説明

非接触膜厚測定装置

【課題】膜厚測定対象が非平面でもテラヘルツエコーパルスのパルス幅の増大がなく、膜厚測定分解能が低下しない膜厚測定装置を提供すること。
【解決手段】テラヘルツ波パルスLtを発生するテラヘルツ波発生手段1と、テラヘルツ波パルスLtを膜厚測定対象に入射させる入射光学系5と、膜厚測定対象から反射されてくるテラヘルツエコーパルスLteを受光する受光光学系6と、テラヘルツエコーパルスLteのパルス幅を短パルス化する短パルス化手段15と、テラヘルツエコーパルスLteの電場振幅時間分解波形を検出する検出手段7と、を有する膜厚測定ユニット17を備えることを特徴とする非接触膜厚測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材にコートされた膜の厚さを測定する装置に関する。詳しくは、膜厚測定対象にテラヘルツ波を照射して非接触で膜厚を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電製品など多くの工業製品は、基材(下地)の防錆、製品の美観などのために塗装されている。例えば、メタリック塗装乗用車の場合、図4(a)に示すように、下地鋼板60の上に防錆のための電着塗装膜61が形成され、その上に飛び石などを防ぐチッピングプライマー塗装膜62が形成され、その上に中塗り塗装膜63が形成され、その上に顔料と光輝材を含むベース塗装膜64が形成された後、顔料と光輝材を含まないクリア塗装膜65が形成されている。電着塗装膜61は、下地の防錆のために形成され、チッピングプライマー塗装膜62は、飛び石などによる傷つきを防止するために形成される。したがって、これらの膜厚が規定の膜厚を下回ると、防錆機能や傷つき防止機能が損なわれるため、膜厚を測定して厳密に管理する必要がある。また、中塗り塗装膜63、ベース塗装膜64及びクリア塗装膜65は、外観品質(色、メタリック感、光沢、ゆず肌、深み感など)と密接に関連する。したがって、これらの膜厚も測定管理される必要がある。
【0003】
従来は、各塗装膜が形成される都度ドライ状態で渦電流式膜厚計を接触させて膜厚を測定していた。したがって、従来の渦電流式膜厚計による測定には工業製品にキズを付ける問題や、多層膜の各層の膜厚を測定することができないといった問題があった。
【0004】
そこで、キズ付きの問題を解決するために光学干渉を応用した非接触膜厚計が開発された(例えば、特許文献1及び2参照。)が、多層膜の各膜厚を測定することができなかった。
【0005】
最近、上記従来の膜厚計の問題を解決するために、膜厚測定対象にテラヘルツ波を照射して非接触で膜厚を測定する装置が開発された(例えば、特許文献3参照。)。テラヘルツ波は、波長が30〜3000μm(周波数が0.1〜10THz)の電磁波であり、主たる成分が高分子材料である塗膜を透過する。したがって、図4(a)に示すような多層膜からなる膜厚測定対象にテラヘルツ波パルスを入射させると、屈折率不連続面である各境界面IP1〜IP5でフレネル反射が起き、反射テラヘルツ波パルス(以下、テラヘルツエコーパルスという。)が得られる。このテラヘルツエコーパルスの電場振幅時間分解波形を模式的に示すと、図4(b)のようになり、それぞれ互いに隣接する各境界面からのエコーパルスP1、P2間の時間差T12、エコーパルスP2、P3間の時間差T23、及びエコーパルスP3、P4間の時間差T34に基づいて、タイム・オブ・フライト法を用いて次式により各塗装膜の膜厚を測定することができる。
【0006】
膜厚=(時間差×光速)/(塗膜の群屈折率) (1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3542346号公報
【特許文献2】特許3326961号公報
【特許文献3】特開2004−28618号公報(第6−7頁、図1、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、エコーパルス間の時間差から膜厚を求める場合、エコーパルスのパルス幅が膜厚測定分解能を決め、パルス幅をτ、塗膜の群屈折率をn、光速をcとすると、(1)式から分解能Rは、
R=τc/n
