説明

露光装置および画像形成装置

【課題】 簡易な構成でピント調節が迅速に行われる露光装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 走査光学系と、走査光学系によって感光面に導かれる各光を感光面上に集光させる、光の集光位置を光の進行方向に調整する機能も有した集光部と、走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一部から光源が互いに異なる複数の光が導かれて照射されて複数の光を個別に受光する、各光の受光量を検知する複数の受光部分を有する、該複数の受光部分上を該複数の光が該走査に伴って通過する、該複数の光のうちの一部の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも長く、他の一部の光については、受光部分までの光路長が感光面までの光路長よりも短い受光器と、受光器で検知された受光量に基づいて集光部による光の集光位置を、集光部の機能を使用して調整する集光位置調整部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の画像形成装置には、高画質確保のためにレーザダイオードアレイを露光源とし、このレーザダイオードからの光ビームを開口数の大きな光学系で絞って使用するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−235872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な構成でピント調節が迅速に行われる露光装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る露光装置は、
各々が光を出射する複数の光源と、
光の照射を受けることで画像が描かれる感光面を有する、少なくともこの感光面が、この感光面に沿う第1方向に移動する感光体が有するこの感光面に、上記複数の光源から出射された各光を導いて、この各光でこの感光面を、上記第1方向に交わる第2方向に走査する、光源が互いに異なる複数の光をこの感光面上でこの第1方向に相互に異なる位置に導く走査光学系と、
上記複数の光源から出射されて上記走査光学系によって上記感光面に導かれる各光をこの感光面上に集光させる、光の集光位置を光の進行方向に調整する機能も有した集光部と、
上記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一部から光源が互いに異なる複数の光が導かれて照射されてこの複数の光を個別に受光する、各光の受光量を検知する複数の受光部分を有する、この複数の受光部分上をこの複数の光がこの走査に伴って通過する、この複数の光のうちの一部の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも長く、この複数の光のうちの他の一部の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも短い受光器と、
上記受光器が有する複数の受光部分それぞれで検知された受光量に基づいて上記集光部による光の集光位置を、この集光部の機能を使用して調整する集光位置調整部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る露光装置は、
上記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一端に配備され、この一端に達した光を、この走査で光が移動する移動方向とこの光が進行してきた進行方向との双方に対して交わる導光方向へと導く導光部を備え、
上記受光器が、上記導光部から上記導光方向へと向かった先に配備されたものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る露光装置は、
上記受光器が、上記受光部分を3つ以上有して、光源が互いに異なる3つ以上の光を個別に受光する、この複数の光のうちの第1の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長に等しく、この複数の光のうちの第2の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも長く、この複数の光のうちの第3の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも短いものであることを特徴とする請求項1または2記載の露光装置。
【0008】
請求項4に係る画像形成装置は、
各々が光を出射する複数の光源と、
