説明

電気化学セル及び電気化学セルの製造方法

【課題】時間をかけることなく効率良く製造されて低コスト化を図ることができるうえ、電界腐食の恐れがなく高品質化を図ること。
【解決手段】凹部の底面に貫通孔15、16が並設された容器本体2と、弁作用金属によって貫通孔の内周面に成膜された集電体3と、集電体が成膜された貫通孔を気密封止する充填材4と、凹部内を密閉状態に封止する封口板5と、密閉された凹部の底面上に固定されると共に集電体に導通する電極活物質6、7と、密閉された凹部内に充填され、電極活物質を浸漬させる非水電解液Wと、容器本体の下面に成膜され、集電体に導通する外部電極膜8、9と、を備えている電気化学セル1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セル、これの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルは、従来から携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、メモリのバックアップ用電源や時計機能のバックアップ用電源等として利用されている。この種の電気化学セルは、一般的に円盤状のボタンタイプが多用されている。しかしながら、ボタンタイプのものは、サイズ、保存日数の点で依然として改良の余地が残されている。
サイズの点について具体的に説明すると、近年の技術進歩に伴って直径が3mm〜4mm程度、厚みが1.1mm〜1.5mm程度まで小型化、薄型化されている。ところが、基板等に実装する場合には、通常リフロー半田付けを行うので、半田付け用の2つの端子をケースに設けておく必要がある。そのため、端子の分だけサイズがどうしても大きくなってしまい、さらなる小型化及び薄型化を図るには難しいものであった。
【0003】
次に、保存日数の点について具体的に説明する。ボタンタイプのものは、通常ケースに対して蓋体をカシメによって封止している構造である。そのため、気密が万全とはいえず、湿気等により内部に水分等が侵入し易かった。その結果、長期保存することが難しかった。
【0004】
そこで、近年では上述した点を改良するべく、表面実装可能なチップ型の電気化学セルが開発されている(特許文献1参照)。
図22に示すように、このタイプの電気化学セル100は、ガラス、セラミックやセラミックガラス等から焼結によって作製された凹状容器101と、凹状容器101の内部を密閉する導電性の蓋体102とでチップ型に構成されている。蓋体102は、負極集電体として機能するものであり、金属リング103を介して凹状容器101に溶接されている。凹状容器101の内部には、非水電解液104が満たされていると共に、底面側から順に正極活物質105、セパレータ106、負極活物質107が収容されている。負極活物質107は、導電性接着剤108を介して蓋体102に接触しており、導通している。一方、正極活物質105は、導電性接着剤108を介して凹状容器101の内部に固定されている。
【0005】
凹状容器101の底面には、導電性材料からなる2つの外部接続端子110、111が離間して形成されている。このうち一方の外部接続端子110は、凹状容器101の側面を伝って金属リング103まで延設するようにパターニングされており、金属リング103を介して蓋体102に導通している。つまり、一方の外部接続端子110は、負極活物質107に導通する端子となっている。
【0006】
他方の外部接続端子111は、凹状容器101の内部に入り込むようにパターニングされており、凹状容器101の底面又は底面近くまで延設している。この延設している部分は、正極集電体111aとして機能する。ところで、この正極集電体111aと正極活物質105との間には、導電性材料からなる被覆部112が介在しており、被覆部112を介して正極集電体111aと正極活物質105とが導通している。つまり、他方の外部接続端子111は、正極活物質105に導通する端子となっている。また、正極集電体111aは、被覆部112によって保護されており、非水電解液104に直接触れないように設計されている。
【0007】
このように構成されたチップ型の電気化学セル100によれば、凹状容器101の底面に、負極活物質107に導通する外部接続端子110と、正極活物質105に導通する外部接続端子111とが形成されているので、表面実装が可能とされており、ボタンタイプのようにリフロー半田付け用の端子が不要である。そのため、ボタンタイプに比べて小型化、薄型化が図りやすく、今後の主流になるものと期待されている。
また、凹状容器101に対して蓋体102を溶接しているので、ボタンタイプに比べて遥かに気密性に優れている。そのため、保存日数を大幅に向上することができ、高品質化を図ることができる。この点においても、今後の主流になるものと期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−210064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したチップ型の電気化学セル100においては、外部接続端子111の一部を凹状容器101の底面又は底面近くまで延設する必要があるので、凹状容器101と同じタイミングで作製する必要がある。そのため、焼結温度(約1500℃)に耐えられる導電性材料、例えば、タングステンを利用して外部接続端子111を形成せざるを得ない。
ところが、電気化学セル100は、非水電解液104を収容している関係上、導電性材料の腐食性に注意を払う必要がある。この点、タングステン等の導電性材料は、電界腐食し易く、耐腐食性という点では劣っている。そのため、この点を補うために、耐腐食性に優れているアルミニウム等の弁作用金属を被覆部112に利用し、正極集電体111aと正極活物質105との間に介在させている。
【0010】
このように、従来のチップ型の電気化学セル100を製造する際には、外部接続端子110、111のパターニングを考慮しながら凹状容器101を焼結する必要があるうえ、その後、弁作用金属を利用して被覆部112を形成する必要がある。従って、製造に手間がかかり、効率良く製造することが困難であった。
特に、正極集電体111aの電界腐食を防ぐためには、被覆部112を利用して正極集電体111aを確実に保護する必要がある。仮に、被覆部112に割れやピンホール等が発生してしまった場合には、非水電解液104の接触により正極集電体111aが腐食してしまい、電気特性に悪影響を与えしまう。従って、安全を見て被覆部112を厚めに形成する必要がある。この点、特許文献1には、膜厚が3μm以下の場合には、ピンホールが発生する可能性が記載されている。また、同時に膜厚が15μm以上にする場合には、蒸着に時間がかかり製造コスト上好ましくないとの記載もある。これらの点を考慮すると、被覆部112の膜厚は、3μmよりも厚く、15μmよりも薄くすることが好ましい。
【0011】
しかしながら、実際に凹状容器101の底面に被覆部112を形成する場合には、被覆部112の厚みとして15μm以上の膜厚が要求される。これは、実際上、凹状容器101の表面は粗れが目立ち、ピンホールのない状態とするには15μm以上の膜厚にせざるを得ないからである。従って、被覆部112の形成に時間がかかってしまい、製造コストの低減化を図ることが困難であった。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、時間をかけることなく効率良く製造されて低コスト化を図ることができるうえ、電界腐食の恐れがなく高品質化されたチップ型の電気化学セル、及び、この電気化学セルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る電気化学セルは、凹み形成された凹部を有し、該凹部の底面に一対の貫通孔が間隔を開けて並設されたガラス製の容器本体と、弁作用金属によって前記一対の貫通孔の内周面に成膜された集電体と、前記集電体が成膜された前記一対の貫通孔内に充填され、一対の貫通孔を気密封止する耐腐食性の充填材と、前記凹部の開口を塞ぐように前記容器本体に接合され、凹部内を密閉状態に封止する封口板と、前記一対の貫通孔に対向するように密閉された前記凹部の底面上に固定されると共に、前記集電体の一端側に導通する一対の電極活物質と、密閉された前記凹部内に充填され、前記一対の電極活物質を浸漬させる非水電解液と、導電性材料により前記容器本体の下面に電気的に切り離された状態で成膜され、前記集電体の他端側に導通する一対の外部電極膜と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、ガラスウエハを利用して一度に複数の電気化学セルを製造する方法であって、前記ガラスウエハに複数の凹部を形成すると共に、各凹部の底面に間隔を開けて一対の貫通孔を並設した状態でそれぞれ形成するウエハ加工工程と、前記一対の貫通孔の内周面に弁作用金属を成膜して集電体を形成する集電体形成工程と、前記集電体が成膜された前記一対の貫通孔を耐腐食性の充填材で塞ぎ、一対の貫通孔を気密封止する封止工程と、前記ガラスウエハの下面に導電性材料を成膜して、前記集電体の他端側にそれぞれ導通すると共に、互いに電気的に切り離された一対の外部電極膜を形成する外部電極膜形成工程と、気密封止された前記一対の貫通孔に対向するように前記凹部の底面上に一対の電極活物質を固定すると共に、前記一対の貫通孔に成膜された前記集電体の一端側にそれぞれ導通させる固定工程と、前記凹部内に非水電解液を充填して前記一対の電極活物質を浸漬させると共に、凹部の開口を塞ぐように封口板を接合して凹部内を密閉状態に封止する充填接合工程と、前記固定工程及び前記充填接合工程を行う前段階又は後段階で、前記ガラスウエハを切断して複数の容器本体に個片化する切断工程と、を行うことを特徴とする。
