説明

電磁アクチュエータの変位位置検出装置

【課題】PWM信号で駆動される電磁アクチュエータの変位位置を、簡単な構造及び簡単な検出手段で検出できる装置を提供する。
【解決手段】電磁アクチュエータ1は、可動コア11a、駆動コイル12、検出コイル13を有する。駆動回路22は、PWM信号に従い、駆動コイル12に駆動電流を供給する。検出コイル13は、可動コア11aの変位位置に応じて駆動コイル12との相互結合係数が変化する位置に配置される。サンプリング信号発生回路31は、PWM信号発生回路21が出力するPWM信号に同期してサンプリング信号のタイミングを生成し、同期サンプリング回路32は、このサンプリング信号に同期して検出コイル13の出力電圧をサンプリングし、変位位置検出データを出力する。補正部33は、PWM信号のデューティ比に応じてこれを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス幅変調信号により駆動される電磁アクチュエータの変位位置を検出する装置に関するものである。電磁アクチュエータは、例えば、ユーザの操作に対する反力を発生させたり、操作子や弁を自動操作させたりするために使用される。
【背景技術】
【0002】
電子鍵盤楽器の鍵盤装置において、各鍵に駆動機構を付加することにより、演奏者が演奏操作時に感じる鍵タッチ感を増減させる制御(力覚制御)をしたり、演奏者の操作によらないで鍵を自動操作(自動演奏)したりする(特許文献1参照)。この鍵盤装置では、鍵を押鍵方向に回動させる往動ソレノイド(往動コイル)及びヨークと、鍵を離鍵方向に回動させる復動ソレノイド(復動コイル)及びヨークとを直列配置し、これらの駆動コイルの中心に1個のプランジャ(可動コア)を嵌挿し、このプランジャの駆動軸を鍵に当接させる双方向駆動電磁アクチュエータが使用されている。
アコースティックピアノにおいては、鍵のストローク位置に応じて反力の大きさが変化するという鍵タッチ感が得られる。そこで、この特許文献1においては、歪みゲージ又は光センサの検出信号を、プランジャ又は鍵の位置情報として出力し、復動ソレノイドの駆動電流を制御することにより、このような鍵タッチ感を得る。しかし、高コストの歪みゲージや光センサが必要となる。
【0003】
一方、磁気的な結合により誘導される電圧を検出することにより可動コアの変位位置を検出する差動トランス(特許文献2)が知られている。正弦波で励磁される1次側コイルが、可動コアを介して、差動結線された2個の2次側コイルに相互結合される。しかし、この可動コアは変位位置検出専用のものであり、プランジャの可動コアではない。
そのため、特許文献2に記載の差動トランスを、特許文献1に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出に採用する場合は、正弦波発振器を必要とし、かつ、プランジャの周囲に、差動トランスを配置しなければならない。しかし、鍵幅が僅かしかないところに鍵毎に差動トランスの設置スペースを設けることはむずかしい。
【0004】
また、電磁アクチュエータは、内燃機関の弁駆動装置等でも使用されている(特許文献3,4参照)。特許文献3においては、PWM変調駆動信号を駆動コイルに供給するとともに、変位検出コイルを設け、この変位検出コイルの自己インダクタンスの変化により発振周波数を変化させる。しかし、この技術は、変位検出コイル、発振回路、電圧/周波数変換回路が必要となる。
特許文献4においては、双方向駆動電磁アクチュエータの2個の駆動コイルのうち、アーマチャー(可動コア)を駆動しない方の駆動コイルに、位置検出用の交流電流を供給し、この交流電流の位相及び振幅の変化を検出することにより、アーマチャーの変位位置を表す信号を出力する。しかし、この技術も、交流信号の発振回路を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開10−20857号公報
【特許文献2】特開昭61−284608号公報
【特許文献3】特開平7−224624号公報
【特許文献4】特開2001−264004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、パルス幅変調信号に従って駆動される電磁アクチュエータの変位位置を、簡単な構造及び簡単な検出手段で検出できる電磁アクチュエータの変位位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、電磁アクチュエータ(1,11,12,601,602)の変位位置検出装置において、可動コア(11a,51a,61a)と、該可動コア(11a,51a,61a)に駆動力を与えることにより前記可動コア(11a,51a,61a)を変位させる駆動コイル(12,12a,12b,65a,65b)と、前記可動コア(11a,51a,61a)の変位位置に応じて前記駆動コイル(12,12a,12b,65a,65b)との相互結合係数が変化する位置に配置された検出コイル(13,13a,13b,66a,66b)を有し、前記可動コア(11a,51a,61a)の駆動力を機械系(5)に伝達する電磁アクチュエータ(1,11,12,601,602)と、パルス幅変調信号に従って前記駆動コイル(12,12a,12b,65a,65b)に駆動電流を供給する駆動手段(22)と、前記検出コイル(13,13a,13b,66a,66b)の出力電圧を入力し、前記可動コア(11a,51a,61a)の変位位置に対応した変位位置検出信号を出力する変位位置検出手段(3)を有し、該変位位置検出手段(3)は、前記パルス幅変調信号に同期してサンプリング信号を生成するサンプリング信号発生手段(31)と、前記サンプリング信号に同期して、前記検出コイル(13,13a,13b,66a,66b)の出力電圧をサンプリングすることにより、前記変位位置検出信号を出力する同期サンプリング手段(32)を有するものである。
従って、電磁アクチュエータは、従来のものに検出コイルを付加した簡単な構造でよく、設計自由度が高く、コンパクトに仕上がる。
可動コアの変位位置を検出する原理が、従来の技術とは全く異なり、変位位置検出用の発振器及びこの発振器の出力を印加する励磁コイルが不要である。電磁アクチュエータを駆動する駆動信号自体が、変位位置検出用の発振器を兼ね備える。そのため、高コストとなる正弦波発振器が不要となる。
変位位置検出手段は、サンプリング信号発生手段と同期サンプリング手段という簡単な構成でよい。変位位置検出信号は、パルス幅変調信号に同期して検出されるため、検出コイルの出力電圧波形がパルス幅変調信号の1周期内で時間的に変化するものであっても、この時間的な変化が変位位置の検出に影響しにくい。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置において、前記検出コイル(13)は、主検出コイル(13a)と補助検出コイル(13b)とを有し、前記駆動コイル(12,12a,12b)と前記主検出コイル(13a)との第1の相互結合係数が前記可動コア(11a,51a)の変位位置に応じて変化する第1の特性と、前記駆動コイル(12,12a,12b)と前記補助検出コイル(13b)との第2の相互結合係数が前記可動コア(11a)の変位位置に応じて変化する第2の特性とが異なるように、前記主検出コイル(13a)と前記補助検出コイル(13b)とが配置され、前記同期サンプリング手段(32)は、前記主検出コイル(13a)と前記補助検出コイル(13b)とを逆直列接続したものの出力電圧をサンプリングするものである。
駆動電流がスイッチングされることにより発生するリンギングや外来ノイズは、主検出コイルと補助検出コイルに対し同位相で印加される。そのため、同期サンプリング手段が、主検出コイルと補助検出コイルとを逆直列接続したものの出力電圧をサンプリングすることにより、リンギングや外来ノイズが相殺された変位位置検出信号が出力される。
【0009】
請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置において、前記変位位置検出手段(3)は、補正手段(33)を有し、該補正手段(33)は、前記同期サンプリング手段(32)から前記変位位置検出信号を入力し、該変位位置検出信号を、前記パルス幅変調信号のデューティ比に応じて補正するものである。
従って、パルス幅変調信号のデューティ比に影響を受けない変位位置検出信号を出力する。加えて、前記可動コアの変位位置に正確に比例した大きさの変位位置検出信号を出力することもできる。
【0010】
上述した請求項3に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置において、前記駆動手段(22)が、一部の変位位置検出期間において、前記デューティ比を所定値に設定し、前記サンプリング信号発生手段(31)が、前記一部の変位位置検出期間において、前記パルス幅変調信号に同期したサンプリング信号を生成し、前記補正手段(33)が、前記同期サンプリング手段(32)から入力した変位位置検出信号を、前記所定値に設定されたデューティ比に応じて補正してもよい。
変位位置検出期間において、デューティ比を変位位置検出に適した所定値にできるとともに、デューティ比が所定値に固定されるために、変位位置を正確に検出できる。
【0011】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置において、前記電磁アクチュエータ(1,11,12)は、ヨーク(43,44,45,52,53)を有し、前記可動コア(11a,51a)は、柱状体であり、前記駆動コイル(12a,12b)及び前記検出コイル(13a,13b)の中空部(41d,42d,54d)に嵌挿されることにより該柱状体の軸方向に沿って直線変位可能であり、該柱状体の軸方向に沿った少なくとも一端面に駆動軸(11b,11c,51b,51c)が突設されたものであり、前記ヨーク(43,44,45,52,53)は、前記駆動コイル(12a,12b)及び前記検出コイル(13a,13b)の外部に配置され、前記駆動軸(11b,11c,51b,51c)が突出する開口部(43d,44d,52d,53a)を有するものである。
