電気光学装置及び電子機器、並びに、指示物体の位置検出方法
【課題】 画像の乱れを防止し、画像表示面上の物体位置検出を高精度に行うことが可能な電気光学装置を提供する。
【解決手段】画像表示面上のある地点を指示する指、ペン先等の物体の位置の検出は、光量検出素子が計測する該画像表示面全体の光量に基づいて行われる。前記画像は、第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する液晶、からなる液晶素子によって表示される。この場合、これら第1及び第2電極間に与えられる電位差の極性は所定の周期で反転させられる(図中“VCOM”は第1及び第2電極のうちの一方の電位の波形を表す。)。そして、前述の位置検出は、前記極性の反転タイミング(K1,K2)における前記光量検出素子の計測結果を除いた計測結果に基づいて、行われる(図中“読出信号”の波形参照)。
【解決手段】画像表示面上のある地点を指示する指、ペン先等の物体の位置の検出は、光量検出素子が計測する該画像表示面全体の光量に基づいて行われる。前記画像は、第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する液晶、からなる液晶素子によって表示される。この場合、これら第1及び第2電極間に与えられる電位差の極性は所定の周期で反転させられる(図中“VCOM”は第1及び第2電極のうちの一方の電位の波形を表す。)。そして、前述の位置検出は、前記極性の反転タイミング(K1,K2)における前記光量検出素子の計測結果を除いた計測結果に基づいて、行われる(図中“読出信号”の波形参照)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるタッチパネルが提供されている。これは、画像表示面におけるユーザの指等の接触位置を検出することを通じて、そのユーザの意思・指令等を当該装置に伝えることの可能な装置である。このタッチパネルは、直感的な操作を許容することから、きわめてユーザフレンドリーな側面をもち、券売機、銀行ATM、カー・ナビゲーションシステム等々の構成要素として広く普及している。
このようなタッチパネルは、通常、液晶表示装置等の、電位あるいは電流の適当な供給を受けることによってその光学的特性が変化する電気光学素子を備えた電気光学装置と一体的な関係をもつ。この電気光学装置は、前述した画像表示面における画像表示機能を担う。
【0003】
以上述べたようなタッチパネル、あるいは電気光学装置としては、例えば以下の特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【特許文献1】特開2004−318819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記液晶表示装置では、いわゆる極性反転駆動が行われる。ここに極性反転駆動とは、例えば一画面分の画像を表示する単位時間である「フレーム期間」ごとに、液晶に印加される電圧の極性を反転させる駆動方法をいう。例えば、(2p+1)番目のフレーム期間(p=0,1,2,…)において、液晶を挟持する一方の電極である第1電極の電位を、他方の電極である第2電極の電位をより高く設定するなら、2p番目のフレーム期間においては、その逆に設定する、などというようである。
このような極性反転駆動は、直流電流が印加されることによって液晶が劣化する等といった事象が発生するのを防止するために行われる。
【0005】
しかしながら、この極性反転駆動と前述のタッチパネルとの組み合わせにおいては、以下の問題がある。
すなわち、極性反転駆動では、その性質上当然に、第1及び第2電極間の電位差の極性が反転するタイミングがある。例えば、第1電極の電位が、V1からV2(>V1)へ変化し、あるいは、V2からV1へ変化する、というタイミングである。
他方、前述のタッチパネルにおける接触位置検出は、例えば指等の指示物体の接触地点における光量の、その他の地点における光量に対する変化を検出する方式等によって行われる。この方式では、画像表示面における前記光量の変化を察知するべく、一定のタイミングに従って、当該画像表示面の全部又は一部についての当該光量をモニタする(これは、一種の“画像読取”とも呼びうる。)。
しかし、このような場合、前記画像読取が行われている最中に、前述の極性反転のタイミングが重なってしまうと、液晶表示装置における表示画像に乱れを生じさせるおそれがある。また、そのような画像の乱れは、本来読み取られるべき光量とは異なる光量の読取が行われるおそれを発生させ、その結果、結局、接触位置検出が正しく行われないおそれも生じる。
なお、以上のような問題点は、タッチパネルにおける接触位置検出が前述した方式以外の方式を採用する場合にも、多かれ少なかれ生じるものと考えられる。
【0006】
前述の特許文献1では、タッチパネルにおいて「高精度に座標検出を行う」べく(特許文献1の〔0004〕)、様々な工夫が提案されているが、中でも、「連続した表示フレーム期間の合間に」、入射光を撮像するための「撮像フレーム期間」を設ける技術(特許文献1の〔請求項11〕、あるいは〔0092〕以降参照)は、上述の観点と若干の関連性があるように思われる。
しかし、この技術の内容は、いま述べたところにほぼ尽きるものであり、ましてや“極性反転駆動”とタッチパネルとの関係について言及するものでは全然ない。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決することの可能な電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる態様の電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法において生起する課題を解決可能な電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する電気光学物質、からなる電気光学素子と、当該電気光学素子によって構成される画像を表示する画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出手段と、当該位置検出手段に含まれ、かつ、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測手段と、を備え、前記位置検出手段は、前記物理量計測手段による前記物理量の計測結果に基づいて、かつ、前記第1及び第2電極間の電位差の極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う。
【0009】
本発明によれば、前述したようなタッチパネルが構成される。すなわち、前記電気光学素子が仮に複数存在するなら、それらによって画像表示面上における画像表示は好適に行われ、かつ、当該画像表示面上に表示されたボタン、スイッチ、あるいはアイコン等々の画像要素に接触した指等の物体の位置は、位置検出手段及びそれに含まれる物理量計測手段の協働によって検出される。なお、本発明において、「物理量」とは、具体的には例えば、前述の例のように「光量値」が該当する場合もあれば、電気光学素子ごとに設けられたコンデンサの「蓄積電荷量」、あるいはそれに基づいて発生する「電流値」が該当する場合もある。前者の場合、「位置検出手段」ないし「物理量計測手段」は、例えば各種の光センサを含み、後者の場合、前記コンデンサ等を含む。「物理量」の具体的態様、あるいはそれに適した「位置検出手段」ないし「物理量計測手段」の具体的形態には、上記の他様々なものが考えられる。
そして、本発明では特に、画像表示面上における物体の位置検出が、前記反転タイミングにおける物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて行われる。したがって、上述した例のように、反転タイミング時と重なった画像読取は行われないか、あるいは仮に行われたとしてもその結果に基づいた位置検出は行われない。
以上から、本発明によれば、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われる。
【0010】
なお、本発明にいう「電気光学装置」は、上述のようにタッチパネルを含む構成を含んでいるので、より正確に言えば、この「電気光学装置」は、“タッチパネル付き画像表示装置”とも言い換えられ得るものである。
【0011】
この発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測がそもそも行われないので、位置検出手段に、当該物理量が供されることがない。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
なお、本態様にいう「2つ」は、「時間的に相前後する」と関連させて読まれるべき用語であることが文理上明らかである。したがって、本態様にいう「2つの反転タイミング」は、典型的には、本発明に係る電気光学装置が極性反転駆動される場合における“反転タイミングの全部”を表象する(より丁寧に言えば、「時間的に相前後する2つの反転タイミング」とは、全反転タイミングの中から任意に選ばれた、連続する2つの反転タイミング、ということである。)。
このことは、本発明において、その他の箇所において使用されている「2つの反転タイミング」(あるいは、「n個の反転タイミング」)なる用語について、同様に妥当する。
【0012】
また、本発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測し、前記位置検出手段は、前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果を無視して、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、ように構成してもよい。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測は行われるものの、位置検出手段は、その検出結果を無視する。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
【0013】
この態様では、前記物理量計測手段は、前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測し、かつ、前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、位置検出手段が、反転タイミング時における物理量の計測結果を無視するというに止まらず、物理量計測手段が、当該反転タイミング時に計測された物理量に代えて、その時以外の時における当該計測領域に関する物理量を改めて計測し、これを位置検出手段に供給することが可能となっている。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
【0014】
また、本発明の電気光学装置では、前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、前記物理量計測手段は、前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、を含み、前記信号線による前記物理量の読み出しは、時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、ように構成してもよい。
この態様によれば、まず、電気光学素子がマトリクス状配列に従って並び、かつ、物理量計測素子が、そのような電気光学素子の所定の個数ごとに対応しているので、典型的には、当該の物理量計測素子も、電気光学素子のマトリクス状配列に応じた、所定のマトリクス状配列に従って並ぶ、という形態が容易に想定される。この場合、例えば、前記の信号線の一部は、これら物理量計測素子について観念可能である行あるいは列に沿い、かつ、行毎あるいは列毎に設けられ得ることになる。また、信号線の他の部分は、その一端が、前記信号線の一部との間に設けられる回路(複数の信号線によって運ばれる複数の信号を適切に捌くために必要な回路等)等に接続されながら、その他端が、当該信号の終局的な処理に適した回路等に接続される、などということになる。
しかし、この場合にいう信号線は、それ自身の寄生容量等をもつので、前記物理量の読み出し(殊に、その“正確な”読み出し)を、比較的短時間の間に行うことには、比較的困難が伴う。というのも、前記寄生容量等の存在により、当該信号線の電位等は読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがあるからである。
本態様は、このような不具合をよりよく解消する。なぜなら、本態様では、物理量の計測が、ある行における一部の物理量計測素子についてのみ行われるようになっているので、その計測時間を比較的長く設定することが可能だからである。これにより、信号線の電位等が安定状態に達している可能性が高まるのである(このような利点は、同じ時間で、全部の物理量計測素子についての計測を一挙に行ってしまう場合を想定すると、より明瞭に認識される。)。
このように、本態様によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な物理量を取得することが可能となる。
【0015】
なお、電気光学素子が「マトリクス状配列」に従って並んでいるとしても、上述した例とは異なって、物理量計測素子が「マトリクス状配列」に従って並んでいるとは言い難い具体的形態もあり得るが、本態様は、そのような場合を積極的に排除する意図はない。そのような場合であっても、物理量計測素子による計測結果を読み出すために、何らかの意味における「信号線」の存在が要請される以上は、本態様の構成によって、前述したのと同様の作用効果が奏されることに何ら変わりはないからである。
また、上述の構成では、例えば仮に、2個の反転タイミングが観念される(即ち、n=2)として、1番目の反転タイミングの後には、1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われることになるが、2番目の反転タイミングの後には、“残る”1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われるということにしておくのが好ましい。これによれば、当該行における全部の物理量計測素子についての読み出しが効率的に行われる。この点についての、より具体化された形態は、後述する第2実施形態においても触れる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、前記物理量を計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、画像を表示しない領域に対応する電気光学素子を駆動するタイミングの時に物理量が計測されるので、結局、反転タイミングの時を避けた物理量の計測が可能になる。当該のタイミングの時は、通常、本発明にいう「極性の反転」は行われないからである。
したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏されるほか、位置検出にあたって必要となる物理量の全計測結果の、より迅速な取得・確保が可能になるという利点も得られる。
【0017】
また、本発明の電気光学装置では、前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、前記電位の極性の反転は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、ように構成してもよい。
この態様は、いわゆるライン反転駆動を行う電気光学装置に対して、好適に適用可能である。
【0018】
また、本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した各種の電気光学装置を備える。
本発明の電子機器は、上述した各種の電気光学装置を備えてなる、即ち、反転タイミングにおいて計測された物理量の計測結果を除いた計測結果に基づいて、物体の位置検出が行われるようになっているので、より高品質な画像が表示され、あるいは、当該位置検出がより精度高く行われる。
【0019】
一方、本発明に係る指示物体の位置検出方法は、上述した課題を解決するため、画像を表示する画像表示面上のある地点を指示する物体の、当該画像表示面上における位置を検出する指示物体の位置検出方法であって、前記画像を構成する電気光学素子を構成する第1及び第2電極間に挟持された電気光学物質の光学的特性を変化させるため、これら第1及び第2電極間に所定の電位差を与える電位設定工程と、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測工程と、前記物理量計測工程による前記物理量の計測結果に基づいて、前記画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出工程と、を含み、前記電位設定工程は、前記第1及び第2電極間の電位差の極性を反転させる極性反転工程を含み、前記位置検出工程は、前記極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う工程を含んでいる。
【0020】
本発明によれば、上述した本発明に係る電気光学装置によって奏された作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏される。あるいは、本発明に係る方法は、前記電気光学装置を運用するに当たって、最も好適な運用方法の1つを提供する。
【0021】
この発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する工程、を含む、ように構成してもよい。
【0022】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測する工程、を含み、前記位置検出工程では、前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果が無視されて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出が行われる、ように構成してもよい。
