説明

高周波電力送信回路

【課題】 通常高周波通信装置の出力側にあるアイソレータを用いない構成でも回路を保護できる送信電力増幅回路を提供することを目的とする。
【解決手段】 反射電力をモニターし、ある値以上に反射電力が増加した場合、信号経路に可変インピーダンス回路2を挿入する。また送信電力と反射電力の比および位相差を検出する回路を設け、その電力比、位相差の検出値に応じて可変インピーダンス回路2に対する制御信号の値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF帯域からマイクロ波帯域で動作する無線通信装置において、反射電力による電力送信回路の破壊を防ぐことができる高周波電力送信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界各国で携帯電話や携帯情報端末のように、様々な情報通信機器が実用化され、種々の情報通信サービスが提供されるようになって来ている。これら情報通信機器はそれぞれ固有のシステム仕様を満たすよう動作し、その利用するシステムにより周波数帯、出力電力、変調方式が異なっている。しかしながら、異なるシステムにおいてもそこで用いられる送信電力増幅器に要求される要素技術には共通のものがある。
【0003】
その共通課題の一つとして、それぞれのシステム仕様に対応した送信電力レベルにおいて可能な限り電力消費効率の高い電力増幅器が望まれている。特に、この高効率動作に対する要求は、移動体通信端末に搭載される送信増幅器の用途で強い。そのため移動体通信端末の送信増幅器では、動作時の電力効率を高めるために送信増幅器は能力限界に近い動作状態で使用されることが一般的である。
【0004】
そのような動作状況のもと、通信機器においては、あらゆる使用環境下において安定でしかも信頼性の高い通信機器を構成する必要がある。この際に最も重要となるのが、厳しい動作条件で使用される送信系増幅器回路の安定性あるいは信頼性である。
【0005】
従来、この安定動作を確保するためには、入力側においては増幅器に対する過入力を防ぎ、また出力側においては、送信回路の出力側に配置したアイソレータにより、他システムからの干渉電波や、自ら発する送信電力のアンテナ部からの反射波など、不要な逆方向電力が送信増幅器回路に流入することを防ぐのが一般的である。また増幅器自体においては、必要以上の出力電力を抑えるため、増幅度(利得)を調整することも行われている。
【0006】
従来、このような増幅器の安定動作や特性制御の目的として、入力回路、あるいは出力回路に能動素子を含む他の回路を配置するものとして、入力側に配置したFET回路により、増幅器のバイアス条件を変化させ利得制御を行うもの(特許文献1)や、FETを複数個用いた減衰回路(特許文献2)、または1/4波長線路と2個のダイオードを用いた減衰回路により増幅器の利得制御を行うもの(特許文献3)がある。
【0007】
一方、増幅回路の出力電力制御を目的として、増幅器の出力側に電力型電圧制御可変減衰器を挿入し、出力増幅器の安定動作と出力電力レベルの制御の両立を目的とした方法(特許文献4)が開示されている。この特許文献4では、出力電力レベルをモニターし、その検波電圧と基準電圧を比較し、その差が0となるような制御を行うものである。さらに増幅器の負荷特性変化を補償し、増幅器の安定動作を実現するものとして、増幅器の入力側および出力側において、信号線路と接地間に能動素子(ダイオードを)配置した構造が開示されている(特許文献5)。
【特許文献1】特開平9−93048号公報
【特許文献2】特開2002−64387号公報
【特許文献3】特開平8−340226号公報
【特許文献4】特開平9−321636号公報
【特許文献5】特開平5−175758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常の高周波回路は、入出力端子に50Ω負荷を接続することを前提として構成される。これによりインピーダンス変換器を用いずとも、種々の高周波回路を直接に接続することが可能となり、高周波回路素子の取り扱いが簡便となる。
【0009】
電力増幅器も同様に、入出力端子に50Ω負荷を接続することを前提として構成されることが多い。電力増幅器の場合、この50Ω負荷条件において、増幅度が最大になる整合条件、出力電力が最大になる整合条件、あるいは歪特性が最も良くなるような整合条件など、その増幅器の用途に応じた整合回路を設計することになる。従って、入出力の各負荷条件が設計状態の50Ωより外れると、負荷に対する接続点、即ちインピーダンス不連続点で高周波信号の反射が生じ、定在波が生じることとなる。無線通信携帯端末機において使用される電力増幅回路では、使用する電力増幅器の増幅能力や出力電力を最適化し、その増幅器の出力限界に近い条件で動作させることが多く、このような条件で使用中に出力側負荷に変動があって出力側負荷が50Ωからはずれると、反射電力が生じ、増幅回路の出力端子より大電力の高周波が逆方向に入射することになる。
【0010】
