説明

露光装置

【課題】露光装置において、マスクを基板に近接させる時に、両者に空気圧が発生し、マスクが変形して、これが平坦(露光可能な状態)に戻るまでに時間を要するために、マスク近接速度向上の妨げとなり、高スループット化の妨げとなる可能性がある。
【解決手段】マスクをガラス基板に近接させる時の速度プロファイルを、加速時の加速度を減速時の加速度より大きくするように制御することにより前記空気圧力上昇を小さくでき、マスクの変形量を小さくできる。その結果、マスク近接速度を向上できるので、スループットを向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に露光を行う露光装置に関する。
【0002】
例えば、液晶表示用パネルの製造装置に係り、特にマスクに描かれたパターンをガラス基板上に近接させて露光する、所謂、プロキシミティ露光装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板,プラズマディスプレイパネル用基板,有機EL(Electro luminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。
【0004】
一般に、露光装置は、基板を真空吸着して保持するチャックを備え、チャックに保持された基板の表面へフォトマスクを透過した光を照射して露光を行う。
【0005】
チャックには、従来、基板保持面が平らなものと、基板保持面にピン形状の凸部を複数設けたものとがあった。
【0006】
後者は、ピン形状の凸部により複数の点で基板を支持し、ピン形状の凸部以外の部分と基板との空間を真空引きすることにより、基板を真空吸着して保持する。
【0007】
この様なチャックでは、大型の基板を均等に真空吸着するために、ピン形状の凸部以外の部分と基板との空間を複数の真空区画に分けて真空引きを行っていた。このため、基板保持面には、複数の真空区間を形成するための土手(ライン)が設けられていた。
【0008】
チャックへの基板の搭載は、通常、チャックに設けた複数の突き上げピンを介して行われる。突き上げピンは、チャックの表面より上昇して、基板をロボット等のハンドリングアームから受け取った後、再び下降して、基板をチャックの表面に載せる。
【0009】
露光装置には、露光不良の低減と共に、量産性能を向上させるためにタクトタイムの短縮が求められている。
【0010】
タクトタイムの短縮のためには、突き上げピンの下降,上昇の速度を上げて、基板を早く、チャックに設置し、露光後は、迅速に取り外すことが有効である。
【0011】
しかし、ピンの下降速度を上げて基板をチャックに近づけると、基板とチャックの間の空気が完全に外に逃げず、空気が基板とチャックの中央部に残り、基板の中央部が膨れて、平坦度が損なわれるという現象が発生する。
【0012】
そして、この速度を上げれば上げるほど、空気が閉じ込められて中央部が大きく膨れるという現象が顕在化する。
【0013】
このため、露光装置のタクトタイムを短縮するためには、基板をチャックに搭載する時に、基板とチャックの間に閉じ込められる空気を、効果的に排出する必要がある。
【0014】
従来技術としては、チャック表面の非真空区間に、チャックの中央から左右・上下の両端に繋がる溝を設けるとともに、この溝にチャック表面側(基板取り付け側)から裏面(背面)に抜ける空気孔を設けることにより、基板とチャックに閉じ込められた空気を、前記の溝と空気孔を介して、チャックの側面と背面に空気を排出するチャック構造が提案されている(特許文献1)。
【0015】
その他には、チャックに基板が搭載(ロード)されると、XYステージがステップ移動して、基板をマスクの下に移動させる。次に、基板と接触しないように高さ方向(Z方向)に退避していたマスクが、基板面上から数百μmの高さ(ギャップ)に移動・位置決めされる(ここでは、狭ギャップ形成と呼ぶ)。マスクを基板に近接させて露光(プロキシミティ露光)を行った後に、マスクを基板から離して、退避位置に移動させる(狭ギャップ解除)。それから、基板の位置を、XY方向にステップ移動して、上記の手順で、基板の未露光の場所に露光を行う。このような動作は、ショットと言われている。ショットを繰り返すことにより、基板全体の露光を行い、露光が終わったら、チャックは、基板を搭載した位置に戻り、基板をチャックから降ろし(アンロードし)、新しい基板を搭載(ロード)する。チャックに基板を搭載し、露光した後に、基板を降ろす動作を早くしてスループットを上げるために、チャックを2台設けて、1台のチャックで基板を露光している間に、他のチャックが、基板を搭載し、基板の恒温化,露光位置への移動を行うことにより、スループットを向上させる方法が提案されている(特許文献2)。
【0016】
また、プロキシミティ露光方法及び装置において、フレネル回折による基板上に生じる光強度のバラツキを均一化するために、制御装置により、基板とマスクを、それらの厚み方向に、又は、延在方向に移動させながら露光する装置も提案されている(特許文献3)。
【0017】
上述したように、従来技術では、装置のスループットを向上させるために、チャックを2台設けて基板の恒温化,露光位置への移動時間を短縮する方法、また、基板をチャックに高速に搭載(ロード)する方法、あるいは、プロキシミティ露光装置において、光強度のバラツキを均一化するために、マスクと基板を、それらの厚み方向に、又は、延在方向に移動させるアイデアが提案されている。
【0018】
しかし、マスクを基板に近接させる狭ギャップ形成時の高速化については、何も開示されておらず、また、それを示唆,動機づける記述もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−180125号公報
【特許文献2】特許第4020261号公報
【特許文献3】特開平11−204394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明が解決しようとする課題は、スループット向上を目的にした、狭ギャップ形成の高速化である。
【0021】
以下、本発明の課題について分かりやすく説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0022】
スループットを向上させるためには、マスクを高速に基板に接近させ、かつ、マスクの変形を露光精度の許容範囲内に、早く抑えることが必須である。
【0023】
一方、マスクの移動速度を上げると、マスクと基板との隙間が狭いために、両者の間の空気が、空気の粘性によるせん断力により、排出され難くなり、その結果、空気の圧力が上昇して、その圧力によりマスクが変形するという現象が発生する可能性がある。
【0024】
マスクはマスクの周囲を、四角い窓枠の形状をしたマスクホルダにより、保持されている。マスクホルダは、金属でできており剛性が高いが、マスクは石英から作られているため、マスクと基板の間に発生した高圧空気は、マスクを変形させ、その空気が抜けるまで、マスクは変形したままの状態になる。
【0025】
マスクのような平板が、基板のような平板に近付くと、その間の空気が、両者の隙間から抜けにくくなり、両者の間の空気圧が上昇して、両者が近付きにくくなる現象は、スクイーズ効果として知られている。ここで、マスクホルダをマスクと基板の間の空気圧に抗して、近づけても、マスクホルダは基板に近接するが、肝心のマスクは、空気圧により変形してしまい、高圧空気が抜けて、マスクが平坦になるまで、時間を要し、その間、露光ができないという課題が発生する可能性がある。
【0026】