この態様では、前記物理量計測工程は、前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、ように構成してもよい。
【0023】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、前記物理量計測工程は、前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、を用いて行われ、前記信号線による前記物理量の読み出しは、時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、ように構成してもよい。
【0024】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、行われる、ように構成してもよい。
【0025】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、前記極性反転工程は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、ように構成してもよい。
【0026】
以上述べた、本発明に係る方法についての各種の態様のそれぞれによれば、前述した本発明に係る電気光学装置についての各種態様のそれぞれに関して述べた作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下では、本発明に係る第1の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1及び図2に加え、以下で参照する各図面においては、図3、図11に示すタイミングチャート上の曲線の大きさないし縮尺等も含めて、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
第1実施形態に係る電気光学装置1は、図1に示すように、液晶素子(電気光学素子)8、走査線3、データ線6、走査線駆動回路31、及びデータ線駆動回路61、等を備える。
【0028】
このうち液晶素子8は、図2に詳しく示されるように、画素電極13、対向電極5、蓄積容量70、及びスイッチングトランジスタTrから構成される。
画素電極13は、図示しない素子基板上でマトリクス状配列に従って並ぶ(図1参照)。1個1個の画素電極13は、例えば平面視して矩形状、長円形状等をもつ。
このようにマトリクス状に配列される画素電極13のうち、各行に並ぶ画素電極13は、当該各行に配設される走査線3に共通接続される一方、各列に並ぶ画素電極13は、当該各列に配設されるデータ線6に共通接続される(図2等参照)。スイッチングトランジスタTrは、これら走査線3及びデータ線6と画素電極13との間に設けられている。このスイッチングトランジスタTrは、走査線3に供給される選択信号に応じて、ON状態及びOFF状態間を遷移する。画素電極13は、スイッチングトランジスタTrがON状態にあるときに、データ線6を介して供給される画像信号の供給を受ける。
なお、図2に示す蓄積容量70は、当該画像信号のレベルに応じた電荷を蓄積する。また、データ線6に供給されるべき画像信号の有無及び内容、あるいは供給タイミング等は、データ線駆動回路61によって司られる。同様にして、走査線3に供給されるべき選択信号の供給タイミング等は、走査線駆動回路31によって司られる。
【0029】
対向電極5は、前記画素電極13の形成領域の全部を覆うような矩形状をもつ(即ち、この対向電極5は、あたかも素子基板の全面を覆うかのような形状をもつ。)。つまり、対向電極5は、全画素電極13に対して共通の、1個の電極として機能する。この対向電極5は、例えば前記画素電極13が形成される素子基板に対向する対向基板上に形成される。
そして、この対向電極5及び前記画素電極13間には、液晶層LQが挟持される。液晶層LQとしては、例えばOCB(Optically Compensated Bend)モードなど高速に応答する液晶が好適に採用される。
【0030】
以上の構成により、液晶層LQは、各画素電極13と対向電極5との間に印加される電位差に応じて配向状態が変化する。これにより、図示しない照明装置からの出射光のうち観察側に透過する光量の割合(透過率)は画素電極13ごとに制御される。
このようなことから、電気光学装置1では、所望の意味内容をもつ画像が表示可能である。図1に示す符号“7a”は、その画像が表示されるべき概ねの領域を表している。以下、これを“画像表示面7a”と呼ぶことにする(この画像表示面7aの大きさは、全画素電極13の形成領域、あるいは対向電極5の形成領域にほぼ一致する、ともいえる。なお、第1実施形態において、“画像表示面7a”とは、より実際的には、ユーザの指等の物理的な接触を許容する面である。そのような面は、例えば、対向電極5が形成されるガラス板たる前記対向基板、当該対向基板に重ねられた偏光板、当該偏光板に更に重ねられた保護用ガラス板、当該保護用ガラス板に形成された適当な保護膜、等々の「表面」が、より具体的な意味において該当することになる。)。
なお、第1実施形態では特に、上述した、画素電極13及び対向電極5間に電位を印加する場合において、その極性が一定期間ごとに反転させられるが、この点については後に説明する。
【0031】
以上のほか、第1実施形態に係る電気光学装置1は特に、図1に示すように、光量検出素子(物理量計測素子)50、センサ用走査線駆動回路301、及び受光信号読出回路601を備える。
【0032】
光量検出素子50は、液晶素子8から出射する光、あるいは、電気光学装置1の外部から入射する光の有無及びその程度を計測する。具体的には例えば、フォトダイオード等が好適に用いられる。この光量検出素子50は、図1、あるいは図2に示すように、前述した液晶素子8が3個あるごとに、1個の割合で設けられる。前述のように、画素電極13がマトリクス状配列に従って並べられている(前述の説明から明らかなように、これは、液晶素子8そのものがマトリクス状配列に従って並べられている、とも言い換えられ得る)ため、光量検出素子50もまた、当該マトリクス状配列とは態様が若干異なるものの、同種のマトリクス状配列に従って並ぶ(図1参照)。
【0033】
第1実施形態では、このように、3個の液晶素子8と、1個の光量検出素子50とによって、いわば1個の単位的構成が形作られる。なお、3個の液晶素子8は、例えば図示しないカラーフィルタ等が設けられることによって、それぞれ、赤色、緑色、及び青色発光用として用いられ得る。図2に示す符号“8R”、“8G”及び“8B”は、かかる事情を表現している(なお、第1実施形態及び図面における符号“8”は、これら符号“8R”、“8G”及び“8B”の全部をまとめて総称する符号として用いられている。)。このような3色に対応した液晶素子8の集合(図1、あるいは図2中符号P参照)を一単位として扱うことによって、第1実施形態では、カラー画像表示が可能である。
【0034】
このような光量検出素子50は、図1、あるいは図2に示すように、そのマトリクス状配列中の行方向に沿って延在するセンサ用走査線30に接続されている。センサ用走査線駆動回路301は、このセンサ用走査線30を通じて、各行に位置する光量検出素子50の駆動タイミングを、その行毎に司る。光量検出素子50はまた、そのマトリクス状配列中の列方向に沿って延在するセンサ用信号線60に接続されている。光量検出素子50が計測した光量は、このセンサ用信号線60を介して、受光信号読出回路601に供給される。
なお、図1等に示す、符号50を付した四角い箱(即ち、「光量検出素子50」)は、検出した光量を変換した電気信号を好適に整形するための回路等その他の必要な回路を含み得ることを表象する。
【0035】
最後に、制御回路Cは、電気光学装置1全体を調和的に動作させるための制御を行う。より具体的には、例えば図1に示すように、制御回路Cは、走査線駆動回路31及びデータ線駆動回路61、並びに、センサ用走査線駆動回路301及び受光信号読出回路601に、クロック信号、各種の制御信号を供給する。また、制御回路Cは、データ線駆動回路61に前記画像信号を供給し、あるいは、受光信号読出回路601から読み出された光量データの供給を受ける。
これにより、制御回路Cは、例えば、走査線駆動回路31を通じて、行毎の、かつ、線順次による各液晶素子8の選択を行い、あるいは、データ線駆動回路61を通じて、選択された液晶素子8に対する適時のタイミングにおける画像信号の供給、等々を行う。
【0036】
また、第1実施形態においては特に、この制御回路Cは、画素電極13及び対向電極5間に印加される電位についての極性反転駆動に関する制御を行う。また、制御回路Cの内部には、物体位置検出回路C1が内蔵されている。この物体位置検出回路C1は、前記光量データの内容に基づいて、前述した画像表示面7aに接触した、ユーザの指、ペン先等の物体の、当該画像表示面7a上における位置を検出する。これに関する、より詳細な処理内容については、後に改めて述べる。
【0037】
なお、本発明にいう「位置検出手段」の一具体化例は、前述した、光量検出素子50、あるいは、これを駆動し又はその光量計測結果を読み出すための構成(即ち、受光信号読出回路601等)、画像表示面7a、及び、前記制御回路C等によって構成される。
【0038】
以下では、上に述べた第1実施形態に係る電気光学装置1の作用、即ちその動作の一例について、既に参照した図1及び図2に加えて、図3乃至図6を参照しながら説明する。
まず、核心的内容に入る前に、画素電極13及び対向電極5間の電位差に関する極性反転駆動について説明する。第1実施形態において、制御回路Cは、画素電極13及び対向電極5間の電位差の極性を、所定の期間ごとに反転させる。
ここにいう「所定の期間」は、例えば、走査線3のうちの1本が、前記選択信号によって選択されている期間、等を基礎として決定される。すなわち、より詳細に説明すれば次のようである。まず、1フレーム期間の開始が、図3に示すように、スタートパルスSPによって画される。そうすると、以後、走査線3が例えば図1中上から順に1本ずつ選択されていく。この場合においては、例えば、最初の1本の走査線3が選択されているときには、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも高く、次の1本の走査線3が選択されている場合は、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも低い、というように、各電極(13,5)の電位が設定される。要するに、この場合、奇数本目の走査線3が選択されているときは、画素電極13の電位がより高く、偶数本目の走査線3が選択されているときは、対向電極5の電位がより高い、ということになる。
【0039】
いずれにせよ、このような極性反転駆動が行われると、液晶層LQの劣化の進行を極力防止することが可能になる。そして、第1実施形態において特に着目するのは、かかる極性反転駆動を行う場合、必然的に、図3中上から2段目のタイミングチャートに付した破線矢印の各ポイント(例えば、符号“K1”、“K2”参照)に示されるように、電位の「反転タイミング」が生じてしまう点である(この点に関しては後に改めて述べる。)。
【0040】
なお、図3中上から2段目のタイミングチャートは、対向電極5の電位VCOM(以下、これを「共通電位VCOM」という。)の反転、ないし遷移の様子だけを描いている。画素電極13の電位は、この共通電位VCOMの反転に応じて、適宜、適当な電位をとることになる(なお、画素電極13の電位は、勿論、画像信号の内容にも応ずることはいうまでもない。)。
また、前記において、“1フレーム”とは、最初の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に前記画像信号が供給された時から、最後の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に画像信号が供給される時までの期間を意味する用語として使用した(この場合、1フレームとは、画像表示面7aに、1個の、まとまった内容を持つ画像が表示され得る期間、にほぼ同義である。)。この1フレームの長さは、具体的には例えば、図3に示すように、周波数表現でいって“60Hz”等と定められる。
【0041】
以上の前提の下、第1実施形態では、画像表示面7aの物体の位置検出に係る基本的処理が、次のように行われる。
まず、図4に示すように、基準画像の取得が行われる(図4のステップS101)。ここで「基準画像」とは、後述する対象画像の比較対象として予め取得される画像であって、その全面が基本的に一定不動の光量によって規定される画像を意味する。具体的には例えば、ユーザの指等が画像表示面7aに接触するおそれが殆どない、電気光学装置1の電源投入直後等の時間等が選ばれて、この基準画像の取得は行われる。
【0042】
続いて、図5に示すように、指等の物体位置検出処理が行われる。この処理は、まず、「対象画像」の読出しによって開始する(図5のステップS201)。この対象画像の読出し処理は、第1実施形態に係る特徴的処理を含むが、この点については、後に改めて述べる。なお、対象画像の読出処理、あるいは前述した基準画像の取得処理はいずれも、前記した光量検出素子50、受光信号読出回路601等を用いて行われる。
【0043】
次に、当該の対象画像と、前述した基準画像との差分データが演算される(図5のステップS202)。この差分データの演算、及び、すぐ後から述べられる物体位置検出処理は、前記した制御回路C、あるいは物体位置検出回路C1において行われる。なお、このような処理をより好適に可能とするため、制御回路C内等には、読み出された対象画像あるいは基準画像を一定期間以上、記憶可能な記憶装置が備えられているとよい。
【0044】
次に、この差分データに基づいて、ユーザの指等の物体位置検出が行われる(図5のステップS203)。ここで、この差分データのより具体的な内容は、例えば図6を参照することによって視覚的に把握される。
すなわち、図6においては、画像表示面7a上のある一点にユーザの指Fが接触している様子が描かれている。この場合、その指Fの接触地点には、影SWが形成される。あるいは、この指Fの表面において、液晶素子8からの出射光が適当に反射し、散乱する。いずれにせよ、指Fの接触によって、このような現象が生じる結果、その接触地点における光量は、その他の部分の領域の光量とは異なることになる。
ここで、既に述べた基準画像は、例えば図6の影SW等がない画像として用意されるので、上記にいう差分データとは結局、影SW等のみが抽出されたかのような画像を構成するものとして算出されることになる。また、この場合、当該影SW等の画像表示面7a上における位置の把握は比較的容易に行われることが明らかである(図6中の符号“Xf”及び“Yf”参照)。
なお、以上の指Fの接触位置を検出する処理の際においては、例えば図6に併せて示すように、画像表示面7a上に、様々なメッセージMや、ボタンBt1,Bt2等の画像要素を適宜表示しておくことが可能である。
以上のようにして、第1実施形態に係る電気光学装置1によれば、画像表示面7a上における指Fの位置検出が行われることになる。
【0045】
以上の基本的処理において、第1実施形態では特に、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図7に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図7のステップS301)。つまり、既に図3を参照して指摘した、破線矢印の各ポイントに示される「反転タイミング」が生じたか否かが判断されるのである(なお、図3における破線矢印は、図示されているところからも明らかなように、すべての反転タイミングを指し示しているわけではない。)。すぐ後から述べる「画像読出処理」は、この判断を待ってから行われるので、結局、その「画像読出処理」は、反転タイミングを避けるようにして行われることになる。
【0046】
次に、共通電位VCOMの極性反転が生じた場合(図7のステップS301;YES)、1ライン分の画像読出処理が行われる(図7のステップS302)。
すなわち、図3に示すように、センサ用走査線駆動回路301が、第i行(iは、正の整数であって、液晶素子8の行数を超えない数。図1あるいは図2参照)に関するセンサ用駆動信号を発することで、当該第i行に位置する光量検出素子50を駆動する。これにより、センサ用信号線60は、当該光量検出素子50が受光し且つ適宜変換した、光量に応じた電気信号、あるいは光量データ(図1参照)の供給を受ける。受光信号読出回路601は、かかる電気信号ないし光量データを読出し、これを制御回路Cに供給する。
この場合、図7のステップS303は、当該第i行に位置する光量検出素子50全部に関する読出しが完了したかどうかを常にモニタすることを意味している(図7のステップS302及びS303は、そのような意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理である。)。
【0047】
なお、図3に示す第i行に関する読出信号の波形例は、例えば、当該第i行、かつ、任意のある1列と交差する部分に位置する、1個の光量検出素子50(図1参照)由来の読出信号、ないし光量データの波形の例を代表的に表している。このことは、図3の最下段、即ち第(i+1)行に関する読出信号の波形例、あるいは、後述する第2実施形態において説明する、図11に示す読出信号の波形例についても同様である。
【0048】
以上の処理は、全ラインについての、画像読出し処理が終了するまでは繰り返し行われる(図7のステップS304)。例えば図3に示すように、第i行に位置する光量検出素子50に関する読出し処理の契機となった反転タイミングK1に続く、反転タイミングK2が生じた後には、第(i+1)行に位置する光量検出素子50に関する読出し処理が行われる、というようである。
【0049】
以上のような処理により、第1実施形態では、次のような効果が奏される。すなわち、第1実施形態では、上の説明からも明らかなように、光量検出素子50を用いた対象画像の読出し処理は、反転タイミングの時を避けるように、あるいは反転タイミング以外の時間を利用して行われるようになっている。