その結果、最大能力付近で動作している増幅素子に大電流が流れたり、端子電圧が急上昇したりして、増幅素子が破壊するという課題がある。
特に、この課題は、負荷特性が動的に変化する移動携帯端末機器で重要となる。また半固定状態で使用される無線LAN機器や、固定されて使用する移動体基地局においても、アンテナ周辺の急な状況変化、機器出力側の故障により、動的に負荷特性が変化することが考えられ、この場合にも送信電力増幅回路を保護する方策が検討されている。従来、多くの場合、出力回路中の送信増幅器の後段にアイソレータを配置することによって上記の課題を解決しているが、機器構成の複雑化やコスト上昇を避けるためにはこのアイソレータを取り除きたいという要望が強い。
【0011】
本発明は、通常高周波通信装置の出力側にあるアイソレータを用いない構成においても、電力増幅回路を保護できる送信電力増幅回路を提供することを目的とする。
特に、送信電力増幅回路の負荷に変動があり、反射電力が生じた際に電力増幅回路が破壊に至らないような高周電力送信回路を提供することを目的とする。
【0012】
また、負荷特性の変動に対して保護機能を有する無線通信装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、高周波電力送信回路に含まれる電力増幅回路と出力端子間に、通常の伝送線路および可変インピーダンス回路を含む複数の信号伝送経路を配置し、これらを高周波スイッチ回路により選択可能な構成とする。特に可変インピーダンス回路を含む経路の選択と、可変インピーダンス回路のインピーダンス値の制御は、送信回路の出力端における反射電力、あるいは送信電力と反射電力、さらには送信電力と反射電力の位相差の値により決定される構成をとる。
【0014】
さらに可変インピーダンス回路は伝送線路を含み、その伝送線路の両端において、線路と高周波的な接地電位間に配した能動素子を複数含み、その能動素子に与える制御信号により可変インピーダンス回路のインピーダンス値を制御する構成をとる。
【0015】
本発明の請求項1記載の高周波電力送信回路は、電力増幅回路の出力を、複数の信号経路を選択できる信号経路切り換え手段を介して負荷インピーダンスへ給電するとともに、前記信号経路切換手段の出力と前記負荷インピーダンスの間において送信電力の反射電力レベルを検出する電力検出回路を設け、前記信号経路切換手段には、前記複数の信号経路のひとつに伝送線路と、伝送線路と接地間に接続された複数の能動素子をその構成要素として含む可変インピーダンス回路を設け、前記電力検出回路が検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記スイッチ回路の接続経路を選択し、かつ、前記可変インピーダンス回路を経路として選択した場合に、前記能動素子への制御信号を変化させるよう構成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2記載の高周波電力送信回路は、請求項1において、前記電力検出回路は、検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記可変インピーダンス回路を構成する全ての能動素子を低インピーダンス状態に切り換えてから、前記可変インピーダンス回路を信号経路として選択させ、その後に前記能動素子のうち一部の素子を高インピーダンス状態とする制御信号を出力するように構成したことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3記載の高周波電力送信回路は、請求項1において、前記電力検出回路は、検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記可変インピーダンス回路を構成する全ての能動素子を低インピーダンス状態に切り換えてから、前記可変インピーダンス回路を信号経路として選択させ、その後に前記送信電力と反射電力の位相差に応じて前記能動素子のうち一部の素子を高インピーダンス状態とする制御信号を出力するように構成したことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4記載の高周波電力送信回路は、請求項1〜請求項3において、能動素子が2個であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の高周波電力送信回路は、請求項1〜請求項4において、可変インピーダンス線路に含まれる伝送線路の長さが、高周波電力の周波数の等価的電気長に対し、1/36以上1/8以下の長さであることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項6記載の高周波電力送信回路は、請求項1〜請求項5において、可変インピーダンス回路に含まれる能動素子が、電界効果型トランジスタもしくは接合型トランジスタなどの3端子素子であることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項7記載の高周波電力送信回路は、請求項1〜請求項5において、可変インピーダンス回路に含まれる能動素子が、非線形特性を示すダイオードであることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項8記載の無線通信装置は、請求項1記載の高周波電力送信回路の負荷インピーダンスとしてアンテナ回路を接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高周波電力を送信する電力増幅回路において、通常動作状態から負荷インピーダンスが外れた場合生じる反射電力を検出でき、その反射電力値に応じて信号経路に可変インピーダンス回路を挿入することができる。