説明

電気的制御装置

【課題】
表示デバイスの表示や車両のステアリング等の多種類の制御を可能にする共通の小型、簡単かつ安価な電気的制御装置を提供する。
【解決手段】
電気的制御装置1は、制御レバー11、回転制御部材13及び電気回路15により構成されている。制御レバー11は、休止位置で制御レバーの面と直交する面で、旋回および制御レバーに平行方向に平行移動可能である。回転制御部材13は、休止位置で制御レバー11の面と直交する面で、旋回及び回転可能である。電気回路15は、制御レバー11及び回転制御部材13の種々の動きを制御信号に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的制御回路に関し、特に、旋回レバー及び回転制御部材を備える自動車用の電気的制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車には、その運転者及び同乗者のための電気的支援装置、及び利便性を提供するシステムを設けることが益々多くなっている。
【0003】
少し前までの自動車には、例えばエアコンシステム及びナビゲーションシステムの両方を備えるものは、極めて稀であったが、これらのシステムは、今や一般的になって、多くの人々が利用するようになり、自動車に標準装備されるようになっている。
【0004】
更に、電気システムは絶えず改良され、益々多くのパラメータのセッティングが提供されるようになっている。
【0005】
また、現在のオーディオシステムでは、異なる各種のクラスのラウドスピーカを設けて、左右及び前後のバランスを調整するようになっている。
【0006】
ラジオシステムでは、現在放送中のプログラムを高速サーチしたり、走行中のエリアの交通状態に関するメッセージを放送中の局の有無を知ることを可能にしている。
【0007】
エアコンシステムでは、最近、ゾーン別エアコンパラメータのセッティング管理が実用化されている。
【0008】
これらのシステムには、全て人間工学的に好ましく、かつ操作を容易にする適切な制御手段が必要である。
【0009】
自動車を制御し、かつ必要なコントロール数を最小限にするために、表示スクリーンに関連づけた多機能コントロールが、自動車の分野に現われてきている。
【0010】
しかし、これらの公知のコントロールは、一般に、スクリーンに表示されたメニューのナビゲート、又は選択に使用可能なコントロールレバー型又はジョイスティック型である。例えばコントロールのグリップエレメントを押すことにより、所望の機能を選択する。
【0011】
更に、このジョイスティックには、例えば音量調節機能を選択すると、オーディオシステムの音量を増減させるようになっている回転コントロール部材が設けられている。
【0012】
従って、単一の多機能コントロールにより、自動車の多くの電子システム及び機能の制御が可能である。制御可能な機能の数が多いので、このジョイスティックは、ドライバにとって優先順位の高いインタフェースになりつつある。
【0013】
その結果、このジョイスティックの自由端は、車両、例えば特にステアリングホイールにとって、重要な位置を占めつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、この最新の多機能制御装置において、例えばこの自由端に、ロゴ(即ち、会社名や商品名)を付した場合、このロゴが回転するのは好ましくない。
【0015】
本発明は、かかる従来技術の課題に対する解決策を提供することを主目的としている。
【0016】
さらに、公知のジョイスティックは、一般に構造が複雑であり、特に電気的かつ電子工学的検知において然りである。
【0017】
本発明の他の目的は、車両等の制御に使用される電気/電子部品を、簡単にする装置を提供することである。
【0018】
上述した課題とは別に、本発明の他の目的は、高い信頼性をもって照明することができる制御レバーを備える多機能制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を達成するため、本発明の電気的制御装置は、次の如き特徴的な構成を採用している。即ち、制御レバーと、回転運動可能であり、かつ休止位置で制御レバーと直交する面で旋回可能な回転制御部材と、制御レバー及び回転制御部材の種々の運動を制御信号に変換する電気回路とを備え、制御レバーは、休止位置で制御レバーと直交する面で旋回可能であり、かつ休止位置で制御レバーと平行方向に移動可能である電気的制御装置であって、