となる。この式から、図5にテラヘルツエコーパルスを模式的に示すように、隣り合うエコーパルスが分離できる限界時間差Tr=τ/2であることがわかる。すなわち、膜厚測定分解能を上げるためには、テラヘルツエコーパルスのパルス幅を短くしなければならないことがわかる。テラヘルツエコーパルスは膜厚測定対象に照射されるテラヘルツ波のパルス幅にほぼ等しい。通常、テラヘルツ波は、非線形結晶を短パルスレーザ光でポンプして結晶のχ(2)効果で発生されるため、発生するテラヘルツ波のパルス幅は、ポンプ光のパルス幅に依存する。したがって、所望の膜厚分解能にするには、それに見合ったパルス幅のテラヘルツ波を照射する必要がある。
【0009】
上記従来の膜厚測定装置では、τ=400fsであり(特許文献3の図5参照。)、n=2とすると、R=60μmと見積もられる。すなわち、従来の膜厚測定装置では60μm未満の膜厚を測定することができない。
【0010】
一方、膜厚測定対象が平面でないと、膜厚分解能を低下させる、すなわち、テラヘルツエコーパルスのパルス幅を増大させる。通常の工業製品は非平面であるため、テラヘルツエコーパルスのパルス幅が増大し、膜厚測定分解能が低下する。
【0011】
例えば、図6に示すように、曲率半径rの曲面にビーム径2aのテラヘルツ波が照射されると、中心の光線Rcと外側の光線Roとでは、往復約2δの光路差が生じる。例えば、r=10mm、2a=1mmの場合、δ=13μmとなる。すなわち、13μmの膜厚の差が検出されないことになる。別の言い方をすれば、平面状膜厚測定対象からのテラヘルツエコーパルスのパルス幅よりr=10mmの球面状膜厚測定対象からのテラヘルツエコーパルスのパルス幅が約200fs(=2nδ/c)長くなり、その分、膜厚測定分解能が低いことになる。
【0012】
上記従来の膜厚測定装置では、膜厚測定対象からのテラヘルツエコーパルスをそのまま検出器で受光するため、非平面によってテラヘルツエコーパルスのパルス幅が増大し、膜厚測定分解能が低かった。
【0013】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、膜厚測定対象が非平面でもテラヘルツエコーパルスのパルス幅の増大がなく、膜厚測定分解能が低下しない膜厚測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するためになされた本発明の膜厚測定装置は、テラヘルツ波パルスを発生するテラヘルツ波発生手段と、前記テラヘルツ波発生手段から発生された前記テラヘルツ波パルスを膜厚測定対象に入射させる入射光学系と、前記入射光学系で前記テラヘルツ波パルスが前記膜厚測定対象に入射されて前記膜厚測定対象から反射されてくるテラヘルツエコーパルスを受光する受光光学系と、前記テラヘルツエコーパルスのパルス幅を短パルス化する短パルス化手段と、前記短パルス化手段で短パルス化された前記テラヘルツエコーパルスの電場振幅時間分解波形を検出する検出手段と、を有する膜厚測定ユニットを備えることを特徴とする。
【0015】
上記の非接触膜厚測定装置において、前記短パルス化手段は、前記膜厚測定対象と前記検出手段との間に配置される絞りであることが好ましい。
【0016】
また、前記絞りは可変絞りが好ましい。
【0017】
また、前記膜厚測定ユニット及び前記膜厚測定対象の少なくとも一方を制御して互いの相対位置関係を所定の位置関係に位置決め制御する位置決め制御機構を有するとよい。
【発明の効果】
【0018】
テラヘルツエコーパルスのパルス幅を短パルス化する短パルス化手段を備えているので、膜厚測定対象が非平面であるために増大するパルス幅を短パルス化することができ、膜厚測定分解能の低下がない。
【0019】
絞りで正反射テラヘルツエコーパルス以外をカットすることで、非平面膜厚測定対象のために増大するパルス幅を短パルス化できるので、膜厚測定ユニットを小さくスマートにできる。
【0020】
可変絞りとすることで、膜厚測定対象毎に異なる所望の膜厚測定分解能に合った絞り開口とすることができる。
【0021】
膜厚測定ユニット及び膜厚測定対象の少なくとも一方を制御して互いの相対位置関係を所定の位置関係に位置決め制御する位置決め制御機構を有しているので、繰り返し測定する際に、互いの相対位置関係を同じにすることができ、常に膜厚測定対象から正反射テラヘルツエコーパルスを検出手段に入射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係る非接触膜厚測定装置の概略構成図である。