光の照射を受けることで画像が描かれる感光面を有する、少なくともこの感光面が、この感光面に沿う第1方向に移動する感光体と、
上記感光体が有する上記感光面に、上記複数の光源から出射された各光を導いて、この各光でこの感光面を、上記第1方向に交わる第2方向に走査する、光源が互いに異なる複数の光をこの感光面上でこの第1方向に相互に異なる位置に導く走査光学系と、
上記複数の光源から出射されて上記走査光学系によって上記感光面に導かれる各光をこの感光面上に集光させる、光の集光位置を光の進行方向に調整する機能も有した集光部と、
上記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一部から光源が互いに異なる複数の光が導かれて照射されてこの複数の光を個別に受光する、各光の受光量を検知する複数の受光部分を有する、この複数の受光部分上をこの複数の光がこの走査に伴って通過する、この複数の光のうちの一部の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも長く、この複数の光のうちの他の一部の光については、この受光部分までの光路長が上記感光面までの光路長よりも短い受光器と、
上記受光器が有する複数の受光部分それぞれで検知された受光量に基づいて上記集光部による光の集光位置を、この集光部の機能を使用して調整する集光位置調整部と、
上記感光体の感光面に描かれた画像上に、この画像と同じ画像をトナーで形成するトナー画像形成部と、
上記トナー画像形成部によって形成されたトナーの画像を記録媒体上に転写して定着させる転写定着部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る露光装置によれば、簡易な構成でピント調節を迅速に行うことができる。
【0010】
請求項2に係る露光装置によれば、装置内部の空間的な制約に対処することができる。
【0011】
請求項3に係る露光装置によれば、ピント調節による合焦を直接に確認できる。
【0012】
請求項4に係る画像形成装置によれば、簡易な構成でピント調節を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】レーザ露光器の概略構成図である。
【図3】シリンダミラー等を図2に示される矢印Xの向きに見た状態を示す図である。
【図4】反射ミラーと合焦検知センサの位置関係を示す概略図である。
【図5】レーザ露光光の集光状態を示す図である。
【図6】レーザ露光光の集光状態を示す図である。
【図7】フォトダイオードで検知される光強度を示す図である。
【図8】工場出荷時にセンサ面上で合焦していたレーザ光が装置内の温度によってアウトフォーカスになった場合の、センサ面上の各エリアで検知された光強度の変化を示す図である。
【図9】工場出荷時にセンサ面上で合焦していたレーザ露光光が装置内に温度によってインフォーカスになった場合の、センサ面上の各エリアで検知された光強度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、画像形成装置の概略構成図である。
【0016】
図1に示される画像形成装置100は、矢印A方向に回転する感光体ロール10、矢印B方向に回転しながら感光体ロール10に接触して感光体ロール10の表面に所定の電荷を付与する帯電ロール12、所定の電荷が付与された感光体ロール10の表面に画像の基となる静電潜像を形成するためのレーザ露光光を照射するレーザ露光器1、レーザ露光器1によって形成された静電潜像を、トナーと磁性キャリアが含まれた現像剤中のトナーで現像する現像器13、現像器13によるトナー現像により形成されたトナー像を、給紙カセット19から搬送経路Rに沿って搬送されてくる記録用紙に、矢印D方向に回転することで転写させる、発泡ウレタン製の転写ロール14、トナー像が転写された後に感光体ロール上に残留する残留物を掻き落とすクリーニングブレード15、搬送経路Rに沿って記録用紙を搬送する搬送ロール群18、および、トナー像が転写された記録用紙を加熱および加圧してトナー像を記録用紙に定着する定着器16を備えている。
【0017】
現像器13は、内部に矢印c方向に回転する現像ロール131を保持しているとともに、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を収容している。磁性キャリアは、トナーとの摩擦によりトナーを摩擦帯電させる電荷付与粒子であり磁性粒子でもある。この現像器13では、内部に収容している現像剤を攪拌し、この攪拌によりトナーと磁性キャリアとを摩擦させている。この摩擦により、トナーはマイナス極性に帯電し、磁性キャリアはプラスに帯電する。このため、現像器13では、トナーと磁性キャリアとは電気的に吸着しあって渾然一体になっている。現像ロール131は、感光体ロール10に対向して回転しながら、現像剤を感光体ロール10との間の領域に搬送する。