従って、ヨークの存在により可動コアを通る磁気回路の磁気抵抗が小さくなり、電磁アクチュエータの駆動力が増す。
柱状体である可動コアと駆動コイルの長さとを軸方向に長くし、駆動コイルの層数を少なくすることにより、可動コアの変位可能な距離を容易に長くすることができるとともに、駆動コイルの巻数を減らさなくても電磁アクチュエータの設置面積を容易に小さくすることができる。よって、請求項4に記載の発明は、鍵盤装置のような、各鍵に対する設置幅が小さい装置に使用する電磁アクチュエータの変位位置検出に適している。
【0012】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から4までのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置において、第1の電磁アクチュエータ(11)及び第2の電磁アクチュエータ(12)として、前記電磁アクチュエータ(1)を有し、前記第1の電磁アクチュエータ(11)の可動コア及び前記第2の電磁アクチュエータ(12)の可動コアとを共通化して1つの可動コア(51a)とするとともに、前記第1の電磁アクチュエータ(11)及び前記第2の電磁アクチュエータ(12)とを、前記1つの可動コア(51a)の変位方向に沿って配置し、前記第1の電磁アクチュエータ(11)は前記1つの可動コア(51a)を一方向に駆動し、前記第2の電磁アクチュエータ(12)は前記1つの可動コア(51a)を逆方向に駆動し、前記検出コイル(13,13a,13b)は、前記第1の電磁アクチュエータ(11)及び前記第2の電磁アクチュエータ(12)のいずれか一方のみに設けられるものである。
従って、2個の単方向駆動電磁アクチュエータを用いて、可動コアを双方向に駆動することができる。可動コアが共通であるので、2個の電磁アクチュエータが独立して存在するよりも、省スペース化がはかれる。
検出コイルは、第1の電磁アクチュエータ及び第2の電磁アクチュエータのいずれか一方のみに設けられることから、部品点数を減らすことができる。
【0013】
ここで、検出コイルを、第1の電磁アクチュエータ及び第2の電磁アクチュエータのいずれか一方のみに設ける場合とは、可動コアのいずれか一方向の駆動の際にのみ変位位置の検出が必要とされる場合である。また、駆動コイルと検出コイルとの相互結合係数が、いずれの駆動コイルに駆動電流が供給されるときも、可動コアの変位位置に応じて変化する場合である。
【0014】
当然ながら、第1,第2の検出コイルを、それぞれ、第1,第2の電磁アクチュエータに設けてもよい。この場合、変位位置検出手段は、第1の電磁アクチュエータが駆動されるときに、第1の検出コイルの出力電圧を入力し、第2の電磁アクチュエータが駆動されるときに第2の検出コイルの出力電圧を入力して、変位位置検出信号を出力する。
この場合において、さらに、上述したように、駆動コイルと検出コイルとの相互結合係数が、いずれの駆動コイルに駆動電流が供給されるときも、可動コアの変位位置に応じて変化する場合、変位位置検出手段は、第1,第2の検出コイルの出力電圧を個別に入力し、個別に変位位置検出信号を取得し、取得した変位位置検出信号の平均値を出力することが可能である。
【0015】
上述した請求項4に記載の発明に代えて、電磁アクチュエータとして次の構成の電磁アクチュエータを用いた発明とすることもできる。
電磁アクチュエータ(601、602)は、外側固定コア(62a,63a)と内側固定コア(62b,63b)の互いの一端面が結合固定コア(62c,63c)により結合され、前記外側固定コア(62a,63a)と前記内側固定コア(62b,63b)との間に、前記結合固定コア(62c,63c)を底部とする凹部が形成され、該凹部に前記駆動コイル(65a,65b)及び前記検出コイル(66a,66b)が嵌挿され、前記可動コア(61a)は、板状体であって、前記凹部の開口部に対し、当該可動コア(61a)の変位に従って変化する間隙を介して配置されることにより、前記板状体の面に垂直な軸方向に沿って直線変位可能であり、該板状体の少なくとも一端面の、該板状体の面に垂直な軸方向に駆動軸(61b)が突設されたものである。
従って、上述した外側固定コア、内側固定コア、結合固定コアの存在により可動コアを通る磁気回路の磁気抵抗が小さくなり、電磁アクチュエータの駆動力が増す。
上述した内側固定コアに中空部を設けることができ、この中空部に、コイルバネ(70,71)など機械系の要素を挿入できる。
板状体である可動コアの面積を広くし、駆動コイルの長さを短く駆動コイルの層数を多くすることにより、駆動コイルの巻数を減らさなくても電磁アクチュエータの設置高さを容易に小さくすることができる。
また、上述した構成においても、上述した請求項5に記載の発明と同様に、第1の電磁アクチュエータ(601)及び第2の電磁アクチュエータ(602)として、前記電磁アクチュエータ(1)を有するものとすることができる。その際、可動コアを共通化して1つの可動コア(61a)とする。前記検出コイルは、前記第1の電磁アクチュエータ(601)及び前記第2の電磁アクチュエータ(602)の一方又は両方に設けられる(66a,66b)。前記外側固定コア(62a)と前記外側固定コア(63a)とは、これらの外周面をヨーク(64)で結合固定することができる。
【0016】
なお、以上に説明した電磁アクチュエータ(1)を変位位置検出センサとすることにより、以上に説明した変位位置検出装置を、変位位置検出センサの変位位置検出装置として使用することができる。
すなわち、可動コア(11a)と、該可動コア(11a)を励磁させる励磁コイル(12)と、前記可動コア(11a)の変位位置に応じて前記励磁コイル(12)との相互結合係数が変化する位置に配置された検出コイル(13)を有し、前記可動コア(11a)が機械装置の可動子又は接触子(5)に結合されるものを、変位位置検出センサとする。
パルス幅変調信号に従って駆動コイル(12)に駆動電流を供給していた駆動手段(22)を、励磁コイル(12)に励磁電流を供給する励磁手段とする。
上述した検出コイル(13)は、主検出コイル(13a)と補助検出コイル(13b)とを有するものとすることができる。
上述した変位位置検出センサの具体的な構造、及び、変位位置検出手段(3)の構成は、上述した請求項1から5までのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータ、及び、上述した請求項4に記載の発明に代わる発明と同様のものを採用できる。
【0017】
上述した各請求項の引用記載及び請求項4に記載の発明に代わる発明において、「発明を特定するための事項」に付した括弧内の符号は、後述する「発明を実施するための形態」における、「発明を特定するための事項」に対応するものに付した符号である。この符号は、「発明を特定するための事項」とその一例との対応を示すにすぎない。「発明を特定するための事項」は、この符号により対応付けられた一例に限定されない。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明によれば、パルス幅変調信号に従って駆動される電磁アクチュエータの変位位置を、簡単な構造及び簡単な検出手段で検出できるという効果がある。
本発明は、電子鍵盤楽器の鍵、ダンパーペダル等のペダルに取り付けられた、力覚制御用及び又は自動演奏用の電磁アクチュエータの変位位置を検出するのに適している。
また、本発明は、弦を備える鍵盤楽器の鍵に電磁アクチュエータを取り付けることにより、演奏者の鍵操作を補助したり、演奏者の代わりに自動演奏させたりする場合、又は、鍵操作の補助及び自動演奏を、動作モードを切り替えて実行する場合に、電磁アクチュエータの変位位置を検出するのに適している。
また、本発明は、車両等の内燃機関における吸気、排気、燃料噴射等を行う弁体の開閉をする電磁アクチュエータの変位位置を検出するのにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明の実施の一形態を説明する機能ブロック図である。
【図2】図1に示した電磁アクチュエータの第1の具体例を示す構造図である。
【図3】図2に示した電磁アクチュエータの動作説明図である。
【図4】図1に示した電磁アクチュエータの第2の具体例と第3の具体例とを示す構造図である。
【図5】図1に示したサンプリング信号発生回路及び同期サンプリング回路の一具体例を示す回路図である。
【図6】図5に示した回路における各部の信号波形を示す波形図である。
【図7】図5に示した主検出コイル及び補助検出コイルの逆直列接続出力電圧と可動コアの変位位置との関係を示す波形図である。
【図8】図5に示した主検出コイル及び補助検出コイルの逆直列接続出力電圧のサンプル値と可動コアの変位位置との対応関係を示すグラフである。
【図9】質量体を備えるタイプの電子鍵盤楽器において、図2に示した電磁アクチュエータを付加することにより力覚制御をする場合の鍵盤装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本願発明の実施の一形態を説明する機能ブロック図である。
図中、電磁アクチュエータ1は、可動コア(可動鉄心)11aと駆動コイル12を有する。可動コア11aは、磁性材料で形成され、プランジャ11(図2)の一構成要素であり、電磁誘導により発生する駆動力を機械系可動部材5、例えば、電子鍵盤楽器の鍵やペダル、内燃機関の弁などに伝達する。この電磁アクチュエータ1には、検出コイル13が付加されている。
【0021】