この可変インピーダンス回路により電力増幅器からみた負荷インピーダンスを変化させ、電圧定在波比(voltage standing wave ratio:VSWR)を電力増幅器が破壊しないレベルに調整することにより、電力増幅回路の破壊を防ぐことができる。また、送信電力と反射電力を検出し、その位相差を求め、その位相差に応じて可変インピーダンス回路を制御することができる。
【0023】
特に、送信電力と反射電力を常時、あるいは一定の時間間隔でモニターし、その比、あるいは位相差により可変インピーダンス回路のインピーダンス値を制御する場合は、負荷特性が定常状態に戻った際、信号経路を定常状態で用いる伝送線路にスイッチし通常動作状態に戻すことが可能である。
【0024】
また、上記のような高周波電力送信回路を無線通信回路に用いると、無線通信回路の実使用時の不可逆的なハードウェアの不具合発生率を低減できる効果がある。また送信電力と反射電力をモニターすることにより、負荷状態が良好か不良かの情報を入手することができ、これをもとに機器制御方法を変更する、あるいは使用者に動作状況を示す(警告する)ことが可能となる。この点は機器の安定動作と使用者の利便性につながる。
【0025】
この構成によれば送信出力回路にアイソレータを用いないでも送信増幅器の保護が可能であり増幅増幅器あるいは通信装置の製造コストを低減できる。またアイソレータと併用することにより、より通信機器動作の信頼性を高めることができる。
【0026】
なお、これら移動体通信システムは現在利用されているもの、また将来的に利用が計画されているものも含め、利用される周波数帯域はRF帯からマイクロ波である300MHzから6GHzであり、また最大の出力電力は100mWから5W程度であり、本発明は上記帯域、および電力レベルで顕著な効果を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の高周波電力送信回路を図1〜図15に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図11は本発明の(実施の形態1)を示す。
【0028】
図1は本発明に用いられる高周波電力送信回路を回路ブロックにて示したものである。電力増幅回路1は電力増幅素子1と出力整合回路6から構成され、入力された高周波信号を増幅後、最終的にアンテナ4などのインターフェース回路を通して送出される。本発明では、電力増幅回路1とインターフェース回路であるアンテナ4の間に、低損失な通常の高周波伝送線路であるバイパス線路44と、可変インピーダンス回路2を配置し、さらに送信電力および反射電力を検出する電力検出回路を設けるものである。バイパス線路44と可変インピーダンス回路2を含む信号経路は、電力検出回路で検出した反射電力レベルの値、あるいは送信電力と反射電力の差、もしくはそれら電力の値と送信電力と反射電力の位相差に応じ、スイッチ回路41a,41bにてどちらか一方の信号経路が選択されるように構成されている。電力検出回路3は信号経路にほとんど影響を与えないレベルの結合度を有する方向性結合器などを用いる。通常の使用状態ではアンテナ4は空間のインピーダンスに整合しているため、アンテナ4からの電力反射はほとんど生じない。このとき、スイッチ回路41a,41bにて選択される信号経路は、送信回路の高周波信号減衰量ができるだけ小さくなるようバイパス線路44となるよう設定されている。
【0029】
一方、使用状態においてアンテナ周辺に導電性の物体や誘電体が近接するなどし、負荷特性が大きく変化した場合、インピーダンスの不整合によりアンテナ4の部分で高周波信号の反射が起きる。本発明では電力検出回路3にて反射電力を検出しており、このような負荷変動が生じた場合の反射電力は電力検波回路7で検出され、検出された反射電力レベルに従い、スイッチ回路41a,41bにより信号経路を高周波信号がほとんど減衰することなく通過する低損失のバイパス線路44から、可変インピーダンス回路2を含む信号経路の側に切り換える信号、ならびに可変インピーダンス回路2に対するインピーダンス値制御用の制御信号を発生するものである。
【0030】
この制御ループにより可変インピーダンス回路2のインピーダンス値を変化させ、結果的に電力増幅回路1から見た負荷インピーダンス値を、常に破壊条件とはならない安定動作条件を満たすインピーダンス値の範囲に制御する。これにより反射電力量を電力増幅素子5が破壊しないレベルに保つことができ、電力増幅回路の保護を実現するものである。