仮に、そのような処理とは反対に、反転タイミングの時に、それに重なって画像読出し処理を行ってしまう場合を想定すると、そのような場合においては、本願発明者は、表示画像に乱れを生じさせるおそれが非常に高くなることを確認している。そして、このような画像の乱れが生じると、読み出される光量データが、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映していないおそれが生じることになり、したがって、前述した物体位置検出処理も正確に行われないおそれが生じてくる。
【0050】
しかるに、第1実施形態では、前述のように、光量データは、反転タイミングを避けるようにして読み出されるので、前述した差分データ演算処理(図5のステップS202)、あるいは物体位置検出処理(図5のステップS203)において、反転タイミング時に読み出された光量データ、あるいは、その時に取得された対象画像が利用されることはない。
以上により、第1実施形態によれば、画像の乱れ等が生じるおそれが極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0051】
<第2実施形態>
以下では、本発明に係る第2の実施の形態について図8乃至図11を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
【0052】
まず、第2実施形態では、図8に示すように、光量検出素子50が、12個の液晶素子8につき1個ずつ設けられる。ただし、12個の液晶素子8中、その1セット(図8中符号P参照)を構成する3個の液晶素子8の配列態様は、第1実施形態と変わりなく、図中左から順に、赤色、緑色及び青色発光用の液晶素子8R,8G,及び8Bが並ぶ。12個の液晶素子8の全体は、このセットが、縦に2個、横に2個並んだ配列態様を持つ。なお、図示から明らかなように、この場合も、第1実施形態と同様、光量検出素子50は所定のマトリクス状配列に従って並ぶ。
このように、第2実施形態では、12個の液晶素子8と、1個の光量検出素子50とによって、いわば1個の単位的構成が形作られる。
【0053】
第2実施形態では、このような単位的構成が、図9に示すように、図中左右方向に120個、上下方向に120個、並ぶ(したがって当然、光量検出素子50も、同じく、120個、120個で並ぶ)。図8との対応から言えば、3個の液晶素子8からなる前記の1セット(あるいは、“ピクセル”と呼ぶことも可能である)の数は、図中左右方向に240個、上下方向に240個であり、1個の液晶素子8を一単位とすれば、その数は、同じく、1440個、480個、ということになる(ただし、いずれも図9では不図示)。
【0054】
そして、第2実施形態では、図9に示すように、受光信号読出回路601の内部に、10個のマルチプレクサ610−1〜610−10が備えられている(なお、図1と対比して、受光信号読出回路601の図示の位置が、天地逆になっていることに注意。)。
このマルチプレクサ610には、センサ用信号線60が接続されるが、その接続態様は、図示の通りである。一例を挙げて説明すれば、例えば、図中一番左のマルチプレクサ610−1には、まず、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51のそれぞれに接続されたセンサ用信号線60が接続される。また、これらのセンサ用信号線60にスイッチを介して接続される他のセンサ用信号線60を介して、マルチプレクサ610−1には、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111のそれぞれもまた接続される。この結果、図9の構成では、ある時点においては、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51からの光量データが取得可能である一方、他の時点では、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111からの光量データが取得可能となっている。そして、このようにして取得された光量データの各々は、適宜、外部信号線60Aを介して、マルチプレクサ610−1から制御回路Cへと供給される。
他のマルチプレクサ610−2,3,…,10についても、図示の通り、マルチプレクサ610−1と同様である。
【0055】
以上により結局、図9の構成では、ある時点においては光量検出素子50−1,2,…,60由来の光量データ、他の時点においては光量検出素子50−61,62,…,120由来の光量データ、というように、ある1時点においては、1ライン上に位置する光量検出素子50のうち、その1/2個分の光量検出素子50由来の光量データが取得可能となっている。
【0056】
以上の構成を土台として、第2実施形態では、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図10に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図10のステップS401)。その意義は、前述した図7のステップS301に関して述べたのと同様である。
【0057】
次に、共通電位VCOMの極性反転が生じた場合(図10のステップS401;YES)、1/2ライン分の画像読出処理が行われる(図10のステップS402)。ここで、「1/2ライン分の画像読出処理」とは、既に図9を参照して説明したところから明らかなように、光量検出素子50−1,2,…,60由来の光量データの取得が行われることを意味する。
なお、かかる光量データの取得が、反転タイミング以外の時間で行われることは勿論、図10のステップS402及びS403が、図7のステップS302及びS303と同様な意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理であること等は、上記第1実施形態と同様である(この点については、すぐ後に述べる図10のステップS405及びS406についても同じ。)。
【0058】
次に、前記「1/2ライン分の画像読出処理」が終了したら、再び、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図10のステップS404)。そして、これが肯定される場合は、「残る」1/2ライン分の画像読出処理が行われる(図10のステップS405)。ここで、「残る」1/2ライン分の画像読出処理とは、光量検出素子50−61,62,…,120由来の光量データの取得が行われることを意味する。
【0059】
以上の処理は、全ラインについての、画像読出し処理が終了するまでは繰り返し行われる(図10のステップS407)。
【0060】
以上のような処理により、第2実施形態では、次のような効果が奏される。
まず、この第2実施形態によっても、対象画像の読出が、上記第1実施形態と同様、反転タイミングを避けるようにして行われていることについて何ら変わりはないはから、第1実施形態によって奏された効果と本質的に異ならない効果が奏されることは明白である。つまり、第2実施形態によっても、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0061】
加えて、第2実施形態では特に、以下のような効果も奏される。
まず、前述した、図10のステップS402、あるいはステップS405における処理では、「1/2ライン分」という相違はあるものの、基本的には図3と同様に、第i行、第(i+1)行、等々に関するセンサ用駆動信号と、それを契機とした当該第i行、第(i+1)行、等々に位置する光量検出素子50に関する光量データの読出しが行われる。
ただ、図3における読出信号に関する波形は、一種の理想形として描かれている。このような場合であれば、読み出された光量データが十分に信頼に足るものであるかどうかということは殆ど問題にならない。というのも、当該波形(あるいは、光量データ)は、瞬時にして、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映しているはずだからであり、また、反転タイミングK1及びK2間の時間のどこをとっても基本的に一定の値が返されることになるからである。
しかし、より現実的な光量データに関する読出波形は、例えば図11に示すように、読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがある。これは、センサ用信号線60自身、あるいは外部信号線60A自身が、寄生容量等をもつためである。このような現実的波形を図3の場合に当てはめてみると、現実の状況を正確に反映した光量データが取得されないおそれが出てくることになる。なぜなら、反転タイミングK1及びK2間という比較的限られた時間内では、センサ用信号線60等の電位等が、例えば図11に示すようなA点にまでしか上昇しない、ということが生じ得るからである。
このような問題は、光量検出素子50の配列が従うマトリクス状配列が大きくなればなる程、より深刻になるといえる。なぜなら、そのような場合、センサ用信号線60はより長くなってしまう可能性が大きいからである。
【0062】
第2実施形態は、このような不具合をよりよく克服している。なぜなら、第2実施形態では、図11の反転タイミングK3及びK4間というような、予め定められた比較的短時間の1回のチャンスにおいて取得すべき光量データのいわば絶対量が、予め制限されているからである。ここで“制限”とは、上述した、「1/2ライン分」を意味することは言うまでもない。つまり、第2実施形態では、光量データの取得が、前記チャンスにおいて、ある行における1/2個分の光量検出素子50についてのみ行われるようになっているので、そのような比較的短い時間の間でも、センサ用信号線60等の電位等が十分に安定状態に達することが可能であり、したがって、より正確な光量データの取得可能性計が高まるのである(図11の符号“Z”参照)。このような利点は、同じ時間で、全部の光量検出素子50についての光量データの取得及び処理を一挙に行ってしまう場合を想定すると、より明瞭に認識される。
このように、第2実施形態によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な光量データを取得することが可能となるのである。
【0063】
なお、図9に示した、光量検出素子50の個数、あるいはマルチプレクサ610の個数等は、単なる一例を示しているに過ぎない。
また、図9に示した光量データを読み出すための構成もまた、単なる一例を示しているに過ぎない。複数の光量検出素子50から、光量データを、整序されたかたち(例えば、ある1個の光量データに対応する光量検出素子50はどれであるか等がきっちりと把握される状態等)で、比較的迅速に読み出すための具体的回路構成は、その他にも様々考えられ得るところであるが、本発明は、それがどのようなものであったとしても、基本的に、その採用可能性を否定しない。
【0064】
さらに、上述では、時間的に相前後する反転タイミング間たる期間、2個を利用して、前者で、1/2ライン分の、後者で残り1/2ライン分の画像読出処理を行っているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、場合によっては、時間点に相前後する4個の反転タイミングL1,L2,L3及びL4があるとして、L1及びL2間で1/3ライン分の、L2及びL3間で次の1/3ライン分の、L3及びL4間で残る1/3ライン分の画像読出し処理が行われるようにしてもよい。
【0065】
<第3実施形態>
以下では、本発明に係る第3の実施の形態について図12を参照しながら説明する。なお、第3実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
【0066】
第3実施形態では、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図12に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、前述の第1及び第2実施形態とは異なって、いわば素直に、1ライン分の画像読出処理に着手する(図12のステップS503)。この点、両実施形態では、最初に、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かの判断(図7のステップS301、あるいは図10のステップS401)を行っていた点とは異なる。
【0067】
これに続いて、制御回路Cは、前記処理と一体的に、あるいは同時並行的に、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断しながら(図12のステップS504)、かつ、それが否定される場合には(図12のステップS504;NO)、第i行に位置する光量検出素子50全部に関する読出しが完了したかどうかをモニタする(図12のステップS505)。これらのステップに係る処理の関係は、前述した、図7のステップS302及びS303、あるいは、図10のステップS405及びS406、等の場合と同様である。
【0068】
このような処理の最中、共通電位VCOMに関する極性反転が生じた場合には(図12のステップS504;YES)、その時点で現に実行中である1ライン分の画像読出処理が中断される(図12のステップS507)。そして、制御回路Cは、その中断時点において画像読出の対象であった第i行のラインを、改めて、画像読出しの対象ラインとして設定した上(図12のステップS508)、再び、当該第i行のラインに関する1ライン分の画像読出処理を行う(図12のステップS503)。つまり、第3実施形態においては、当該第i行のラインについての光量データが、新たに、取得し直されるようになっているのである。そして、この、改めての光量データ取得中、共通電位VCOMの反転が行われない限り(図12のステップS504参照)、結果的には首尾よく、反転タイミングの時点を避けた当該第i行に関する光量データが取得されることになる。
なお、ここまでの説明から明らかなように、本発明にいう「計測領域」は、この第3実施形態において、“1本のセンサ用走査線30に連なる光量検出素子50”を一単位として規定される。より簡単にいえば、1個の「計測領域」は、いわばライン1本分の領域、である。
【0069】
以上のような処理により、第3実施形態では、次のような効果が奏される。
すなわち、この第3実施形態では、対象画像の読出が、反転タイミングを避けるようにして行われているわけではない。むしろ、この第3実施形態においては、画像読出処理中に、反転タイミングの時点が到来し得ることは、いわば織り込み済みである。
しかしながら、第3実施形態では、そのような時点において取得された光量データが、そのまま、物体位置検出処理(図5のステップS203)を行うにあたっては使用されない。なぜなら、上述の、図12のステップS507及びS508の処理についての説明からも明らかなように、そのような時点において取得された光量データは、いわば廃棄、あるいは無視されるようになっているからである。そして、第3実施形態では、その代わりに、そのような障害のあった1ライン分の画像読出し処理が改めて行われ、それにより得られた新たな光量データが物体位置検出処理に供されるようになっているのである。
【0070】
以上の説明からわかるように、この第3実施形態によっても、結果的には、第1実施形態によって奏された効果と本質的に異ならない効果が奏されることは明白である。つまり、第3実施形態によっても、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0071】
なお、上述においては、1ライン分の画像読取処理の最中に反転タイミングが訪れた場合に、改めて、同じラインに関する画像読取処理(図12のステップS508参照)を行っているが、場合によっては、この再度の画像読取処理は省略可能である。仮に当該の1ライン分の対象画像に係る情報が欠損しているとしても、物体位置検出の精度上は、特に問題がない場合も考えられるからである。この場合における処理の流れは、例えば図12でいうと、ステップS507からステップS506へと直接に移行するようなものを考えることができ、これによれば、対象画像取得処理の簡略化、迅速等が実現される。
もっとも、このような態様に比べて、上述の第3実施形態の方が、物体位置の高精度検出により優位であることは疑いない。
【0072】
<変形例>
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る電気光学装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記各実施形態では、例えば図3に示した反転タイミングK1及びK2間の時間というように、もっぱら(=上記第1及び第2実施形態)あるいは主に(=上記第3実施形態)、連続する反転タイミングの合間の時間を利用して、対象画像を読出し、あるいは光量データを取得する例について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば図13に示すように、対象画像読出し処理は、画像表示面7aの一部に画像を表示しない領域(以下、「非表示領域」という。)が含まれる場合において、当該非表示領域に対応する液晶素子8を駆動すべきタイミングの時(以下、「非表示時」という。)に行われるようになっていてもよい(図13のステップS601からS602への流れ、参照)。この非表示領域では、液晶素子8を実質的に駆動する必要がないため、通常、図3等に示した極性反転駆動が行われることはない(つまり、暫くの間、共通電位VCOMが、0又は1に張り付いた状態に維持される。)。したがって、このような処理によっても、反転タイミングの時を避けた光量データの取得が可能である。
そして、このような形態と上記各実施形態とを併せ実施する形態によれば、反転タイミング間等の時間のみならず、前記非表示時においても、光量データの取得処理が行われることになるから、物体位置検出にあたって必要となる光量データの全計測結果(例えば、1画面分の光量データ)の、より迅速な取得・確保・処理が可能になるという利点が得られる。