休止位置で、制御レバーと平行方向に予め決められた移動が可能であり、かつ制御レバーを回転的に固定に維持するレバーベースと、制御レバーに旋回可能に連結されて、回転制御部材を支持するユニバーサルジョイントコネクションとを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
上述のような特徴的な構成を採用する本発明の電気的制御装置は、次のような特有の効果を奏する。
【0021】
単一又は共通の制御レバーを、旋回、回転、又はスライド運動させることにより、それぞれ予め決められた複数の異なる制御を行うことが可能であるので、種々の装置を実装する車両、その他の機器、又は装置の制御を、簡単に、小型化して、かつ安価に実現することが可能である。また、制御レバーを、印刷回路カードに実装された発光ダイオード等の照明手段により、簡単かつ効果的に照明することも可能である。
【0022】
これら及びその他の効果は、本発明の好適な実施例に関する以下の詳細説明から、当業者には容易に理解できると思う。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による電気的制御装置の好適な実施例の構成及び動作を、添付図を参照して詳細に説明する。添付図は、本発明による電気的制御装置の好適実施例の異なる図であり、説明の便宜上、これらの図面中の対応する構成要素には、同様の符号を使用することとする。
【0024】
図1は、本発明による電気的制御装置(以下、単に「制御装置」という場合もある)1の好適実施例の組立状態における全体構成を示す斜視図である。
【0025】
この制御装置1は、複数のねじ手段(分解斜視図を示す図2及び組立状態の断面図を示す図5参照)9を使用して組立てられるボトム5及びカバー7よりなるケーシング3内に収容されている。
【0026】
制御装置1は、制御レバー11を備えている。この制御レバー11は、その休止又は静止位置で、制御レバーと直交する面内で、旋回可能に構成されている。
【0027】
図1及び図5においては、制御レバー11は、休止位置にある。即ち、図1及び図5中の制御レバー11は、ボトム5の面とほぼ直交している。
【0028】
制御レバー11の旋回動作は、図1中に矢印TX1、TX2、TY1、TY2で示している。従って、X軸に沿う第1旋回方向、及びこれと直交するY軸に沿いかつ第1方向と同じ面である第2旋回方向がある。
【0029】
表示スクリーンとの多機能システムにおいては、これらの旋回動作は、例えばメニューのプルダウン制御に使用可能である。
【0030】
更に、制御レバー11は、休止位置で制御レバーと平行方向、即ち制御レバー11の長さ方向へ平行移動することも可能である。この位置は、図1中に矢印TZ1で示してある。
【0031】
従って、この移動は、ユーザが押圧して、例えば前に選択した機能を確認するために実施されるのが一般的である。
【0032】
また、本発明の制御装置は、その軸を中心に回転運動するように運動可能な回転制御部材13を備えている。
【0033】
この回転制御部材13は、制御レバー11と同様に動いて旋回可能である。即ち、その休止位置で制御レバー11と直交面内で旋回運動する。
【0034】
制御レバー11及び回転制御部材13の種々の運動は、電気回路15を使用して、制御信号に変換される。この電気回路15は、その詳細を後述する如く、例えば電気接続ルーム17を介して、ユニット(図示せず)に接続され、この制御信号を処理して使用される。
【0035】
以下、この制御装置1の種々の部品や構成要素について、図2〜図5を参照して説明する。
【0036】
図2及び図3の分解斜視図から理解されるように、制御レバー11は、レバーベース19に回転的に固定して保持されている。このレバーベース19は、休止位置で、制御レバー11に対して平行方向、即ち方向TZ1へ所定範囲で移動可能である(図1参照)。
【0037】
制御レバー11は、所望デザインに応じてレバーのグリップ部材(図示せず)に、リンク、即ち連結されるように構成された自由端又はグリップ端21を有する。
【0038】
他端23は、球形であり、球形端部と呼ぶ。この球形端23は、直径方向に2個のドッグポイント25を有する。これらのドッグポイント25は、制御レバー11の旋回軸となるか、又はより正確には矢印TX1及びTX2方向への運動の旋回軸となる。
【0039】