これは、マスクのギャップ形成速度を早くすればするほど顕著になる。また、マスクの大きさが大きくなればなるほど顕在化する。近年、液晶テレビの大型化に伴い、マスクサイズは大型化しており、この問題が、顕在化する傾向にある。また、ギャップが小さくなればなるほど、スクイーズ効果は顕在化する。
【0027】
さらに、テレビ画面の大型化に伴う高精細化により、マスクを用いた露光時の精度は、今まで以上の高精度化がもとめられており、高精度露光を実現するために、ギャップの間隔は狭小化される傾向にある。
【0028】
上述したように、スループットを向上させるためには、マスクのギャップ形成速度を向上させる必要があるが、速度を向上すればするほど、マスクと基板との間の空気圧は上昇して、マスク変形を誘起し、閉じ込められた空気が抜けて、マスク変形が無くなり、露光ができるまでに時間を有するという、課題がある。そして、この課題は、マスクサイズが大きくなればなるほど、両者間の空気が抜けにくくなり、顕在化してくる可能性がある。
【0029】
本発明は、狭ギャップ形成の速度を向上させても、空気の圧力上昇が小さく、その結果、マスクの変形量が小さくなり、狭ギャップ形成時間を短縮して、スループットを向上させようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明では、狭ギャップ形成を高速で実現するために、その高速化の阻害要因と推察される、狭ギャップ形成時(中)の加速度によるマスク変形量と、空気圧力によるマスクの変形量とに基づき、その変形量の大きさの比較から、空気圧によるマスク変形が、狭ギャップ形成時のマスク変形の主要因で有ることを見出した。
【0031】
本発明では、狭ギャップ形成時の空気圧力の上昇によるマスクの変形量は、マスクは剛体とした場合のマスク移動時の空気圧力上昇、及び、その空気圧力によるマスクの変形量を計算することで求められることを見出した。
【0032】
本発明では、狭ギャップ形成時の圧力上昇の大きさは、マスクの移動速度プロファイルにより、大きく異なることを見出した。
【0033】
本発明では、マスクの移動速度を遅くすればするほど、空気の最高圧力は小さくなることを見出した。
【0034】
ここで、マスクの移動速度を遅くすることは、狭ギャップ形成の高速化と反することになる。この点に配慮して、本発明では、マスクの移動開始から終了までの時間が同じでも、速度プロファイルを、非対称、すなわち加速時の加速度を減速時の加速度よりも大きくすることにより、速度加速時間と減速時間を同じにする、すなわち対称速度プロファイルの時の最大圧力上昇値に比べて、その最大圧力を小さくできることを見出した。換言すると、マスク移動速度が最大となる時点を、マスク移動全体時間の半分より前に(早い時間)になるような、非対称速度プロファイルにすると、対称速度プロファイルの最高圧力より小さくなることを見出した。
【0035】
一方、加速時の加速速度を小さくし、減速時の加速度を大きくする場合には、加速と減速の加速度が同じ場合に比べて、その最大圧力が大きくなることを見出した。
【0036】
上記の知見に基づくことで、狭ギャップ形成時の高速化の妨げになると推察される狭ギャップ形成時の圧力上昇が小さいマスク移動速度プロファイルでマスクを移動させることにより、狭ギャップ形成を高速化して、スループットを向上させることを見出した。
【0037】
また、マスクと基板の間の空間に、空気よりも粘性の低い気体を噴出する、低粘性噴出手段を設ける。これにより、マスクと基板の間の空気粘性を小さくできることを見出した。これにより、狭ギャップ形成時の圧力上昇を小さくできるので、狭ギャップ形成を高速化できることを見出した。
【0038】
さらに、マスクと基板の外縁の近傍に、負圧手段を設ける。この負圧手段により、狭ギャップ形成時に、マスクと基板の間から排出される空気の量と、早さを増加させることができることを見出した。これにより、狭ギャップ形成時の圧力上昇を小さくできるので、狭ギャップ形成を高速化できることを見出した。
【0039】
そして、本発明は以下の特徴を有する。本発明は、以下の特徴を独立して有する場合もあれば、複数の特徴を同時に有する場合もある。
【0040】
本発明は、マスクホルダが移動する際の加速度を制御する。
【0041】
本発明は、前記基板を搭載するチャックと、前記チャックの位置決めを行う位置決め部と、前記基板にパターンを露光するためのマスクを把持し、前記基板に近接するマスクホルダと、前記マスクホルダの加速度を制御する制御部と、前記マスクに光を照射する露光部と、を有し前記制御部は、少なくとも第1の加速度と、前記第1の加速度よりも低い第2の加速度を用いて、前記マスクホルダの加速度を制御することを特徴とする。
【0042】
本発明は、前記マスクホルダは、前記第1の加速度で加速し、前記第2の加速度で減速することを特徴とする。
【0043】
本発明は、前記マスクホルダは、前記第1の加速度で加速した後に、前記第2の加速度で減速することを特徴とする。
【0044】
本発明は、前記制御部は、前記第1の加速度、前記第2の加速度のうち少なくとも1つを変えることを特徴とする。
【0045】
本発明は、空気よりも粘性の低い媒体を供給する供給部を有し、前記供給部は前記基板へ前記媒体を供給することを特徴とする。
【0046】
本発明は、前記チャックは、前記マスクホルダの動作に対応して、前記基板の面に対して上方、及び下方の少なくとも一方に移動することを特徴とする。
【0047】
本発明は、前記チャックと前記マスクホルダとの間の雰囲気を吸引する吸引部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明は以下の効果を奏する。本発明は以下の効果を独立して奏する場合もあれば、同時に奏する場合もある。
【0049】
(1)マスクを基板に近接する場合、すなわち狭ギャップを形成する場合でも装置の動作を高速化することができる。
【0050】
(2)マスク・基板間の空気圧力上昇を小さくするマスク速度プロファイルを用いて、前記の空気圧力の最大圧を小さくすることにより、これによる、空気抵抗(反力)とマスク変形を小さくして、狭ギャップ形成を早くすることができる。
【0051】
(3)マスク速度プロファイルについては、通常良く用いられる、マスクが基板に向かって移動開始する時の「加速時の加速度」と、マスクが基板に近接した時(目標に近接した時の)「減速時の加速度」を同じにする、対称な速度プロファイルではなく、加速時の加速度を減速時の加速度より、大きくすることにより、マスク移動に伴う、空気圧力の最大圧力を小さくできる。これにより、マスクの変形量を小さくできるので、この空気圧に起因するマスク変形量が、露光可能な量まで、小さくなるまでの時間が短くなり、狭ギャップ形成時間を短縮することができる。換言すると、マスク変形は空気圧の上昇により発生しているため、最大空気圧が小さいと、マスクの変形量も小さく、また、空気がマスクと基板の間から抜ける時間も短くなり、このため、変形したマスクが平行になり、露光を開始できる時間を早くすることができる。つまり、これにより、狭ギャップ移動を早くすることができ、スループットを向上させることができる。また、マスクと基板の間の空気に、空気よりも粘性の小さい気体を注入することにより、空気の粘性を下げることにより、狭ギャップ形成時の最大圧力を下げて、マスクの変形量を小さくして、狭ギャップ移動の高速化が可能となる。
【0052】