【0073】
なお、このような変形例の場合、非表示領域が存在する以上、通常は、画像表示面7aの全面についての光量データの取得が必要となるわけではない。そのような場合は、本発明にいう「画像表示面の…一部に関する所定の物理量を計測する」場合の一例に該当する、と考えることができる。ただし、ここにいう「一部に関する所定の物理量」の計測という文言は、画像表示面7aの全面に画像は表示されている(即ち、非表示領域は存在しない)が、物体位置検出は当該画像表示面7aの限れた領域についてだけ行われればよい、という場合における、「一部」計測をも含意し得る。
【0074】
(2) 上記各実施形態では、光量検出素子50による光量データの取得、及び、それに基づく物体位置検出が行われているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
画像表示面7a上に接触した物体の位置検出方式(即ち、タッチパネルを実現する方式)としては、例えば、静電容量式、SAW(Surface Acoustic Wave)式、電磁誘導式、光検出式、等々様々な方式がある。このうち、例えば静電容量式では、画像表示面に物体が接触したかどうかに応じて、当該画像表示面内で例えばマトリクス状に配列されるコンデンサが蓄積する電荷に変化が生じる(当該コンデンサは、例えば2枚の島状電極が対向する構造を含む場合、あるいは、2本の長尺電極が交差する部分によって構築される場合、等々の具体的態様をとり得る。)。したがって、この場合、本発明にいう「物理量」には、例えば、“当該コンデンサに蓄積され又は当該コンデンサから放出される電荷に基づく電流量”、等が該当することになる。なお、上記各実施形態においては、この「物理量」には、「光量」が含まれることはいうまでもない。
このように、本発明は、基本的には、物体位置検出の方式について限定されることがない。
【0075】
(3) 上記各実施形態では、極性反転駆動の例として、いわゆるライン反転駆動の場合だけを説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
本発明は、その他にも、1フレーム期間を極性反転周期の基準とするフレーム反転駆動の場合に当然適用可能である。
あるいは、液晶素子8の1個1個、又は前述したピクセル(図2、あるいは図8に示した液晶素子8R,8G,8Bの1セット)の1個1個、あるいは場合により、図8を参照して説明したような単位的構成(即ち、12個の液晶素子8)の1個1個、等々、要するに、1個の液晶素子8を基底的な基準として極性反転を行う、ドット反転駆動の場合にも、本発明は適用可能である。
【0076】
(4) 上記各実施形態における光量検出素子50の配列態様は、単なる一例を示しているに過ぎない。例えば極端な例としては、液晶素子8の1個につき、1個ずつ光量検出素子50が設けられてもよい。また、光量検出素子50は、必ずしも、全体としてマトリクス状配列に従って並べられている必要はない。
【0077】
(5) 上記各実施形態では、差分データを求めるために、単純に、「基準画像−対象画像」という演算を行っているが(図5参照)、本発明は、かかる形態に限定されない。例えばより好ましくは、以下のような処理を行うことが考えられる。
すなわち、第1に、基準画像として、共通電位VCOMが0の場合と1の場合の両者に対応する、2種類の「基準画像(0)」及び「基準画像(1)」を取得しておく(図4参照)。第2に、図5のステップS201によって取得された対象画像、あるいは光量データを、共通電位VCOMが0のときに取得されたものか、あるいは、1のときに取得されたものか、に従って区分けする(図3等参照)。そして第3に、図5のステップS202に係る処理において、共通電位VCOM=0のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(0)」を基準として用い、VCOM=1のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(1)」を基準として用いる。つまり、前者及び後者の光量データを仮に、「対象画像(0)」及び「対象画像(1)」と名付けるとすれば、前者の場合は「基準画像(0)-対象画像(0)」、後者の場合は「基準画像(1)-対象画像(1)」、を行って差分データを求める、ということである。
【0078】
このような処理を行えば、共通電位VCOMのレベルの相違が画像を構成する光量に与える影響の相違に配慮した、より高精度の物体位置検出が行われ得る。例えば仮に、前記でいう「基準画像(0)」だけを予め用意し、これだけを用いて差分データを求める(即ち、共通電位VCOM=1のときの対象画像(1)に関する差分データも、「基準画像(0)−対象画像(1)」として求める)のでは、図6の影SW等の抽出等がうまくいかないおそれがあるのである。
上述した、2種の基準画像(0)及び(1)を用意しておく措置は、対象画像と基準画像の取得条件、あるいはそれらの背景事情を統一しておく、という意味合いをもつことから、このような不具合は好適に回避される。
【0079】
(6) 上述した、第1及び第2実施形態では、対象画像の読出し処理の開始が、共通電位VCOMの反転の有無にかからしめられている(図7のステップS301、図10のステップS401及びステップS404、参照)。この場合、極性反転駆動が、制御回路Cによって司られている以上、“共通電位VCOMの極性が反転したかどうか”は、基本的には、制御回路Cそれ自身が、極性反転に係る指令を発したかどうかを、自身で確認すればよい、と一応はいえる。つまり、当該指令の発令タイミングが、即ち「反転タイミング」、と考えてよい。
しかし、実際上は、何らかの電極を所定の電位に設定するにあたっては、前記第2実施形態で説明したような、当該電極自体がもつ寄生容量の影響を考慮する必要がある。すなわち、共通電位VCOMの反転においても、図3中上から2段目に示すような瞬時の応答が期待できるのはむしろ稀で、図11を参照して説明したような、緩やかな電位の上昇あるいは下降を伴う、いわば緩慢な反転が繰り返される、といった事象が発生する可能性が大きいのである。殊に、対向電極5は、既述のように、全画素電極13の形成領域を覆うような比較的広大な面積をもつ電極であるから、それがもつ寄生容量は、図11の前提であるセンサ用信号線60等がもつ寄生容量に比べても遥かに大きく、したがって、上述した不具合の発生する可能性は更に大きいといえる。そして、このような場合、そうした、いわば反転途上の状態に基づく光量データが取得されるおそれ、即ち、一定の不正確さを内在させる光量データが取得されるおそれが大きくなる。
そこで、上記第1及び第2実施形態においては、“共通電位VCOMの極性が反転したか”という判断を、“共通電位VCOMの反転後の電位は安定したか”という判断に置き換えると、より好ましい。この場合においては、制御回路Cが発した前記指令の発令タイミングを「反転タイミング」と同視することはできないので、例えば、対向電極5の電位をモニタする共通電位検出回路を新たに設け、制御回路Cは、その出力結果を参照することにより前記判断を行うようにするとよい。
このような形態によれば、前述した各種の効果はより実効的に奏されることになる。
【0080】
なお、上記第3実施形態では、極性反転があろうとなかろうと対象画像の読出し処理を行うので(図12参照)、上述した事項は基本的にはあてはまらない。また、共通電位VCOMの反転が開始されれば、それだけで同処理を中断する(図12のステップS507参照)のがむしろ好ましいともいえるので、第3実施形態においては、極性反転に係る指令の発令タイミング=「反転タイミング」、とする考え方に従っている方が好ましいともいえる。
とはいえ、第3実施形態においても、図12のステップS504における判断処理に、上述したような考え方を適用する余地がないわけではなく、本発明は、そのような場合を積極的に排除する意図までは有しない(どちらの考え方をとるにせよ、第3実施形態では、中断された画像読出処理が再度実行されるので、然程大きな違いは生じないとも言える。)。
【0081】
(7) 上述した、第2実施形態では、時間的に相前後する2つの反転タイミング間の期間を利用した1/2ライン分の画像読出処理が行われているが、この第2実施形態の趣旨は、上述した第3実施形態の趣旨と必ずしも背反しない。例えば、第3実施形態のように、極性反転の有無に関わらず画像読出処理を行うことを通常状態としながらも、1個の反転タイミング間の期間では、基本的に、1/2ライン分の画像読出処理を行う、といった処理を実施することは不可能でない。
このような意味において、上述した第2及び第3実施形態は並存可能である。また、同様の意味で、第1及び第3実施形態も並存可能である。
【0082】
<応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図14ないし図16には、以上に説明した実施形態に係る液晶表示装置を採用した電子機器の形態が図示されている。
【0083】
図14は、液晶表示装置を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する液晶表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0084】
図15は、液晶表示装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する液晶表示装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、液晶表示装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0085】
図16は、液晶表示装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する液晶表示装置100とを備える。複数の操作ボタン4001を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が液晶表示装置100に表示される。
【0086】
本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図14から図16に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電気光学装置を構成する液晶素子及び光量検出素子の等価回路の図である。
【図3】対向電極の極性反転及びその反転タイミング間における画像読出しの様子を表すタイミングチャートである。
【図4】基準画像を取得する処理(初期化処理)に係るフローチャートである。
【図5】画像表示面上の物体の位置を検出するための処理に係るフローチャートである。
【図6】画像表示面上にユーザの指が接触する様子、及びそれに伴って形成される影の様子等を示す図である。
【図7】図5に示す対象画像読出し処理(ステップS201)の、より詳細な内容を表すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係り、液晶素子及び光量検出素子の配列態様の一例を示す図である。
【図9】図8に示す光量検出素子から光量データを読み出すための回路構成を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図11】図3と同趣旨の図であって、特に、読出信号の波形が時間の経過に伴って次第に上昇する挙動をあらわす場合の例を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態の一変形例に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図14】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1……電気光学装置、7a……画像表示面、8(8R,8G,8B)……液晶素子、13……画素電極、5……対向電極、LQ……液晶層、3……走査線、6……データ線、31……走査線駆動回路、61……データ線駆動回路、50(50−1,2,…,14400)……光量検出素子、30……センサ用走査線、60……センサ用信号線、301……センサ用走査線駆動回路、601……受光信号読出回路、610(610−1,2,…,10)……マルチプレクサ、C……制御回路、C1……物体位置検出回路、F……指、SW……影、K1,K2,K3,K4……反転タイミング
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるタッチパネルが提供されている。これは、画像表示面におけるユーザの指等の接触位置を検出することを通じて、そのユーザの意思・指令等を当該装置に伝えることの可能な装置である。このタッチパネルは、直感的な操作を許容することから、きわめてユーザフレンドリーな側面をもち、券売機、銀行ATM、カー・ナビゲーションシステム等々の構成要素として広く普及している。
このようなタッチパネルは、通常、液晶表示装置等の、電位あるいは電流の適当な供給を受けることによってその光学的特性が変化する電気光学素子を備えた電気光学装置と一体的な関係をもつ。この電気光学装置は、前述した画像表示面における画像表示機能を担う。
【0003】
以上述べたようなタッチパネル、あるいは電気光学装置としては、例えば以下の特許文献1に開示されているようなものが知られている。
【特許文献1】特開2004−318819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記液晶表示装置では、いわゆる極性反転駆動が行われる。ここに極性反転駆動とは、例えば一画面分の画像を表示する単位時間である「フレーム期間」ごとに、液晶に印加される電圧の極性を反転させる駆動方法をいう。例えば、(2p+1)番目のフレーム期間(p=0,1,2,…)において、液晶を挟持する一方の電極である第1電極の電位を、他方の電極である第2電極の電位をより高く設定するなら、2p番目のフレーム期間においては、その逆に設定する、などというようである。
このような極性反転駆動は、直流電流が印加されることによって液晶が劣化する等といった事象が発生するのを防止するために行われる。
【0005】
しかしながら、この極性反転駆動と前述のタッチパネルとの組み合わせにおいては、以下の問題がある。
すなわち、極性反転駆動では、その性質上当然に、第1及び第2電極間の電位差の極性が反転するタイミングがある。例えば、第1電極の電位が、V1からV2(>V1)へ変化し、あるいは、V2からV1へ変化する、というタイミングである。
他方、前述のタッチパネルにおける接触位置検出は、例えば指等の指示物体の接触地点における光量の、その他の地点における光量に対する変化を検出する方式等によって行われる。この方式では、画像表示面における前記光量の変化を察知するべく、一定のタイミングに従って、当該画像表示面の全部又は一部についての当該光量をモニタする(これは、一種の“画像読取”とも呼びうる。)。
しかし、このような場合、前記画像読取が行われている最中に、前述の極性反転のタイミングが重なってしまうと、液晶表示装置における表示画像に乱れを生じさせるおそれがある。また、そのような画像の乱れは、本来読み取られるべき光量とは異なる光量の読取が行われるおそれを発生させ、その結果、結局、接触位置検出が正しく行われないおそれも生じる。
なお、以上のような問題点は、タッチパネルにおける接触位置検出が前述した方式以外の方式を採用する場合にも、多かれ少なかれ生じるものと考えられる。
【0006】
前述の特許文献1では、タッチパネルにおいて「高精度に座標検出を行う」べく(特許文献1の〔0004〕)、様々な工夫が提案されているが、中でも、「連続した表示フレーム期間の合間に」、入射光を撮像するための「撮像フレーム期間」を設ける技術(特許文献1の〔請求項11〕、あるいは〔0092〕以降参照)は、上述の観点と若干の関連性があるように思われる。
しかし、この技術の内容は、いま述べたところにほぼ尽きるものであり、ましてや“極性反転駆動”とタッチパネルとの関係について言及するものでは全然ない。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決することの可能な電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる態様の電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法において生起する課題を解決可能な電気光学装置及び電子機器、並びに指示物体の位置検出方法を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気光学装置は、上述した課題を解決するため、第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する電気光学物質、からなる電気光学素子と、当該電気光学素子によって構成される画像を表示する画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出手段と、当該位置検出手段に含まれ、かつ、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測手段と、を備え、前記位置検出手段は、前記物理量計測手段による前記物理量の計測結果に基づいて、かつ、前記第1及び第2電極間の電位差の極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う。
【0009】
本発明によれば、前述したようなタッチパネルが構成される。すなわち、前記電気光学素子が仮に複数存在するなら、それらによって画像表示面上における画像表示は好適に行われ、かつ、当該画像表示面上に表示されたボタン、スイッチ、あるいはアイコン等々の画像要素に接触した指等の物体の位置は、位置検出手段及びそれに含まれる物理量計測手段の協働によって検出される。なお、本発明において、「物理量」とは、具体的には例えば、前述の例のように「光量値」が該当する場合もあれば、電気光学素子ごとに設けられたコンデンサの「蓄積電荷量」、あるいはそれに基づいて発生する「電流値」が該当する場合もある。前者の場合、「位置検出手段」ないし「物理量計測手段」は、例えば各種の光センサを含み、後者の場合、前記コンデンサ等を含む。「物理量」の具体的態様、あるいはそれに適した「位置検出手段」ないし「物理量計測手段」の具体的形態には、上記の他様々なものが考えられる。