【0018】
また、図1に示される画像形成装置100には、詳しくは後述するが、外部から受信した画像信号に基づいてレーザ露光器1から発光されるレーザ露光光の発光を制御する制御部200が備えられている。
【0019】
ここで、図1に示される画像形成装置100における画像形成の動作の流れについて簡単に説明する。
【0020】
まず、矢印A方向に回転する感光体ロール10には、この感光体ロール10の表面に接触して回転する帯電ロール12により背景電位が付与される。次に、外部から送信されて来た画像信号に応じてレーザ露光器1で生成されたレーザ露光光が、背景電位が付与された感光体ロール10の表面に照射されて感光体ロール10の表面が除電されると、その除電された部分の電位が背景電位に対する像電位となる。これら背景電位と像電位とにより、感光体ロール10の表面には静電的な潜像が形成される。その潜像は現像器13によりトナーで現像されて感光体ロール10上にトナー像が形成される。そのトナー像は、搬送経路Rに沿って搬送されてきた用紙上に転写ロール14によって転写される。用紙上に転写されたトナー像は、定着器16により用紙上に加圧および定着される。以上が、画像形成装置100における画像形成の流れと各部の動作の簡単な説明である。
【0021】
図2は、レーザ露光器の概略構成図である。
【0022】
図2に示されるレーザ露光器1は、半導体レーザアレイ30と、焦点調整機構20と、この焦点調節機構20に置かれたコリメートレンズ2と、ハーフミラー3と、光量モニタ4と、第1および第2面倒れ補正光学系51、52と、ポリゴンミラー6と、fθレンズ7と、シリンダミラー8とを有している。尚、以下では、感光体ロール10の回転軸が延びる方向を主走査方向と称し、感光体ロールが回転する向きである矢印Aの方向を副走査方向と称す。
【0023】
半導体レーザアレイ30は、正面から見ると縦方向(3列)にも横方向(4列)にも重複しないように2次元的に配列された12個の半導体素子からなり、半導体レーザアレイ30から出射されたレーザ光それぞれは発散光であり、これらは、コリメートレンズ2を通過して平行光となる。レーザ光量は、ハーフミラー3を介した光量モニタ4により一定光量に制御される。平行光となったレーザ光は、第1および第2面倒れ補正光学系51、52によりあおりが調整され、fθレンズ7により主走査方向に集光され、さらに、シリンダミラー8により副走査方向に集光されて収束光となって感光体ロール10上の、副操作方向に並ぶ12画素でそれぞれ結像される。この収束光は、矢印の向きに回転するポリゴンミラー6によって、主走査方向について感光体ロール10よりも長い範囲(図3参照)を走査する走査光でもある。
【0024】
また、この画像形成装置100には、主走査方向に沿って走査するレーザ露光光の走査範囲内の一端に配備され、この一端に達したレーザ露光光を副走査方向へと反射する反射ミラー9と、この反射ミラー9に反射されたレーザ露光光のうちの一部を受光する合焦検知センサ11とが備えられている。半導体レーザアレイ30が、本発明の光源の一例に相当し、第1および第2面倒れ補正光学系51、52とポリゴンミラー6とを併せたものが、本発明にいう走査光学系の一例に相当する。また、コリメートレンズ2とfθレンズ7とシリンダミラー8と焦点調節機構20とを併せたものが、本発明にいう集光部の一例に相当し、合焦検知センサ11が、本発明にいう受光器の一例に相当する。さらに、制御部200が、本発明にいう集光位置制御部の一例に相当し、反射ミラー9が、本発明にいう導光部の一例に相当する。
【0025】
ここで、図3は、シリンダミラー等を図2に示される矢印Xの向きに見た状態を示す図である。
【0026】
この画像形成装置100では、画像形成動作中に定期的にピント調節を行う。これは、詳しくは後述するが、感光体ロール10の幅に相当する画像形成用エリアに加え、画像形成用エリアよりも外側に設けられたピント調節用エリアを有しているシリンダミラー8が、ピント調節用エリアを走査したレーザ露光光を、図3に示される反射ミラー9に向かわせることで行われている。尚、画像形成用エリア上を走査するレーザ露光光は、画像信号に基づく点滅光であるが、ピント調節用エリアを走査するレーザ露光光は、画像信号とは無関係の一定光である。
【0027】
図4は、反射ミラーと合焦検知センサの位置関係を示す概略図である。
【0028】
図4には、図2に示される反射ミラー9と、合焦検知センサ11のセンサ面111とを図3に示される矢印Yの向きに見た状態が示されている。
【0029】