駆動部2は可動コア11aに駆動力を与えることにより可動コア11aを変位させる。この駆動部2は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、以下、PWMという)信号発生回路21から出力されるPWM信号に従って、駆動コイル12にPWM駆動電流を供給する駆動回路22を有する。PWM信号発生回路21は、駆動制御部4から出力される指示値に従ってPWM信号のデューティ比(Duty Ratio)を変化させる。
【0022】
検出コイル13は、駆動コイル12との相互誘導、すなわち、相互結合係数が、可動コア11aの変位位置に応じて変化する位置に配置される。具体的に説明すると、駆動コイル12を流れる電流がオンとなったときに発生する磁束のうち、検出コイル13を貫く磁束の、ゼロからの変化量が、可動コア11aの変位位置に応じて変化する位置に、この検出コイル13が配置される。
その結果、相互誘導により、検出コイル13は、可動コア11aの変位位置に応じて変化する誘導起電力を発生する。上述した相互結合係数は、交流電気回路における相互インダクタンス(M)に相当する。
【0023】
変位位置検出部3は、検出コイル13の出力電圧を入力し、可動コア11aの変位位置を検出する。この変位位置検出部3は、駆動部2におけるPWM信号発生回路21が出力するPWM信号に同期してサンプリング信号を生成するサンプリング信号発生回路31と、このサンプリング信号に同期して、このサンプリング信号のタイミングで、検出コイル13の出力電圧をサンプリングし、後続回路に、変位位置検出信号を出力する同期サンプリング回路32を有する。
【0024】
同期サンプリング回路32の出力は、図8を参照して後述するように、可動コア11aの変位位置だけではなく、PWM信号のデューティ比によっても変動する。そのため、図示の変位位置検出部3は補正部33を有する。この補正部33は、同期サンプリング回路32から変位位置検出信号を入力し、これを駆動制御部4から出力されるPWM信号のデューティ比に応じて補正した変位位置検出信号を、変位位置検出部3の出力とする。
上述した同期サンプリング回路32、及び又は、補正部33が出力する変位位置検出信号は、ディジタル値として出力されることが好ましい。アナログ値をディジタル値に変換する具体的な方法は、図5を参照して後述する。
【0025】
上述した駆動制御部4は、電磁アクチュエータ1から機械系可動部材5に与えるべき駆動力に応じて、指示値、例えば、デューティ比を、PWM信号発生回路21及びサンプリング信号発生回路31に出力する。このPWM信号は一定の繰り返し周期で発生する。駆動力を大きくするには、デューティ比を大きくすることにより、駆動コイル12の通電時間を大きくする。
駆動コイル12に供給される電流のオンオフによって、駆動コイル12が発生する磁束が時間的に変化する。上述した検出コイル13には、この磁束変化に応じて誘導起電力を発生する。検出コイル13は、可動コア11aの変位により駆動コイル12との相互結合係数が変化する位置に配置されているため、検出コイル13に発生する起電力は、可動コア11aの変位位置に応じて変化する。
【0026】
検出コイル13に発生する起電力は、図6,図7を参照して説明するように、PWM信号の1周期内において時間的に変化する。そのため、サンプリング信号発生回路31により、可動コア11aの変位位置を検出するのに適した位相でサンプリング信号を発生させる。同期サンプリング回路32が出力するサンプル値は、通常、サンプルホールドされ、次のサンプリング信号のタイミングで更新される。サンプル値は、可動コア11aの現在の絶対位置に対応した出力となる。
【0027】
検出コイル13の出力電圧には、可動コア11aの変位位置により変化しない成分も含まれ、また、リンギングや外部ノイズも含まれる。そのため、上述した検出コイル13は、主検出コイルと補助検出コイル(図2に示す具体例では、主検出コイル13a、補助検出コイル13b)とを有するものとする。
駆動コイル12と主検出コイル13aとの第1の相互結合係数が可動コア11aの変位位置に応じて変化する第1の特性と、駆動コイル12と補助検出コイル13bとの第2の相互結合係数が可動コア11aの変位位置に応じて変化する第2の特性とが、互いに異なるように、主検出コイル13a、補助検出コイル13bとが配置される。
【0028】
この場合、同期サンプリング回路32は、上述した第1の相互結合係数の極性と、第2の相互結合係数の極性とが逆になるように、主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものを検出コイル13として、その出力電圧(主検出コイル13aの出力と補助検出コイル13bの出力との差動出力電圧)をサンプリングする。
その結果、上述した主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものでは、可動コア11aの変位位置によらない電圧成分、加えて、リンギングや外部ノイズが相殺される。
【0029】
この補助検出コイル13bは、例えば、駆動コイル12の磁束変化に応じて起電力を発生するが、可動コア11aの変位によって相互結合係数が変化しにくい位置に配置される。例えば、補助検出コイル13bは、駆動コイル12に対し、主検出コイル13aと同等又は近い位置に配置されるとともに、可動コア11aの変位方向に沿って、主検出コイル13aに隣接する位置に配置される。
上述した補正部33は、同期サンプリング回路32の出力電圧を変位位置に変換する補正テーブル、又は、同期サンプリング回路32の出力電圧を変数として変位位置を算出する補正関数を備える。この補正テーブル及び補正関数は、デューティ比に応じて異なるものが用意され、PWM信号発生回路21から取得されるデューティ比に応じて選択される。
【0030】
上述したPWM信号の指示値(デューティ比)を出力するのは、電磁アクチュエータ1の駆動力を制御するためである。しかし、可動コア11aを駆動する期間内、又は、可動コア11aを駆動しない休止期間内に、一時的又は周期的(例えば、PWM信号の10周期につき、1周期の期間)に、変位位置検出期間を設けてもよい。変位位置検出期間とする割合が小さければ、電磁アクチュエータ1の駆動制御に影響を与えない。
駆動制御部4は、変位位置検出期間において、変位位置の検出に適したデューティ比となる指示値を出力することが好ましい。検出コイル13の出力電圧が高くなったり、この出力電圧が変位位置に対し大きく変化したりするデューティ比が適している。また、駆動制御に影響を与えにくい小さなデューティ比も適している。
PWM信号発生回路21は、この変位位置検出期間において、デューティ比を所定値に設定し、サンプリング信号発生回路31が、変位位置検出期間において、PWM信号に同期したサンプリング信号を生成し、補正部33が、同期サンプリング回路32から入力した変位位置検出信号を、所定値に設定されたデューティ比に応じて補正する。
【0031】
上述した駆動制御部4、補正部33は、例えば、CPUがソフトウエアプログラムを実行することにより実現される。変位位置検出部3が出力する変位位置検出出力は、さらに、変位速度を検出するために利用できる。CPUは、検出された変位位置、変位速度に応じて、電磁アクチュエータ1の駆動力を決定し、駆動制御部4から駆動部2に対し、駆動力に対応する指示値を出力する。
【0032】
図2は、図1に示した電磁アクチュエータ1の第1の具体例を示す構造図である。図中、図1の機能ブロックに対応する部分には同じ符号を用いている。
図示の電磁アクチュエータは双方向駆動型であり、往動電磁アクチュエータ11及び復動電磁アクチュエータ12を有する。往動電磁アクチュエータ11の可動コアと復動電磁アクチュエータ12の可動コアとを共通化して1つの可動コア11aとする。往動電磁アクチュエータ11と復動電磁アクチュエータ12とを、可動コア11aの変位方向に沿って配置し、往動電磁アクチュエータ11は可動コア11aを往動方向に駆動し、復動電磁アクチュエータ12は可動コア11aを復動方向に駆動する。図示の例では、検出コイル13(主検出コイル13a、補助検出コイル13b)は、往動電磁アクチュエータ11のみに設けているが、復動電磁アクチュエータ12のみに設けたり両方に設けたりしてもよい。
【0033】
この電磁アクチュエータ1はソレノイド型である。可動コア11aは、柱状体(図示の例では、円柱体)である。
往動電磁アクチュエータ11の往動コイル(駆動コイル)12a及び検出コイル(主検出コイル13aと補助検出コイル13b)の中空部と、復動電磁アクチュエータ12の復動コイル(駆動コイル)12bの中空部とが同軸上に連結されてなる中空部(図示の例では、ボビン41,42の軸孔41d,42d)に、可動コア11aが嵌挿されることにより、柱状体の軸方向に沿って直線変位可能である。
【0034】
プランジャ11は、柱状体である可動コア11aの軸方向(図示長手方向)に沿った端面11ab,11acに、可動コア11aの径より小径の駆動軸11b,11cが突設されたものである。可動コア11aが直線変位することにより、第1の駆動軸11b,第2の駆動軸11cの少なくとも一方が、機械系に駆動力を伝達する。第1の駆動軸11b,第2の駆動軸11cの一方のみが存在してもよい。
【0035】
図中、43は往動電磁アクチュエータ11におけるヨーク、44は復動電磁アクチュエータ12におけるヨーク、45は両電磁アクチュエータに共通の仕切りヨークである。ヨーク(継鉄)は、磁性材料で形成され、可動コア11aとともに、磁力線が通る通路となる。
ヨーク43、ヨーク44は、矩形平板部材が直角に折り曲げられて、端面43a、端面44aの両端に、側面部43b,43c、側面部44b,44cが形成されたコの字型部材である。端面43a,44aの中心に、ボビン挿通孔43d,44dが形成され、図示の例では、これが、プランジャ挿通孔ともなる。一方、仕切りヨーク45の中心にもプランジャ挿通孔45aが形成される。
