露光装置及び露光方法
【課題】本発明は、基板の撓みを自動的に矯正して矯正具合の再現性を改善し、基板の解像度の面内部分布を均一にする露光装置及び露光方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る露光装置は、フォトマスクを固定するマスクホルダと、基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備える。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る露光装置は、フォトマスクを固定するマスクホルダと、基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンが形成されたフォトマスクを用いて基板上のレジストを露光する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC、LSI等の製造においてシリコンウェハ等の薄板状の基板にパターンを露光する場合は、基板の片面を露光することが一般的である。例えば、図13に示すように、基板14をワークステージ13上に真空吸着により固定し、フォトマスク11をワークステージ13より上方のマスクホルダ12に保持固定し、ワークステージ13を上昇させて基板14をフォトマスク11に近接あるいは密着させ、露光を行う。基板14の表面には予めフォトレジスト膜(図示せず)が形成されており、このフォトレジスト膜に対して露光が行われて、フォトマスク11のパターンが焼き付けられる。
【0003】
露光によるパターン解像度を向上させるためにはフォトマスク11と基板14の密着度を上げ、また、解像度の面内分布を改善するために平行度を上げる必要があり、従来は主に二種類の方式が行われている。一つ目は、ソフトコンタクト露光と呼ばれるもので、基板14がフォトマスク11に接触するまでワークステージ13を上昇させた状態で露光を行う方式である。二つめは、ハードコンタクト露光と呼ばれるもので、ワークステージ13を上昇させて基板14をフォトマスク11に接触させ、基板14をワークステージ13上に保持するための真空吸着穴から空気等の気体を吐出させることにより基板14を押し上げてフォトマスク11に対する密着度を更に高める方式である。
【0004】
しかしながら、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて加速度センサあるいは角速度センサ等を製造する場合は、基板の表面だけでなく裏面に対しても露光等の各種工程が行われている。このような表裏両面を加工する基板に対して露光を行う場合は、図13に示した構成では基板14の裏面がワークステージ13との接触により損傷及び汚染を受けることになるため、ワークステージ13は使用することはできない。
【0005】
そこで、図14に示す構成のワークステージ21を使用して基板23の表裏両面に露光を行っている。このワークステージ21は、基板23の外周部を保持する環状のチャック22を備える。このチャック22には環状凹溝22Aが形成されている。この環状凹溝22Aを真空ポンプ等で吸引することによって、基板23の外周部をチャック22の環状凹溝22A上に吸着する。このワークステージ21を用いた露光装置によれば、基板23の裏面はその外周部を除いてワークステージ21に接触しないので、基板23の裏面は損傷及び汚染から防止される。
【0006】
また、製造効率の向上を図るため、基板が大口径化している。この基板の大口径化は、図14に示したようなワークステージ21を使用する場合に、次のような問題を発生させる。図14のワークステージ21を使用して大口径の基板23をチャック22に固定した場合、図14に示すように基板23に撓みが発生し、基板23全体のフォトマスク11に対する平行状態が維持されないため、正確なアライメントが行えないという問題がある。また、基板23とフォトマスク11の平行度が悪化すると、解像度の面内分布を悪化させる。
【0007】
このような問題を解決する装置として、例えば、特許文献1に記載された露光装置がある。この露光装置は、図15に示すように、基板33の撓みを矯正するため、ワークステージ31に複数の導入孔(図示せず)を設け、この導入孔を通じて基板33の下面側に空気を導入し、この空気の圧力で基板33の撓みを矯正している。
【0008】
また、上記のような問題を解決する装置として、例えば、特許文献2に記載された露光装置がある。この露光装置は、特許文献1の露光装置と同様の構成を備えるとともに、空気を供給する系に電磁弁、レギュレータ及び制御ユニットを設けて、空気を導入するタイミングや空気の圧力を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−36101号公報
【特許文献2】国際出願公開2008/105226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1及び特許文献2に記載された露光装置では、基板の撓みが矯正されたか否かを作業者が判断しており、判断する作業者によって個人差が発生し、基板の撓みの矯正具合に再現性が得られない可能性があった。
【0011】
また、上述の特許文献1に記載された露光装置では、基板の撓みを矯正する空気を導入するための導入孔はワークステージ31に設けられ、その気体の圧力は制御されていない。このため、基板33基板の反り量、厚み等の差により撓みの矯正に必要な気体及び流体の圧力は基板毎に異なり、特許文献1に記載された露光装置では、基板毎に撓みを矯正することはできない。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑み、基板の撓みを自動的に矯正して矯正具合の再現性を改善し、基板の解像度の面内部分布を均一にする露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る露光装置は、フォトマスクを固定するマスクホルダと、基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る露光方法は、フォトマスクと対向する位置に基板の外周部を固定するワークステージを配置し、前記フォトマスク上に画像取得部を移動して前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得し、前記画像取得部からの情報に基づき、1つ以上の圧力調整部の前記基板に対する圧力を制御部により調整して、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間の距離を調整し、前記基板の表面を、前記フォトマスクを介して露光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板毎に撓み具合を検出し、その撓み具合に応じて撓みを矯正する気体、流体または固体の圧力を調整して、基板の撓みを自動的に矯正して矯正具合の再現性を改善し、基板の解像度の面内部分布を均一にする露光装置及び露光方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る露光装置全体の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)は基板に対するフォーカス位置を調整する工程を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るCPUにより実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係るワークステージの貫通孔の形成例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る露光装置全体の概略構成を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板に対して押圧部材により圧力をかける工程を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るCPUにより実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る露光装置における顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)はマスクホルダの下降工程を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る露光装置における顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)はマスクホルダの下降工程を示す図である。
【図12】第4の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図13】従来のワークステージの概略構成を示す図である。
【図14】従来の基板の外周部を真空吸着する露光装置の概略構成を示す図である。
【図15】従来の基板の撓みを気体の圧力により矯正する露光装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
<露光装置の構成>
まず、本第1の実施の形態に係る露光装置の構成について図1を参照して説明する。図1は第1の実施の形態に係る露光装置100の概略構成を示す図である。図1において、露光装置100は、露光用光源101と、マスクホルダ103と、ワークステージ104と、チャック106と、顕微鏡107、108と、制御部119と、圧力調整部PSと、真空排気部VSと、を備える。なお、図1において、102はフォトマスクである。
【0019】
露光用光源101は、アライメント操作が完了した基板105とフォトマスク102に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105の上面に形成されたレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜140にパターンが形成される。露光用光源101の点灯及び消灯は、制御部119により制御される。
【0020】
フォトマスク102は、基板105のレジスト膜に焼き付けるためのパターンを有した透明なガラス板である。フォトマスク102は、マスクホルダ103によりその周縁部を保持された状態で露光装置100内に置かれる。図1に示すフォトマスク102では、パターン(例えば、Cr膜)は、図中の下面に配置されているものとする。マスクホルダ103は、フォトマスク102の周縁部を保持する。
【0021】
ワークステージ104には、上面に表裏両面加工される基板105の外周部を保持する環状のチャック106が設けられている。このチャック106には環状凹溝106Aが形成されている。この環状凹溝106Aの底部には、環状凹溝106Aと連通する真空吸引孔104A,104Bが形成されている。真空吸引孔104A、104Bには、ホース121、122を介して真空排気部VSが接続されている。真空排気部VSは、電磁弁116と、レギュレータ117と、真空ポンプ118とを有する。この真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気が排出されると、基板105の外周部がチャック106上に吸引されて保持される。電磁弁116の開閉動作と真空ポンプ118の駆動及び停止は、制御部119により制御される。基板105は、外周部がチャック106により保持されるため、その裏面(下面)に対してワークステージ104の接触が回避される。このため、基板105の裏面は損傷及び汚染から防止される。
【0022】
また、ワークステージ104は、基板105の図中の下面側に対して気体による圧力をかけるため、基板105の裏面空間に気体を導入するための複数の貫通孔104C〜104Eが形成されている。貫通孔104C〜104Eには、ホース123〜125を介して圧力調整部PSが接続されている。圧力調整部PSは、圧力調整弁109〜111と、レギュレータ112〜114と、ブロア115とを有する。圧力調整弁109及びレギュレータ112はホース123を介して貫通孔104Cに接続され、圧力調整弁110及びレギュレータ113はホース124を介して貫通孔104Dに接続され、圧力調整弁111及びレギュレータ114はホース125を介して貫通孔104Eに接続される。レギュレータ112〜114とブロア115との間は連結ホース126により接続されている。この圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eにそれぞれ導入される気体の圧力が独立して調整されると、貫通孔104C〜104Eに対向する基板105の各部分に対する圧力が独立して調整されて、基板105の撓みが矯正される。この基板105の撓みを矯正する際の圧力調整処理の詳細については後述する。圧力調整弁109〜111の各開閉動作とブロア115の駆動及び停止は、制御部119により制御される。
【0023】
基板105は、例えば、加速度センサの素材とされるシリコンウェハであり、その表裏両面に対してそれぞれ所定の加工が行われる。本第1の実施の形態で用いられる基板105は、厚さが200μm〜1mm程度、直径が6インチ〜12インチ程度の薄い円盤である。基板105の上面には露光前にレジスト膜140が形成される。この基板105はワークステージ104上に水平に保持された状態で露光装置100内に置かれる。
【0024】