(4)負圧手段により、狭ギャップ形成時にマスクと基板の間から排出される空気流速を早くできるので、結果的に流量を増やすことができ、狭ギャップ形成時の最大圧力を下げることが可能となる。その結果、マスクの変形量を小さくして、狭ギャップ移動の高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1の露光装置の概略装置構成。
【図2】マスクホルダの概念図。
【図3】狭ギャップ形成動作概念図。
【図4】狭ギャップ形成時のマスク変形予想図。
【図5】狭ギャップ形成時の加速度によるマスク変形量。
【図6】狭ギャップ形成時の圧力上昇の時間変位。
【図7】狭ギャップ形成時の圧力上昇によるマスク変形量。
【図8】マスク移動プロファイルと最大圧力の関係。
【図9】実施例2を説明する図。
【図10】実施例3を説明する図。
【図11】実施例4を説明する図。
【図12】実施例5を説明する図。
【図13】実施例6を説明する図。
【図14】実施例7を説明する図。
【図15】実施例8を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0055】
実施例1を図1から図8を用いて説明する。図1は、実施例1の露光装置の概略構成を示す図である。本実施の形態は、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式の露光装置の例を示している。
【0056】
露光装置は、ベース3,Xガイド4,Xステージ5,Yガイド6,Yステージ7,θステージ8,基板1の面に対して垂直方向に駆動するZ機構9,チャック10、及びマスクホルダ20を含んで構成されている。
【0057】
なお、露光装置は、これらの他に、露光用光源,チャック10へ基板1を供給する供給ユニット、チャック10から基板1を回収する回収ユニット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えているが、本実施の形態では発明に直接関係しない部分は省略してある。
【0058】
図1において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。
【0059】
受け渡し位置において、図示しない供給ユニットによって基板1がチャック10へ供給され、また図示しない回収ユニットによって基板1がチャック10から回収される。
【0060】
チャック10への基板1の搭載は、チャック10に設けた複数の突き上げピンを介して行われる。
【0061】
突き上げピンは、チャック10の表面より上昇して、基板1を供給ユニットのハンドリングアームから受け取った後、再び下降して、基板1をチャック10の基板保持面に載せる。
【0062】
基板1の露光を行う露光位置の上空には、マスクホルダ20によってマスク2が保持されている。また、マスクホルダ20は、Z機構9により支持されている。
【0063】
チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。
【0064】
Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に沿ってX方向(図面横方向)へ移動する。
【0065】
Xステージ5のX方向への移動によって、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動する。なお、駆動手段としてはリニアモータ等が用いられるが、図示は省略する。
【0066】
Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に沿ってY方向(図面奥行き方向)へ移動する。
【0067】
θステージ8は、チャック10をθ方向(図面縦方向軸周り)へ回転する。
【0068】
また、Z機構9は、マスクホルダをZ方向(図面縦方向)へ、つまり、基板方向へ接離及びチルト(傾ける)する。
【0069】
露光位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転によって、露光時の基板1の位置決めが行われる。
【0070】
また、Z機構9のZ方向への接離及びチルトによって、マスク2と基板1とのギャップ制御が行われる。
【0071】
なお、チャック10の下に設けられた、θステージ8等、全ての機構は、マスクホルダ20に取り付けても良い。また、逆に、Z機構9は、チャック10の下に設けても良い。
【0072】
図2は、マスクホルダ20の断面の概念図を示している。
【0073】
4角形状のマスク2は、枠(窓)型のマスクホルダ20により、その外縁を保持されている。この保持力はマスクホルダ20に、マスク2と接触する部分に、負圧口22を設けて、その負圧口に連接した配管(図示せず)を介して、外部に設けられた負圧ポンプ(図示せず)により、空気を吸引することにより得られている。
【0074】
マスク2と反対側には、ガラス21が設けられている。
【0075】
これは、マスク2の自重による撓みを矯正するために設けられている。具体的には、マスクホルダ20に設けられた負圧配管23により、マスク2の背面の空間を減圧(負圧)して負圧空間24にすることにより、マスク2の自重による撓みが矯正されて、平行な面が得られる。
【0076】
これにより、大きなマスクであっても、チャック10に突起11で支持されている基板1に対して数百μmのギャップに近接し、保持することが可能となる。
【0077】
本実施例は、このZ機構9(言い換えるならマスクホルダ)の加速度を制御する。具体的には、Z機構(言い換えるならマスクホルダ)の加速時の加速度を減速時の加速度よりも大きくする。
【0078】
以降は、Z機構(言い換えるならマスクホルダ)の加速度制御について詳細に説明する。
【0079】
図3は、マスク2の狭ギャップ形成動作概念図を示している。
【0080】
マスク2はチャック10に搭載された基板1がマスク2の下に移動してくるときに、基板1との接触を回避するために、0.5〜1mm程度高い位置に退避している。この図3では、マスク2,基板1との間隔H90が、その退避間隔である。狭ギャップ形成動作とは、マスク2が間隔H90から矢印30の方向に移動して、基板から数百μmの狭い隙間(狭ギャップ)G92まで移動して静止する動作を言う。
【0081】
この狭ギャップGを形成した後に、光源(図示せず)からの光により、基板1上にマスク2のパターンを転写(露光)する。この方法はプロキシミティ露光と呼ばれている。このプロキシミティ露光では、狭ギャップGを小さくすればするほど基本的に露光精度が上がるので、この観点からはなるべく近接させることが望ましい。一方、マスク2は高価であるために、マスクと基板1との接触は避けることが望ましい。また、装置のスループットを上げるためには、マスク2を早く基板1に近接させること、つまり狭ギャップG92の形成の高速化が必要である。上述した理由から、狭ギャップ形成のマスク2の移動速度プロファイルの決定が重要になる。
【0082】
図4に、狭ギャップ形成中のマスク変形予想図を示す。
【0083】
図4(1)の、狭ギャップG形成前のマスクは変形のない平面であるが、図4(2)の狭ギャップ形成中は、マスク2の移動に伴う1)加速度と2)マスク2と基板1の間にある空気が圧縮されて発生する空気圧による変形が予想される(図4(2)の31によるマスク変形)。図4(3)は、狭ギャップ形成後のマスク形状である。
【0084】
露光装置では、マスクが所定の狭ギャップG位置に設定され、その時のマスクの変形量が許容範囲内に入ったことを判定して露光する。このため、マスク2を所定の狭ギャプG位置に早く設定すると共に、マスク2の変形量を早く所定の変形量以下に抑えることが重要である。
【0085】