【0036】
ヨーク43、仕切りヨーク45は、往動コイル12a、主検出コイル13a、補助検出コイル13bの外部に配置され、ボビン挿通孔43dは、駆動軸11bがヨーク43から突出するための開口部となる。同様に、ヨーク44、仕切りヨーク45は、復動コイル12bの外部に配置され、ボビン挿通孔44dは、ヨーク44から駆動軸11cが突出するための開口部となる。
上述したヨークは、往動コイル12a,復動コイル12bが可動コア11aに与える駆動力を強力にするために設けられたものであり、必須の構成ではない。仕切りヨーク45は、往動電磁アクチュエータ11の磁気回路と、復動電磁アクチュエータ12の磁気回路とを分離する。ただし、ヨーク43とヨーク44とは、往動コイル12a、復動コイル12bの一部を囲むだけであるので、磁気的に完全には分離されていない。
【0037】
41,42は合成樹脂製のボビンであり、円筒状の巻回部41a,42aと、この両端に鍔部41b,41c、42b,42cを備え、巻回部41a,42aの軸方向に軸孔41d,42dが形成される。鍔部41b,42cには、環状段差部41e,42eが形成され、軸孔41d,42dの開口位置が延長される。
第1のボビン41a、第2のボビン41bは、可動コア11aの変位方向に沿って配設され、鍔部41cと42bとが、仕切りヨーク45を介して隣接配置され、軸孔41d,42dの軸心が一致する。
【0038】
往動コイル12a、復動コイル12bは、それぞれ、巻回部41a,42aに巻かれている。図示の例では、検出コイル13(主検出コイル13a、補助検出コイル13b)は、往動コイル12aの外周に重ねて巻かれることにより、往動コイル12aに重畳して積層配置される。
逆に、検出コイル13の巻回後に、駆動コイル12(往動コイル12a)を積層配置してもよい。積層配置に代えて、主検出コイル13aと補助検出コイル13bの間に駆動コイル12(往動コイル12a)を並置してもよい。
【0039】
主検出コイル13aは、可動コア11aの変位方向に沿って、位置原点46(ヨーク43の端面43aの外側位置)に近い側に巻回され、補助検出コイル13bは、位置原点46から遠い、仕切りヨーク45側に巻回される。
典型例としては、両検出コイルの巻回数は同一であり、かつ、往動コイル12aを軸方向に等分割する面に対して対称的に配置されているが、これらは必須の条件ではない。
【0040】
往動電磁アクチュエータ11において、その往動コイル12aに、図1の駆動回路22からPWM駆動電流が供給されるとき、磁気回路の磁気抵抗が最も小さくなる位置へと可動コア11aが変位するように駆動力が発生する。その際、駆動力の大きさは、PWM駆動電流のデューティ比と、可動コア11aの変位位置によって変化する。
図示の例では、可動コア11aの端面11abとヨーク43の端面43aの外面とが、ほぼ同一面となる方向に、可動コア11aが往動する。
【0041】
上述した端面11abは、ボビン挿通孔43dの外端のエッジ(端面43aとの境界)と、ボビン挿通孔43dの内端のエッジ(鍔部41bとの境界)とに吸引され、端面11abと端面43aの外面とが、ほぼ同一面となる状態が、可動コア11aの上死点となる。この上死点を位置原点46とする。
上述したボビン挿通孔43dが端面43aに対し鋭角(逆テーパ状の孔)となるようにすれば、上述した外端のエッジの吸引力が、上述した内端のエッジの吸引力よりも大きくなるから、上述した上死点が端面43aの外面に近づく。
【0042】
一方、復動電磁アクチュエータ12において、その復動コイル12bに、PWM駆動電流が供給されるときも、同様に、磁気回路の磁気抵抗が最も小さくなる位置へと可動コア11aが変位するように駆動力が発生する。
図示の例では、可動コア11aの端面11acとヨーク44の端面44aの外面とが、ほぼ同一面となる方向に、可動コア11aが復動する。
ここで、端面43aの外面と端面44aの外面との間隔をL1、可動コア11aの長さをL2とする。このとき、図示の例では、ほぼL2=L1×(3/4)であるが、目安として、L1×(1/2)<L2<L1の範囲で、双方向駆動と変位位置検出が可能である。
【0043】
図3は、図2に示した電磁アクチュエータの動作説明図である。図2に示した電磁アクチュエータを鉛直方向に配置しているが、重力を無視して説明する。
図3(a)は、可動コア11aの端面11abがヨーク43の端面43aの外面と、ほぼ同一面となる状態にあり、可動コア11aは、この状態よりも上に変位するようには駆動されない上死点の状態である。
図3(b)は、可動コア11aが中間位置にある状態である。
図3(c)は、可動コア11aの端面11acがヨーク44の端面44aの外面と、ほぼ同一面となる状態にあり、可動コア11aは、この状態よりも下に変位するようには駆動されない下死点の状態である。
【0044】
往動コイル12aにPWM駆動電流が供給される場合を説明する。
可動コア11aが図3(b)の状態にあり、往動コイル12aにPWM駆動電流が供給される。今、可動コア11aが往動し、機械系可動部材5との力の均衡により、最大限に変位した場合に、図3(a)の上死点に至る。
このとき、可動コア11aの端面11abが位置原点46にあることから、可動コア11aが主検出コイル13a及び補助検出コイル13bの両者の中空部に入り込んでいる。その結果、往動コイル12aと主検出コイル13aとの相互結合係数と、往動コイル12aと補助検出コイル13bとの相互結合係数とは、同じになる。従って、主検出コイル13aに相互誘導される起電力と補助検出コイル13bに相互誘導される起電力とが、ほぼ等しい。
【0045】
これに対し、図3(b)に示すように、可動コア11aの端面11abが位置原点46からx>0の距離にある場合、可動コア11aは、補助検出コイル13bの中空部に入り込んでいるが、主検出コイル13aには、その中空部の一部から抜けている。その結果、往動コイル12aと主検出コイル13aとの相互結合係数よりも、往動コイル12aと補助検出コイル13bとの相互結合係数の方が大きくなる。
従って、主検出コイル13aに相互誘導される起電力は、補助検出コイル13bに相互誘導される起電力よりも小さくなる。
【0046】
また、図3(c)に示すように、可動コア11aの端面11acがヨーク44の端面44aの外面と一致するとき、可動コア11aの端面11abが位置原点46から、ほぼx=L1÷4の距離にある。
このとき、可動コア11aは、補助検出コイル13bの中空部に入り込んでいるが、主検出コイル13aの中空部から完全に抜けている。その結果、往動コイル12aと主検出コイル13aとの相互結合係数は、最も小さくなる。従って、主検出コイル13aに相互誘導される起電力は最も小さくなる。
【0047】
次に、復動コイル12bにPWM駆動電流が供給されている場合について説明する。
この場合も、電磁アクチュエータ1と機械系可動部材5との力の均衡により、図3(a)〜図3(c)の状態になりうる。特に、図3(c)は、復動コイル12bにPWM駆動電流が供給されることにより、可動コア11aが復動され、復動方向に最大限に変位した状態である。
【0048】
主検出コイル13a,補助検出コイル13bが、図示のように、往動コイル12a側に巻回されている場合は、復動コイル12bと離れていることに加えて、仕切ヨーク45があることから、復動コイル12bと主検出コイル13a,補助検出コイル13bとの間の相互結合係数が小さい。そのため、復動コイル12bから主検出コイル13a,補助検出コイル13bに相互誘導される起電力は、往動コイル12aに駆動電流が供給される場合よりも小さくなる。
しかし、可動コア11aの変位位置は、図3(a)〜図3(c)の状態によって異なるため、先に説明した往動コイル12aに駆動電流を供給している場合と同様に、復動コイル12bから、主検出コイル13a,補助検出コイル13bに相互誘導される起電力は、図3(a)〜図3(c)の状態によって変化し、相互誘導される起電力の差も変化する。従って、変位位置の検出が可能である。
【0049】
また、PWM信号に従って、復動コイル12bにPWM駆動電流が供給され、復動電磁アクチュエータ12が駆動されているとき、一時的又は周期的に変位位置検出期間を設け、非駆動側の往動コイル12aにもPWM駆動電流を供給してよい。
復動コイル12b及び往動コイル12aの両者から、往動電磁アクチュエータ11の主検出コイル13a,補助検出コイル13bに相互誘導される起電力が変化することにより、変位位置が検出される。
その際、復動コイル12bに対するPWM信号と同じPWM信号に従って、往動コイル12aに駆動電流を供給する。この場合は、検出コイル13a,補助検出コイル13bに、復動コイル12bと往動コイル12aの両者から相互誘導される起電力が干渉しない。
また、図1を参照して先に説明した変位位置の検出に適したデューティ比又は駆動制御に影響を与えにくい小さなデューティ比となるPWM信号に従って、往動コイル12aに駆動電流を供給してもよい。
【0050】
一方、主検出コイル13a及び補助検出コイル13bを、往動,復動電磁アクチュエータ11,12のそれぞれに設けてもよい。
変位位置検出手段は、往動電磁アクチュエータ11を駆動する場合、往動電磁アクチュエータ11の主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものの出力電圧を入力して、変位位置検出信号を出力する。変位位置検出部3は、復動電磁アクチュエータ12を駆動する場合、復動電磁アクチュエータ12の図示しない主検出コイルと補助検出コイルとを逆直列接続したものの出力電圧を入力して、変位位置検出信号を出力する。