顕微鏡107、108は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作に利用され、アライメント用の画像情報を取得する画像取得部として利用される。本実施の形態では、顕微鏡107、108は、基板105とフォトマスク102の各面上の少なくとも二箇所でアライメント操作を行うために2つ用いられている。顕微鏡107、108は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際にフォトマスク102の上方の所定位置に各々移動され、アライメント操作を完了した際に各々退避位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に戻される。アライメント操作を行う際の各顕微鏡107、108の配置位置は、フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークと、基板105の面内に配置されたアライメントマーク等に基づいて決定される。この顕微鏡107、108の移動動作は、制御部119により制御される。なお、顕微鏡の数は、二つに限るものではなく、アライメント操作を行う際に要求される精度に応じて、一つでもよいし、二つより多くてもよい。なお、顕微鏡107、108は、CCD等の撮像素子を内蔵し、フォトマスク102のパターンと基板105の各画像情報を制御部119に対して出力する機能を有する。また、顕微鏡に限るものではなく、CCD等の撮像素子のみを用いてもよい。用は、フォトマスク102のパターンと基板105の各画像情報を取得できるものであればよい。
【0025】
また、露光装置100は、装置全体の動作を制御する制御部119を有する。制御部119は、配線L1、L2を介して顕微鏡107、108と接続され、配線L3を介して電磁弁116と接続され、配線L4を介して真空ポンプ118と接続され、配線L5〜L7を介して電磁弁109〜111と接続され、配線L8を介してブロア115と接続される。制御部119は、露光装置100全体の動作を制御するCPU131と、CPU131が実行する制御プログラム等を記憶するROM132と、CPU131が実行中の制御に関する各種パラメータ等を一時的に記憶するRAM133とを有する。
【0026】
また、CPU131は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際に、顕微鏡107、108を図1に示す各配置位置を移動させる。この顕微鏡107、108の各配置位置への移動が完了すると、CPU131は、フォトマスク102のパターンに対する各顕微鏡107、108が画像フォーカスの合うフォーカス位置となるように各顕微鏡107、108の高さを調整し、その後基板105に対する所定の距離まで各顕微鏡107、108を下降させる。その後、CPU131は、各顕微鏡107、108から入力される基板105上のアライメントマーク等の画像からフォトマスク102のパターン(図中では下面側)と基板105の上面側との間の距離情報D1、D2を取得し、この距離D1、D2に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整することにより、基板105の撓みを矯正する。この調整する際のパラメータは距離情報に限るものではなく、例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて調整するようにしてもよい。また、予めROM132に基準距離情報Dを記憶し、この基準距離情報Dと取得した距離情報D1、D2とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、予めROM132に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。
【0027】
<露光方法>
次に、本実施の形態に係る露光装置100により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図1及び図2〜図4を参照して説明する。図2(A)、(B)は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程を示す図である。図2(A)において“Z”はフォトマスク102に対してフォーカス位置を合わせる時に顕微鏡107、108が移動する方向を示し、図2(B)において“A”は基板105に対してフォーカス位置を合わせる時に顕微鏡107、108が移動する方向を示す。図3は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。図4は、制御部119内のCPU131により実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンと基板105との間にギャップを設けて露光を行うプロキシミティ露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置100が適用される露光方法はプロキシミティ露光に限定するものではなく、コンタクト露光にも適用可能である。
【0028】
(1)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0029】
(2)顕微鏡の移動(図2(A)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0030】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図2(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターンに合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向のフォーカス位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向のフォーカス位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。異なる2箇所でフォーカスを調整することにより、基板105とフォトマスク102の平行度をより向上させることができ、アライメント精度及び解像度の面内分布を向上させることができる。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。なお、本実施の形態では、基板105の略中央部は、基板105の中心から直径1cm内とし、できるだけ離れた位置は、基板105の外周部のチャック位置から5cm以内とする。
【0031】
(4)基板に対するフォーカス位置調整(図2(B)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置が基板105の上面に合うように、各顕微鏡107、108AだけZ方向に下げる。なお、Aは予め設定されたフォトマスク102と基板105との間の距離である。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。なお、基板105の上面をフォトマスク102に接触させて露光するソフトコンタクト露光やハードコンタクト露光を行う場合は、顕微鏡107、108のZ方向の位置を下げる必要はない。
【0032】
(5)基板の撓み調整
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0033】
ここで、CPU131により行われる気体の圧力調整処理の詳細について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。図4は、CPU131により行われる圧力調整処理を示すフローチャートである。本実施の形態に係る圧力調整処理では、気体として空気を用い、圧力を調整する際のパラメータとしてフォトマスク102のパターンと基板105の上面との間の距離情報を用いるものとする。このため、制御部119内のROM132には、距離情報の基準となる基準距離情報Dが予め記憶されているものとする。
【0034】
図4において、CPU131は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像から距離情報D2(図1参照)を取得し、この距離情報D2とROM132に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D2と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS101)。一致しなかった場合(ステップS101:NG)、CPU131は、圧力調整弁110の開閉量を制御して、図3に示す圧力Aを0〜1barの間で調整する(ステップS102)。次いで、CPU131は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Aを固定する(ステップS103)。なお、距離情報D2は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0035】
次いで、CPU131は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1(図1参照)を取得し、この距離情報D1とROM132に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS104)。一致しなかった場合(ステップS104:NG)、CPU131は、圧力調整弁109及び111の各開閉量を制御して、図3に示す圧力Bを0〜1barの間で調整する(ステップS105)。次いで、CPU131は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Bを固定する(ステップS106)。なお、距離情報D1は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0036】
次いで、CPU131は、再度、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dとの一致を判定する(ステップS107)。一致しない場合(ステップS107:NG)、ステップS102に戻り、ステップS102以降の処理を繰り返し実行する。
【0037】
また、ステップS101において、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS101:OK)、直ちにステップS104に移行し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS104:OK)、圧力調整処理を終了する。また、ステップS107にいて、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS107:OK)、圧力調整処理を終了する。
【0038】
以上のように、圧力調整処理を行うことにより、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0039】
(6)アライメント
顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。このアライメント工程は、上記(5)の基板の撓み調整工程において行っても良い。
【0040】
(7)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上面のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0041】
(8)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0042】
(9)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0043】
以上の工程により、本第1の実施の形態に係る露光置100による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0044】
なお、本実施の形態に係る露光置100では、基板105に対してかける気体の圧力を距離情報により調整する場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて気体の圧力を調整するようにしてもよい。この場合、予めROM132に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、本実施の形態に係る露光置100では、圧力を調整するために気体として空気を用いる場合を説明したが、これに限るものではなく、例えば、気体として窒素等を用いても良い。また、気体ではなく流体を用いるようにしても良い。
【0045】
また、本実施の形態に係る露光置100では、ワークステージ104において気体を導入するための複数の貫通孔104C〜104Eを有する場合を示したが、貫通孔の形成位置や形成数は適宜変更しても良い。図5に貫通孔の他の形成例を示す。図5(A)は、ワークステージ104の略中央部に貫通孔150を形成した例である。図5(B)は、ワークステージ104の略中央部とその周辺部の他の4個所に貫通孔150を形成した例である。図5(C)は、ワークステージ104の略中央部と同心円上に複数個所に貫通孔150を形成した例である。図5(D)は、ワークステージ104の略中央部から外周部に向かって直径を徐々に大きくして複数の貫通孔150を形成した例である。これらのように貫通孔の形成形態は、基板105の撓みを矯正する際の要求に応じて適宜変更してもよい。なお、貫通孔の直径は、1mm〜10mm程度である。図5(B)〜(D)のように基板中心に対して点対称に貫通孔を配置することで基板の撓みを面内均一にすることができる。また、図5(D)のように中央部の孔径を小さくし、中央部より外側にある孔径を徐々に大きくすることで、装置上の気体の流量が制限されていたとしても基板の面内で一番撓む中央部に対する圧力を大きくできるため、基板毎に異なる撓みに対応する幅が広がる。これにより、基板の口径によらず基板毎に異なる撓みをより適切に矯正することが可能になる。
【0046】
(第2の実施の形態)
<露光装置の構成>