ここで、マスク2はマスクホルダ20によりその外縁(周囲)を保持されているので、マスク2の外縁はマスクホルダ20と共に、(変形が発生しないので、)早く、狭ギャップGに位置決めすることができる。具体的には、マスクホルダは、マスクホルダ20を基板に接離する方向(マスク面に対して垂直方向)に動かすモータ(図示せず)により構成されたZ機構9に連結されており、このモータによりマスクホルダ20が基板1に接離してマスク2を基板1に接離させる。ここで、マスクホルダ20は、金属製で剛性が高く製作されているので、変形量は小さくモータの上下に応じた量だけマスクホルダ20と、それに保持されているマスク2の外縁(周囲)を、基板1に離接させることができる。
【0086】
一方、マスク2は、石英ガラスで、その厚さも薄いので、前述した、ギャップ形成時の加速度、あるいは空気圧により凸に変形しており、この変形量が(露光可能な)所定の変形量以下に収まる時間を短縮することが、実質的に狭ギャップGの形成時間を早くすることに繋がる。換言すれば、マスクホルダ20は、前記したモータにより、モータの移動量に応じて狭ギャップGの位置に位置決めできるが、マスク2は、前記の加速度と空気圧により変形しており、それらが所定の値以下になるまでに時間を要しており、これが狭ギャップGの形成時間を決めていることを本実施例では見出した。
【0087】
次に、マスク変形要因について説明する。
【0088】
図5に、狭ギャップ形成時の加速度によるマスク2の変形量の計算(変形解析)を示す。加速度は平行なマスクの全体に一様に掛かると仮定する。これは、図2で示したマスクホルダの負圧力を利用したマスクの自重による変形量を矯正する機能により、マスクが平行になっているためである。
【0089】
図5(1)に、マスク全体の変形量を示す。曲線501,502によって、マスクの変形は表現される。図5(2)は、図5(1)のA−A′断面の変形量を示している。
【0090】
図5(1)より、マスク2の中央での変形量が最も大きい。この最大変形量をDとする。ここで、図5(2)において、変形量が概略ゼロの領域があるが、これはマスクホルダ20によりマスク2の外縁(周囲)が把持されており、マスクホルダの剛性が高いためである。
【0091】
次に、狭ギャップ形成時の圧力によるマスクの変形量について説明する。本実施例では、マスクの変形が無いと仮定し、空気圧力を外力とする。図6に、狭ギャップ形成時の圧力上昇の時間変位を示す。図6(1)はマスク速度プロファイルを、図6(2)はマスク中央の圧力を示している。両図とも無次元で表記している。
【0092】
図6(1)の速度プロファイル40は、加速時間と減速時間が共に0.05Tで、その時の加速度はaの速度プロファイル(最高速度V)を示している。また、速度プロファイル41は、加速時間と減速時間が共に0.5Tで、その時の加速度は0.1aの速度プロファイル(最高速度0.1V)を示している。ここで、速度プロファイル40は、速度プロファイル41に比較して、最高速度で10倍早く、また、速度プロファイルの時間は、1/10と短い。このように、速度プロファイル40と速度プロファイル41は、大きく異なるが、マスクの移動距離は、同じである。つまり、マスクの移動距離は同じでも、速度プロファイルの組み合わせは多数あることとなる。
【0093】
次に、速度プロファイルについて説明する。先ずは、速度プロファイルによりどのような圧力が発生しているのか説明する。なお、ここでのマスクの移動は、図4(1)のHから図4(3)のG(狭ギャップ形成時)のため、マスクの移動距離は、(H−G)である。
【0094】
図6(2)に、速度プロファイル40と速度プロファイル41に対する圧力変動を圧力変動50と51として示す。圧力変動は、圧力の最も高いマスク中央の圧力を示している。なお、本実施例では、狭ギャップ形成時の圧力上昇は、マスクが4画で対称であることから、マスクは1/4モデルとしている。また、マスクサイズは比較的大きく、一方、狭ギャップGは数百μmと狭いので、横長のメッシュとしている。また、マスク周りのメッシュサイズは小さくして、さらに、マスクは移動するため、移動境界条件として説明する。また、空気は常温とし、圧縮性を考慮(理想気体で等温)して説明する。一方、マスクは前述したように剛体と仮定して説明する。なお、圧力の計算を行う場合は、市販の流体解析コードを用いれば良い。
【0095】
図6(2)の圧力変動50から、マスク速度の増加に伴って圧力が上昇し、その最大値はPに到達し、その後、マスクが減速にするに従い小さくなることが分かる。また、最大圧力は、マスクが最大速度となる0.05Tよりも遅れて約0.075T後になることが分かる。また、マスク速度は、0.1T後にゼロ0になるが、圧力は暫く遅れてゼロになることが分かる。圧力変動51も同様で、マスク速度の増加にともない圧力が上昇し、マスク速度の低下に伴い圧力も小さくなる。ここで、本実施例では、最大圧力となるのがマスクが最大速度となる0.5T時間後ではなく、約0.8T後になることを見出した。つまり、本実施例では、速度が最大になる時間に圧力が最大になるのではなく、今回の加速と減速が同じ対称の速度プロファイでは、減速中に最大の圧力上昇になることを見出した。
【0096】
また、圧力変動50と圧力変動51の最大値を比較してみると、その値は約1/10(=0.1P/P)になっている。これは、最大速度が1/10(0.1V/V)になっていることと対応している。これは、マスクの移動速度を遅くすることが、圧力上昇を小さく抑えることに有効であることが示している。
【0097】
しかし、マスクの移動速度を遅くすると、圧力上昇の最大値は抑えられるが、狭ギャップ移動の時間そのものを大きくしてしまう。つまり、マスク移動速度を遅くすることは、狭ギャップ移動(速度プロファイルの全体)の時間を短縮するという目的とは相反する要求となってしまう。
【0098】
そこで、本実施例では、速度プロファイルの全体の時間を延ばさないで、圧力上昇の最大値を抑えることができるような速度プロファイルを設定すれば、圧力上昇によるマスクの変形量を低減できるので、狭ギャップ移動の時間を短縮でき、その結果スループットを向上できることを見出した。
【0099】
次に、これらの圧力上昇が、マスク変形に及ぼす影響を説明する。具体的には、速度プロファイル40の時に発生する最大圧力Pの半分の圧力(P/2)が、マスク2に均等に加わると仮定してマスクの変形量について説明する。ここで、Pは、マスク移動速度V,移動距離(H−G),時間T等により変化するが、可能性のある最大値Pについて説明する。
【0100】
図7にP/2の空気圧が加わった時のマスクの変形量を示す。図7(1)から、マスクの最大変位はマスクの中央にあることが分かる。また、その大きさDpは、図7(2)に示すように、加速度による変形量Daに比べて大きく(Dp>Da)、圧力による変形が支配的であることを示している。なお、図7(2)の測定距離は、図7(1)のAからA′に向かって測定した場合の測定距離である。マスクの外縁(周囲)は、マスクホルダにより把持されているために、変形量が概略ゼロになっている領域も存在する。この変形量は、図7(1)から分かるように、基板1と反対方向に凸となるために、マスク2と基板が接触することはない。
【0101】
また、このことは、マスクホルダ20が狭ギャップ形成のために、基板から数百μmの位置まで近接しても、マスク2の中央部では、空気圧のために、基板と反対方向に凸に変形することを示している。
【0102】
狭ギャップ形成時の空気圧Pによるマスク変形量Dpは、狭ギャップGに対して、無視できない値であり、この変形量を小さくすることが、狭ギャップ形成の高速化に寄与することを本実施例では見出した。