そして、本発明では特に、画像表示面上における物体の位置検出が、前記反転タイミングにおける物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて行われる。したがって、上述した例のように、反転タイミング時と重なった画像読取は行われないか、あるいは仮に行われたとしてもその結果に基づいた位置検出は行われない。
以上から、本発明によれば、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われる。
【0010】
なお、本発明にいう「電気光学装置」は、上述のようにタッチパネルを含む構成を含んでいるので、より正確に言えば、この「電気光学装置」は、“タッチパネル付き画像表示装置”とも言い換えられ得るものである。
【0011】
この発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測がそもそも行われないので、位置検出手段に、当該物理量が供されることがない。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
なお、本態様にいう「2つ」は、「時間的に相前後する」と関連させて読まれるべき用語であることが文理上明らかである。したがって、本態様にいう「2つの反転タイミング」は、典型的には、本発明に係る電気光学装置が極性反転駆動される場合における“反転タイミングの全部”を表象する(より丁寧に言えば、「時間的に相前後する2つの反転タイミング」とは、全反転タイミングの中から任意に選ばれた、連続する2つの反転タイミング、ということである。)。
このことは、本発明において、その他の箇所において使用されている「2つの反転タイミング」(あるいは、「n個の反転タイミング」)なる用語について、同様に妥当する。
【0012】
また、本発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測し、前記位置検出手段は、前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果を無視して、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、ように構成してもよい。
この態様によれば、反転タイミング時における物理量の計測は行われるものの、位置検出手段は、その検出結果を無視する。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
【0013】
この態様では、前記物理量計測手段は、前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測し、かつ、前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、位置検出手段が、反転タイミング時における物理量の計測結果を無視するというに止まらず、物理量計測手段が、当該反転タイミング時に計測された物理量に代えて、その時以外の時における当該計測領域に関する物理量を改めて計測し、これを位置検出手段に供給することが可能となっている。したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏される。
【0014】
また、本発明の電気光学装置では、前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、前記物理量計測手段は、前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、を含み、前記信号線による前記物理量の読み出しは、時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、ように構成してもよい。
この態様によれば、まず、電気光学素子がマトリクス状配列に従って並び、かつ、物理量計測素子が、そのような電気光学素子の所定の個数ごとに対応しているので、典型的には、当該の物理量計測素子も、電気光学素子のマトリクス状配列に応じた、所定のマトリクス状配列に従って並ぶ、という形態が容易に想定される。この場合、例えば、前記の信号線の一部は、これら物理量計測素子について観念可能である行あるいは列に沿い、かつ、行毎あるいは列毎に設けられ得ることになる。また、信号線の他の部分は、その一端が、前記信号線の一部との間に設けられる回路(複数の信号線によって運ばれる複数の信号を適切に捌くために必要な回路等)等に接続されながら、その他端が、当該信号の終局的な処理に適した回路等に接続される、などということになる。
しかし、この場合にいう信号線は、それ自身の寄生容量等をもつので、前記物理量の読み出し(殊に、その“正確な”読み出し)を、比較的短時間の間に行うことには、比較的困難が伴う。というのも、前記寄生容量等の存在により、当該信号線の電位等は読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがあるからである。
本態様は、このような不具合をよりよく解消する。なぜなら、本態様では、物理量の計測が、ある行における一部の物理量計測素子についてのみ行われるようになっているので、その計測時間を比較的長く設定することが可能だからである。これにより、信号線の電位等が安定状態に達している可能性が高まるのである(このような利点は、同じ時間で、全部の物理量計測素子についての計測を一挙に行ってしまう場合を想定すると、より明瞭に認識される。)。
このように、本態様によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な物理量を取得することが可能となる。
【0015】
なお、電気光学素子が「マトリクス状配列」に従って並んでいるとしても、上述した例とは異なって、物理量計測素子が「マトリクス状配列」に従って並んでいるとは言い難い具体的形態もあり得るが、本態様は、そのような場合を積極的に排除する意図はない。そのような場合であっても、物理量計測素子による計測結果を読み出すために、何らかの意味における「信号線」の存在が要請される以上は、本態様の構成によって、前述したのと同様の作用効果が奏されることに何ら変わりはないからである。
また、上述の構成では、例えば仮に、2個の反転タイミングが観念される(即ち、n=2)として、1番目の反転タイミングの後には、1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われることになるが、2番目の反転タイミングの後には、“残る”1/2個分の物理量計測素子についての読み出しが行われるということにしておくのが好ましい。これによれば、当該行における全部の物理量計測素子についての読み出しが効率的に行われる。この点についての、より具体化された形態は、後述する第2実施形態においても触れる。
【0016】
また、本発明の電気光学装置では、前記物理量計測手段は、前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、前記物理量を計測する、ように構成してもよい。
この態様によれば、画像を表示しない領域に対応する電気光学素子を駆動するタイミングの時に物理量が計測されるので、結局、反転タイミングの時を避けた物理量の計測が可能になる。当該のタイミングの時は、通常、本発明にいう「極性の反転」は行われないからである。
したがって、本態様によれば、前述した本発明に係る効果が、より実効的に奏されるほか、位置検出にあたって必要となる物理量の全計測結果の、より迅速な取得・確保が可能になるという利点も得られる。
【0017】
また、本発明の電気光学装置では、前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、前記電位の極性の反転は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、ように構成してもよい。
この態様は、いわゆるライン反転駆動を行う電気光学装置に対して、好適に適用可能である。
【0018】
また、本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した各種の電気光学装置を備える。
本発明の電子機器は、上述した各種の電気光学装置を備えてなる、即ち、反転タイミングにおいて計測された物理量の計測結果を除いた計測結果に基づいて、物体の位置検出が行われるようになっているので、より高品質な画像が表示され、あるいは、当該位置検出がより精度高く行われる。
【0019】
一方、本発明に係る指示物体の位置検出方法は、上述した課題を解決するため、画像を表示する画像表示面上のある地点を指示する物体の、当該画像表示面上における位置を検出する指示物体の位置検出方法であって、前記画像を構成する電気光学素子を構成する第1及び第2電極間に挟持された電気光学物質の光学的特性を変化させるため、これら第1及び第2電極間に所定の電位差を与える電位設定工程と、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測工程と、前記物理量計測工程による前記物理量の計測結果に基づいて、前記画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出工程と、を含み、前記電位設定工程は、前記第1及び第2電極間の電位差の極性を反転させる極性反転工程を含み、前記位置検出工程は、前記極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う工程を含んでいる。
【0020】
本発明によれば、上述した本発明に係る電気光学装置によって奏された作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏される。あるいは、本発明に係る方法は、前記電気光学装置を運用するに当たって、最も好適な運用方法の1つを提供する。
【0021】
この発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する工程、を含む、ように構成してもよい。
【0022】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測する工程、を含み、前記位置検出工程では、前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果が無視されて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出が行われる、ように構成してもよい。
この態様では、前記物理量計測工程は、前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、ように構成してもよい。
【0023】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、前記物理量計測工程は、前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、を用いて行われ、前記信号線による前記物理量の読み出しは、時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、ように構成してもよい。
【0024】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記物理量計測工程は、前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、行われる、ように構成してもよい。
【0025】
また、本発明の指示物体の位置検出方法では、前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、前記極性反転工程は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、ように構成してもよい。
【0026】
以上述べた、本発明に係る方法についての各種の態様のそれぞれによれば、前述した本発明に係る電気光学装置についての各種態様のそれぞれに関して述べた作用効果と本質的に異ならない作用効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施形態>
以下では、本発明に係る第1の実施の形態について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1及び図2に加え、以下で参照する各図面においては、図3、図11に示すタイミングチャート上の曲線の大きさないし縮尺等も含めて、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
第1実施形態に係る電気光学装置1は、図1に示すように、液晶素子(電気光学素子)8、走査線3、データ線6、走査線駆動回路31、及びデータ線駆動回路61、等を備える。
【0028】
このうち液晶素子8は、図2に詳しく示されるように、画素電極13、対向電極5、蓄積容量70、及びスイッチングトランジスタTrから構成される。
画素電極13は、図示しない素子基板上でマトリクス状配列に従って並ぶ(図1参照)。1個1個の画素電極13は、例えば平面視して矩形状、長円形状等をもつ。
このようにマトリクス状に配列される画素電極13のうち、各行に並ぶ画素電極13は、当該各行に配設される走査線3に共通接続される一方、各列に並ぶ画素電極13は、当該各列に配設されるデータ線6に共通接続される(図2等参照)。スイッチングトランジスタTrは、これら走査線3及びデータ線6と画素電極13との間に設けられている。このスイッチングトランジスタTrは、走査線3に供給される選択信号に応じて、ON状態及びOFF状態間を遷移する。画素電極13は、スイッチングトランジスタTrがON状態にあるときに、データ線6を介して供給される画像信号の供給を受ける。
なお、図2に示す蓄積容量70は、当該画像信号のレベルに応じた電荷を蓄積する。また、データ線6に供給されるべき画像信号の有無及び内容、あるいは供給タイミング等は、データ線駆動回路61によって司られる。同様にして、走査線3に供給されるべき選択信号の供給タイミング等は、走査線駆動回路31によって司られる。
【0029】
対向電極5は、前記画素電極13の形成領域の全部を覆うような矩形状をもつ(即ち、この対向電極5は、あたかも素子基板の全面を覆うかのような形状をもつ。)。つまり、対向電極5は、全画素電極13に対して共通の、1個の電極として機能する。この対向電極5は、例えば前記画素電極13が形成される素子基板に対向する対向基板上に形成される。
そして、この対向電極5及び前記画素電極13間には、液晶層LQが挟持される。液晶層LQとしては、例えばOCB(Optically Compensated Bend)モードなど高速に応答する液晶が好適に採用される。
【0030】
以上の構成により、液晶層LQは、各画素電極13と対向電極5との間に印加される電位差に応じて配向状態が変化する。これにより、図示しない照明装置からの出射光のうち観察側に透過する光量の割合(透過率)は画素電極13ごとに制御される。
このようなことから、電気光学装置1では、所望の意味内容をもつ画像が表示可能である。図1に示す符号“7a”は、その画像が表示されるべき概ねの領域を表している。以下、これを“画像表示面7a”と呼ぶことにする(この画像表示面7aの大きさは、全画素電極13の形成領域、あるいは対向電極5の形成領域にほぼ一致する、ともいえる。なお、第1実施形態において、“画像表示面7a”とは、より実際的には、ユーザの指等の物理的な接触を許容する面である。そのような面は、例えば、対向電極5が形成されるガラス板たる前記対向基板、当該対向基板に重ねられた偏光板、当該偏光板に更に重ねられた保護用ガラス板、当該保護用ガラス板に形成された適当な保護膜、等々の「表面」が、より具体的な意味において該当することになる。)。
なお、第1実施形態では特に、上述した、画素電極13及び対向電極5間に電位を印加する場合において、その極性が一定期間ごとに反転させられるが、この点については後に説明する。
【0031】
以上のほか、第1実施形態に係る電気光学装置1は特に、図1に示すように、光量検出素子(物理量計測素子)50、センサ用走査線駆動回路301、及び受光信号読出回路601を備える。
【0032】
光量検出素子50は、液晶素子8から出射する光、あるいは、電気光学装置1の外部から入射する光の有無及びその程度を計測する。具体的には例えば、フォトダイオード等が好適に用いられる。この光量検出素子50は、図1、あるいは図2に示すように、前述した液晶素子8が3個あるごとに、1個の割合で設けられる。前述のように、画素電極13がマトリクス状配列に従って並べられている(前述の説明から明らかなように、これは、液晶素子8そのものがマトリクス状配列に従って並べられている、とも言い換えられ得る)ため、光量検出素子50もまた、当該マトリクス状配列とは態様が若干異なるものの、同種のマトリクス状配列に従って並ぶ(図1参照)。
【0033】
第1実施形態では、このように、3個の液晶素子8と、1個の光量検出素子50とによって、いわば1個の単位的構成が形作られる。なお、3個の液晶素子8は、例えば図示しないカラーフィルタ等が設けられることによって、それぞれ、赤色、緑色、及び青色発光用として用いられ得る。図2に示す符号“8R”、“8G”及び“8B”は、かかる事情を表現している(なお、第1実施形態及び図面における符号“8”は、これら符号“8R”、“8G”及び“8B”の全部をまとめて総称する符号として用いられている。)。このような3色に対応した液晶素子8の集合(図1、あるいは図2中符号P参照)を一単位として扱うことによって、第1実施形態では、カラー画像表示が可能である。