制御レバー11を回転的に固定するために、レバーベース19は、ドーム状部の壁27を備えるとともに、制御レバー11の球形端部23を受容する球形ハウジング29をなしている。直径方向に対向するスロット31が壁29により形成され、2個のドッグポイント25を受けて、制御レバー11を回転的に不動とするとともに、スロット31内でドッグポイント25の摺動により、制御レバー11の旋回を可能にしている。この正確に定められた旋回動作は、図1中の矢印TY1及びTY2方向の動作である。
【0040】
ここに図示しない変形例として、制御レバー11の球形部と同じレベルに、別のドッグポイントを、また壁27と同じレベルに、別のスロットを設け、制御レバー11を回転的に固定して、別の旋回方向を付加することも可能である。
【0041】
レバーベース19の平行移動をガイドする手段35が設けられ、レバーベース19及び制御レバー11の安定な位置決めを行うようになっている。
【0042】
このレバーベース19のガイド手段35は、レバーベース19の底面33及び支持シート37により形成されている。
【0043】
レバーベース19のガイド手段35は、レバーベース19の底面33に形成された、少なくとも2個のガイドロッド39及び支持シート37に設けられた対応する2個の開口41により形成されている。
【0044】
好ましくは、2個のロッド39は、自由端におけるエンドストップ43を備え、休止位置において制御レバー11と平行方向、即ち図1中の矢印TZ1方向への制御レバー11の移動量を制限している。
【0045】
この方向TZ1における休止位置を定めるために、この制御装置は、ヘリカル又はテーパばねの如き弾性手段45を備え(図1等を参照)、レバーベース19の底面33及び支持シート37を押して、休止位置へ戻すようになっている。
【0046】
更に、ユーザの動作を伝達するために、レバーベース19は、その底面33に少なくとも1個、好ましくは2個の駆動ピストン47を備えている。各駆動ピストン47は、電気回路15による関連するスイッチの駆動が可能である。
【0047】
電気回路15は、印刷回路カード49、及びこのカード49上に配置されたフレキシブル被膜51により形成されている。このフレキシブル被膜51は、各ピストン47に対して弾性接触マウンド53を備え、ピストン47をフレキシブル被膜上で押すと、電気ループを閉じて制御信号を送り出すようになっている。
【0048】
図2中の下方に示すように、印刷回路カード49は、2個の重ね合わされた電気トラックの、例えばコイル状であるパターン状の接触ランド55を有する。
【0049】
マウンド53は、内部に金属又はカーボンのパッドを有し、関連するランド55と接触させられると、2個のトラック間の電気的接触を行わせ、これにより、電気的ループを閉じて制御信号の伝送を可能にするようになっている。
【0050】
本発明では、制御レバーの照明に関する課題も考慮している。即ち、この課題についても、本発明では個別に検討を加えている。
【0051】
そのため、制御レバー11は、光伝導性材料により製造され、印刷回路カード49は発光ダイオード(LED)57の如き発光手段を備えている。この発光手段は、休止位置における制御レバー11の軸に対して中心に配置されている。
【0052】
ここで、「光伝達性材料」とは、透明材料及び半透明材料の両方を包含するものと理解されたい。
【0053】
被膜51、支持シート37、及びレバーベース19は、それぞれ、中心開口59(図3)、61(図2)及び63(図5)を有している。これらの開口59、61、63は、光路(光の煙突状)を形成し、発光ダイオード57が放射する光は、これらの光路を介して通過し、制御レバー11の球形端23を介して結合され、制御レバー11のグリップ端21を照明する。
【0054】
この構成により、移動部品及び静止部品間の複雑な電気的接続、又は光結合を行うことなく、効果的な照明を確実に行うことができるのである。
【0055】
更に、制御レバー11の球形端23は、光学レンズの作用をして、その広い開口角により光結合を行い、光の損失を最小限にすることにも注目されたい。
【0056】
最後に、制御レバー11の右手部は、ウエーブガイド又は導波器として作用し、その端部21へ放出されるまで、制御レバー11内に光を閉じ込める。
【0057】
好ましくは制御レバー11は、プラスチック材料、特に高い光伝達特性を有するポリカーボネート製である。勿論、その他の透明又は半透明材料を使用してもよい。
【0058】
本発明による電気的制御装置の制御レバー11の構成及び作用の詳細について上述した。次に、回転制御部材13に焦点を当てて詳述する。
【0059】
回転制御部材13は、ユニバーサルジョイントコネクション65により、制御レバー11に旋回可能に連結される。
【0060】