まず、本第2の実施の形態に係る露光装置の構成について図6を参照して説明する。図6は第2の実施の形態に係る露光装置200の概略構成を示す図である。図6に示す露光装置200おいて、図1に示した露光装置100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その同一構成部分の説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として後述する圧力調整機構PMを備え、圧力調整機構PMが有する押圧部材を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0047】
図6において、露光装置200、基板105に対して圧力を印加する押圧部材211〜213を通す複数の貫通孔104C〜104Eを有するワークステージ104と、基板105に対して印加する圧力を調整する圧力調整機構PMと、を備える。圧力調整機構PMは、押圧部材211〜213と、押圧部材211〜213を上昇又は下降させて基板105に対して印加する圧力を調整する駆動部214〜216とを有する。
【0048】
露光装置200は、装置全体の動作を制御する制御部220を有する。制御部220は、配線L1、L2を介して顕微鏡107、108と接続され、配線L3を介して電磁弁116と接続され、配線L4を介して真空ポンプ118と接続され、配線L5〜L7を介して駆動部214〜216と接続される。制御部220は、露光装置200全体の動作を制御するCPU221と、CPU221が実行する制御プログラム等を記憶するROM222と、CPU221が実行中の制御に関する各種パラメータ等を一時的に記憶するRAM223とを有する。
【0049】
また、CPU221は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際に、顕微鏡107、108を図6に示す各配置位置を移動させる。この顕微鏡107、108の各配置位置への移動が完了すると、CPU221は、フォトマスク102のパターンに対する各顕微鏡107、108が画像フォーカスの合うフォーカス位置となるように各顕微鏡107、108の高さを調整し、その後基板105に対する所定の距離まで各顕微鏡107、108を下降させる。その後、CPU221は、各顕微鏡107、108から入力される基板105上のアライメントマーク等の画像からフォトマスク102のパターン(図中では下面側)と基板105の上面側との間の距離情報D1、D2を取得し、この距離D1、D2に基づいて貫通孔104C〜104Eを通って基板105に圧力を印加する押圧部材211〜213の圧力を独立して調整することにより、基板105の撓みを矯正する。この調整する際のパラメータは距離情報に限るものではなく、例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて調整するようにしてもよい。また、予めROM222に基準距離情報Dを記憶し、この基準距離情報Dと取得した距離情報D1、D2とを比較し、この比較結果に基づいて押圧部材211〜213の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、予めROM222に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて押圧部材211〜213の圧力を独立して調整するようにしてもよい。
【0050】
<露光方法>
次に、本実施の形態に係る露光装置200により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、基板105に対して押圧部材211〜213により圧力を印加する工程を示す図である。図8は、制御部220内のCPU221により実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンと基板105との間にギャップを設けて露光を行うプロキシミティ露光を適用するものとする。なお、本実施の形態に係る露光処理の工程のうち第1の実施の形態において説明した工程と重複する工程の説明は省略し、基板のアライメント工程について図7及び図8を参照して説明する。本実施の形態の露光装置200が適用される露光方法はプロキシミティ露光に限定するものではなく、コンタクト露光にも適用可能である。
【0051】
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整機構PMにより貫通孔104C〜104Eから導入する押圧部材211〜213の圧力を調整する。この時、圧力調整機構PMに対する圧力調整処理は、制御部220内のCPU221により行われる。
【0052】
ここで、CPU221により行われる圧力調整処理の詳細について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、基板に対して押圧部材211〜213により圧力をかける工程を示す図である。図8は、CPU221により行われる圧力調整処理を示すフローチャートである。本実施の形態に係る圧力調整処理では、圧力を調整する際のパラメータとしてフォトマスク102のパターンと基板105の上面との間の距離情報を用いるものとする。このため、制御部220内のROM222には、距離情報の基準となる基準距離情報Dが予め記憶されているものとする。
【0053】
図8において、CPU221は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像から距離情報D2(図6参照)を取得し、この距離情報D2とROM222に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D2と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS201)。一致しなかった場合(ステップS201:NG)、CPU131は、駆動部215の駆動量を制御して、図7に示す押圧部材212による圧力Aを調整する(ステップS202)。次いで、CPU221は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Aを固定する(ステップS203)。なお、距離情報D2は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0054】
次いで、CPU221は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1(図6参照)を取得し、この距離情報D1とROM222に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS204)。一致しなかった場合(ステップS204:NG)、CPU221は、駆動部214及び216の各駆動量を制御して、図3に示す押圧部材211及び213による圧力Bを調整する(ステップS205)。次いで、CPU221は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Bを固定する(ステップS206)。なお、距離情報D1は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0055】
次いで、CPU221は、再度、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dとの一致を判定する(ステップS207)。一致しない場合(ステップS207:NG)、ステップS202に戻り、ステップS202以降の処理を繰り返し実行する。
【0056】
また、ステップS201において、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS201:OK)、直ちにステップS204に移行し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS204:OK)、圧力調整処理を終了する。また、ステップS207にいて、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS207:OK)、圧力調整処理を終了する。
【0057】
以上のように、圧力調整処理を行うことにより、基板105内の撓み量に応じて、印加される圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部220により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る露光装置について図面を参照して説明する。本実施の形態に係る露光装置の構成は、顕微鏡107及び108をワークステージ104の下側に配置した以外は、図1に示した露光装置100の構成と同様であるため、その図示と構成説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として気体を利用する圧力調整部PSを備える。圧力調整部PSは気体を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0059】
本実施の形態に係る露光装置300は、図9(A)及び(B)に示すように、ワークステージ104の下側に配置した顕微鏡107及び108によりフォトマスク102のパターンと基板105に対してアライメント操作を行うことに特徴がある。
【0060】
本実施の形態に係る露光装置300により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程と、マスクホルダ103の下降工程とを示す図である。図10は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンに基板105を接触して露光を行うコンタクト露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置300が適用される露光方法はコンタクト露光に限定するものではなく、プロキシミティ露光にも適用可能である。
【0061】
(1)マスクホルダの下降(図9(A)参照)
マスクホルダ103を下降させ、チャック106上にフォトマスク102が乗る状態とする。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0062】
(2)顕微鏡の移動(図9(A)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0063】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図9(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターン(図中の下面側)に合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向の位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。
【0064】
(4)アライメントマークの記憶
フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークの位置を、十字マーク等により制御部119内のROM132に記憶させる。
【0065】
(5)マスクホルダの上昇
基板105をチャック106上に搬送させる空間を確保するため、マスクホルダ103を上昇させる。この時、マスクホルダ103の上昇位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0066】
(6)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0067】
(7)マスクホルダの下降(図9(B)参照)
マスクホルダ103を所定の位置まで下降させる。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。この下降位置は、露光装置300側で設定される。
【0068】
(8)基板の撓み調整(図10参照)
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。このCPU131により行われる圧力調整処理は、上記第1の実施の形態において、図4に示したフローチャートと同様に行われる。このため、フローチャートの図示と処理の詳細な説明は省略する。この圧力調整処理により、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける気体の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0069】
(9)アライメント
制御部119は、ROM132に記憶したアライメントマークの位置に基づいて、顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0070】
(10)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0071】
(11)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0072】
(12)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0073】
以上の工程により、本第3の実施の形態に係る露光置300による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0074】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る露光装置について図面を参照して説明する。本実施の形態に係る露光装置の構成は、顕微鏡107及び108をワークステージ104の下側に配置した以外は、図1に示した露光装置100の構成と同様であるため、その図示と構成説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として気体を利用する圧力調整部PSを備える。圧力調整部PSは気体を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0075】