また、変位位置検出部3は、往動電磁アクチュエータ11の主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものの出力電圧と、復動電磁アクチュエータ12の主検出コイルと補助検出コイルとを逆直列接続したものの出力電圧とを個別に入力し、個別に変位位置検出信号を取得し、取得した変位位置検出信号の平均値を出力することも可能である。
【0051】
また、往動,復動電磁アクチュエータ11,12の一方(例えば、往動電磁アクチュエータ11)が駆動されているとき、一時的又は周期的に変位位置検出期間を設け、非駆動側の他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ12)の駆動コイル(復動コイル12b)にもPWM駆動電流を供給してよい。
その際、一方の電磁アクチュエータ(往動電磁アクチュエータ11)の駆動コイル(往動コイル12a)に対するPWM信号と同じPWM信号に従って、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ12)の駆動コイル(復動コイル12b)に駆動電流を供給する。また、変位位置の検出に適したデューティ比又は駆動制御に影響を与えにくい小さなデューティ比となるPWM信号に従って、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ12)の駆動コイル(復動コイル12b)に駆動電流を供給してよい。
変位位置検出部3は、一方の電磁アクチュエータ(往動電磁アクチュエータ11)の主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものの出力電圧と、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ12)の主検出コイルと補助検出コイルとを逆直列接続したものの出力電圧とを個別に入力し、個別に変位位置検出信号を取得し、取得した変位位置検出信号の平均値を出力する。
【0052】
図4は、図1に示した電磁アクチュエータ1の第2の具体例(図4(a))と第3の具体例(図4(b))とを示す構造図である。
図4(a)は、ソレノイド型で単方向駆動型の具体例である。図中、図2に対応する部分に同じ符号を用いている。
プランジャ51は、磁性材料で形成された可動コア51aと、この可動コア51aの変位方向に沿う端面51ab,51acに突設され、可動コア51aの径よりも小径の第1の駆動軸51bと第2の駆動軸51cを有し、可動コア51aの長手方向に沿って直線変位する。第1の駆動軸51b,第2の駆動軸51cの少なくとも一方が、機械系に駆動力を伝達する。第1の駆動軸51b,第2の駆動軸51cの一方のみが存在してもよい。
【0053】
往動コイル12aはボビン54に巻かれている。ボビン54は、図2に示したボビン41と同様なものであるが、ボビン54は、軸孔54dを有し、鍔部54b,54cのそれぞれに環状段差部54e,54fが形成されている。
主検出コイル13aと補助検出コイル13bとは、図2と同様に、往動コイル12aの外周に重ねて巻かれている。主検出コイル13aは、位置原点46に近い側に、補助検出コイル13bは、位置原点46から遠い側に巻回されている。
【0054】
ヨーク52は、磁性材料で形成された矩形平板部材が、端面52aの両側で直角に折り曲げられ側面部52b,52cが形成されたものである。ヨーク53は、磁性材料で形成された矩形平板部材である。ヨーク52の側面部52b,52cの端部とヨーク53の端部とが結合固定される。ヨーク53も端面となる。端面52aとヨーク53の中心に、ボビン挿通孔52d,53aが形成されている。
上述したヨーク52,53は、往動コイル12a、主検出コイル13a、及び、補助検出コイル13bの外部に配置され、環状段差部54e,54fは、それぞれ、ボビン挿通孔52d,53aに嵌合される。なお、ヨーク52,53は必須の構成ではない。
【0055】
可動コア51aは、往動コイル12a、主検出コイル13a及び補助検出コイル13bの内部、具体的には、ボビン54の軸孔54dの内部に、直線変位可能に収容される。第1の駆動軸51bは、ボビン54の軸孔54dから突出する。その結果、ボビン挿通孔52dは、第1の駆動軸51bが、ヨーク52から変位可能に突出する開口部となる。
一方、可動コア51aは、ボビン54の環状段差部54fから突出する。その結果、ボビン挿通孔53aは、可動コア51aがヨーク53から変位可能に突出する開口部となる。
ここで、端面52aの外面と端面53の外面との間隔をL3、可動コア51aの長さをL4とする。L3≦L4であれば往動駆動が可能である。端面52aの外面(位置原点46)から可動コア51aの端面51abまの距離をxとしたとき、目安として、0≦x<(L3÷2)の範囲で変位位置検出が可能である。
【0056】
図4(b)は、板状の可動コアを用いた、双方向駆動型電磁アクチュエータの具体例である。
往動電磁アクチュエータ601と復動電磁アクチュエータ602の可動コアとを共通化して1つの可動コア61aとするとともに、往動電磁アクチュエータ601と復動電磁アクチュエータ602とを、1つの可動コア61aの変位方向に沿って配置したものである。往動電磁アクチュエータ601は可動コア61aを往動方向に駆動し、復動電磁アクチュエータ602は可動コア61aを復動方向に駆動する。第1の検出コイル66a,第2の検出コイル66bは、それぞれ、往動電磁アクチュエータ601及び復動電磁アクチュエータ602に設けられる。往動方向又は復動方向の駆動時に変位位置検出が不要な場合は、対応する第1の検出コイル66a又は第2の検出コイル66bが不要である。
【0057】
往動電磁アクチュエータ601及び復動電磁アクチュエータ602において、磁性材料で形成された固定コア(固定鉄心)62,63は、外側固定コア62a,63aと内側固定コア62b,63aとの互いの一端面が結合固定コア62c,63cにより結合され、外側固定コア62a,63aと内側固定コア62b,63aとの間に、結合固定コア62c,63cを底部とする凹部が形成され、この凹部に駆動コイル(往動コイル65a,復動コイル65b)及び検出コイル(第1の検出コイル66a,第2の検出コイル66b)が収容される。
図示の例では、外側固定コア62aと内側固定コア62bとが中空円筒形状、結合固定コア62cが円板形状である。固定コア62,63の上述した凹部の開口部は、外側固定コア62a,63aの端面62d,63dと、内側固定コア62b,63bの端面62e,63eとの間に形成される。
【0058】
プランジャ61は、可動コア61aと駆動軸61bを有する。可動コア61aは、磁性材料で形成された板状体であって、図示の例では、平面円板状であるが、背景技術で引用した特許文献4記載のアーマチャーのように、その厚みに凹凸があるものでもよい。
可動コア61aは、固定コア62,63の外部に配置される。上述した固定コア62,63の凹部の開口部に対し、可動コア61aの変位に従って変化する間隙を介して配置されることにより、可動コア61aの面に垂直な軸方向に沿って直線変位可能であり、かつ、往動電磁アクチュエータ601と復動電磁アクチュエータ602とを磁気的にほぼ分離している。
可動コア61aの少なくとも一端面の、この可動コア61aの面に垂直な軸方向には、駆動軸61bが突設されている。図示の例では、可動コア61aの中心に形成された孔61cに駆動軸61bの先端部61dが挿入され、嵌合、溶接等により両者が固着されている。
復動電磁アクチュエータ602においては、結合固定コア63cの中心に、プランジャ挿通孔63fが形成されている。
【0059】
可動コア61aが直線変位することにより、駆動軸61bが、機械系に駆動力を伝達する。図示の状態は、可動コア61aの変位位置が中間点にある状態である。
往動コイル65a,復動コイル65bは、それぞれ、ボビン67、68に巻回され、第1の検出コイル66a,第2の検出コイル66bは、それぞれ、往動コイル65a,復動コイル65bに重ね巻きされる。内側固定コア62b,63bの外周面にボビン67,68の軸孔が嵌挿される。
【0060】
固定コア62,63は、互いの結合固定コア62c,63cを外側にして、外側固定コア62a,63a同士、内側固定コア62b,63b同士の対応する開口面を対向させることにより内部空間69が設けられる。
固定コア62,63は、磁性材料で形成された中空円筒形状のヨーク64により、互いの軸心を一致させた同軸構造で結合固定され、一体化される。ヨーク64は、往動電磁アクチュエータ601と復動電磁アクチュエータ602とを一体化するためと、可動コア61aに与える駆動力を強力にするために設けられたものであり、必須の構成ではない。
【0061】
この一体化の際、内側固定コア62bの軸孔にコイルバネ70が収容され、内側固定コア63bの軸孔にコイルバネ71が収容され、両コイルバネ71,72により、可動コア61aがバランスのとれた付勢状態で移動可能に支持される。
駆動軸61bは、コア63のプランジャ挿通孔63fから外部に突出される。可動コア61aの周縁は、ヨーク64の内周面と微細な間隙を有するか、又は、ヨーク64の内周面に接触して摺動するように設計される。
図示を省略するが、内部空間69と外界との間に、空気を流入流出させる空気孔を設ける。例えば、固定コア62,63,ヨーク64の適当な位置に空気孔を設ける。プランジャ挿通孔63fも空気孔となり得る。
【0062】
往動電磁アクチュエータ601として動作させるとき、往動コイル65aにPWM駆動電流が供給される。可動コア61aが固定コア62の端面62d,62eに吸引される往動方向の駆動力が発生する。このとき、可動コア61aが端面62d,62eに近づくほど、往動コイル65aと第1の検出コイル66aとの相互結合係数が大きくなる。従って、第1の検出コイル66aに相互誘導される起電力が大きくなる。