【0034】
このような光量検出素子50は、図1、あるいは図2に示すように、そのマトリクス状配列中の行方向に沿って延在するセンサ用走査線30に接続されている。センサ用走査線駆動回路301は、このセンサ用走査線30を通じて、各行に位置する光量検出素子50の駆動タイミングを、その行毎に司る。光量検出素子50はまた、そのマトリクス状配列中の列方向に沿って延在するセンサ用信号線60に接続されている。光量検出素子50が計測した光量は、このセンサ用信号線60を介して、受光信号読出回路601に供給される。
なお、図1等に示す、符号50を付した四角い箱(即ち、「光量検出素子50」)は、検出した光量を変換した電気信号を好適に整形するための回路等その他の必要な回路を含み得ることを表象する。
【0035】
最後に、制御回路Cは、電気光学装置1全体を調和的に動作させるための制御を行う。より具体的には、例えば図1に示すように、制御回路Cは、走査線駆動回路31及びデータ線駆動回路61、並びに、センサ用走査線駆動回路301及び受光信号読出回路601に、クロック信号、各種の制御信号を供給する。また、制御回路Cは、データ線駆動回路61に前記画像信号を供給し、あるいは、受光信号読出回路601から読み出された光量データの供給を受ける。
これにより、制御回路Cは、例えば、走査線駆動回路31を通じて、行毎の、かつ、線順次による各液晶素子8の選択を行い、あるいは、データ線駆動回路61を通じて、選択された液晶素子8に対する適時のタイミングにおける画像信号の供給、等々を行う。
【0036】
また、第1実施形態においては特に、この制御回路Cは、画素電極13及び対向電極5間に印加される電位についての極性反転駆動に関する制御を行う。また、制御回路Cの内部には、物体位置検出回路C1が内蔵されている。この物体位置検出回路C1は、前記光量データの内容に基づいて、前述した画像表示面7aに接触した、ユーザの指、ペン先等の物体の、当該画像表示面7a上における位置を検出する。これに関する、より詳細な処理内容については、後に改めて述べる。
【0037】
なお、本発明にいう「位置検出手段」の一具体化例は、前述した、光量検出素子50、あるいは、これを駆動し又はその光量計測結果を読み出すための構成(即ち、受光信号読出回路601等)、画像表示面7a、及び、前記制御回路C等によって構成される。
【0038】
以下では、上に述べた第1実施形態に係る電気光学装置1の作用、即ちその動作の一例について、既に参照した図1及び図2に加えて、図3乃至図6を参照しながら説明する。
まず、核心的内容に入る前に、画素電極13及び対向電極5間の電位差に関する極性反転駆動について説明する。第1実施形態において、制御回路Cは、画素電極13及び対向電極5間の電位差の極性を、所定の期間ごとに反転させる。
ここにいう「所定の期間」は、例えば、走査線3のうちの1本が、前記選択信号によって選択されている期間、等を基礎として決定される。すなわち、より詳細に説明すれば次のようである。まず、1フレーム期間の開始が、図3に示すように、スタートパルスSPによって画される。そうすると、以後、走査線3が例えば図1中上から順に1本ずつ選択されていく。この場合においては、例えば、最初の1本の走査線3が選択されているときには、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも高く、次の1本の走査線3が選択されている場合は、画素電極13の電位が対向電極5のそれよりも低い、というように、各電極(13,5)の電位が設定される。要するに、この場合、奇数本目の走査線3が選択されているときは、画素電極13の電位がより高く、偶数本目の走査線3が選択されているときは、対向電極5の電位がより高い、ということになる。
【0039】
いずれにせよ、このような極性反転駆動が行われると、液晶層LQの劣化の進行を極力防止することが可能になる。そして、第1実施形態において特に着目するのは、かかる極性反転駆動を行う場合、必然的に、図3中上から2段目のタイミングチャートに付した破線矢印の各ポイント(例えば、符号“K1”、“K2”参照)に示されるように、電位の「反転タイミング」が生じてしまう点である(この点に関しては後に改めて述べる。)。
【0040】
なお、図3中上から2段目のタイミングチャートは、対向電極5の電位VCOM(以下、これを「共通電位VCOM」という。)の反転、ないし遷移の様子だけを描いている。画素電極13の電位は、この共通電位VCOMの反転に応じて、適宜、適当な電位をとることになる(なお、画素電極13の電位は、勿論、画像信号の内容にも応ずることはいうまでもない。)。
また、前記において、“1フレーム”とは、最初の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に前記画像信号が供給された時から、最後の走査線3が選択されて、これに対応する各画素電極13に画像信号が供給される時までの期間を意味する用語として使用した(この場合、1フレームとは、画像表示面7aに、1個の、まとまった内容を持つ画像が表示され得る期間、にほぼ同義である。)。この1フレームの長さは、具体的には例えば、図3に示すように、周波数表現でいって“60Hz”等と定められる。
【0041】
以上の前提の下、第1実施形態では、画像表示面7aの物体の位置検出に係る基本的処理が、次のように行われる。
まず、図4に示すように、基準画像の取得が行われる(図4のステップS101)。ここで「基準画像」とは、後述する対象画像の比較対象として予め取得される画像であって、その全面が基本的に一定不動の光量によって規定される画像を意味する。具体的には例えば、ユーザの指等が画像表示面7aに接触するおそれが殆どない、電気光学装置1の電源投入直後等の時間等が選ばれて、この基準画像の取得は行われる。
【0042】
続いて、図5に示すように、指等の物体位置検出処理が行われる。この処理は、まず、「対象画像」の読出しによって開始する(図5のステップS201)。この対象画像の読出し処理は、第1実施形態に係る特徴的処理を含むが、この点については、後に改めて述べる。なお、対象画像の読出処理、あるいは前述した基準画像の取得処理はいずれも、前記した光量検出素子50、受光信号読出回路601等を用いて行われる。
【0043】
次に、当該の対象画像と、前述した基準画像との差分データが演算される(図5のステップS202)。この差分データの演算、及び、すぐ後から述べられる物体位置検出処理は、前記した制御回路C、あるいは物体位置検出回路C1において行われる。なお、このような処理をより好適に可能とするため、制御回路C内等には、読み出された対象画像あるいは基準画像を一定期間以上、記憶可能な記憶装置が備えられているとよい。
【0044】
次に、この差分データに基づいて、ユーザの指等の物体位置検出が行われる(図5のステップS203)。ここで、この差分データのより具体的な内容は、例えば図6を参照することによって視覚的に把握される。
すなわち、図6においては、画像表示面7a上のある一点にユーザの指Fが接触している様子が描かれている。この場合、その指Fの接触地点には、影SWが形成される。あるいは、この指Fの表面において、液晶素子8からの出射光が適当に反射し、散乱する。いずれにせよ、指Fの接触によって、このような現象が生じる結果、その接触地点における光量は、その他の部分の領域の光量とは異なることになる。
ここで、既に述べた基準画像は、例えば図6の影SW等がない画像として用意されるので、上記にいう差分データとは結局、影SW等のみが抽出されたかのような画像を構成するものとして算出されることになる。また、この場合、当該影SW等の画像表示面7a上における位置の把握は比較的容易に行われることが明らかである(図6中の符号“Xf”及び“Yf”参照)。
なお、以上の指Fの接触位置を検出する処理の際においては、例えば図6に併せて示すように、画像表示面7a上に、様々なメッセージMや、ボタンBt1,Bt2等の画像要素を適宜表示しておくことが可能である。
以上のようにして、第1実施形態に係る電気光学装置1によれば、画像表示面7a上における指Fの位置検出が行われることになる。
【0045】
以上の基本的処理において、第1実施形態では特に、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図7に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図7のステップS301)。つまり、既に図3を参照して指摘した、破線矢印の各ポイントに示される「反転タイミング」が生じたか否かが判断されるのである(なお、図3における破線矢印は、図示されているところからも明らかなように、すべての反転タイミングを指し示しているわけではない。)。すぐ後から述べる「画像読出処理」は、この判断を待ってから行われるので、結局、その「画像読出処理」は、反転タイミングを避けるようにして行われることになる。
【0046】
次に、共通電位VCOMの極性反転が生じた場合(図7のステップS301;YES)、1ライン分の画像読出処理が行われる(図7のステップS302)。
すなわち、図3に示すように、センサ用走査線駆動回路301が、第i行(iは、正の整数であって、液晶素子8の行数を超えない数。図1あるいは図2参照)に関するセンサ用駆動信号を発することで、当該第i行に位置する光量検出素子50を駆動する。これにより、センサ用信号線60は、当該光量検出素子50が受光し且つ適宜変換した、光量に応じた電気信号、あるいは光量データ(図1参照)の供給を受ける。受光信号読出回路601は、かかる電気信号ないし光量データを読出し、これを制御回路Cに供給する。
この場合、図7のステップS303は、当該第i行に位置する光量検出素子50全部に関する読出しが完了したかどうかを常にモニタすることを意味している(図7のステップS302及びS303は、そのような意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理である。)。
【0047】
なお、図3に示す第i行に関する読出信号の波形例は、例えば、当該第i行、かつ、任意のある1列と交差する部分に位置する、1個の光量検出素子50(図1参照)由来の読出信号、ないし光量データの波形の例を代表的に表している。このことは、図3の最下段、即ち第(i+1)行に関する読出信号の波形例、あるいは、後述する第2実施形態において説明する、図11に示す読出信号の波形例についても同様である。
【0048】
以上の処理は、全ラインについての、画像読出し処理が終了するまでは繰り返し行われる(図7のステップS304)。例えば図3に示すように、第i行に位置する光量検出素子50に関する読出し処理の契機となった反転タイミングK1に続く、反転タイミングK2が生じた後には、第(i+1)行に位置する光量検出素子50に関する読出し処理が行われる、というようである。
【0049】
以上のような処理により、第1実施形態では、次のような効果が奏される。すなわち、第1実施形態では、上の説明からも明らかなように、光量検出素子50を用いた対象画像の読出し処理は、反転タイミングの時を避けるように、あるいは反転タイミング以外の時間を利用して行われるようになっている。
仮に、そのような処理とは反対に、反転タイミングの時に、それに重なって画像読出し処理を行ってしまう場合を想定すると、そのような場合においては、本願発明者は、表示画像に乱れを生じさせるおそれが非常に高くなることを確認している。そして、このような画像の乱れが生じると、読み出される光量データが、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映していないおそれが生じることになり、したがって、前述した物体位置検出処理も正確に行われないおそれが生じてくる。
【0050】
しかるに、第1実施形態では、前述のように、光量データは、反転タイミングを避けるようにして読み出されるので、前述した差分データ演算処理(図5のステップS202)、あるいは物体位置検出処理(図5のステップS203)において、反転タイミング時に読み出された光量データ、あるいは、その時に取得された対象画像が利用されることはない。
以上により、第1実施形態によれば、画像の乱れ等が生じるおそれが極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0051】
<第2実施形態>
以下では、本発明に係る第2の実施の形態について図8乃至図11を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
【0052】
まず、第2実施形態では、図8に示すように、光量検出素子50が、12個の液晶素子8につき1個ずつ設けられる。ただし、12個の液晶素子8中、その1セット(図8中符号P参照)を構成する3個の液晶素子8の配列態様は、第1実施形態と変わりなく、図中左から順に、赤色、緑色及び青色発光用の液晶素子8R,8G,及び8Bが並ぶ。12個の液晶素子8の全体は、このセットが、縦に2個、横に2個並んだ配列態様を持つ。なお、図示から明らかなように、この場合も、第1実施形態と同様、光量検出素子50は所定のマトリクス状配列に従って並ぶ。
このように、第2実施形態では、12個の液晶素子8と、1個の光量検出素子50とによって、いわば1個の単位的構成が形作られる。
【0053】
第2実施形態では、このような単位的構成が、図9に示すように、図中左右方向に120個、上下方向に120個、並ぶ(したがって当然、光量検出素子50も、同じく、120個、120個で並ぶ)。図8との対応から言えば、3個の液晶素子8からなる前記の1セット(あるいは、“ピクセル”と呼ぶことも可能である)の数は、図中左右方向に240個、上下方向に240個であり、1個の液晶素子8を一単位とすれば、その数は、同じく、1440個、480個、ということになる(ただし、いずれも図9では不図示)。
【0054】
そして、第2実施形態では、図9に示すように、受光信号読出回路601の内部に、10個のマルチプレクサ610−1〜610−10が備えられている(なお、図1と対比して、受光信号読出回路601の図示の位置が、天地逆になっていることに注意。)。
このマルチプレクサ610には、センサ用信号線60が接続されるが、その接続態様は、図示の通りである。一例を挙げて説明すれば、例えば、図中一番左のマルチプレクサ610−1には、まず、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51のそれぞれに接続されたセンサ用信号線60が接続される。また、これらのセンサ用信号線60にスイッチを介して接続される他のセンサ用信号線60を介して、マルチプレクサ610−1には、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111のそれぞれもまた接続される。この結果、図9の構成では、ある時点においては、光量検出素子50−1,11,21,31,41,51からの光量データが取得可能である一方、他の時点では、光量検出素子50−61,71,81,91,101,111からの光量データが取得可能となっている。そして、このようにして取得された光量データの各々は、適宜、外部信号線60Aを介して、マルチプレクサ610−1から制御回路Cへと供給される。
他のマルチプレクサ610−2,3,…,10についても、図示の通り、マルチプレクサ610−1と同様である。
【0055】
以上により結局、図9の構成では、ある時点においては光量検出素子50−1,2,…,60由来の光量データ、他の時点においては光量検出素子50−61,62,…,120由来の光量データ、というように、ある1時点においては、1ライン上に位置する光量検出素子50のうち、その1/2個分の光量検出素子50由来の光量データが取得可能となっている。
【0056】
以上の構成を土台として、第2実施形態では、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図10に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図10のステップS401)。その意義は、前述した図7のステップS301に関して述べたのと同様である。
【0057】
次に、共通電位VCOMの極性反転が生じた場合(図10のステップS401;YES)、1/2ライン分の画像読出処理が行われる(図10のステップS402)。ここで、「1/2ライン分の画像読出処理」とは、既に図9を参照して説明したところから明らかなように、光量検出素子50−1,2,…,60由来の光量データの取得が行われることを意味する。
なお、かかる光量データの取得が、反転タイミング以外の時間で行われることは勿論、図10のステップS402及びS403が、図7のステップS302及びS303と同様な意味において、一体的、あるいは同時並行的に行われる処理であること等は、上記第1実施形態と同様である(この点については、すぐ後に述べる図10のステップS405及びS406についても同じ。)。
【0058】
次に、前記「1/2ライン分の画像読出処理」が終了したら、再び、制御回路Cは、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断する(図10のステップS404)。そして、これが肯定される場合は、「残る」1/2ライン分の画像読出処理が行われる(図10のステップS405)。ここで、「残る」1/2ライン分の画像読出処理とは、光量検出素子50−61,62,…,120由来の光量データの取得が行われることを意味する。
【0059】
以上の処理は、全ラインについての、画像読出し処理が終了するまでは繰り返し行われる(図10のステップS407)。
【0060】
以上のような処理により、第2実施形態では、次のような効果が奏される。
まず、この第2実施形態によっても、対象画像の読出が、上記第1実施形態と同様、反転タイミングを避けるようにして行われていることについて何ら変わりはないはから、第1実施形態によって奏された効果と本質的に異ならない効果が奏されることは明白である。つまり、第2実施形態によっても、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0061】