【0031】
なお、可変インピーダンス回路2は基本的に損失が小さい受動素子にて構成され、等価的に負荷変動に対して整合条件を改善する動作をしている。
可変インピーダンス回路2は、損失が小さい受動素子にて構成された伝送線路と、負荷変動に対してこの伝送線路のインピーダンスを等価的に変更しうる回路構成をとり、結果として電力増幅回路の整合条件を改善するよう構成されている。
【0032】
従って、可変インピーダンス回路2のインピーダンス値を制御している状態においても送信電力の一部はアンテナ4から送出されており、通信回路の品質という観点からは通信品質の劣化の度合いを小さくすることが可能である。
【0033】
また電力検出回路3においては反射電力量とともに送信電力もモニターされており、負荷状態が改善され送信電力と反射電力の比が小さくなった際には、スイッチ回路41a,41bをバイパス線路44に戻して、通常の出力状態に戻る動作をする。
【0034】
これらは安定動作の為に信号減衰回路を用いる構成にはない作用であり、電力検出回路の検出精度を高くする効果を有する。なお、電力検出回路3において、送信電力と反射電力は結合度の小さな方向性結合器を介してモニターすることにより、送信電力に与える影響を無視できるようにしている。
【0035】
可変インピーダンス回路2の動作および設定方法を更に説明する。
図2は可変インピーダンス回路2の一例を電気的な等価回路で示したものである。ここでは既にスイッチ回路41a,41bは可変インピーダンス回路2を選択したものとし、電力検出回路3も省略している。等価負荷12は、図1において回路側よりアンテナ4を見込んだインピーダンスを示している。このインピーダンスはアンテナ周辺の状況変化により任意のインピーダンス値とる。
【0036】
電力増幅回路1の出力端子13から見た合成負荷インピーダンス14は、任意の値を取りうる等価負荷12に、可変インピーダンス回路2とアンテナ4との間の伝送線路のインピーダンスと、さらに可変インピーダンス回路2のインピーダンスを含めたものとなる。
【0037】
可変インピーダンス回路2は、伝送線路19とその両端において各々抵抗20,21を介して接地されたふたつのFET17,18より構成される。この構成において、FETのゲートに対する制御信号によりFETを低インピーダンス状態(オン)と高インピーダンス状態(オフ)とすることで可変インピーダンス回路のインピーダンス値を変化させるものである。
【0038】
ここで、能動素子としてのFETをオン/オフの2値をとる可変インピーダンス素子として考えると、
第1,第2のFET17,18が共にオン状態の(オン/オン)
第1,第2のFET17,18が共にオフ状態の(オフ/オフ)
第1のFET17がオン、第2のFET18がオフ状態の(オン1)
第1のFET17がオフ、第2のFET18がオン状態の(オン2)
の計4状態をとる。
【0039】
FET自体のオン状態、オフ状態のインピーダンスに関して図3,図4により説明する。
図3に示した構成にて、FET25の制御電圧端子26に加える制御電圧Vgにより、素子インピーダンス24は図4のように変化する。ここでは2GHzにおける特性を示している。制御電圧Vgが−2ボルトのとき、FET25はオフ状態であり、インピーダンスの絶対値としては大きな値を有し、容量性を示す。一方、制御電圧Vgが0ボルトのときFET25はオン状態であり、位相が大きく変化し低インピーダンスで、しかも誘導性を示す。
【0040】
従って、制御電圧Vgによりインピーダンスは誘導性、容量性、さらにはその中間の値をとることが可能である。
本発明は図2において負荷インピーダンス15が大きく変化した場合、可変インピーダンス回路2のインピーダンスを変化させ、結果として電力増幅回路1に戻る反射電力量を低減する動作を行う。次にその可変インピーダンス回路2の効果を説明する。
【0041】
図4のような特性のFET25を、図2の伝送線路19の両端で接地したπ型回路に第1,第2のFET17,18として配置する。伝送線路19の2GHzにおける等価的電気長は15°(信号周波数において1/24波長)であり、FETに接続した抵抗20,21の抵抗値はそれぞれ8Ωである。
【0042】
図2の構成においてVSWR=“50”をとる負荷インピーダンスにおいて位相を変化させ、その際にVSWRのとる値を示したのが図5である。図5に示すように第1,第2のFET17,18が共にオン状態のVSWR(オン/オン)において、全位相においてVSWRは“8”以下にすることができる。さらに一部の位相においては、第1のFET17がオン、第2のFET18がオフ状態のVSWR(オン1)、あるいは第1のFET17がオフ、第2のFET18がオン状態のVSWR(オン2)の場合、VSWR(オン/オン)よりインピーダンス条件を改善でき、VSWRを“4”以下にすることができる。なお、参考に第1,第2のFET17,18が共にオフ状態の(オフ/オフ)をVSWR(オフ)として示している。
【0043】