【0015】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、まず、一枚のガラスウエハに複数の凹部を形成するウエハ加工工程を行う。この際、各凹部の底面に、間隔を開けて一対の貫通孔を並設した状態でそれぞれ形成しておく。この工程により、ガラスウエハには、一対の貫通孔が開けられた凹部が複数形成された状態となる。
続いて、複数の凹部にそれぞれ形成された一対の貫通孔の内周面に弁作用金属を成膜し、集電体を形成する集電体形成工程を行う。集電体を形成した後、一対の貫通孔を耐腐食性の充填材で塞ぎ、一対の貫通孔を気密封止する封止工程を行う。この工程により、一対の貫通孔は隙間なく完全に埋まった状態となる。また、一対の貫通孔の内周面に成膜された集電体は、一端側が凹部の底面側に露出し、他端側がガラスウエハの下面側に露出した状態となっている。
【0016】
続いて、ガラスウエハの下面に導電性材料を成膜して、一対の外部電極膜を形成する外部電極膜形成工程を行う。この際、互いに電気的に切り離された状態で、ガラスウエハの下面側に露出している集電体にそれぞれ導通するように一対の外部電極膜を形成する。これにより、一方の外部電極膜が一方の集電体に導通し、他方の外部電極膜が他方の集電体に導通した状態となる。
【0017】
外部電極膜を形成した後、固定工程又は切断工程のいずれかの工程を行う。ここでは、先に固定工程を行う場合を説明する。
即ち、ガラスウエハに形成された複数の凹部内のそれぞれに、一対の電極活物質を固定する固定工程を行う。この際、凹部側に露出している集電体の一端側にそれぞれ導通するように、一対の電極活物質を凹部の底面上に固定する。これにより、一方の電極活物質が一方の集電体を介して一方の外部電極膜に導通し、他方の電極活物質が他方の集電体を介して他方の外部電極膜に導通した状態となる。
【0018】
一対の電極活物質を固定した後、充填接合工程を行う。即ち、複数の凹部内に非水電解液を充填して固定した一対の電極活物質を浸漬させると共に、凹部の開口を塞ぐように封口板を接合して凹部内を密閉状態に封止する。これにより、一対の電極活物質及び非水電解液を凹部内に確実に閉じ込めて、気密封止することができる。
そして、最後にガラスウエハを切断して、複数の容器本体に個片化する切断工程を行う。これにより、1枚のガラスウエハからチップ型の電気化学セルを一度に複数製造することができる。
【0019】
なお、固定工程前に切断工程を行う場合には、外部電極膜が形成された時点でガラスウエハを切断し、複数の容器本体に個片化する。そして、個片化した各容器本体の凹部内に一対の電極活物質を固定する固定工程を行い、その後、非水電解液の充填と封口板の接合とを行う充填接合工程を行う。この場合も同様に、1枚のガラスウエハからチップ型の電気化学セルを一度に複数製造することができる。
【0020】
特に、本発明に係る製造方法によれば、1枚のガラスウエハから一度に複数の電気化学セルを製造できるので、非常に効率良く製造することが可能であり、電気化学セルの低コスト化を図ることができる。しかも、従来のように、容器本体の内部に入り込むように集電体を形成する必要がなく、一対の貫通孔の内周面に単に成膜するだけで済む。従って、製造が容易であり、この点においても製造効率の向上化に繋げることができる。
また、集電体は、弁作用金属であるので、一対の電極活物質に導通する一端側が非水電解液に触れたとしても電界腐食の恐れがない。よって、電気特性に何ら影響を与えることなく、電気化学セルの高品質化を図ることができる。更に、この集電体は、正極集電体を保護する役割を担っていた従来の被膜部とは違うので、膜厚を必要以上に厚くする必要がなく、数μm程度で十分である。従って、短時間で容易に成膜することができ、集電体形成工程に費やす時間を極力短くすることができる。この点、全体の製造時間の短縮に非常に貢献することができ、やはり製造効率の向上化に繋げることができる。
【0021】
また、一対の貫通孔が充填材で確実に気密封止されているうえ、凹部の開口は封口板の接合によってやはり確実に封止されている。つまり、一対の電極活物質及び非水電解液が収容されている凹部内は、確実に気密封止されている。従って、この電気化学セルは、耐久性に優れており、長期的な保存が可能である。なお、充填材は、耐腐食性であるので集電体と同様に非水電解液の影響によって電界腐食する恐れがない。よって、電界腐食によって気密封止が損なわれる恐れがない。
更に、一対の電極活物質は、凹部の底面上に横に並んだ状態で固定されている。よって、厚さ方向に並ぶ場合よりも、遥かに薄型化を図ることができる。
【0022】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、前記凹部の底面側及び前記容器本体の下面側に延出するように形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記集電体形成工程の際、前記凹部の底面側及び前記ガラスウエハの下面側に前記集電体が延出するように前記弁作用金属を成膜することを特徴とする。
【0024】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、集電体が一対の貫通孔の内周面だけでなく、凹部の底面側とガラスウエハの下面側(容器本体の下面側)とに延出するように形成されている。そのため、電極活物質及び外部電極膜に対して集電体をより広範囲に接触させることができ、導通性をより確実なものにすることができる。
【0025】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、アルミニウム又はチタンからなることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記集電体形成工程の際、前記弁作用金属としてアルミニウム又はチタンを利用することを特徴とする。
【0027】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、集電体がアルミニウム又はチタンの成膜によって形成されている。これらアルミニウム又はチタンは、成膜に適したものであるので、より短時間で集電体を形成することができるうえ、膜剥がれ等を防止することができる。従って、さらなる製造効率の向上化、品質の向上化に繋げることができる。更に、アルミニウム又はチタンは、弁作用金属として優れているので、耐腐食性をより高めることができる。
【0028】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記充填材が、前記容器本体と熱膨張係数が略同一の材料からなる焼成物であることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記封止工程の際、前記充填材として前記ガラスウエハと熱膨張係数が略同一の材料からなる充填材を利用し、該充填材を前記一対の貫通孔内に充填した後、焼成により硬化させることで一対の貫通孔を気密封止することを特徴とする。
【0030】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、封止工程の際、まず、後に容器本体となるガラスウエハと熱膨張係数が略同一の材料からなる充填材を一対の貫通孔内に隙間なく充填する。その後、この充填材を焼成によって硬化させ、焼成物とする。これにより、ガラスウエハと一体化させることができ、貫通孔をより確実に気密封止することができる。
特に、充填材は、容器本体となるガラスウエハと熱膨張係数が略同一であるので、焼成時に熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が発生することを抑制することができる。更には、製品完成後に、周囲の環境温度が過度に変化したとしても、やはり熱膨張率の違いにより割れや歪等が発生することを抑制することができる。従って、品質信頼性をより高めることができる。
【0031】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記充填材が、ガラスフリットを有するガラスペーストの焼成物であることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記封止工程の際、前記充填材としてガラスフリットを有するガラスペーストを利用することを特徴とする。
【0033】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、容器本体となるガラスウエハと熱膨張係数が同一のガラスペーストを充填材として利用するので、熱膨張率の違いに起因する割れや歪等の発生を未然に防止することができる。従って、さらなる高品質化を図ることができる。
【0034】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記凹部の底面には、前記一対の貫通孔の間を横切るように凸条部が形成され、前記一対の電極活物質が、前記凸条部によって直接的な接触が規制されていることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記ウエハ加工工程の際、前記凹部の底面上に、前記一対の電極活物質が互いに直接的に干渉することを規制する凸条部を前記一対の貫通孔の間を横切るように形成することを特徴とする。
【0036】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、ウエハ加工工程の際、凹部の底面上に凸条部を形成する。この際、間隔を開けて並設された一対の貫通孔の間を横切るように凸条部を形成する。これにより、この後に固定される一対の電極活物質は、凸条部を間にして左右に隔離配置される。よって、一対の電極活物質が、直接的に接触して電気的にショートし難い。従って、より安全で高品質な電気化学セルとすることができる。