一方、復動電磁アクチュエータ602として動作させるときは、復動コイル65bにPWM駆動電流が供給される。可動コア61aが固定コア63の端面63d,63eに吸引される復動方向の駆動力が発生する。このとき、可動コア61aが端面63d,63eに近づくほど、復動コイル65bと第2の検出コイル66bとの相互結合係数が大きくなる。従って、第2の検出コイル66bに相互誘導される起電力が大きくなる。
可動コア61aの変位位置は、電磁力による駆動力と、コイルバネ70,71の付勢力を含む機械系可動部材5の力との均衡による。
【0063】
上述した説明では、往動電磁アクチュエータ601として動作させるとき、第1の検出コイル66aを検出コイル13として使用し、復動電磁アクチュエータ602として動作させるとき、第2の検出コイル66bを検出コイル13として使用していた。
これに代えて、往動,復動電磁アクチュエータ601,602の一方(例えば、往動電磁アクチュエータ601)が駆動されているとき、一時的又は周期的に変位位置検出期間を設け、非駆動側の他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ602)の駆動コイル(復動コイル65b)にもPWM駆動電流を供給してもよい。
その際、一方の電磁アクチュエータ(往動電磁アクチュエータ601)の駆動コイル(往動コイル65a)に対するPWM信号と同じPWM信号に従って、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ602)の駆動コイル(復動コイル65b)に駆動電流を供給する。または、変位位置の検出に適したデューティ比又は駆動制御に影響を与えにくい小さなデューティ比となるPWM信号に従って、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ602)の駆動コイル(復動コイル65b)に駆動電流を供給する。
変位位置検出部3は、一方の電磁アクチュエータ(往動電磁アクチュエータ601)の検出コイル66aの出力電圧と、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ602)の検出コイル66bの出力電圧とを個別に入力し、個別に変位位置検出信号を取得し、取得した変位位置検出信号の平均値を出力する。
なお、第1,第2の検出コイル66a,66bの一方しか存在しない場合において、検出コイルの存在しない側の電磁アクチュエータが非駆動状態であるとき、この電磁アクチュエータに、変位位置検出期間において、上述したと同様のPWM駆動電流を供給すれば、変位位置検出が可能となる。
【0064】
また、上述した変位位置検出期間において、一方の電磁アクチュエータ(例えば、往動電磁アクチュエータ601)の駆動コイル(往動コイル65a)に対するPWM信号と同じPWM信号に従って、他方の電磁アクチュエータ(復動電磁アクチュエータ602)の駆動コイル(復動コイル65b)に駆動電流を供給した場合、第1の検出コイル66aと第2の検出コイル66bとを、それぞれの駆動コイル、すなわち、往動コイル65a、復動コイル65bに対する相互結合係数が逆極性になるように、逆直列接続したものを、図1に示した検出コイル13とすれば、差動検出が可能となる。
その結果、第1の検出コイル66aの出力に含まれる可動コア61aの変位位置によらない電圧成分と第2の検出コイル66bの出力に含まれる可動コア61aの変位位置によらない電圧成分とが相殺する。また、リンギングや外部のノイズなどが、第1の検出コイル66aと第2の検出コイル66bに共通して含まれる場合は、同様に相殺される。
上述した手法は、図2に示した電磁アクチュエータにも適用可能である。この場合、往動電磁アクチュエータ11,復動電磁アクチュエータ12のそれぞれに1個の検出コイル13aを設ければよく、補助検出コイル13bに相当するものは不要である。
【0065】
図5は、図1に示したサンプリング信号発生回路31及び同期サンプリング回路32の一具体例を示す回路図である。図2に示した電子アクチュエータを使用している。
図6は、図5に示した回路における各部の信号波形を示す波形図である。
最初に、駆動部について説明する。PWM信号発生回路21の出力は矩形波であり、図9(a)に、デューティ比(b/a)を20%とした信号波形を示している。PWM信号発生回路21の出力は、往動駆動、復動駆動を選択する選択部81を介し、2つの駆動回路22a,22bの一方に供給される。駆動回路22a,22bとして、それぞれ、例えば、Hブリッジ型FETスイッチング回路を使用する。この場合、PWM信号発生回路21の出力は、駆動回路22a,22bのFETゲート電圧となる。駆動回路22aは往動コイル12aに、駆動回路22bは復動コイル12bに接続される。
【0066】
次に、サンプリング信号発生回路31の具体例を説明する。PWM信号発生回路21から出力されるPWM信号は、インバータ82,83に供給され、図6(b)に示すようにレベル反転される。インバータ82の出力は、抵抗器85、ダイオード86、コンデンサ87による第1の時定数回路に供給され、図6(c)に示す充放電波形となって、インバータ88に出力される。同様に、インバータ83の出力は、抵抗器89、ダイオード90、コンデンサ91による第2の時定数回路に供給され、図6(d)に示す充放電波形となって、インバータ92に出力される。図示の例では、第1の時定数回路の時定数よりも、第2の時定数回路の時定数の方が長い。
【0067】
図6(e)に示すインバータ88の出力と、図6(f)に示すインバータ92の出力とは、図6(a)に示すPWM信号の矩形波の立ち下がりにおいて、後者の方が遅れる。EXOR回路93は、インバータ88の出力とインバータ92の出力との排他的論理和をとる。EXOR回路93の出力は、抵抗器94を介して同期サンプリング回路32に出力されるとともに、コンデンサ95を介して接地される。なお、第1の時定数回路を省略し、インバータ82とインバータ88とを直結してもよい。
EXOR回路93の出力は、図6(g)に示すように、PWM信号の立ち下がり(ダウンエッジ)において、短い矩形パルスを発生し、これがサンプル点を決めるサンプリング信号となる。
【0068】
次に、同期サンプリング回路32について説明する。
電磁アクチュエータ1の主検出コイル13aと補助検出コイル13bとは、巻線方向を逆にして逆極性直列接続される。これが、図1に示した検出コイル13に相当し、同期サンプリング回路32に出力される。この図では、巻始めのコイル端子に丸印を付している。主検出コイル13a,補助検出コイル13bのそれぞれの出力電圧は、図6(h),図6(i)に示すように、図6(a)に示すPWM信号に同期した矩形波であって、その立ち上がり後と立ち下がり後とに、リンギング波形が重畳されるとともに、図示を省略したノイズが全体的に重畳されたものである。
【0069】
駆動回路22として、上述したHブリッジ型のようなFETスイッチング回路を使用した場合、負荷がインダクタンスであることも原因となって、FETゲート電圧がオンに変化するタイミングから僅かに遅れて電流が流れ始め、FETゲート電圧がオフに変化するタイミングから僅かに遅れて電流が遮断される。
その結果、主検出コイル13a,補助検出コイル13bの出力電圧も、上述した出力電流の遅れに応じて遅れることになる。そのため、図6(g)に示すサンプリング信号がハイレベルとなる期間は、駆動回路22aがオン状態の期間に含まれるようにすることができる。
【0070】
図6(j)は、主検出コイル13a,補助検出コイル13bを逆極性直列接続したものの出力電圧である。この出力電圧は、図6(h),図6(i)に示す主検出コイル13a,補助検出コイル13bの立ち上がりのタイミングで、一旦正方向のインパルスを発生した後に、急峻に立ち下がり、徐々に一定値に近づき、かつ、次の立ち下がりのタイミングで急峻に立ち上がり、徐々に一定値に近づく。図6(j)の波形の電圧は、最大でも、500mV程度のレベルであり、図6(h),図6(i)に示す主検出コイル13aの出力電圧、補助検出コイル13bの約5Vの出力電圧に比べて小さい。
【0071】
図6(j)に示す出力電圧は、コンデンサ96と抵抗器97との直列回路を経てオペアンプ101の反転入力端子に入力される。一方、オペアンプ101の非反転入力端子には、電源電圧が抵抗器98,99とで分圧された電圧が入力される。ただし、抵抗器99と並列に大容量のコンデンサ100が接続されている。また、オペアンプ101の出力端子から非反転入力端子との間に、負帰還抵抗102が接続されている。従って、オペアンプ101は、オフセット電圧調整が可能な交流結合反転増幅器として機能する。オペアンプ101の出力は、ボルテージフォロワ103を経て、アナログゲート回路104に出力される。
【0072】
図6(k)は、オペアンプ101の差動出力、すなわち、ボルテージフォロワ103の出力電圧であり、図6(j)に示す出力電圧にオフセット電圧が加わり反転増幅されているが、定性的には一致する。
図6(k)に示す出力電圧は、アナログゲート回路104に入力され、図示のサンプル点において、図6(g)に示すサンプリング信号により同期サンプリングされ、コンデンサ105に充電され、図6(k)に一点鎖線で示す電圧となり、次のサンプル点までホールドされるとともに、次のサンプル点において、再度同期サンプリングされ、サンプルホールドされる。コンデンサ105の出力電圧は、ボルテージフォロワ106を経て出力される。
【0073】
先に説明したように、図6(a)に示すPWM信号の立ち下がりタイミングよりも主検出コイル13a,補助検出コイル13bの出力電圧の立ち下がりタイミングが遅れるので、図6(g)に示すサンプリング信号のハイレベル期間を、駆動回路22がオン状態となっている期間の最後の期間に合わせることができる。
上述した説明では、駆動回路22の動作遅延を利用している。しかし、サンプリング信号を発生させる方法は、上述した方法に限らない。