本実施の形態に係る露光装置400は、図11(A)及び(B)に示すように、ワークステージ104の下側に配置した顕微鏡107及び108によりフォトマスク102のパターンと基板105に対してアライメント操作を行うことに特徴がある。また、本実施の形態に係る露光装置400では、アライメント操作に際して顕微鏡108の移動位置をフォトマスク102の周辺部に設定することに特徴がある。
【0076】
本実施の形態に係る露光装置400により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程と、マスクホルダ103の下降工程とを示す図である。図10は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンに基板105を接触して露光を行うコンタクト露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置400が適用される露光方法はコンタクト露光に限定するものではなく、プロキシミティ露光にも適用可能である。
【0077】
(1)マスクホルダの下降(図11(A)参照)
マスクホルダ103を下降させ、チャック106上にフォトマスク102が乗る状態とする。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0078】
(2)顕微鏡の移動(図11(A)参照)
顕微鏡108、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。フォトマスク102のパターン内のアライメントマークは、顕微鏡108、顕微鏡107が移動した位置に配置するものとする。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0079】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図11(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターン(図中の下面側)に合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向の位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。
【0080】
(4)アライメントマークの記憶
フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークの位置を、十字マーク等により制御部119内のROM132に記憶させる。
【0081】
(5)マスクホルダの上昇
基板105をチャック106上に搬送させる空間を確保するため、マスクホルダ103を上昇させる。この時、マスクホルダ103の上昇位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0082】
(6)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0083】
(7)マスクホルダの下降(図11(B)参照)
マスクホルダ103を所定の位置まで下降させる。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。この下降位置は、露光装置300側で設定される。
【0084】
(8)顕微鏡の移動(図11(B)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108のZ方向の位置は変化させない。また、この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0085】
(9)基板の撓み調整(図12参照)
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。このCPU131により行われる圧力調整処理は、上記第1の実施の形態において、図4に示したフローチャートと同様に行われる。このため、フローチャートの図示と処理の詳細な説明は省略する。この圧力調整処理により、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0086】
(10)アライメント
制御部119は、ROM132に記憶したアライメントマークの位置に基づいて、顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0087】
(11)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上面のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0088】
(12)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0089】
(13)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0090】
以上の工程により、本第4の実施の形態に係る露光置400による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0091】
なお、上記第3及び第4の実施の形態では、気体の圧力を調整することにより基板の撓みを矯正する場合を示したが、第2の実施の形態において図6に示した圧力調整機構PMを適用して基板の撓みを矯正するようにしてもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、顕微鏡107,108をフォトマスク102より上方に配置する場合を示し、上記第3及び第4の実施の形態では、顕微鏡107,108を基板150より下方に配置する場合を示したが、これらの構成に限定されるものではない。上下両方に顕微鏡を配置して基板の平行度を調整してもよい。また、上記第1〜第4の実施の形態では、基板を加圧して撓みを矯正する場合を説明したが、基板が上側に撓んでいる場合には貫通孔から吸引して基板の撓みを矯正してもよい。
【符号の説明】
【0092】
100,200,300,400…露光装置、102…フォトマスク、103…マスクホルダ、104…ワークステージ、104C〜104E…貫通孔、105…基板、106…チャック、107,108…顕微鏡、109〜111…圧力調整弁、112〜114…レギュレータ、115…ブロア、119,220…制御部、131,221…CPU、132,222…ROM、133,223…RAM、211〜213…押圧部材、214〜216…駆動部、PS…圧力調整部、PM…圧力調整機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンが形成されたフォトマスクを用いて基板上のレジストを露光する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC、LSI等の製造においてシリコンウェハ等の薄板状の基板にパターンを露光する場合は、基板の片面を露光することが一般的である。例えば、図13に示すように、基板14をワークステージ13上に真空吸着により固定し、フォトマスク11をワークステージ13より上方のマスクホルダ12に保持固定し、ワークステージ13を上昇させて基板14をフォトマスク11に近接あるいは密着させ、露光を行う。基板14の表面には予めフォトレジスト膜(図示せず)が形成されており、このフォトレジスト膜に対して露光が行われて、フォトマスク11のパターンが焼き付けられる。
【0003】
露光によるパターン解像度を向上させるためにはフォトマスク11と基板14の密着度を上げ、また、解像度の面内分布を改善するために平行度を上げる必要があり、従来は主に二種類の方式が行われている。一つ目は、ソフトコンタクト露光と呼ばれるもので、基板14がフォトマスク11に接触するまでワークステージ13を上昇させた状態で露光を行う方式である。二つめは、ハードコンタクト露光と呼ばれるもので、ワークステージ13を上昇させて基板14をフォトマスク11に接触させ、基板14をワークステージ13上に保持するための真空吸着穴から空気等の気体を吐出させることにより基板14を押し上げてフォトマスク11に対する密着度を更に高める方式である。
【0004】
しかしながら、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて加速度センサあるいは角速度センサ等を製造する場合は、基板の表面だけでなく裏面に対しても露光等の各種工程が行われている。このような表裏両面を加工する基板に対して露光を行う場合は、図13に示した構成では基板14の裏面がワークステージ13との接触により損傷及び汚染を受けることになるため、ワークステージ13は使用することはできない。
【0005】
そこで、図14に示す構成のワークステージ21を使用して基板23の表裏両面に露光を行っている。このワークステージ21は、基板23の外周部を保持する環状のチャック22を備える。このチャック22には環状凹溝22Aが形成されている。この環状凹溝22Aを真空ポンプ等で吸引することによって、基板23の外周部をチャック22の環状凹溝22A上に吸着する。このワークステージ21を用いた露光装置によれば、基板23の裏面はその外周部を除いてワークステージ21に接触しないので、基板23の裏面は損傷及び汚染から防止される。
【0006】
また、製造効率の向上を図るため、基板が大口径化している。この基板の大口径化は、図14に示したようなワークステージ21を使用する場合に、次のような問題を発生させる。図14のワークステージ21を使用して大口径の基板23をチャック22に固定した場合、図14に示すように基板23に撓みが発生し、基板23全体のフォトマスク11に対する平行状態が維持されないため、正確なアライメントが行えないという問題がある。また、基板23とフォトマスク11の平行度が悪化すると、解像度の面内分布を悪化させる。
【0007】
このような問題を解決する装置として、例えば、特許文献1に記載された露光装置がある。この露光装置は、図15に示すように、基板33の撓みを矯正するため、ワークステージ31に複数の導入孔(図示せず)を設け、この導入孔を通じて基板33の下面側に空気を導入し、この空気の圧力で基板33の撓みを矯正している。
【0008】
また、上記のような問題を解決する装置として、例えば、特許文献2に記載された露光装置がある。この露光装置は、特許文献1の露光装置と同様の構成を備えるとともに、空気を供給する系に電磁弁、レギュレータ及び制御ユニットを設けて、空気を導入するタイミングや空気の圧力を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−36101号公報
【特許文献2】国際出願公開2008/105226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の特許文献1及び特許文献2に記載された露光装置では、基板の撓みが矯正されたか否かを作業者が判断しており、判断する作業者によって個人差が発生し、基板の撓みの矯正具合に再現性が得られない可能性があった。
【0011】
また、上述の特許文献1に記載された露光装置では、基板の撓みを矯正する空気を導入するための導入孔はワークステージ31に設けられ、その気体の圧力は制御されていない。このため、基板33基板の反り量、厚み等の差により撓みの矯正に必要な気体及び流体の圧力は基板毎に異なり、特許文献1に記載された露光装置では、基板毎に撓みを矯正することはできない。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑み、基板の撓みを自動的に矯正して矯正具合の再現性を改善し、基板の解像度の面内部分布を均一にする露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る露光装置は、フォトマスクを固定するマスクホルダと、基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る露光方法は、フォトマスクと対向する位置に基板の外周部を固定するワークステージを配置し、前記フォトマスク上に画像取得部を移動して前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得し、前記画像取得部からの情報に基づき、1つ以上の圧力調整部の前記基板に対する圧力を制御部により調整して、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間の距離を調整し、前記基板の表面を、前記フォトマスクを介して露光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板毎に撓み具合を検出し、その撓み具合に応じて撓みを矯正する気体、流体または固体の圧力を調整して、基板の撓みを自動的に矯正して矯正具合の再現性を改善し、基板の解像度の面内部分布を均一にする露光装置及び露光方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る露光装置全体の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)は基板に対するフォーカス位置を調整する工程を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るCPUにより実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係るワークステージの貫通孔の形成例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る露光装置全体の概略構成を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板に対して押圧部材により圧力をかける工程を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るCPUにより実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る露光装置における顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)はマスクホルダの下降工程を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る露光装置における顕微鏡のフォーカス位置を調整する工程を示す図であり、(A)はフォトマスクのパターンに対するフォーカス位置を調整する工程を示す図、(B)はマスクホルダの下降工程を示す図である。