【図2】電場振幅時間分解波形図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る非接触膜厚測定装置の概略構成図である。
【図4】従来技術による膜厚測定原理を示す図であって、(a)は自動車ボディー塗装における多層塗装膜の一例を示す断面図であり、(b)は(a)において測定されたテラヘルツエコーパルスを示す電場振幅時間分解波形図である。
【図5】テラヘルツエコーパルスのパルス幅と膜厚測定分解の関係を説明するための図である。
【図6】曲面にテラヘルツ波パルスが照射されて光路差ができる様子を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
(実施形態1)本実施形態の非接触膜厚測定装置は、図1に示すように、テラヘルツ波パルスLtを発生するテラヘルツ波発生手段4と、テラヘルツ波パルスLtを膜厚測定対象20に入射させる入射光学系5と、膜厚測定対象20から反射されてくるテラヘルツエコーパルスLteを受光する受光光学系6と、テラヘルツエコーパルスLteのパルス幅を短パルス化する短パルス化手段15と、テラヘルツエコーパルスLteの電場振幅時間分解波形を検出する検出手段7と、を有する膜厚測定ユニット17を備えている。
【0025】
膜厚測定ユニット17は、上記の他にテラヘルツ波発生手段4を励起するポンプ光Lpuと検出手段7でテラヘルツエコーパルスLteの電場振幅時間分解波形を検出するためのプローブ光Lprを発生する超短光パルス光源1と、超短光パルス光源1から発生された超短光パルスレーザLoをポンプ光Lpuとプローブ光Lprとに分割する光分割手段2と、プローブ光Lprの時間遅延を制御する光遅延手段3、他を備えている。
【0026】
超短光パルス光源1は、SHG結晶を備えるErドープファイバレーザで、パルス幅17fs、繰り返し周波数50MHz、中心波長1550nm、出力100mWの基本波パルスと、中心波長780nm、出力10mWの第2高調波パルスからなる超短光パルスレーザL0を発生する。
【0027】
超短光パルス光源1は、上記に限定されるものでなく、例えば、Ybドープファイバレーザやチタンサファイアレーザ等でもよい。
【0028】
繰り返し周波数は、大きいほどテラヘルツエコーパルスLteの電場振幅時間分解波形のSN比を上げることができるが、繰り返し周波数が大き過ぎるとパルス間隔が狭まり、時間領域でのスキャンレンジが狭まるので、膜厚測定対象に応じて適切な繰り返し周波数のレーザを用いることが望ましい。
【0029】
パルス幅は、膜厚測定分解能を上げるためにできるだけ短い方がよい。
【0030】
光分割手段2は、2色ミラーで、超短光パルスレーザL0を波長1550nmのポンプ光Lpu(基本波パルス)と波長780nmのプローブ光Lpr(第2高調波パルス)に分割する。超短光パルス光源1がチタンサファイアレーザ等の単一波長で発振するレーザの場合は、光分割手段2にビームスプリッタを用いる。
【0031】
光遅延手段3は、交差ミラー31と交差ミラー31を矢印A方向に移動させる移動機構32とを備え、後述のポンプ光Lpuでポンプされて発生するテラヘルツ波パルスLtに対して、2色ミラー2で分割されたプローブ光Lprに時間的な遅れ、或いは進みを発生させる。移動機構32は、パソコン11で制御される。
【0032】
ポンプ光Lpuは、変調器8を通過して変調を受ける。変調器8による変調周波数は、ポンプ光Lpuの繰り返し周波数の1/10以下程度であれば高い方が好ましい。本実施形態では、変調器8にチョッパが用いられ、ポンプ光Lpuは1kHzで変調された。なお、変調器8に音響光学変調器(AOM)や電気光学変調器(EOM)等を用いると、高速変調が可能になる。
【0033】
変調を受けたポンプ光Lpuは、レンズ9でテラヘルツ波発生手段4に集光される。テラヘルツ波発生手段4は、有機非線形結晶のDAST(4-dimethylamino-N-methyl-4 stilbazobazolium tosylate)であり、用いたDAST結晶4はc軸に直交する二つの面41、42を持ち、面41と42の間隔(厚さ)は0.1mmである。DAST結晶4にポンプ光Lpuが照射されると、結晶のχ(2)効果でテラヘルツ波パルスLtが発生される。