【0037】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記一対の電極活物質と前記封口板との間には、前記非水電解液が含浸された板状の含浸材が設けられていることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記充填接合工程の際、前記非水電解液を含浸する板状の含浸材を前記一対の電極活物質と前記封口板との間に挟み込ませた状態で、封口板を接合することを特徴とする。
【0039】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、一対の電極活物質と封口板との間に、非水電解液が含浸された板状の含浸材が挟み込まれているので、非水電解液を凹部内でより安定させた状態にすることができる。従って、安定した性能特性を得ることができる。また、非水電解液を凹部内に充填する際、含浸材が非水電解液を積極的に凹部内に引き込むので、短時間で速やかに凹部内に非水電解液を充填できる。よって、充填接合工程をより短時間で終わらせることができる。
【0040】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記容器本体には、前記封口板を位置決めさせる段差部が前記凹部の内周面に亘って形成されていることを特徴とする。
【0041】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記ウエハ加工工程の際、前記封口板を位置決めさせる段差部を前記凹部の内周面に亘って形成することを特徴とする。
【0042】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、封口板を接合する際に、段差部を利用して封口板を位置決めすることができる。従って、封口板の位置ずれを防止した状態で接合でき、凹部内を確実に気密封止することができる。また、接合前に封口板が安定するので、封口板の接合作業が行い易くなる。
【0043】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記封口板上には、封口板を封止する耐腐食性の封止材が設けられていることを特徴とする。
【0044】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記充填接合工程後、耐腐食性の封止材を利用して前記封口板をさらに封止することを特徴とする。
【0045】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、封止材によって封口板がさらに封止されているので、凹部内の気密性をさらに確実なものとすることができる。従って、耐久性をさらに高めることができ、より長期的な保存が可能となる。
【0046】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記封口板が、前記容器本体と熱膨張係数が略同一の材料からなり、接着剤により接合されていることを特徴とする。
【0047】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記充填接合工程の際、前記封口板として前記ガラスウエハと熱膨張係数が略同一の材料からなる封口板を利用し、該封口板を接着剤により接合することを特徴とする。
【0048】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、接着剤を利用して封口板を強固に接合するので、凹部内をより確実に気密封止することができる。特に、封口板は、容器本体となるガラスウエハと熱膨張係数が略同一であるので、接合時に接着剤を乾燥させるために加熱したとしても、熱膨張率の違いにより割れや歪等が発生することを抑制することができる。更には、製品完成後に、周囲の環境温度が過度に変化したとしても、やはり熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が発生することを抑制することができる。従って、品質信頼性をより高めることができる。
【0049】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記封口板が、絶縁性の板材であることを特徴とする。
【0050】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記充填接合工程の際、前記封口板として絶縁性の封口板を利用することを特徴とする。
【0051】
この発明に係る電気化学セル及び電気化学セルの製造方法においては、封口板が絶縁性でるので、万が一衝撃等によって一対の電極活物質が封口板に接触してしまったとしても、封口板を介して電気的にショートしまうことを防止することができる。従って、より安全で高品質な電気化学セルとすることができる。
【0052】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記充填接合工程が、前記封口板に前記非水電解液を注入するための注入孔を予め形成しておく注入孔形成工程と、前記注入孔が形成された前記封口板を接合する接合固定と、前記注入孔から前記非水電解液を注入して前記凹部内に充填させ、前記一対の電極活物質を浸漬させる注入工程と、前記注入孔を塞いで、前記非水電解液が充填された前記凹部内を密閉状態に封止する塞ぎ工程と、を備えていることを特徴とする。
【0053】
この発明に係る電気化学セルの製造方法においては、充填接合工程の際、まず、接合前の段階で封口板に注入孔を予め形成する注入孔形成工程を行う。そして、注入孔が形成された封口板を接合する接合工程を行う。続いて、接合した封口板の注入孔から、非水電解液を凹部内に注入して充填させ、一対の電極活物質を浸漬させる注入工程を行う。最後に、注入孔を塞いで、凹部内を密閉状態に完全に封止する塞ぎ工程を行う。
上述したように、封口板を接合した後に非水電解液を注入できるので、非水電解液が零れたり、周囲に飛散したりするような可能性を低減することができる。よって、充填接合工程をより容易に行うことができると共に、電気化学セルの高品質化に繋げることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明に係る電気化学セルによれば、電界腐食の恐れがなく高品質化を図ることができるうえ、従来よりも遥かに薄型化を図ることができる。
また、本発明に係る電気化学セルの製造方法によれば、上記電気化学セルを、1枚のガラスウエハから時間をかけることなく一度に効率良く製造することができ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る電気化学セルの一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1に示す電気化学セルの側面図である。
【図3】図1に示す電気化学セルの下面図である。
【図4】図1に示す電気化学セルの断面矢視A−A図である。
【図5】図1に示す電気化学セルから、封止材、封口板、含浸材を取り外した状態を示す図である。
【図6】図1に示す電気化学セルを構成する容器本体の断面図である。
【図7】図1に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートに沿って図1に示す電気化学セルを製造する際の一工程であって、ガラスウエハの斜視図である。
【図9】図8に示すガラスウエハを加工して複数の凹部を形成した状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示すガラスウエハの一部拡大図である。
【図11】図9に示す状態の後、凹部の貫通孔に弁作用金属を成膜して集電体を形成した状態を示す断面図である。
【図12】図11に示す状態の後、集電体が形成された貫通孔を充填材で気密封止した状態を示す断面図である。
【図13】図12に示す状態の後、ガラスウエハの下面に外部電極膜を形成した状態を示す断面図である。
【図14】図13に示す状態の後、充填材で気密封止された貫通孔上に電極活物質を固定した状態を示す断面図である。
【図15】図14に示す状態の後、非水電解液の注入と含浸材のセットとを行った後、封口板で気密封止した状態を示す断面図である。
【図16】図15に示す状態の後、封止材で封口板をさらに封止した状態を示す断面図である。
【図17】本発明に係る電気化学セルの製造方法の変形例を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る電気化学セルの製造方法において、充填接合工程を行う際の変形例を示すフローチャートである。
【図19】図18に示すフローチャートに沿って充填接合工程を行う際の一工程を示す図であって、封口板に注入孔を形成した状態を示す図である。
【図20】図19に示す状態の後、注入孔が形成された封口板を容器本体に接合した状態を示す図である。
【図21】図20に示す状態の後、注入孔を介して非水電解液を注入している状態を示す図である。
【図22】従来の電気化学セルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1から図16を参照して説明する。なお、本実施形成では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタを例に挙げて説明する。
本実施形態の電気二重層キャパシタ1は、図1から図3に示すように、外観が略直方体のチップ形状とされた表面実装型タイプのキャパシタである。サイズの一例としては、長辺Lが約1mm〜2mm、短辺Wが約0.6mm〜1.6mm、高さHが約0.6mm〜0.9mmであり、非常に小型で薄型に設計されている。
この電気二重層キャパシタ1は、例えば、回路基板の半田が印刷された端子パターン上に載置した後、リフロー処理等を行うことで表面実装されるようになっている。
【0057】
以下、電気二重層キャパシタ1の構成について、詳細に説明する。