【図12】第4の実施の形態に係る基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。
【図13】従来のワークステージの概略構成を示す図である。
【図14】従来の基板の外周部を真空吸着する露光装置の概略構成を示す図である。
【図15】従来の基板の撓みを気体の圧力により矯正する露光装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
<露光装置の構成>
まず、本第1の実施の形態に係る露光装置の構成について図1を参照して説明する。図1は第1の実施の形態に係る露光装置100の概略構成を示す図である。図1において、露光装置100は、露光用光源101と、マスクホルダ103と、ワークステージ104と、チャック106と、顕微鏡107、108と、制御部119と、圧力調整部PSと、真空排気部VSと、を備える。なお、図1において、102はフォトマスクである。
【0019】
露光用光源101は、アライメント操作が完了した基板105とフォトマスク102に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105の上面に形成されたレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜140にパターンが形成される。露光用光源101の点灯及び消灯は、制御部119により制御される。
【0020】
フォトマスク102は、基板105のレジスト膜に焼き付けるためのパターンを有した透明なガラス板である。フォトマスク102は、マスクホルダ103によりその周縁部を保持された状態で露光装置100内に置かれる。図1に示すフォトマスク102では、パターン(例えば、Cr膜)は、図中の下面に配置されているものとする。マスクホルダ103は、フォトマスク102の周縁部を保持する。
【0021】
ワークステージ104には、上面に表裏両面加工される基板105の外周部を保持する環状のチャック106が設けられている。このチャック106には環状凹溝106Aが形成されている。この環状凹溝106Aの底部には、環状凹溝106Aと連通する真空吸引孔104A,104Bが形成されている。真空吸引孔104A、104Bには、ホース121、122を介して真空排気部VSが接続されている。真空排気部VSは、電磁弁116と、レギュレータ117と、真空ポンプ118とを有する。この真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気が排出されると、基板105の外周部がチャック106上に吸引されて保持される。電磁弁116の開閉動作と真空ポンプ118の駆動及び停止は、制御部119により制御される。基板105は、外周部がチャック106により保持されるため、その裏面(下面)に対してワークステージ104の接触が回避される。このため、基板105の裏面は損傷及び汚染から防止される。
【0022】
また、ワークステージ104は、基板105の図中の下面側に対して気体による圧力をかけるため、基板105の裏面空間に気体を導入するための複数の貫通孔104C〜104Eが形成されている。貫通孔104C〜104Eには、ホース123〜125を介して圧力調整部PSが接続されている。圧力調整部PSは、圧力調整弁109〜111と、レギュレータ112〜114と、ブロア115とを有する。圧力調整弁109及びレギュレータ112はホース123を介して貫通孔104Cに接続され、圧力調整弁110及びレギュレータ113はホース124を介して貫通孔104Dに接続され、圧力調整弁111及びレギュレータ114はホース125を介して貫通孔104Eに接続される。レギュレータ112〜114とブロア115との間は連結ホース126により接続されている。この圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eにそれぞれ導入される気体の圧力が独立して調整されると、貫通孔104C〜104Eに対向する基板105の各部分に対する圧力が独立して調整されて、基板105の撓みが矯正される。この基板105の撓みを矯正する際の圧力調整処理の詳細については後述する。圧力調整弁109〜111の各開閉動作とブロア115の駆動及び停止は、制御部119により制御される。
【0023】
基板105は、例えば、加速度センサの素材とされるシリコンウェハであり、その表裏両面に対してそれぞれ所定の加工が行われる。本第1の実施の形態で用いられる基板105は、厚さが200μm〜1mm程度、直径が6インチ〜12インチ程度の薄い円盤である。基板105の上面には露光前にレジスト膜140が形成される。この基板105はワークステージ104上に水平に保持された状態で露光装置100内に置かれる。
【0024】
顕微鏡107、108は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作に利用され、アライメント用の画像情報を取得する画像取得部として利用される。本実施の形態では、顕微鏡107、108は、基板105とフォトマスク102の各面上の少なくとも二箇所でアライメント操作を行うために2つ用いられている。顕微鏡107、108は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際にフォトマスク102の上方の所定位置に各々移動され、アライメント操作を完了した際に各々退避位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に戻される。アライメント操作を行う際の各顕微鏡107、108の配置位置は、フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークと、基板105の面内に配置されたアライメントマーク等に基づいて決定される。この顕微鏡107、108の移動動作は、制御部119により制御される。なお、顕微鏡の数は、二つに限るものではなく、アライメント操作を行う際に要求される精度に応じて、一つでもよいし、二つより多くてもよい。なお、顕微鏡107、108は、CCD等の撮像素子を内蔵し、フォトマスク102のパターンと基板105の各画像情報を制御部119に対して出力する機能を有する。また、顕微鏡に限るものではなく、CCD等の撮像素子のみを用いてもよい。用は、フォトマスク102のパターンと基板105の各画像情報を取得できるものであればよい。
【0025】
また、露光装置100は、装置全体の動作を制御する制御部119を有する。制御部119は、配線L1、L2を介して顕微鏡107、108と接続され、配線L3を介して電磁弁116と接続され、配線L4を介して真空ポンプ118と接続され、配線L5〜L7を介して電磁弁109〜111と接続され、配線L8を介してブロア115と接続される。制御部119は、露光装置100全体の動作を制御するCPU131と、CPU131が実行する制御プログラム等を記憶するROM132と、CPU131が実行中の制御に関する各種パラメータ等を一時的に記憶するRAM133とを有する。
【0026】
また、CPU131は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際に、顕微鏡107、108を図1に示す各配置位置を移動させる。この顕微鏡107、108の各配置位置への移動が完了すると、CPU131は、フォトマスク102のパターンに対する各顕微鏡107、108が画像フォーカスの合うフォーカス位置となるように各顕微鏡107、108の高さを調整し、その後基板105に対する所定の距離まで各顕微鏡107、108を下降させる。その後、CPU131は、各顕微鏡107、108から入力される基板105上のアライメントマーク等の画像からフォトマスク102のパターン(図中では下面側)と基板105の上面側との間の距離情報D1、D2を取得し、この距離D1、D2に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整することにより、基板105の撓みを矯正する。この調整する際のパラメータは距離情報に限るものではなく、例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて調整するようにしてもよい。また、予めROM132に基準距離情報Dを記憶し、この基準距離情報Dと取得した距離情報D1、D2とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、予めROM132に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。
【0027】
<露光方法>
次に、本実施の形態に係る露光装置100により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図1及び図2〜図4を参照して説明する。図2(A)、(B)は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程を示す図である。図2(A)において“Z”はフォトマスク102に対してフォーカス位置を合わせる時に顕微鏡107、108が移動する方向を示し、図2(B)において“A”は基板105に対してフォーカス位置を合わせる時に顕微鏡107、108が移動する方向を示す。図3は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。図4は、制御部119内のCPU131により実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンと基板105との間にギャップを設けて露光を行うプロキシミティ露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置100が適用される露光方法はプロキシミティ露光に限定するものではなく、コンタクト露光にも適用可能である。
【0028】
(1)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0029】
(2)顕微鏡の移動(図2(A)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0030】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図2(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターンに合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向のフォーカス位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向のフォーカス位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。異なる2箇所でフォーカスを調整することにより、基板105とフォトマスク102の平行度をより向上させることができ、アライメント精度及び解像度の面内分布を向上させることができる。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。なお、本実施の形態では、基板105の略中央部は、基板105の中心から直径1cm内とし、できるだけ離れた位置は、基板105の外周部のチャック位置から5cm以内とする。
【0031】
(4)基板に対するフォーカス位置調整(図2(B)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置が基板105の上面に合うように、各顕微鏡107、108AだけZ方向に下げる。なお、Aは予め設定されたフォトマスク102と基板105との間の距離である。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。なお、基板105の上面をフォトマスク102に接触させて露光するソフトコンタクト露光やハードコンタクト露光を行う場合は、顕微鏡107、108のZ方向の位置を下げる必要はない。
【0032】
(5)基板の撓み調整
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0033】
ここで、CPU131により行われる気体の圧力調整処理の詳細について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、基板に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。図4は、CPU131により行われる圧力調整処理を示すフローチャートである。本実施の形態に係る圧力調整処理では、気体として空気を用い、圧力を調整する際のパラメータとしてフォトマスク102のパターンと基板105の上面との間の距離情報を用いるものとする。このため、制御部119内のROM132には、距離情報の基準となる基準距離情報Dが予め記憶されているものとする。
【0034】