加えて、第2実施形態では特に、以下のような効果も奏される。
まず、前述した、図10のステップS402、あるいはステップS405における処理では、「1/2ライン分」という相違はあるものの、基本的には図3と同様に、第i行、第(i+1)行、等々に関するセンサ用駆動信号と、それを契機とした当該第i行、第(i+1)行、等々に位置する光量検出素子50に関する光量データの読出しが行われる。
ただ、図3における読出信号に関する波形は、一種の理想形として描かれている。このような場合であれば、読み出された光量データが十分に信頼に足るものであるかどうかということは殆ど問題にならない。というのも、当該波形(あるいは、光量データ)は、瞬時にして、現実の状況(例えば、図6に示すような状況である。)を正確に反映しているはずだからであり、また、反転タイミングK1及びK2間の時間のどこをとっても基本的に一定の値が返されることになるからである。
しかし、より現実的な光量データに関する読出波形は、例えば図11に示すように、読出開始時点から時間の経過に伴って次第に上昇する、といった挙動を示すことがある。これは、センサ用信号線60自身、あるいは外部信号線60A自身が、寄生容量等をもつためである。このような現実的波形を図3の場合に当てはめてみると、現実の状況を正確に反映した光量データが取得されないおそれが出てくることになる。なぜなら、反転タイミングK1及びK2間という比較的限られた時間内では、センサ用信号線60等の電位等が、例えば図11に示すようなA点にまでしか上昇しない、ということが生じ得るからである。
このような問題は、光量検出素子50の配列が従うマトリクス状配列が大きくなればなる程、より深刻になるといえる。なぜなら、そのような場合、センサ用信号線60はより長くなってしまう可能性が大きいからである。
【0062】
第2実施形態は、このような不具合をよりよく克服している。なぜなら、第2実施形態では、図11の反転タイミングK3及びK4間というような、予め定められた比較的短時間の1回のチャンスにおいて取得すべき光量データのいわば絶対量が、予め制限されているからである。ここで“制限”とは、上述した、「1/2ライン分」を意味することは言うまでもない。つまり、第2実施形態では、光量データの取得が、前記チャンスにおいて、ある行における1/2個分の光量検出素子50についてのみ行われるようになっているので、そのような比較的短い時間の間でも、センサ用信号線60等の電位等が十分に安定状態に達することが可能であり、したがって、より正確な光量データの取得可能性計が高まるのである(図11の符号“Z”参照)。このような利点は、同じ時間で、全部の光量検出素子50についての光量データの取得及び処理を一挙に行ってしまう場合を想定すると、より明瞭に認識される。
このように、第2実施形態によれば、現実の状況をよりよく反映した、正確な光量データを取得することが可能となるのである。
【0063】
なお、図9に示した、光量検出素子50の個数、あるいはマルチプレクサ610の個数等は、単なる一例を示しているに過ぎない。
また、図9に示した光量データを読み出すための構成もまた、単なる一例を示しているに過ぎない。複数の光量検出素子50から、光量データを、整序されたかたち(例えば、ある1個の光量データに対応する光量検出素子50はどれであるか等がきっちりと把握される状態等)で、比較的迅速に読み出すための具体的回路構成は、その他にも様々考えられ得るところであるが、本発明は、それがどのようなものであったとしても、基本的に、その採用可能性を否定しない。
【0064】
さらに、上述では、時間的に相前後する反転タイミング間たる期間、2個を利用して、前者で、1/2ライン分の、後者で残り1/2ライン分の画像読出処理を行っているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば、場合によっては、時間点に相前後する4個の反転タイミングL1,L2,L3及びL4があるとして、L1及びL2間で1/3ライン分の、L2及びL3間で次の1/3ライン分の、L3及びL4間で残る1/3ライン分の画像読出し処理が行われるようにしてもよい。
【0065】
<第3実施形態>
以下では、本発明に係る第3の実施の形態について図12を参照しながら説明する。なお、第3実施形態に係る電気光学装置1の構成、あるいは物体位置検出処理に係る基本的処理の内容等については、第1実施形態と同様であるので、重複する部分についての説明は簡略化し、あるいは適宜省略する。
【0066】
第3実施形態では、図5の対象画像読出処理(図5のステップS201)の内容に関し特徴がある。かかる処理は、図12に示すように行われる。
すなわち、まず、制御回路Cは、前述の第1及び第2実施形態とは異なって、いわば素直に、1ライン分の画像読出処理に着手する(図12のステップS503)。この点、両実施形態では、最初に、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かの判断(図7のステップS301、あるいは図10のステップS401)を行っていた点とは異なる。
【0067】
これに続いて、制御回路Cは、前記処理と一体的に、あるいは同時並行的に、共通電位VCOMに関する極性反転があったか否かを判断しながら(図12のステップS504)、かつ、それが否定される場合には(図12のステップS504;NO)、第i行に位置する光量検出素子50全部に関する読出しが完了したかどうかをモニタする(図12のステップS505)。これらのステップに係る処理の関係は、前述した、図7のステップS302及びS303、あるいは、図10のステップS405及びS406、等の場合と同様である。
【0068】
このような処理の最中、共通電位VCOMに関する極性反転が生じた場合には(図12のステップS504;YES)、その時点で現に実行中である1ライン分の画像読出処理が中断される(図12のステップS507)。そして、制御回路Cは、その中断時点において画像読出の対象であった第i行のラインを、改めて、画像読出しの対象ラインとして設定した上(図12のステップS508)、再び、当該第i行のラインに関する1ライン分の画像読出処理を行う(図12のステップS503)。つまり、第3実施形態においては、当該第i行のラインについての光量データが、新たに、取得し直されるようになっているのである。そして、この、改めての光量データ取得中、共通電位VCOMの反転が行われない限り(図12のステップS504参照)、結果的には首尾よく、反転タイミングの時点を避けた当該第i行に関する光量データが取得されることになる。
なお、ここまでの説明から明らかなように、本発明にいう「計測領域」は、この第3実施形態において、“1本のセンサ用走査線30に連なる光量検出素子50”を一単位として規定される。より簡単にいえば、1個の「計測領域」は、いわばライン1本分の領域、である。
【0069】
以上のような処理により、第3実施形態では、次のような効果が奏される。
すなわち、この第3実施形態では、対象画像の読出が、反転タイミングを避けるようにして行われているわけではない。むしろ、この第3実施形態においては、画像読出処理中に、反転タイミングの時点が到来し得ることは、いわば織り込み済みである。
しかしながら、第3実施形態では、そのような時点において取得された光量データが、そのまま、物体位置検出処理(図5のステップS203)を行うにあたっては使用されない。なぜなら、上述の、図12のステップS507及びS508の処理についての説明からも明らかなように、そのような時点において取得された光量データは、いわば廃棄、あるいは無視されるようになっているからである。そして、第3実施形態では、その代わりに、そのような障害のあった1ライン分の画像読出し処理が改めて行われ、それにより得られた新たな光量データが物体位置検出処理に供されるようになっているのである。
【0070】
以上の説明からわかるように、この第3実施形態によっても、結果的には、第1実施形態によって奏された効果と本質的に異ならない効果が奏されることは明白である。つまり、第3実施形態によっても、画像の乱れ等が生じるおそれは極めて低減し、あるいは、物体の接触位置検出は精度よく行われることになる。
【0071】
なお、上述においては、1ライン分の画像読取処理の最中に反転タイミングが訪れた場合に、改めて、同じラインに関する画像読取処理(図12のステップS508参照)を行っているが、場合によっては、この再度の画像読取処理は省略可能である。仮に当該の1ライン分の対象画像に係る情報が欠損しているとしても、物体位置検出の精度上は、特に問題がない場合も考えられるからである。この場合における処理の流れは、例えば図12でいうと、ステップS507からステップS506へと直接に移行するようなものを考えることができ、これによれば、対象画像取得処理の簡略化、迅速等が実現される。
もっとも、このような態様に比べて、上述の第3実施形態の方が、物体位置の高精度検出により優位であることは疑いない。
【0072】
<変形例>
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る電気光学装置は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
(1) 上記各実施形態では、例えば図3に示した反転タイミングK1及びK2間の時間というように、もっぱら(=上記第1及び第2実施形態)あるいは主に(=上記第3実施形態)、連続する反転タイミングの合間の時間を利用して、対象画像を読出し、あるいは光量データを取得する例について説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
例えば図13に示すように、対象画像読出し処理は、画像表示面7aの一部に画像を表示しない領域(以下、「非表示領域」という。)が含まれる場合において、当該非表示領域に対応する液晶素子8を駆動すべきタイミングの時(以下、「非表示時」という。)に行われるようになっていてもよい(図13のステップS601からS602への流れ、参照)。この非表示領域では、液晶素子8を実質的に駆動する必要がないため、通常、図3等に示した極性反転駆動が行われることはない(つまり、暫くの間、共通電位VCOMが、0又は1に張り付いた状態に維持される。)。したがって、このような処理によっても、反転タイミングの時を避けた光量データの取得が可能である。
そして、このような形態と上記各実施形態とを併せ実施する形態によれば、反転タイミング間等の時間のみならず、前記非表示時においても、光量データの取得処理が行われることになるから、物体位置検出にあたって必要となる光量データの全計測結果(例えば、1画面分の光量データ)の、より迅速な取得・確保・処理が可能になるという利点が得られる。
【0073】
なお、このような変形例の場合、非表示領域が存在する以上、通常は、画像表示面7aの全面についての光量データの取得が必要となるわけではない。そのような場合は、本発明にいう「画像表示面の…一部に関する所定の物理量を計測する」場合の一例に該当する、と考えることができる。ただし、ここにいう「一部に関する所定の物理量」の計測という文言は、画像表示面7aの全面に画像は表示されている(即ち、非表示領域は存在しない)が、物体位置検出は当該画像表示面7aの限れた領域についてだけ行われればよい、という場合における、「一部」計測をも含意し得る。
【0074】
(2) 上記各実施形態では、光量検出素子50による光量データの取得、及び、それに基づく物体位置検出が行われているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
画像表示面7a上に接触した物体の位置検出方式(即ち、タッチパネルを実現する方式)としては、例えば、静電容量式、SAW(Surface Acoustic Wave)式、電磁誘導式、光検出式、等々様々な方式がある。このうち、例えば静電容量式では、画像表示面に物体が接触したかどうかに応じて、当該画像表示面内で例えばマトリクス状に配列されるコンデンサが蓄積する電荷に変化が生じる(当該コンデンサは、例えば2枚の島状電極が対向する構造を含む場合、あるいは、2本の長尺電極が交差する部分によって構築される場合、等々の具体的態様をとり得る。)。したがって、この場合、本発明にいう「物理量」には、例えば、“当該コンデンサに蓄積され又は当該コンデンサから放出される電荷に基づく電流量”、等が該当することになる。なお、上記各実施形態においては、この「物理量」には、「光量」が含まれることはいうまでもない。
このように、本発明は、基本的には、物体位置検出の方式について限定されることがない。
【0075】
(3) 上記各実施形態では、極性反転駆動の例として、いわゆるライン反転駆動の場合だけを説明しているが、本発明は、かかる形態に限定されない。
本発明は、その他にも、1フレーム期間を極性反転周期の基準とするフレーム反転駆動の場合に当然適用可能である。
あるいは、液晶素子8の1個1個、又は前述したピクセル(図2、あるいは図8に示した液晶素子8R,8G,8Bの1セット)の1個1個、あるいは場合により、図8を参照して説明したような単位的構成(即ち、12個の液晶素子8)の1個1個、等々、要するに、1個の液晶素子8を基底的な基準として極性反転を行う、ドット反転駆動の場合にも、本発明は適用可能である。
【0076】
(4) 上記各実施形態における光量検出素子50の配列態様は、単なる一例を示しているに過ぎない。例えば極端な例としては、液晶素子8の1個につき、1個ずつ光量検出素子50が設けられてもよい。また、光量検出素子50は、必ずしも、全体としてマトリクス状配列に従って並べられている必要はない。
【0077】
(5) 上記各実施形態では、差分データを求めるために、単純に、「基準画像−対象画像」という演算を行っているが(図5参照)、本発明は、かかる形態に限定されない。例えばより好ましくは、以下のような処理を行うことが考えられる。
すなわち、第1に、基準画像として、共通電位VCOMが0の場合と1の場合の両者に対応する、2種類の「基準画像(0)」及び「基準画像(1)」を取得しておく(図4参照)。第2に、図5のステップS201によって取得された対象画像、あるいは光量データを、共通電位VCOMが0のときに取得されたものか、あるいは、1のときに取得されたものか、に従って区分けする(図3等参照)。そして第3に、図5のステップS202に係る処理において、共通電位VCOM=0のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(0)」を基準として用い、VCOM=1のときに取得された光量データを演算にかける場合には「基準画像(1)」を基準として用いる。つまり、前者及び後者の光量データを仮に、「対象画像(0)」及び「対象画像(1)」と名付けるとすれば、前者の場合は「基準画像(0)-対象画像(0)」、後者の場合は「基準画像(1)-対象画像(1)」、を行って差分データを求める、ということである。
【0078】
このような処理を行えば、共通電位VCOMのレベルの相違が画像を構成する光量に与える影響の相違に配慮した、より高精度の物体位置検出が行われ得る。例えば仮に、前記でいう「基準画像(0)」だけを予め用意し、これだけを用いて差分データを求める(即ち、共通電位VCOM=1のときの対象画像(1)に関する差分データも、「基準画像(0)−対象画像(1)」として求める)のでは、図6の影SW等の抽出等がうまくいかないおそれがあるのである。
上述した、2種の基準画像(0)及び(1)を用意しておく措置は、対象画像と基準画像の取得条件、あるいはそれらの背景事情を統一しておく、という意味合いをもつことから、このような不具合は好適に回避される。
【0079】
(6) 上述した、第1及び第2実施形態では、対象画像の読出し処理の開始が、共通電位VCOMの反転の有無にかからしめられている(図7のステップS301、図10のステップS401及びステップS404、参照)。この場合、極性反転駆動が、制御回路Cによって司られている以上、“共通電位VCOMの極性が反転したかどうか”は、基本的には、制御回路Cそれ自身が、極性反転に係る指令を発したかどうかを、自身で確認すればよい、と一応はいえる。つまり、当該指令の発令タイミングが、即ち「反転タイミング」、と考えてよい。
しかし、実際上は、何らかの電極を所定の電位に設定するにあたっては、前記第2実施形態で説明したような、当該電極自体がもつ寄生容量の影響を考慮する必要がある。すなわち、共通電位VCOMの反転においても、図3中上から2段目に示すような瞬時の応答が期待できるのはむしろ稀で、図11を参照して説明したような、緩やかな電位の上昇あるいは下降を伴う、いわば緩慢な反転が繰り返される、といった事象が発生する可能性が大きいのである。殊に、対向電極5は、既述のように、全画素電極13の形成領域を覆うような比較的広大な面積をもつ電極であるから、それがもつ寄生容量は、図11の前提であるセンサ用信号線60等がもつ寄生容量に比べても遥かに大きく、したがって、上述した不具合の発生する可能性は更に大きいといえる。そして、このような場合、そうした、いわば反転途上の状態に基づく光量データが取得されるおそれ、即ち、一定の不正確さを内在させる光量データが取得されるおそれが大きくなる。
そこで、上記第1及び第2実施形態においては、“共通電位VCOMの極性が反転したか”という判断を、“共通電位VCOMの反転後の電位は安定したか”という判断に置き換えると、より好ましい。この場合においては、制御回路Cが発した前記指令の発令タイミングを「反転タイミング」と同視することはできないので、例えば、対向電極5の電位をモニタする共通電位検出回路を新たに設け、制御回路Cは、その出力結果を参照することにより前記判断を行うようにするとよい。
このような形態によれば、前述した各種の効果はより実効的に奏されることになる。
【0080】
なお、上記第3実施形態では、極性反転があろうとなかろうと対象画像の読出し処理を行うので(図12参照)、上述した事項は基本的にはあてはまらない。また、共通電位VCOMの反転が開始されれば、それだけで同処理を中断する(図12のステップS507参照)のがむしろ好ましいともいえるので、第3実施形態においては、極性反転に係る指令の発令タイミング=「反転タイミング」、とする考え方に従っている方が好ましいともいえる。