例えば、図6(a)に示すPWM信号の立ち上がりタイミングから所定の遅延時間経過後に短周期の単発パルスを発生する回路を用い、この単発パルスをサンプリング信号としてもよい。上述した所定の遅延時間はPWM信号のデューティ比に応じて制御する。この場合、駆動回路22の動作遅延は、所定の遅延時間を設定する際に考慮する。
または、検出コイルの出力電圧(図示の例では、主検出コイル13a,補助検出コイル13bを逆極性直列接続したものの出力電圧)のレベル変化開始タイミング(PWM信号の立ち上がりに対応するタイミング)を検出し、ここから所定の遅延時間経過したタイミングをサンプル点としてもよい。
【0074】
上述したボルテージフォロワ106の出力は、同期サンプリング回路32が出力する変位位置検出信号となる。この変位位置検出信号は、アナログ信号であるが、A/D変換器を用いて、ディジタル値に変換した後に、図1に示した補正部33に出力する。A/D変換器から出力されるディジタル値は、図1に示した補正部33において、補正テーブルや演算式を用いることにより簡単に補正できる。
補正部33がアナログ信号に対して補正処理をする場合は、補正部33が出力する変位位置検出信号をA/D変換してもよい。
【0075】
また、上述したアナログゲート回路104及びコンデンサ105によるサンプルホールド機能を、A/D変換器によって実現し、同期サンプリング回路32がディジタル値を出力することも可能である。
この場合、A/D変換器のサンプルタイミングとして、サンプリング信号発生回路31の出力を使用する。または、ボルテージフォロワ103の出力を、通常のA/D変換と同様に、高速のサンプリングクロックでサンプリングし、そのA/D変換されたディジタル出力系列から、サンプリング信号発生回路31から発生するサンプリング信号のタイミングにおけるディジタル値を抽出してもよい。
【0076】
図7は、図5に示した主検出コイル13a及び補助検出コイル13bの逆直列接続出力電圧波形(図6(j))と可動コア11aの変位位置との関係を示す説明図である。ただし、図示の逆直列接続出力電圧波形は、図6(j)に示した波形と極性が逆であり、図6(k)に示した波形の極性に合わせている。図示の電圧値は、図示のサンプル点におけるサンプル値である。図示のサンプル点は、図6(k)に示したサンプル点よりも若干早い。
PWM信号の周波数15kHz、そのデューティ比20%、可動コアの長さL2≒30mmmである。
図7(a)は、可動コア11aの変位位置がx=0mm、すなわち、可動コア11aが図3(a)の上死点にあるときの逆直列接続出力電圧波形である。
図7(b),図7(c),図7(d)は、それぞれ、図3(b)において、可動コア11aの変位位置がx=2mm,4mm,8mmのときの出力波形である。
可動コア11aの変位位置によって、波形形状に変化が見られる。駆動電流がオフとなるタイミングにおける瞬時電圧の大きさが、変位位置に良く対応する。
【0077】
従って、図1に示したサンプリング信号発生回路31は、駆動回路22が出力する駆動電流がオンからオフに切り替わるタイミングの近傍において、サンプリング信号を発生するようにすることが好ましい。その結果、検出コイル13の出力電圧に含まれる変位位置に応じた電圧成分、又は、主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものの出力電圧のレベルが大きく、かつ、リンギングがない期間において、サンプリングすることになるので、変位位置検出信号のS/N(信号対雑音)比が良好になる。
【0078】
ここで、サンプリング信号のタイミングが、駆動電流がオフになるタイミングよりも早い場合は、サンプル値がほとんど変化しない。しかし、駆動電流がオフになるタイミングよりも遅れると、サンプル値は急速に低下することに留意する必要がある。
また、駆動電流がオンである期間において、駆動電流がオフからオンに切り替わるタイミングの近傍における瞬時電圧は、変位位置との対応は良くないが、PWM信号のデューティ比によって変化しにくい傾向がある。
従って、サンプリング信号発生回路31は、PWM信号に同期して駆動回路22が出力する駆動電流がオンである期間においてサンプリング信号を発生するものがよい。
【0079】
図8は、図5に示した主検出コイル13a及び補助検出コイル13bの逆直列接続出力電圧のサンプル値と可動コア11aの変位位置との対応関係を示すグラフである。実験条件、直列接続出力電圧の極性、サンプル点は、図7と同じである。
図中、横軸は可動コア11aの変位位置x[mm]、縦軸は上述した逆直列接続出力電圧のサンプル値である。PWM信号のデューティ比(b/a)を、10,20,40,70[%]とした場合について示す。
可動コア11aの変位位置xと逆直列接続出力波形のサンプル値とは、比較的良く比例するが完全ではない。
従って、図1に示した補正部33が、図8に示す特性を予め補正テーブルあるいは較正テーブルとしてメモリに記憶させておくか、図8に示す特性を関数形式でメモリに記憶させておけば、逆直列接続出力波形のサンプリング値に基づいて、可動コア11aの変位位置を正確に検出することができる。
【0080】
その際、PWM信号のデューティ比(b/a)が大きくなるほど、出力電圧が高くなる。従って、変位位置検出をするときは、デューティ比を大きくした方がS/Nが向上する。
補正部33は、デューティ比に応じた補正テーブル(較正テーブル)又は関数を、予めメモリに記憶しておく。補正部33は、駆動制御部4(図1)から、デューティ比の値、又は、デューティ比の値に変換可能な他のPWM指示値を取得し、これに応じた補正テーブル(較正テーブル)を選択して使用する。
【0081】
図2、図5〜図8を参照した説明では、図1に示した検出コイル13として、主検出コイル13aと補助検出コイル13bとを逆直列接続したものとしていた。
これに代えて、主検出コイル13aのみを用いる場合は、主検出コイル13aの出力と所定電圧(基準電圧)との差電圧を、同期サンプリング手段がサンプリングするようにして変位位置検出信号を出力してもよい。上述した基準電圧は、上述した差電圧に含まれる、変位位置に応じた電圧成分の割合が大きくなるように調整しておく。
【0082】
図9は、質量体を備えるタイプの電子鍵盤楽器において、図2に示した電磁アクチュエータを付加することにより力覚制御をする場合の鍵盤装置の側面図である。
並設された複数個の白鍵、黒鍵のうち、1個の白鍵について図示するが、他の白鍵及び黒鍵についても同様な構成をとる。この図では、鍵が非押鍵位置にある状態を示す。図中、図2と同様な部分には同じ符号を付している。
【0083】
フレーム111に対し、鍵112及び質量体113が、それぞれの支点を中心に回動可能に支持される。質量体113は、各鍵112に対応し、各鍵112に連動して各鍵112にその押鍵操作に対する反力を与える。鍵スイッチの図示は省略している。
電磁アクチュエータ1により発生される復動方向の駆動力が鍵112に付加され、往動方向の駆動力が質量体113に付加されることにより、鍵112に対する演奏者の押鍵操作、離鍵操作に対して力覚を制御する。
【0084】
図示の電磁アクチュエータ1は、そのプランジャ11(可動コア11a,第1の駆動軸11b,第2の駆動軸11c)が、鍵112と質量体113との間に挟まれた状態に配置されているため、鍵112と質量体113のいずれか一方からの機械的負荷を他方に伝達するための伝達部材としても機能する。
電磁アクチュエータ1の検出コイル(主検出コイル13a、補助検出コイル13b)は、可動コア11aの変位位置を検出することにより、鍵112のストローク位置(鍵の押離鍵方向の位置)を検出する。
【0085】
以下、各部の構成を簡単に説明する。
鍵112の長手方向のほぼ中間位置に貫通孔112aが形成され、一方、フレーム111に設けられた鍵支点部材111aに突状体(ピン)111bが突設され、これが貫通孔112aに嵌挿されることにより、鍵112がフレーム111に回動可能に支持される。
フレーム111の前方に立設されたフロントピン111cの上端が鍵112の前端部112bの底面側に挿入され、フロントピン111cの根本に下限ストッパ114が配置されている。一方、フレーム111の後方に上限ストッパ115が配置され、図示の非押鍵状態において、鍵112の後端部112cの底面に当接する。
【0086】
また、フレーム111の後方において、隣接する各鍵の間に、アクション機構支持部116が立設され、その前壁116aに質量体支持部117が設置され、その後壁116bに上限ストッパ取付部118及び下限ストッパ取付部119が設置され、それぞれに、上限ストッパ120、下限ストッパ121が固着されている。
質量体113は、その棒状部(シャンク部)113aの一端部に回動支点部113c、他端部に質量集中部113bが設けられ、一端部に近い中間部に、ローラを有する摺動子113dが設けられたものである。
この質量体113は、鍵112の真上位置に配置され、その回動支点部113cは質量体支持部117に回動自在に支持される。棒状部113aは、上下に回動し、上限ストッパ120及び下限ストッパ121により回動範囲が規制される。
【0087】
電磁アクチュエータ1は、取付板122により後壁116bの前面に固定される。その第1の駆動軸11bに、水平上面を有する第1のヘッド123が固着され、その第2の駆動軸11cに、緩衝及び摺動作用を有するキャップ状の第2のヘッド124が固着されている。一方、鍵112の上面には、鍵支点部材111aよりも後端部112c側において、キャプスタン112dが突設されている。
質量体113の自重により、摺動子113dは第1のヘッド123に当接し、第2のヘッド124の下端はキャプスタン112dの頭部に当接する。図示の電磁アクチュエータ1は、そのプランジャ11が、鍵112、質量体113に対し、それらの動作状態に応じて、分離可能な状態で当接している。
【0088】