図4において、CPU131は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像から距離情報D2(図1参照)を取得し、この距離情報D2とROM132に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D2と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS101)。一致しなかった場合(ステップS101:NG)、CPU131は、圧力調整弁110の開閉量を制御して、図3に示す圧力Aを0〜1barの間で調整する(ステップS102)。次いで、CPU131は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Aを固定する(ステップS103)。なお、距離情報D2は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0035】
次いで、CPU131は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1(図1参照)を取得し、この距離情報D1とROM132に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS104)。一致しなかった場合(ステップS104:NG)、CPU131は、圧力調整弁109及び111の各開閉量を制御して、図3に示す圧力Bを0〜1barの間で調整する(ステップS105)。次いで、CPU131は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Bを固定する(ステップS106)。なお、距離情報D1は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0036】
次いで、CPU131は、再度、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dとの一致を判定する(ステップS107)。一致しない場合(ステップS107:NG)、ステップS102に戻り、ステップS102以降の処理を繰り返し実行する。
【0037】
また、ステップS101において、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS101:OK)、直ちにステップS104に移行し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS104:OK)、圧力調整処理を終了する。また、ステップS107にいて、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS107:OK)、圧力調整処理を終了する。
【0038】
以上のように、圧力調整処理を行うことにより、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0039】
(6)アライメント
顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。このアライメント工程は、上記(5)の基板の撓み調整工程において行っても良い。
【0040】
(7)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上面のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0041】
(8)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0042】
(9)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0043】
以上の工程により、本第1の実施の形態に係る露光置100による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0044】
なお、本実施の形態に係る露光置100では、基板105に対してかける気体の圧力を距離情報により調整する場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて気体の圧力を調整するようにしてもよい。この場合、予めROM132に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて貫通孔104C〜104Eに導入する気体の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、本実施の形態に係る露光置100では、圧力を調整するために気体として空気を用いる場合を説明したが、これに限るものではなく、例えば、気体として窒素等を用いても良い。また、気体ではなく流体を用いるようにしても良い。
【0045】
また、本実施の形態に係る露光置100では、ワークステージ104において気体を導入するための複数の貫通孔104C〜104Eを有する場合を示したが、貫通孔の形成位置や形成数は適宜変更しても良い。図5に貫通孔の他の形成例を示す。図5(A)は、ワークステージ104の略中央部に貫通孔150を形成した例である。図5(B)は、ワークステージ104の略中央部とその周辺部の他の4個所に貫通孔150を形成した例である。図5(C)は、ワークステージ104の略中央部と同心円上に複数個所に貫通孔150を形成した例である。図5(D)は、ワークステージ104の略中央部から外周部に向かって直径を徐々に大きくして複数の貫通孔150を形成した例である。これらのように貫通孔の形成形態は、基板105の撓みを矯正する際の要求に応じて適宜変更してもよい。なお、貫通孔の直径は、1mm〜10mm程度である。図5(B)〜(D)のように基板中心に対して点対称に貫通孔を配置することで基板の撓みを面内均一にすることができる。また、図5(D)のように中央部の孔径を小さくし、中央部より外側にある孔径を徐々に大きくすることで、装置上の気体の流量が制限されていたとしても基板の面内で一番撓む中央部に対する圧力を大きくできるため、基板毎に異なる撓みに対応する幅が広がる。これにより、基板の口径によらず基板毎に異なる撓みをより適切に矯正することが可能になる。
【0046】
(第2の実施の形態)
<露光装置の構成>
まず、本第2の実施の形態に係る露光装置の構成について図6を参照して説明する。図6は第2の実施の形態に係る露光装置200の概略構成を示す図である。図6に示す露光装置200おいて、図1に示した露光装置100と同一の構成部分には同一符号を付しており、その同一構成部分の説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として後述する圧力調整機構PMを備え、圧力調整機構PMが有する押圧部材を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0047】
図6において、露光装置200、基板105に対して圧力を印加する押圧部材211〜213を通す複数の貫通孔104C〜104Eを有するワークステージ104と、基板105に対して印加する圧力を調整する圧力調整機構PMと、を備える。圧力調整機構PMは、押圧部材211〜213と、押圧部材211〜213を上昇又は下降させて基板105に対して印加する圧力を調整する駆動部214〜216とを有する。
【0048】
露光装置200は、装置全体の動作を制御する制御部220を有する。制御部220は、配線L1、L2を介して顕微鏡107、108と接続され、配線L3を介して電磁弁116と接続され、配線L4を介して真空ポンプ118と接続され、配線L5〜L7を介して駆動部214〜216と接続される。制御部220は、露光装置200全体の動作を制御するCPU221と、CPU221が実行する制御プログラム等を記憶するROM222と、CPU221が実行中の制御に関する各種パラメータ等を一時的に記憶するRAM223とを有する。
【0049】
また、CPU221は、フォトマスク102と基板105の各アライメント操作を行う際に、顕微鏡107、108を図6に示す各配置位置を移動させる。この顕微鏡107、108の各配置位置への移動が完了すると、CPU221は、フォトマスク102のパターンに対する各顕微鏡107、108が画像フォーカスの合うフォーカス位置となるように各顕微鏡107、108の高さを調整し、その後基板105に対する所定の距離まで各顕微鏡107、108を下降させる。その後、CPU221は、各顕微鏡107、108から入力される基板105上のアライメントマーク等の画像からフォトマスク102のパターン(図中では下面側)と基板105の上面側との間の距離情報D1、D2を取得し、この距離D1、D2に基づいて貫通孔104C〜104Eを通って基板105に圧力を印加する押圧部材211〜213の圧力を独立して調整することにより、基板105の撓みを矯正する。この調整する際のパラメータは距離情報に限るものではなく、例えば、パターンと基板105の各画像のコントラスト情報に基づいて調整するようにしてもよい。また、予めROM222に基準距離情報Dを記憶し、この基準距離情報Dと取得した距離情報D1、D2とを比較し、この比較結果に基づいて押圧部材211〜213の圧力を独立して調整するようにしてもよい。また、予めROM222に基準コントラスト情報を記憶し、この基準コントラスト情報と取得したコントラスト情報とを比較し、この比較結果に基づいて押圧部材211〜213の圧力を独立して調整するようにしてもよい。
【0050】
<露光方法>
次に、本実施の形態に係る露光装置200により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、基板105に対して押圧部材211〜213により圧力を印加する工程を示す図である。図8は、制御部220内のCPU221により実行される圧力調整処理を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンと基板105との間にギャップを設けて露光を行うプロキシミティ露光を適用するものとする。なお、本実施の形態に係る露光処理の工程のうち第1の実施の形態において説明した工程と重複する工程の説明は省略し、基板のアライメント工程について図7及び図8を参照して説明する。本実施の形態の露光装置200が適用される露光方法はプロキシミティ露光に限定するものではなく、コンタクト露光にも適用可能である。
【0051】
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整機構PMにより貫通孔104C〜104Eから導入する押圧部材211〜213の圧力を調整する。この時、圧力調整機構PMに対する圧力調整処理は、制御部220内のCPU221により行われる。
【0052】
ここで、CPU221により行われる圧力調整処理の詳細について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、基板に対して押圧部材211〜213により圧力をかける工程を示す図である。図8は、CPU221により行われる圧力調整処理を示すフローチャートである。本実施の形態に係る圧力調整処理では、圧力を調整する際のパラメータとしてフォトマスク102のパターンと基板105の上面との間の距離情報を用いるものとする。このため、制御部220内のROM222には、距離情報の基準となる基準距離情報Dが予め記憶されているものとする。
【0053】
図8において、CPU221は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像から距離情報D2(図6参照)を取得し、この距離情報D2とROM222に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D2と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS201)。一致しなかった場合(ステップS201:NG)、CPU131は、駆動部215の駆動量を制御して、図7に示す押圧部材212による圧力Aを調整する(ステップS202)。次いで、CPU221は、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Aを固定する(ステップS203)。なお、距離情報D2は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0054】
次いで、CPU221は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1(図6参照)を取得し、この距離情報D1とROM222に記憶された基準距離情報Dとを比較し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致したか否かを判定する(ステップS204)。一致しなかった場合(ステップS204:NG)、CPU221は、駆動部214及び216の各駆動量を制御して、図3に示す押圧部材211及び213による圧力Bを調整する(ステップS205)。次いで、CPU221は、顕微鏡107から入力される基板105上の画像から距離情報D1と基準距離情報Dが一致した時点で、圧力Bを固定する(ステップS206)。なお、距離情報D1は、基板105上に配置されたアライメントマーク画像から取得するようにしてもよい。
【0055】
次いで、CPU221は、再度、顕微鏡108から入力される基板105上の画像からの距離情報D2と基準距離情報Dとの一致を判定する(ステップS207)。一致しない場合(ステップS207:NG)、ステップS202に戻り、ステップS202以降の処理を繰り返し実行する。
【0056】
また、ステップS201において、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS201:OK)、直ちにステップS204に移行し、距離情報D1と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS204:OK)、圧力調整処理を終了する。また、ステップS207にいて、距離情報D2と基準距離情報Dが一致した場合は(ステップS207:OK)、圧力調整処理を終了する。