図4には、半導体レーザアレイ30の各位置から出射されたレーザ露光光のうちの、合焦検知センサ11のセンサ面111に設けられた3つの受光エリアa、b、cによって受光される3つのレーザ光100a、100b、100cのみが代表的に示されている。
【0030】
これら3つのレーザ光100a、100b、100cは、反射ミラー9が存在しなければ、感光体ロール上で副走査方向に並ぶと共に合焦する。
図4にに示されるセンサ面111は、反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離が距離Lのレーザ光100aについては、反射ミラー9からセンサ面111までの距離が反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離と同じ距離L、反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離が距離Mのレーザ光100bについては、反射ミラー9からセンサ面111までの距離が反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離よりも長い距離M’、反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離が距離Nのレーザ光100cについては、反射ミラー9からセンサ面111までの距離が反射ミラー9から感光体ロール10の表面までの距離よりも短い距離N’となるように反射ミラー9に対して斜めに相対している。
【0031】
画像形成装置100は、赤色の半導体レーザアレイ30を使用している関係上、焦点深度が浅く、装置内の温度によってはピントがずれやすい。そこで、この画像形成装置100では、半導体レーザアレイ30から出射されたレーザ露光光を、図4に示される反射ミラー9を介して合焦検知センサ11まで導くという簡単な構成で、以下に説明するように迅速なピント調整を実現している。
【0032】
図5は、レーザ露光光の集光状態を示す図である。
【0033】
図5には、図4に示される3つのレーザ光100a、100b、100cの、合焦検知センサ11のセンサ面111における集光状態が詳細に示されている。尚、前述したように、各レーザ光は、図5において点線で示される感光体ロール10の表面上に焦点Sが存在する。
これら3つのレーザ光のうちの中段のレーザ光100aのみがセンサ面111で合焦している様子が示されている。また、3つのレーザ露光光100a、100b、100cのうちの上段のレーザ露光光100bがセンサ面111ではアウトフォーカスとなり、下段のレーザ露光光100cがセンサ面111ではインフォーカスとなっている様子が示されている。
【0034】
図6は、レーザ露光光の集光状態を示す図である。
【0035】
図6には、センサ面111が受光フォトダイオードアレイの幅がビーム走査方向に一定である様子が示されている。
【0036】
また、図6には、副走査方向に並ぶと共に、図6における左から右にかけて矢印で示される主走査方向に沿って走査する3つのレーザ光100b、100a、100cが受光エリア窓112aを通過する際のビームスポットが示されている。3つのレーザ光100b、100a、100cのうちの中段のレーザ露光光100aは、センサ面111で合焦していることから、図6に示されるスポット径は、上段と下段に示されるスポット径に比べて小さくなっている。
【0037】
図7は、合焦検知センサで検出される光強度を示す図である。
【0038】
図7には、受光エリア窓112aを経て、センサ面111の受光エリアa、b、cそれぞれに到達した3つのレーザ光100a、100b、100cの各時刻(横軸)における受光強度(縦軸)が示されている。尚、以下に示す図7から図9の上段から下段には、図6の上段から下段に示される受光エリアb、a、cでの各時刻における受光強度がそれぞれ示されている。また、これら3つのレーザ光100a、100b、100cは、同時には通過しないものの各エリア毎に受光エリア窓112aの中心を通過した時刻を時刻t0としている。
【0039】
3つのレーザ光100a、100b、100cのうち、センサ面111の受光エリアbでアウトフォーカスのレーザ光100bとセンサ面111の受光エリアcでインフォーカスのレーザ光100cのスポット径は、センサ面111の受光エリアaで合焦のレーザ光100aのスポット径に比べて大きい。このため、図7に示されるように、アウトフォーカスのレーザ光100bとインフォーカスのレーザ光100cについては、各レーザ光のビームスポットの中心が受光エリア窓112aの中央を通過する時刻t0のかなり手前から、センサ面上の対応する受光エリアb、cに光が到達し始めている。一方、センサ面111で合焦しているレーザ光100aの光が受光エリアaで検出され始めるのは、これらアウトフォーカスのレーザ光100bおよびインフォーカスのレーザ光100cに比べて時刻t0にかなり近づいてからである。