これにより、制御レバー11がTX1、TX2、TY1及びTY2のうち所定方向へ旋回させられると、この回転制御部材13は、制御レバー11と共に旋回可能である。
【0061】
しかし、このリンクは、旋回についてのみ行われ、回転については行われない。そして、回転制御部材13は自由に回転できるが、制御レバー11は回転的には固定されている。
【0062】
図2及び図3に示すように、回転制御部材13は、全体的にベル状であり、その頂部67には、制御レバー11用の開口69が設けられている(図5参照)。
【0063】
このベル状の回転制御部材13は、回転制御部材のグリップ素子が形成された機械的リンク手段71を頂部に有しているのが好ましい。例えば、この機械的リンク手段71は、スナップ固定、ねじ固定、又は接着手段よりなっている。
【0064】
海底制御部材13のベル状部は、相互に反対側に2個の小さなスピンドル73を有し(図2参照)、ユニバーサルジョイントリング77内に組み込まれた2個のベアリング75と協働するようデザインされている。
【0065】
このユニバーサルジョイントリング77は、2個の揺動軸79を有し、スナップ固定リンクを介して、「円形スライドホルダ」と称される円形の部品81にスナップ固定されているが、その理由については後述する。
【0066】
この目的のため、この円形スライドホルダ81は、簡単なスナップ固定により、リング77のスピンドル73を受容可能な2個のベアリング支持構造83を有する。
【0067】
この円形スライドホルダと称される部品81は、支持シート37により、自由に回転可能に形成されているので、そのような名称を有する。従って、この円形スライドホルダ81は、回転制御部材13と共に自由に回転可能であり、かつユニバーサルジョイントコネクション65を、回転制御部材13と共に維持している。
【0068】
従って、回転制御部材13に与えた回転運動は、ユニバーサルジョイント65を介して、制御レバー11、及び回転制御部材13に与えられるかも知れない旋回運動とは独立して、円形スライドホルダ81へ伝達されることが、容易に理解できると思う。
【0069】
円形スライドホルダ81、及び支持シート37間の周辺部における回転摩擦を制限するために、支持シート37は、ガドルーン(丸ひだ装飾)と称される突起83を備えている。これはドーム状部であり、各ガドルーンのレベルで、円形スライドホルダ81及び支持シート37間に、事実上唯一のコンタクトがある。
【0070】
また、この支持シート37は、エッジ85を備えており、回転中の円形スライドホルダ81のガイド及びセンタリングを行うようになっている。
【0071】
回転制御部材13を介する回転制御のために、本発明による電気的制御装置には、円形スライドホルダ81の回転運動を検出する検出手段87が設けられている。
【0072】
これらの検出手段87は、図2の下部に示すように、光学手段であるのが有効かつ有利である。
【0073】
円形スライドホルダ81の回転運動を検出する検出手段87は、円形スライドホルダ81の底面91の周りに規則的に配置されたスクリーン部89及び少なくとも1個、好ましくは2個の光障壁部93を備えている。この光障壁部93は、電気回路により形成され、かつスクリーン部89が光ビームの測定を遮断するように配置されている。
【0074】
セル、即ち光障壁部93の前で、スクリーン部89がスクロールすると、方形信号を生成し、円形スライドホルダ81、及びひいては回転制御部材13の回転を測定するために使用される。
【0075】
回転制御部材13の回転方向を検出するために、本発明の電気的制御装置は、相互にオフセットされた位置にある少なくとも2個の光障壁部93を備えているのが最良であることが判明した。
【0076】
図示しない本発明の変形例として、円形スライドホルダ81の回転運動を検出するために、磁気手段を、光学手段の代わりに、使用することも可能である。
【0077】
上述した各部品は、同じ印刷回路カード49上に、コンタクトランドとして形成するのが効果的であることが確認された。
【0078】
光障壁部93は、フレキシブル被膜51の関連する開口95を通過するフォーク状である(図2参照)。
【0079】
この段階で、本発明による電気的制御装置の全ての構成要素、及び相互に関連のないTZ1方向の運動並びに回転運動の動作説明を行った。更に、制御レバー11及び回転制御部材13の旋回運動についても説明した。
【0080】
次に、この電気的制御装置が、如何にして旋回運動を制御信号に変換するかについて説明する。
【0081】
