようにすれば処理に要する時間を最少にできる。第2実施形態においても、先端ノズルの数を1個にしたり、あるいはより多くしてもよい。
【0073】
また、上記各実施形態では、先端ノズル521等の吐出口521a等が真下ではなく斜め後方に向かって開口するようにしているが、このようにすることは本発明において必須の要件ではなく、吐出口の形状や開口方向は任意である。
【0074】
また、上記各実施形態では基板Wの片面にのみ配線を形成しているが、基板Wの両面に配線を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0075】
また、上記各実施形態ではシリコン基板上に電極配線を形成して太陽電池としての光電変換デバイスを製造しているが、基板はシリコンに限定されるものではない。例えば、ガラス基板上に形成された薄膜太陽電池や、太陽電池以外のデバイスに電極を形成する際にも、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
この発明は、基板、特に太陽電池基板上に電極を形成する方法および装置に適用可能であり、特に幅の異なる電極を同一形状のノズルで形成する場合に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
2 ステージ移動機構(移動機構)
3 ステージ(基板保持手段)
53 光照射部(第1光照射部)
73 光照射部(第2光照射部)
83 光照射部
85 ボールねじ(照射条件変更手段)
86 モータ(照射条件変更手段)
521 先端ノズル(ノズル、第1ノズル)
721 先端ノズル(ノズル、第2ノズル)
S103,S203 第1工程、第1動作モード
S106,S208 第2工程、第2動作モード
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出するノズルを基板に対して第1の方向に相対移動させることで前記塗布液を前記基板に塗布するとともに、前記基板に塗布された前記塗布液を光照射により硬化させることで第1の電極を形成する第1工程と、
前記ノズルと同一形状を有するノズルを前記基板に対して前記第1の方向と異なる第2の方向に相対移動させることで前記塗布液を前記基板に塗布するとともに、前記基板に塗布された前記塗布液を光照射により硬化させることで第2の電極を形成する第2工程と
を備え、
前記第1工程と前記第2工程との間で前記光照射の照射条件を異ならせて、前記第1の電極の幅と前記第2の電極の幅とを異ならせることを特徴とする電極形成方法。
【請求項2】
前記塗布液を前記基板に塗布してから前記光照射を開始するまでの時間を、前記第1工程と前記第2工程とで異ならせる請求項1に記載の電極形成方法。
【請求項3】
前記塗布液が前記基板に着液する前記基板上の着液位置と、前記光照射される前記基板上の光照射位置との距離を、前記第1工程と前記第2工程とで異ならせる請求項2に記載の電極形成方法。
【請求項4】
前記光照射における露光量を、前記第1工程と前記第2工程とで異ならせる請求項1ないし3のいずれかに記載の電極形成方法。
【請求項5】
基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動し、電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出口から吐出する第1ノズルと、
前記第1ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第1光照射部と、
前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動し、前記第1ノズルと同一形状の吐出口を有して該吐出口から前記塗布液を吐出する第2ノズルと、
前記第2ノズルから吐出された塗布液に光を照射する第2光照射部と
を備え、
前記第1光照射部による光の照射条件と、前記第2光照射部による光の照射条件とが互いに異なることを特徴とする電極形成装置。
【請求項6】
前記第1ノズルから前記塗布液が吐出されてから前記第1光照射部により光照射が開始されるまでの時間と、前記第2ノズルから前記塗布液が吐出されてから前記第2光照射部により光照射が開始されるまでの時間とが互いに異なる請求項5に記載の電極形成装置。
【請求項7】
前記基板保持手段に保持された前記基板に対して、前記第1ノズルと前記第1光照射部とが一体的に相対移動する一方、前記基板保持手段に保持された前記基板に対して、前記第2ノズルと前記第2光照射部とが一体的に相対移動し、しかも、
前記第1ノズルからの塗布液が前記基板に着液する前記基板上の着液位置と前記第1光照射部により光照射される前記基板上の光照射位置との間の距離と、前記第2ノズルからの塗布液が前記基板に着液する前記基板上の着液位置と前記第2光照射部により光照射される前記基板上の光照射位置との間の距離とが互いに異なる請求項6に記載の電極形成装置。
【請求項8】
前記第1光照射部による露光量と、前記第2光照射部による露光量とが互いに異なる請求項5ないし7のいずれかに記載の電極形成装置。
【請求項9】
基板を保持する基板保持手段と、
電極材料および光硬化性樹脂を含む塗布液を吐出口から吐出するノズルと、
前記ノズルを前記基板保持手段に保持された前記基板に対して相対移動させる移動機構と、
前記ノズルから吐出された塗布液に光を照射する光照射部と、
前記光照射部による光の照射条件を変更する照射条件変更手段と
を備え、
前記照射条件変更手段により前記光照射部の照射条件を第1条件に設定した第1動作モードと、前記照射条件変更手段により前記光照射部の照射条件を前記第1条件と異なる第2条件に設定した第2動作モードとを実行することを特徴とする電極形成装置。
【請求項10】
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で、前記基板に対する前記ノズルの移動方向を異ならせる請求項9に記載の電極形成装置。
【請求項11】
前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で、前記光照射部による露光量を互いに異ならせる請求項10に記載の電極形成装置。
【請求項12】
前記ノズルと前記光照射部とが一体的に前記基板に対して相対移動し、前記照射条件変更手段は、前記ノズルからの塗布液が前記基板に着液する前記基板上の着液位置と、前記光照射部により光照射される前記基板上の光照射位置との間の距離を、前記第1動作モードと前記第2動作モードとの間で互いに異ならせる請求項9ないし11のいずれかに記載の電極形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−71156(P2011−71156A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218523(P2009−218523)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】