【0103】
また、この変形は、空気圧によるものであるから、空気が瞬時に排出される場合には、この変形が無くなり、平坦に戻るまでに時間を必要としない。しかし、空気圧により、マスクの中央が大きく膨れて空気を閉じ込めており、一方、その周囲は(外縁は)マスクホルダにより基板に近接しているので、空気の出口は狭められているために、マスク中央の空気が外に排出されないで、長い時間マスクの変形が維持されることとなる。具体的には、狭ギャップ形成により、マスクの中央は空気圧で凸に膨らんでいる。一方、空気が排出されるマスクの周囲は、数百μmまで基板に近接して空気の出口をふさいでいるため、空気がマスク外に抜けにくく、この空気が排出されるまでに時間を要する。そのために、マスクが所定の変形量以下になるまでに時間を有し、その結果として、狭ギャップ形成に時間が掛かっていることとなる。
【0104】
このために、この狭ギャップ形成時に発生する圧力を小さくすることが、マスク変形量を小さくして、その結果として、狭ギャップ形成の高速化に寄与することを本実施例では見出した。
【0105】
以上のことから、マスク移動速度を遅くすると圧力上昇が小さくなり、マスク変形量も小さくなるが、マスクを狭ギャップ位置に移動するのに時間を要するので(速度プロファイルの終了時間が長くなるので)、狭ギャップ移動を早くすることと相反する。
【0106】
一方、速度を早くすると、マスク周辺(外縁)は、狭ギャップ位置に早く到達するが(速度プロファイルの終了時間は短くなるが)、マスクは空気圧力の上昇により大きく変形し、その変形量が所定の値以下になるまでには、時間を要し、結果的に、狭ギャップ形成を高速化できない。
【0107】
このため、速度プロファイルの終了時間を長くしないで、空気圧力の最大圧力を小さくすることが可能な速度プロファイルを設定すれば、狭ギャップ形成の高速化が可能になることを本実施例では見出した。
【0108】
図8(1)は、時間Tとマスク移動速度Vとの関係において、加速時の加速度と減速時の加速度を変えた場合を説明する図である。図8(2)は、加速度を変えた場合の最大圧力変動を説明する図である。
【0109】
具体的には、図8(1)では、加速と減速の時間が同じ(つまり、加速時の加速度と減速時の加速度が同じ0.5T)、対称速度プロファイル70と、マスク速度が0.5Tよりも遅く最高速度に達する後半最高速度プロファイル71(加速時間0.75T,減速時間0.25T)、そして、マスク速度が0.5Tよりも早く最高速度に達する、前半最高速度プロファイル72(加速時間0.25T,減速時間0.75T)を記載している。そして、図8(2)にはそれらの最大圧力変動を示している。ここで、対称速度プロファイル70を基準プロファイルと呼ぶ。なお、ここでも、狭ギャップ形成は、Hの位置から、G(露光ギャップ)の位置まで、T時間で移動する速度プロファイルについて説明する。
【0110】
図8(1)の基準プロファイル70に対する圧力変動は、図8(2)の圧力変動80である。両図の比較から、マスクが最高速度に到達する時間は、移動開始後0.5Tであるが、最大圧力になるのは、それより遅い約0.75T後である。いま、その最大圧力値をPとする。
【0111】
次に、基準速度プロファイルの対称なプロファイルから、図8(1)の後半最高速度プロファイル71に変更すると、図8(2)の後半最高速度プロファイルの圧力変動81のように、その最大圧力は1.4P(約1.4倍)に増加して、また、その到達時間も約0.8Tと後ろにシフトする。
【0112】
一方、図8(1)の前半最高速度プロファイル72にすると、その最大圧力は、図8(2)の前半最高速度プロファイルの圧力変動82となり、最大圧力は、基準プロファイルの圧力Pから、約0.8Pと減少し、また、その到達時間は0.75Tより前になる。
【0113】
つまり、狭ギャップ形成時のマスク形成速度のプロファイルを、対称速度プロファイル70から、加速時の加速度を減速時の加速度より大きくする、つまり、前半最高速度プロファイル72となるような速度プロファイルにすると、その最大圧力を小さくすることができることを本実施例では見出した。
【0114】
一方、後半最高速度プロファイル71となるような速度プロファイルにすると、その最大圧力が、増大するということも本実施例では見出した。
【0115】
これらの速度プロファイルは、その開始から終了までの時間が同じであるために、これにより、マスク移動が遅くなることは無い。また、最大圧力のみを小さくできるので、マスクの変形量を小さく抑えることが可能となり、そのため、マスク移動時の圧力上昇により発生したマスクの変形が無くなる(所定の値以下になる)迄の時間が短縮でき、その結果、狭ギャップ形成時間を短縮できる。
【0116】
さらに、図8(1)の速度プロファイルの加速時間を、0.125Tから(最大速度V、図示せず)0.05T(最大速度V、図示せず)へと短縮して、最高速度に達するまでの時間を短くした速度プロファイルにおける圧力変動を、図8(2)の圧力変動83,圧力変動84に示す。
【0117】
同図から、基準プロファイル圧力変動80に比べて、その最大圧力は、圧力変動82にすると小さくなり、さらに、最高速度に到達するまでの時間を短くすると、圧力変動83,圧力変動84に示すように、その最大圧力は、さらに小さくなる。但し、その最大圧力の低減の効果(量)は、小さくなっていることがわかる。
【0118】
このことから、加速度をむやみに大きくしても、具体的には、加速度を無限にして、マスク速度を瞬時に最高速度のVにした場合にも、加速時間0.05Tの最大圧力に比べて、その最大圧力を著しく低減することはできない。もちろん、理想的には(理論的には)、加速度を無限にしたL字型(直角三角形)の速度プロファイルが望ましい。しかし、現実的には、チルト機構9のモータの最高加速度で、L字型に近い速度プロファイルを目指すことが現実的(実用的)には望ましい。
【0119】
以上のことから、速度プロファイルを、加速と減速の時間が同じ、対称速度プロファイルから、前半に最高速度となる、前半加速プロファイルにすることが、最大圧力上昇を低減することに有効である。
【0120】
最大速度となる時間を、速度プロファイルの中心から前方にシフトさせればさせるほど、その最大圧力は小さくなる。しかし、その低減効果は小さくなる。
【0121】
上述の現象、つまり、速度プロファイルを、加速時と減速時が対称の速度プロファイル(基準)から、速度プロファイルの中心(中間)時間よりも前に(早い時点で)最高速度となる非対象な速度プロファイルでマスクを動かせば、その最大圧力を小さくすることができることは、マスクの大きさ、狭ギャップ形成の開始位置H,停止位置G(露光位置)、それの所要時間T(マスク移動速度)が変わっても、基本的な傾向は変わらない。
【0122】
また、この現象は、マスクが大きければ大きいほど、また、マスク移動速度が速くなればなるほど、また、停止位置G(露光位置)が小さくなればなるほど顕著になるため、本実施例の方法はより有効である。
【0123】
本実施例では、狭ギャップ形成時のマスク移動速度プロファイルを、その最高速度に到達する時間が、その速度プロファイル全体(開始から停止まで)の中心時間よりも前(早い時間、開始に近い時点)で、最高速度となるように制御する。
【0124】
これにより、速度プロファイルの全体時間を同じにしたまま、圧力変動の、最大圧力を小さくできるので、その結果として、空気圧による、マスク変形量を小さくできる。このため、マスクが空気圧により変形し、それが、平坦に戻るまでの時間を短縮できるので、その結果として、狭ギャップ形成時間を短縮できる。このため、スループットを向上させ、露光装置の性能を向上させることが可能となる。