この電気二重層キャパシタ1は、図4に示すように、ガラス製の容器本体2と、集電体3と、充填材4と、封口板5と、一対の電極活物質6、7と、非水電解液Wと、一対の外部電極膜8、9と、で主に構成されている。なお、図4は、図1に示す電気二重層キャパシタ1の断面矢視A−A図である。
【0058】
容器本体2は、図4から図6に示すように、ソーダライムガラスによって略直方体状に形成されており、上面には凹み形成によって上方に開口した凹部10が形成されている。なお、図5は、後述する封止材18、封口板5及び含浸材19を取り外した状態での電気二重層キャパシタ1の上面図であり、図6は、容器本体2の断面図である。
凹部10は、後述する型のプレスによる熱成形によって形成されたものであり、下方に向かって漸次開口面積が小さくなる断面テーパ状に形成されている。つまり、凹部10の内周面は、垂直面から略20度程度傾斜した傾斜面となっている。
【0059】
凹部10の底面には、一対の貫通孔15、16が間隔を開けて左右に並ぶように形成されている。これら一対の貫通孔15、16は、凹部10と同様に型のプレスによる熱成形によって形成されたものであり、下方に向かって漸次縮径する断面テーパ状に形成されている。この際、一対の貫通孔15、16は、深さDが略0.2mm〜0.3mm程度、容器本体2の下面側に露出する径φが略0.3mm程度となるように形成されている。
【0060】
また、容器本体2には、封口板5を位置決めさせるための段差部2aが凹部10の内周面に亘って形成されている。これにより、傾斜面である凹部10の内周面は、段差部2aを境として第1の傾斜面(底面側)2bと第2の傾斜面(開口側)2cとに分かれるように設計されている。
ところで、凹部10の底面には、一対の貫通孔15、16の間を横切るように上方に膨出した凸条部17が形成されている。この凸条部17は、断面台形状とされ、容器本体2の短手方向(図5に示す矢印L方向)に沿って真っ直ぐ土手状に形成されている。この凸条部17によって、凹部10の底面は、長手方向に2つ区分けされた状態となっている。
【0061】
上記集電体3は、弁作用金属によって一対の貫通孔15、16の内周面に成膜された電極膜である。本実施形態の集電体3は、アルミニウムを0.5μm〜3μmの膜厚で成膜した薄膜の電極膜とされている。また、この集電体3は、貫通孔15、16の内周面だけでなく、凹部10の底面側と容器本体2の下面側とに若干延出するように形成されている。これにより、集電体3は、一対の電極活物質6、7と一対の外部電極膜8、9とに対してそれぞれ広範囲に接触して、導通性が確実に確保されるようになっている。
【0062】
上記充填材4は、集電体3が成膜された一対の貫通孔15、16内に充填され、一対の貫通孔15、16を気密封止する耐腐食性の充填材である。本実施形態の充填材4は、ペースト内にビスマス系のガラスフリットが混入したガラスペーストが焼成によって硬化した焼成物である。そのため、充填材4は、ソーダライムガラスからなる容器本体2と一体化した状態となっており、一対の貫通孔15、16を確実に気密封止している。
特に、この充填材4は、ガラスフリットを有するガラスペーストの焼成物であるので、下地となっているアルミニウム膜の集電体3に対して良好な気密性で接合する。この点においても、一対の貫通孔15、16の気密封止を確実なものにすることができる。しかも、ガラスフリットの熱膨張係数は、約8.8ppmであり、ソーダライムガラスからなる容器本体2の熱膨張係数(約8.5ppm〜9ppm)に近似しており、略等しい。そのため、焼成時や周囲の温度環境の変化時に、熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が容器本体2に生じ難くなっている。
【0063】
上記封口板5は、平面視長方形状の板材であり、凹部10の開口を塞ぐように容器本体2に接合され、凹部10内を密閉状態に封止している。具体的には、凹部10の内周面に形成された段差部2a上に載って位置決めがされた状態で、絶縁性の接着剤M1によって接合されている。この際、接着剤M1は、封口板5と段差部2aとの間、及び、封口板5と第2の傾斜面2cとの間に入り込んでいるので、凹部10内は確実に封止された状態となっている。しかも、封口板5は、段差部2a上に載って位置決めされているので、凹部10の底面に対して平行で、且つ、一定の距離を保った状態で接合されている。つまり、封口板5は、接合位置や傾き等の姿勢が常に最適な状態となったうえで接合されている。
【0064】
ところで、本実施形態の封口板5は、ニッケルを50%含む合金で、30℃〜380℃間の平均熱膨張係数が9.4〜10ppmのニッケル鉄合金で形成されており、ソーダライムガラスと熱膨張係数が近似(略同一)している。そのため、接着剤M1を乾燥させるために接合時に仮に加熱をしたとしても、熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が容器本体2に生じ難くなっている。この点は、製品完成時に周囲の温度環境が変化した場合も同様の効果を期待することができる。
しかも、封口板5は、熱酸化処理により表面に酸化膜が形成された絶縁性の板材とされている。なお、封口板5の厚みとしては、50μm〜100μm程度であるが、ニッケル鉄合金の金属であるので、割れ等が生じ難く、取り扱いに優れている。
【0065】
また、凹部10内を封止しているこの封口板5は、耐腐食性の封止材18によってさらに封止されている。この封止材18は、封口板5を覆うように塗布されたポッティング用樹脂が熱硬化したものであり、封口板5及び第2の傾斜面2cに対して強固に固着されている。
【0066】
上記一対の電極活物質6、7は、例えば、活性炭(フェノール樹脂による活性炭とヤシガラによる活性炭との組み合わせ)を導電性材料からなるバインダを利用して円筒状に形成されたものであり、導電性接着剤M2によって一対の貫通孔15、16に対向するように凹部10の底面上に固定されている。この際、一対の電極活物質6、7は、それぞれ集電体3の一端側に電気的に接続されており、導通した状態となっている。つまり、一方の電極活物質6は一方の集電体3に導通し、他方の電極活物質7は他方の集電体3に導通している。
また、これら一対の電極活物質6、7は、凸条部17を間にして左右に隔離配置された状態となっている。そのため、一対の電極活物質6、7は、直接的な接触が規制されており、衝撃等を受けたとしても接触して電気的にショートがし難いように設計されている。
【0067】
上記非水電解液Wは、予め水を除去した有機溶媒であり、封口板5によって密閉された凹部10内に充填されており、一対の電極活物質6、7を浸漬させている。ところで、一対の電極活物質6、7と封口板5との間には、非水電解液Wが含浸された板状の含浸材19が設けられている。より具体的には、含浸材19は、一対の電極活物質6、7と封口板5との間に挟み込まれた状態で設けられている。非水電解液Wは、この含浸材19によって落ち着いて安定した状態となっている。
【0068】
上記一対の外部電極膜8、9は、導電性材料により容器本体2の下面に電気的に切り離された状態で成膜され、集電体3の他端側に導通する電極膜である。よって、一方の外部電極膜8が一方の集電体3を介して一方の電極活物質6に導通し、他方の外部電極膜9が他方の集電体3を介して他方の電極活物質7に導通している。そして、実装する際には、これら一対の外部電極膜8、9が回路基板側の端子パターン上に載った状態でリフロー処理することで、表面実装が可能とされている。
これら一対の外部電極膜8、9は、単一金属による単層の電極膜でも構わないし、異なる金属層が積層した電極膜でも構わない。積層する場合には、例えば、クロムと金とが2層に積層された電極膜、ニッケルクロムと金とが2層に積層された電極膜、クロムとパナジウムと金とが3層に積層された電極膜等である。
【0069】
このように構成された電気二重層キャパシタ1によれば、一対の外部電極膜8、9を介して電圧が印加されると、非水電解液W中の陽イオンと陰イオンとが一対の電極活物質6、7の表面において電気二重層を構成するので、電荷が蓄積されて電流が流れるようになっている。
この電気二重層キャパシタ1は、主に携帯電話、ICカード、コードレス電話、デジタルスチルカメラ、PDA、携帯用ゲーム機等のメモリや時計機能の電源バックアップとして好適である。
【0070】
次に、上述したように構成された電気二重層キャパシタ1を製造する製造方法について、図7に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、図8に示すガラスウエハ20を利用して、一度に複数の電気二重層キャパシタ1を製造する方法であって、ウエハ加工工程(S1)と、集電体形成工程(S2)と、封止工程(S3)と、外部電極膜形成工程(S4)と、固定工程(S5)と、充填接合工程(S6)と、切断工程(S7)と、を主に備えている。これら各工程について、詳細に説明する。
【0071】
はじめに、ガラスウエハ20に複数の凹部10をメッシュ状に形成すると共に、各凹部10の底面に間隔を開けて一対の貫通孔15、16を並設した状態でそれぞれ形成するウエハ加工工程(S1)を行う。
具体的には、まず図8に示すように、ソーダライムガラスからなるガラスウエハ20を用意する。次に、このガラスウエハ20を約1000℃程度まで加熱した後、ガラスウエハ20と熱膨張係数が近似するセラミックス材料からなる図示しない型によりガラスウエハ20をプレスして熱成形する。これにより、図9及び図10に示すように、ガラスウエハ20に複数の凹部10をメッシュ状に一度に形成することができる。この際、凹部10だけでなく、型を利用して同時に、段差部2a、一対の貫通孔15、16及び凸条部17を形成する。
【0072】
なお、本実施形態では、プレス後に型をガラスウエハ20から円滑に離型させるために、略20度のテーパ角度がついた突起部を有する型を利用する。そのため、凹部10及び一対の貫通孔15、16は、自然と断面テーパ状に形成されるようになっている。ところで、各図には明確に図示していないが、容器本体2の角部は意図的にR部を設けるのが好ましい。これは、型の耐久性(長寿命化)の点で、重要な点である。本実施形態では、容器本体2の下面側に露出する貫通孔15、16の径φが約0.3mmであるので、型の突起部の径を極めて細くする必要がある。そのため、突起部の根元は、とくに折損し易い。よって、この折損を防ぐ意味でも、R部を設けることが好ましい。