【0057】
以上のように、圧力調整処理を行うことにより、基板105内の撓み量に応じて、印加される圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部220により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0058】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る露光装置について図面を参照して説明する。本実施の形態に係る露光装置の構成は、顕微鏡107及び108をワークステージ104の下側に配置した以外は、図1に示した露光装置100の構成と同様であるため、その図示と構成説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として気体を利用する圧力調整部PSを備える。圧力調整部PSは気体を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0059】
本実施の形態に係る露光装置300は、図9(A)及び(B)に示すように、ワークステージ104の下側に配置した顕微鏡107及び108によりフォトマスク102のパターンと基板105に対してアライメント操作を行うことに特徴がある。
【0060】
本実施の形態に係る露光装置300により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程と、マスクホルダ103の下降工程とを示す図である。図10は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンに基板105を接触して露光を行うコンタクト露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置300が適用される露光方法はコンタクト露光に限定するものではなく、プロキシミティ露光にも適用可能である。
【0061】
(1)マスクホルダの下降(図9(A)参照)
マスクホルダ103を下降させ、チャック106上にフォトマスク102が乗る状態とする。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0062】
(2)顕微鏡の移動(図9(A)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0063】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図9(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターン(図中の下面側)に合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向の位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。
【0064】
(4)アライメントマークの記憶
フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークの位置を、十字マーク等により制御部119内のROM132に記憶させる。
【0065】
(5)マスクホルダの上昇
基板105をチャック106上に搬送させる空間を確保するため、マスクホルダ103を上昇させる。この時、マスクホルダ103の上昇位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0066】
(6)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0067】
(7)マスクホルダの下降(図9(B)参照)
マスクホルダ103を所定の位置まで下降させる。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。この下降位置は、露光装置300側で設定される。
【0068】
(8)基板の撓み調整(図10参照)
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。このCPU131により行われる圧力調整処理は、上記第1の実施の形態において、図4に示したフローチャートと同様に行われる。このため、フローチャートの図示と処理の詳細な説明は省略する。この圧力調整処理により、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける気体の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0069】
(9)アライメント
制御部119は、ROM132に記憶したアライメントマークの位置に基づいて、顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0070】
(10)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0071】
(11)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0072】
(12)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0073】
以上の工程により、本第3の実施の形態に係る露光置300による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0074】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る露光装置について図面を参照して説明する。本実施の形態に係る露光装置の構成は、顕微鏡107及び108をワークステージ104の下側に配置した以外は、図1に示した露光装置100の構成と同様であるため、その図示と構成説明は省略する。なお、本実施の形態では、圧力調整部として気体を利用する圧力調整部PSを備える。圧力調整部PSは気体を用いて基板105に対する圧力を調整するものとする。
【0075】
本実施の形態に係る露光装置400は、図11(A)及び(B)に示すように、ワークステージ104の下側に配置した顕微鏡107及び108によりフォトマスク102のパターンと基板105に対してアライメント操作を行うことに特徴がある。また、本実施の形態に係る露光装置400では、アライメント操作に際して顕微鏡108の移動位置をフォトマスク102の周辺部に設定することに特徴がある。
【0076】
本実施の形態に係る露光装置400により実行される露光処理の具体例に係る各工程について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、顕微鏡107、108のフォーカス位置を調整する工程と、マスクホルダ103の下降工程とを示す図である。図10は、基板105に対して気体により圧力をかける工程を示す図である。なお、本実施の形態では、フォトマスク102のパターンに基板105を接触して露光を行うコンタクト露光を適用するものとする。本実施の形態の露光装置400が適用される露光方法はコンタクト露光に限定するものではなく、プロキシミティ露光にも適用可能である。
【0077】
(1)マスクホルダの下降(図11(A)参照)
マスクホルダ103を下降させ、チャック106上にフォトマスク102が乗る状態とする。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0078】
(2)顕微鏡の移動(図11(A)参照)
顕微鏡108、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。フォトマスク102のパターン内のアライメントマークは、顕微鏡108、顕微鏡107が移動した位置に配置するものとする。この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0079】
(3)パターンに対するフォーカス位置調整(図11(A)参照)
顕微鏡107、108の各フォーカス位置がフォトマスク102のパターン(図中の下面側)に合うように、各顕微鏡107、108の図中に示すZ方向の位置を合わせる。この時、各顕微鏡107、108のZ方向の位置調整は、制御部119内のCPU131により制御される。顕微鏡107、108の各フォーカスを調整する位置は、フォトマスク102のパターンの異なる2箇所であればよい。顕微鏡108は、基板105の略中央部(撓み量の最大箇所)に設定することが好ましい。また、顕微鏡107は、顕微鏡108がフォーカスを調整する位置よりもできるだけ離れた位置に設定することが好ましい。
【0080】
(4)アライメントマークの記憶
フォトマスク102のパターン内に配置されたアライメントマークの位置を、十字マーク等により制御部119内のROM132に記憶させる。
【0081】
(5)マスクホルダの上昇
基板105をチャック106上に搬送させる空間を確保するため、マスクホルダ103を上昇させる。この時、マスクホルダ103の上昇位置は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0082】
(6)基板の固定
基板105を図示しない搬送機構によりチャック106上へ搬送させ、真空排気部VSにより真空吸引孔104A,104Bから環状凹溝106A内の空気を排出して、基板105の外周部をチャック106上で吸着させて固定する。この時、真空排気部VSの電磁弁116の開動作タイミングと真空ポンプ118の駆動タイミング等は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0083】
(7)マスクホルダの下降(図11(B)参照)
マスクホルダ103を所定の位置まで下降させる。この時、マスクホルダ103の下降位置は、制御部119内のCPU131により制御される。この下降位置は、露光装置300側で設定される。
【0084】
(8)顕微鏡の移動(図11(B)参照)
顕微鏡108を基板105の略中央部へ移動させ、顕微鏡107を基板105の外周部へ移動させる。この時、顕微鏡107、108のZ方向の位置は変化させない。また、この時、顕微鏡107、108の各移動位置への移動動作は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0085】
(9)基板の撓み調整(図12参照)
各顕微鏡107、108のZ方向の位置は固定状態にして、各顕微鏡107、108のフォーカス位置が基板105の上面に合うように、圧力調整部PSにより貫通孔104C〜104Eから導入する気体の圧力を調整する。この時、圧力調整部PSに対する気体の圧力調整処理は、制御部119内のCPU131により行われる。このCPU131により行われる圧力調整処理は、上記第1の実施の形態において、図4に示したフローチャートと同様に行われる。このため、フローチャートの図示と処理の詳細な説明は省略する。この圧力調整処理により、基板105内の撓み量に応じて、かけられる圧力A及びBを独立して調整することが可能になる。その結果、フォトマスク102のパターンと基板105との間の平行度を改善し、解像度の面内分布を改善することができる。さらに、フォトマスク102に対する基板105の平行度が上がることにより、アライメント精度が向上する。また、フォトマスク102と基板105との間の距離情報に基づいて制御部119により自動的に基板105にかける空気の圧力を調整して基板105の撓みを矯正するため、基板105の撓みの矯正具合を作業者が確認する必要がなく、基板105の矯正具合の再現性を改善できる。さらに、ワークステージ104には基板105の裏面空間に気体を導入するための貫通孔104C〜104Eを基板105の略中央部と略中央部から離れた周辺部に形成し、基板105の裏面にかける気体の圧力を略中央部と周辺部で独立して調整している。このため、基板105の反り量や厚み等の差により撓み量が異なる場合でも、確実に撓みを矯正することが可能になり、解像度の面内分布を均一にすることが可能になる。
【0086】
(10)アライメント
制御部119は、ROM132に記憶したアライメントマークの位置に基づいて、顕微鏡107、108を基板105上に配置されたアライメントマークの位置へ移動させ、フォトマスク102に対する基板105の水平方向の位置合わせを行う。この時、基板105の水平方向の位置合わせは、ワークステージ104の水平方向の移動により行われる。このワークステージ104の水平方向の移動は、制御部119内のCPU131により行われる。
【0087】
(11)露光
露光用光源101を点灯し、フォトマスク102と基板105上面のレジスト膜140に対してフォトマスク102の上方から光を照射する。これにより、基板105のレジスト膜140にフォトマスク102のパターンが露光される。この時、露光用光源101の点灯と、その点灯時間は、制御部119内のCPU131により制御される。
【0088】
(12)真空吸着の解除
圧力調整部PSによる空気の加圧を停止し、真空排気部VSによる真空吸着を解除する。このとき、圧力調整部PS及び真空排気部VSの各動作の停止は、制御部119内のCPU131により行われる。また、この時、制御部119内のCPU131の制御により、顕微鏡107、108を待機位置(例えば、フォトマスク102から外れた位置)に移動させてもよい。
【0089】
(13)基板の搬送
基板105を搬送機構によりチャック106上から外部に搬送する。
【0090】
以上の工程により、本第4の実施の形態に係る露光置400による基板105に対するパターンの焼き付け処理が終了する。露光された基板105は、その後の現像処理によりレジスト膜にパターンが形成される。
【0091】