プランジャ11の位置、すなわち、可動コア(図2の11a)の変位位置は、主検出コイル13a,補助検出コイル13bが出力する検出電圧に基づいて、図1に示す変位位置検出部3が行う。
図示の例では、主検出コイル13a,補助検出コイル13bは、往動コイル12aの側に巻回されている。そのため、電磁アクチュエータ1が、往動電磁アクチュエータとして動作するときは、可動コア11aの位置が検出できる。
【0089】
これに対し、電磁アクチュエータ1が、復動電磁アクチュエータとして動作するときは、主検出コイル13a,補助検出コイル13bと復動コイル12bとの相互結合度の変化により、プランジャ11の位置を検出する。
又は、変位位置検出期間において、変位位置検出用のPWM駆動電流を往動コイル12aに供給することにより、プランジャ11の位置を検出してもよい。あるいは、往動コイル12a、復動コイル12bのいずれにも、個別に主検出コイル13a,補助検出コイル13bを巻回し、プランジャ11の位置を検出してもよい。
【0090】
上述した鍵盤装置においては、プランジャ11の位置検出だけではなく、プランジャ11の速度検出をすることにより、アコースティックピアノの反力特性に近づけることができる。この場合、検出された可動コア11aの変位位置の時間変化を計算することにより速度が検出される。
この実施形態では、プランジャ11(可動コア11a)の動作状態(変位位置や速度など)を検出し、その検出結果に基づいて、鍵112のストローク位置や押鍵速度等のデータを取得し、電磁アクチュエータ1の駆動制御を行う。
図示しないCPUがコンピュータプログラムを実行することにより、電磁アクチュエータ1で発生する駆動力を制御する機能と、鍵112のストローク位置、その他、押鍵速度等の鍵動作に関する情報を取得する機能とを実現する。
【0091】
ここで、上述した制御する機能は、鍵動作に関する情報を取得する機能が取得した鍵112のストローク位置(鍵の位置)、及び、鍵の動作に関する情報に基づいて、電磁アクチュエータ1が鍵112に付与すべき駆動力の指示値を決定する。電磁アクチュエータ1は、指示値に対応する駆動力として、鍵112の押離鍵操作に対して、質量体113から加わる反力を助長する向き(復動方向)の駆動力と、鍵112の押鍵操作に対して、質量体113から加わる反力を軽減する向き(往動方向)の駆動力とのいずれかを選択的に発生する。
【0092】
図9を参照した説明では、力覚制御について説明した。これに対し、電磁アクチュエータ1を往動電磁アクチュエータとして機能させれば、自動演奏(鍵の自動操作)もできる。曲データファイルから演奏データ(ノートオンメッセージ、ノートオフメッセージ)を読出し、これに応じて、電磁アクチュエータ1を往動方向に駆動することにより、鍵112の自重が鍵112を押下する駆動力となるようにする。
【0093】
上述した電磁アクチュエータ1のプランジャ11は、第1のヘッド123,第2のヘッド124を介し、鍵112,質量体113に、これらの挙動に応じて分離可能な状態で当接している。しかし、プランジャ11から鍵112、質量体113への動力伝達が可能な構成であれば、プランジャ11と、鍵112,質量体113とが分離不能な状態で連結(リンク装置など)されていてもよい。
【0094】
また、背景技術において説明した特許文献1に記載の、質量体を備えない電子鍵盤楽器における電磁アクチュエータに代えて、鍵に当接される、又は、分離不能な状態で連結される電磁アクチュエータとして、図2に示した双方向駆動型の電磁アクチュエータを使用したり、図4(a)に示した単方向駆動型の電磁アクチュエータを1個使用したり、又は2個(鍵に対する駆動方向を逆にして並設)使用したりして、力覚制御及び又は自動演奏を実現することもできる。
【0095】
図1〜図8を参照して説明した電磁アクチュエータを、変位位置検出センサとして使用することも可能である。可動コアに機械装置の可動子又は接触子を結合させておき、この可動子又は接触子の変位位置を検出する。
以上、本願の発明の実施形態及び適用例を説明したが、本願の発明は、上述した実施形態及び適用例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1…電磁アクチュエータ、11…往動電磁アクチュエータ(第1の電磁アクチュエータ)、12…復動電磁アクチュエータ(第2の電磁アクチュエータ)、2…駆動部、3…変位位置検出部、4…駆動制御部、5…機械系可動部材、11…プランジャ、11a…可動コア、11ab,11ac…端面、11b…第1の駆動軸、11c…第2の駆動軸、12…駆動コイル、12a…往動コイル(駆動コイル)、12b…復動コイル(駆動コイル)、13…検出コイル、13a…主検出コイル、13b…補助検出コイル
41,42…ボビン、41a,42a…巻回部、41b,41c,42b,42c…鍔部、41d,42d…軸孔(中空部)、41e,42e…環状段差部、43,44…ヨーク、43a,44a…端面、43b,43c、44b,44c…側面部、43d,44d…ボビン挿通孔(開口部)、45…仕切ヨーク、45a…プランジャ挿通孔、46…位置原点
51…プランジャ、51a…可動コア、51ab,51ac…端面、51b…第1の駆動軸、51c…第2の駆動軸、52…ヨーク、52a…端面、52b,52c…側面部、52d…ボビン挿通孔(開口部)、53…ヨーク、53a…ボビン挿通孔(開口部)、54…ボビン、54b,54c…鍔部、54d…軸孔(中空部)、54e,54f…環状段差部
601…往動電磁アクチュエータ(第1の電磁アクチュエータ)、602…復動電磁アクチュエータ(第2の電磁アクチュエータ)、61…プランジャ、61a…可動コア、61b…駆動軸、61c…孔、61d…先端部、62、63…固定コア、62a,63a…外側固定コア、62b,63b…内側固定コア、62c,63c…結合固定コア、62d,62e,63d,63e…端面、63f…プランジャ挿通孔、64…ヨーク、65a…往動コイル(駆動コイル)、65b…復動コイル(駆動コイル)、66a…第1の検出コイル、66b…第2の検出コイル、67,68…ボビン、69…内部空間、70,71…コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動コアと、該可動コアに駆動力を与えることにより前記可動コアを変位させる駆動コイルと、前記可動コアの変位位置に応じて前記駆動コイルとの相互結合係数が変化する位置に配置された検出コイルを有し、前記可動コアの駆動力を機械系に伝達する電磁アクチュエータと、
パルス幅変調信号に従って前記駆動コイルに駆動電流を供給する駆動手段と、
前記検出コイルの出力電圧を入力し、前記可動コアの変位位置に対応した変位位置検出信号を出力する変位位置検出手段を有し、
該変位位置検出手段は、前記パルス幅変調信号に同期してサンプリング信号を生成するサンプリング信号発生手段と、前記サンプリング信号に同期して、前記検出コイルの出力電圧をサンプリングすることにより、前記変位位置検出信号を出力する同期サンプリング手段を有する、
ことを特徴とする電磁アクチュエータの変位位置検出装置。
【請求項2】
前記検出コイルは、主検出コイルと補助検出コイルとを有し、前記駆動コイルと前記主検出コイルとの第1の相互結合係数が前記可動コアの変位位置に応じて変化する第1の特性と、前記駆動コイルと前記補助検出コイルとの第2の相互結合係数が前記可動コアの変位位置に応じて変化する第2の特性とが異なるように、前記主検出コイルと前記補助検出コイルとが配置され、
前記同期サンプリング手段は、前記主検出コイルと前記補助検出コイルとを逆直列接続したものの出力電圧をサンプリングする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置。
【請求項3】
前記変位位置検出手段は、補正手段を有し、
該補正手段は、前記同期サンプリング手段から前記変位位置検出信号を入力し、該変位位置検出信号を、前記パルス幅変調信号のデューティ比に応じて補正する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置。
【請求項4】
前記電磁アクチュエータは、ヨークを有し、
前記可動コアは、柱状体であり、前記駆動コイル及び前記検出コイルの中空部に嵌挿されることにより該柱状体の軸方向に沿って直線変位可能であり、該柱状体の軸方向に沿った少なくとも一端面に駆動軸が突設されたものであり、
前記ヨークは、前記駆動コイル及び前記検出コイルの外部に配置され、前記駆動軸が突出する開口部を有する、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置。
【請求項5】
第1の電磁アクチュエータ及び第2の電磁アクチュエータとして、前記電磁アクチュエータを有し、
前記第1の電磁アクチュエータの可動コアと前記第2の電磁アクチュエータの可動コアとを共通化して1つの可動コアとするとともに、前記第1の電磁アクチュエータと前記第2の電磁アクチュエータとを、前記1つの可動コアの変位方向に沿って配置し、
前記第1の電磁アクチュエータは前記1つの可動コアを一方向に駆動し、前記第2の電磁アクチュエータは前記1つの可動コアを逆方向に駆動し、
前記検出コイルは、前記第1の電磁アクチュエータ及び前記第2の電磁アクチュエータのいずれか一方のみに設けられる、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の電磁アクチュエータの変位位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−203074(P2011−203074A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69938(P2010−69938)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】