【0125】
なお、本実施例においては、マスクホルダをマスク方向に接離させるチルト機構のモータの速度プロファイルを、上記のように変更すれば良いので、既存の露光装置にも適用することができる。
【0126】
もちろん、上述した制御を行うために新たなコントロールシステム(機構)を追加しても良い。
【実施例2】
【0127】
図9に、本発明の実施例2を示す。
【0128】
本実施例2と実施例1の違いは、マスクホルダ20に設けていたZ機構9を、マスクホルダに対して基板1挟んで反対側、言い換えるなら基板の下側(裏面側)に設けたことである。具体的には、本実施例のZ機構9は、例えばチャック10とθステージ8の間に配置される。
【0129】
Z機構9を、マスクホルダ20から、チャック10の下に設けたことにより、マスクホルダ20を上下させる機構が不要になり、マスクホルダ20周りの機構が簡略化され、マスクホルダ20のトップフレーム(図示せず)への取り付け精度を向上させることが可能となり、その結果マスクの並行度(平面度)が実現し易くなる。
【0130】
さらに、マスクを静止させて、基板1をマスクに接離させるために、マスク2を真空で把持するための吸引力(負圧力)を小さくすることができ、負圧ポンプを小さなものにすることができるので、装置コストの低減につながる。
【0131】
また、実施例1では、マスク2を高速で上下するためには、その加速度に耐えうるように(マスク2を離さないように)、マスクホルダ20の負圧口22の吸引力を強くしなければならない場合も考えられる。特に、マスク2の自重をマスクホルダ20の吸引力のみで支えているので、負圧力の向上が必須となる。さらに、マスク2を上下に高速で動かそうとすればするほど、その加速度により、マスク2の変形量が大きくなる。
【0132】
一方、実施例2では、チャック10を上下させて、その結果、その上に搭載されている基板1を上下に動かすことになる。ここで、チャック10の剛性は高いので、チャック10の上下加速度による変形量は小さく、その結果、それに搭載されている基板の変形は小さい。このため、狭ギャップ形成の加速度を大きくすることが可能となり、その結果、狭ギャップ形成の高速化が可能となる。
【0133】
繰り返しになるが、実施例2では、マスク2は静止しているので、加速度による変形を考慮する必要がなく、加速度を増大させて、狭ギャップ形成の速度を上げることができる。
【0134】
ここで、チャック10をマスク2に接離する速度、つまり、Z機構9による、チャック10の速度は、実施例1と同じように、狭ギャップ形成時の、マスク速度プロファイルにおいて、加速時の加速度が、減速時の加速度より大きく、換言すると、最高速度に到達する時間が、前記速度プロファイルの時間中心よりも前にあるような(短い時間で到達するような)、速度プロファイルになっている。このため、狭ギャップ形成時の圧力上昇の最大値を、小さくすることが可能となり、これにより、圧力によるマスク変形量が小さくなり、その結果として、マスク変形が無くなり露光開始時間を早められる。
【0135】
このため、本第二実施例においても、第一実施例と同様に、狭ギャップ形成速度を上げることが可能となり、スループットを向上できる。
【実施例3】
【0136】
図10に実施例3を示す。
【0137】
本実施例3においては、実施例1の速度プロファイルと同じように(つまり、図8の前半最高速度プロファイル72のように)、最高速度になる位置(時間)を、速度プロファイルの中央から前方に持ってくる点は同じである。
【0138】
実施例3と実施例1との違いは、本実施例の加速度が可変であり、速度プロファイルが、図10の速度プロファイル103のように、曲線の速度プロファイルとなっている点である。具体的には、実施例3では、加速時の速度プロファイルを凸型曲線に、減速時の速度プロファイルを凹型曲線に可変とする。
【0139】
このような速度プロファイルとすることにより、実施例1と同じように、最大圧力上昇を小さくできる。
【0140】
さらに、加速度を可変にすることにより、マスク移動速度の加速から減速への移り変わりの速度変化を小さくし、また、減速して、静止するまでの速度変動を小さくすることができるので、マスクホルダ20の振動を抑えることができる。
【0141】
また、その結果、マスクの振動も抑えることができる。このため、露光までの時間を短縮し、狭ギャップ形成速度をより高速化することが可能になると考える。
【0142】
ここでは、曲線の速度プロファイルを示したが、曲線でなくても、多角形の速度プロファイルでもよい。
【0143】
つまり、図10の基準速度プロファイル70では、加速と減速の切換わりの、0.5Tを中心に左右の面積(移動距離)が同じである。一方、本実施例の速度プロファイルでは、0.5Tより早い側(時間0に近い側)の面積(移動距離)が大きいことが特徴である。つまり、速度プロファイルの中央の時点(時間)よりも、前の面積(移動距離)を大きくすればするほど、圧力上昇は小さくなる。
【0144】
このため、速度プロファイルが、直線、或いは、曲線であろうが、0.5Tより前半の面積を大きくなることが望ましい。
【0145】
また、繰り返しになるが、理想的には、モータ(マスクホルダ)の加速度が無限であれば、時間0でマスク速度がVに達し、その後、時間Tで速度ゼロ0になる速度プロファイルが、圧力上昇低減の観点からは望ましい。
【0146】
しかし、モータの加速度は有限であるため、モータの加速度特性に基づいて速度プロファイルを制御することが望ましい。
【実施例4】
【0147】
図11に、本発明の実施例4を示す。
【0148】
実施例4と実施例1との違いは、本実施例では、チャック10の周辺(例えば両端)に、空気の粘性よりも粘性の小さい気体を、基板1の上に噴出するための、低粘性気体噴出ノズル100を設けた点である。具体的には、マスク2が基板1に近接する際に(望ましくは直前)、前記ノズル100から、粘性の低い気体を基板とマスクの間に噴出することを特徴としている。
【0149】
この効果としては、狭ギャップ形成時の空気圧の上昇は、空気の粘性により大きくなることから、空気よりも粘性の低い気体を、狭ギャップ形成時に噴出することにより、圧力上昇を小さくすることができる。
【0150】
具体的には、空気の粘性は、18.4μPa・sであるが、例えば、水素のそれは、8.9μPa・sである。このため、マスク2と基板1の間の空気を、水素に置換できればその粘性が約1/2であることから、圧力上昇を空気に比べて約1/2に減少することが可能である。
【0151】
その他の構成は、第一実施例と同じであるため、第一実施例と同様な効果が得られるとともに、粘性の小さい気体を用いることにより、さらに圧力の上昇を低下できるので、マスク変形量を小さくでき、狭ギャップ形成の高速化を行うことができる。
【実施例5】
【0152】
図12に、本発明の実施例5を示す。
【0153】
実施例5と実施例1との違いは、マスクホルダ20に設けていたZ機構9の他に、2つ目のZ機構9をマスクホルダに対して基板1を挟んで反対側、言い換えるなら基板の下側(裏面側)に設けたことである。具体的には、本実施例5の2つ目のZ機構9は、例えばチャック10とθステージ8の間に配置される。
【0154】
この2つ目のZ機構9は、マスクホルダ20に設けていたZ機構9の動作に対応して、基板1の面に対して垂直方向に駆動する。これにより、マスク2とステージ1の両方が、接離するように、動くことが可能となる。