この旋回運動は、制御レバー11について行われるが、それは回転制御部材13を介して、特にベルの底面周辺97を介在して伝達される。このベルは、制御エッジを規定し、少なくとも1個の関連するスイッチと協働して、電気回路、即ち印刷回路カード49により旋回運動を検出する。
【0082】
この印刷回路カード49の電気回路は、制御レバー11により規定され、かつ直交旋回軸を規定する回路の中心に対して反対側に、対として配置された4個のダブルスイッチ99を備えている(図2参照)。
【0083】
次に、動作について説明する。底面周辺の制御エッジ97は、印刷回路カード49のコンタクトランド99により形成されたダブルスイッチ99と協働する。これらのダブルスイッチ99は、ピストン101の介在で旋回運動を検出可能にする。これらのダブルスイッチ99は、マウンド53及びコンタクトランド55により形成されるスイッチと同様の構成であり、かつ同様に動作する。
【0084】
複数のピストン101は、支持シート37に設けられた同様の形状の開口103に受容され、レバーベース19のピストン47を駆動する。従って、これらのピストンは、支持シート37により、摺動可能にガイドされる。
【0085】
本発明による電気的制御装置の上述した特定の構成により、電気回路を大幅に簡略化できることに注目されたい。
【0086】
事実、全ての電気回路は、関連するフレキシブル被膜51を有する単一の印刷回路カード49上にマウント可能である。
【0087】
可動部分に配置された電気部品は皆無であるので、電気的接続の問題が回避でき、かつこの電気的制御装置の信頼性及び寿命が、大幅に改善される。
【0088】
最後に、旋回、押圧、及び回転運動を分解することにより、旋回及び押圧に関する単一スイッチを閉じるため、又は回転に関する光学部品を介する簡単な検出するため、全ての構成部品を、同じ印刷回路カード49上に搭載したことにより、顕著なコスト低減化が可能となっている。
【0089】
旋回運動TX1、TX2、TY1、TY2及び押圧動作TZ1の全ての検出に、ダブルスイッチを使用することにより、ユーザに与える力を、良好にコントロールすることが可能である。更に、2個のスイッチ間で負荷分担することにより、特にフレキシブル被膜のレベルにおいて、このフレキシブル被膜への機械的なストレスを低減し、かつ実行可能なサイクル数を増加すると共に、動作環境を、ユーザに最適に、かつ一様にすることができる。
【0090】
実際に、この種の電気的制御装置において、触感及びその制御性と再現性は、ユーザにとり決定的に重要な要素である。上述した如く、旋回動作およびTZ1方向への押圧動作では、触感を与えるのは、フレキシブル被膜のマウンド53及び100である。回転運動に対する触感について、本発明の電気的制御装置1は、回転制御部材13の回転運動をインデックスするインデックス手段を更に備えている。
【0091】
添付図面を参照して上述した本発明の電気的制御装置の好適な実施例によると、インデックス手段は、磁気的インデックス手段からなっている。
【0092】
図1及び図2から明らかな如く、磁気的インデックス手段は、それぞれ交互に配列されたN極及びS極によるステータ105及びロータ107により構成されている。
【0093】
例えば、これらのリングは、合成材料により形成され、かつ焼結又はモールドプロセスにより得られる。
【0094】
ステータ105は、ケーシングのカバー7内に、例えばリング、即ちロータ105上のフィン109、及びカバー7と一体形成されたスナップ固定タブ111によるスナップ固定メカニズムで固定されている。
【0095】
ロータ及びステータのN極及びS極が、相互にスクロールするとき、インデックス効果が生じるので、リング状のステータ105及びロータ107間の距離は、触覚効果をコントロールするためのパラメータを決定する。
【0096】
上述した触覚効果が量産される多数の製品について、常に同じになるようにするために、カバー7は、休止位置においてステータを制御レバー11と平行方向に固定する手段、即ちステータ105を個別に押圧する端部123を備えている。3点で押圧することにより、事実ステータ105は、常に所定位置に留まり、ステータ105及びロータ107間の距離は、これらのリング、即ちステータ105及びロータ107のほぼ全周において等しくなる。
【0097】
次に、ロータ107について説明する。これは円形スライドホルダ81に、好ましくはスナップ固定手段、即ち例えばリング107と一体形成された突起113及び傾斜を有するフレキシブル支持部115により固定される。
【0098】