【0040】
また、図7に示されるように、各レーザ光のスポットの中心が受光エリア窓112aの中心を通過する時刻t0においてセンサ面111の各エリアa、b、cで検出される最大光強度については、センサ面上ではアウトフォーカスの上段のレーザ光100bおよびインフォーカスの下段のレーザ光100cに比べて、センサ面で合焦している中段のレーザ光100aの方がスポット系が小さい分だけ強い。尚、この画像形成装置1は、3つのレーザ光100a、100b、100cのうちのレーザ光100aがセンサ面111の受光エリアa上で合焦するように工場出荷段階で調整が行われ、その際の最大強度と、受光エリアbにおける受光強度と受光エリアcにおける最大受光強度の大小関係(ここでは、同一)が不図示のメモリに記憶されている。3つのレーザ光100a、100c、100bが、それぞれ本発明にいう第1の光、第2の光、第3の光の一例に相当する。
【0041】
図8は、工場出荷時にセンサ面上で合焦していたレーザ光が装置内の温度によってアウトフォーカスになった場合の、センサ面上の各エリアで検出された光強度の変化を示す図である。
【0042】
センサ面上で合焦状態にあった中段に示されるレーザ光100aがアウトフォーカスになることで、レーザ露光光100aのスポット径は大きくなり、元々インフォーカスであった下段に示されるレーザ光100cのスポット径は小さくなる。また、元々アウトフォーカスであった上段に示されるレーザ露光光100bのスポット径はさらに大きくなる。
【0043】
その結果、工場出荷時には、下段の受光センサcで検出される最大光強度と上段の受光センサaで検出される最大光強度とは同じであったのが、図8に示されるように、下段で検出された最大光強度が上段で検出された最大光強度よりも大きくなった場合は、アウトフォーカスに変化したと判断し、インフォーカス側へ焦点調整機構20を移動させてピントのズレを修正する。焦点調整機構20の移動は、センサ面111の受光エリアaで検出される最大光強度がメモリに記憶されている値とほぼ同じ値になるまで続けられる。
【0044】
一方、図9は、工場出荷時にセンサ面上で合焦していたレーザ露光光が装置内に温度によってインフォーカスになった場合の、センサ面上の各エリアで検出された光強度の変化を示す図である。
【0045】
センサ面上で合焦状態にあった中段に示されるレーザ光100aがインフォーカスになることで、レーザ光100aのスポット径も大きくなり、元々インフォーカスであった下段に示されるレーザ光100cのスポット径はより大きくなる。また、元々アウトフォーカスであった上段に示されるレーザ光100bのスポット径は小さくなる。
【0046】
その結果、工場出荷時には下段の受光センサcで検出される最大光強度と上段の受光センサaで検出される最大光強度とは同じであったのが、図9に示されるように、上段で検出された最大光強度が下段で検出された最大光強度よりも大きくなった場合は、インフォーカスに変化したと判断し、アウトフォーカス側へ焦点調整機構20を移動させてピントのズレを修正する。焦点調整機構20の移動は、上段での検出光強度及び下段での検出光強度に対し、中段での検出光強度が大きく、上段と下段の検出光強度の比が、所定の割合以内(例えば、0.8〜1.2)に入るまで続けられる。
【0047】
尚、以上の実施形態では、本発明いう複数の光の一例として3つのレーザ光を例に挙げて説明したが、本発明にいう複数の光を、合焦検知センサ111上においてインフォーカスのレーザ露光光とアウトフォーカスのレーザ露光光との2つのレーザ露光光としてもよい。
【0048】
また、以上に説明した実施形態では、反射ミラー9を介してレーザ露光光を合焦検知センサ111に導く例を挙げて説明したが、本発明では、合焦検知センサ111上においてインフォーカスとなるレーザ露光光とアウトフォーカスとなるレーザ露光光との2つのレーザ露光光が合焦検知センサ111上に到達すればよく、設計上の制約がなければ、必ずしも反射ミラー9を介する必要はなく、合焦検知センサ111上で直接に受光してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 レーザ露光器
2 コリメートレンズ
20 焦点調節機構
200 制御部
3 ハーフミラー
30 半導体レーザアレイ
4 光量モニタ
51 第1面倒れ補正光学系
52 第2面倒れ補正光学系
6 ポリゴンミラー
7 fθレンズ
8 シリンダミラー
9 反射ミラー
10 感光体ロール
11 合焦検知センサ
100 画像形成装置
12 帯電ロール
13 現像器
131 現像ロール