ここで図1における電力検出回路3の具体的な動作を説明する。負荷特性が50Ωに近く、大きな反射電力が生じない状態では、バイパス線路44が、電力増幅回路1の出力をアンテナ4へ給電する信号経路として選択されている。負荷特性が変化し、電力検波回路3にてある設定値を越える反射電力を検出した場合には、電力検波回路3は、可変インピーダンス回路2に対し第1,第2のFET17,18が共にオン状態となる信号を送信した後に、信号経路としてバイパス線路44を選択している状態から可変インピーダンス回路2を含む経路を選択する状態に切り替わるようにスイッチ回路41a,41bに対して信号を送る。
【0044】
このときバイパス線路44から可変インピーダンス回路2を含む経路を選択する状態に切り替わる反射電力の設定値は、電力増幅器の破壊条件に達しない値とする。
これにより電力増幅回路1から見た合成負荷インピーダンスは、たとえ負荷インピーダンスがVSWR=“50”の条件であっても、常にVSWRが“8”以下となるようなインピーダンスに制御することができる。
【0045】
さらにその後に電力検波回路3は、送信電力と反射電力との位相差の値により、事前に設定された判別テーブルにより場合分けを行う。この例の場合では、−90°から180°の範囲で第1のFET17をオン、第2のFET18をオフとする信号を送信する。また−160°から−90°では第1のFET17をオフ、第2のFET18をオンとする信号を送信する。これにより電力増幅器から見た合成負荷インピーダンス状態をさらに改善し、場合によってはVSWRを“4”以下とすることができる。図6はこの位相範囲をインピーダンスチャート上で示したものである。
【0046】
図7は伝送線路19の長さ(図7では2GHzにおける等価的な電気長を角度で示す)に対するVSWRの依存性を示したものである。縦軸のVSWRは、それぞれVSWR=“10”、VSWR=“25”、VSWR=“50”で規定された各負荷インピーダンスにおいて、すべての位相条件において最大のVSWRをプロットしたものである。すなわち、図5において第1のFET17と、第2のFET18のとり得る状態の組み合わせを考え、さらに全ての負荷インピーダンス位相に対して最大のVSWR値である(a)で示した最大電圧定在波比を示している。電気長が15°(1/24波長)以上になると、負荷特性がVSWR“50”の場合でも最大のVSWR値を“8”以下とすることができ、また電気長が10°(1/36波長)以上では最大のVSWR値を“10”以下とすることができ実用的には増幅器の破壊に至らない条件とすることができる。また、45°以上でも効果は同様である。ただし機器の小型化の観点からはなるべく伝送線路19の長さは短いほうが望ましい。なお、図8は図7の値を表としてまとめたものである。
【0047】
なお、図3,図4で説明した制御電圧Vgの値、さらにインピーダンス値の変化は、素子構造や閾値電圧により変わるものであり、値自体は意味をもたない。すなわち、ここでは制御電圧Vgによりインピーダンス値を変化できることが本質となる。
【0048】
また、インピーダンス変化はFETでなくとも、ダイオード、金属/絶縁体/金属(MIM)素子などの能動素子や非線形素子でも得られ、これらを用い可変インピーダンス回路2を構成しても同様の効果が得られる。
【0049】
また、直列に配置した抵抗20,21の抵抗値に関しても設計事項であり、0Ω〜50Ωにて効果を確認できる。一方、抵抗値を大きくした場合は抵抗における電力減衰の効果が加わり、電力検出回路3にて検出される送信電力、反射電力の絶対値が小さくなり検出精度が劣化する。これらのことより本発明では、0Ω〜15Ωの範囲が望ましい値である。
【0050】
(実験例1)
この(実験例1)では、図1と図2に示した回路構成を実験によって検証した。
ここでは、InGaP系材料を用いたHBT(Hetero bipolar transistor)を電力増幅素子5に用い、出力整合回路6を半導体基板上に集積化したMMIC(monolithic microwave integrated circuit)によって電力増幅回路1を構成した。このMMICは880〜915MHzで出力電力33.5dBmにて動作効率が最大になるような整合条件とした。このMMICはVSWRが“9.0”までは破壊することなく動作した。
【0051】
このMMICの後段に伝送線路からなるバイパス線路44と、図2で示した回路構成の可変インピーダンス回路2を配置し、スイッチ41a,41bにて信号経路を選択できるよう接続した。全体の回路構成は図1と同様である。可変インピーダンス回路2はπ型であり、GaAs基板上に GaAs FET(field effect transistor)と8Ωの薄膜抵抗を組み合わせた素子を伝送線路の両端で接地し形成したものである。これら伝送線路、FET、抵抗はGaAs基板上に集積化したが、バイパス線路、伝送線路自体はアルミ薄膜パターンによる配線とした。バイパス線路自体はでき得る限り最短距離で接続する構成を選択して、挿入損失の低減を図った。また可変インピーダンス線路2に用いた伝送線路19は、2GHzにおける等価電気長が15°となるように設計した。