【0073】
なお、図10に示す点線は、後にガラスウエハ20を切断して容器本体2に個片化するための切断線L1、L2である。このうち切断線L1は容器本体2の長辺方向に並ぶ切断線であり、切断線L2は短辺方向に並ぶ切断線である。本実施形態では、切断代が“0”で凹部10が隣接するように複数形成している。これは、切断代が“0”であっても、各切断線L1、L2に沿って切断することが可能だからである。この点は、後の切断工程(S7)の際に説明する。
また、容器本体2のサイズを、長辺が2mm、短辺が1.6mmに想定した場合には、直径3インチのガラスウエハ20に対して約1200個の凹部10をメッシュ状に形成することが可能である。但し、図9及び図10では、図面を見易くするために、凹部10を大きく図示し、数を省略して図示している。
【0074】
以上によりウエハ加工工程(S1)が終了する。続いて、集電体形成工程(S2)に移行する前に、熱成形したガラスウエハ20をラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、約0.6mmの厚みに調整する。
【0075】
そして、ガラスウエハ20に洗浄等の適切な処理を施した後、一対の貫通孔15、16の内周面に弁作用金属であるアルミニウムを約1μm〜2μm成膜して集電体3を形成する集電体形成工程(S2)を行う。具体的には、一対の貫通孔15、16だけが露出するように図示しないメタルマスクでガラスウエハ20を両面マスクする。この際、一対の貫通孔15、16周辺の凹部10の底面と、ガラスウエハ20の下面とが若干露出するようにマスクする。
マスクが終了した後、蒸着法等によりマスクされていない部分にアルミニウムを成膜する。これにより、図11に示すように、一対の貫通孔15、16の内周面にアルミニウムが成膜した集電体3を形成することができる。しかも、凹部10の底面側とガラスウエハ20の下面側に延出した状態で集電体3を形成することができる。
【0076】
なお、集電体3を形成する際、まず、下地層としてクロム層を約0.2μm形成した後にアルミニウム膜を形成することが好ましい。このように下地層を形成することで、アルミニウム膜をソーダライムガラスからなるガラスウエハ20に対してより密着性良く形成することができる。従って、膜剥がれ等の可能性をより低減することができる。なお、下地層としては、クロム層以外にチタン層でも良く、同様の効果を得ることができる。
【0077】
次いで、集電体3が形成された一対の貫通孔15、16を充填材4で塞いで気密封止する封止工程(S3)を行う。具体的には、まず、ビスマス系のガラスフリットからなるガラスペーストを用意する。なお、このガラスペーストは、粘度が約420Pa・秒であり、熱膨張係数がソーダライムガラスからなるガラスウエハ20の熱膨張係数(8.5ppm〜9ppm)に近似する約8.8ppmである。
続いて、一対の貫通孔15、16に対応した孔を有するメタルマスクを準備すると共に、このメタルマスクをガラスウエハ20の下面にセットする。これにより、一対の貫通孔15、16だけが露出した状態となる。メタルマスクをセットした後、ガラスウエハ20の下面側からガラスペーストをスクリーン印刷して、一対の貫通孔15、16内に充填させる。
【0078】
この際、一対の貫通孔15、16は、ガラスウエハ20の下面側に向かうにつれて漸次縮径するテーパ状であるが、ガラスペーストの粘度は上記値であるので、十分穴埋めが可能である。なお、スクリーン印刷する際、凹部10側を図示しない治具によりエアー抜きして負圧にすることが好ましい。こうすることで、より円滑にガラスペーストを一対の貫通孔15、16内に充填することができる。
【0079】
ガラスペーストを充填した後、大気中において約150℃で10分間の乾燥を行い、続いて、酸素を微量含んだ窒素雰囲気中でガラスペーストからバインダを取り除く脱バインダ工程を実施する。この脱バインダ工程は、約300℃で1時間行う。なお、バインダとなる樹脂としてエチルセルロースを選択した場合には、樹脂を燃焼させるために脱バインダ時に酸素を必要とする。真空焼成炉内にガラスウエハ20を投入した後、真空引きによって焼成炉内を真空状態にする。そして、真空引きを停止した後、窒素ガスを焼成炉内に導入し、焼成炉内の大気を窒素雰囲気に置換する。置換後、焼成炉内の温度を約480℃〜500℃まで昇温させ、1時間の条件でガラスペーストを焼成する。
【0080】
ガラスフリットの軟化点は422℃であるので、上記温度はガラスウエハ20の全ての貫通孔15、16に充填されたガラスフリットを焼成させるのに十分な温度である。しかも、貫通孔15、16の内周面に形成されたアルミニウム膜の集電体3を剥離させたり、膜質の劣化を誘因させたりする温度ではない。
この焼成によって、ガラスペーストは硬化して焼成物となり、ガラスウエハ20と一体化する。よって、図12に示すように、充填材4により一対の貫通孔15、16を確実に気密封止することができる。
【0081】
なお、エチルセルロース系の樹脂ではなく、アクリル系の樹脂をバインダとして用いた場合には、アクリルの熱分解を期待できるので、酸素を必要とすることなく脱バインダ工程を行うことができる。従って、この場合には、脱バインダ工程と焼成固定とを分ける必要がない。つまり、焼成工程の中の焼成温度パターンの中に、脱バインダ工程の温度パターンを組み込むことが可能となるので、作業が大幅に効率化でき、封止工程(S3)をより短時間で行うことができる。
【0082】
次いで、ガラスウエハ20の下面に導電性材料を成膜して、一対の外部電極膜8、9を形成する外部電極膜形成工程(S4)を行う。具体的には、外部電極膜8、9の形状で孔が形成された図示しないメタルマスクをガラスウエハ20の下面側にセットする。メタルマスクのセット後、マスクされていない部分にスパッタ法等で導電性材料を成膜する。これにより、図13に示すように、ガラスウエハ20の下面に、互いに電気的に切り離された状態で、下面側に露出している集電体3にそれぞれ導通する一対の外部電極膜8、9を形成することができる。つまり、この時点で一方の外部電極膜8が一方の集電体3に導通し、他方の外部電極膜9が他方の集電体3に導通した状態となる。
【0083】
なお、本実施形態では、導電性材料を成膜する際に、先にクロムを成膜した後に金を成膜する。つまり、クロムと金とが2層に積層された外部電極膜8、9とする。こうすることで、ガラスウエハ20の下面側には、2層に積層された一対の外部電極膜8、9が複数形成されることになるので、ガラスウエハ20の剛性を高めることができる。ガラスウエハ20には、凹部10が複数形成されているので、剛性が若干低下した状態であると予想できるが、外部電極膜形成工程(S4)以降に関しては、ガラスウエハ20の剛性を高めることができ。曲げや反り等の変形に強いウエハとすることができる。従って、これ以降、切断工程(S7)に至るまでガラスウエハ20の取り扱いに極端な慎重を期する必要がない。
【0084】
上記外部電極膜8、9の形成後、固定工程(S5)又は切断工程(S7)のいずれかに移行するが、本実施形態では固定工程(S5)を先に行う。
即ち、ガラスウエハ20に形成された複数の凹部10内のそれぞれに、一対の電極活物質6、7を固定する固定工程(S5)を行う。具体的には、一対の貫通孔15、16に充填されて気密封止を行っている充填材4上に導電性接着剤M2を適量塗布した後、一対の電極活物質6、7を載置する。載置された一対の電極活物質6、7は、凹部10側に露出している集電体3の一端側にそれぞれ導通する。これにより、一方の電極活物質6が一方の集電体3を介して一方の外部電極膜8に導通し、他方の電極活物質7が他方の集電体3を介して他方の外部電極膜9に導通した状態となる。
なお、凹部10の底面上には、凸条部17が形成されているので、一対の電極活物質6、7が接触し難く、ショートを防止することができる。
【0085】
そして、全ての凹部10内に一対の電極活物質6、7を載置した後、導電性接着剤M2を乾燥させる。この際、真空中でガラスウエハ20を所定の温度まで加熱することで乾燥させても構わない。これにより、図14に示すように、全ての凹部10内で一対の電極活物質6、7を強固に固定することができる。その後、ガラスウエハ20を大気中に戻し、常温になるまで待機させる。
【0086】
次いで、凹部10内に非水電解液Wを充填して一対の電極活物質6、7を浸漬させると共に、凹部10の開口を塞ぐように封口板5を接合して凹部10内を密閉状態に封止する充填接合工程(S6)を行う。具体的には、まず、ガラスウエハ20の各凹部10内に非水電解液Wを所定量注入して充填し、固定した一対の電極活物質6、7を非水電解液Wに浸漬させる。
続いて、封口板5を接合する前に、板状の含浸材19を一対の電極活物質6、7を覆うように凹部10内にセットする。すると、非水電解液Wは含浸材19に含浸されるので、凹部10内でより安定した状態となり、凹部10内から溢れることがない。
なお、非水電解液Wを注入する前に含浸材19をセットしても構わない。この場合には、含浸材19の後に非水電解液Wを注入するので、含浸材19が非水電解液Wを積極的に凹部10内に引き込む。従って、短時間で速やかに非水電解液Wを凹部10内に充填することができる。
【0087】
非水電解液Wの注入が終了した後、各凹部10に形成された段差部2aと、内周面の開口側である第2の傾斜面2cの段差部2a側とに絶縁性接着剤M1を塗布する。その後、各凹部10内に封口板5をセットして、各凹部10の開口を塞ぐ。この際、一対の電極活物質6、7との間で含浸材19を挟み込みながら段差部2a上に載置するように封口板5を接着する。特に、段差部2aで封口板5を位置決めできるので、凹部10の底面に平行で且つ一定の距離離間した状態で封口板5を確実に接着することができる。