14 転写ロール
16 定着器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光を出射する複数の光源と、
光の照射を受けることで画像が描かれる感光面を有する、少なくとも該感光面が、該感光面に沿う第1方向に移動する感光体が有する該感光面に、前記複数の光源から出射された各光を導いて、該各光で該感光面を、前記第1方向に交わる第2方向に走査する、光源が互いに異なる複数の光を該感光面上で該第1方向に相互に異なる位置に導く走査光学系と、
前記複数の光源から出射されて前記走査光学系によって前記感光面に導かれる各光を該感光面上に集光させる、光の集光位置を光の進行方向に調整する機能も有した集光部と、
前記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一部から光源が互いに異なる複数の光が導かれて照射されて該複数の光を個別に受光する、各光の受光量を検知する複数の受光部分を有する、該複数の受光部分上を該複数の光が該走査に伴って通過する、該複数の光のうちの一部の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも長く、該複数の光のうちの他の一部の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも短い受光器と、
前記受光器が有する複数の受光部分それぞれで検知された受光量に基づいて前記集光部による光の集光位置を、該集光部の機能を使用して調整する集光位置調整部とを備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一端に配備され、該一端に達した光を、該走査で光が移動する移動方向と該光が進行してきた進行方向との双方に対して交わる導光方向へと導く導光部を備え、
前記受光器が、前記導光部から前記導光方向へと向かった先に配備されたものであることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記受光器が、前記受光部分を3つ以上有して、光源が互いに異なる3つ以上の光を個別に受光する、該複数の光のうちの第1の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長に等しく、該複数の光のうちの第2の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも長く、該複数の光のうちの第3の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも短いものであることを特徴とする請求項1または2記載の露光装置。
【請求項4】
各々が光を出射する複数の光源と、
光の照射を受けることで画像が描かれる感光面を有する、少なくとも該感光面が、該感光面に沿う第1方向に移動する感光体と、
前記感光体が有する前記感光面に、前記複数の光源から出射された各光を導いて、該各光で該感光面を、前記第1方向に交わる第2方向に走査する、光源が互いに異なる複数の光を該感光面上で該第1方向に相互に異なる位置に導く走査光学系と、
前記複数の光源から出射されて前記走査光学系によって前記感光面に導かれる各光を該感光面上に集光させる、光の集光位置を光の進行方向に調整する機能も有した集光部と、
前記走査光学系による走査に伴って移動する光の移動範囲の一部から光源が互いに異なる複数の光が導かれて照射されて該複数の光を個別に受光する、各光の受光量を検知する複数の受光部分を有する、該複数の受光部分上を該複数の光が該走査に伴って通過する、該複数の光のうちの一部の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも長く、該複数の光のうちの他の一部の光については、該受光部分までの光路長が前記感光面までの光路長よりも短い受光器と、
前記受光器が有する複数の受光部分それぞれで検知された受光量に基づいて前記集光部による光の集光位置を、該集光部の機能を使用して調整する集光位置調整部と、
前記感光体の感光面に描かれた画像上に、該画像と同じ画像をトナーで形成するトナー画像形成部と、
前記トナー画像形成部によって形成されたトナーの画像を記録媒体上に転写して定着させる転写定着部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−203524(P2011−203524A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71092(P2010−71092)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】