【0034】
入射光学系5は、二つの軸外し放物面鏡51、52を備えている。一方の軸外し放物面鏡51は、DAST結晶4から放射されるテラヘルツ波パルスLtをコリメートし、他方の軸外し放物面鏡52はコリメートされたテラヘルツ波パルスLtを膜厚測定対象20に集光照射する。
【0035】
受光光学系6は、二つの軸外し放物面鏡61、62を備えている。一方の軸外し放物面鏡61は、膜厚測定対象20からのテラヘルツエコーパルスLteをコリメートし、他方の軸外し放物面鏡62はコリメートされたテラヘルツエコーパルスLteを検出手段7に集光照射する。
【0036】
軸外し放物面鏡61と62の間に配置された短パルス化手段15は、絞りである。絞り15の開口は、図1中点線で示すテラヘルツエコーパルスLteのビーム径に等しくしてある。なお、この点線は、膜厚測定対象20が平面のときのレイトレーシングである。膜厚測定対象20が図1に示すように凸面の場合は、絞り15の位置でテラヘルツエコーパルスLteのビーム径が点線より大きくなる。なお、絞りは可変絞りが好ましい。
【0037】
本実施形態では、上記のように短パルス化手段15として絞りを用いたが、回折格子圧縮器、プリズム圧縮器等を用いてもよい。
【0038】
検出手段7は、シリコンレンズ71と光伝導スイッチ72を備えている。光伝導スイッチ72は、低温成長GaAs基板にダイポールアンテナを形成したもので、ダイポールアンテナのギャップ部をプローブ光Lprで励起して、そこにテラヘルツエコーパルスLteを入射させてその電場振幅時間波形を得ることができる。
【0039】
16は、光伝導スイッチ72からの電気信号を増幅する増幅器である。
【0040】
10は、光伝導スイッチ72で検出された信号の中からチョッパ8の変調信号に同期した成分を抽出して増幅するロックインアンプである。
【0041】
11は、光遅延手段3の位置情報と、ロックインアンプ10からの信号を記録するパソコンであり、光遅延手段3の移動機構32とロックインアンプ10を制御する機能も有している。
【0042】
次に、非接触膜厚測定装置の動作を説明する。
【0043】
まず、超短光パルス光源1から発生された超短光パルスレーザLoは、2色ミラー2でポンプ光Lpuとプローブ光Lprに分割される。
【0044】
ポンプ光Lpuは、チョッパ8で強度変調された後、レンズ9でDAST結晶4のc軸方向に集光照射される。すると、結晶4のχ(2)効果でテラヘルツ波パルスLtが発生される。
【0045】
テラヘルツ波パルスLtは、入射光学系5の軸外し放物面鏡51でコリメートされた後、軸外し放物面鏡52で膜厚測定対象20に集光照射される。すると、膜厚測定対象20の屈折率が異なる界面から反射され、点線で示すテラヘルツエコーパルスLteが放射される。
【0046】
膜厚測定対象20から放射されるテラヘルツエコーパルスLteは、受光光学系6の軸外し放物面鏡61でコリメートされ、絞り15で正反射以外のテラヘルツエコーパルスLteが除去され、点線で示す正反射テラヘルツエコーパルスLteが軸外し放物面鏡62でシリコンレンズ71を介して光伝導スイッチ72に集光される。
【0047】
一方、2色ミラー2で分割されたプローブ光Lprは、光遅延手段3を経て、レンズ19により光伝導スイッチ72に集光される。光遅延手段3をスキャンすることにより、光伝導スイッチ72でテラヘルツエコーパルスLteの電場振幅時間分解波形を計測する。すなわち、光伝導スイッチ72の信号をアンプ16で増幅し、さらに、ロックインアンプ10で増幅し、パソコン11でデータ蓄積して、テラヘルツエコーパルスLteの図4(b)に示すような電場振幅時間分解波形を得る。
【0048】
なお、光遅延手段3がラピッドスキャン型の場合、遅延掃引の周期にパソコンを同期させるとよい。こうすることにより、より高速にデータを取得できるようになる。
【0049】