制御レバー11及び回転制御部材13を、安定した休止位置に保持するために、本発明による電気的制御装置1は、更にテーパばね117を備え、回転制御部材13及び制御レバー11の旋回動作に対する休止位置を維持している。
【0099】
このテーパばね117は、回転制御部材13のベルの上端、及びロータ107により形成される保持手段に押し付けられる。
【0100】
これらの保持手段は、ロータ107と一体形成され、かつ好ましくは複数のフィン119を備えている。
【0101】
上述の説明から理解される如く、本発明の電気的制御装置1は、種々の利点及び実用上の効果を奏する。即ち、種々の制御動作、即ち旋回、押圧及び回転動作が相互に無関係である良好なメカニズムであるので、ユーザに、明快かつ優れた触覚を与えることが可能である。
【0102】
更にまた、電気回路は、不動である単一かつ同じレベルに集中しているので、複雑な接続手段を必要としない。
【0103】
最後に、詳細に上述した如く、照明に関してよく考慮された策が開発されている。
【0104】
以上、本発明による電気的制御装置の好適な実施例を、添付図を参照して詳述した。しかし、この実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて、種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できると思う。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による電気的制御装置の好適実施例の組立状態における斜視図である。
【図2】図1に示す電気的制御装置の第1分解斜視図である。
【図3】図1に示す電気的制御装置の第2分解斜視図である。
【図4】図1に示す電気的制御装置の平面図である。
【図5】図4中の線A−Aに沿う電気的制御装置の断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 電気的制御装置
3 ケーシング
5 ボトム
7 カバー
9 ねじ
11 制御レバー
13 回転制御部材
15 電気回路
19 レバーベース
21 グリップ端
23 球形端部
25 ドッグポイント
27 壁
31 スロット
37 支持シート
41 開口
45 弾性部材
47 駆動ピストン
49 印刷回路カード
51 フレキシブル被膜
53、55 スイッチ
57 照明手段
65 ユニバーサルジョイント
73 機械的連結手段
81 円形スライドホルダ
85 エッジ
87 検出手段
89 スクリーン
91 光学手段
93 光障壁部
99 ダブルスイッチ
101 ピストン
105 指示手段、ステータ
107 ロータ
113 スナップ式固定手段
119 保持手段
121 固定手段、フレキシブルタブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御レバー(11)と、休止位置で前記制御レバーと直交する面で回転運動する回転制御部材(13)と、前記制御レバー(11)及び前記回転制御部材(13)の各種運動を制御信号に変換する電気回路(15)を備え、前記制御レバー(11)は、休止位置で前記制御レバーに直交面で旋回すると共に休止位置で前記制御レバーに並行方向に移動可能である電気的制御装置において、
休止位置で、前記制御レバー(11)と平行方向に予め決められたように移動し、かつ前記制御レバーを回転的に固定するレバーベース(19)と、前記回転制御部材(13)を前記制御レバー(11)に旋回可能に連結するように支持するユニバーサルジョイントコネクション(65)を備えることを特徴とする電気的制御装置。
【請求項2】
前記制御レバー(11)は、直径方向に対向する2個のドッグポイント(25)が形成され、かつ前記制御レバーの旋回軸となる球形端(23)を有し、前記レバーベース(19)は、ドーム状部を形成して、前記制御レバーの前記球形端(23)を受容する球形ハウジング(29)をなす壁(27)、及び直径方向に対向して前記2個のドッグポイント(25)を受けるスロット(31)を備え、前記制御レバー(11)を回転的にロックし、かつ前記ドッグポイント(25)を前記スロット(31)内で摺動させて旋回可能にするようになっていることを特徴とする請求項1に記載の電気的制御装置。
【請求項3】
前記レバーベース(19)をガイドするガイド手段(39、41)を、前記レバーベース(19)の底面(33)、及び支持シート(37)により形成したことを特徴とする請求項2に記載の電気的制御装置。
【請求項4】