【0052】
さらに、電力検出回路3は信号線路に対する結合度が20dBの方向性結合器とし、ダイオードとキャパシタを組み合わせた電力検波回路7において、送信電力、反射電力の比(VSWR)を検出する構成とした。また、各送信電力、反射電力を検出した信号を利用し位相検出器によりその位相差も求めた。
【0053】
通常の動作状態では、負荷特性が50Ωに近く大きな反射電力が生じない。この状態ではバイパス線路44を選択した。負荷特性が変化して電力検波回路3にてVSWRが“8.5”を越える値が検出された場合、可変インピーダンス回路2のふたつのFETの第1,第2のFET17,18がともにオン状態となる信号、すなわち0ボルトを与えて低インピーダンス状態に切り換えてから、その後にスイッチ回路41a,41bに対し、可変インピーダンス回路2を含む経路を選択させるよう信号を供給した。
【0054】
さらに、電力検波回路3にて検出される送信電力と受信電力の位相差に値に従い、−90°から90°の範囲で第1のFET17をオン(0ボルト)、第2のFET18をオフとする信号(−2ボルト)を供給した。
【0055】
この結果、この動作条件ではMMICが破壊しないことを確認した。次に、負荷特性を変化させ、VSWRが“5”以下になったとき、スイッチ回路41a,41bに対し、信号経路をバイパス線路に切り替えるよう信号を供給し、通常動作状態に復帰させ、送信出力レベルが定常状態に近い値に回復することを確認した。
【0056】
図9,図10,図11はそれぞれ他の可変インピーダンス回路例を示す。図9では能動素子としてFETを用いる一方、抵抗を用いない構成である。図10では、能動素子としてダイオード47,49を用い、さらに直列に伝送線路46,48および抵抗90,91を配置した構成である。92,93は結合コンデンサである。また、図11ではダイオード47,48を用い、図10に見られた抵抗90,91を用いない構成である。上述したように能動素子としてインピーダンス変化が可能であれば、同様にπ型回路とすることで同様の効果を実現することができる。
【0057】
(実施の形態2)
図12は、上述の本発明の(実施の形態1)に対し、同一基板(半導体基板でも他のセラミック基板、樹脂基板でも良い)にバイパス回路44、スイッチ回路41a,41b、可変インピーダンス回路を集積化し、全体としてバイパス線路集積化可変インピーダンス回路43を構成したものである。半導体基板を用いた場合、スイッチ回路自体をFETスイッチとし、可変インピーダンス回路に用いる能動素子として同じくFETを用いることで、同一の半導体素子プロセスにて作成することが可能である。これにより送信回路自体を小型にかつ低コストで実現できる。可変インピーダンス回路の構成、その制御方法などは本発明の(実施の形態1)と同様である。
【0058】
(実験例2)
この(実験例2)では、図12に示した回路構成を実験によって検証した。
InGaP系材料を用いたHBT(Hetero bipolar transistor)を電力増幅素子に用い、出力整合回路を半導体基板上に集積化したMMIC(monolithic microwave integrated circuit)を構成し、動作帯域1920〜1980MHz、出力電力20dBmのとき5MHz離調の2トーン相互変調歪が最小なるよう整合条件を選択した。このMMIC自体はVSWRが“9.2”までは破壊することなく動作した。
【0059】
このMMICの後段に、(実験例1)と同様に伝送線路からなるバイパス線路と、図2で示した回路構成の可変インピーダンス回路を配置し、スイッチにて信号経路を選択できるよう接続した。全体の回路構成は図1と同様である。可変インピーダンス回路はπ型であり、GaAs基板上に GaAs FET(field effect transistor)と2Ωの半導体薄膜抵抗を組み合わせた素子を伝送線路の両端で接地し形成した。これら伝送線路、FET、抵抗はGaAs基板上に集積化したが、バイパス線路、伝送線路自体はAl薄膜パターンによる配線である。この回路において、実験的に負荷インピーダンスをVSWR=50Ωの条件にした際、信号経路が可変インピーダンス回路側に切り換えることでMMICが破壊しないことを確認した。さらに反射波の位相により、あらかじめ決められたテーブルに従い第1のFET17あるいは第2のFET18の−2ボルトを与え、オフ状態とすることでMMICから見た負荷特性を改善できることを確認した。
【0060】
(実施の形態3)
図13,図14,図15は、それぞれ図1または図12に示した電力増幅回路を送信増幅器として用いてマルチバンド構成の無線通信装置を構築したものである。可変インピーダンス回路と電力検出回路は明示していないが、送信回路あるいはスイッチ回路に付随して集積化するか、個別の回路ブロックとして挿入されるものである。この例においては第1の送信回路52、第2の送信回路54において各々電力検出回路と可変インピーダンス回路を有する本発明の電力増幅回路を用いている。
【0061】