【0088】
なお、封口板5は、以下のようにして事前に準備しておく。
まず、厚みが50μm〜100μm程度のニッケル鉄合金を、凹部10の開口に収まる形状、サイズにプレスやエッチングで切断した後、バリ等をバレル研磨で取り除く。続いて、表面を洗浄した後、熱酸化処理を施して絶縁性を付与する。このようにして、封口板5を事前に準備しておく。
【0089】
各凹部10内に封口板5を接着した後、ガラスウエハ20を加熱炉に投入し、所定の温度に加熱する。これにより、絶縁性接着剤M1を乾燥させることができ、図15に示すように、封口板5により凹部10内を確実に気密封止することができる。
【0090】
続いて、ガラスウエハ20を切断する前に、耐腐食性の封止材18を利用して封口板5をさらに封止する工程を行う。即ち、封口板5上にポッティング用樹脂を塗布して封口板5を埋没させる。そして、加熱炉等を利用してガラスウエハ20を所定の温度に加熱して、ポッティング用樹脂を熱硬化させる。これにより、図16に示すように、ポッティング用樹脂は、封口板5及び第2の傾斜面2cに対して強固に固着した封止材18となる。これにより、凹部10内の気密封止をさらに確実なものとすることができる。この時点で、充填接合工程(S6)が終了する。
【0091】
次いで、ガラスウエハ20を切断して複数の容器本体2に個片化する切断工程(S7)を行う。具体的には、波長が355nmのUVレーザ装置を準備し、レーザ出力、繰り返し周波数、走査速度を所定の値にセットする。続いて、UVレーザ装置からレーザ光を照射しながら図10に示す切断線L1、L2に沿って走査させ、表面近傍の内部にマイクロクラックを発生させる。続いて、ブレイク装置を利用して、切断線L1、L2に沿ってマイクロクラックが内部に発生しているガラスウエハ20を機械的に割断して個片化する。これにより、ガラスウエハ20を複数の容器本体2に小分けすることができ、図1から図4に示す電気二重層キャパシタ1を一度に複数製造することができる。
【0092】
特に、マイクロクラックを利用した割断を行うので、切断代を“0”にすることが可能であり、より多くの電気二重層キャパシタ1を多数個取りすることができる。また、マイクロクラックを利用した割断を行う場合には、レーザ光の走査速度を約50mm/秒程度に設定することが可能である。従って、直径3インチ程度のガラスウエハ20を切断するのに要する時間を、1枚当たり数分以内で行うことが十分に可能である。
【0093】
その後、個片化した電気二重層キャパシタ1について電気特性検査を行うと共に、外観検査を行って寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって電気二重層キャパシタ1の製造が終了する。
【0094】
特に、上述した製造方法によれば、1枚のガラスウエハ20から一度に複数の電気二重層キャパシタ1を製造できるので、非常に効率良く製造することが可能であり、低コスト化を図ることができる。しかも、従来のように容器本体2の内部に入り込むように集電体3を形成する必要がなく、一対の貫通孔15、16の内周面に単に成膜するだけで済む。従って、製造が容易であり、この点においても製造効率の向上化に繋げることができる。
【0095】
また、集電体3は、弁作用金属であるアルミニウムからなるので、一対の電極活物質6、7に導通する一端側が非水電解液Wに触れたとしても、電界腐食の恐れがない。よって、電気特性に何ら影響を与えることがなく、電気二重層キャパシタ1の高品質化を図ることができる。更に、本実施形態の集電体3は、正極集電体3を保護する役割を担っていた従来の被膜部とは違うので、膜厚を必要以上に厚くする必要がなく、1μm〜2μm程度の薄膜で十分である。従って、短時間で容易に成膜することができ、集電体形成工程(S2)に費やす時間を極力短くすることができる。この点、全体の製造時間の短縮に非常に貢献することができ、やはり製造効率の向上化に繋げることができる。
【0096】
また、一対の貫通孔15、16が充填材4で確実に気密封止されているうえ、凹部10の開口は封口板5の接合によってやはり確実に封止されている。つまり、一対の電極活物質6、7及び非水電解液Wが収容されている凹部10内は、確実に気密封止されている。従って、この電気二重層キャパシタ1は、耐久性に優れており、長期的な保存が可能である。なお、充填材4は、耐腐食性であるので集電体3と同様に非水電解液Wの影響によって電解腐食する恐れがない。従って、電界腐食によって気密封止が損なわれる恐れがない。
更に、一対の電極活物質6、7は、凹部10の底面上に横に並んだ状態で固定されている。よって、厚さ方向に並ぶ場合よりも、遥かに薄型化を図ることができる。従って、本実施形態の電気二重層キャパシタ1は、今後ますます小型化が図られる各種電子機器に好適に実装することが可能である。
【0097】
更に、本実施形態によれば、上記作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
まず、集電体3が一対の貫通孔15、16の内周面だけでなく、凹部10の底面側とガラスウエハ20の下面側(容器本体2の下面側)とに延出するように形成されている。そのため、電極活物質6、7及び外部電極膜8、9に対して集電体3をより広範囲に接触させることができ、導通性をより確実なものにすることができる。しかも、集電体3は、成膜に適したアルミニウム膜であるので、短時間で集電体3を形成することができるうえ、膜剥がれ等を防止することができる。従って、この点においても製造効率の向上化、品質の向上化に繋げることができる。加えて、アルミニウムは、弁作用金属として非常に優れているので、耐腐食性を高めることができる。
【0098】
また、本実施形態の充填材4は、容器本体2となるガラスウエハ20と熱膨張係数が同一のガラスペーストを利用するので、焼成時に熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が発生することを抑制することができる。更には、製品完成後に、周囲の環境温度が過度に変化したとしても、やはり熱膨張率の違いにより割れや歪等が発生することを抑制することができる。
また、充填材4と同様に封口板5に関しても、容器本体2となるガラスウエハ20と熱膨張係数が略同一のニッケル鉄合金で形成されているので、加熱時や環境温度が過度に変化した時等でも、やはり熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が発生することを抑制することができる。
【0099】
また、この封口板5は、表面が熱酸化処理されて絶縁性となっている。そのため、万が一、衝撃等によって一対の電極活物質6、7が封口板5に接触したとしても、封口板5を介して電気的にショートしてしまうことを防止することができる。従って、より安全で高品質な電気二重層キャパシタ1とすることができる。
また、封口板5を接合する際、凹部10の内周面に形成された段差部2aに嵌め込むことで位置決めすることができる。従って、封口板5の位置ずれを防止した状態で接合でき、凹部10内を確実に気密封止できるうえ、接合作業が行い易くなる。
しかも、この封口板5は、封止材18によってさらに封止されている。従って、凹部10内の気密性をさらに確実なものとすることができ、耐久性を高めて、より長期的な保存が可能となる。
【0100】
また、凹部10内に固定された一対の電極活物質6、7は、凸条部17を間にして左右に隔離配置されている。よって、衝撃等を受けたとしても、一対の電極活物質6、7が直接的に接触して電気的にショートしてしまうことを規制することができる。この点においても、より安全で高品質な電気二重層キャパシタ1とすることができる。
【0101】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0102】
例えば、上記実施形態では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタ1を例に挙げて説明したが、この場合に限定されず、非水電解液二次電池等でも適用可能である。
【0103】
また、上記実施形態では、容器本体2となるガラスウエハ20をソーダライムガラスとして説明したが、硼珪酸ガラスを用いても構わない。但し、この場合には、熱膨張係数が近似する鉄ニッケルコバルト合金を利用して封口板5を形成することが好適である。特に、硼珪酸ガラスは、ソーダライムガラスよりも耐熱性や耐熱衝撃特性に優れることから、温度環境がより厳しい用途に適している。
また、ガラスウエハ20の一例として、円板状のウエハを例に挙げて説明したが、円板状に限定されず、長方形や正方形等の角形のウエハであっても構わない。
【0104】
また、上記実施形態では、一対の電極活物質6、7の一例として、フェノール樹脂による活性炭とヤシガラによる活性炭とを組み合わせ活性炭を、導電性材料からなるバインダを利用して円筒状に形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、おが屑、椰子殻、ピッチ等を賦活処理して得られる粉末状活性炭を、適当なバインダと一緒にプレス成形又は圧延ロールしたものを電極活物質としても構わない。また、フェノール系、レーヨン系、アクリル系、ピッチ系等の繊維を、不融化及び炭化賦活処理して活性炭又は活性炭素繊維とし、これをフェルト状、繊維状、紙状又は焼結体状にしたものを電極活物質としても構わない。さらには、ポリアニリン(PAN)やポリアセン等も利用することが可能である。
【0105】
また、上記実施形態において、非水電解液Wとしては、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類等が好適に用いられる。