前記レバーベースのガイド手段(39、41)は、前記レバーベース(19)の底面(33)により形成された少なくとも2個のガイドロッド(39)、及び前記支持シート(37)に設けられた協働する2個の対応する開口(41)を備えることを特徴とする請求項3に記載の電気的制御装置。
【請求項5】
前記2個のガイドロッド(39)は、自由端にエンドストップ(43)を備え、このエンドストップ(43)は、休止位置で、前記制御レバー(11)のそれと平行方向への移動を制限するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の電気的制御装置。
【請求項6】
ヘリカル又はテーパバネの如き弾性手段(45)を備え、この弾性手段(45)は、前記レバーベース(19)の前記底面(33)及び前記支持シート(37)を押して、休止位置へ戻すようになっていることを特徴とする請求項5に記載の電気的制御装置。
【請求項7】
前記レバーベース(19)は、前記底面(33)に少なくとも1個、好ましくは2個の駆動ピストン(47)を備え、前記各駆動ピストン(47)は、前記電気回路(15)の関連するスイッチ(53、55)を作動しうるようになっていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項8】
前記電気回路(15)は、印刷回路カード(49)、及びこの印刷回路カード(49)上に配置されたフレキシブル被膜(51)を備えると共に、各ピストン(47)用の弾性コンタクトマウント(53)を備え、前記ピストン(47)を前記フレキシブル被膜(51)上で押圧することにより、電気ループを閉じて制御信号を伝送するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の電気的制御装置。
【請求項9】
前記制御レバー(11)は、光伝達性材料製であり、前記印刷回路カード(49)は、休止位置で前記制御レバー(11)の軸に対して中心に位置された発光ダイオードの如き発光手段(57)を備え、前記フレキシブル被膜(51)、前記支持シート(37)及び前記レバーベース(19)は、それぞれ中心開口を有し、前記発光手段(57)により放射された光を、光路を介して通過させて、前記制御レバー(11)に結合して、この制御レバー(11)のグリップ端(21)を照明するようになっていることを特徴とする請求項7又は8に記載の電気的制御装置。
【請求項10】
前記制御レバー(11)は、好ましくはポリカーボネートであるプラスチック材料製であることを特徴とする請求項9に記載の電気的制御装置。
【請求項11】
前記回転制御部材(13)は、全体的にベル状であり、その頂部には前記制御レバー(11)用の開口(69)を有し、かつその頂部に、前記回転制御部材(13)のグリップ要素付き機械的連結手段(73)を有し、前記ベルの底部周辺は制御エッジ(97)をなし、少なくとも1個の関連するスイッチ(99)と協働して、前記電気回路(15)により、旋回動作を検出するようになっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項12】
前記スイッチ(99)は4個のダブルスイッチであり、これらのスイッチは、前記制御レバー(11)による回路の中心に対して反対側に対として配置され、かつ直交する旋回軸を定めるようになっていることを特徴とする請求項11に記載の電気的制御装置。
【請求項13】
前記制御エッジ(97)は、前記各ダブルスイッチ(99)と協働して、前記支持シート(37)によりガイドされたピストン(101)により、旋回動作を検出するようになっていることを特徴とする請求項12に記載の電気的制御装置。
【請求項14】
前記電気回路(15)は、印刷回路カード(49)及びこの印刷回路カード上に配置されたフレキシブル被膜(51)を備えると共に各ピストン(101)に2個の弾性コンタクトマウンド(100)を備え、前記ピストン(101)を前記フレキシブル被膜(51)上に押圧すると、電気ループを閉じて、制御信号を伝送するようになっていることを特徴とする請求項13に記載の電気的制御装置。
【請求項15】
回転制御部材(13)から前記ユニバーサルジョイントコネクション(65)を保持する円形スライドホルダ(81)を備え、この円形スライドホルダ(81)は、前記支持シート(37)を押圧することにより、回転可能となっていることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項16】
前記支持シート(37)は、その周辺に、前記円形スライドホルダ(81)及び前記支持シート(37)間の回転摩擦を制限するようになっている突起(83)を備えることを特徴とする請求項15に記載の電気的制御装置。