この図13は、時間領域分割多重(TDMA)方式のシステム、例えば900MHz帯のGSM(Global System for Mobile Communications)と1.8GHz帯のDCS(Digital Cellular System)を利用可能な無線装置の出力部分であり、TDMA方式に対応するため各システム、さらには送受信回路を切り換えるスイッチ回路(デュアルモード集積化スイッチ回路51)を用いている。第1,第2の送信回路52,54はそれぞれLPF71,72を介してデュアルモード集積化スイッチ回路51に接続されている。53,55は第1,第2の受信回路である。
【0062】
この際、アンテナ4は便宜上共通として記載し、デュアルモード集積化スイッチ回路51も1対4の構成としているが、システム仕様により各モード専用のアンテナ、さらにはダイバーシティ方式を採用した複数アンテナを用いる場合は2対4、さらには4対4等のスイッチを用い時間領域で切り替え動作させることになる。
【0063】
図14は同様にデュアルモード通信システムを構成したもう一つの例である。符号領域分割多重(CDMA)方式とTDMA方式のマルチモード通信機器であり、IMT2000(UMTSあるいはW−CDMA)(IMT200:International Mobile Telecommunication 2000、UMTS:Universal Mobile Telecommunications System、W−CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)とGSMの共用携帯端末である。第3の送信回路56はLPF73を介してデュプレクサ94の送信トップフィルタ74に接続されている。第3の受信回路57はデュプレクサ94の受信トップフィルタ75に接続されている。CDMA方式では送受信信号をデュプレクサ94により分離している。60はデュアルモードスイッチで、スイッチ76,77とLPF78とで構成されており、デュプレクサ94と、第4の送信回路58と、第4の受信回路59とは、デュアルモードスイッチ60を介してアンテナ4に接続されている。ここでは、アンテナは同様に省略化して単一のアンテナ4として記載しているが、装置構成によっては各周波数帯域ごとに異なるものを用いても良い。この例においても第3の送信回路56、第4の送信回路58に、(実施の形態1)または(実施の形態2)に示した高周波電力送信回路を用いている。
【0064】
さらに図15はトリプルモードの通信システムを構成した例であり、UMTS、GSM、さらにDCSを単一の通信機器で扱えるものである。アンテナは同様に省略して記載しており、各送信回路に本発明の電力増幅回路を用いていることは同様である。
【0065】
UMTS送信回路63はLPF79を介してデュプレクサ62の送信トップフィルタ80に接続されている。UMTS受信回路64はデュプレクサ62の受信トップフィルタ81に接続されている。61はトリプルモード集積化スイッチモジュールで、スイッチ82とLPF83,84とで構成されており、デュプレクサ62と、GSM送信回路65と、DCS送信回路67と、GSM受信回路66と、DCS受信回路68とは、トリプルモード集積化スイッチモジュール61を介してアンテナ4に接続されている。この例においても UMTS送信回路63、GSM送信回路65、DCS送信回路67に、(実施の形態1)または(実施の形態2)に示した高周波電力送信回路を用いている。
【0066】
なお、上記の各実施の形態において、可変インピーダンス線路に含まれる伝送線路の長さが、高周波電力の周波数の等価的電気長に対し、1/36以上1/8以下の長さであることが好ましい。これによりVSWR“25”以下で安定に動作する実用的な電力増幅器を構成することが可能となる。すなわち、本実施例で説明した電力増幅器あるいはMMICは、VSWRが“9.2”程度までは破壊しないが、図8に示したように電気長が10°(1/36波長)以上になると、負荷特性がVSWR“25”の場合でも最大のVSWR値を“9.1”以下となるように可変インピーダンス回路を構成できることによる。
【0067】
上記の各実施の形態では、可変インピーダンス回路に含まれる能動素子が、電界効果型トランジスタであったが、これは接合型トランジスタなどの3端子素子で構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、RF周波数帯からマイクロ波帯における電力送信回路の耐破壊特性向上に有用である。特に負荷変動が大きな移動体通信システムに用いられる携帯端末機器に対して有用である。なお本発明は高周波分野一般に応用可能であり、周波数として上記範囲(300MHzから6GHz)に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の高周波電力送信回路の(実施の形態1)の構成図
【図2】同実施の形態の可変インピーダンス回路の動作を説明するブロック図
【図3】FETのインピーダンス特性を測定する概念図
【図4】FETのインピーダンス特性の一例
【図5】同実施の形態の可変インピーダンス回路の特性図