【0155】
ここで、本実施例5では、両者の相対的な動き、つまり、速度プロファイルが、実施例1と同じであり、例えば、実施例1の前半最高速度プロファイル72のようになっている。このため、マスク2と基板1の圧力上昇が小さくなり、第一実施例と同様に、狭ギャップ形成の高速化ができる。
【0156】
また、本実施例では、マスク2と基板1の両方が動くので、狭ギャップ形成開始時の加速度を、早くすることが可能となり、理想的な直角三角形(L時型の)の速度プロファイルに、より近づけることができる。このため、両者の間の圧力上昇を小さくでき、第一実施例よりも早い狭ギャップ形成が期待できる。
【0157】
マスクを基板に近接させて露光を行うプロキシミティ露光装置に置いては、実施例5を用いることにより、狭ギャップ形成時のマスクと基板間の最大空気圧を低減できるので、マスク変形が小さくなり、ギャップ形成時間を短縮できる。その結果、装置のスループットを向上させることが可能となる。
【実施例6】
【0158】
図13に、本発明の実施例6を示す。
【0159】
本実施例6と、実施例1との違いは、本実施例6では、基板1(言い換えるならチャック10)とマスク2の外縁に、雰囲気を吸引する負圧手段200を設けている点である。具体的には、図13(1)のように、チャック10に置かれた基板1の外縁に、吸気口201を持つノズル202とそれをチャック10に固定する固定部203と、ノズル202から吸引した空気をチャック10の外に出す配管204から構成されている負圧手段200が設けられている。
【0160】
吸気口201は、傾斜しており、吸気口201の少なくとも一部は、マスク2と基板1の間に存在するようになっている。傾斜させることにより、ノズルの挿入にも拘わらず、マスク2を基板1に近接することが可能となり、また、両者の間に吸気口の一部を挿入することにより、効果的に、空気を排出できる。
【0161】
配管204の他端には、負圧力(吸引量)と吸引時間をコントロールする制御手段を設けた負圧ポンプ605が設けられている。
【0162】
この負圧手段200は、少なくとも1つ以上、例えば、基板1の外縁に沿って、基板1の全周に複数設けられている。この負圧手段200は、図13(2)に示すように、狭ギャップ形成のためにマスク2が基板1に近接する時に両者の間に発生する空気流205(マスク2中心からマスク2外縁に向かって流れる空気流)を、吸気孔201で吸引して、マスク2と基板1の間の外に出す機能がある。
【0163】
つまり、負圧手段200により、狭ギャップ形成時に基板1とマスク2間に発生する高圧空気を、短時間で、両者の間から外に流出するために、高圧空気によるマスク2の変形量を低減することが可能となる。これにより、狭ギャップ形成時の高圧空気によりマスク2の変形を小さくできるので、狭ギャップ形成時間を短縮することが可能になる。
【0164】
ここで、負圧手段200による吸引の開始と停止は、マスク2が狭ギャップ形成を開始し始めてから(高さHから、小さくなり始めたら)、吸引を開始し、マスク2が高さGに到達したら、吸引を停止する。
【0165】
また、ここで、吸引量は、マスクが高さHからGに移動することにより排出される空気量に相当する吸引量である。つまり、吸引量Qは、Q=マスク面積x(高さH−高さG)である。つまり、マスク2が、狭ギャップ形成により、高さHから高さGになるまでの空気量を吸引してやれば、空気の圧力が上がり、マスク2の変形を誘起することが無くなり、狭ギャップ形成を高速化することが可能となる。
【0166】
ここで、負圧手段200としては、シリンジポンプのような、つまり、注射器状のシリンダーポンプを用いて、このポンプの流量を、前記の流量Qと同じにすることにより、流量Qを管理することが容易になる。つまり、狭ギャップ移動が開始するのに合わせて、シリンジポンプを引き始め、狭ギャップ移動が終了すると同時に、引き終わるように調整することにより所定の流量Qを、マスク2の移動に合わせてマスク2と基板1から容易に抜き出すことが可能となる。
【0167】
マスク2が狭ギャップの高さGに到達したら、負圧手段200により、吸引を停止するのは、負圧手段200を稼働させたままにしておくと、マスク2と基板1間の空気が、排出されて、真空(大気圧より低い値)となり、マスク2が下に引っ張られて撓むためである。つまり、負圧手段200により、狭ギャップ形成後にも稼働すると、マスク2が変形して狭ギャップ形成の障害となるために、これは、避けなければならない。
【0168】
上述した吸引制御は、基板1とマスク2間に発生する高圧空気の圧力、つまりマスクホルダの移動に対応していると表現することができる。その他の表現としては、基板1とマスク2間に発生する高圧空気の圧力が大きくなるにつれて負圧手段200の負圧も大きく、基板1とマスク2間に発生する高圧空気の圧力が小さくなるにつれて負圧手段200の負圧も小さくなるように制御されると表現することができる。
【0169】
なお、本実施例でも実施例1と、同じ効果を期待することができる。
【実施例7】
【0170】
図14に、本発明の実施例7を示す。
【0171】
本実施例7と実施例6との違いは、本実施例7では、負圧手段210が、マスクホルダ20に、マスク2に隣接して設けられている点である。
【0172】
図14(1)に示すように、負圧手段210には、吸気口211が、基板1と対向して設けられており、また、吸気口211が設けられている基板1との対向面212,213は、その面高さが、マスク2の基板1との対向面215と同じ高さに設定されている。
【0173】
本実施例7について、図14(2)を用いて、説明する。
【0174】
本実施例7では、負圧手段210の、基板1対向面が、マスク2のそれと同じ高さに設けられているので、以下の効果を奏することができる。
(1)負圧手段210が有っても、マスク2を基板1に、負圧手段210が無い時と同様に、近接させることができる。
(2)負圧手段210が、マスクホルダ20に設けられているので、基板1がマスク2より大きく、基板1の位置を移動させながら、露光させる場合にも、負圧手段210を取り換える必要が無くなり、容易に行うことができる。
(3)負圧手段210の基板対向面の、マスク2側の幅W2に対して、外側の幅W1を、大きくすることにより、吸気口211から吸引する空気流217のうち、マスク2中心からの空気流216を、外部からの空気流218よりも、流量的に沢山吸引することが可能となり、より効率的に、マスク2と基板1との間の空気を、マスク2の外に排出することが可能となる。
【0175】
特に、W1を広くすればするほど、外部から、吸気口217に入ってくる空気流218は、その流路抵抗が増加するために大きくなり、その結果として、空気流218の流量は小さくなる。その結果、前述したように、マスク2からの空気流216を、効果的に、マスク2と基板1の間から、排出することが可能となる。その結果、第6実施例と同様な効果を期待することができる。
【実施例8】
【0176】
図15に、実施例8を示す。
【0177】
本実施例8と実施例6との違いは、基板1とマスク2の間の気圧を大気圧より小さくすることである。これにより、狭ギャップ形成時に障害となっていた空気の圧力上昇を小さくすることが可能となり、狭ギャップ形成の速度を向上させることが可能となる。
【0178】
具体的には、図15(1)に示すように、負圧手段220により、マスク2と基板1の空気を空気流225として、両者の間から常にマスク外に流出させている。このため、マスク動作に合わせて負圧手段を調整する必要がなく制御が簡単になり、製作が容易になる利点もある。
【0179】