なお、上記第3及び第4の実施の形態では、気体の圧力を調整することにより基板の撓みを矯正する場合を示したが、第2の実施の形態において図6に示した圧力調整機構PMを適用して基板の撓みを矯正するようにしてもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、顕微鏡107,108をフォトマスク102より上方に配置する場合を示し、上記第3及び第4の実施の形態では、顕微鏡107,108を基板150より下方に配置する場合を示したが、これらの構成に限定されるものではない。上下両方に顕微鏡を配置して基板の平行度を調整してもよい。また、上記第1〜第4の実施の形態では、基板を加圧して撓みを矯正する場合を説明したが、基板が上側に撓んでいる場合には貫通孔から吸引して基板の撓みを矯正してもよい。
【符号の説明】
【0092】
100,200,300,400…露光装置、102…フォトマスク、103…マスクホルダ、104…ワークステージ、104C〜104E…貫通孔、105…基板、106…チャック、107,108…顕微鏡、109〜111…圧力調整弁、112〜114…レギュレータ、115…ブロア、119,220…制御部、131,221…CPU、132,222…ROM、133,223…RAM、211〜213…押圧部材、214〜216…駆動部、PS…圧力調整部、PM…圧力調整機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクを固定するマスクホルダと、
基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、
前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記圧力調整部は、前記基板に対して気体を通す2つ以上の貫通孔と、該貫通孔を通る前記気体の圧力を調整する2つ以上の気体圧力調整部と、を有し、
前記制御部は、前記画像取得部からの情報に基づき、前記気体圧力調整部毎に独立して前記基板に対する前記気体の圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記圧力調整部は、前記基板に対して圧力を印加する部材を通す2つ以上の貫通孔と、前記部材の前記基板に対する圧力を調整する2つ以上の圧力調整機構と、を有し、
前記制御部は、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整機構毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対する距離情報を取得し、
前記制御部は、前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記距離情報に基づき、前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間に設定する距離を基準距離情報として記憶する記憶部を有し、前記画像取得部からの前記距離情報と前記記憶部に記憶された前記基準距離情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対するコントラスト情報を取得し、
前記制御部は、前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記コントラスト情報に基づき、前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像に対する基準コントラスト情報を記憶する記憶部を有し、前記画像取得部からの前記コントラスト情報と前記記憶部に記憶された前記基準コントラスト情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
フォトマスクと対向する位置に基板の外周部を固定するワークステージを配置し、
前記フォトマスク上に画像取得部を移動して前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得し、
前記画像取得部からの情報に基づき、1つ以上の圧力調整部の前記基板に対する圧力を制御部により調整して、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間の距離を調整し、
前記基板の表面を、前記フォトマスクを介して露光することを特徴とする露光方法。
【請求項9】
前記圧力調整部は、前記基板に対して気体を通す2つ以上の貫通孔と、該貫通孔を通る前記気体の圧力を調整する1つ以上の気体圧力調整部と、を有し、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記制御部により前記気体圧力調整部毎に独立して前記基板に対する前記気体の圧力を調整することを特徴とする請求項8記載の露光方法。
【請求項10】
前記圧力調整部は、前記基板に対して圧力を印加する部材を通す2つ以上の貫通孔と、前記部材の前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整機構と、を有し、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整機構毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8記載の露光方法。
【請求項11】
前記フォトマスク上に前記画像取得部を移動して前記パターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整して該フォーカス位置毎に前記画像に対する距離情報を取得し、
前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記距離情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至10の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項12】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間に設定する距離を基準距離情報として記憶する記憶部を有し、
前記画像取得部からの前記距離情報と前記記憶部に記憶された前記基準距離情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至11の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項13】
前記フォトマスク上に前記画像取得部を移動して前記パターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対するコントラスト情報を取得し、
前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記コントラスト情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至12の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項14】
前記制御部は、前記パターン及び前記基板の画像に対する基準コントラスト情報を記憶する記憶部を有し、
前記画像取得部からの前記コントラスト情報と前記記憶部に記憶された前記基準コントラスト情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至13の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項1】
フォトマスクを固定するマスクホルダと、
基板の外周部を固定するチャック及び前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整部を有するワークステージと、
前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整する制御部と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記圧力調整部は、前記基板に対して気体を通す2つ以上の貫通孔と、該貫通孔を通る前記気体の圧力を調整する2つ以上の気体圧力調整部と、を有し、
前記制御部は、前記画像取得部からの情報に基づき、前記気体圧力調整部毎に独立して前記基板に対する前記気体の圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記圧力調整部は、前記基板に対して圧力を印加する部材を通す2つ以上の貫通孔と、前記部材の前記基板に対する圧力を調整する2つ以上の圧力調整機構と、を有し、
前記制御部は、前記画像取得部からの情報に基づき、前記圧力調整機構毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対する距離情報を取得し、
前記制御部は、前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記距離情報に基づき、前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間に設定する距離を基準距離情報として記憶する記憶部を有し、前記画像取得部からの前記距離情報と前記記憶部に記憶された前記基準距離情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対するコントラスト情報を取得し、
前記制御部は、前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記コントラスト情報に基づき、前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像に対する基準コントラスト情報を記憶する記憶部を有し、前記画像取得部からの前記コントラスト情報と前記記憶部に記憶された前記基準コントラスト情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
フォトマスクと対向する位置に基板の外周部を固定するワークステージを配置し、
前記フォトマスク上に画像取得部を移動して前記フォトマスクのパターン及び前記基板の画像を取得し、
前記画像取得部からの情報に基づき、1つ以上の圧力調整部の前記基板に対する圧力を制御部により調整して、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間の距離を調整し、
前記基板の表面を、前記フォトマスクを介して露光することを特徴とする露光方法。
【請求項9】
前記圧力調整部は、前記基板に対して気体を通す2つ以上の貫通孔と、該貫通孔を通る前記気体の圧力を調整する1つ以上の気体圧力調整部と、を有し、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記制御部により前記気体圧力調整部毎に独立して前記基板に対する前記気体の圧力を調整することを特徴とする請求項8記載の露光方法。
【請求項10】
前記圧力調整部は、前記基板に対して圧力を印加する部材を通す2つ以上の貫通孔と、前記部材の前記基板に対する圧力を調整する1つ以上の圧力調整機構と、を有し、
前記画像取得部からの情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整機構毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8記載の露光方法。
【請求項11】
前記フォトマスク上に前記画像取得部を移動して前記パターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整して該フォーカス位置毎に前記画像に対する距離情報を取得し、
前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記距離情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至10の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項12】
前記制御部は、前記フォトマスクのパターンが配置された面と、該面と対向する前記基板の面との間に設定する距離を基準距離情報として記憶する記憶部を有し、
前記画像取得部からの前記距離情報と前記記憶部に記憶された前記基準距離情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至11の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項13】
前記フォトマスク上に前記画像取得部を移動して前記パターン及び前記基板に対して複数の位置で前記フォーカス位置を調整し、該フォーカス位置毎に前記画像に対するコントラスト情報を取得し、
前記画像取得部からの前記フォーカス位置毎の前記コントラスト情報に基づき、前記制御部により前記圧力調整部毎に独立して前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至12の何れか一項に記載の露光方法。
【請求項14】
前記制御部は、前記パターン及び前記基板の画像に対する基準コントラスト情報を記憶する記憶部を有し、
前記画像取得部からの前記コントラスト情報と前記記憶部に記憶された前記基準コントラスト情報とを比較し、比較結果に基づいて前記圧力調整部の前記基板に対する圧力を調整することを特徴とする請求項8乃至13の何れか一項に記載の露光方法。
【図5】
【図8】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−124400(P2011−124400A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281140(P2009−281140)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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