とはいえ、第3実施形態においても、図12のステップS504における判断処理に、上述したような考え方を適用する余地がないわけではなく、本発明は、そのような場合を積極的に排除する意図までは有しない(どちらの考え方をとるにせよ、第3実施形態では、中断された画像読出処理が再度実行されるので、然程大きな違いは生じないとも言える。)。
【0081】
(7) 上述した、第2実施形態では、時間的に相前後する2つの反転タイミング間の期間を利用した1/2ライン分の画像読出処理が行われているが、この第2実施形態の趣旨は、上述した第3実施形態の趣旨と必ずしも背反しない。例えば、第3実施形態のように、極性反転の有無に関わらず画像読出処理を行うことを通常状態としながらも、1個の反転タイミング間の期間では、基本的に、1/2ライン分の画像読出処理を行う、といった処理を実施することは不可能でない。
このような意味において、上述した第2及び第3実施形態は並存可能である。また、同様の意味で、第1及び第3実施形態も並存可能である。
【0082】
<応用例>
次に、本発明に係る電気光学装置を利用した電子機器について説明する。図14ないし図16には、以上に説明した実施形態に係る液晶表示装置を採用した電子機器の形態が図示されている。
【0083】
図14は、液晶表示装置を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する液晶表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0084】
図15は、液晶表示装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する液晶表示装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、液晶表示装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0085】
図16は、液晶表示装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する液晶表示装置100とを備える。複数の操作ボタン4001を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が液晶表示装置100に表示される。
【0086】
本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図14から図16に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電気光学装置を構成する液晶素子及び光量検出素子の等価回路の図である。
【図3】対向電極の極性反転及びその反転タイミング間における画像読出しの様子を表すタイミングチャートである。
【図4】基準画像を取得する処理(初期化処理)に係るフローチャートである。
【図5】画像表示面上の物体の位置を検出するための処理に係るフローチャートである。
【図6】画像表示面上にユーザの指が接触する様子、及びそれに伴って形成される影の様子等を示す図である。
【図7】図5に示す対象画像読出し処理(ステップS201)の、より詳細な内容を表すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係り、液晶素子及び光量検出素子の配列態様の一例を示す図である。
【図9】図8に示す光量検出素子から光量データを読み出すための回路構成を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図11】図3と同趣旨の図であって、特に、読出信号の波形が時間の経過に伴って次第に上昇する挙動をあらわす場合の例を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態の一変形例に係る対象画像読出し処理の内容を表すフローチャートである。
【図14】本発明に係る電子機器の形態(パーソナルコンピュータ)を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る電子機器の形態(携帯電話機)を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電子機器の形態(携帯情報端末)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1……電気光学装置、7a……画像表示面、8(8R,8G,8B)……液晶素子、13……画素電極、5……対向電極、LQ……液晶層、3……走査線、6……データ線、31……走査線駆動回路、61……データ線駆動回路、50(50−1,2,…,14400)……光量検出素子、30……センサ用走査線、60……センサ用信号線、301……センサ用走査線駆動回路、601……受光信号読出回路、610(610−1,2,…,10)……マルチプレクサ、C……制御回路、C1……物体位置検出回路、F……指、SW……影、K1,K2,K3,K4……反転タイミング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する電気光学物質、からなる電気光学素子と、
当該電気光学素子によって構成される画像を表示する画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出手段と、
当該位置検出手段に含まれ、かつ、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測手段と、
を備え、
前記位置検出手段は、
前記物理量計測手段による前記物理量の計測結果に基づいて、かつ、
前記第1及び第2電極間の電位差の極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、
前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記物理量計測手段は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記物理量計測手段は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測し、
前記位置検出手段は、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果を無視して、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記物理量計測手段は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測し、かつ、
前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、
前記物理量計測手段は、
前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を含み、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記物理量計測手段は、
前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、
当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、
前記物理量を計測する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、
前記電位の極性の反転は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
画像を表示する画像表示面上のある地点を指示する物体の、当該画像表示面上における位置を検出する指示物体の位置検出方法であって、
前記画像を構成する電気光学素子を構成する第1及び第2電極間に挟持された電気光学物質の光学的特性を変化させるため、これら第1及び第2電極間に所定の電位差を与える電位設定工程と、
前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測工程と、
前記物理量計測工程による前記物理量の計測結果に基づいて、前記画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出工程と、
を含み、
前記電位設定工程は、
前記第1及び第2電極間の電位差の極性を反転させる極性反転工程を含み、
前記位置検出工程は、
前記極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う工程を含んでいる、
ことを特徴とする指示物体の位置検出方法。
【請求項10】
前記物理量計測工程は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する工程、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項11】
前記物理量計測工程は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測する工程、を含み、
前記位置検出工程では、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果が無視されて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出が行われる、
ことを特徴とする請求項9に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項12】
前記物理量計測工程は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、
前記2つの反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項13】
前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、
前記物理量計測工程は、
前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を用いて行われ、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項14】
前記物理量計測工程は、
前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、
当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、
行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項15】
前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、
前記極性反転工程は、
前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項1】
第1及び第2電極、並びに、これらに挟持され且つ所定の電位が供給されることによってその光学的特性が変化する電気光学物質、からなる電気光学素子と、
当該電気光学素子によって構成される画像を表示する画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出手段と、
当該位置検出手段に含まれ、かつ、前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測手段と、
を備え、
前記位置検出手段は、
前記物理量計測手段による前記物理量の計測結果に基づいて、かつ、
前記第1及び第2電極間の電位差の極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、
前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記物理量計測手段は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記物理量計測手段は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測し、
前記位置検出手段は、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果を無視して、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記物理量計測手段は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測し、かつ、
前記反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、
前記物理量計測手段は、
前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を含み、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記物理量計測手段は、
前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、
当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、
前記物理量を計測する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、
前記電位の極性の反転は、前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
画像を表示する画像表示面上のある地点を指示する物体の、当該画像表示面上における位置を検出する指示物体の位置検出方法であって、
前記画像を構成する電気光学素子を構成する第1及び第2電極間に挟持された電気光学物質の光学的特性を変化させるため、これら第1及び第2電極間に所定の電位差を与える電位設定工程と、
前記物体が前記画像表示面に接触した場合における当該画像表示面の全部又は一部に関する所定の物理量を計測する物理量計測工程と、
前記物理量計測工程による前記物理量の計測結果に基づいて、前記画像表示面上に接触した物体の、当該画像表示面上における位置を検出する位置検出工程と、
を含み、
前記電位設定工程は、
前記第1及び第2電極間の電位差の極性を反転させる極性反転工程を含み、
前記位置検出工程は、
前記極性の反転タイミングにおける前記物理量計測手段の計測結果を除いた計測結果に基づいて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出を行う工程を含んでいる、
ことを特徴とする指示物体の位置検出方法。
【請求項10】
前記物理量計測工程は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間に限り、前記物理量を計測する工程、を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項11】
前記物理量計測工程は、
時間的に相前後する2つの反転タイミングの間、及び、当該2つの反転タイミングの時に、前記物理量を計測する工程、を含み、
前記位置検出工程では、
前記2つの反転タイミングの時における前記物理量計測手段の計測結果が無視されて、前記物体の前記画像表示面上における位置の検出が行われる、
ことを特徴とする請求項9に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項12】
前記物理量計測工程は、
前記画像表示面を区画する複数の計測領域毎に、前記物理量を計測する工程を含み、かつ、
前記2つの反転タイミングの時に検出された前記物理量に対応する前記計測領域についての、当該反転タイミング時以外の時における物理量を、改めて計測する工程を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項13】
前記電気光学素子は、複数存在するとともに、それらがマトリクス状配列に従って並び、
前記物理量計測工程は、
前記電気光学素子の所定の個数ごとに対応する複数の物理量計測素子と、
これら物理量計測素子による計測結果を読み出すための信号線と、
を用いて行われ、
前記信号線による前記物理量の読み出しは、
時間的に連続するn個の反転タイミング(ただし、nは正の整数)におけるm番目の反転タイミング(ただし、m=1,2,…,n−1)の後、前記マトリクス状配列中のある行に対応する前記物理量計測素子のうち1/(n−1)個分の物理量計測素子について、行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項14】
前記物理量計測工程は、
前記画像表示面の一部に、前記画像を表示しない領域が含まれる場合において、
当該領域に対応する前記電気光学素子を駆動すべきタイミングの時に、
行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【請求項15】
前記第1及び前記第2電極の少なくとも一方は、マトリクス状配列に従って並び、
前記極性反転工程は、
前記マトリクス状配列中の行又は列を一単位として行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の指示物体の位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−49052(P2010−49052A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213636(P2008−213636)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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