【図6】可変インピーダンス回路の動作条件を示すインピーダンスチャート
【図7】可変インピーダンス回路に用いた伝送線路長と、最大電圧定在波比の関係を示す図
【図8】図7の測定結果を数値で表す図
【図9】可変インピーダンス回路の第2の例を示す回路ブロック図
【図10】可変インピーダンス回路の第3の例を示す回路ブロック図
【図11】可変インピーダンス回路の第4の例を示す回路ブロック図
【図12】本発明の高周波電力送信回路の(実施の形態1)の構成図
【図13】本発明をマルチモード通信システムに用いた無線通信装置の構成図
【図14】本発明をマルチモード通信システムに用いた無線通信装置の構成図
【図15】本発明をトリプルモード通信システムに用いた無線通信装置の構成図
【符号の説明】
【0070】
1 電力増幅回路
2 可変インピーダンス回路
3 電力検出回路
4 アンテナ
5 電力増幅素子
6 出力整合回路
7 電力検波回路
8 電力分配回路
14 合成負荷インピーダンス
15 負荷インピーダンス
17 第1のFET
18 第2のFET
19 伝送線路
20,21 抵抗
24 素子インピーダンス
25 FET
26 制御電圧端子
41a,41b スイッチ回路
43 バイパス線路集積化可変インピーダンス回路
44 バイパス回路
46,48 伝送線路
47,49 ダイオード
51 デュアルモード集積化スイッチ回路
52 第1の送信回路
53 第1の受信回路
54 第2の送信回路
55 第2の受信回路
56 第3の送信回路
57 第3の受信回路
58 第4の送信回路
59 第4の受信回路
61 トリプルモード集積化スイッチモジュール
62 デュプレクサ
63 UMTS送信回路
64 UMTS受信回路
65 GSM送信回路
66 GSM受信回路
67 DCS送信回路
68 DCS受信回路
94 デュプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅回路の出力を、複数の信号経路を選択できる信号経路切り換え手段を介して負荷インピーダンスへ給電するとともに、
前記信号経路切換手段の出力と前記負荷インピーダンスの間において送信電力の反射電力レベルを検出する電力検出回路を設け、
前記信号経路切換手段には、前記複数の信号経路のひとつに伝送線路と、伝送線路と接地間に接続された複数の能動素子をその構成要素として含む可変インピーダンス回路を設け、
前記電力検出回路が検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記スイッチ回路の接続経路を選択し、かつ、前記可変インピーダンス回路を経路として選択した場合に、前記能動素子への制御信号を変化させるよう構成した
高周波電力送信回路。
【請求項2】
前記電力検出回路は、
検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記可変インピーダンス回路を構成する全ての能動素子を低インピーダンス状態に切り換えてから、前記可変インピーダンス回路を信号経路として選択させ、その後に前記能動素子のうち一部の素子を高インピーダンス状態とする制御信号を出力するように構成した
請求項1記載の高周波電力送信回路。
【請求項3】
前記電力検出回路は、
検出した送信電力の反射電力レベルに応じて前記可変インピーダンス回路を構成する全ての能動素子を低インピーダンス状態に切り換えてから、前記可変インピーダンス回路を信号経路として選択させ、その後に前記送信電力と反射電力の位相差に応じて前記能動素子のうち一部の素子を高インピーダンス状態とする制御信号を出力するように構成した
請求項1記載の高周波電力送信回路。
【請求項4】
能動素子が2個であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の高周波電力送信回路。
【請求項5】
可変インピーダンス線路に含まれる伝送線路の長さが、高周波電力の周波数の等価的電気長に対し、1/36以上1/8以下の長さであることを特徴とする
請求項1〜請求項4の何れかに記載の高周波電力送信回路。
【請求項6】
可変インピーダンス回路に含まれる能動素子が、電界効果型トランジスタもしくは接合型トランジスタなどの3端子素子であることを特徴とする
請求項1〜請求項5の何れかに記載の高周波電力送信回路。
【請求項7】
可変インピーダンス回路に含まれる能動素子が、非線形特性を示すダイオードであることを特徴とする
請求項1〜請求項5の何れかに記載の高周波電力送信回路。
【請求項8】
請求項1記載の高周波電力送信回路の負荷インピーダンスとしてアンテナ回路を接続した
無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−333023(P2006−333023A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153205(P2005−153205)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】