具体的には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、γ−ブチロラクトン(γBL)、2メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−エトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルブチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル、テトラヒドロフラン(THF)、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、無水マレイン酸、スルホラン、3−メチルスルホラン等の非水溶媒及びこれらの誘導体や混合物等が好ましく用いられる。
【0106】
また、非水電解液W中に存在する主な不純物としては、水分や、有機過酸化物(例えばグリコール類、アルコール類、カルボン酸類)等が挙げられる。この種の各不純物は、電極活物質の表面に絶縁性の被膜を形成し、界面抵抗を増大させるものと考えられる。従って、サイクル寿命や容量の低下に影響を与える恐れがある。また高温(60℃以上)貯蔵時の自己放電も増大する恐れがある。このようなことから、非水電解液Wにおいては不純物ができるだけ低減されることが好ましい。具体的には、水分は50ppm以下、有機過酸化物は1000ppm以下であることが好ましい。
【0107】
また、上記実施形態では、ウエハ加工工程(S1)の際、型を利用した型成形で行う場合を例に挙げて説明したが、他の方法で行っても構わない。例えば、型成形の場合には、凹部10と貫通孔15、16とを同時に形成できるという利点があるが、サンドブラスト法を用いたとしても、同様の加工精度で凹部10と貫通孔15、16とを同時に形成することが可能である。
特に、サンドブラスト法を採用した場合には、型成形の場合に比べて、より大口径のガラスウエハであっても加工が可能である点と、加工後に原則としてガラスの厚みを調整する研磨工程が不要となる点とが、利点として挙げられる。従って、ガラスウエハ20を大口径化して、容器本体2の取り個数を増大させるという点では、有利な方法である。加えて、サンドブラスト法の場合には、型成形とは異なり、ガラスウエハ20の温度を上げる必要がない。そのため、温度上昇に費やす時間を短縮できるうえ、ガラスウエハ20に与える加熱時の負荷を抑制することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、凸条部17を形成した場合を例に挙げて説明したが、必須なものではなく設けなくても構わない。但し、一対の電極活物質6、7を物理的に左右に隔離して直接的な接触を未然に防止できるので、振動や落下衝撃等に対する信頼性を向上できる点で凸条部17を設けることが好ましい。仮に、凸条部17を設けない場合には、一対の電極活物質6、7間にセパレータを挟み込むように配置しても構わない。
一方、凸条部17を設ける場合には、電極活物質6、7の形状に倣った形にしても構わない。つまり、電極活物質6、7が球状や円筒状の場合には、凸条部17の外表面が球の曲率に近い曲線となるように形成しても構わない。こうすることで、一対の電極活物質6、7を互いにより近接させて、且つ、安定に保持することが可能である。
【0109】
また、上記実施形態では、アルミニウムを成膜して集電体3を形成したが、弁作用金属であればアルミニウムでなくても構わない。例えば、チタンを1μm〜2μmの膜厚に成膜して、チタン膜を集電体3として機能させても構わない。この場合であっても、アルミニウムの場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、充填工程の際、スクリーン印刷法によりガラスペーストを一対の貫通孔15、16内に充填させたが、ディスペンサを用いた塗布方法で充填しても構わない。この場合であっても、ガラスペーストを確実且つ略同じ時間で充填することが可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、ニッケル鉄合金で封口板5を形成したが、この材料に限定されるものではない。例えば、ガラスウエハ20と同じソーダライムガラスを封口板5として利用しても構わない。但し、この場合には、ニッケル鉄合金の時とは違い、板厚を50μm〜100μm程度にしてしまうと取り扱いに慎重を要する必要がある。従って、板厚のやや厚いものを選択するほうが好ましい。よって、電気二重層キャパシタ1の厚みがやや厚くなることが許容される場合に適している。
なお、封口板5の別材料の候補としては、耐熱性及び絶縁性を有するPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の樹脂を用いても構わない。
【0112】
また、上記実施形態では、封止材18を利用して封口板5をさらに封止したが、封止材18は必須なものではなく、設けなくても構わない。但し、凹部10内の気密封止をより確実なものにするには、封止材18を設けることが好ましい。封止材18を設ける場合には、凹部10内だけでなく、容器本体2の上面側まで面積を拡大して塗布するように設けても構わない。
【0113】
また、上記実施形態では、切断工程(S7)を行う際に、マイクロクラックを利用した割断による方法で切断した場合を例に挙げたが、切断代として0.1mm程度を許容できる場合にはダイサーを用いた切断をすることも可能である。特に、ダイシングをベベルカットとフルカットとの2段階で実施すれば、ベベルカットによる容器本体2の外形輪郭時にC面取りを施すことが可能となる。従って、完成した電気二重層キャパシタ1をピンセット等で掴むときに、ガラスのチッピングをより抑制することができるという利点がある。
【0114】
ところで、上記実施形態では、図7に示すように、最後に切断工程(S7)を行った場合を例に挙げて説明したが、この工程順序に限定されるものではない。図17に示すように、ガラスウエハ20の下面側に一対の外部電極膜8、9を形成した後、一対の電極活物質6、7を固定する前に、切断工程(S7)を行っても構わない。
この場合には、下面側に一対の外部電極膜8、9が複数形成された時点でガラスウエハ20を切断し、複数の容器本体2に個片化する。そして、個片化した各容器本体2の凹部10内に一対の電極活物質6、7を固定する固定工程(S5)を行い、その後、非水電解液Wの充填と、含浸材19のセットと、封口板5の接合と、封止材18の形成とを行う充填接合工程(S6)を行う。
この場合であっても同様に、1枚のガラスウエハ20からチップ型の電気二重層キャパシタ1を一度に複数製造することができる。但し、切断工程(S7)を最後に行うことで、充填接合工程(S6)までを1枚のガラスウエハ20のままで行えるので、製造効率をより高めることができ、好ましい。
【0115】
また、上記実施形態では、充填接合工程(S6)の際、さきに非水電解液Wを充填した後に封口板5を接合したが、封口板5を接合した後に非水電解液Wを充填しても構わない。この場合の充填接合工程(S6)について、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、導電性接着剤M2の熱硬化によって一対の電極活物質6、7を固定した後、含浸材19をセットしておく。次に、図19に示すように、封口板5に非水電解液Wを注入するための注入孔5aを予め形成しておく注入孔形成工程(S6a)を行う。この際、注入孔5aのサイズや位置や数は、自由に設定して構わない。
続いて、図20に示すように、注入孔5aが形成された封口板5を接合する接合工程(S6b)を行う。つまり、絶縁性接着剤M1を介して注入孔5aが形成された封口板5を段差部2a上に載るように凹部10の内周面に接着する。そして、絶縁性接着剤M1を乾燥させ、封口板5を接合する。
【0116】
続いて、図21に示すように、接合した封口板5の注入孔5aから非水電解液Wを凹部10内に注入して充填させ、一対の電極活物質6、7を浸漬させる注入工程(S6c)を行う。そして、最後に注入孔5aを塞いで凹部10内を密閉状態に完全に封止する塞ぎ工程(S6d)を行う。この際、注入孔5aを塞ぐ方法としては、例えば、注入孔5a内に穴埋め材料をセットし、局所的にレーザ光を照射して溶融させたり、溶接したりする方法が簡単である。
【0117】
特に、上記順番で充填接合工程(S6)を行う場合には、封口板5を接合した後に非水電解液Wを注入できるので、非水電解液Wが零れたり、周囲に飛散したりするような可能性を低減することができる。また、非水電解液Wを先に注入した場合には、絶縁性接着剤M1を塗布する領域である、段差部2aや第1の傾斜面2bに非水電解液Wが付着する可能性があり、付着した非水電解液Wを拭き取る手間が必要となってしまう。しかしながら、封口板5を接合した後に、非水電解液Wを注入するので、このような手間を省くことができる。
いずれにしても、充填接合工程(S6)をより容易に行うことができ、製造効率のさらなる向上化や、高品質化に繋げることができる。
【0118】
〔実施例〕
次に、上記実施形態で非常に重要である工程の1つである封止工程を実際に行って、貫通孔の気密が確実に行えたか否かを実際に確認した実施例について説明する。
前提として、ソーダライムガラスからなるガラスウエハに上記実施形態と同じサイズの貫通孔を形成した後、内周面にアルミニウムを約1μ〜2μm成膜して集電体を形成した。この状態から、封止工程を行った。
【0119】
まず、転移点370℃、軟化点422℃、熱膨張係数8〜9ppmのビスマス系のガラスフリットからなるガラスペーストを用意した。なお、ガラスペーストは、バインダとしてエチルセルロース系の樹脂のものを採用した。次に、このガラスペーストを貫通孔内に隙間なく充填した後、大気中において約150℃で10分間の乾燥を行った。次に、酸素を微量含んだ窒素雰囲気中で、ガラスペーストからバインダを取り除く脱バインダ工程を行った。この際、約300℃で1時間、脱バインダ工程を実施した。その後、約500℃、1時間の条件でガラスペーストを焼成した。
【0120】