次に、非接触膜厚測定装置の効果の検証実験を説明する。図1の膜厚測定対象20を曲率半径10mmの凸面鏡にして検証実験を行い図2に示す結果を得た。図2において、点線の波形(イ)は、絞り15がない場合のテラヘルツエコーパルスLteの波形であり、実線の波形(ロ)は、絞り15がある場合の波形である。図2から、絞り15があると、パルス幅がない場合の半分の500fsになることがわかる。すなわち、膜厚測定対象20が非平面であることでテラヘルツエコーパルスLteのパルス幅が1psに拡がったパルス幅が絞り15を配置することで500fsに圧縮されていることがわかる。
【0050】
(実施形態2)本実施形態の非接触膜厚測定装置は、実施形態1の非接触膜厚測定装置に位置決め制御機構を付加したものであり、実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
本実施形態の非接触膜厚測定装置は、図3に示すように、膜厚測定ユニット17の中に測距器19を備え、測定ユニット17が搭載される位置姿勢制御手段18を備えている。測距器19、位置姿勢制御手段18及びパソコン11で位置決め制御機構を構成する。
【0052】
測距器19は、たとえば光波測距器であり、測定ユニット17から膜厚測定対象20までの距離を測定し、パソコン11に測距データを送る。
【0053】
位置姿勢制御手段18は、たとえば、XYZθステージであり、パソコン11の指令で測定ユニット17の位置姿勢を制御する。
【0054】
なお、位置姿勢制御手段18は、コンピュータ制御のロボットハンドでもよい。
【0055】
パソコン11は、測距器19から取り込んだ測距データから求まる距離が所定の距離になるように、且つ検出手段7から入力される信号が最大になるように、XYZθステージ18を駆動制御する。
【0056】
本実施形態の非接触膜厚測定装置は、上記のように、測距器19、位置姿勢制御手段18及びパソコン11からなる位置決め制御機構を有するので、繰り返し膜厚測定する際に、測定ユニット17と膜厚測定対象20の相対位置関係を同じにすることができ、常に膜厚測定対象20から正反射テラヘルツエコーパルスを検出手段に入射させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・・・・・・・・・・テラヘルツ波発生手段
5・・・・・・・・・・・・入射光学系
6・・・・・・・・・・・・受光光学系
7・・・・・・・・・・・・検出手段
15・・・・・・・・・・・短パルス化手段(絞り)
17・・・・・・・・・・・膜厚測定ユニット
(11+21+22)・・・位置決め制御機構
Lt・・・・・・・・・・・ テラヘルツ波パルス
Lte・・・・・・・・・・・テラヘルツエコーパルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ波パルスを発生するテラヘルツ波発生手段と、
前記テラヘルツ波発生手段から発生された前記テラヘルツ波パルスを膜厚測定対象に入射させる入射光学系と、
前記入射光学系で前記テラヘルツ波パルスが前記膜厚測定対象に入射され、前記膜厚測定対象から反射されてくるテラヘルツエコーパルスを受光する受光光学系と、
前記テラヘルツエコーパルスのパルス幅を短パルス化する短パルス化手段と、
前記短パルス化手段で短パルス化されたテラヘルツエコーパルスの電場振幅時間分解波形を検出する検出手段と、を有する膜厚測定ユニットを備えることを特徴とする非接触膜厚測定装置。
【請求項2】
前記短パルス化手段は、前記膜厚測定対象と前記検出手段との間に配置される絞りである請求項1に記載の非接触膜厚測定装置。
【請求項3】
前記絞りは、可変絞りである請求項2に記載の非接触膜厚測定装置。
【請求項4】
前記膜厚測定ユニット及び前記膜厚測定対象の少なくとも一方を制御して互いの相対位置関係を所定の位置関係に位置決め制御する位置決め制御機構を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触膜厚測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−181164(P2010−181164A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22464(P2009−22464)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】