負圧手段220は、前述した負圧手段200と基本的に同じ構成で、吸気口221を持つノズル222とそれをチャック10に固定する固定部223,ノズル222に連接され、空気流を運ぶための配管224から構成されている。
【0180】
また、配管224の他端には、負圧ポンプが連接されている(図示せず)。
【0181】
負圧手段220により、基板1とマスク2の間の気圧P1は、露光装置の雰囲気圧(大気圧P0)より小さい(P1<P0)。
【0182】
ここで、P1は小さければ小さいほどマスク2が狭ギャップ移動する時の空気抵抗(空気の圧力上昇)が小さくなる。このため、空気圧力上昇の低減の観点からは、小さくすることが望ましいが、負圧ポンプの大型化(高性能化)が必要となる。
【0183】
また、マスク2と基板1との間の圧力をP1と小さくすると、マスク2も負圧力に引っ張られて、基板1の方向に凸となる。このため、図15(2)に示すように、マスクとマスクの自重による撓み補正手段の、マスク2とガラス21の間の空間24も、マスク2の基板1対向面とほぼ同じ気圧P1になるように減圧する必要がある。
【0184】
但し、マスクの表裏で同じP1にすると、マスクの自重分だけマスク2が基板1の方に凸になるので、この自重による撓み量を補正する分だけ、さらに気圧を小さくすることが必要である。
【0185】
具体的には、マスク2の自重による負圧力(気圧)をΔPとすると、空間24の気圧はP1−ΔPに、減圧する必要がある。
【0186】
図15(3)に、マスク2が、狭ギャップを形成(隙間G)している時の状態を示している。この時の基板1とマスク2の圧力はP1である。
【0187】
つまり、狭ギャップ形成の前後に拘わらず、常に、マスク2と基板1の間の圧力を、大気圧P0よりも小さく保持することにより、マスク2の狭ギャップ形成時にも、その空気圧力の上昇を小さくできるので、狭ギャップ形成の高速化が可能である。
【0188】
極端な例として、概略ゼロ気圧に近い気圧が実現できたとすれば、その空気抵抗(空気圧上昇)は、略ゼロとなり、マスクが、狭ギャップ形成時の圧力上昇により変形することはなくなる。これにより、高速な狭ギャップ形成が可能となる。
【0189】
以上に述べたように、狭ギャップ形成の高速化の要因となっている理由が、マスク2が基板1に近接する時に発生する空気の高圧化によるマスク変形であることを本実施例では説明した。
【0190】
そして、同じ時間(長さ)のマスク速度プロファイルでも、その最大速度に到達する時間Tmaxを、速度プロファイルの全体の時間Tの1/2より短くすること(Tmax<T/2)により、空気の最大圧を低減可能であることを説明した。
【0191】
そして、そのマスク速度プロファイルを用いることにより、狭ギャップ形成の高速化が可能であることを説明した。
【0192】
また、狭ギャップ形成時の圧力上昇を低減する他の方法として、粘性の低い気体をマスク2と基板1間の空気に混入することにより空気の粘性を低下させ、圧力上昇を低下させて、狭ギャップ形成の高速化が可能であることを説明した。
【0193】
さらに、負圧手段により、狭ギャップ形成時にマスクと基板の間から排出される空気流速を早くできるので、狭ギャップ形成時の最大圧力を下げることが可能であることを説明した。その結果、マスクの変形量を小さくして、狭ギャップ移動の高速化が可能となることを説明した。
【符号の説明】
【0194】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 Z機構
10 チャック
11 突起(土手,真空区画)
20 マスクホルダ
21 ガラス(負圧撓み矯正手段用)
22 負圧口
23 負圧配管
24 負圧空間
30 狭ギャップ形成時のマスク移動方向
31 狭ギャップ形成中のマスク変形要因(加速度+空気圧)
40 速度プロファイル(加速=減速=0.05T,最大速度V)
41 速度プロファイル(加速=減速=0.5T,最大速度0.1V)
50 圧力変動(マスク速度プロファイル40の場合)
51 圧力変動(マスク速度プロファイル41の場合)
70 対称速度プロファイル(加速=減速=0.5T,最大速度V)
71 後半最高速度プロファイル(加速=0.75T,減速=0.25T,最大速度V)
72 前半最高速度プロファイル(加速=0.25T,減速=0.75T,最大速度V)
80 圧力変動(対称速度プロファイルマスク70の場合)
81 圧力変動(後半最高速度プロファイル71の場合)
82 圧力変動(前半最高速度プロファイル72の場合)
83 圧力変動(加速=0.125T,減速=0.875T,最大速度V)
84 圧力変動(加速=0.05T,減速=0.95T,最大速度V)
90 間隔H
91 マスクと基板の間隔
92 狭ギャップG(露光時の基板とチャックの間隔)
100 ノズル
200,210,220 負圧手段
201,211,221 吸気口
202,222 ノズル
203,223 固定部
204,224 配管
205,217,225 空気流
212,213,215 対向面
216 マスク中心からの空気流
218 外からの空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に露光を行う露光装置において、
前記基板を搭載するチャックと、
前記チャックの位置決めを行う位置決め部と、
前記基板にパターンを露光するためのマスクを把持し、前記基板に近接するマスクホルダと、
前記マスクホルダの加速度を制御する制御部と、
前記マスクに光を照射する露光部と、を有し
前記制御部は、
少なくとも第1の加速度と、前記第1の加速度よりも低い第2の加速度を用いて、前記マスクホルダの加速度を制御することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光装置において、
前記マスクホルダは、
前記第1の加速度で加速し、
前記第2の加速度で減速することを特徴とする露光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の露光装置において、
前記マスクホルダは、
前記第1の加速度で加速した後に、
前記第2の加速度で減速することを特徴とする露光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の露光装置において、
前記制御部は、
前記第1の加速度、前記第2の加速度のうち少なくとも1つを変えることを特徴とする露光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の露光装置において、
空気よりも粘性の低い媒体を供給する供給部を有し、
前記供給部は前記基板へ前記媒体を供給することを特徴とする露光装置。
【請求項6】
請求項1に記載の露光装置において、
前記チャックは、前記マスクホルダの動作に対応して、前記基板の面に対して上方、及び下方の少なくとも一方に移動することを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項1に記載の露光装置において、
前記チャックと前記マスクホルダとの間の雰囲気を吸引する吸引部を有することを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−177817(P2012−177817A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41103(P2011−41103)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】