その結果、ガラスペーストは硬化して焼成物となり、ガラスウエハと一体化したことが実際に確認できた。この際、焼成物である充填材とガラスウエハとの熱膨張率の違いに起因する割れや歪等が発生していないことを実際に確認できた。また、焼成によって集電体が剥離したり、膜質低下したりすることがないことを実際に確認できた。
次に、染色浸透探傷剤を利用して気密性の確認を行った。具体的には、まずガラスウエハの表側から赤色の浸透液を充填材に滴下する。続いて、ガラスウエハの下面側から現像液を噴霧し、浸透液が反対側に浸透しているか否かの確認を行った。その結果、浸透していないことを実際に確認でき、確実に気密がされていることを確認することができた。
【0121】
なお、上述したガラスペーストを利用した場合において、脱バインダ工程時に酸素を全く含まず、完全な窒素雰囲気中で行った場合には、気密性が不十分な場合があることが確認された。この場合の原因としては、エチルセルロース系の樹脂であるバインダが酸素不足により十分に燃焼されなかったため、バインダを十分に取り除くことができなかったことが原因と推測される。一方、バインダとしてアクリル系の樹脂を採用した場合には、完全な窒素雰囲気中で脱バインダ工程を行った場合であっても、十分な気密性を得ることができた。これは、アクリルの熱分解によってバインダを十分に取り除くことができたためと推測される。
【符号の説明】
【0122】
W…非水電解液
M1…接着剤
1…電気二重層キャパシタ(電気化学セル)
2…容器本体
2a…段差部
3…集電体
4…充填材
5…封口板
5a…封口板の注入孔
6、7…電極活物質
8、9…外部電極膜
10…容器本体の凹部
15、16…容器本体の貫通孔
17…凸条部
18…封止材
19…含浸材
20…ガラスウエハ
S1…ウエハ加工工程
S2…集電体形成工程
S3…封止工程
S4…外部電極形成工程
S5…固定工程
S6…充填接合工程
S6a…注入孔形成工程
S6b…接合工程
S6c…注入工程
S6d…塞ぎ工程
S7…切断工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹み形成された凹部を有し、該凹部の底面に一対の貫通孔が間隔を開けて並設されたガラス製の容器本体と、
弁作用金属によって前記一対の貫通孔の内周面に成膜された集電体と、
前記集電体が成膜された前記一対の貫通孔内に充填され、一対の貫通孔を気密封止する耐腐食性の充填材と、
前記凹部の開口を塞ぐように前記容器本体に接合され、凹部内を密閉状態に封止する封口板と、
前記一対の貫通孔に対向するように密閉された前記凹部の底面上に固定されると共に、前記集電体の一端側に導通する一対の電極活物質と、
密閉された前記凹部内に充填され、前記一対の電極活物質を浸漬させる非水電解液と、
導電性材料により前記容器本体の下面に電気的に切り離された状態で成膜され、前記集電体の他端側に導通する一対の外部電極膜と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、前記凹部の底面側及び前記容器本体の下面側に延出するように形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、アルミニウム又はチタンからなることを特徴とする電気化学セル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記充填材は、前記容器本体と熱膨張係数が略同一の材料からなる焼成物であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項5】
請求項4に記載の電気化学セルにおいて、
前記充填材は、ガラスフリットを有するガラスペーストの焼成物であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記凹部の底面には、前記一対の貫通孔の間を横切るように凸条部が形成され、
前記一対の電極活物質は、前記凸条部によって直接的な接触が規制されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記一対の電極活物質と前記封口板との間には、前記非水電解液が含浸された板状の含浸材が設けられていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記容器本体には、前記封口板を位置決めさせる段差部が前記凹部の内周面に亘って形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記封口板上には、封口板を封止する耐腐食性の封止材が設けられていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記封口板は、前記容器本体と熱膨張係数が略同一の材料からなり、接着剤により接合されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記封口板は、絶縁性の板材であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項12】
ガラスウエハを利用して一度に複数の電気化学セルを製造する方法であって、
前記ガラスウエハに複数の凹部を形成すると共に、各凹部の底面に間隔を開けて一対の貫通孔を並設した状態でそれぞれ形成するウエハ加工工程と、
前記一対の貫通孔の内周面に弁作用金属を成膜して集電体を形成する集電体形成工程と、
前記集電体が成膜された前記一対の貫通孔を耐腐食性の充填材で塞ぎ、一対の貫通孔を気密封止する封止工程と、
前記ガラスウエハの下面に導電性材料を成膜して、前記集電体の他端側にそれぞれ導通すると共に、互いに電気的に切り離された一対の外部電極膜を形成する外部電極膜形成工程と、
気密封止された前記一対の貫通孔に対向するように前記凹部の底面上に一対の電極活物質を固定すると共に、前記一対の貫通孔に成膜された前記集電体の一端側にそれぞれ導通させる固定工程と、
前記凹部内に非水電解液を充填して前記一対の電極活物質を浸漬させると共に、凹部の開口を塞ぐように封口板を接合して凹部内を密閉状態に封止する充填接合工程と、
前記固定工程及び前記充填接合工程を行う前段階又は後段階で、前記ガラスウエハを切断して複数の容器本体に個片化する切断工程と、を行うことを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記集電体形成工程の際、前記凹部の底面側及び前記ガラスウエハの下面側に前記集電体が延出するように前記弁作用金属を成膜することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記集電体形成工程の際、前記弁作用金属としてアルミニウム又はチタンを利用することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記封止工程の際、前記充填材として前記ガラスウエハと熱膨張係数が略同一の材料からなる充填材を利用し、該充填材を前記一対の貫通孔内に充填した後、焼成により硬化させることで一対の貫通孔を気密封止することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記封止工程の際、前記充填材としてガラスフリットを有するガラスペーストを利用することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記ウエハ加工工程の際、前記凹部の底面上に、前記一対の電極活物質が互いに直接的に干渉することを規制する凸条部を前記一対の貫通孔の間を横切るように形成することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記充填接合工程の際、前記非水電解液を含浸する板状の含浸材を前記一対の電極活物質と前記封口板との間に挟み込ませた状態で、封口板を接合することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記ウエハ加工工程の際、前記封口板を位置決めさせる段差部を前記凹部の内周面に亘って形成することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記充填接合工程後、耐腐食性の封止材を利用して前記封口板をさらに封止することを特徴とする電気化学セル。
【請求項21】
請求項12から20のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記充填接合工程の際、前記封口板として前記ガラスウエハと熱膨張係数が略同一の材料からなる封口板を利用し、該封口板を接着剤により接合することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記充填接合工程の際、前記封口板として絶縁性の封口板を利用することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項23】
請求項12から22のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記充填接合工程は、前記封口板に前記非水電解液を注入するための注入孔を予め形成しておく注入孔形成工程と、
前記注入孔が形成された前記封口板を接合する接合固定と、
前記注入孔から前記非水電解液を注入して前記凹部内に充填させ、前記一対の電極活物質を浸漬させる注入工程と、
前記注入孔を塞いで、前記非水電解液が充填された前記凹部内を密閉状態に封止する塞ぎ工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−161097(P2010−161097A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−693(P2009−693)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】