【請求項17】
前記支持シート(37)は、さらに、前記円形スライドホルダ(81)をガイドし、かつセンタリングするためのエッジ(85)を備えることを特徴とする請求項15又は16に記載の電気的制御装置。
【請求項18】
更に、前記円形スライドホルダ(81)の回転運動及びメンテナンスを検出する手段(87)を備えることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項19】
前記円形スライドホルダ(81)の回転運動の検出手段(87)は、光学手段(91)であることを特徴とする請求項18に記載の電気的制御装置。
【請求項20】
前記円形スライドホルダ(81)の回転運動の検出手段は、前記円形スライドホルダ(81)の底面(91)で規則的な円形に配置されたスクリーン(89)、及び少なくとも1個、好ましくは2個の前記電気回路による光障壁コンポーネント(93)を備え、前記スクリーン(89)は、測定光ビームを遮断しうるように配置されていることを特徴とする請求項19に記載の電気的制御装置。
【請求項21】
前記回転制御部材(13)の回転方向を検出しうる前記光障壁コンポーネント(93)を少なくとも2個備えていることを特徴とする請求項20に記載の電気的制御装置。
【請求項22】
前記円形スライドホルダ(81)の回転運動を検出する手段は、磁気的手段であることを特徴とする請求項19に記載の電気的制御装置。
【請求項23】
前記回転制御部材(13)の回転運動を指示する手段(105、107)を更に備えることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項24】
前記指示手段(105、107)は、磁気的手段であることを特徴とする請求項23に記載の電気的制御装置。
【請求項25】
前記磁気インデックス手段は、ステータ(105)及びロータ(107)を備え、それぞれN極及びS極が交互にリング状に配置され、前記ロータ(107)は、前記円形スライドホルダのメンテナンスのために固定されていることを特徴とする請求項14〜22のいずれかと請求項24に記載の発明とを結合した電気的制御装置。
【請求項26】
前記ロータ(107)は、スナップ式固定手段(113)により、前記円形スライドホルダ(81)に固定されていることを特徴とする請求項25に記載の電気的制御装置。
【請求項27】
前記回転制御部材(13)及び前記制御レバー(11)の旋回運動に対する休止位置に保持するためのテーパばね(117)を更に備え、制御レバー(11)は、前記回転制御部材(13)のベルの上縁、及び前記ロータ(107)による保持手段(119)に押し付けられていることを特徴とする請求項26に記載の電気的制御装置。
【請求項28】
前記保持手段(119)は、前記ロータ(107)と一体として形成されていることを特徴とする請求項27に記載の電気的制御装置。
【請求項29】
前記保持手段(119)は、複数のフィンを備えることを特徴とする請求項27又は28に記載の電気的制御装置。
【請求項30】
ケーシングボトム(5)及びカバー(7)の2部材よりなるケーシング(3)を備え、かつ前記ステータ(105)は、前記カバー(7)により固定保持されていることを特徴とする請求項25〜29のいずれかに記載の電気的制御装置。
【請求項31】
前記ケーシングのカバー(7)は、前記ステータ(105)を休止位置で前記制御レバー(11)と平行に固定する固定手段(121)を更に備えていることを特徴とする請求項30に記載の電気的制御装置。
【請求項32】
前記固定手段(121)は、前記カバー(7)と一体形成されたフレキシブルタブ(121)を備え、かつ個別に前記ステータ(105)を押圧するようになっている複数の端部(123)を備えていることを特徴とする請求項31に記載の電気的制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−541830(P2009−541830A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515847(P2009−515847)
【出願日】平成19年6月16日(2007.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055985
【国際公開番号】WO2007/147791
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(505140568)
【Fターム(参考)】